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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】釣り用浮き
(51)【国際特許分類】
   A01K 93/00 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
A01K93/00 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023126891
(22)【出願日】2023-08-03
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2021-04-19
(65)【公開番号】P2023133544
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2024-04-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524156700
【氏名又は名称】有限会社トオヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 国利
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-051178(JP,A)
【文献】実公平05-038620(JP,Y2)
【文献】特開2014-054206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 93/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端側に糸通部が設けられた棒状の浮き本体と、該浮き本体の上端に、下端部が着脱自在に接続される空洞長尺の魚信部材とが備えられた釣り用浮きにおいて、
該釣り用浮きを、
前記浮き本体の上端に、筒状の弾性部材の下端部が取り付けられ、
該弾性部材の上端部に、魚信部材の下端部が着脱自在に嵌入接続された構成とするにあたり、
浮き本体の上端部には、弾性部材の内周面とのあいだに隙間を存する状態で、上端部が弾性部材の上端よりも上方に突出する針金状部材が設けられ、
魚信部材は、該魚信部材の下端部に針金状部材が嵌入する状態で弾性部材と針金状部材とのあいだの隙間に嵌入することで前記着脱自在な嵌入接続がなされたものであって、
浮き本体には、上端が浮き本体の上端よりも上方に突出する状態でパイプ部材の下端部が埋設され、
弾性部材は、下端部がパイプ部材の浮き本体から突出する上端部に外嵌組み込みされることで浮き本体に取り付けられ、
針金状部材は、下端部がパイプ部材に嵌入組み込みされたものであることを特徴とする釣り用浮き。
【請求項2】
浮き本体には、下端部に内蔵される固定錘と、パイプ部材に挿入組み込みされる追加錘とが設けられ、
前記追加錘が針金状部材であることを特徴とする請求項記載の釣り用浮き。
【請求項3】
弾性部材は、上端側の外径が細径になった截頭円錐筒形状をしていることを特徴とする請求項1または2項記載の釣り用浮き。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上端に弾性部材を介して魚信部材を接続するとともに下端側に錘を内蔵した棒状の釣り用浮きに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、釣りに使用する浮きとして、特許文献1に示す如く水面で自立する棒浮きが主流となってきている。この棒浮きは、釣り場や釣り方を選ばず水面上における視認性が高いことから、幅広く使用されている。このような浮きの中でも特に、特許文献1に示す如く浮き本体上端に魚信部材を備えるとともに、下端側に錘を内蔵した細長い下膨れ形状の釣り用浮きが従来より使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭55-169184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして上記の如き従来の浮きには、浮き本体に浮力が表示されている。しかしながら、当該浮き本体が木製など天然素材の場合は同じ大きさの製品であっても浮き本体に使用する木等の原料の部位によってその重量が異なるため、人工素材のように重さや密度など、全てを厳密に同じにすることは困難であった。そのため、このような天然素材の浮き本体に浮力が表示されていた場合でも、実際の浮力とは異なるため釣りの際に表記されている浮力と実際は異なっているという支障をきたす場合があった。そのような場合には、従来の釣り用浮きには錘が浮き本体の内部に固定埋設されているため、後から当該錘の重さの調節を行うことは困難であった。
【0005】
また、従来の浮き本体に魚信部材を、弾性部材を介して離脱困難に固定配置した場合には、この浮き本体と魚信部材とを接続する弾性部材が保存方法によっては折れ曲がりや癖が生じ、再度浮き本体と魚信部材とを真っ直ぐに使用することが困難となる場合があった。また、魚信部材が長尺な場合には、当該魚信部材が折れ曲がったり破損したりする事態が生じやすくなっていた。そのため、上記事態が生じた場合には、新たな釣り用浮きを準備しなければならず効率が悪いとともにコストが高くつくものとなっていた。
【0006】
そこで、本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、浮き本体に備えられた錘の重さを調節可能とするとともに、魚信部材が折れ曲がった場合でも浮き全体を交換する必要がない釣り用浮きを得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の如き課題を解決することを目的とするものであって、請求項1の発明は、下端側に糸通部が設けられた棒状の浮き本体と、該浮き本体の上端に、下端部が着脱自在に接続される空洞長尺の魚信部材とが備えられた釣り用浮きにおいて、該釣り用浮きを、前記浮き本体の上端に、筒状の弾性部材の下端部が取り付けられ、該弾性部材の上端部に、魚信部材の下端部が着脱自在に嵌入接続された構成とするにあたり、浮き本体の上端部には、弾性部材の内周面とのあいだに隙間を存する状態で、上端部が弾性部材の上端よりも上方に突出する針金状部材が設けられ、魚信部材は、該魚信部材の下端部に針金状部材が嵌入する状態で弾性部材と針金状部材とのあいだの隙間に嵌入することで前記着脱自在な嵌入接続がなされたものであって、浮き本体には、上端が浮き本体の上端よりも上方に突出する状態でパイプ部材の下端部が埋設され、弾性部材は、下端部がパイプ部材の浮き本体から突出する上端部に外嵌組み込みされることで浮き本体に取り付けられ、針金状部材は、下端部がパイプ部材に嵌入組み込みされたものであることを特徴とする釣り用浮きである。
請求項2の発明は、浮き本体には、下端部に内蔵される固定錘と、パイプ部材に挿入組み込みされる追加錘とが設けられ、前記追加錘が針金状部材であることを特徴とする請求項記載の釣り用浮きである。
請求項3の発明は、弾性部材は、上端側の外径が細径になった截頭円錐筒形状をしていることを特徴とする請求項1または2項記載の釣り用浮きである。
【0008】
【発明の効果】
【0009】
上記の如く構成することにより、例えば管状の魚信部材を使用した場合において、パイプ部材から突出した針金状の追加錘によって当該魚信部材の空洞部に挿通しやすいように誘導できるだけでなく、上記弾性部材に装着した後も、当該弾性部材による歪みやガタつきをなくし、しっかりと浮き本体に装着することが可能となる。その上、魚信部材のぐらつきを解消することができる。そのため、細長い魚信部材であっても浮き本体に装着した際に不安定になることがなく、真っ直ぐに接続することができる。
【0010】
また、浮き本体の上端側にパイプ部材を埋設され、このパイプ部材の先端側を上記浮き本体の上端よりも外方に突出配置し、上記パイプ部材の内部に調整用の追加錘を挿入配置可能としたものであるから、浮き本体に内蔵された錘のみでは当該浮き本体に表示された浮力を実現することが困難な場合であっても、後から調整用の追加錘を上記浮き本体のパイプ部材に挿入することにより、上記浮き本体に表示された浮力に忠実な浮力を実現することができる。
また上記の如く上記浮き本体の上端側に設けたパイプ部材に調整用の追加錘を挿入配置することにより、浮き本体の下端側のみならず当該浮き本体の上方にも錘が位置するものとなる。そのため、浮き本体の下端側のみに錘を内蔵した従来品と比較して、浮き本体の重心が分散することにより、波による揺れを抑制することができるとともに、浮き本体を安定して水面に配置することができる。よって、本発明の釣り用浮きを使用することにより、釣り人には魚信が見えやすくなり、釣果の向上が期待できる。
【0011】
また本発明の魚信部材は、上記浮き本体の上端側に突出したパイプ部材を芯としてその周囲に弾性部材を装着固定することが可能であり、その結果、魚信部材の基端側を弾性部材に着脱自在に接続可能とすることができるものである。上記の如く弾性部材を用いることにより、浮き本体と魚信部材との接続部に柔軟性が生まれ、折れ曲がりにくいものとなる。一方、万が一踏みつけるなどして魚信部材が折れ曲がった場合でも浮き全体を交換する必要がなく、折れ曲がった魚信部材のみを新しいものに交換することにより、当初の状態に復元することが可能となる。そのため、同じ浮き本体を長期間にわたって使用することができ効率的且つ経済的あり、また目的に応じて多様な長さや色の魚信部材を選ぶことも可能である。また上記弾性部材は、魚信部材の防水の役割も担っている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の参考例を示す浮き本体の部分切欠断面図。
図2】参考例の組み立て概念図。
図3】参考例の部分拡大断面図。
図4】本発明の実施の形態を示す浮き本体の部分切欠断面図。
図5図4の部分拡大断面図。
図6】実施の形態の部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の参考例を図1~3に於いて説明すると、(1)は浮き本体であって、紡錘型で長尺な棒状としている。またこの浮き本体(1)には、図1に示す如く下端に環状の糸通部(2)を設けるとともに、当該浮き本体(1)の下端側の内部には、固定錘(3)が軸心部に沿って内蔵されている。
【0014】
また図1に示す如く、浮き本体(1)の上端側には軸心方向にパイプ部材(4)が埋設されており、このパイプ部材(4)の先端(5)側が、浮き本体(1)の上端(6)よりも外方に突出するよう設けられている。そしてこのパイプ部材(4)の内部には、図1に示す如く追加錘(7)を挿入配置している。
【0015】
このように、浮き本体(1)に設けられたパイプ部材(4)の内部に追加錘(7)を挿入可能とすることにより、浮き本体(1)に内蔵された固定錘(3)のみでは当該浮き本体(1)に表示された浮力を実現困難な場合であっても、後から調整用の追加錘(7)を上記浮き本体(1)のパイプ部材(4)に挿入することにより、当該浮き本体(1)に表示された浮力を確実に得ることができる。よって、従来品のような浮力の正確性の問題が発生する事態が生じることなく、安心して使用することができる。
【0016】
また上記の如く調整用の追加錘(7)を浮き本体(1)の上端側に設けたパイプ部材(4)に挿入配置することにより、浮き本体(1)の下端側のみならず浮き本体(1)の上端側にも錘が位置するものとなるため、浮き本体(1)の下端側のみに錘を内蔵した従来品と比較して、浮きの重心が安定するものとなる。よって本参考例の浮きを釣りに使用した場合には、波によるふらつきを軽減することが可能となり水面に釣り用浮きを安定した状態で配置できるため、当該釣り用浮きを使用する釣り人にとっては、魚信(アタリ)を目視しやすいものとなる。
【0017】
また上記パイプ部材(4)の先端(5)には、図2、3に示す如く円筒状の弾性部材(8)の一端(12)側を設けている。尚、この弾性部材(8)はゴムやウレタンなどの柔軟性のある素材にて形成している。そしてこの弾性部材(8)の他端(13)には、図3に示す如く内部を空洞とした長尺で細長い魚信部材(10)が接続されている。即ち、当該魚信部材(10)の基端部(11)は上記弾性部材(8)の他端(13)に着脱自在に接続配置されており、上記弾性部材(8)の一端(12)側は、パイプ部材(4)の先端(5)に着脱不能に固定配置されている。これにより、本参考例の釣り用浮きが完成する。
【0018】
上記の如く、当該魚信部材(10)を上記浮き本体(1)に弾性部材(8)を介して着脱自在に接続可能とすることにより、本参考例の釣り用浮きにて釣りを行った際に魚信部材(10)が折れ曲がった場合でも、浮き全体を交換する必要がなく折れ曲がった魚信部材(10)のみを新しいものに交換するのみで当初の状態に復元できるため、同じ浮き本体(1)を長期間にわたって使用することができ効率的且つ経済的である。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図4~6に於いて説明すると、(31)は浮き本体であって、下膨れ型の長尺で細長い棒状としている。またこの浮き本体(31)には、図4に示す如く下端に環状の糸通部(32)を突設するとともに、当該浮き本体(31)の下端側内部には軸心部に沿って固定錘(33)が内蔵されている。またこの浮き本体(31)の上端(36)側には円筒状のパイプ部材(34)が設けられている。
【0020】
即ち図5に示す如く、浮き本体(31)の上端側には、軸心部に沿ってパイプ部材(34)が埋設されており、このパイプ部材(34)の先端(35)側が浮き本体(31)の上端(36)よりも外方に突出するよう設けられている。そしてこのパイプ部材(34)の内部には、図5に示す如く針金状の追加錘(37)を挿入配置している。
【0021】
このように、浮き本体(31)に設けられたパイプ部材(34)の内部に追加錘(37)を配置可能なものとすることにより、浮き本体(31)に内蔵された固定錘(33)のみでは当該浮き本体(31)に表示された浮力を確実に得ることが困難な場合であっても、後から調整用の追加錘(37)を上記浮き本体(31)のパイプ部材(34)に挿入することにより、上記浮き本体(31)に表示された浮力を実現することができる。よって、従来品のような浮力の正確性の問題が発生しにくくなるため釣り人は安心して本実施の形態の釣り用浮きを使用することができる。
【0022】
またこのように調整用の追加錘(37)を挿入配置することにより、浮き本体(31)の下端側のみならず浮き本体(31)の上端側にも錘が位置するものとなるため、浮き本体(31)の下端側のみに錘を内蔵した従来品と比較して、浮きの重心が分散することにより、波による揺れを抑制することが可能となる。よって本実施の形態の浮き本体(31)を備えた釣り用浮きを使用した場合には、波によるふらつきを軽減することが可能となり水面に浮きを安定した状態で配置できるため、釣り人はアタリ(魚信)を目視しやすいものとなる。
【0023】
また本実施の形態では、上記参考例とは異なり追加錘(37)として針金状のもの(針金状部材)を使用している。この針金状部材である追加錘(37)は図5に示す如く、パイプ部材(34)の上端側に挿入配置されるとともに、当該追加錘(37)がパイプ部材(34)の上端側に位置するよう当該針金錘をパイプ部材(34)に接着剤(図示せず。)にて固定配置されている。またこの追加錘(37)の先端(上端)(38)側は、図5に示す如く、以下に説明するパイプ部材(34)に設けた弾性部材(40)の内周面とのあいだに間隙Sを存する状態で、弾性部材(40)の他端(上端)(42)側よりも外方(上方)に突出するよう位置調整されている。
【0024】
即ち上記パイプ部材(34)の先端(上端)(35)には、図5に示す如く、上端側の外径が細径になった截頭円錐筒形状の弾性部材(40)の一端(下端)(41)側を接続している。尚、この弾性部材(40)はゴムやウレタンなどの柔軟性のある素材にて形成している。そしてこの弾性部材(40)の他端(上端)(42)には、図6に示す如く細長い管状の魚信部材(43)を接続可能としている。ここで上記の通り、当該弾性部材(40)の他端(上端)(42)側には針金状の追加錘(37)の先端(上端)(38)部分が当該弾性部材(40)よりも外方(上方)に突出して固定配置されている。
【0025】
そのため、上記魚信部材(43)を弾性部材(40)に取り付ける際に、図6に示す如く、空洞の魚信部材(43)の下端部に追加錘(37)を上端から嵌入させながら、魚信部材(43)を弾性部材(40)と追加錘(37)とのあいだの間隙Sに嵌入することで、魚信部材(43)の基端部(下端部)(44)を弾性部材(40)の他端(上端)(42)側に接続配置することができる。そのため、初心者でも細長く長尺な魚信部材(43)を追加錘(37)に沿って弾性部材(40)に浮き本体(31)と同一直線上にまっすぐ接続することが可能となる。
【0026】
また上記参考例では、当該魚信部材(10)の基端部(11)を弾性部材(8)の他端(13)に着脱自在に接続配置するとともに、上記弾性部材(8)の一端(12)側をパイプ部材(4)の先端(5)に着脱不能に固定配置しているが、本実施の形態においても弾性部材(40)の一端(下端)(41)側をパイプ部材(34)に着脱困難に固定配置するとともに、当該弾性部材(40)の他端(上端)(42)側に、上記魚信部材(43)の基端部(下端部)(44)を着脱自在に接続可能としている。
【0027】
また本実施の形態の魚信部材(43)は上記の如く、上記浮き本体(31)に弾性部材(40)を介して着脱自在に接続可能としているものであるから、実際に使用した際に魚信部材(43)が折れ曲がった場合でも、浮き全体を交換する必要がなく折れ曲がった魚信部材(43)のみを新しいものに交換するのみで当初の状態に復元できるため、同じ浮き本体(31)を長期間にわたって使用することができ効率的且つ経済的である。
【0028】
【符号の説明】
【0029】
1,31 浮き本体
2,32 糸通部
3,33 固定錘
4,34 パイプ部材
5,35 先端(上端)
6,36 上端
7,37 追加錘
8,40 弾性部材
10,43 魚信部材
11,44 基端部(下端部)
12,41 一端(下端)
13,42 他端(上端)
38 先端(上端)
図1
図2
図3
図4
図5
図6