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特許7619329情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20250115BHJP
   G01P 15/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G01P15/00 D
G01P15/00 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022085464
(22)【出願日】2022-05-25
(65)【公開番号】P2023173304
(43)【公開日】2023-12-07
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永冶 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】木村 陽介
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-164131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G01P 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の加速度、及び前記加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得する取得部と、
前記車両情報を用いて前記加速度を検出した間隔当たりの前記加速度の変化量を導出する導出部と、
前記検出時間を用いて、前記加速度を検出した間隔に応じた前記変化量の閾値を設定する設定部と、
前記変化量が、前記閾値以上である場合、対象データとして、前記変化量に対応する前記車両情報を抽出する抽出部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記設定部は、
前記間隔が短くなるほど、前記閾値を大きく設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、
予め定められた値に、前記間隔を除算して導出した前記閾値を設定する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定部は、
前記間隔の下限値を設定し、前記間隔が前記下限値以上である場合、前記閾値を設定する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定部は、
過去に取得した車両情報を学習データとして前記変化量の閾値を判定する機械学習を行った学習済みモデルを用いて、前記閾値を設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定部は、
過去に取得した車両情報を収集した統計情報に応じて、前記変化量の閾値を設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
車両の加速度、及び前記加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得し、
前記車両情報を用いて前記加速度を検出した間隔当たりの前記加速度の変化量を導出し、
前記検出時間を用いて、前記加速度を検出した間隔に応じた前記変化量の閾値を設定し、
前記変化量が、前記閾値以上である場合、対象データとして、前記変化量に対応する前記車両情報を抽出する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項8】
車両の加速度、及び前記加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得し、
前記車両情報を用いて前記加速度を検出した間隔当たりの前記加速度の変化量を導出し、
前記検出時間を用いて、前記加速度を検出した間隔に応じた前記変化量の閾値を設定し、
前記変化量が、前記閾値以上である場合、対象データとして、前記変化量に対応する前記車両情報を抽出する、
処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突を判定するニューラルネットワークに入力するデータ量を低減し、かつ衝突を示すデータの取りこぼしを抑制する情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両情報を管理サーバに送信する車載装置が事故を予見した場合、信号を管理サーバに送信し、管理サーバが信号を受信した後、所定期間内に車載装置から事故判定情報が受信できない場合、車両情報を用いて事故があったか否かを判定する事故判定システムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-010279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両情報は、車両に搭載されている複数の車載機器から検出したデータを含みデータ量が膨大となることがある。そのため、検出した車両情報に対して衝突の有無を判定する処理を実行すると、計算量が膨大となり計算コストが大きくなることがある。また、計算コストを抑制するために車両情報の取捨選択を行うと、衝突を示す車両情報を取りこぼす虞がある。
【0005】
本発明は、検出した車両情報に対して衝突の有無を判定する処理を実行する場合において、車両情報のデータ量を低減し、かつ衝突を示す車両情報の取りこぼしを抑制することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の情報処理装置は、車両の加速度、及び前記加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得する取得部と、前記車両情報を用いて前記加速度を検出した間隔当たりの前記加速度の変化量を導出する導出部と、前記検出時間を用いて、前記加速度を検出した間隔に応じた前記変化量の閾値を設定する設定部と、前記変化量が、前記閾値以上である場合、対象データとして、前記変化量に対応する前記車両情報を抽出する抽出部と、備えている。
【0007】
請求項1に記載の情報処理装置は、車両の加速度、及び加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得し、当該車両情報を用いて、単位時間当たりの加速度の変化量を導出し、検出時間を用いて、加速度を検出した間隔に応じた変化量の閾値を設定し、当該変化量が、閾値以上である場合、対象データとして、当該変化量に対応する車両情報を抽出する。つまり、当該情報処理装置によれば、加速度の検出時間の間隔に応じた閾値が設定され、単位時間当たりの加速度の変化量が閾値以上である場合、対象データとして、当該変化量に対応する車両情報を抽出する。これにより、検出した車両情報に対して衝突の有無を判定する処理を実行する場合において、車両情報のデータ量を低減し、かつ衝突を示す車両情報の取りこぼしを抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の情報処理装置は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記設定部は、前記間隔が短くなるほど、前記閾値を大きく設定する。
【0009】
請求項2に記載の情報処理装置によれば、導出した加速度の変化量を過小評価することなく、車両情報を抽出できる。
【0010】
請求項3に記載の情報処理装置は、請求項2に記載の情報処理装置において、前記設定部は、予め定められた値に、前記間隔を除算して導出した前記閾値を設定する。
【0011】
請求項3に記載の情報処理装置によれば、加速度を検出した間隔に応じた閾値をより容易に設定できる。
【0012】
請求項4に記載の情報処理装置は、請求項2又は請求項3に記載の情報処理装置において、前記設定部は、前記間隔の下限値を設定し、前記間隔が前記下限値以上である場合、前記閾値を設定する。
【0013】
請求項4に記載の情報処理装置によれば、車両情報をより低減できる。
【0014】
請求項5に記載の情報処理装置は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置において、前記設定部は、過去に取得した車両情報を学習データとして前記変化量の閾値を判定する機械学習を行った学習済みモデルを用いて、前記閾値を設定する。
【0015】
請求項5に記載の情報処理装置によれば、過去に取得したデータを反映して車両情報を抽出できる。
【0016】
請求項6に記載の情報処理装置は、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の情報処理装置において、前記設定部は、過去に取得した車両情報を収集した統計情報に応じて、前記変化量の閾値を設定する。
【0017】
請求項6に記載の情報処理装置によれば、過去に取得したデータを反映して車両情報を抽出できる。
【0018】
請求項7に記載の情報処理方法は、車両の加速度、及び前記加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得し、前記車両情報を用いて前記加速度を検出した間隔当たりの前記加速度の変化量を導出し、前記検出時間を用いて、前記加速度を検出した間隔に応じた前記変化量の閾値を設定し、前記変化量が、前記閾値以上である場合、対象データとして、前記変化量に対応する前記車両情報を抽出する。
【0019】
請求項7に記載の情報処理方法は、車両の加速度、及び加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得し、当該車両情報を用いて、単位時間当たりの加速度の変化量を導出し、検出時間を用いて、加速度を検出した間隔に応じた変化量の閾値を設定し、当該変化量が、閾値以上である場合、対象データとして、当該変化量に対応する車両情報を抽出する。つまり、当該情報処理方法によれば、加速度の検出時間の間隔に応じた閾値が設定され、単位時間当たりの加速度の変化量が閾値以上である場合、対象データとして、当該変化量に対応する車両情報を抽出する。これにより、検出した車両情報に対して衝突の有無を判定する処理を実行する場合において、車両情報のデータ量を低減し、かつ事故を示す車両情報の取りこぼしを抑制することができる。
【0020】
請求項8に記載の情報処理プログラムは、車両の加速度、及び前記加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得し、前記車両情報を用いて前記加速度を検出した間隔当たりの前記加速度の変化量を導出し、前記検出時間を用いて、前記加速度を検出した間隔に応じた前記変化量の閾値を設定し、前記変化量が、前記閾値以上である場合、対象データとして、前記変化量に対応する前記車両情報を抽出する、処理をコンピュータに実行させる。
【0021】
請求項8に記載の情報処理プログラムが実行されるコンピュータは、車両の加速度、及び加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得し、当該車両情報を用いて、単位時間当たりの加速度の変化量を導出し、検出時間を用いて、加速度を検出した間隔に応じた変化量の閾値を設定し、当該変化量が、閾値以上である場合、対象データとして、当該変化量に対応する車両情報を抽出する。つまり、当該コンピュータによれば、加速度の検出時間の間隔に応じた閾値が設定され、単位時間当たりの加速度の変化量が閾値以上である場合、対象データとして、当該変化量に対応する車両情報を抽出する。これにより、検出した車両情報に対して衝突の有無を判定する処理を実行する場合において、車両情報のデータ量を低減し、かつ事故を示す車両情報の取りこぼしを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、検出した車両情報に対して衝突の有無を判定する処理を実行する場合において、車両情報のデータ量を低減し、かつ衝突を示す車両情報の取りこぼしを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】各実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】各実施形態の車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】各実施形態の車載器の機能構成を示すブロック図である。
図4】各実施形態のセンタサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態のセンタサーバの機能構成を示すブロック図である。
図6】各実施形態の閾値の設定の説明に供する検出時間と加速度との関係を示すブロック図である。
図7】第1実施形態のセンタサーバにおいて実行される車両情報を抽出する処理の流れを示すフローチャートである。
図8】第2実施形態のセンタサーバの機能構成を示すブロック図である。
図9】第2実施形態のセンタサーバにおいて実行される車両情報を抽出する処理の流れを示すフローチャートである。
図10】第2実施形態のセンタサーバにおいて実行される学習済みモデルを生成する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
本発明の情報処理装置を含む情報処理システムについて説明する。情報処理システムは、車両に搭載されている車載器から取得した車両の運転に関する情報(以下、「車両情報」という。)を用いて、当該車両の衝突を検出するためのデータを抽出するシステムである。
【0025】
(全体構成)
図1に示されるように、本発明の実施形態の情報処理システム10は、車両12と、情報処理装置としてのセンタサーバ30と、を含んで構成されている。また、車両12には車載器20が搭載されており、車載器20は、ネットワークNを通じて相互にセンタサーバ30に接続されている。
【0026】
なお、図1には、1台のセンタサーバ30に対して、車載器20を含む1台の車両12が図示されているが、車両12、車載器20、及びセンタサーバ30の数はこの限りではない。
【0027】
車載器20は、車両12の運転に関する車両情報を取得して、センタサーバ30に送信する装置である。ここで、本実施形態に係る車両情報は、車両12に搭載されている各々の機器から検出された運転に係るデータである。例えば、本実施形態に係る車両情報は、車両の加速度、及び加速度を検出した時間(以下、「検出時間」という。)を含む時系列データである。また、本実施形態に係る検出時間は、時刻である形態について説明する。しかし、これに限定されない。検出時間は、例えば、エンジンの始動等の基準点から経過した経過時間であってもよい。
【0028】
センタサーバ30は、例えば、車両12を製造する製造元や当該製造元系列のカーディーラーに設置されている。センタサーバ30は、車載器20から車両情報を取得して、取得した車両情報から、車両の衝突を検出するための対象データを抽出する。なお、抽出された対象データは、車両の衝突を検出する外部の装置に送信されてもよいし、対象データとして記憶されてもよい。
【0029】
(車両)
図2に示されるように、本実施形態に係る車両12は、車載器20と、複数のECU(Electronic Control Unit)22と、複数の車載機器24と、を含んで構成されている。
【0030】
車載器20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、車内通信I/F(Interface)20D、及び無線通信I/F20Eを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、車内通信I/F20D、及び無線通信I/F20Eは、内部バス20Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0031】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20Bからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0032】
ROM20Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態のROM20Bには、ECU22から車両12の運転に係る車両情報の収集を行う収集プログラム100が記憶されている。収集プログラム100の実行に伴い、車載器20は、車両情報をセンタサーバ30に送信する処理を実行する。また、ROM20Bには、車両情報のバックアップデータである履歴情報110が記憶されている。RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0033】
車内通信I/F20Dは、各ECU22と接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、CANプロトコルによる通信規格が用いられる。車内通信I/F20Dは、外部バス20Fに対して接続されている。
【0034】
無線通信I/F20Eは、センタサーバ30と通信するための無線通信モジュールである。当該無線通信モジュールは、例えば、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。無線通信I/F20Eは、ネットワークNに対して接続されている。
【0035】
ECU22は、ADAS(Advanced Driver Assistance System)-ECU22Aを少なくとも含む。
【0036】
ADAS-ECU22Aは、先進運転支援システムを統括制御する。ADAS-ECU22Aには、車載機器24を構成する車速センサ24A、ヨーレートセンサ24B、加速度センサ24C、及び外部センサ24Dが接続されている。車速センサ24Aは、車両の速度を検出するセンサであり、ヨーレートセンサ24Bは、車両の旋回における角速度を検出するセンサであり、加速度センサ24Cは、車両の進行方向の加速度を検出するセンサである。外部センサ24Dは、車両12の周辺環境の検出に用いられるセンサ群とされている。この外部センサ24Dには、例えば、車両12の周囲を撮像するカメラ、探査波を送信し反射波を受信するミリ波レーダ、及び車両12の前方をスキャンするライダ(Laser Imaging Detection and Ranging)等が含まれる。
【0037】
図3に示されるように、本実施形態の車載器20では、CPU20Aが、収集プログラム100を実行することで、収集部200、及び出力部210として機能する。
【0038】
収集部200は、車両12の各ECU22から車載機器24が検知した情報を取得し、車両情報を収集する機能を有している。
【0039】
出力部210は、収集部200が収集した車両情報をセンタサーバ30に向けて出力する機能を有している。
【0040】
(センタサーバ)
図4に示されるように、センタサーバ30は、CPU30A、ROM30B、RAM30C、ストレージ30D及び通信I/F30Eを含んで構成されている。CPU30A、ROM30B、RAM30C、ストレージ30D及び通信I/F30Eは、内部バス30Fを介して相互に通信可能に接続されている。CPU30A、ROM30B、RAM30C及び通信I/F30Eの機能は、上述した車載器20のCPU20A、ROM20B、RAM20C及び無線通信I/F20Eと同じである。なお、通信I/F30Eは有線による通信を行ってもよい。
【0041】
メモリとしてのストレージ30Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態のストレージ30Dには、情報処理プログラム120、及び車両情報データベース(以下、「車両情報DB」という。)130が記憶されている。なお、ROM30Bが情報処理プログラム120、及び車両情報DB130を記憶してもよい。
【0042】
プログラムとしての情報処理プログラム120は、センタサーバ30を制御するためのプログラムである。情報処理プログラム120の実行に伴い、センタサーバ30は、車両情報を取得する処理、及び車両情報から対象データを抽出する処理を含む各処理を実行する。
【0043】
車両情報DB130には、車載器20から受信した車両情報、及び抽出した対象データが記憶されている。
【0044】
図5に示されるように、本実施形態のセンタサーバ30では、CPU30Aが、情報処理プログラム120を実行することで、取得部300、導出部310、設定部320A、抽出部330、及び記憶部340Aとして機能する。
【0045】
取得部300は、車両12の車載器20から送信された車両情報を取得する機能を有している。ここで、本実施形態に係る取得部300は、車両情報として、車両の加速度、及び検出時間を含む時系列データを取得する。
【0046】
導出部310は、車両情報を用いて、車両12における単位時間当たりの加速度の変化量(ジャーク)を導出する。具体的には、導出部310は、車両情報に含まれる検出時間を用いて、加速度を検出した間隔(以下、「検出間隔」という。)を導出する。導出部310は、対応する加速度を、導出した検出間隔で除算して、車両12のジャークを導出する。
【0047】
設定部320Aは、導出された検出間隔に応じて、ジャークの閾値を設定する。ここで、本実施形態に係るジャークは、検出間隔に応じて変動する。
【0048】
例えば、一例として図6に示すように、検出地点AC間における検出した加速度の差分がam/sであり、検出地点BC間における検出した加速度の差分がam/sであるとする。また、図6に示すように、AC間における検出間隔が2×dtであり、BC間における検出間隔がdtであるとする。
【0049】
検出した加速度の差分を各々の検出間隔で除算して、それぞれAC間のジャーク、及びBC間のジャークを導出して比較すると、AC間におけるジャークに対するBC間におけるジャークの比が2となる。すなわち、加速度の差分が同一である場合、検出間隔が大きくなるほど、導出されるジャークは小さくなる。そこで、本実施形態では、検出間隔が大きくなるほど、ジャークの閾値を小さく設定する。具体的には、設定部320Aは、予め定められた基準値を、導出された検出間隔で除算することによって閾値を導出し、導出した閾値をジャークの閾値として設定する。これにより、検出間隔に応じてジャークの値が小さくなった場合であっても、取りこぼすことなく対象のジャークが検出される。
【0050】
また、本実施形態では、検出間隔が小さくなると、導出されるジャークの値は大きくなるため、検出間隔に応じて、ジャークの閾値を大きくなるように設定する。しかしながら、検出間隔があまりに小さい場合、導出されたジャークが、閾値以上となる頻度が多くなる。そのため、車両情報に係る検出間隔が予め定められた間隔(例えば、40ms)以上である場合、ジャークの閾値を設定し、車両情報の抽出を行う。換言すると、車両情報に係る検出間隔が、予め定められた間隔未満である場合、ジャークの閾値を設定せず、かつ車両情報を抽出しない。
【0051】
なお、本実施形態に係る予め定められた基準値は、ユーザによって設定されてもよいし、衝突が発生した際の加速度を集計して設定されてもよい。例えば、衝突が発生した車両情報に係る加速度の下限値を予め定められた基準値として設定してもよい。また、衝突が発生した際に生じた加速度を集計し、集計した加速度を用いて、加速度の上位95パーセントに対応する値(5パーセンタイル)を予め定められた基準値として設定してもよい。また、集計した加速度の平均値、中央値、分散、及び標準偏差等の統計を用いて、予め定められた基準値を設定してもよい。また、車両の種類に応じて、予め定められた基準値を設定してもよい。
【0052】
抽出部330は、導出されたジャーク、及び設定されたジャークの閾値を用いて、車両情報を抽出する。具体的には、抽出部330は、導出されたジャークが、閾値以上である場合、ジャークに対応する車両情報を対象データとして抽出する。
【0053】
記憶部340Aは、対象データとして、抽出した車両情報を記憶する。また、記憶部340Aは、取得した車両情報を記憶する。
【0054】
(制御の流れ)
本実施形態の情報処理システム10で実行される各処理の流れについて、図7のフローチャートを用いて説明する。センタサーバ30における各処理は、センタサーバ30のCPU30Aが、取得部300、導出部310、設定部320A、抽出部330、記憶部340A、及び生成部350として機能することにより実行される。図7に示す車両情報を抽出する処理は、例えば、車両情報を抽出する指示が入力された場合、実行される。
【0055】
ステップS100において、CPU30Aは、車両12の加速度、及び加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得する。
【0056】
ステップS101において、CPU30Aは、車両情報を用いて、車両12のジャークを導出する。
【0057】
ステップS102において、CPU30Aは、予め定められた基準値に、検出間隔を除算してジャークの閾値を導出し、ジャークの閾値を設定する。
【0058】
ステップS103において、CPU30Aは、ジャークが閾値以上であるか否かの判定を行う。ジャークが閾値以上である場合(ステップS103:YES)、CPU30Aは、ステップS104に移行する。一方、ジャークが閾値以上ではない(ジャークが閾値未満である)場合(ステップS103:NO)、CPU30Aは、ステップS106に移行する。
【0059】
ステップS104において、CPU30Aは、対象データとして、ジャークに対応する車両情報を抽出する。
【0060】
ステップS105において、CPU30Aは、抽出した対象データを記憶する。
【0061】
ステップS106において、CPU30Aは、対象データとして、取得した車両情報を記憶する。
【0062】
ステップS107において、CPU30Aは、車両情報を抽出する処理を終了するか否かの判定を行う。車両情報を抽出する処理を終了する場合(ステップS107:YES)、CPU30Aは、車両情報を抽出する処理を終了する。一方、車両情報を抽出する処理を終了しない場合(ステップS107:NO)、CPU30Aは、ステップS100に移行して、車両情報を取得する。
【0063】
(第1実施形態のまとめ)
本実施形態の情報処理装置としてのセンタサーバ30は、車両の加速度、及び加速度を検出した検出時間を含む車両情報を取得し、当該車両情報を用いて、単位時間当たりの加速度の変化量を導出し、検出時間を用いて、加速度を検出した間隔に応じて変化量の閾値を設定し、当該変化量が、閾値以上である場合、対象データとして、当該変化量に対応する車両情報を抽出する。
【0064】
以上、本実施形態によれば、検出した車両情報に対して衝突の有無を判定する処理を実行する場合において、車両情報のデータ量を低減し、かつ衝突を示す車両情報の取りこぼしを抑制することができる。
【0065】
[第2実施形態]
第1実施形態では、予め定められた基準値を検出間隔で除算して、閾値を導出して設定する形態について説明した。第2実施形態では、閾値を設定するための機械学習を実行した学習済みモデルを用いて、閾値を設定する形態について説明する。
【0066】
なお、本実施形態に係る情報処理システムの構成(図1参照)、車両12のハードウェア構成の一例(図2参照)、車載器20の機能構成の一例(図3参照)、センタサーバ30のハードウェア構成の一例(図4参照)、及び検出時間と加速度との関係を示すグラフ(図6参照)は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。以下、第1実施形態との相違点について説明する。また、同一の構成には同一の符号を付しており、説明については省略する。
【0067】
図8に示されるように、本実施形態のセンタサーバ30では、CPU30Aが、情報処理プログラム120を実行することで、取得部300、導出部310、設定部320B、抽出部330、記憶部340B、及び生成部350として機能する。
【0068】
設定部320Bは、ジャークの閾値を設定するための機械学習を行った学習済みモデルを用いて、ジャークの閾値を設定する。例えば、学習済みモデルは、学習データとして、過去に取得した、衝突が発生した車両情報(加速度)を学習する。学習済みモデルは、予め定められた基準値として、取得した全ての加速度のうち、加速度の大きさが上位95パーセント(5パーセンタイル)に対応する値を算出する。学習済みモデルは、予め定められた基準値を用いて閾値を導出して設定する。なお、本実施形態に係る学習済みモデルは、例えば、回帰モデルである。
【0069】
記憶部340Bは、抽出した車両情報を記憶する。また、記憶部340Bは、取得した車両情報を記憶する。また、記憶部340Bは、後述する生成部350が生成した学習済みモデルを記憶する。
【0070】
生成部350は、過去に取得した、衝突が発生した車両情報を用いて機械学習を実行し、学習済みモデルを生成する。
【0071】
(制御の流れ)
本実施形態の情報処理システム10で実行される各処理の流れについて、図9のフローチャートを用いて説明する。センタサーバ30における各処理は、センタサーバ30のCPU30Aが、取得部300、導出部310、設定部320B、抽出部330、及び記憶部340Bとして機能することにより実行される。図9に示す車両情報を抽出する処理は、例えば、車両情報を抽出する指示が入力された場合、実行される。なお、図9において、図7に示す抽出処理と同一のステップについては、図7と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
ステップS108において、CPU30Aは、取得した車両情報を学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力されたジャークの閾値を設定する。
【0073】
次に、本実施形態の情報処理システム10で実行される学習済みモデルを生成する処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。図10に示す生成処理は、例えば、学習済みモデルを生成する処理を実行する指示が入力された場合、実行される。
【0074】
ステップS200において、CPU30Aは、学習データとして、過去に取得した、車両の衝突が発生した車両情報を取得する。
【0075】
ステップS201において、CPU30Aは、取得した学習データを用いて、機械学習を実行し、学習済みモデルを生成する。
【0076】
ステップS202において、CPU30Aは、生成した学習済みモデルに車両情報を入力し、学習済みモデルから出力されたジャークの閾値を用いて、学習済みモデルを評価する。
【0077】
ステップS203において、CPU30Aは、学習済みモデルを生成する処理を終了するか否かの判定を行う。学習済みモデルを生成する処理を終了する場合(ステップS203:YES)、ステップS204に移行する。一方、学習済みモデルを生成する処理を終了しない場合(ステップS203:NO)、CPU30Aは、ステップS200に移行して、学習データを取得する。
【0078】
ステップS204において、CPU30Aは、生成した学習済みモデルを記憶する。
【0079】
(まとめ)
本実施形態の情報処理装置としてのセンタサーバ30は、学習済みモデルを用いて、ジャークの閾値を設定し、車両情報を抽出する。
【0080】
以上、本実施形態によれば、過去に取得した車両情報を反映して、車両情報を抽出することができる。
【0081】
[備考]
なお、上記実施形態では、センタサーバ30が運転診断装置を搭載している形態について説明した。しかし、これに限定されない。情報処理装置は車載器20であってもよい。例えば、車載器20が、車載機器24から取得した車両情報を用いて、対象データとして車両情報を抽出し、抽出した対象データをセンタサーバ30等に送信してもよい。
【0082】
なお、上記実施形態でCPU20A、及びCPU30Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上述した各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0083】
また、上記実施形態において、各プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。例えば、車載器20における収集プログラム100はROM20Bに予め記憶され、センタサーバ30における情報処理プログラム120はストレージ30Dに予め記憶されている。しかしこれに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0084】
上記実施形態で説明した処理の流れは、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
12 車両
30 センタサーバ
120 情報処理プログラム
300 取得部
310 導出部
320A、320B 設定部
330 抽出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10