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特許7625313年金管理システム、プログラム及び年金管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】年金管理システム、プログラム及び年金管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1057 20230101AFI20250127BHJP
【FI】
G06Q10/1057
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024160048
(22)【出願日】2024-09-17
【審査請求日】2024-09-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522130656
【氏名又は名称】一般社団法人確定拠出年金診断協会
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215267
【弁理士】
【氏名又は名称】古屋 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100215555
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100135530
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 智代
(72)【発明者】
【氏名】分部 彰吾
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-501909(JP,A)
【文献】特開2006-215841(JP,A)
【文献】特開2022-110800(JP,A)
【文献】特許第6996020(JP,B1)
【文献】特開2021-166042(JP,A)
【文献】特開2003-256658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象となる対象ユーザの確定拠出年金の取引レポートの撮影画像から、運用金額と、評価損益額を抽出する抽出部と、
前記対象ユーザの運用金額と前記評価損益額とに基づいて、評価損益率を求め、記憶部に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの評価損益率の分布に対する、前記対象ユーザの前記評価損益率の位置に基づいて、前記対象ユーザの取引の評価値を決定する評価値決定部と、
前記評価値を出力部から出力させる出力処理部と
を備える、年金管理システム。
【請求項2】
確定拠出年金は、企業型確定拠出年金であり、
前記評価値決定部は、前記対象ユーザの前記評価損益率と、企業による想定利回りと、に基づいて、前記評価値を決定する、請求項1に記載の年金管理システム。
【請求項3】
前記抽出部は、前記対象ユーザの前記運用金額及び前記評価損益額を前記登録ユーザの情報として、または、前記対象ユーザの前記評価損益率を前記登録ユーザの情報として、前記登録ユーザの識別情報に対応付けて、前記記憶部に記憶する、請求項1に記載の年金管理システム。
【請求項4】
前記抽出部はさらに、前記撮影画像から運用商品の種類と、運用商品の割合を抽出し、
前記記憶部は、前記登録ユーザの前記運用商品の種類と、前記運用商品の割合と、をさらに記憶し、
前記出力処理部は、前記抽出部により抽出された前記運用商品の種類と前記運用商品の割合と、を示す対象ポートフォリオ情報と、前記記憶部に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの運用商品の種類と、運用商品の割合とを示す参照ポートフォリオ情報と、を表示部に表示させる、請求項1に記載の年金管理システム。
【請求項5】
前記対象ポートフォリオ情報及び前記参照ポートフォリオ情報は、前記運用商品の種類と前記運用商品の割合をグラフで示す情報である、請求項4に記載の年金管理システム。
【請求項6】
前記参照ポートフォリオ情報は、前記記憶部に格納されている複数の登録ユーザのうち、所定の条件を満たす登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、を示す情報である、請求項4に記載の年金管理システム。
【請求項7】
確定拠出年金は、企業型確定拠出年金であり、
前記条件は、評価損益率が想定利回り以上であること、である、請求項6に記載の年金管理システム。
【請求項8】
前記出力処理部は、前記記憶部に格納されている複数の登録ユーザのうち、第1の条件を満たす登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、を示す第1参照ポートフォリオ情報と、前記第1の条件と異なる第2の条件を満たす登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、を示す第2参照ポートフォリオ情報と、を、前記対象ポートフォリオ情報と共に表示させる、請求項4に記載の年金管理システム。
【請求項9】
前記記憶部は、前記登録ユーザそれぞれのリスク許容度をさらに記憶し、
前記出力処理部は、前記登録ユーザを前記評価損益率と前記リスク許容度と、に基づいて、複数のグループに分類し、グループ毎の前記参照ポートフォリオ情報を、前記対象ポートフォリオ情報と共に表示させる、請求項4に記載の年金管理システム。
【請求項10】
前記抽出部はさらに、前記撮影画像から運用金額を抽出し、
前記対象ユーザの年齢と、前記評価損益額と、前記運用金額と、に基づいて、前記対象ユーザの退職金予定額を予測する退職金予測部をさらに備え、
前記出力処理部は、前記退職金予定額を出力させる、請求項1に記載の年金管理システム。
【請求項11】
前記記憶部は、同一の登録ユーザに対して発行された複数の前記取引レポートそれぞれぞれの情報を履歴として記憶し、
前記出力処理部は、前記履歴を出力させる、請求項1に記載の年金管理システム。
【請求項12】
前記抽出部はさらに、前記撮影画像から口座番号を抽出し、
ユーザ操作に応じて、ポートフォリオ変更指示を受け付けた場合には、手続サイトを表示させ、前記手続サイトの入力欄に前記口座番号を入力する手続補助部をさらに備える、請求項1に記載の年金管理システム。
【請求項13】
手続補助部は、前記ポートフォリオ変更指示を受け付けるポートフォリオ変更画面を表示させ、前記ポートフォリオ変更画面において、変更後のポートフォリオとして、ユーザにより指定された登録ユーザのポートフォリオを表示させる、請求項12に記載の年金管理システム。
【請求項14】
コンピュータを、抽出部、評価値決定部及び出力処理部として機能させるプログラムであって、
前記抽出部は、処理対象となる対象ユーザの確定拠出年金の取引レポートの撮影画像から、運用金額と、評価損益額を抽出し、
前記評価値決定部は、前記対象ユーザの運用金額と前記評価損益額とに基づいて、評価損益率を求め、記憶部に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの評価損益率の分布に対する、前記対象ユーザの前記評価損益率の位置に基づいて、前記対象ユーザの取引の評価値を決定し、
前記出力処理部は、前記評価値を出力部から出力させる、プログラム。
【請求項15】
制御部を有するコンピュータにより行われる年金管理方法であって、
前記制御部が、処理対象となる対象ユーザの確定拠出年金の取引レポートの撮影画像から、運用金額と、評価損益額を抽出する工程と、
前記制御部が、前記対象ユーザの運用金額と前記評価損益額とに基づいて、評価損益率を求め、記憶部に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの評価損益率の分布に対する、前記対象ユーザの前記評価損益率の位置に基づいて、前記対象ユーザの取引の評価値を決定する工程と、
前記制御部が、前記評価値を出力部から出力させる工程と、
を含む、年金管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、年金管理システム、プログラム及び年金管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
年金制度として、確定拠出年金制度が知られている。特許文献1には、加入者による運用結果が当初に立てた計画と乖離してきた場合に、その加入者に通知するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-211594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確定拠出年金制度の加入者の中には、運用状況について把握していない者や、運用に対して行動を起こすのが面倒であると感じている者が多いという問題があった。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、加入者がより簡単に確定拠出年金の運用に関わるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の年金管理システムは、
処理対象となる対象ユーザの確定拠出年金の取引レポートの撮影画像から、運用金額と、評価損益額を抽出する抽出部と、
記憶部に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの評価損益率と、前記抽出部により抽出された対象ユーザの前記運用金額及び前記評価損益額と、に基づいて、前記対象ユーザの取引の評価値を決定する評価値決定部と、
前記評価値を出力部から出力させる出力処理部と
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の年金管理システムにおいては、
確定拠出年金は、企業型確定拠出年金であり、
前記評価値決定部は、前記評価損益額及び前記運用金額と、企業による想定利回りと、に基づいて、前記評価値を決定してもよい。
【0008】
本発明の年金管理システムにおいては、
前記抽出部は、前記対象ユーザの前記運用金額及び前記評価損益額を前記登録ユーザの情報として、または、前記対象ユーザの前記評価損益率を前記登録ユーザの情報として、前記登録ユーザの識別情報に対応付けて、前記記憶部に記憶してもよい。
【0009】
本発明の年金管理システムにおいては、
前記抽出部はさらに、前記撮影画像から運用商品の種類と、運用商品の割合を抽出し、
前記記憶部は、前記登録ユーザの前記運用商品の種類と、前記運用商品の割合と、をさらに記憶し、
前記出力処理部は、前記抽出部により抽出された前記運用商品の種類と前記運用商品の割合と、を示す対象ポートフォリオ情報と、前記記憶部に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの運用商品の種類と、運用商品の割合とを示す参照ポートフォリオ情報と、を表示部に表示させてもよい。
【0010】
本発明の年金管理システムにおいては、
前記対象ポートフォリオ情報及び前記参照ポートフォリオ情報は、前記運用商品の種類と前記運用商品の割合をグラフで示す情報であってもよい。
【0011】
本発明の年金管理システムにおいては、
前記参照ポートフォリオ情報は、前記記憶部に格納されている複数の登録ユーザのうち、所定の条件を満たす登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、を示す情報であってもよい。
【0012】
本発明の年金管理システムにおいては、
確定拠出年金は、企業型確定拠出年金であり、
前記条件は、評価損益率が想定利回り以上であること、であってもよい。
【0013】
本発明の年金管理システムにおいては、
前記出力処理部は、前記記憶部に格納されている複数の登録ユーザのうち、第1の条件を満たす登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、を示す第1参照ポートフォリオ情報と、前記第1の条件と異なる第2の条件を満たす登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、を示す第2参照ポートフォリオ情報と、を、前記対象ポートフォリオ情報と共に表示させてもよい。
【0014】
本発明の年金管理システムにおいては、
前記記憶部は、前記登録ユーザそれぞれのリスク許容度をさらに記憶し、
前記出力処理部は、前記登録ユーザを前記評価損益率と前記リスク許容度と、に基づいて、複数のグループに分類し、グループ毎の前記参照ポートフォリオ情報を、前記対象ポートフォリオ情報と共に表示させてもよい。
【0015】
本発明の年金管理システムにおいては、
前記抽出部はさらに、前記撮影画像から運用金額を抽出し、
前記対象ユーザの年齢と、前記評価損益額と、前記運用金額と、に基づいて、前記対象ユーザの退職金予定額を予測する退職金予測部をさらに備え、
前記出力処理部は、前記退職金予定額を出力させてもよい。
【0016】
本発明の年金管理システムにおいては、
前記記憶部は、同一の登録ユーザに対して発行された複数の前記取引レポートそれぞれぞれの情報を履歴として記憶し、
前記出力処理部は、前記履歴を出力させてもよい。
【0017】
本発明の年金管理システムにおいては、
前記抽出部はさらに、前記撮影画像から口座番号を抽出し、
ユーザ操作に応じて、ポートフォリオ変更指示を受け付けた場合には、手続サイトを表示させ、前記手続サイトの入力欄に前記口座番号を入力する手続補助部をさらに備えてもよい。
【0018】
本発明の年金管理システムにおいては、
手続補助部は、前記ポートフォリオ変更指示を受け付けるポートフォリオ変更画面を表示させ、前記ポートフォリオ変更画面において、変更後のポートフォリオとして、ユーザにより指定された登録ユーザのポートフォリオを表示させてもよい。
【0019】
本発明のプログラムは、
コンピュータを、抽出部、評価値決定部及び出力処理部として機能させるプログラムであって、
前記抽出部は、処理対象となる対象ユーザの確定拠出年金の取引レポートの撮影画像から、運用金額と、評価損益額を抽出し、
前記評価値決定部は、記憶部に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの評価損益率と、前記抽出部により抽出された対象ユーザの前記運用金額及び前記評価損益額と、に基づいて、前記対象ユーザの取引の評価値を決定し、
前記出力処理部は、前記評価値を出力部から出力させる、ことを特徴とする。
【0020】
本発明の年金管理方法は、
制御部を有するコンピュータにより行われる年金管理方法であって、
前記制御部が、処理対象となる対象ユーザの確定拠出年金の取引レポートの撮影画像から、運用金額と、評価損益額を抽出する工程と、
前記制御部が、記憶部に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの評価損益率と、前記対象ユーザの前記運用金額及び前記評価損益額と、に基づいて、前記対象ユーザの取引の評価値を決定する工程と、
前記制御部が、前記評価値を出力部から出力させる工程と、
を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、加入者がより簡単に確定拠出年金の運用に関わるための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】年金管理システムの全体構成図である。
図2】取引レポート画像の一例を示す図である。
図3】登録ユーザDBのデータ構成例を示す図である。
図4】年金管理処理を示すフローチャートである。
図5】評価画面の表示例を示す図である。
図6】比較画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。図1乃至図6は、本実施形態に係る年金管理システム、プログラム及び年金管理方法等を示す図である。
【0024】
図1は、本実施形態に係る年金管理システム1の全体構成図である。年金管理システム1は、ユーザの企業型確定拠出年金を管理する。ここで、対象となるユーザは、所定の企業の企業型確定拠出年金の加入者に限定されるものではなく、いずれかの企業の企業型確定拠出年金の加入者であればよい。すなわち、年金管理システム1は、対象となる企業を制限することなく、企業型確定年金を管理する。
【0025】
年金管理システム1は、年金管理サーバ装置10と、ユーザ装置20と、を備えている。年金管理サーバ装置10と、ユーザ装置20とは、インターネット等の通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0026】
年金管理サーバ装置10は、ユーザが利用するユーザ装置20から取引レポートの撮影画像を取得し、取得した撮影画像から各種情報を抽出することで、ユーザの企業型確定拠出年金の状況を管理する。ここで、取引レポートは、ユーザが加入する企業型確定拠出年金の一定期間における状況が紙媒体に印字されたものである。
【0027】
年金管理サーバ装置10は、情報処理装置であり、制御部100と、記憶部110と、通信部120と、を備えている。
【0028】
制御部100は、CPU(中央演算装置)等のプロセッサを含み、年金管理サーバ装置10の動作を制御する。記憶部110は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びSSD(Solid State Drive)などを含む。また、記憶部110は、年金管理サーバ装置10に内蔵されるものに限定されることはなく、年金管理サーバ装置10に着脱自在に装着可能な記憶媒体(例えば、USBメモリ)等であってもよい。本実施形態では、記憶部110は、制御部100により実行される各種プログラムや、各種データを記憶する。
【0029】
通信部120は、無線または有線により、外部装置との間で通信を行う通信インターフェースを含む。制御部100は、通信部120を介してユーザ装置20との間でデータの送受信を行う。
【0030】
ユーザ装置20は、情報処理装置である。ユーザ装置20は、スマートフォン、PCタブレット等の携帯型の装置であってもよい。ユーザ装置20は、制御部200と、記憶部210と、通信部220と、操作部230と、表示部240と、撮影部250と、を備えている。制御部200と、記憶部210と、通信部220は、それぞれ年金管理サーバ装置10の制御部100、記憶部110及び通信部120と同様である。操作部230は、ユーザ操作を受け付ける。表示部240は、例えばモニタ等であり、様々な画面を表示する。操作部230と表示部240は、タッチパネルとして一体に設けられてもよい。なお、ユーザ装置20は、撮影部250は備えなくてもよい。この場合には、ユーザ装置20は、撮影装置から撮影画像を取得可能であるものとする。
【0031】
本実施形態においては、ユーザ装置20には、年金管理のためのアプリケーションがインストールされているものとする。このアプリケーションにより、年金管理サーバ装置10との情報の送受信が行われるものとする。
【0032】
次に、年金管理サーバ装置10の制御部100の構成について説明する。制御部100は、記憶部110に記憶されているプログラムを実行することにより、取得部101、抽出部102、評価値決定部103、退職金予測部104、手続補助部105及び出力処理部106を備えている。以下において、取得部101、抽出部102、評価値決定部103、退職金予測部104、手続補助部105及び出力処理部106が行うこととして記載する処理は、制御部100がプログラムを実行することにより行う処理である。
【0033】
取得部101は、通信部120を介してユーザ装置20から各種情報を取得する。取得部101は、例えば、取引レポートの撮影画像や、ユーザの年齢等の情報を取得する。以下では、処理対象となるユーザを対象ユーザと称する。また、取引レポートの撮影画像を取引レポート画像と称する。
【0034】
抽出部102は、取引レポートの撮影画像から、各種情報を抽出する。取引レポート画像は、ユーザ装置20の撮影部250により撮影され、通信部220を介して年金管理サーバ装置10へ送信される。抽出部102は、取引レポート画像から、対象ユーザの氏名、作成日、口座番号、運営管理機関、年金資産評価額、運用金額、評価損益額、金融商品(運用商品)の商品名とその割合、を抽出する。以下においては、取引レポート画像から抽出された、対象ユーザの氏名、作成日、口座番号、運営管理機関、年金資産評価額、運用金額、評価損益額、商品名とその割合を、適宜、取引情報と称する。
【0035】
抽出部102は、例えば、文字認識処理により、取引情報を抽出する。また、取引レポートの書式は、予め定まっていることから、取引レポート画像における各種情報の記載位置と、記載内容と、により情報抽出のための学習モデルが生成され、記憶部110に格納されていることとしてもよい。この場合には、抽出部102は、当該学習モデルを利用して、取引情報を抽出してもよい。
【0036】
図2は、取引レポート画像40の一例を示す図である。図2に示す取引レポート画像40においては、左上の第1領域401に加入者氏名が記載されている。右上の第2領域402に作成日が記載され、その下の第3領域403に口座番号、運営管理機関が記載されている。
【0037】
さらに、取引レポート画像40の中央の第4領域404には、左側から順に、年金資産評価額、運用金額及び評価損益額が記載されている。取引レポート画像40の右下の第5領域405には、現在保有している運用商品の商品名と割合とが記載されている。
【0038】
評価値決定部103は、抽出部102により抽出された運用金額と、評価損益額から評価値を決定する。ここで、評価値とは、予め登録された複数の登録ユーザとの比較において現在の対象ユーザの取引状況を数値化して示すものである。本実施形態においては、評価値は、最も低い1から最も高い5までの5段階で表されるものとする。
【0039】
退職金予測部104は、抽出部102により抽出された運用金額と、対象ユーザの年齢と、に基づいて、退職金予定額を演算する。手続補助部105は、ユーザ操作に応じて、運用商品の種類や配分の割合を変更する配分変更や、他の金融商品に買い替えるスイッチング等の手続きの補助となる処理を行う。
【0040】
出力処理部106は、各種情報をユーザ装置20の表示部240に表示させる。具体的には、出力処理部106は、通信部120を介してユーザ装置20に表示対象となる表示情報を送信する。なお、上述の各機能部の処理については、後に詳述する。
【0041】
図3は、登録ユーザDB50のデータ構成例を示す図である。登録ユーザDB50は、記憶部110に記憶される。登録ユーザDB50には、登録ユーザの取引情報が記憶される。さらに、対象ユーザの取引情報が抽出部102により抽出されると、これらの情報が登録ユーザの取引情報として登録ユーザDB50に追加される。このように、本実施形態の年金管理サーバ装置10においては、対象ユーザの取引情報は、登録ユーザの取引情報として登録ユーザDB50記憶され、後に、新たな対象ユーザの処理の際に登録ユーザDB50が参照される。
【0042】
図3に示すように、登録ユーザDB50においては、登録ユーザ毎に、ユーザIDに対応付けて、氏名、年齢、作成日、口座番号、運営管理機関、年金資産評価額、運用金額、評価損益額、商品とその割合が記憶される。ここで、ユーザIDは、各登録ユーザを識別するための情報であり、登録時に制御部100により付与される。年齢は、ユーザ装置20において、ユーザ操作に応じて入力され、ユーザ装置20から年金管理サーバ装置10へ送信される。
【0043】
氏名、作成日、口座番号、運営管理機関、年金資産評価額、運用金額、評価損益額、商品とその割合は、いずれも抽出部102により取引レポート画像から抽出された情報である。
【0044】
図4は、年金管理サーバ装置10による年金管理処理を示すフローチャートである。前提として、対象ユーザは、ユーザ装置20の撮影部250を用いて、自身の取引レポートの撮影を行う。これにより、対象ユーザは取引レポート画像を取得する。そして、対象ユーザは、ユーザ操作に応じて、ユーザ装置20から年金管理サーバ装置10へ取引レポート画像を送信する。また、対象ユーザは、自身の年齢をユーザ装置20に入力する。当該ユーザ操作に応じて、ユーザ装置20から年金管理サーバ装置10へ対象ユーザの年齢が送信される。
【0045】
これに対し、年金管理サーバ装置10の取得部101は、ユーザ装置20から送信された対象ユーザの取引レポート画像及び年齢を取得する(ステップS100)。次に、抽出部102は、取引レポート画像から、対象ユーザの各種情報を抽出する(ステップS102)。具体的には、抽出部102は、対象ユーザの氏名、作成日、口座番号、運営管理機関、年金資産評価額、運用金額、評価損益額、商品とその割合を取得する。
【0046】
次に、抽出部102は、対象ユーザの取引レポート画像から抽出した情報と、年齢と、を登録ユーザの取引情報として、登録ユーザDB50に登録する(ステップS104)。具体的には、抽出部102は、ユーザIDを新たに発行し、ユーザIDと、取引レポート画像から抽出した情報とを、1人の登録ユーザの取引情報として登録ユーザDB50に登録する。さらに、対象ユーザからユーザ装置20を介して年齢が取得された場合には、年齢も取引情報として登録される。
【0047】
次に、評価値決定部103は、取得した情報のうち、運用金額と、評価損益額と、に基づいて、対象ユーザの取引状況の評価値を決定する(ステップS106)。具体的には、評価値決定部103は、評価損益額を運用金額で除することで、対象ユーザの評価損益率を求める。さらに、評価値決定部103は、登録ユーザDB50に登録されているすべての登録ユーザの評価損益率を求め、登録ユーザの評価損益率の分布における、対象ユーザの評価損益率の位置に基づいて、評価値を求める。
【0048】
評価値決定部103は、例えば、登録ユーザの評価損益率の最小値から最大値までを5等分することで小さい方から順に、第1グループ~第5グループの5つのグループに分類する。そして、評価値決定部103は、対象ユーザの評価損益率の属するグループを評価値として求める。例えば、対象ユーザの評価損益率が第3グループに属する場合には、対象ユーザの評価値は3となる。
【0049】
次に、出力処理部106は、評価画面をユーザ装置20の表示部240に表示させる(ステップS108)。ここで、評価画面は、対象ユーザの評価値を示す表示画面である。具体的には、出力処理部106は、通信部120を介してユーザ装置20に評価画面をユーザ装置20に送信する。ユーザ装置20においては、評価画面を受信すると、制御部200は、評価画面を表示部240に表示する。本処理は、出力処理部106が、評価値を出力部から出力させる処理の一例である。なお、出力処理部106は、評価値を出力部から出力させればよい。他の例としては、年金管理サーバ装置10が表示部を備える場合には、表示部に評価値を表示させてもよい。
【0050】
図5は、ユーザ装置20の表示部240に表示される評価画面60の表示例を示す図である。評価画面60には、「あなたの評価値は、5段階評価において3です。」というように評価値を示す情報が表示される。さらに、図5に示す評価画面60においては、登録ユーザDB50に登録されている登録ユーザの評価損益率を横軸、登録ユーザの人数を縦軸とする棒グラフが表示される。さらに、対象ユーザが属するグループの評価損益率の棒が他の棒と異なる色等異なる表示態様で示されている。これにより、対象ユーザは、登録ユーザとの比較において、自身の取引状況を確認することができる。
【0051】
次に、出力処理部106は、ユーザ装置20におけるユーザ操作に応じて、比較画面表示指示を受け付けたか否かを確認する(ステップS110)。出力処理部106は、比較画面表示指示を受け付けた場合には(ステップS110でY)、比較画面をユーザ装置20の表示部240に表示させる(ステップS112)。比較画面表示指示を受け付けなかった場合には(ステップS110でN)、制御部100は、処理をステップS114へ進める。
【0052】
図6は、ユーザ装置20の表示部240に表示される比較画面70の表示例を示す図である。比較画面70には、対象ユーザの保有する金融商品とその割合を示すテキスト情報と円グラフとが示される。さらに、評価値5に属する登録ユーザの保有する金融商品とその割合を示すテキスト情報と円グラフが示される。また、評価値1に属する登録ユーザの保有する運用商品とその割合を示すテキスト情報と円グラフが示される。
【0053】
なお、評価値5の登録ユーザの運用商品とその割合は、評価値5の複数の登録ユーザの運用商品とのその割合から決定される、標準的な運用商品とその割合であるものとする。評価値1の登録ユーザの運用商品とその割合も同様である。
【0054】
ここで、図6に示される対象ユーザの保有する運用商品とその割合を示すテキスト情報と円グラフは、いずれも対象ユーザのポートフォリオを示す情報である。以下、これを、対象ポートフォリオ情報と称する。また、評価値1の登録ユーザ及び評価値5の登録ユーザそれぞれの保有する運用商品とその割合を示すテキスト情報と円グラフは、いずれも登録ユーザのポートフォリオを示す情報である。以下、これらを参照ポートフォリオ情報と称する。
【0055】
このように、対象ポートフォリオ情報と、参照ポートフォリオ情報と、を並べて表示することで、対象ユーザは、自身のポートフォリオと登録ユーザのポートフォリオとを比較することができる。
【0056】
さらに、評価値の低い評価値1の登録ユーザのポートフォリオと、評価値の高い評価値5の登録ユーザそれぞれのポートフォリオと、が表示される。これにより、2つのポートフォリオは、評価損益率を高めるのに寄与するポートフォリオを検討する際の材料となり得る。
【0057】
図4のステップS112の処理の後、手続補助部105は、通信部120を介して、ユーザ装置20からポートフォリオ変更画面表示指示を受け付けたか否かを確認する(ステップS114)。対象ユーザは、ポートフォリオの変更のシミュレーションを行いたい場合には、ポートフォリオ変更画面を表示させるべく、ポートフォリオ変更画面表示指示をユーザ装置20に入力する。例えば、図6の比較表示画面においては、「評価値5のユーザのポートフォリオに変更しますか?」という質問に対し、「はい」を選択すると、ポートフォリオ変更画面表示指示が入力される。これに対応し、ユーザ装置20は、ポートフォリオ変更画面表示指示を年金管理サーバ装置10へ送信する。
【0058】
ステップS114において、手続補助部105は、ポートフォリオ変更画面表示指示を取得した場合には(ステップS114でY)、ポートフォリオ変更画面を表示する。ポートフォリオ変更画面には、対象ユーザのポートフォリオの変更内容として、対象ユーザにより選択された参照ポートフォリオ情報(図6の例では評価値5の登録ユーザ)のポートフォリオが表示される。さらに、他の例としては、ポートフォリオ変更画面においては、対象ユーザのポートフォリオを、対象ユーザにより選択された参照ポートフォリオ情報に示される外国株式や国内株式等の内訳に、近づけるために選択可能な商品が表示されてもよい。対象ユーザは、ユーザ操作に応じて、ポートフォリオの変更をシミュレーションすることができる。なお、ポートフォリオ変更画面表示指示を取得しなかった場合には(ステップS114でN)、制御部100は、処理をステップS118へ進める。
【0059】
さらに、ポートフォリオ変更画面において、対象ユーザは、ポートフォリオの変更を希望する場合には、ポートフォリオ変更指示を入力する。この場合に、年金管理サーバ装置10の手続補助部105は、通信部120を介してユーザ装置20からポートフォリオ変更指示を取得する。手続補助部105は、ポートフォリオ変更指示を取得すると、対象ユーザの取引情報を参照し、対象ユーザの運営管理機関のwebサイト(手続きサイト)を特定する。そして、手続補助部105は、当該手続きサイトのURLをユーザ装置20に送信することで、手続きサイトを表示部240に表示させる。なお、各運営管理機関の名称と、各運営機関の手続きサイトのURLと、を対応付けた対応テーブルが記憶部110に予め記憶されているものとする。
【0060】
さらに、手続補助部105は、URLと共に、ユーザの口座番号をユーザ装置20に送信することで、手続きサイトにおける加入者の口座番号の入力欄に口座番号を自動で入力させる。これにより、対象ユーザによる、手続きサイトを表示させるための手間、入力の手間を削減することができる。
【0061】
次に、退職金予測部104は、通信部120を介して、ユーザ装置20から退職金表示指示を受け付けたか否かを確認する(ステップS118)。対象ユーザは、ユーザ装置20において、希望により退職金予定額表示指示を入力することができる。対象ユーザにより退職金予定額表示指示が入力された場合に、退職金予定額表示指示がユーザ装置20から年金管理サーバ装置10へ送信される。
【0062】
退職金予測部104は、退職金予定額表示指示を取得した場合には(ステップS118でY)、退職金を表示する(ステップS120)。具体的には、退職金予測部104は、対象ユーザの評価損益率と、対象ユーザの年齢と、に基づいて退職金予定額を予測し、これを表示部240に表示させる。なお、退職金予定額の予測においては、対象ユーザからリスク許容度を取得し、リスク許容度がさらに参照されてもよい。以上で、年金管理処理が完了する。なお、退職金予定額表示指示を取得しなかった場合には(ステップS118でN)、制御部100は、処理を終了する。
【0063】
以上のように、本実施形態の年金管理システム1においては、ユーザは、取引レポートを撮影し、取引レポート画像を年金管理サーバ装置10に送信するだけで、自身の取引状況の評価値を得ることができる。すなわち、所定のサイトにログインするためのユーザIDやパスワードの取得といった面倒な操作を要することなく、簡単に評価値を得ることができる。
【0064】
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えばある変形例を他の変形例に適用するなど、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0065】
そうした第1の変形例について説明する。本実施形態の年金管理サーバ装置10は、複数の装置により実現されてもよい。例えば、年金管理サーバ装置10の機能の一部は、ユーザ装置20により実現されてもよい。例えば、抽出部102は、ユーザ装置20が備えてもよい。この場合には、抽出結果がユーザ装置20から年金管理サーバ装置10へ送信され、年金管理サーバ装置10において、以降の処理が行われる。
【0066】
第2の変形例としては、年金管理システム1の管理対象は企業型確定拠出年金に限定されるものではなく、個人型確定拠出年金であってもよい。
【0067】
第3の変形例としては、登録ユーザDB50に記憶される取引情報は、少なくとも登録ユーザの運用金額と評価損益額を含むか、評価損益額を含めばよく、これ以外の情報は含まなくてもよい。この場合にも、年金管理サーバ装置10は、これらの情報を参照することで、対象ユーザの評価値を決定することができる。
【0068】
例えば、取引情報は、ユーザの年齢を含まず、年金管理サーバ装置10は、退職金予定額の表示を行わなくてもよい。
【0069】
第4の変形例としては、評価値は、少なくとも運用金額と評価損益額とに基づいて、決定されればよく、参照される情報は実施形態に限定されるものではない。他の例としては、評価値の決定において、運用商品の数や種類などがさらに参照されてもよい。
【0070】
第5の変形例としては、評価値は、5段階の値に限定されるものではない。例えば、評価値は、3段階でもよく、6段階以上でもよい。さらに、評価値は、登録ユーザの評価損益率と、対象ユーザの評価損益率と、に基づいて決定される値であればよく、登録ユーザの評価損益率を母集団とする、対象ユーザの評価損益率の偏差値であってもよい。
【0071】
第6の変形例について説明する。比較画面においては、対象ポートフォリオ情報と参照ポートフォリオ情報と、が並んで表示されればよく、具体的な表示内容は実施形態に限定されるものではない。対象ポートフォリオ情報と並んで表示される参照ポートフォリオ情報は、1つでもよく複数でもよい。例えば、対象ポートフォリオ情報と共に、5つのグループそれぞれに属する登録グループから定まる、5つの参照ポートフォリオ情報が表示されてもよい。
【0072】
さらに、対象ポートフォリオ情報と共に表示される参照ポートフォリオ情報は、予め定められた条件を満たす登録ユーザのポートフォリオであればよい。こうした条件としては、例えば、対象ユーザの評価損益額よりも評価損益額が高いこと、対象ユーザの評価損益額よりも評価損益額が低いことが挙げられる。この場合、2つの参照ポートフォリオ情報が対象ポートフォリオ情報として表示される。このうち、第1の参照ポートフォリオ情報は、評価損益額が対象ユーザの評価損益額よりも低い登録ユーザに対応する参照ポートフォリオ情報である。第2の参照ポートフォリオ情報は、評価損益額が対象ユーザの評価損益額よりも高い登録ユーザの参照ポートフォリオ情報である。
【0073】
また、他の例としては、登録ユーザのうち評価損益額が上位20%にランクするという条件が挙げられる。また、他の例としては、評価損益額が企業の想定利回りを超えているという条件が挙げられる。ここで、想定利回りは、対象ユーザによりユーザ装置20において入力されたものが用いられてもよく、基準値が記憶部110に予め設定されている、想定利回りの基準値が用いられてもよい。条件は任意に設定することができる。したがって、対象ユーザに注目させたい登録ユーザの参照ポートフォリオ情報を表示させることができる。
【0074】
第7の変形例としては、評価値決定部は、企業の想定利回りに基づいて、対象ユーザの評価値を決定してもよい。例えば、評価値決定部は、想定利回りを基準としてプラスマイナス0.3%を評価値3とし、上限値から0.6%高い値までを評価値4、それ以上を評価値5としてもよい。また、評価値決定部は、評価値3の下限値から0.6%低い値までを評価値2、それ以下を評価値1としてもよい。
【0075】
第8の変形例としては、本実施形態においては、出力処理部106は、比較画面において、対象ポートフォリオ情報及び参照ポートフォリオ情報として、テキスト情報と、円グラフを表示したが、これに限定されるものではない。対象ポートフォリオ情報及び参照ポートフォリオ情報は、それぞれ対象ユーザ及び登録ユーザの運用商品とその割合を表示するための情報であればよい。例えば、対象ポートフォリオ情報は、対象ユーザの運用商品の種類を横軸、と運用商品の割合を縦軸とする棒グラフであり、参照ポートフォリオ情報も同様に棒グラフであってもよい。
【0076】
第9の変形例としては、年金管理サーバ装置10における年金管理の初期においては登録ユーザDB50において、対象ユーザの評価値を決定するために十分な数の取引情報が記憶されていない。そこで、記憶部110は、基準となる利回りデータの分布を基準分布として記憶しておき、評価値決定部103は、登録ユーザの評価損益率の分布に替えて、この基準分布を基準として、対象ユーザの評価値を決定してもよい。
【0077】
第10の変形例としては、登録ユーザDB50に記憶されている取引情報には、登録ユーザのリスク許容度が含まれてもよい。ここで、リスク許容度は、ユーザ装置20におけるユーザによる入力により得られるものとする。また、他の例としては、リスク許容度は、ユーザがユーザ装置20を利用して、予め定められた診断テストを受けることで特定され、年金管理サーバ装置10に送信されてもよい。
【0078】
そして、出力処理部106は、評価損益額を横軸、リスク許容度を縦軸とするグラフに各登録ユーザをプロットし、登録ユーザの分布状態から、登録ユーザを複数のグループに分類する。そして、出力処理部106は、各グループに属する登録ユーザの取引情報から、各グループの参照ポートポリオ情報を作成し、これを表示させてもよい。これにより、対象ユーザは、自身とリスク許容度の近いグループの参照ポートフォリオ情報を参照することができるなど、複数のグループの参照ポートフォリオ情報を参照することができる。
【0079】
第11の変形例としては、登録ユーザDB50は、同一の登録ユーザの、異なる時期に発行された複数の取引レポートに対応する複数の取引情報を履歴として蓄積してもよい。この場合には、出力処理部106は、取引情報の履歴を、さらに、ユーザ装置20の表示部240に表示させてもよい。
【0080】
第12の変形例としては、抽出部102はさらに、取引レポート画像から、掛金額、受換金額等を抽出してもよい。そして、評価値決定部103は、これらの情報に基づいて、対象ユーザの利回りを計算してもよい。なお、利回りの計算には、さらに通算加入者期間が加味されてもよい。通算加入者期間は、例えば、ユーザ装置20においてユーザ操作に応じて入力され、年金管理サーバ装置10へ送信されるものとする。
【0081】
以上のような構成からなる本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、抽出部102は、処理対象となる対象ユーザの確定拠出年金の取引レポートの撮影画像から、運用金額と、評価損益額を抽出し、評価値決定部103は、記憶部110に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの評価損益率と、抽出部102により抽出された対象ユーザの運用金額及び評価損益額と、に基づいて、対象ユーザの取引の評価値を決定し、出力処理部106は、評価値を出力部(表示部240)から出力させる。このように、取引レポートの撮影画像から自動的に対象ユーザの取引状況に関する評価値を出力させるので、対象ユーザ(確定拠出年金の加入者)は、より簡単に評価値を確認することができる。すなわち、ユーザは、簡単に確定拠出年金の運用に関わることができる。
【0082】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、確定拠出年金は、企業型確定拠出年金であり、評価値決定部103は、評価損益額及び運用金額と、企業による想定利回りと、に基づいて、評価値を決定してもよい。これにより、想定利回りを基準とした評価値をユーザに提供することができる。
【0083】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、抽出部102は、対象ユーザの運用金額及び評価損益額を登録ユーザの情報として、または、対象ユーザの評価損益率を登録ユーザの情報として、登録ユーザの識別情報に対応付けて、記憶部に記憶してもよい。これにより、登録ユーザの情報を増やすことができ、より信頼性の高い評価値を提示することができる。
【0084】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、抽出部102はさらに、撮影画像から運用商品の種類と、運用商品の割合を抽出し、記憶部110は、登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、をさらに記憶し、出力処理部106は、抽出部102により抽出された運用商品の種類と運用商品の割合と、を示す対象ポートフォリオ情報と、記憶部110に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの運用商品の種類と、運用商品の割合とを示す参照ポートフォリオ情報と、を表示部240に表示させてもよい。これにより、対象ユーザは、登録ユーザのポートフォリオと自身のポートフォリオとを比較検討することができる。
【0085】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、対象ポートフォリオ情報及び参照ポートフォリオ情報は、運用商品の種類と運用商品の割合をグラフで示す情報であってもよい。これにより、対象ユーザのポートフォリオと登録ユーザのポートフォリオの比較を容易にすることができる。
【0086】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、参照ポートフォリオ情報は、記憶部110に格納されている複数の登録ユーザのうち、所定の条件を満たす登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、を示す情報であってもよい。この条件は任意に設定することができるので、特に注目させたい登録ユーザのポートフォリオを提示することができる。
【0087】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、確定拠出年金は、企業型確定拠出年金であり、条件は、評価損益率が想定利回り以上であることであってもよい。これにより、評価損益額が想定利回り以上の登録ユーザのポートフォリオを提示することができる。
【0088】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、出力処理部106は、記憶部110に格納されている複数の登録ユーザのうち、第1の条件を満たす登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、を示す第1参照ポートフォリオ情報と、第1の条件と異なる第2の条件を満たす登録ユーザの運用商品の種類と、運用商品の割合と、を示す第2参照ポートフォリオ情報と、を、対象ポートフォリオ情報と共に表示させてもよい。このように、複数のポートフォリオが表示されることで、対象ユーザは、より詳細に自身のポートフォリオを検討することができる。
【0089】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、記憶部110は、登録ユーザそれぞれのリスク許容度をさらに記憶し、出力処理部106は、登録ユーザを評価損益率とリスク許容度と、に基づいて、複数のグループに分類し、グループ毎の参照ポートフォリオ情報を、対象ポートフォリオ情報と共に表示させてもよい。これにより、グループ毎のポートフォリオの特性を提示することができる。
【0090】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、抽出部102はさらに、撮影画像から運用金額を抽出し、対象ユーザの年齢と、評価損益額と、運用金額と、に基づいて、対象ユーザの退職金予定額を予測する退職金予測部104をさらに備え、出力処理部106は、退職金予定額を出力させてもよい。これにより、対象ユーザは、簡単な操作で、退職金予定額も確認することができる。
【0091】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、記憶部110は、同一の登録ユーザに対して発行された複数の取引レポートそれぞれぞれの情報を履歴として記憶し、出力処理部106は、履歴を出力させてもよい。これにより、評価損益額の変遷等、時系列に沿った変化を確認することができる。
【0092】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、抽出部102はさらに、撮影画像から口座番号を抽出し、ユーザ操作に応じて、ポートフォリオ変更指示を受け付けた場合には、手続サイトを表示させ、手続サイトの入力欄に前記口座番号を入力する手続補助部105をさらに備えてもよい。これにより、ポートフォリオ変更のためのユーザ操作を補助することができる。
【0093】
また、本実施形態の年金管理システム、プログラム及び年金管理方法によれば、手続補助部は、前記ポートフォリオ変更指示を受け付けるポートフォリオ変更画面を表示させ、前記ポートフォリオ変更画面において、変更後のポートフォリオとして、ユーザにより指定された登録ユーザのポートフォリオを表示させてもよい。これにより、ポートフォリオ変更のためのユーザ操作を補助することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 年金管理システム
10 年金管理サーバ装置
20 ユーザ装置
40 取引レポート画像
50 登録ユーザDB
60 評価画面
70 比較画面
100 制御部
101 取得部
102 抽出部
103 評価値決定部
104 退職金予測部
105 手続補助部
106 出力処理部
110 記憶部
120 通信部
200 制御部
210 記憶部
220 通信部
230 操作部
240 表示部
250 撮影部
【要約】
【課題】加入者がより簡単に確定拠出年金の運用に関わるための年金管理システム、プログラム及び年金管理方法を提供する。
【解決手段】処理対象となる対象ユーザの確定拠出年金の取引レポートの撮影画像から、運用金額と、評価損益額を抽出する抽出部102と、記憶部120に記憶される、複数の登録ユーザそれぞれの評価損益率と、抽出部102により抽出された対象ユーザの運用金額及び評価損益額と、に基づいて、対象ユーザの取引の評価値を決定する評価値決定部103と、評価値を出力部から出力させる出力処理部106とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6