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特許7616776注射剤調剤キット及びこれを含む注射剤調剤システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】注射剤調剤キット及びこれを含む注射剤調剤システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A61J1/20 314Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022569626
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 KR2020015626
(87)【国際公開番号】W WO2021230445
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0056969
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522444597
【氏名又は名称】メインテック カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522445918
【氏名又は名称】リー クンヒョン
(73)【特許権者】
【識別番号】522445929
【氏名又は名称】リー サンビン
(73)【特許権者】
【識別番号】522444601
【氏名又は名称】リー ジウン
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】リー クンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リー サンビン
(72)【発明者】
【氏名】リー ジウン
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-511980(JP,A)
【文献】特表2013-516268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に具備された一対のピストンを相対的に固定及び回転する動作によって発生するシリンダー体積の変化を通じて外部の流体を流入及び吐出するシリンダーカートリッジであって、互いに回転自在な上部回転体及び下部回転体を具備し、前記上部回転体と下部回転体との間に環状のシリンダー空間が形成されており、前記一対のピストンの中で第1のピストンは、前記上部回転体に結合されて前記シリンダー空間に沿って回転することができ、かつ、第2のピストンは、前記下部回転体に結合されて前記シリンダー空間に沿って回転することができるようになっているシリンダーカートリッジと、
前記シリンダーカートリッジの流出管に連結された第1のチューブと、
2つの流入流路のいずれか一つの流入流路を流出流路に選択的に連結する3ウェイバルブと、
前記3ウェイバルブの流出流路が前記シリンダーカートリッジの流入管に連結された第2のチューブと、
前記3ウェイバルブの第1の流入流路に連結された第3のチューブと、
前記3ウェイバルブの第2の流入流路に連結された第4のチューブと、
を含み、
前記第1のチューブ及び第3のチューブには、輸液パックが連結され、
前記第4のチューブには、薬剤容器が連結されることを特徴とする注射剤調剤キット。
【請求項2】
前記第4のチューブ及び薬剤容器は、空気流入機能付きのアダプダで連結されることを特徴とする請求項に記載の注射剤調剤キット。
【請求項3】
内部に具備された一対のピストンを相対的に固定及び回転する動作によって発生するシリンダー体積の変化を通じて外部の流体を流入及び吐出するシリンダーカートリッジであって、互いに回転自在な上部回転体及び下部回転体を具備し、前記上部回転体と下部回転体との間に環状のシリンダー空間が形成されており、前記一対のピストンの中で第1のピストンは、前記上部回転体に結合されて前記シリンダー空間に沿って回転することができ、かつ、第2のピストンは、前記下部回転体に結合されて前記シリンダー空間に沿って回転することができるようになっているシリンダーカートリッジと、
前記シリンダーカートリッジの流出管に連結された第1のチューブと、
2つの流入流路のいずれか一つの流入流路を流出流路に選択的に連結する3ウェイバルブと、
前記3ウェイバルブの流出流路が前記シリンダーカートリッジの流入管に連結された第2のチューブと、
前記3ウェイバルブの第1の流入流路に連結された第3のチューブと、
前記3ウェイバルブの第2の流入流路に連結された第4のチューブと、
を含み、
少なくとも一つ以上の追加の3ウェイバルブをさらに含み、
前記追加の3ウェイバルブの第1の流入流路及び流出流路は、前記第2~第4のチューブのいずれか一つのチューブに連結されることを特徴とする注射剤調剤キット。
【請求項4】
前記追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に追加の薬剤容器が連結されることを特徴とする請求項に記載の注射剤調剤キット。
【請求項5】
前記追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に輸液パックが連結され、前記第1のチューブ及び第3のチューブには空の輸液パックが連結され、前記第4のチューブには、薬剤容器が連結されることを特徴とする請求項に記載の注射剤調剤キット。
【請求項6】
請求項1に記載の注射剤調剤キットと、
前記注射剤調剤キットのシリンダーカートリッジが装着され、前記シリンダーカートリッジの内部に具備された一対のピストンを独立に駆動するシリンダーポンプと、
を含む注射剤調剤システム。
【請求項7】
前記シリンダーポンプは、前記シリンダーカートリッジに具備された一対のピストンを独立に駆動するシリンダー駆動部と、前記シリンダー駆動部を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、前記シリンダーカートリッジを介して流入及び流出される液体の量と速度をあらかじめ設定された値に制御することを特徴とする請求項に記載の注射剤調剤システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記第4のチューブに連結された薬剤容器内の薬液をあらかじめ設定された量だけ流入して前記第1のチューブに連結された輸液パックの中に流出するように前記シリンダー駆動部を制御することを特徴とする請求項に記載の注射剤調剤システム。
【請求項9】
前記3ウェイバルブは、前記第4のチューブに連結された第2の流入流路及び前記第2のチューブに連結された流出流路が開放された状態にあることを特徴とする請求項に記載の注射剤調剤システム。
【請求項10】
前記シリンダー駆動部は、前記シリンダーカートリッジの上部回転体を駆動する第1の駆動部と下部回転体を駆動する第2の駆動部とを具備し、
前記第1の駆動部の第1の駆動軸内に前記第2の駆動部の第2の駆動軸が入っている二重軸の構造を成すことを特徴とする請求項に記載の注射剤調剤システム。
【請求項11】
前記第1の駆動部及び第2の駆動部はそれぞれウォームギアの構造であることを特徴とする請求項10に記載の注射剤調剤システム。
【請求項12】
請求項1に記載の注射剤調剤キットを用意し、前記第1のチューブ及び第3のチューブには輸液パックを連結し、前記第4のチューブには薬剤容器を連結する第1のステップと、
前記注射剤調剤キットのシリンダーカートリッジを、前記シリンダーカートリッジの内部に具備された一対のピストンを独立に駆動するシリンダーポンプに対して装着する第2のステップと、
前記薬剤容器内の薬液を前記輸液パックの中に取り入れる量を前記シリンダーポンプに対して入力する第3のステップと、
前記3ウェイバルブに対して、前記第4のチューブに連結された第2の流入流路及び前記第2のチューブに連結された流出流路を開放する第4のステップと、
前記シリンダーポンプを駆動して前記薬剤容器内の薬液を設定された量だけ前記輸液パックの中に取り入れる第5のステップと、
を含む注射剤調剤方法。
【請求項13】
前記第5のステップ後に、
前記3ウェイバルブを操作して輸液の循環流路を形成するために、前記第3のチューブに連結された第1の流入流路及び前記第2のチューブに連結された流出流路を開放し、前記シリンダーポンプを作動して前記輸液パック中の輸液を、前記シリンダーカートリッジを介して循環して、チューブ内に残存していた薬液をいずれも前記輸液パックの中に取り入れることを特徴とする請求項12に記載の注射剤調剤方法。
【請求項14】
前記第3のステップと第4のステップとの間に、前記第1~第3のチューブの中の空気を取り除くプライミングステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の注射剤調剤方法。
【請求項15】
前記プライミングステップは、
前記3ウェイバルブに対して、前記第3のチューブに連結された第1の流入流路及び前記第2のチューブに連結された流出流路を開放し、
前記輸液パック中の輸液を前記シリンダーカートリッジを介して循環して前記第1~第3のチューブの中の空気を取り除くことを特徴とする請求項14に記載の注射剤調剤方法。
【請求項16】
前記薬剤容器を他の追加の薬剤容器に取り替え、
前記シリンダーポンプを駆動して前記追加の薬剤容器内の薬液を設定された量だけ前記輸液パックの中に取り入れるステップを行うことを特徴とする請求項12に記載の注射剤調剤方法。
【請求項17】
前記第1のステップは、
少なくとも一つ以上の追加の3ウェイバルブの第1の流入流路及び流出流路を前記第2~第4のチューブのいずれか一つのチューブに連結して、前記追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に追加の薬剤容器を連結する第1-1のステップを含み、
前記第5のステップ後に、
前記薬剤容器に対する流出流路は閉鎖するとともに、前記追加の薬剤容器に対する流出流路を開放し、前記シリンダーポンプを駆動して前記追加の薬剤容器内の薬液を設定された量だけ前記輸液パックの中に取り入れる更なる混合ステップ
を含むことを特徴とする請求項12に記載の注射剤調剤方法。
【請求項18】
前記第1のステップは、
前記第1のチューブ及び第3のチューブには空の輸液パックを連結し、少なくとも一つ以上の追加の3ウェイバルブの第1の流入流路及び流出流路を前記第2~第4のチューブのいずれか一つのチューブに連結し、前記追加の3ウェイバルブのいずれか一つの追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に輸液パックを連結する第1-1のステップを含み、
前記第3~第5のステップは、
前記追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に連結された輸液パックの輸液を、設定された量だけ前記空の輸液パックに取り入れ、その後、前記輸液パックの流出流路は閉鎖するとともに前記薬剤容器に対する流出流路を開放して前記薬剤容器内の薬液を設定された量だけ前記空の輸液パックの中に取り入れることを特徴とする請求項12に記載の注射剤調剤方法。
【請求項19】
前記第5のステップの以後に、
前記シリンダーカートリッジに対して、
前記薬剤容器及び第4のチューブを取り除き、前記3ウェイバルブの第2の流入流路を閉鎖するか、
若しくは、前記薬剤容器と第4のチューブ及び第2のチューブを取り除き、前記第3のチューブを流入管に連結する仕上げステップが追加されることを特徴とする請求項12に記載の注射剤調剤方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射剤調剤キット及びこれを含む注射剤調剤システムに関し、より具体的には、外部環境からの汚染を最小化することができる閉鎖系に構成するとともに、オペレーターの作業量及び間違いは減らすことで安全でかつ正確に注射剤を調剤し、ひいて投薬までもすることができる注射剤調剤キット及び注射剤調剤システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場において疾病や事故、あるいは手術時に発生した過多出血に対する輸血や、感染や免疫力弱化による疾病又は体内に水分、電解質または栄養が不足する場合は、その治療のために補充療法、欠乏補正、治療療法の一つとして患者の体内に血液、リンゲル液、アミノ酸液、ぶどう糖液や医薬品を注入するのが一般的に行われる。
【0003】
血液、医薬品などの注射剤(以下、「注射剤」と通称する)を医者の処方によって正確な量と速度で患者に注入するために、シリンジポンプ(Syringe Pump)または輸液ポンプ(Infusion Pump)などを用いた。シリンジポンプは、注射器のプランジャーを押してその中に入っている注射剤に圧力をかけて注入する方式であり、輸液ポンプは、患者に対して適当な重力が作用する高さにぶら下げられた薬液容器の輸液チューブを絞って注射剤を注入する方式である。すなわち、シリンジポンプ及び輸液ポンプは、注射剤が滅菌密封された容器の形態と種類によって使い分けられ、シリンジポンプでのプランジャーを押す動作と、輸液ポンプでの輸液チューブを繰り返し押さえる動作とが、モーターの制御により正確に行われることにより、注射用量、速度、時間などが処方どおり進められる。
【0004】
一方、注射剤には抗癌剤や造影剤のように毒性のある薬剤が含まれる場合がかなり多い。抗癌剤などは、無菌調剤室で専門薬剤師が扱わなければならなく、専門薬剤師は無菌調剤室に入場する前にきれいに手を洗った後、防菌服、防菌靴、マスク、ヘアキャップ、保護手袋、保護メガネなどの個人防護装備をしっかり着用しなければならない。また、無菌調剤室でも作業台などの周辺環境を消毒しなければならなく、取り扱う薬剤の処方せんを正確に確認し、注射器と注射針、アンプルなどを消毒したうえで使用した後、指定された方式で廃棄しなければならない。そして、無菌調剤室で調剤された注射剤は、滅菌状態を維持しなければならなく、患者に投薬される直前に密封を解除して汚染の問題を最小化しなければならない。
【0005】
このように、抗癌剤などの毒性のある薬剤を取り扱う手続きは、非常に複雑でかつ厳格であり、いくら高度に訓練された専門薬剤師であってもヒトが直接毒性物質を取り扱うには常に困難性及びリスクが伴う。また、幾つかの毒性薬剤を一つのパックに混合しようとすれば複雑な手続きを繰り返し行わなければならず、このような場合は、投与量に誤差や間違いが発生する可能性も高くなる。特に、各種の個人防護装備に取り囲まれた専門薬剤師は集中力を長期間維持しにくいので、毒性がある薬剤の調剤責任を専門薬剤師にのみ負わせることは過度な負担になる。
【0006】
従来は、これらの問題を解決するための方案として、細胞毒性を有する静脈用注射液を混合する調剤自動化ロボットが紹介された事がある。調剤自動化ロボットは、無菌環境が維持される内部空間内に多関節ロボットアームが設置され、処方せん資料に基づいてバーコードスキャンで分類、特定された薬剤を多関節ロボットアームが搬出して注射器で薬剤を抽出し、調剤しようとする薬物容器に注入する一連の過程を自動で進める方式である。すなわち、従来の専門薬剤師の役割を多関節ロボットアームがそのまま取り替える方式であるものである。
【0007】
しかし、稼動率に比べて、装置の価格自体が非常に高価であるから、資本力がある大型病院を主顧客として幾台かくらいが販売されるだけなので、抗癌剤調剤だけでも年間数十万件を超える第一線の医療現場に普遍的に普及されるのにはその限界が明らかであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第10-0948632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、各種薬剤を組み合わせる調剤、特に毒性がある抗癌剤や造影剤などが含まれているため厳格に制限された条件下で注意深く管理されなければならない注射剤の調剤を、安価で安全かつ衛生的かつ簡便に遂行することができる注射剤調剤キット及びこれを含む注射剤調剤システムを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による注射剤調剤キットは、内部に具備された一対のピストンを相対的に固定及び回転する動作によって発生するシリンダー体積の変化を通じて外部の流体を流入及び吐出するシリンダーカートリッジと、前記シリンダーカートリッジの流出管に連結された第1のチューブと、2つの流入流路のいずれか一つの流入流路を流出流路に選択的に連結する3ウェイバルブと、前記3ウェイバルブの流出流路が前記シリンダーカートリッジの流入管に連結された第2のチューブと、前記3ウェイバルブの第1の流入流路に連結された第3のチューブと、前記3ウェイバルブの第2の流入流路に連結された第4のチューブと、を含む。
【0011】
ここで、前記第1のチューブ及び第3のチューブには、輸液パックが連結され、前記第4のチューブには、薬剤容器が連結される。
【0012】
そして、前記第4のチューブ及び薬剤容器は、空気流入機能付きのアダプダで連結されることが望ましい。
【0013】
また、本発明は、少なくとも一つ以上の追加の3ウェイバルブをさらに含み、前記追加の3ウェイバルブの第1の流入流路及び流出流路は、前記第2~第4のチューブのいずれか一つのチューブに連結されてもよく、この場合、前記追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に追加の薬剤容器が連結される。
【0014】
もしくは、前記追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に輸液パックが連結され、前記第1のチューブ及び第3のチューブには空の輸液パックが連結され、前記第4のチューブには、薬剤容器が連結されてもよい。
【0015】
また、前記シリンダーカートリッジは、互いに回転自在な上部回転体及び下部回転体を具備し、前記上部回転体と下部回転体との間に環状のシリンダー空間が形成されており、前記一対のピストンの中で第1のピストンは、前記上部回転体に結合されて前記シリンダー空間に沿って回転することができ、かつ、第2のピストンは、前記下部回転体に結合されて前記シリンダー空間に沿って回転することができることを特徴とする。
【0016】
なお、本発明は、前記のような構成の注射剤調剤キットと、前記注射剤調剤キットのシリンダーカートリッジが装着され、前記シリンダーカートリッジの内部に具備された一対のピストンを独立に駆動するシリンダーポンプと、を含む注射剤調剤システムを提供する。
【0017】
前記シリンダーポンプは、前記シリンダーカートリッジに具備された一対のピストンを独立に駆動するシリンダー駆動部と、前記シリンダー駆動部を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記シリンダーカートリッジを介して流入及び流出される液体の量と速度をあらかじめ設定された値に制御する。
【0018】
また、前記制御部は、前記第4のチューブに連結された薬剤容器内の薬液をあらかじめ設定された量だけ流入して前記第1のチューブに連結された輸液パック中に流出するように前記シリンダー駆動部を制御する。
【0019】
ここで、前記3ウェイバルブは、前記第4のチューブに連結された第2の流入流路及び前記第2のチューブに連結された流出流路が開放された状態にある。
【0020】
そして、前記シリンダー駆動部は、前記シリンダーカートリッジの上部回転体を駆動する第1の駆動部と下部回転体を駆動する第2の駆動部とを具備し、前記第1の駆動部の第1の駆動軸内に前記第2の駆動部の第2の駆動軸が入っている二重軸の構造を成すことができる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の駆動部及び第2の駆動部はそれぞれウォームギアの構造である。
【0022】
他方、本発明は、前記のような構成の注射剤調剤キットを用意し、前記第1のチューブ及び第3のチューブには輸液パックを連結し、前記第4のチューブには薬剤容器を連結する第1のステップと、前記注射剤調剤キットのシリンダーカートリッジを、前記シリンダーカートリッジの内部に具備された一対のピストンを独立に駆動するシリンダーポンプに対して装着する第2のステップと、前記薬剤容器内の薬液を前記輸液パックの中に取り入れる量を前記シリンダーポンプに対して入力する第3のステップと、前記3ウェイバルブに対して、前記第4のチューブに連結された第2の流入流路及び前記第2のチューブに連結された流出流路を開放する第4のステップと、前記シリンダーポンプを駆動して前記薬剤容器内の薬液を設定された量だけ前記輸液パックの中に取り入れる第5のステップと、を含む注射剤調剤方法を提供する。
【0023】
また、前記第5のステップ後に、前記3ウェイバルブを操作して輸液の循環流路を形成するために、前記第3のチューブに連結された第1の流入流路及び前記第2のチューブに連結された流出流路を開放し、前記シリンダーポンプを作動して前記輸液パック中の輸液を、前記シリンダーカートリッジを介して循環して、チューブ内に残存していた薬液をいずれも前記輸液パックの中に取り入れることができる。
【0024】
そして、前記第3のステップと第4のステップとの間に、前記第1~第3のチューブの中の空気を取り除くプライミングステップをさらに含むことができ、前記プライミングステップは、前記3ウェイバルブに対して、前記第3のチューブに連結された第1の流入流路及び前記第2のチューブに連結された流出流路を開放し、前記輸液パック中の輸液を、前記シリンダーカートリッジを介して循環して前記第1~第3のチューブの中の空気を取り除くようになる。
【0025】
実施形態によって、前記薬剤容器を他の追加の薬剤容器に取り替え、前記シリンダーポンプを駆動して前記追加の薬剤容器内の薬液を設定された量だけ前記輸液パックの中に取り入れるステップを行うことができる。
【0026】
あるいは、前記第1のステップは、少なくとも一つ以上の追加の3ウェイバルブの第1の流入流路及び流出流路を前記第2~第4のチューブのいずれか一つのチューブに連結して、前記追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に追加の薬剤容器を連結する第1-1のステップを含み、前記第5のステップ後に、前記薬剤容器に対する流出流路は閉鎖するとともに、前記追加の薬剤容器に対する流出流路を開放し、前記シリンダーポンプを駆動して前記追加の薬剤容器内の薬液を設定された量だけ前記輸液パックの中に取り入れる更なる混合ステップを含むこともできる。
【0027】
他方、前記第1のステップは、前記第1のチューブ及び第3のチューブには空の輸液パックを連結し、少なくとも一つ以上の追加の3ウェイバルブの第1の流入流路及び流出流路を前記第2~第4のチューブのいずれか一つのチューブに連結し、前記追加の3ウェイバルブのいずれか一つの追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に輸液パックを連結する第1-1のステップを含み、前記第3~第5のステップは、前記追加の3ウェイバルブの第2の流入流路に連結された輸液パックの輸液を、設定された量だけ前記空の輸液パックに取り入れ、その後、前記輸液パックの流出流路は閉鎖するとともに前記薬剤容器に対する流出流路を開放して前記薬剤容器内の薬液を設定された量だけ前記空の輸液パックの中に取り入れることも可能である。
【0028】
そして、前記第5のステップの以後に、前記シリンダーカートリッジに対して、前記薬剤容器及び第4のチューブを取り除き、前記3ウェイバルブの第2の流入流路を閉鎖するか、若しくは、前記薬剤容器と第4のチューブ及び第2のチューブを取り除き、前記第3のチューブを流入管に連結する仕上げステップが追加されてもよい。
【0029】
なお、本発明による注射剤調剤キットは、粉末薬剤の溶解にも使うことができ、この場合、注射剤調剤キットは、前記シリンダーカートリッジの流出管に連結された第1のチューブと、前記第1のチューブに連結された粉末薬剤容器と、前記シリンダーカートリッジの流入管に連結された第2のチューブと、前記第2のチューブに連結された希釈液パックと、を含む。
【0030】
また、本発明は、前記のような粉末薬剤用注射剤調剤キットを用意する第1のステップと、前記注射剤調剤キットのシリンダーカートリッジを、前記シリンダーカートリッジの内部に具備された一対のピストンを独立に駆動するシリンダーポンプに対して装着する第2のステップと、前記希釈液パック中の希釈液を前記粉末薬剤容器の中に取り入れる量を前記シリンダーポンプに対して入力する第3のステップと、前記シリンダーポンプを駆動して前記希釈液パック中の希釈液を設定された量だけ前記粉末薬剤容器の中に取り入れる第4のステップと、を含む注射剤調剤方法を提供する。
【発明の効果】
【0031】
以上のような構成を有する本発明の注射剤調剤キットを利用すると、シリンダーポンプが吸入と排出の二つの動作を一緒に遂行することによって、従来の注射器の作業を自動で遂行することができるようになり、その分だけ作業人力の介入が減ることで、毒性のある薬液取り扱い時の危険が大きく減少し、正確な計量が自動で行われることにより、調剤時の間違いの恐れも除去される。
【0032】
また、前述した従来の技術によれば、注射剤を調剤する過程で外部環境に露出する瞬間があり、汚染や感染の恐れがあるが、本発明は、注射剤調剤キットが閉鎖系を維持する中にすべての調剤過程が行われるので、従来のように注射針を刺したり抜いたりする作業がなくなるので、その分だけ輸液パックが汚染される危険が低減するという利点も持つ。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】出願人による先行特許であるシリンダーポンプの全体的な構成を示した図である。
図2図1のシリンダーポンプに装着されるシリンダーカートリッジに対する分解斜視図である。
図3図1のシリンダーポンプにシリンダーカートリッジを装着した状態を示した図である。
図4図1のシリンダーポンプに具備されるシリンダー駆動部に対する図である。
図5図4のシリンダー駆動部に対する分解斜視図である。
図6】シリンダーカートリッジで行われる吸入及び排出の過程を示した図である。
図7】本発明による注射剤調剤キットの一実施形態を示した図である。
図8図7の注射剤調剤キットにおいて、3ウェイバルブの流路を変更した状態を示した図である。
図9】本発明による注射剤調剤キットの他の実施形態を示した図である。
図10】本発明による注射剤調剤キットのまた他の実施形態を示した図である。
図11図7の注射剤調剤キットをシリンダーポンプに結合した注射剤調剤システムの一実施形態を示した図である。
図12】注射剤調剤済み後、輸液パックに対して仕上げ作業を行った状態を示した図である。
図13】注射剤調剤済み後、輸液パックに対して仕上げ作業を行った他の状態を示した図である。
図14】本発明による注射剤調剤キットの変形された実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、多様な変形を加えることができ、種々の実施例を有することができるので、特定の実施例を例示して詳細な説明に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変形、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0035】
本発明で使った用語は、ただ特定の実施例を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に他の意味ではない 限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「備える」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定するためのものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたなどの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0036】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。この時、添付された図面において、同一の構成要素はできるだけ同じ符号が付してある事に留意してほしい。また、本発明の要旨とはならない公知の機能及び構成に対する詳細な説明は省略する。同様な理由で添付図面において一部の構成要素は誇張または省略されるか、概略的に図示された。
【0037】
本発明は、注射剤調剤キット10及びこれを含む注射剤調剤システム1000に関するものであって、特に注射剤調剤キット10が閉鎖系で構成されることで外部環境からの汚染を最小化することができ、オペレーターの作業量と間違いを減らすことで安全でかつ正確に注射剤を調剤して、調剤済みの注射剤調剤キット10をそのまま直ちに患者に投薬することができるということに特徴がある。ここで、このような本発明の注射剤調剤キット10を説明するためには、出願人の先特許出願であるシリンダーポンプ500について説明する必要がある。ただし、シリンダーポンプ500の構成は、本発明の理解に必要な範囲内で簡略に説明する。
【0038】
図1は、先特許出願であるシリンダーポンプ500の全体的な外観を示した図であって、前面のカバー510を開放した状態である。前面のカバー510を開放すれば、図2に示されたシリンダーカートリッジ100を結合することができ、図3bは、シリンダーポンプ500内にシリンダーカートリッジ100が結合された状態を示している。ちなみに、シリンダーカートリッジ100は、オートロック機能によって固定されて駆動軸522と結合されたシリンダーカートリッジ100が動作中に動かないように固定される。以下、シリンダーカートリッジ100及びその駆動部520、並びに作動原理について説明する。
【0039】
図2を参照すれば、シリンダーカートリッジ100は、上部筐体110と下部筐体120とが密封結合されて一つの筐体を成す構造であり、その中には、上部回転体114及び下部回転体122がそれぞれ独立に回転するように同軸上に整列されている。上部回転体114および下部回転体122は、それぞれ円錐台の形態を成しており、各円錐台の頂点部分(母線を延長した頂点)が向かい合うように配置されているため、筐体との間に一つの凹んだ空間を形成する。この環状の空間がシリンダー空間130として用いられる。
【0040】
上部及び下部回転体114、122の斜面には、それぞれ上部及び下部締結部材118、126が一体に形成されており、上部締結部材118には、第1のピストン140が、下部締結部材126には第2のピストン142が、それぞれ結合される。第1のピストン140および第2のピストン142は、通常の注射器のプランジャーの端部に結合されるゴムパッキングのように、弾力があり周辺の表面に密着するように変形可能な材質で作られる。すなわち、第1のピストン140及び第2のピストン142は、筐体の内周面に密着し、第1のピストン140または第2のピストン142の回動運動によって、環状のシリンダー空間130には部分的に負圧と正圧が形成されることができる。ちなみに、図2に符号が表示されない環状部材は、密封のためのシーリング部材である。
【0041】
そして、下部筐体120には、流入管150および流出管152が具備されており、流入管150および流出管152にはそれぞれ輸液チューブが嵌められるようになる。また、上部筐体110の中央には、駆動軸挿入孔112が形成されており、この駆動軸挿入孔112と同軸上に上部回転体114には第1の駆動軸締結孔116が形成されていて、下部回転体122には第2の駆動軸締結孔124が形成されている。ここで、第1の駆動軸締結孔116は、第2の駆動軸締結孔124よりも大きい。言い換えれば、第1の駆動軸締結孔116を介して第2の駆動軸締結孔124に近付くのが可能である。そして、第1の駆動軸締結孔116及び第2の駆動軸締結孔124は、方向性を有する形態を成している。図示の実施形態では、第1の駆動軸締結孔116は、幅が異なる十字形を成しており、第2の駆動軸締結孔124は、T字形を成している。
【0042】
図3aをみると、カートリッジ装着溝512の中央部分に駆動軸522が存在するが、シリンダーポンプ500の本体内に配置されたシリンダー駆動部520は、図4及び図5に示されている。シリンダー駆動部520には、2つの駆動モーターが具備され、各駆動モーターによって個別的に作動する第1の駆動軸538及び第2の駆動軸548は、回転軸が一致しつつ第1の駆動軸538内に第2の駆動軸548が入っている二重軸の構造であって、外観上一つの駆動軸522を成している。
【0043】
図5は、シリンダー駆動部520の分解斜視図である。第1及び第2の駆動部530、540は、それぞれウォームギアの構造で構成されている。第1の駆動部530は、第1の駆動モーター532と、該第1の駆動モーター532の軸に結合された第1のウォーム534と、該第1のウォーム534に噛合する第1のウォームギア536と、を含み、第1の駆動軸538は、第1のウォームギア536の歯車に垂直な方向に延びる。第2の駆動部540も、第2の駆動モーター542、第2のウォーム544、第2のウォームギア546、および第2の駆動軸548が、同様な構造を成している。
【0044】
特に、図5のシリンダー駆動部520は、第1の駆動軸538の中に第2の駆動軸548が入っている二重軸の構造を成している。すなわち、第1の駆動軸538は、中空軸を成し、その中に第2の駆動軸548が入り込んでさらに突出している構造である。このような二重軸の構造を成しても、第1及び第2の駆動部530、540は、ウォームギア構造であるから、第1の駆動軸538又は第2の駆動軸548のいずれか一方が回転しても他の駆動軸を回転させることはできない。よって、第1の駆動軸538及び第2の駆動軸548は、独立に作動する。
【0045】
また、図2図4及び図5を一緒にみると、第1の駆動軸538の外面は、シリンダーカートリッジ100の上部回転体114に形成された第1の駆動軸締結孔116の形態に対応し、第2の駆動軸548の端部は、下部回転体122に形成された第2の駆動軸締結孔124の形態に対応する。また、第1の駆動軸締結孔116は、第2の駆動軸締結孔124よりも大きく、第2の駆動軸548は、第1の駆動軸538よりも突出している。よって、カートリッジ装着溝512にシリンダーカートリッジ100を装着すると、シリンダーカートリッジ100の駆動軸挿入孔112を介して、第2の駆動軸548は、第1の駆動軸締結孔116を通過してもっと内側に位置する下部回転体122の第2の駆動軸締結孔124に結束し、第1の駆動軸538は、第1の駆動軸締結孔116に結束する。第1の駆動軸538及び第2の駆動軸548は、独立に作動するので、第1の駆動部530によって上部回転体114に結合された第1のピストン140が独立に回転し、かつ、下部回転体122に結合された第2のピストン142も第2の駆動部540によって独立に回転することができる。
【0046】
このような構造を有する図1図5のシリンダーポンプ500の作動する原理は、図6に示されている。
【0047】
先行特許出願によるシリンダーポンプ500は、駆動部520の作動によってシリンダーカートリッジ100の第1のピストン140及び第2のピストン142の回転動作を制御することで、注射剤(血液や薬液など)がシリンダーカートリッジ100を経て外部へ流出、すなわち患者に注入されるようになる。このような注射剤の吸入と排出は、注入行程(Infusion Cycle)と交代行程(Alternation Cycle)とからなる。
【0048】
例えば、シリンダーポンプ500最初駆動時には、シリンダーポンプ500の制御部が注入行程の制御のために図6aのように、第2のピストン142は流入管150と流出管152との間の地点に固定し、流入管150側に位置していた第1のピストン140は、反時計周り方向に回転して第1のピストン140と第2のピストン142との間のシリンダー空間130に負圧を形成させる。このような負圧によって流入管150を介してシリンダーカートリッジ100の内部へ注射剤が流入する。
【0049】
そして、第1のピストン140が図6b、図6cのように、続いて反時計周り方向に回転することによって、流入管150を介して注射剤がシリンダーの内部に流入し、またシリンダー内の注射剤は、流出管152を介してシリンダーカートリッジ100の外部へ流出される注射剤の移動(流入及び流出)が持続される。
【0050】
その後、第1のピストン140が回転して図6dのように、流出管152に位置すれば、シリンダー内の注射剤は外へ流出されないが、この時点で、制御部は、第1のピストン140及び第2のピストン142を同時に駆動して、図6eのように、第1のピストン140は、既存に第2のピストン142が位置していた流入管150と流出管152との間に位置させ、第2のピストン142は、反時計周り方向に回転する制御を行う。すなわち、第1のピストン140及び第2のピストン142がその役割(固定と回転)を変更する交代行程の制御が行われる。
【0051】
このような交代行程の制御が進められた後は、第1のピストン140が固定された状態で第2のピストン142が図6f及び図6gのように、反時計周り方向に回転する注入行程の制御が再び進められる。勿論、図6hのように第2のピストン142が流出管152まで回転するようになれば、もう一度交代行程の制御が進められて第1のピストン140及び第2のピストン142の役割が交代される。
【0052】
このような、第1及び第2のピストン140、142が遂行する注入行程による注射剤の流入と流出は、回転するピストンの回転角度に相応するシリンダーの体積に対応する。したがって、第1の駆動モーター532及び第2の駆動モーター542の回転速度と回転角度を制御することで、シリンダーポンプ500が排出する注射剤の注入速度と注入量を正確に維持することができる(例えば、第1の駆動モーター532および第2の駆動モーター542をエンコーダモーターで構成することができる)。つまり、前述したシリンダーポンプ500は、シリンダーカートリッジ100を通過する注射剤の流量と流速を設定値どおり正確に制御することができるものであり、すなわち、これは、先行特許出願のシリンダーポンプ500は、注射剤を設定された注入速度と注入量で患者に正確に注入するボウラス(Bolus)機能を具備するということを意味する。
【0053】
このようなシリンダーポンプ500は、ボウラス機能を正確に行うことができることは勿論のことであり、このほかにも幾つかの長所を有する。その中の一つは、シリンダーポンプ500とは独立にシリンダーカートリッジ100が閉鎖系を構成するということである。すなわち、シリンダーカートリッジ100を中心に輸液チューブおよび注射剤パックなどを流入管150および流出管152に連結しておけば、如何なるシリンダーポンプ500にも装着して使用可能であるいうことである。これは清潔な環境でシリンダーカートリッジ100と輸液セット、抗癌剤などの各種薬剤をキットの形態で結んだ注射剤に調剤しておくと、いつでも使用できるから、汚染や感染などの問題が基本的に改善される。
【0054】
もう一つは、シリンダーポンプ500の作動がシリンダーカートリッジ100に具備された第1・第2のピストン140、142の回転動作によって行われるということである。よって、従来のシリンジポンプのように一人の患者に数日以上の長期間使用するときにも注射器を交替する必要がなく、また輸液ポンプのように輸液チューブの変形に伴う注入量の変動を避けるために周期的に輸液チューブが押される位置を調整する必要がないから非常に長い間絶え間なく連続的に使用し得るということも大きい長所である。
【0055】
本発明による注射剤調剤キット10及びこれを含む注射剤調剤システム1000は、出願人が開発したシリンダーポンプ500が能動的に注射剤を吸入及び排出する動作によって、高精度のボウラス制御が可能であるいう点と、シリンダーカートリッジ100が独立した閉鎖系を構成するという特有の構成から導出されたものである。図7は、本発明による注射剤調剤キット10の一実施形態を示している。
【0056】
図7を参照すれば、本発明による注射剤調剤キット10は、シリンダーカートリッジ100を中心に幾つかのチューブと3ウェイバルブ200とが連結され、これに輸液パック400と輸液パック400の輸液に混合する薬剤容器410とが結合された構成を成している。このような注射剤調剤キット10を用いて、輸液パック400(あるいは営養剤パックなども可能であり、ただ代表的に輸液パックと指称することである)の中に処方された用量分だけの薬液を正確に混合して注射剤を調剤するようになる。そして、注射剤調剤キット10に含まれた多くのチューブは、輸液と薬液の流れを確認することができる透明材質のチューブ、一般的には輸液チューブを使うことができる。
【0057】
注射剤調剤キット10は、内部に具備された一対のピストン140、142が相対的に固定及び回転する動作によって発生するシリンダー体積の変化を通じて、外部の流体を流入及び吐出するシリンダーカートリッジ100が含まれる。シリンダーカートリッジ100の構成については、前述したものと同様である。
【0058】
また、シリンダーカートリッジ100の流出管152には、第1のチューブ310が連結され、3ウェイバルブ200の流出流路206は、第2のチューブ320を介してシリンダーカートリッジ100の流入管150に連結される。3ウェイバルブ200は、2つの流入流路のいずれか一つの流入流路のみを流出流路206に連結することで二つの流路の流れを選択的に開放または断続する役割をする。3ウェイバルブ200の第1の流入流路202には第3のチューブ330が連結され、第2の流入流路204には第4のチューブ340が連結される。
【0059】
このような注射剤調剤キット10の構成によれば、シリンダーカートリッジ100の流出管152には、第1のチューブ310を介して一方向に流れるが、シリンダーカートリッジ100の流入管150には、3ウェイバルブ200の動作によって第3のチューブ330又は第4のチューブ340のいずれか一つの流れだけが選択的に流入される。すなわち、シリンダーカートリッジ100の流入管150には、二種の液体が選択的に流れるようになり、このように選択されたいずれか一つの流れが流出管152を介して排出される。
【0060】
本発明の注射剤調剤キット10は、輸液パック400中の輸液に、処方された用量分だけの抗癌剤などの薬液を正確に混合して注射剤を調剤するために、第1のチューブ310及び第3のチューブ330には輸液パック400を連結し、第4のチューブ340には薬剤容器410を連結する。これによって、シリンダーカートリッジ100の流入管150には輸液パック400の輸液または薬剤容器410の薬液が選択的に流れるようになる。そして、後述するように、輸液の流れは、輸液パック400に対して流出と流入が一緒に行われるが、薬液の流れは、薬剤容器410では排出だけが行われるから薬液を円滑に排出するためには薬剤容器410内の負圧を解消する必要がある。このために、第4のチューブ340および薬剤容器410は空気流入機能付きのアダプダ300で連結することが好ましい。また、アダプダ300は、薬剤容器410に対するホルダーとしての機能を取り揃えることで、知らないうちに薬剤容器410が外されてしまう危険要素を遮断することができるものがより好ましい。
【0061】
さらに、図9のように、二つ以上の薬液を順に混合するための追加流路を構成してもよい。追加流路は、3ウェイバルブ200を含み、追加の薬剤容器420の数だけ追加流路の構成を拡張し得る。追加の3ウェイバルブ210の第1の流入流路及び流出流路は、第2~第4のチューブ320、330、340のいずれか一つのチューブに連結して、追加の3ウェイバルブ210の第2の流入流路に追加の薬剤容器420を連結する。これによって、各々の薬剤容器410はシリンダーカートリッジ100の流入管150に対して並列に配置される。
【0062】
また、基本的な構造が図9と同一な他の実施形態として、図10の注射剤調剤キット10で構成することも可能である。図10の実施形態は、空の輸液パック402を用意し、この空の輸液パック402に輸液と抗癌剤などの薬剤を順に取り入れて注射剤を完成することにその特徴がある。すなわち、前述した実施形態は、輸液が入っている輸液パック400に定量の薬剤を取り入れて混合するものであることに対し、図10の実施形態は、薬剤はもちろん輸液までもシリンダーポンプ500を介して定量で排出して注射剤を調剤するということに差がある。
【0063】
具体的には、追加の3ウェイバルブ210の第2の流入流路に対して輸液パック400が連結され、第1のチューブ310及び第3のチューブ330には空の輸液パック402が連結され、第4のチューブ340には薬剤容器410が連結される。注射剤調剤時には、追加の3ウェイバルブ210の流出流路を開放して輸液パック400の輸液を処方せんの定量だけ空の輸液パック402に取り入れ、その後、3ウェイバルブ200に連結された薬剤容器410の薬液を同様に処方せんの定量どおり空の輸液パック402(定量の輸液が取り入れられている状態であるが、輸液パックと区別するために、続いて同じ用語を使用する)に取り入れて注射剤を完成するようになる。
【0064】
このような図10の実施形態は、注射剤調剤の際に、輸液パック400から処方量以上の過量の輸液をあらかじめ排出して廃棄(シリンダーポンプを用いて正確な量だけ排出できる)しなくても、処方せんどおり注射剤を調剤することができるということにメリットがある。また、図10の実施形態も追加の3ウェイバルブ210と追加の薬剤容器420の構成をさらに含むことで、図9のように複数の薬液を混合することも可能であることは言うまでもない。
【0065】
図11は、注射剤調剤キット10をシリンダーポンプ500に装着して構成する注射剤調剤システム1000を示している。注射剤調剤キット10は、輸液パック400および薬剤容器410を、シリンダーカートリッジ100を中心にして閉鎖系で構成して一つのキットとして完成したもので、注射剤調剤システム1000は、シリンダーポンプ500のボウラス機能を用いて処方せんに合わせて正確に注射剤を調剤することができるシステムであると言える。
【0066】
注射剤調剤キット10は、それ自体が一つのキットとして完成されたものであり、ただ注射剤調剤キット10のシリンダーカートリッジ100をシリンダーポンプ500のカートリッジ装着溝512に設置すれば注射剤調剤のすべての準備が終わる。シリンダーポンプ500のシリンダー駆動部520がシリンダーカートリッジ100を動作させる構成については、前述したものと同様である。
【0067】
シリンダーポンプ500は、シリンダー駆動部520を制御する制御部を含み、制御部は、シリンダーカートリッジ100を介して流入及び流出される液体の量と速度をあらかじめ設定された値に正確に制御することができる。追加の薬剤容器420なしに、一つの薬液を輸液パック400に混合する過程が最も単純でありながらも基本となるもので、追加される薬液に対してはこのような過程を繰り返すだけでよい。
【0068】
図7を参照すれば、3ウェイバルブ200は、第4のチューブ340に連結された第2の流入流路204及び第2のチューブ320に連結された流出流路206が開放された状態にある。したがって、シリンダーカートリッジ100の流入管150には薬剤容器410の薬液が流れることができ、第3のチューブ330を介した輸液の流れは遮断されている。かかる状態で、シリンダーポンプ500の制御部は、第4のチューブ340に連結された薬剤容器410中の薬液をあらかじめ設定された量だけ吸いこんで第1のチューブ310に連結された輸液パック400の中に流出するようにシリンダー駆動部520を制御する。
【0069】
すなわち、従来は専門薬剤師が薬剤容器(アンプルなど)の中の薬液を注射器で抽出して輸液パック400中に注入することで注射剤を調剤したが、本発明は、シリンダーポンプ500が吸入と排出の二つの動作を一緒に遂行することによって、まるで従来の注射器の作業を自動で遂行するようになるわけであり、その分だけ作業人力の介入が減ることにより毒性がある薬液の取り扱い時の危険が大きく減少し、抗癌剤など薬剤の処方および調剤に対する正確な計量が自動で行われることで、調剤時の間違いの恐れも除去される。
【0070】
また、本発明は注射剤調剤キット10が閉鎖系を維持する中に、すべての調剤過程が行われるので、従来のように注射針を刺したり抜いたりする作業がなくなる分だけ、輸液パック400が汚染される危険が減少する利点もある。ここで、注射剤調剤キット10の閉鎖性を確かにするために、各種チューブの連結部品には取り外し時に自動でロック状態に切り換えられるニードルレスバルブを適用することが推薦される。
【0071】
以上のように、本発明による注射剤調剤キット10及びシリンダーポンプ500、そして空気流入機能付きアダプダ300などを用いて処方せんに合わせて注射剤を調剤する過程をまとめて説明すると次のようである。ここで、注射剤調剤の過程を説明するために参照される図面には、シリンダーポンプ500が省略されているが、これは説明の便宜上省略したものであるから、シリンダーカートリッジ100の作動にシリンダーポンプ500は当然使われるものと理解すべきである。しかも、注射剤調剤の過程は無菌施設内で進められる。
【0072】
まず、図7に示されているような注射剤調剤キット10を用意し、第1のチューブ310及び第3のチューブ330には輸液パック400を連結し、第4のチューブ340には薬剤容器410を連結する。勿論、使われる輸液と薬液は、医者の処方せんに従うものである。そして、滅菌処理されて包装された注射剤調剤キット10のシリンダーカートリッジ100を、シリンダーポンプ500のカートリッジ装着溝512に結合する。これにより、シリンダーカートリッジ100の内部に具備された一対のピストン140、142は、シリンダーポンプ500のシリンダー駆動部520によって独立に駆動可能になる。
【0073】
注射剤調剤キット10の装着が終わると、調剤者(専門薬剤師)は処方せんに指示された調剤薬液の用量を確認した後、輸液パック400の中に取り入れるべき薬剤の量をシリンダーポンプ500の制御部に対して入力する。この場合、3ウェイバルブ200を操作して第4のチューブ340に連結された第2の流入流路204および第2のチューブ320に連結された流出流路206を開放しなければならない。
【0074】
このような準備がすべて完了すると、シリンダーポンプ500を駆動して薬剤容器410内の薬液を設定された量だけ輸液パック400の中に取り入れ、設定された量だけ薬液が流れればシリンダーポンプ500はその作動を停止する。
【0075】
以上のような過程が注射剤を調剤する基本になる。追加的に、薬液の定量が全部輸液パックに取り入れられず第1のチューブ310および第2のチューブ320の中に残っていることがあり得る。このような残存薬液を全部輸液パック400中に注入するために、輸液パック400中の輸液を循環させる過程が伴う。すなわち、3ウェイバルブ200を操作して輸液の循環流路を形成するために、第3のチューブ330に連結された第1の流入流路202および第2のチューブ320に連結された流出流路206を開放し、その後、シリンダーポンプ500を作動させて輸液パック400中の輸液を、シリンダーカートリッジ100を介して循環させると、チューブ内に残っていた薬液はいずれも輸液パック400の中に導入される。
【0076】
前述の説明は、薬剤容器410の薬液を先に吸入、排出する方式であるが、これに先立って第1~第3のチューブ310、320、330内の空気を除去するプライミングステップをさらに含むこともできる。プライミングステップは、前述した輸液パック400中の輸液を循環させる過程と類似しており、これについては図8に示されている。3ウェイバルブ200は、第3のチューブ330に連結された第1の流入流路202および第2のチューブ320に連結された流出流路206が開放された状態であり、輸液パック400中の輸液を、シリンダーカートリッジ100を介して循環させることで第1~第3のチューブ330中の空気を除去するものである。
【0077】
また、上記では一つの薬液を混合することを基本として説明したが、二つ以上の薬液を一つの輸液パック400に混合することも勿論可能である。
【0078】
例えば、薬液抽出済みの薬剤容器410を他の追加の薬剤容器420に取り替え、その以降、追加の薬剤容器420に対する処方用量を入力してその設定された量だけ追加の薬剤容器420中の薬液を輸液パック400中に取り入れることができる。このような過程は処方された薬液の種類数だけ繰り返すことができる。
【0079】
しかしながら、一つのアンプルアダプダ300に対して複数個の薬剤容器410を繰り返して結合、分離する過程は、汚染の側面から望ましくない。よって、図9のように本発明の注射剤調剤キット10を構成することで、2つの薬剤容器410、420に対して取り替え過程なしに順次に抽出過程を行うことができる。
【0080】
すなわち、少なくとも一つ以上の追加の3ウェイバルブ210の第1の流入流路及び流出流路を第2~第4のチューブ320、330、340のいずれか一つのチューブ(図9では第2のチューブと示されている)に連結し、追加の3ウェイバルブ210の第2の流入流路に追加の薬剤容器420を連結することで、一つの完成された注射剤調剤キット10を用意する。その後、薬剤容器410に対する抽出過程が終わると、薬剤容器410に対する流出流路206は閉鎖するとともに追加の薬剤容器420に対する流出流路を開放して、シリンダーポンプ500を駆動して追加の薬剤容器420中の薬液を設定された量だけ輸液パック400中に取り入れれば一連の注射剤調剤過程が完成される。
【0081】
また、図10の実施形態で説明したように、空の輸液パック402を用いて注射剤を調剤することもできる。すなわち、第1のチューブ310及び第3のチューブ330には空の輸液パック402を連結して、少なくとも一つ以上の追加の3ウェイバルブ210の第1の流入流路及び流出流路を第2~第4のチューブ320、330、340のいずれか一つのチューブに連結し、追加の3ウェイバルブ210のいずれか一つの追加の3ウェイバルブ210の第2の流入流路に輸液パック400を連結する構造で注射剤調剤キット10を構成する。薬剤容器410は、第4のチューブ340を介して3ウェイバルブ200の第2の流入流路204に連結される。ここで、追加の3ウェイバルブ210が複数個具備されることができるのは、追加の薬剤容器420も一緒に具備されることができるからである。
【0082】
このように用意した注射剤調剤キット10に対して、追加の3ウェイバルブ210の第2の流入流路に連結された輸液パック400の輸液を設定された量だけ空の輸液パック402に取り入れ、その後、輸液パック400の流出流路は閉鎖するとともに薬剤容器410に対する3ウェイバルブ200の流出流路206を開放して、薬剤容器410中の薬液を設定された量だけ空の輸液パック402の中に取り入れて注射剤を完成することができる。
【0083】
なお、シリンダーポンプ500を用いた注射剤調剤が終わると、図12及び図13に示したような仕上げステップを経ることができる。図12は、仕上げステップであって、シリンダーカートリッジ100に対して薬剤容器410および第4のチューブ340を取り除き、第4のチューブ340に連結されていた3ウェイバルブ200の第2の流入流路204を閉鎖するものである。あるいは、図13の仕上げステップであって、シリンダーカートリッジ100に対して薬剤容器410と第4のチューブ340及び第2のチューブ320を取り除き、第3のチューブ330を流入管150に連結することもできる。
【0084】
輸液パック400を患者に使う直前まで汚染されないように各種チューブの末端は滅菌、密封されていなければならない。このため、無菌環境で調剤された輸液パック400は、仕上げステップを経ることでシリンダーカートリッジ100を中心に引き続いて閉鎖系状態を維持するので、汚染及びそれによる感染の問題が解消される。こうして完成された輸液パック400は、患者に注射される直前に、シリンダーカートリッジ100をシリンダーポンプ500に装着しながら流出管152に接続したチューブを患者のカテーテルに連結して、シリンダーポンプ500の制御部に処方せんの用量を入力した後、シリンダーポンプ500を駆動して注入し始めれば良い。
【0085】
一方、図14は、本発明による注射剤調剤キット10の変形された実施形態を示している。この実施形態は、抗癌剤などの薬剤が粉末(パウダー)の形態で提供される場合を想定したものである。粉末薬剤は輸液などで溶かして希釈しなければ静脈注射ができなく、粉末薬剤の希釈割合も処方せんに書き込まれる。かかる場合にも、本発明はシリンダーポンプ500を用いて正確な量だけの希釈液を混合することができ、このための注射剤調剤キット10が図14に示されている。
【0086】
シリンダーポンプ500は、液体(薬液)を対象にしたものであって、粉末薬剤を吸入、排出することはできないから、粉末薬剤に適用し得る注射剤調剤キット10は、シリンダーカートリッジ100の流出管152に連結された第1のチューブ310に粉末薬剤容器430を装着し、シリンダーカートリッジ100の流入管150に連結された第2のチューブ320に希釈液パック404を連結する。このような粉末薬剤用注射剤調剤キット10は、シリンダーポンプ500を駆動して希釈液パック404中の希釈液を設定された量だけ吸い込んで粉末薬剤容器430の中に取り入れるようになる。希釈液が入った粉末薬剤容器430は、適宜振って十分に溶解させてから使用することができる。
【0087】
ここで、希釈液パック404は、希釈液を入れた容器の意味で使われたものであって、輸液パック400の輸液を使うことができることは当たり前であるが、粉末薬剤の性状によって、希釈液を異ならせることもできるので、別の用語を使用したことに留意する必要がある。
【0088】
また、溶解された粉末薬剤は、前述した通常の薬液と同様に取り扱うことができるので、溶解過程が終わった粉末薬剤容器430は、図7乃至図13で説明した薬剤容器410または追加の薬剤容器420と同様な方式で適用されて、輸液パック400または空の輸液パック402に対して混合して注射剤を調剤するのに利用することができることも留意してもほしい。
【0089】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者であれば、本発明の本質的な特性から離脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施例は本発明の技術思想を限定するものではなく、説明のためのものであり、これらの実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0090】
10 注射剤調剤キット
100 シリンダーカートリッジ
110 上部筐体
112 駆動軸挿入孔
114 上部回転体
116 第1の駆動軸締結孔
118 上部締結部材
120 下部筐体
122 下部回転体
124 第2の駆動軸締結孔
126 下部締結部材
130 シリンダー空間
140 第1のピストン
142 第2のピストン
150 流入管
152 流出管
200 3ウェイバルブ
202 第1の流入流路
204 第2の流入流路
206 流出流路
210 追加の3ウェイバルブ
300 薬剤容器アダプダ
310 第1のチューブ
320 第2のチューブ
330 第3のチューブ
340 第4のチューブ
400 輸液パック
402 空の輸液パック
404 希釈液パック
410 薬剤容器
420 追加の薬剤容器
430 粉末薬剤容器
500 シリンダーポンプ
510 カバー
512 カートリッジ装着溝
520 シリンダー駆動部
522 駆動軸
530 第1の駆動部
532 第1の駆動モーター
534 第1のウォーム
536 第1のウォームギア
538 第1の駆動軸
540 第2の駆動部
542 第2の駆動モーター
544 第2のウォーム
546 第2のウォームギア
548 第2の駆動軸
1000 注射剤調剤システム
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14