(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】給湯器の製造方法
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20250127BHJP
【FI】
F24H9/00 P
(21)【出願番号】P 2021121218
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2024-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】藤井 寛
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-055888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/06 - 9/45
F28F 9/00 - 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置において発生する燃焼排気を下方から上方に連通させる矩形筒状の周壁を備えた一次熱交換器と、
箱状の筐体を備え、前記一次熱交換器の上方に配設される二次熱交換器と、
前記一次熱交換器と前記二次熱交換器とを連通させる排気フードと
を備え、
前記一次熱交換器は、前記周壁の上端の開口から外方に延びる第一延出部を備え、
前記二次熱交換器は、前記筐体の後壁に、燃焼排気を流入させる流入口を備え、
前記排気フードは、第一フードと第二フードとを備え、
前記第一フードは、
前記一次熱交換器の前記開口を覆い、上方に膨出する第一本体部と、
前記第一本体部の前端及び左右端から外方に延び、前記第一延出部の前部、左部及び右部に上方から重なる第二延出部と、
前記第一延出部をかしめるために前記第二延出部の外縁に設けられる複数のかしめ片である第一かしめ片部と、
前記第一本体部の後端から上方、左方及び右方に延びて、前記周壁を通過した燃焼排気を流出させる流出口を形成し、前記二次熱交換器の前記後壁に後方から当接する当接部とを備え、
前記第二フードは、
前記流出口と前記流入口とを覆い、後方に膨出するとともに、下端が前方に向けてくびれた形状を有する第二本体部と、
前記第二本体部の上下端及び左右端から外方に延び、前記筐体の前記後壁及び前記当接部に後方から重なる第三延出部と、
前記第三延出部の下端から後方に延び、前記第一延出部の後部の左右方向における全体に上方から重なる第四延出部と、
前記第一延出部をかしめるために前記第四延出部の外縁に設けられる複数のかしめ片である第二かしめ片部とを備える、給湯器の製造方法であって、
前記第二フードの成型において、
前記第二フードが前記一次熱交換器及び前記二次熱交換器に対して取り付けられた状態における前後方向に対応する方向を第一方向とし、前記第一方向に直交する方向を第二方向とした場合、
板金に対して前記第一方向に沿った力を加えて、前記第二本体部及び前記第三延出部を成型し、前記第二かしめ片部に相当する部分を、前記第二方向の一方側の端部から前記第一方向の一方側に延びる態様で設ける第一工程と、
前記第一工程で成型された前記第三延出部のうち前記第二かしめ片部に相当する部分に連続する部分に前記第一方向に沿った力を加えて、前記第三延出部のうち前記第二かしめ片部に相当する部分から前記第二方向の他方側に所定の長さで離間した位置を前記第一方向の他方側に曲げて、前記第四延出部及び前記第二かしめ片部を成型する第二工程と
を備え、
前記第一工程及び前記第二工程によって前記第二フードの前記第二方向の一方側の端部に成型された前記第二かしめ片部が下方に延びるようにし、前記第二本体部が後方に膨出するようにして、前記第一フードと前記第二フードとを前記一次熱交換器及び前記二次熱交換器に対して組付け、前記第一かしめ片部と前記第二かしめ片部とを、前記第一延出部の全周に亘って配置させる
ことを特徴とする、給湯器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一次熱交換器と二次熱交換器とを備える潜熱回収型の給湯器が知られている。特許文献1は、下端部が一次熱交換装置に接続され、上端部が二次熱交換装置に接続される排気フードを備えた給湯器を開示する。燃焼装置で発生した燃焼排気は、一次熱交換装置から排気フードを経て二次熱交換装置に導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フードを、一次熱交換器に接続される第一フードと、第一フードと二次熱交換器とを接続する第二フードとに分けて構成することがある。この場合においても、第一フード及び第二フードのそれぞれが、一次熱交換器に対して気密性を保った状態で取り付けられる必要がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、排気フードを複数の部材に分けて構成しても、一次熱交換器に対して排気フードが適切に取り付けられる給湯器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
【0007】
請求項1に係る給湯器の製造方法は、燃焼装置において発生する燃焼排気を下方から上方に連通させる矩形筒状の周壁を備えた一次熱交換器と、箱状の筐体を備え、前記一次熱交換器の上方に配設される二次熱交換器と、前記一次熱交換器と前記二次熱交換器とを連通させる排気フードとを備え、前記一次熱交換器は、前記周壁の上端の開口から外方に延びる第一延出部を備え、前記二次熱交換器は、前記筐体の後壁に、燃焼排気を流入させる流入口を備え、前記排気フードは、第一フードと第二フードとを備え、前記第一フードは、前記一次熱交換器の前記開口を覆い、上方に膨出する第一本体部と、前記第一本体部の前端及び左右端から外方に延び、前記第一延出部の前部、左部及び右部に上方から重なる第二延出部と、前記第一延出部をかしめるために前記第二延出部の外縁に設けられる複数のかしめ片である第一かしめ片部と、前記第一本体部の後端から上方、左方及び右方に延びて、前記周壁を通過した燃焼排気を流出させる流出口を形成し、前記二次熱交換器の前記後壁に後方から当接する当接部とを備え、前記第二フードは、前記流出口と前記流入口とを覆い、後方に膨出するとともに、下端が前方に向けてくびれた形状を有する第二本体部と、前記第二本体部の上下端及び左右端から外方に延び、前記筐体の前記後壁及び前記当接部に後方から重なる第三延出部と前記第三延出部の下端から後方に延び、前記第一延出部の後部の左右方向における全体に上方から重なる第四延出部と、前記第一延出部をかしめるために前記第四延出部の外縁に設けられる複数のかしめ片である第二かしめ片部とを備える、給湯器の製造方法であって、前記第二フードの成型において、前記第二フードが前記一次熱交換器及び前記二次熱交換器に対して取り付けられた状態における前後方向に対応する方向を第一方向とし、前記第一方向に直交する方向を第二方向とした場合、板金に対して前記第一方向に沿った力を加えて、前記第二本体部及び前記第三延出部を成型し、前記第二かしめ片部に相当する部分を、前記第二方向の一方側の端部から前記第一方向の一方側に延びる態様で設ける第一工程と、前記第一工程で成型された前記第三延出部のうち前記第二かしめ片部に相当する部分に連続する部分に前記第一方向に沿った力を加えて、前記第三延出部のうち前記第二かしめ片部に相当する部分から前記第二方向の他方側に所定の長さで離間した位置を前記第一方向の他方側に曲げて、前記第四延出部及び前記第二かしめ片部を成型する第二工程とを備え、前記第一工程及び前記第二工程によって前記第二フードの前記第二方向の一方側の端部に成型された前記第二かしめ片部が下方に延びるようにし、前記第二本体部が後方に膨出するようにして、前記第一フードと前記第二フードとを前記一次熱交換器及び前記二次熱交換器に対して組付け、前記第一かしめ片部と前記第二かしめ片部とを、前記第一延出部の全周に亘って配置させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
給湯器は、排気フードを第一フードと第二フードとに分けて構成する。第一フードの第二延出部は、一次熱交換器の周壁の上端の開口から外方に延びる第一延出部の前部、左部及び右部に上方から重なる。第二フードの第二本体部の下端は、前方に向けてくびれた形状を有するので、流出口から第二フードの内部に流出した燃焼排気は、第二本体部の下端の形状に沿って上方に向かい、流入口へ導かれやすい。したがって、二次熱交換での熱交換の効率が向上する。第二フードの第四延出部は、第一延出部の後部の左右方向における全体に上方から重なる。第二延出部に設けられる第一かしめ片部と、第四延出部に設けられる第二かしめ片部とが第一延出部の全周に亘って配置される。第一かしめ片部と、第二かしめ片部とが第一延出部にかしめられることによって、第一フード及び第二フードと、第一熱交換器との接合部分の気密性が確保される。したがって、給湯器は、排気フードを分けて構成しても、一次熱交換器に対して排気フードを適切に取り付けることができる。
【0009】
第二フードを成型する工程が、板金に対して第一方向に沿って力を加える工程と、第二方向に沿って力を加える工程とを含む場合、工程の進行に応じて板金の向きを変更する工程が必要になったり、プレス金型が複雑化したりして、製造コストがかさむ可能性がある。本発明の第二態様に係る給湯器の製造方法は、第二フードの成型における第一工程及び第二工程のいずれにおいても、板金に対して、第一フードと第二フードと一次熱交換器及び二次熱交換器に対して組付けられた状態における前後方向に対応する第一方向に沿って力を加えることで、第二本体部、第三延出部、第四延出部及び第二かしめ片部の各部を成型できる。したがって、本発明の給湯器の製造方法は、一次熱交換器に対して適切に取り付けることができる形状の第二フードの生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】一次熱交換器5,二次熱交換器6及び排気フード10を右前方から見た斜視図である。
【
図3】一次熱交換器5,二次熱交換器6及び排気フード10を右上方から見た分解斜視図である。
【
図4】一次熱交換器5,二次熱交換器6及び排気フード10を右後方から見た分解斜視図である。
【
図5】一次熱交換器5,二次熱交換器6及び排気フード10を右下方から見た分解斜視図である。
【
図6】一次熱交換器5,二次熱交換器6及び排気フード10の右側面図である。
【
図7】第二フード120の成型工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造等は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0012】
図1を参照して、給湯器1の構成について説明する。給湯器1は、水道管から取り入れた水を加熱して外部に給湯するとともに、浴槽B内の湯水を循環し加熱する、潜熱回収型のガス給湯器である。給湯器1は、図示しない筐体に収容される内胴2の内部に、ファン3、燃焼装置4、一次熱交換器5及び二次熱交換器6を、主に備える。ファン3は、内胴2の下部に設けられる。ファン3は、内胴2の内部に空気を供給する。
【0013】
燃焼装置4は、内胴2においてファン3の上方に設けられる。燃焼装置4の内部は、仕切部材40によって二つの室に仕切られている。一方の室は、複数のガスバーナからなる給湯バーナ群41、点火プラグ411及びフレームロッド412を備える。他方の室は、複数のガスバーナからなる風呂バーナ群42、点火プラグ421及びフレームロッド422を備える。給湯器1は、外部のガス配管が接続されるガス入口11を備える。ガス入口11は、ガス分配ユニット12に接続する。ガス分配ユニット12は、ガス入口11から供給されるガスが流れるガス管及びガス管を流れるガスを給湯バーナ群41と風呂バーナ群42とに分配供給するための各種の電磁弁及び分配管を備える。給湯バーナ群41は、ガス分配ユニット12から供給されるガスと、ファン3から供給される空気との混合気を噴出する。点火プラグ411が混合気に点火することに応じて、混合気が燃焼する。風呂バーナ群42は、ガス分配ユニット12から供給されるガスと、ファン3から供給される空気との混合気を噴出する。点火プラグ421が混合気に点火することに応じて、混合気が燃焼する。
【0014】
一次熱交換器5は、内胴2において燃焼装置4の上方に設けられる。一次熱交換器5は、燃焼装置4において混合気の燃焼によって発生する燃焼排気を下方から上方に連通させる。一次熱交換器5の内部は、仕切部材50によって二つの室に仕切られている。一方の室の内部には、給湯用第一伝熱管53が配置される。他方の室の内部には、風呂用第一伝熱管54が配置される。給湯用第一伝熱管53及び風呂用第一伝熱管54は、一次熱交換器5を連通する燃焼排気から顕熱を回収するための水管である。一次熱交換器5において、燃焼排気の有する顕熱の熱エネルギーが、給湯用第一伝熱管53及び風呂用第一伝熱管54を流れる水に伝達する、熱交換が行われる。
【0015】
二次熱交換器6は、一次熱交換器5の上方に設けられ、排気フード10を介して一次熱交換器5に接続する。一次熱交換器5を通過した燃焼排気は、排気フード10を介して二次熱交換器6に進入する。二次熱交換器6の内部は、二つの室に仕切られている。一方の室の内部には、給湯用第二伝熱管63が配置される。他方の室の内部には、風呂用第二伝熱管64が配置される。給湯用第二伝熱管63及び風呂用第二伝熱管64は、二次熱交換器6を連通する燃焼排気から潜熱を回収するための水管である。二次熱交換器6において、燃焼排気の有する潜熱の熱エネルギーが、給湯用第二伝熱管63及び風呂用第二伝熱管64を流れる水に伝達する、熱交換が行われる。潜熱が回収された後の燃焼排気は、排気口68に連通する排気筒69から排気される。
【0016】
給湯器1は、入水口13、給水部14、給水管71、中継管81、出水管91、バイパス管101、出水部15及び出水口16を備える。入水口13には、外部の水道管が接続される。入水口13は、給水部14に接続する。給水部14は、流量制御用のモータ、水流センサ、入水温度センサ等を備える。給水管71は、給水部14と給湯用第二伝熱管63とを接続する水管である。中継管81は、給湯用第二伝熱管63と給湯用第一伝熱管53と接続する水管である。出水管91は、給湯用第一伝熱管53と出水部15とを接続する水管である。バイパス管101は、一次熱交換器5及び二次熱交換器6を介さずに給水部14と出水管91とを接続する水管である。出水部15は、給湯温度センサ等を備える。出水口16は出水部15に接続し、出水管91を流れる湯とバイパス管101から供給される水とが混合された適温の湯を、外部に給湯する。
【0017】
給湯器1は、入湯口721、ポンプ72、給水管722、中継管82、出湯管92及び出湯口921を備える。入湯口721は、外部の浴槽Bに連通し、ポンプ72の駆動に応じて浴槽Bの内部の湯を吸い込む。給水管722は、ポンプ72と風呂用第二伝熱管64とを接続する水管である。中継管82は、風呂用第二伝熱管64と風呂用第一伝熱管54と接続する水管である。出湯管92は、風呂用第一伝熱管54と出湯口921とを接続する水管である。出湯口921は、浴槽Bに連通し、一次熱交換器5及び二次熱交換器6で加熱されて出湯管92を流れる湯を浴槽Bに吐出する。
【0018】
また、給湯器1は、ドレン配管661,662及び中和器66を備える。ドレン配管6661は、二次熱交換器6の下部に設けられるドレン排出口663と中和器66とを接続する。二次熱交換器6において潜熱の回収によって生じたドレンは、ドレン排出口663から二次熱交換器6の外部に排出され、ドレン配管661を介して中和器66に送られる。中和器66に送られたドレンは中和器66において中和処理され、ドレン配管662を介して給湯器1の外部に排出される。
【0019】
図2から
図4を参照して、一次熱交換器5、二次熱交換器6及び排気フード10の構成について説明する。一次熱交換器5は、上下方向に延びる矩形筒状の周壁51を備える。周壁51は、伝熱性に優れた金属製であり、内胴2の一部を構成する。周壁51は、前壁511、後壁512、左壁513及び右壁514を備える。前壁511、後壁512、左壁513及び右壁514の下端部のそれぞれは、周壁51の下部に矩形状の開口517を形成する。周壁51は、開口517から外方に延びる縁部518において、角箱状の燃焼装置4の上部における開口部に接続する。周壁51は、燃焼装置4において混合気の燃焼によって発生する燃焼排気を下方から上方に連通させる。周壁51の内部には、
図1に示す給湯用第一伝熱管53及び風呂用第一伝熱管54が、前後方向に複数回往復するように配置される。前壁511及び後壁512に設けられる複数の貫通孔のうち、右側の7つの貫通孔に給湯用第一伝熱管53が配置され、左側の3つの貫通孔に風呂用第一伝熱管54が配置される。なお、周壁51の構成を明示するため、
図2から
図5において、給湯用第一伝熱管53及び風呂用第一伝熱管54の図示を省略している。
【0020】
図3及び
図4に示すように、前壁511、後壁512、左壁513及び右壁514の上端部のそれぞれは、周壁51の上部に矩形状の開口515を形成する。一次熱交換器5において顕熱が回収された後の燃焼排気は、開口515から上方に流出する。開口515の周縁には、開口515から外方に延びる第一延出部55が設けられる。第一延出部55は、延出部551,552,553,554を備える。延出部551は、前壁511の上端部から前方に向けて略水平に延びる。延出部552は、後壁512の上端部から後方向けて略水平に延びる。延出部553は、左壁513の上端部から左方に向けて略水平に延びる。延出部554は、右壁514の上端部から右方に向けて略水平に延びる。
【0021】
二次熱交換器6は、伝熱性に優れた金属製の筐体61を備え、内胴2の一部を構成する。筐体61は、上壁611、下壁612、左壁613、右壁614、前壁615及び
図4に示す後壁616を備える。上壁611、下壁612、前壁615及び後壁616の左右方向の幅は、一次熱交換器5の左右方向の幅と略同じである。上壁611、下壁612、左壁613及び右壁614の前後方向の幅は、一次熱交換器5の前後方向の幅よりも長い。後壁616は燃焼装置4の後部と略同じ位置に配置され、筐体61の前部は一次熱交換器5の前部よりも前方に突出して配置される。
【0022】
図4に示すように、筐体61の内部は、二つの室に仕切られており、右側の室には、給湯用第二伝熱管63が、左右方向に複数回往復するように配置される。左側の室には、風呂用第二伝熱管64が、左右方向に複数回往復するように配置される。右壁614の前下部には、給湯用第二伝熱管63の上流端が配置される接続部631が設けられる。右壁614の後上部には、給湯用第二伝熱管63の下流端が配置される接続部632が設けられる。なお、図示しないが、左壁613には、風呂用第二伝熱管64の上流端及び下流端のそれぞれが配置される接続部が設けられる。
【0023】
後壁616の中央部には、筐体61の内部に燃焼排気を流入させるための矩形状の開口である流入口617,618が左右に並んで設けられている。右方の流入口617は、給湯用第二伝熱管63が配置される側の室に対応して設けられる。左方の流入口618は、風呂用第二伝熱管64が配置される側の室に対応して設けられる。流入口617,618の上方には、ねじ穴11D,11E,11F,11Gが、左から順に並んで設けられる。
【0024】
図2に示すように、前壁615の中央部には、左右方向に延びる矩形状の排気口68が設けられる。二次熱交換器6において潜熱が回収された後の燃焼排気は、排気口68から排気される。前壁615には、排気口68に連通するように、排気筒69が前側から固定されている。排気筒69は、排気口68から流出した燃焼排気を給湯器1の外部に排出する。
【0025】
排気フード10は、一次熱交換器5の周壁51の開口515を上方から覆い、一次熱交換器5と二次熱交換器6とを連通させるための部材であり、内胴2の一部を構成する。排気フード10は、第一フード110と第二フード120とを備える。第一フード110は、伝熱性に優れた金属製であり、排気フード10の前側部分を構成する。第二フード120は、排気フード10の後側部分を構成する。
【0026】
図3及び
図4に示すように、第一フード110は、第一本体部111、第二延出部112、第一かしめ片部115、当接部116及び当接枠117を備える。第一本体部111は、上方に膨出する形状を有する。第一本体部111は、一次熱交換器5の周壁51の開口515を上方から覆う。第二延出部112は、第一本体部111の前端、左端及び右端から外方に向けて略水平に延びる部分である。
【0027】
第二延出部112の外縁には、複数のかしめ片113が、所定の間隔で設けられる。かしめ片113のそれぞれは下方に延び、その中央部に、図示しないかしめピンが挿入される貫通孔を備える。第二延出部112の外縁に設けられる複数のかしめ片113の集合を、以下、第一かしめ片部115という。
【0028】
図3及び
図4に示すように、当接部116は、第一本体部111の後端から上方、左方及び右方に向けて略鉛直に延びる部分である。
図4に示すように、当接部116は、一次熱交換器5の周壁51の後壁512よりも前方の位置において延びる。
図4に示すように、当接部116と第一本体部111とが連続する部分は、後方に向けてアーチ状に開口する開口部である流出口114を形成する。流出口114は、第二延出部112及び第一本体部111の内部に導かれた燃焼排気を、第一フード110の後方に流出させる。当接部116の前面は、二次熱交換器6の後壁616に対して後方から当接する。当接部116の左部には、ねじ穴11A,11B,11Cが、下から順に並んで設けられる。当接部116の右部には、ねじ穴11H,11I,11Jが、上から順に並んで設けられる。
【0029】
なお、当接部116の中央部よりもやや左方に寄った位置には、仕切部材50が取り付けられる。仕切部材50は、排気フード10の内部を二つの室に仕切る板状部材である。仕切部材50の左側の室は、一次熱交換器5において風呂用第一伝熱管54が配置される領域の上方に配置される室に対応し、仕切部材50の右側の室は、一次熱交換器5において給湯用第一伝熱管53が配置される領域の上方に配置される室に対応する。
【0030】
当接枠117は、当接部116よりも後方において、第二延出部112と上下方向における同じ位置で、後方に向けて略水平に延びる部分である。当接枠117の形状は、第一延出部55のうち延出部552の形状に対応している。
【0031】
図3及び
図4に示すように、第二フード120は、後面視で左右方向に長い長方形状である。第二フード120は、第二本体部121、第三延出部122、第四延出部123、第二かしめ片部126を備える。第二本体部121は、後方に膨出する形状を有し、第二フード120の本体部を構成する。第二本体部121は、その中央部において最も後方に膨出し、中央部から外方に向かうにつれて前方にくびれた形状を有する。第三延出部122は、第二本体部121の上端、下端、左端及び右端から外方に向けて略鉛直に延び、第二本体部121の周縁を構成する面部である。第三延出部122の上端部は、後方にわずかに折り返されることにより、第三延出部122の上部を補強している。第三延出部122の左部には、ねじ穴12A,12B,12Cが、下から順に並んで設けられる。第三延出部122の上部には、ねじ穴12D,12E,12F,12Gが、左から順に並んで設けられる。第三延出部122の右部には、ねじ穴12H,12I,12Jが、上から順に並んで設けられる。
【0032】
図4に示すように、第四延出部123は、第三延出部122の下端から後方に向けて略水平に延びる部分である。第四延出部123は、第二フード120の下部において、左右方向の全体に亘って延びる。第四延出部123の外縁には、複数のかしめ片125が、所定の間隔で設けられる。かしめ片125のそれぞれは下方に延び、その中央部に、図示しないかしめピンが挿入される貫通孔を備える。第四延出部123の外縁に設けられる複数のかしめ片125の集合を、以下、第二かしめ片部126という。
【0033】
図3から
図5を参照して、一次熱交換器5、排気フード10及び二次熱交換器6の組付け方法の一例を説明する。
図3及び4に示すように、排気フード10のうち第一フード110は、一次熱交換器5に組付けられる。第一フード110の第二延出部112は、一次熱交換器5の周壁51の開口515の周縁に設けられる第一延出部55に対して、上方から重なるように組付けられる。第二延出部112のうち第一本体部111の前端から前方に延びる前部分13Aは、第一延出部55のうち延出部551に対して上方から重なる。第二延出部112のうち第一本体部111の左端から左方に延びる左部分13Bは、第一延出部55のうち延出部552に対して上方から重なる。第二延出部112のうち第一本体部111の右端から右方に延びる右部分13Cは、第一延出部55のうち延出部553に対して上方から重なる。また、当接枠117は、一次熱交換器5の周壁51の第一延出部55のうち延出部553に対して上方から重なる。これにより、周壁51の第一延出部55に対して、第一フード110の第二延出部112及び当接枠117が位置決めされる。また、第一フード110の第一本体部111が、周壁51の開口515を上方から覆った状態が構成される。
【0034】
なお、前部分13Aの中央部には、二次熱交換器6の前部を第一フード110に対して支持するための支持部材67をねじ止め固定するための固定部118,119が設けられている。支持部材67は、側面視でL字状の板状部材であり、上下方向に延びる第一部分671と、第一部分671の上端から前方に延びる第二部分672とを備える。
【0035】
支持部材67の第一部分671は、筐体61の下壁612の前部に下方から当接する。第一部分671の左側のねじ穴673と固定部118とがねじ止め固定される。また、第一部分671の右側のねじ穴674と固定部119とがねじ止め固定される。これにより、二次熱交換器6の前部が第一フード110に対して支持される。また、第一フード110の当接部116の前面は、二次熱交換器6の後壁616に対して後方から当接するので、当接部116と二次熱交換器6の後壁616とが、前後方向において略同じ位置に並んで配置される。
【0036】
この状態で、第一フード110及び二次熱交換器6の後方に対して、第二フード120が組付けられる。第二フード120の第四延出部123は、一次熱交換器5の第一延出部55のうち延出部552に対して、第一フード110の当接枠117を介して、上方から重ねられる。第四延出部123は、延出部552の左右方向の全体を覆うようにして、延出部552に重ねられる。第四延出部123の外縁に設けられる複数のかしめ片125は、延出部552の外縁に沿って配置される。
【0037】
第三延出部122の上部は、二次熱交換器6の筐体61の後壁616に対して、図示しないパッキンを介して後方から重なる。第三延出部122の下部は、第一フード110の当接部116に対して、図示しないパッキンを介して後方から重なる。第三延出部122の左部のねじ穴12A,12B,12Cは、当接部116左部のねじ穴11A,11B,11Cに、それぞれ重ねられ、互いにねじ止めされる。第三延出部122の上部のねじ穴12D,12E,12F,12Gは、筐体61の後壁616の上部のねじ穴11D,11E,11F,11Gに、それぞれ重ねられ、互いにねじ止めされる。第三延出部122の右部のねじ穴12H,12I,12Jは、当接部116右部のねじ穴11H,11I,11Jに、それぞれ重ねられ、互いにねじ止めされる。これにより、第二フード120の第二本体部121が、第一フード110の流出口114と、筐体61の後壁616の流入口617,618とを、後方から覆った状態が構成される。
【0038】
この状態において、
図5に示すように、第一フード110の第二延出部112のうち前部分13Aの外縁に設けられる複数のかしめ片113は、一次熱交換器5の周壁51の第一延出部55のうち、延出部551の外縁に沿って配置される。
図3に示す左部分13Bの外縁に設けられる複数のかしめ片113は、第一延出部55のうち
図3及び
図4に示す延出部553の外縁に沿って配置される。右部分13Cの外縁に設けられる複数のかしめ片113は、第一延出部55のうち延出部554の外縁に沿って配置される。すなわち、第一かしめ片部115が、一次熱交換器5の周壁51の第一延出部55のうち延出部551,553,554の周囲に亘って配置される。また、第二フード120の第四延出部123の外縁に設けられる複数のかしめ片125からなる第二かしめ片部126が、第一延出部55のうち
図3及び
図4に示す延出部552の外縁に沿って配置される。すなわち、第一フード110と第二フード120とが一次熱交換器5及び二次熱交換器6に対して組付けられた状態において、第一かしめ片部115と第二かしめ片部126とが、一次熱交換器5の周壁51の第一延出部55の全周に亘って配置される。
【0039】
第一かしめ片部115を構成する複数のかしめ片113のそれぞれは、延出部551,553,554のそれぞれに沿って内方に折り曲げられて、延出部551,553,554のそれぞれに対してかしめられる。また、第二かしめ片部126を構成する複数のかしめ片125も、延出部552の外縁に沿って内方に折り曲げられて、延出部552に対してかしめられる。これにより、第一フード110の第二延出部112及び第二フード120の第四延出部123と、一次熱交換器5の周壁51の第一延出部55とが強固に接合され、第一フード110及び第二フード120と一次熱交換器5との気密性が確保される。すなわち、給湯器1は、排気フード10を第一フード110及び第二フード120の二つの部材に分けて構成しても、一次熱交換器5に対して第一フード110及び第二フード120を適切に取り付けることができる。
【0040】
図6を参照して、燃焼排気が一次熱交換器5及び排気フード10を通過して二次熱交換器6に導かれる様子について説明する。矢印Y1に示すように、燃焼装置4で発生した燃焼排気は、一次熱交換器5の周壁51の内部を下方から上方に向かい、
図3及び
図5に示す開口515から第一フード110の内部に流出する。第一フード110の内部に流入した燃焼排気は、
図4及び
図5に示す流出口114から流出し、第二フード120の内部に流入する。第二フード120の第二本体部121の下部は、前方にくびれた形状を有している。このため、第二フード120の内部に流入した燃焼排気は、第二本体部121の下部の形状に沿って上方に向かう。第二本体部121の上部に向かった燃焼排気は、二次熱交換器6の筐体61の
図4に示す後壁616の流入口617,618から二次熱交換器6の内部に流入する。すなわち、第一フード110から第二フード120に流入した燃焼排気が、第二フード120の第二本体部121の下部のくびれた形状に沿って第二本体部121の内部を円滑に上方に向かうので、第二フード120の内部における燃焼排気に圧力損失が生じにくい。よって、燃焼排気は熱エネルギーを十分に保った状態で第二フード120の内部を移動し、二次熱交換器6の内部に流入できる。したがって、給湯器1は、二次熱交換器6における熱交換の効率を向上できる。
【0041】
図7を参照して、第二フード120の成型工程について説明する。第二フード120は板金100を、金型を固定したプレス機械を用いてプレス加工することによって成型される。本成型工程において用いられる金型は、上金型210と下金型220とを備える。上金型210は、プレス機械において上下に駆動するスライドに固定される。下金型220は、プレス機械において第一方向における位置が固定されたボルスタに固定される。上金型210は、上金型210に対して第一方向の一方から他方に向けて独立して移動可能な分割金型21Aを備える。下金型220は、下金型220に対して第一方向の一方から他方に向けて独立して移動多能な分割金型22Aを備える。なお、本成型工程における第一方向は上下方向であり、第一方向の一方側が上側に、第一方向の他方側が下側に、それぞれ対応する。また、第一方向は、成型工程による完成品の第二フード120が、一次熱交換器5及び二次熱交換器6に組付けられた状態における前後方向に対応する。第一方向の一方側が、第二フード120が一次熱交換器5及び二次熱交換器6に組付けられた状態における前側に、第一方向の他方側が、第二フード120が一次熱交換器5及び二次熱交換器6に組付けられた状態における後側に、それぞれ相当する。
【0042】
また、第一方向に直交する方向を第二方向とする。本成型工程における第二方向は左右方向であり、第二方向の一方側が左側に、第一方向の他方側が右側に、それぞれ対応する。また、第二方向は、成型工程による完成品の第二フード120が、一次熱交換器5及び二次熱交換器6に組付けられた状態における上下方向に対応する。第二方向の一方側が、第二フード120が一次熱交換器5及び二次熱交換器6に組付けられた状態における下側に、第一方向の他方側が、第二フード120が一次熱交換器5及び二次熱交換器6に組付けられた状態における上側に、それぞれ相当する。本成型工程で成型される形状の説明のため、
図7において、板金100、成型途中の中間品109、完成品の第二フード120、上金型210及び下金型220のそれぞれを、断面図で模式的に示す。
【0043】
第二フード120の成型工程が開始されると、作業者は、
図7(1)に示す板金100を準備し、
図7(2)に示すように、上金型210と下金型220との間に板金100を投入する。上金型210は、第一方向の他方側面の各部分として、部分21B,21C,21D,21E,21Fを備える。部分21Bは、上金型210の第一方向の他方の位置に配置される、略水平な面部である。部分21Bは、部分21Cとの段差によって第二フード120の第三延出部122の上部の折返し部分を成型するために設けられている。部分21Cは、部分21Bの第二方向の一方に隣接し、部分21Bよりも第一方向の一方に配置される、略水平な面部である。部分21Cは、第二フード120の第三延出部122の上部形状に対応する部分である。部分21Dは、部分21Cの第二方向の一方に隣接する。部分21Dは、第二フード120の第二本体部121の膨出形状に対応して、第一方向の他方に向けて突出する部分である。部分21Eは、部分21Dの第二方向の一方に隣接し、部分21Dの上端部に連続して略水平に延びる面部である。部分21Eのうち、部分21Dから第二方向の一方にやや離間した部分に、分割金型21Aが配置される。第二フード120の成型工程が開始される場合、分割金型21Aの下面は、部分21Eと第一方向において同じ位置に並んで配置される。また、部分21Cと部分21Eとは、第一方向において同じ位置に配置される。部分21Fは、部分21Eの第二方向の一方に隣接し、部分21Eよりも第一方向の一方に配置される略水平な面部である。部分21Fは、後述する中間品109の第二かしめ片部に相当する部分128を成型するために設けられる部分である。
【0044】
下金型220は、第一方向の一方側面の各部分として、部分22B,22C,22D,22E,22Fを備える。部分22Bは、上金型210の部分21Bに対向する部分である。部分22Bは、下金型220の第一方向の他方の位置に配置される、略水平な面部である。部分22Cは、上金型210の部分21Cに対向する部分である。部分22Cは、部分22Bの第二方向の一方に隣接し、部分22Bよりも第一方向の一方側に配置される、略水平な面部である。部分22Dは、上金型210の部分21Dに対向する部分である。部分22Dは、部分22Cの第二方向の一方に隣接する。部分22Dは、第二フード120の第二本体部121の膨出形状に対応して、第一方向の他方に陥没する部分である。部分22Eは、上金型210の部分21Eに対向する部分である。部分22Eは、部分22Dの第二方向の一方に隣接し、部分22Dの上端部に連続して略水平に延びる面部である。部分22Eには、分割金型22Aが配置される。第二フード120の成型工程が開始される場合、分割金型22Aの上面は、部分22Eを構成する。第二フード120の成型工程が開始される場合、部分22Cと部分22Eとは、第一方向において同じ位置に配置される。また、部分22Fは、上金型210の部分21Fに対向する部分である。部分22Fは、部分22Eの第二方向の一方に隣接し、部分22Eよりも第一方向の一方において略水平に延びる。
【0045】
次の工程で、作業者は、
図7(3)に示すように、上金型210を第一方向の一方から他方に移動させて下金型220に近接させ、板金100に対して第一方向の一方から他方に向かう力Fを加える。これにより、板金100が上金型210及び下金型220の形状に合わせて成形されて、中間品109が得られる。中間品109は、第三延出部122、第二本体部121、中間部127、部分128を備える。中間品109における第三延出部122は、下金型220の部分22Cと上金型210の部分21Cとの間の板金100がプレスされることによって成形される。中間品109における第三延出部122は、完成品の第二フード120における第三延出部122のうち、第二本体部121の上端、左端及び右端から外方に向けて延びる部分に相当する。第二本体部121は、下金型220の部分22Dと上金型210の部分21Dとの間の板金100がプレスされることによって成形される。
【0046】
中間部127は、下金型220の部分22Eと上金型210の部分21Eとの間の板金100がプレスされることによって成形される。中間部127は、完成品の第二フード120における第三延出部122のうち、第二本体部121の下端から外方に延びる部分と、第四延出部123に相当する部分とを包含する部分である。中間部127は、
図7(3)に示す工程において、第三延出部122と第一方向において同じ位置において略水平に延びる。部分128は、下金型220の部分22Eと部分22Fとに亘って配置された板金100の端部が、上金型210の部分21E及び部分22Fによってプレスされることによって成形される。部分128は、中間部127の第二本体部121とは反対側の端部において、中間部127に対して垂直に折れ曲がった状態に成形される。部分128は、完成品の第二フード120において第二かしめ片部126を構成する部分である。
【0047】
次の工程で、作業者は、
図7(4)に示すように、上金型210に内蔵されている分割金型21Aを、第一方向の一方から他方に向けて移動させ、部分21Eから突出させる。また、作業者は、下金型220に内蔵されている分割金型22Aを、第一方向の一方から他方に向けて移動させて部分22Eを陥没させる。中間部127のうち部分128に近接する部分に、第一方向の一方から他方に向かう力Fが加わる。これにより、中間部127のうち部分128から第二方向の他方側に所定の長さで離間した位置において、中間部127のうち部分128に連続する部分が、中間部127のうち第二本体部121に連続する部分に対して垂直に折れ曲がる。中間部127のうち第二本体部121に近接する部分は、完成品の第二フード120における第三延出部122のうち、第二本体部121の下端から外方に向けて延びる部分を形成する。中間部127のうち部分128に近接する部分は、第四延出部123を形成する。部分128は、形成された第四延出部123の外縁において第四延出部123に対して垂直に延びるようになり、第二かしめ片部126を形成する。したがって、
図7(5)に示すように、第二フード120が完成する。
【0048】
仮に、プレス加工品を成型する工程が、板金に対して第一方向に沿った力を加える工程と、第二方向に沿った力を加える工程とを含む場合、工程の進行に応じて、金型に対する板金の向きを変更する工程が必要となる。第二フード120の成型工程は、上金型210及び下金型220を用いて、板金100に対し第二方向に沿った力を加えることなく、第一方向に沿った力Fを加えることによって、中間品109を経て完成品の第二フード120を成型することができる。すなわち、第二フード120の成型工程は、第二フード120の生産性を向上できる。
【0049】
以上説明したように、給湯器1は、一次熱交換器5と二次熱交換器6とを連通させる排気フード10を備える。排気フード10は、第一フード110と第二フード120とに分けて構成されている。第一フード110の第二延出部112は、一次熱交換器5の周壁51の上端の開口515から外方に延びる第一延出部55の前部、左部及び右部を構成する延出部551,553,554に対して、上方から重なる。第二フード120の第二本体部121の下端は、前方に向けてくびれた形状を有するので、第一フード110の流出口114から第二フード120の内部へ流出した燃焼排気は、その第二本体部121の下端の形状に沿って第二本体部121の内部を上方に向かう。したがって、第二本体部121の内部の燃焼排気が、二次熱交換器6の流入口617,618へ効率よく導かれる。第二フード120の第四延出部123は、第一延出部55の後部を構成する延出部552の左右方向における全体を覆うようにして、延出部552の上方に重ねられる。これにより、第一フード110が備える第一かしめ片部115と、第二フード120が備える第二かしめ片部126とが、一次熱交換器5の周壁51の第一延出部55の全周に亘って配置される。第一かしめ片部115を構成する複数のかしめ片113のそれぞれは、延出部551,552,553に対してかしめられる。第二かしめ片部126を構成する複数のかしめ片125は、延出部551に対してかしめられる。これによって、第一フード110の第二延出部112及び第二フード120の第四延出部123と、一次熱交換器5の周壁51の第一延出部55とが強固に接合され、第一フード110及び第二フード120と一次熱交換器5との気密性が確保される。このように、給湯器1は、排気フード10を第一フード110と第二フード120とに分けて構成しても、一次熱交換器5に対して排気フード10を適切に取り付けることができる。
【0050】
第二フード120等の給湯器1の部品の成型工程が、板金に対して第一方向に沿って力を加える工程と、第一方向に直交する第二方向に沿って力を加える工程とを含む場合、工程の進行に応じて板金の向きを変更する必要が生じる。また、金型の形状が複雑化すること等によって、部品の製造コストがかさむ可能性がある。給湯器1の第二フード120の成型工程は、板金100に第一方向の一方から他方に向かう力Fを加えて、第三延出部122、第二本体部121、中間部127、部分128を備える中間品109を成型する第一の工程を備える。また、第二の工程は、中間部127に第一方向の一方から他方に向かう力Fを加えて、部分128から第二方向の他方側に所定の長さで離間した位置において中間部127を垂直に折り曲げる。これに応じて、第三延出部122のうち、第二本体部121の下端から外方に向けて延びる部分と、第四延出部123が形成される。これにより、部分128は、形成された第四延出部123の外縁において第四延出部123に対して垂直に延びるようになり、第二かしめ片部126を形成する。いずれの工程においても、板金100及び中間品109に対して力Fが第一方向の一方から他方に向かう方向に加えられるので、第二府―と120の生産性が向上する。
【0051】
本実施形態において、給湯器1が、本発明の「給湯器」に相当する。燃焼装置4が、本発明の「燃焼装置」に相当する。一次熱交換器5が、本発明の「一次熱交換器」に相当する。周壁51が、本発明の「周壁」に相当する。開口515が、本発明の「開口」に相当する。第一延出部55が、本発明の「第一延出部」に相当する。二次熱交換器6が、本発明の「二次熱交換器」に相当する。筐体61が、本発明の「筐体」に相当する。流入口617,618が、本発明の「流入口」に相当する。排気フード10が、本発明の「排気フード」に相当する。第一フード110が、本発明の「第一フード」に相当する。第一本体部111が、本発明の「第一本体部」に相当する。第二延出部112が、本発明の「第二延出部」に相当する。第一かしめ片部115が、本発明の「第一かしめ片部」に相当する。当接部116が、本発明の「当接部」に相当する。流出口114が、本発明の「流出口」に相当する。第二フード120が、本発明の「第二フード」に相当する。第二本体部121が、本発明の「第二本体部」に相当する。第三延出部122が、本発明の「第三延出部」に相当する。第四延出部123が、本発明の「第四延出部」に相当する。第二かしめ片部126が、本発明の「第二かしめ片部」に相当する。
図7(3)に示す工程が、本発明の「第一工程」に相当する。
図7(4)に示す工程が、本発明の「第二工程」に相当する。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、給湯器1は、ガス給湯器に限られず、石油給湯器等であってもよい。また、給湯器1は、給湯用の水管の回路と、風呂用の水管の回路との双方を備えるが、いずれか一方の回路を備えてもよい。また、給湯器1が、暖房用等の別の水管の回路を備えてもよい。
【0053】
第一かしめ片部115を構成する複数のかしめ片113の数及び第二かしめ片部126を構成する複数のかしめ片125の数は、一次熱交換器5と排気フード10との気密性を担保するために、任意に変更されてもよい。第一かしめ片部115を構成する複数のかしめ片113同士の間隔は、等間隔であってもよいし、等間隔でなくてもよい。第二かしめ片部126を構成する複数のかしめ片125同士の間隔は、等間隔であってもよいし、等間隔でなくてもよい。また、複数のかしめ片113同士の間隔と、複数のかしめ片125同士の間隔とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0054】
第二フード120の成型工程において、上金型210と下金型220との上下関係が反対であってもよい。すなわち、上金型210がプレス機械のボルスタに固定され、下金型220がプレス機械のスライドに固定され、上金型210に対して下金型220が上方から下方に向けて近接されることによって板金100がプレス加工されて、第二フード120が成型されてもよい。また、上金型210と下金型220とが近接する方向、すなわち第一方向は上下方向に制限されない。したがって、第一方向が左右方向であり、第二フード120の成型工程において、板金100及び中間品109に対して加えられる力Fが、左右方向に沿った力であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 給湯器
4 燃焼装置
5 一次熱交換器
6 二次熱交換器
10 排気フード
51 周壁
55 第一延出部
61 筐体
110 第一フード
111 第一本体部
112 第二延出部
114 流出口
115 第一かしめ片部
116 当接部
120 第二フード
121 第二本体部
122 第三延出部
123 第四延出部
515 開口
617,618 流入口