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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/367 20210101AFI20250115BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20250115BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20250115BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20250115BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20250115BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20250115BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20250115BHJP
   H01M 50/59 20210101ALI20250115BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/213
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/588
H01M50/59
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021562541
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2020042358
(87)【国際公開番号】W WO2021111842
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2019218561
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 文哉
(72)【発明者】
【氏名】松原 匠汰
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110138(JP,A)
【文献】特開2019-091628(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065110(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/30-50/392
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面に排出弁を有する複数の電池セルが、
平行姿勢であって端部の端面電極を同一平面に配置され、
同一平面に配置された前記端面電極にリード板の溶接面を接続してなる電池組立と、
前記電池組立を収納してなる外装ケースとを備える電池パックにおいて、
前記外装ケースの内側であって、前記リード板の非溶接面に配置してなる逆流制限層を備え、かつ
前記リード板が、
前記排出弁から排出される排出ガスを、
電池セル側から前記逆流制限層の排出方向に通過させるガス透過隙間を有し、
前記逆流制限層が、
前記ガス透過隙間を通過する排出ガスを排出方向に通過させて、
排出方向と逆方向に通過する排出ガスを抑制ないし阻止する抵抗部を有し、
前記逆流制限層は、
排出ガスを通過させる貫通穴を形成すると共に、
前記貫通穴の周辺において、前記ガス透過隙間に対向する位置を塞ぐ抵抗部を有することを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載する電池パックであって、
前記電池組立が、
複数の前記電池セルを定位置に配置してなる電池ホルダーを備え、
前記電池ホルダーが、
前記リード板を定位置に配置する表面プレートを備え、
前記表面プレートが、
定位置に配置してなる前記電池セルの端面電極を露出する電極窓を有し、
前記電極窓において、前記リード板が前記電池セルの前記端面電極に接続されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載する電池パックであって、
前記表面プレートの定位置に配置してなる前記リード板が、複数の前記ガス透過隙間を有することを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項に記載する電池パックであって、
前記リード板の前記ガス透過隙間が環状のスリット開口で、
前記逆流制限層の前記貫通穴が、
環状であ前記スリット開口の内側に対向して開口されて、
前記抵抗部を構成してなることを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項又はに記載する電池パックであって、
前記逆流制限層が、
前記貫通穴から放射状に伸びる切り込みを有することを特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載する電池パックであって、
前記逆流制限層が、
排出ガスを通過させる放射状に伸びる切込みを有し、
前記切り込みが、
前記ガス透過隙間の対向位置を塞いでなる抵抗部を有することを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれかに記載する電池パックであって、
前記逆流制限層が、
ゴム材料であることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれかに記載する電池パックであって、
前記逆流制限層が発泡体であることを特徴とする電池パック。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれかに記載する電池パックであって、
前記電池セルが、
端面に凸部電極を有し、
前記凸部電極の外周部に、
前記排出弁の排気口を開口してなることを特徴とする電池パック。
【請求項10】
請求項に記載する電池パックであって、
前記電池セルが円筒電池であることを特徴とする電池パック。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の電池パックであって、
前記リード板が、
前記非溶接面を構成する平面状の板状部と、
前記電池セルの前記端面電極に接続される前記溶接面を構成する電極接続片を有し、
前記電極接続片の外周に沿って前記ガス透過隙間を構成するスリット開口を設けてなることを特徴とする電池パック。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載する電池パックであって、
前記逆流制限層が、
前記リード板の表面に接合されてなることを特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いずれかの電池セルの熱暴走が他の電池セルに誘発するのを防止する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
充電できる電池セルは、内部ショートや過充電等、種々の原因で熱暴走を起こすことがある。例えば、リチウムイオン電池が熱暴走すると、排出弁が開いて数秒間に勢いよく排出ガスを噴射する。排出ガスは、700℃を超える極めて高温のガスで、外装ケースの内部に噴射されて他の電池セルの熱暴走を誘発する、すなわち熱暴走した電池セルが他の電池セルを類焼して熱エネルギーを著しく大きくして熱障害を拡大する原因となる。熱暴走の誘発を防止することを目的として、種々の構造の電池パックが開発されている。(特許文献1参照)
【0003】
この構造の電池パックは、図9の概略断面図に示すように、円筒電池101を挿入する筒体102を熱伝導プレート103に連結して、熱暴走して高温になった円筒電池101の熱エネルギーを熱伝導プレート103に伝導して吸収させている。熱伝導プレート103は2層構造に離して配置されて、隣接する円筒電池101を挿入している筒体102を別々の熱伝導プレート103に連結して、隣接する円筒電池101の熱エネルギーを別々の熱伝導プレート103に吸収する構造としている。
【0004】
この構造の電池パックは、隣接する電池セルに熱暴走が誘発されるのを防止できるが、熱暴走した電池セルから離れた位置にある電池セルの熱暴走を阻止できない。それは、熱暴走した電池セルの熱エネルギーが、隣りの電池セルに熱伝導するのを抑制できるが、熱膨張した電池セルから噴射される排出ガスによる熱暴走の誘発を阻止できないからである。熱暴走した電池セルは、排出弁が開いて瞬間的に極めて高温の排出ガスが勢いよく噴射するが、この高温の排出ガスは、外装ケースの内面に沿って内部を流動して、離れた位置にある電池セルを過熱して熱暴走させることがある。離れた位置の電池セルに熱暴走が誘発されるのは、排出ガスが電池セルの端面電極を絶縁している絶縁材を溶融することで発生する。電池セルは、一方の端面電極を絶縁して電池ケースに固定し、端面電極を他の電極となる電池ケースから絶縁しているので、絶縁材が溶融すると、電池ケースから絶縁して配置している端面電極が電池ケースに短絡して、過大なショート電流が流れる。過大なショート電流は、電池セルをジュール熱で加熱して熱暴走させる原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-045919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、さらに以上の欠点を解消することを目的に開発されたもので、本発明の目的の一は、電池セルの熱暴走が外装ケースに収納している他の電池セルに誘発されるのを防止して、電池セルの類焼を防止して優れた安全性を確保する電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様にかかる電池パックは、端面に排出弁を有する複数の電池セルを、平行姿勢であって端部の端面電極を同一平面に配置し、同一平面に配置された端面電極にリード板の溶接面を接続してなる電池組立と、電池組立を収納してなる外装ケースとを備えている。電池パックは、外装ケースの内側であって、リード板の非溶接面に配置してなる逆流制限層を備えており、リード板は、排出弁から排出される排出ガスを、電池セル側から逆流制限層の排出方向に通過させるガス透過隙間を有し、逆流制限層は、ガス透過隙間を通過する排出ガスを排出方向に通過させて、排出方向と逆方向に通過する排出ガスを抑制ないし阻止する抵抗部を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電池パックは、電池セルの熱暴走が外装ケースに収納している他の電池セルに誘発されるのを防止して、電池セルの類焼を防止して優れた安全性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る電池パックの概略垂直縦断面図である。
図2図1に示す電池パックの水平断面図である。
図3図1に示す電池パックの電池組立の斜視図である。
図4図3に示す電池組立の側面図である。
図5図3に示す電池組立の分解斜視図である。
図6図3に示す電池組立の電池ホルダとリード板の位置関係を示す分解斜視図である。
図7図2に示す電池パックの拡大断面図である。
図8】逆流制限層を排出方向と逆方向に排出ガスが通過する状態を示す拡大断面図である。
図9】従来の電池パックの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、以下の構成によって特定されてもよい。
本発明の第1の実施形態にかかる電池パックは、端面に排出弁を有する複数の電池セルが、平行姿勢であって端部の端面電極を同一平面に配置され、同一平面に配置された端面電極にリード板の溶接面を接続してなる電池組立と、電池組立を収納してなる外装ケースとを備えている。電池パックは、外装ケースの内側であって、リード板の非溶接面に配置してなる逆流制限層を備え、かつリード板が、排出弁から排出される排出ガスを、電池セル側から逆流制限層の排出方向に通過させるガス透過隙間を有し、逆流制限層が、ガス透過隙間を通過する排出ガスを排出方向に通過させて、排出方向と逆方向に通過する排出ガスを抑制ないし阻止する抵抗部を有している。
【0011】
以上の電池パックは、熱暴走した電池セルに起因する、外装ケースに収納している他の電池セルの類焼を防止して優れた安全性を確保できる特長がある。とくに、以上の電池パックは、ガス透過隙間のあるリード板の表面に逆流制限層を配置している。この逆流制限層でもって、熱暴走した電池セルから噴出される高温・高圧の排出ガスをリード板のガス透過隙間から排出方向に通過させて、外装ケースの内側に排出し、外装ケースの内面で拡散させてエネルギーを減衰している。さらに外装ケースの内面で拡散してエネルギーの減衰した排出ガスが、他の電池セルに向かって逆方向に流動するのを抵抗部で抑制してさらにエネルギーを減衰させる。これにより、熱暴走した電池セルから噴射される高温・高圧の排出ガスで他の電池セルが高温に過熱されるのを防止できる。このため、高温・高圧の排出ガスが、正負の電極端子を絶縁している絶縁材を溶融して短絡させることがなく、電池セル自体が短絡して過大なショート電流が流れて熱暴走する弊害を有効に防止できる。したがって、以上の電池パックは、特定の電池セルが熱暴走しても、他の電池セルに熱暴走が誘発させるのを防止して、高い安全性を確保できる特長がある。
【0012】
本発明の第2の実施態様にかかる電池パックは、電池組立が、複数の電池セルを定位置に配置してなる電池ホルダーを備え、電池ホルダーが、リード板を定位置に配置する表面プレートを備え、表面プレートが、定位置に配置してなる電池セルの端面電極を露出する電極窓を有し、電極窓において、リード板を電池セルの端面電極に接続している。
【0013】
以上の電池パックは、リード板を電池ホルダーの表面プレートの定位置に配置して、リード板に逆流制限層を積層できるので、熱暴走した電池セルから噴射される排出ガスが、リード板と電池セルとの間を通過して隣接する電池セルに向かって流動するのを防止できるので、隣接する電池セルの類焼をも防止できる特長がある。
【0014】
本発明の第3の実施態様にかかる電池パックは、表面プレートの定位置に配置してなるリード板が、複数のガス透過隙間を有している。
【0015】
以上の電池パックは、リード板に複数のガス透過隙間を設けているので、熱暴走して特定のガス透過隙間を通過する排出ガスを、複数のガス透過隙間に分散できるので、高温・高圧の排出ガスのエネルギーをより効果的に減衰して、他の電池セルの類焼をより確実に抑制できる特長がある。
【0016】
本発明の第4の実施態様にかかる電池パックは、逆流制限層が、排出ガスを通過させる貫通穴を形成すると共に、前記貫通穴の周辺において、前記ガス透過隙間に対向する位置を塞ぐ抵抗部を有する。
【0017】
以上の電池パックは、逆流制限層に貫通穴を形成すると共に、この貫通穴の周辺においてガス透過隙間に対向する位置を塞ぐように抵抗部を設けたことで、逆方向に流動する排出ガスが直接にガス透過隙間を通過するのを防止する。貫通穴を逆方向に流動する排出ガスは、直接にはガス透過隙間に流入することなく、リード板の表面に衝突してエネルギーを減衰した状態でガス透過隙間を通過するので、電池セルの類焼を効果的に防止できる特長がある。また、熱暴走した電池セルから排出される排出ガスは、逆流制限層の貫通穴に通過させてスムーズに逆流制限層と外装ケースとの間に流入できるので、逆流制限層の内面で排出ガスの圧力が高くなって、隙間から隣りの電池セルに向かって漏れるのを防止して、隣りの電池セルの類焼を効果的に抑制できる特長がある。
【0018】
本発明の第5の実施態様にかかる電池パックは、リード板のガス透過隙間が環状のスリット開口で、逆流制限層の貫通穴が、環状であるスリット開口の内側に対向して開口されて、抵抗部を構成している。
【0019】
以上の電池パックは、貫通穴を逆方向に通過した排出ガスを、環状のスリット開口に分散して流入して、排出ガスが直接にリード板の内面に流入して電池セルの熱暴走を誘発するのを防止できる特長がある。
【0020】
本発明の第6の実施態様にかかる電池パックは、逆流制限層が、貫通穴から放射状に伸びる切り込みを有している。
【0021】
以上の電池パックは、熱暴走した高温・高圧の排出ガスをよりスムーズに排出方向に通過させて、外装ケースの内側にスムーズに流入できる特長がある。このことは、逆流制限層の内面で排出ガスの圧力が高くなって、隙間から隣りの電池セルに向かって漏れるのを防止して、隣りの電池セルの類焼を効果的に抑制できる特長を実現する。排出ガスがスムーズに外装ケースの内面に流入するのは、切り込みによって逆流制限層の貫通穴が拡開されて、排出ガスをスムーズに通過できるからである。
【0022】
本発明の第7の実施態様にかかる電池パックは、前記逆流制限層が、排出ガスを通過させる放射状に伸びる切込みを有し、前記切り込みが、前記ガス透過隙間の対向位置を塞いでなる抵抗部を有する。
【0023】
以上の電池パックは、逆流制限層が放射状に伸びる切込みを有し、この切り込みが、電池セルから噴出される高温の排出ガスにより変形して、排出ガスを排出することができる。さらに、この切り込みが逆方向に流動する排出ガスの通過を抑制できる。
【0024】
本発明の第8の実施態様にかかる電池パックは、逆流制限層をゴム材料としている。
【0025】
以上の電池パックは、逆流制限層をゴム材料とするので、熱暴走した排出ガスから噴射される排出ガスが逆流制限層の一部を焼失するので、高温・高圧の排出ガスをよりスムーズに外装ケースの内側に流入できる特長がある。
【0026】
本発明の第9の実施態様にかかる電池パックは、逆流制限層を発泡体としている。
【0027】
以上の電池パックは、逆流制限層を発泡体とするので、熱暴走した排出ガスから噴射される排出ガスが逆流制限層の一部を速やかに焼失して、高温・高圧の排出ガスをよりスムーズに外装ケースの内側に流入できる特長がある。発泡体の逆流制限層が、排出ガスが噴射される領域を速やかに焼失できるのは、体積に対する熱容量が小さく、少ない熱エネルギーで焼失できるからである。
【0028】
本発明の第10の実施態様にかかる電池パックは、電池セルが、端面に凸部電極を有し、凸部電極の外周部に、排出弁の排気口を開口している。
【0029】
本発明の第11の実施態様にかかる電池パックは、電池セルを円筒電池としている。
【0030】
本発明の第12の実施態様にかかる電池パックは、リード板が、非溶接面を構成する平面状の板状部と、電池セルの端面電極に接続される溶接面を構成する電極接続片を有し、電極接続片の外周に沿ってガス透過隙間を構成するスリット開口を設けている。
【0031】
本発明の第13の実施態様にかかる電池パックは、逆流制限層を、リード板の表面に接合している。
【0032】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0033】
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0034】
本発明の電池パックは、主として電動の乗り物である電気機器に装着されて、駆動用のモータに電力を供給するのに適している。本発明の電池パックは、たとえば、アシスト自転車、電動バイク、電動車椅子、電動三輪車、電動カート等の電源として使用される。ただし、本発明は、電池パックの用途を特定するものではなく、クリーナー、電動工具等、他の種々の電気機器用の電源として使用することもできる。
(実施の形態1)
【0035】
図1図2に示す電池パック100は、複数の電池セル1を電池ホルダ2に収納してなる電池組立10を外装ケース4に収納している。電池組立10は、端面に排出弁を有する複数の電池セル1を平行姿勢であって端部の端面電極1a、1bを同一平面に配置している。同一平面に配置された端面電極1a、1bに、リード板3の溶接面3Bを接続している。さらに、電池パック100は、外装ケース4の内側であって、リード板3の非溶接面3Aに逆流制限層5を配置している。逆流制限層5は、熱暴走した電池セル1が噴射する高温・高圧の排出ガスの流れを制御して、他の電池セル1に熱暴走が誘発されるのを防止する。
(電池組立10)
【0036】
図3図6に示す電池組立10は、両端に正負の異なる端面電極1a、1bを備える複数の電池セル1と、これ等の電池セル1を互いに平行な姿勢とし、かつ電池セル1の端面電極1a、1bを同一面に配置して多段多列に配置している電池ホルダ2と、この電池ホルダ2に収納している電池セル1の端面電極1a、1bに接続されて、隣接する電池セル1を直列と並列に接続してなるリード板3とを備えている。
(電池セル1)
【0037】
電池セル1は、両端を正負の電極としており、一方の端面電極1aを凸部電極として、他方の端面電極1bを平面電極としている。図に示す電池セル1は、円筒電池としている。円筒電池は、図示しないが、円筒状の外装缶に電極体を収納し、電解液を充填して外装缶の開口部をガスケット等の絶縁材を介して封口板で密閉している。円筒電池は、絶縁材を介して絶縁された封口板に凸部電極を設けて一方の端面電極1aとすると共に、外装缶の底面を他方の端面電極1bとして正負の電極を設けている。さらに、電池セル1は、凸部電極の内側に内圧が設定圧力を超えると開弁する排出弁(図示せず)を備えており、凸部電極の外周部には排出弁の排気口を設けている。
【0038】
電池セル1は、充電できるリチウムイオン二次電池である。ただ電池セル1は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の充電できる電池であってもよい。さらに、本実施形態の電池パック100では、円筒電池が使用されているが、これに限定されず、角型電池や扁平形電池とすることもできる。電池組立10は、複数の電池セル1を平行な姿勢として、多段多列に並べて電池ホルダ2に収納している。電池組立10が有する電池セル1の個数は、電池パック100の用途、充放電容量、最大負荷電流、各電池セル1の容量などを考慮して最適個数とされるが、たとえば10個ないし100個とすることができる。電池組立10は、電池セル1を並列に接続する個数を多くして負荷に供給する最大電流を大きくし、全体の個数を多くして全体の充放電容量を大きくできる。なお、図1図2に示す電池パック100は、図5に示すように、電池セル1を平行な姿勢として並べているが、2個以上のセルを縦列状態に接続し、この状態の電池セルの複数を、平行な姿勢で並べるようにしてもよい。
(電池ホルダ2)
【0039】
電池ホルダ2は、絶縁材料であるプラスチック等の熱可塑性樹脂によって形成されている。電池ホルダ2は、図2に示すように、電池セル1を挿通して保持する保持部22の両端に、表面プレート21を一体的に成形して連結している。この電池ホルダ2は、一対の表面プレート21の対向する内側に保持部22を設けて電池収納部23としている。図1図5に示す保持部22は、円筒形の電池セル1の外周面に沿う筒状、ないし部分的に開口部を設けた筒状としている。一対の表面プレート21は、保持部22の両端に位置して、互いに平行な姿勢で設けられている。表面プレート21は、保持部22に対して直交する板状に成形されている。この表面プレート21は、外装ケース4の内形に沿う形状としている。
【0040】
図2図5に示す電池ホルダ2は、保持部22を軸方向の中間で2分割しており、分割された保持部22の端部を表面プレート21に一体的に成形して一対のホルダーユニット2A、2Bを形成している。この電池ホルダ2は、各ホルダーユニット2A、2Bの保持部22に電池セル1を収納した状態で、一対のホルダーユニット2A、2Bを連結させることで、電池セル1を定位置に保持する電池収納部23を形成している。一対のホルダーユニット2A、2Bは、係止構造で連結される。ただ、分割されたホルダーユニットは、ボスに止ネジをねじ込んで連結し、あるいは接着して連結することもできる。
【0041】
電池ホルダ2は、図1図5に示すように、各保持部22に挿入される複数の電池セル1を多段多列に配置して、定位置に保持している。さらに、電池ホルダ2は、両側に位置する表面プレート21にリード板3を配置しており、電池ホルダ2の定位置に保持される複数の電池セル1をリード板3で接続している。表面プレート21は、保持部22の外側において、電池セル1の端面電極1a、1bを表出する電極窓24を開口しており、この電極窓24から表出する端面電極1a、1bにリード板3を溶着している。
【0042】
図2図6の表面プレート21は、リード板3を嵌合して定位置に配置する凹部25を外側の表面に形成している。図の凹部25は、複数のリード板3が配置される領域であって、表面プレート21の外側面の上端部を除くほぼ全面にわたって形成されている。さらに、図の表面プレート21は、凹部25の底面において、リード板3を嵌入する位置決凹部26を設けている。この位置決凹部26は、底面において、複数のリード板3を同一平面上に配置している。位置決凹部26は、一段低い凹部形状として、隣接する位置決凹部26の境界部分には絶縁リブ27を設けている。表面プレート21は、リード板3を位置決凹部26に嵌合させて定位置に配置している。
【0043】
さらに、図6に示す電池ホルダ2は、一対の表面プレート21を、保持部22の両端から上方に突出させており、一対の表面プレート21の間に、回路基板6を収納する基板の収納スペース28を設けている。表面プレート21は、リード板3の接続部35を回路基板6に接続するための接続窓29を開口している。接続窓29は、位置決凹部26に配設されるリード板3の接続部35の位置に開口されており、接続部35を収納スペース28に表出させている。リード板3の接続部35は、接続窓29に配置されて、収納スペース28に配置される回路基板6に接続している。
【0044】
以上の電池ホルダ2は、保持部22の半分と表面プレート21とを一体的に成形してホルダーユニット2A、2Bとしているが、電池パック100は、電池ホルダを以上の構造に特定しない。電池ホルダは、複数の電池を所定の位置に保持できる他の全ての構造とすることができる。
(リード板3)
【0045】
リード板3は、表面プレート21に設けている凹部25の底面に嵌合構造で定位置に配置されて、複数の電池セル1の端面電極1a、1bに接続される。リード板3は、表面プレート21の電極窓24から表出する電池セル1の端面電極1a、1bにスポット溶接やレーザ溶接等の方法で溶接して接続する電極接続片31を設けている。リード板3には、電気導電および熱伝導のよい材質が使用され、表面をニッケル等のメッキをした鉄板、ニッケル板、銅板、アルミニウム板等の金属板が好適に使用できる。図の電池パック100は、電池ホルダ2の両側面において、複数枚のリード板3を凹部25に配置して電池セル1の端面電極1a、1bに接続している。
【0046】
電極接続片31は、リード板3を電池ホルダ2の表面プレート21に配置して、電池セル1の端面電極1a、1bと対向する位置に配置される。1枚のリード板3は、複数の電池セル1に接続するために、複数の電極接続片31を設けている。図6の分解斜視図に示すように、リード板3は、平面状の板状部30から電池セル1の端面電極1a、1bに向かって突出する電極接続片31を設けている。板状部30から突出する電極接続片31は、電池ホルダ2の表面プレート21の電極窓24に案内されて、電池セル1の端面電極1a、1bに接続される。リード板3は、板状部30と電極接続片31とを連結部32で接続して、板状部30と電極接続片31との間にガス透過隙間33を設けている。
【0047】
連結部32は、細くして、電池セル1のショート電流で溶断するヒューズとすることができる。連結部32をヒューズとするリード板3は、電池セル1に流れるショート電流で溶断して、電池セル1を過電流から保護できる。リード板3は、全ての連結部32をヒューズとする必要はなく、各々の正負の端面電極1a、1bの片方に接続される電極接続片31を板状部30に連結する連結部32のみをヒューズとして、電池セル1をショート電流から保護できる。
【0048】
リード板3のガス透過隙間33は、電池セル1の排出弁から噴射される排出ガスを通過させる。図4図6に示すガス透過隙間33は、電極接続片31の外周縁に沿う環状のスリット開口33Aとしている。ガス透過隙間33は、熱暴走した電池セル1の排出弁から噴出される排出ガスをスムーズにリード板3に通過させて外装ケース4の内側に流入する。
【0049】
図2に示す電池パック100は、リード板3と外装ケース4の内面との間に逆流制限層5を設けて排出ガスの流れを制御しているが、ここに逆流制限層5を設けない従来の電池パックは、リード板を通過した高温の排出ガスが、熱暴走した電池セルから離れた部位の電池セルを熱暴走させる原因となる。高温の排出ガスがガス透過隙間を透過してリード板と外装ケースとの間に流入すると、この排出ガスが外装ケースの内面に沿って流れて、熱暴走した電池セルから離れた位置にある電池セルを過熱するからである。排出ガスで加熱された電池セルは、電池セルの正負の電極を絶縁する絶縁材を溶解してショートさせるからである。絶縁材が溶融した電池セルは、正負の電極が短絡されて、それ自体の電圧で過大なショート電流が流れ、このショート電流のジュール熱で発熱するからである。
【0050】
リード板3のガス透過隙間33を通過して外装ケース4の内面に噴出される排出ガスが、他の電池セル1を熱暴走させるのを防止するために、図2の電池パック100は、外装ケース4の内側であって、リード板3の非溶接面3Aに逆流制限層5を配置している。リード板3は、排出弁から排出される排出ガスをガス透過隙間33に通過して、電池セル1側から逆流制限層5の排出方向に通過させる。逆流制限層5は、ガス透過隙間33を通過する排出ガスを排出方向には通過させるが、排出方向と逆方向に通過する排出ガスを抑制ないし阻止する抵抗部7を設けて、離れた位置の電池セル1の類焼を防止している。
【0051】
電池セル1が熱暴走した状態で、逆流制限層5が離れた位置の電池セル1の類焼を防止するのは、以下の理由による。熱暴走した電池セル1から噴出される高温の排出ガスは、逆流制限層5でもって、リード板3のガス透過隙間33から排出方向に通過する。次に、外装ケース4の内側に排出された排出ガスは、外装ケース4の内面で拡散してエネルギーを減衰する。さらに、排出ガスは外装ケース4の内面で拡散してエネルギーを減衰し、他の電池セル1に向かって逆方向に流動するが抵抗部7で抑制されて、さらにエネルギーを減衰する。これにより、排出ガスが離れた電池セル1の過熱を防止することができる。排出ガスによる温度上昇の小さい電池セル1は、正負の電極を絶縁している絶縁材が溶融されないので、正負の電極がショートすることがなく、ショート電流による熱暴走を防止できる。
【0052】
図2の電池パック100は、複数の電池セル1を定位置に配置している電池ホルダ2の表面プレート21の定位置にリード板3を嵌合構造で配置すると共に、電池セル1の端面電極1a、1bを露出させる電極窓24を表面プレート21に開口している。さらに、この電池パック100は、電極窓24でリード板3の電極接続片31を端面電極1a、1bに接続して、熱暴走した電池セル1から噴射される排出ガスが、リード板3と電池セル1との間を通過して隣接する電池セル1に向かって流動するのを防止して、隣りの電池セル1の類焼を阻止している。この構造は、リード板3を電池ホルダ2の表面プレート21に密着して、この間のガス漏れを防止できる。
【0053】
さらに、図2に示す電池パック100は、電池組立10が多数の電池セル1を備え、表面プレート21にセットしているリード板3は、各々の電池セル1の端面電極1a、1bに接続する電極接続片31を設けて、各々の電極接続片31の周囲にガス透過隙間33を設けている。このリード板3は、図6に示すように、各々の電極接続片31の周囲に配置して、多数のガス透過隙間33を設けている。多数のガス透過隙間33を設けたリード板3は、特定の電池セル1から噴射されて逆方向にガス透過隙間33を通過する排出ガスのエネルギーを減衰できるので、熱暴走の誘発をより効果的に防止できる。
【0054】
さらに、図2図5に示す逆流制限層5は、排出ガスを排出方向にスムーズに通過させる複数の貫通穴51を設けている。貫通穴51は、熱暴走した電池セル1から噴射される排出ガスを通過させるので、排出弁側との対向位置に開口される。貫通穴51は、図4図7に示すように、環状のスリット開口33Aの中央部に対向する位置に開口されて、逆方向に流動する排出ガスが直接にガス透過隙間33に通過しないように、ガス透過隙間33の対向位置を塞いでいる抵抗部7を設けている。すなわち、貫通穴51を逆方向に流れる排出ガスは、図8の拡大断面図に示すように、リード板3と端面電極1aに衝突し、周囲に分散するように流動方向を変更してガス透過隙間33を通過する。
【0055】
図4図8に示す逆流制限層5は、貫通穴51を環状のスリット開口33Aの内側に対向して開口し、貫通穴51を逆方向に流動する排出ガスが直接にガス透過隙間33に流入しない抵抗部7としている。図4の貫通穴51とスリット開口33Aは円形として、貫通穴51の内径をスリット開口33Aの内側縁よりも小さい直径としている。貫通穴51の内径は、好ましくはスリット開口33Aの内側縁よりも、1mm以上小さくして、排出ガスの逆方向の通過を抑制する抵抗部7とすることができる。
【0056】
貫通穴51は、排出ガスの逆方向の流動を抑制して、熱暴走した電池セル1から排出方向に通過する排出ガスをスムーズに排出できるように、逆流制限層5に、図3図4に示すように、貫通穴51から放射状に伸びる切り込み52を設けている。この逆流制限層5は、熱暴走した電池セル1から勢いよく噴射される高温の排出ガスによって、貫通穴51の内周部を図7(図において左端の貫通穴51)に示すように変形して、排出ガスをよりスムーズに排出できる特長がある。
【0057】
さらに、貫通穴51に切り込み52を設けてなる逆流制限層5は、図8の鎖線で示すように、貫通穴51を逆方向に流動する排出ガスによって、貫通穴51の内周部を電池セル1の端面電極1a側に変形させて、リード板3のガス透過隙間33を閉塞し、あるいは隙間を狭くして、排出ガスの逆方向の通過を抑制する抵抗部7とすることができる。この構造によると、貫通穴51を逆方向に通過しようとする排出ガスの圧力によって端面電極1a側に変形する貫通穴51の内周部が、リード板3のガス透過隙間33を閉塞し、あるいは隙間を狭くするので、逆方向に流動する排出ガスがガス透過隙間33から流入するのを抑制して、他の電池セル1の類焼を防止できる。
【0058】
以上のように、貫通穴51に切り込み52を設けた逆流制限層5は、ガス透過隙間33を通過する排出ガスをスムーズに排出方向に通過させると共に、排出方向と逆方向に通過する排出ガスを抑制ないし阻止して他の電池セル1の類焼を防止できる。ただ、逆流制限層は、必ずしも貫通孔に放射状の切り込みを設ける必要はない。例えば、切り込みのない貫通穴においても、貫通穴を逆方向に通過する排出ガスによって、貫通穴の内周部を電池セルの端面電極側に撓ませる状態で変形させることで、ガス透過隙間を閉塞し、あるいは隙間を狭くすることができるからである。また、貫通穴は必ずしも必要ではなく、貫通穴がなく、放射状の切り込みだけを設けても良い。この場合でも、放射状の切り込みは、電池セルから噴出される高温の排出ガスにより、変形して、排出ガスを排出することができる。さらに、切り込みの場合、逆方向からの排出ガスの通過を確実に抑制することができる。
【0059】
さらに、逆流制限層5は、所定の厚さのゴム材料として、熱暴走した電池セル1から噴射される排出ガスをよりスムーズに排出方向に通過できる。ゴム材料の逆流制限層5は、噴射される高温の排出ガスで一部が焼失し、あるいは溶融して貫通穴51を拡大して排出ガスをスムーズに通過できるからである。また、貫通穴51に切り込みを設けているゴム材料の逆流制限層5は、高温の排出ガスでの変形を大きくして、さらに排出ガスを排出方向にスムーズに通過できる特長がある。
【0060】
また、ゴム材料の逆流制限層5は、貫通穴51を逆方向に流動する高温の排出ガスによって溶融されることで、溶融された溶融片や溶融屑がリード板3のガス透過隙間33を閉塞し、あるいは隙間を狭くすることにより、排出ガスの逆方向の通過を抑制する抵抗部7とすることができる。このように、高温の排出ガスで溶融される逆流制限層5は、ガス透過隙間33を通過する排出ガスによって焼失や溶融されることで、排出ガスを効率よく排出方向に通過させることができ、排出方向と逆方向に通過する排出ガスによって溶融されることで、溶融片や溶融屑でガス透過隙間33を閉塞し、又は隙間を狭くして、排出ガスがガス透過隙間33から流入するのを抑制して他の電池セル1の類焼を防止できる。
【0061】
また、発泡体の逆流制限層5は、体積に対する熱容量が小さいので排出ガスに過熱されて焼失しやすく、貫通穴51が大きくなって排出ガスを排出方向にスムーズに排出できる特長がある。ゴム材料の逆流制限層5は、たとえば発泡したクロロプレンのゴム材料が使用できる。ただ、ゴム材料の逆流制限層5は、クロロプレン以外のゴム材料、たとえばシリコンゴムの発泡体なども使用できる。
【0062】
逆流制限層5は、好ましくは接着剤、粘着剤、両面テープなどの接合層を介してリード板3の表面に接合される。逆流制限層5が隙間なくリード板3の表面に接合して密着している電池パック100は、リード板3と逆流制限層5との隙間を排出ガスが漏れて流れることがなく、熱暴走した電池セル1が隣りの電池セル1の熱暴走を誘発するのを確実に阻止できる特長がある。接合層を介して複数のリード板3の表面に密着される逆流制限層5は、好ましくは電位差のあるリード板3との間に接合しない非接合領域を設けて、電位差のあるリード板3の絶縁抵抗を大きく保持できる。電位差のあるリード板3が、接合層を介して逆流制限層5で連結されると、逆流制限層5が吸湿する水分で絶縁抵抗が小さくなるからである。とくに、発泡体のように微細な空隙のある逆流制限層5は、吸湿して電気抵抗が低下しやすいので、電位差のあるリード板3の境界に非接合領域を設けて絶縁抵抗を大きくすることはとくに有効である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る電池パックは、アシスト自転車、電動バイク、電動車椅子、電動カート、クリーナー、電動工具等の電池で駆動される機器用の充放電可能な電池パックとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0064】
100…電池パック
1…電池セル
1a、1b…端面電極
2…電池ホルダ
2A、2B…ホルダーユニット
3…リード板
3A…非溶接面
3B…溶接面
4…外装ケース
5…逆流制限層
6…回路基板
7…抵抗部
10…電池組立
21…表面プレート
22…保持部
23…電池収納部
24…電極窓
25…凹部
26…位置決凹部
27…絶縁リブ
28…収納スペース
29…接続窓
30…板状部
31…電極接続片
32…連結部
33…ガス透過隙間
33A…スリット開口
35…接続部
51…貫通穴
52…切り込み
101…円筒電池
102…筒体
103…熱伝導プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9