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▶ 八重樫 豊秋の特許一覧

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  • 特許-トイレットペーパーホルダー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】トイレットペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/38 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
A47K10/38 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024175900
(22)【出願日】2024-10-07
【審査請求日】2024-10-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524370292
【氏名又は名称】八重樫 豊秋
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 豊秋
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-15710(JP,A)
【文献】特開2013-198714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/22
A47K 10/30-10/38
B65H 16/00-16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の芯を有するロール状のトイレットペーパーを回転可能に支持し、前記トイレットペーパーの正面側で前記トイレットペーパーに上方から押し付けて前記トイレットペーパーをカットするためのカバーを有するトイレットペーパーホルダーであって、
前記芯の中心軸線回りの回転を拘束されて前記芯の両端内側に挿入される1対の支持部と、
各支持部の上部に固定され、前記カバーで上方から押圧されたとき前記芯の上部内周面に当接し前記上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢する付勢部材とを、
有することを特徴とするトイレットペーパーホルダー。
【請求項2】
前記付勢部材は、板材を鋭角に折り曲げた形状の1対の板ばねから成り、折り曲げ部分を正面側に向けて2つの外側面の一方が各支持部の上部に沿って固定され、前記カバーで上方から押圧されたとき上端が前記芯の上部内周面に当接し前記上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢するよう前記支持部に配置され、前記上端に滑止めを有することを、特徴とする請求項1記載のトイレットペーパーホルダー。
【請求項3】
前記付勢部材は、板材を鋭角に折り曲げた形状の1対の開閉部材から成り、折り曲げ部分を正面側に向けて2つの外側面の一方が各支持部の上部に沿って固定され、各付勢部材は2つの内側面に同一極性の互いに反発する2つの磁石が対向して設けられて常時開いており、前記カバーで上方から押圧されたとき上端が前記芯の上部内周面に当接し前記磁石の反発力により前記上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢する構成を有し、前記上端に滑止めを有することを、特徴とする請求項1記載のトイレットペーパーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の芯を有するロール状のトイレットペーパーを回転可能に支持し、トイレットペーパーの正面側でトイレットペーパーに上方から押し付けてトイレットペーパーをカットするためのカバーを有するトイレットペーパーホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトイレットペーパーホルダーでは、ロール状のトイレットペーパーをカツトしたとき、トイレットペーパーの先端がカバーで隠れるため、次に使用する際にトイレットペーパーを回して先端を繰り出す必要があった。この問題を解決するため、ロール紙をカットするためにカツター板を押すと、ロール紙を軸架したボビン軸が傾斜軸受区間を押し上げられ、カツター板から手をはなすと、ロール紙をつけたボビン軸が自重の降下作用で磁石式傾斜軸受区間での降下時に回転運動に変換されて、ロール紙の端部を適当寸法だけ自動的に繰り出すロール紙端部の自動繰り出し装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-46119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の自動繰り出し装置では、傾斜軸受や永久磁石を付けたボビン軸など特有の構成を有するため、既存のトイレットペーパーホルダーに取り付けることはできず、新規に交換する必要があることから、導入にはコストがかかるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、トイレットペーパーの先端の繰出し機構を安価に実現可能で、既存のトイレットペーパーホルダーにも改良により適用可能なトイレットペーパーホルダーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るトイレットペーパーホルダーは、円筒状の芯を有するロール状のトイレットペーパーを回転可能に支持し、前記トイレットペーパーの正面側で前記トイレットペーパーに上方から押し付けて前記トイレットペーパーをカットするためのカバーを有するトイレットペーパーホルダーであって、前記芯の中心軸線回りの回転を拘束されて前記芯の両端内側に挿入される1対の支持部と、各支持部の上部に固定され、前記カバーで上方から押圧されたとき前記芯の上部内周面に当接し前記上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢する付勢部材とを、有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るトイレットペーパーホルダーは、ロール状のトイレットペーパーを引き出して切り取る際、カバーをトイレットペーパーに上方から押し付けてカバーの先端でトイレットペーパーをカットする。カバーで上方から押圧されたとき、付勢部材がトイレットペーパーの芯の上部内周面に当接し上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢する。トイレットペーパーのカット後、カバーへの押圧力を除くと、付勢部材による回転力により芯の上部内周面が奥側から正面側に回転し、トイレットペーパーの先端を繰り出すことができる。このように、支持部および付勢部材の簡易な構成を有し、トイレットペーパーの先端の繰出し機構を安価に実現可能で、既存のトイレットペーパーホルダーにも付勢部材を支持部に固定する改良により適用可能である。
【0008】
本発明に係るトイレットペーパーホルダーにおいて、前記付勢部材は、板材を鋭角に折り曲げた形状の1対の板ばねから成り、折り曲げ部分を正面側に向けて2つの外側面の一方が各支持部の上部に沿って固定され、前記カバーで上方から押圧されたとき上端が前記芯の上部内周面に当接し前記上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢するよう前記支持部に配置され、前記上端に滑止めを有していてもよい。
【0009】
この場合、板材を鋭角に折り曲げた形状の板ばねにより安価に付勢部材を構成することができる。また、滑止めにより、付勢部材の付勢力を芯の上部内周面に伝達しやすくすることができる。1対の付勢部材はそれぞれ1対の支持部に固定されているので、トイレットペーパーを切り取る際、カバーのトイレットペーパーに押し付ける位置を1対の付勢部材のうち一方に寄せることにより、寄せた一方の付勢部材の付勢力を他方の付勢部材より大きくし、寄せた一方側のトイレットペーパーを他方側より長く繰り出すことができる。このため、利き腕や癖などに応じて使い勝手を良くすることができる。また、カバーをより強く押すことにより、トイレットペーパーの先端をより長く繰り出すことができる。
【0010】
本発明に係るトイレットペーパーホルダーにおいて、前記付勢部材は、板材を鋭角に折り曲げた形状の1対の開閉部材から成り、折り曲げ部分を正面側に向けて2つの外側面の一方が各支持部の上部に沿って固定され、各付勢部材は2つの内側面に同一極性の互いに反発する2つの磁石が対向して設けられて常時開いており、前記カバーで上方から押圧されたとき上端が前記芯の上部内周面に当接し前記磁石の反発力により前記上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢する構成を有し、前記上端に滑止めを有していてもよい。
【0011】
この場合、板材を鋭角に折り曲げた形状の開閉部材および磁石により安価に付勢部材を構成することができる。また、滑止めにより、付勢部材の付勢力を芯の上部内周面に伝達しやすくすることができる。1対の付勢部材はそれぞれ1対の支持部に固定されているので、トイレットペーパーを切り取る際、カバーのトイレットペーパーに押し付ける位置を1対の付勢部材のうち一方に寄せることにより、寄せた一方の付勢部材の磁石による付勢力を他方の付勢部材より大きくし、寄せた一方側のトイレットペーパーを他方側より長く繰り出すことができる。このため、利き腕や癖などに応じて使い勝手を良くすることができる。また、カバーをより強く押すことにより、トイレットペーパーの先端をより長く繰り出すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トイレットペーパーの先端の繰出し機構を安価に実現可能で、既存のトイレットペーパーホルダーにも改良により適用可能なトイレットペーパーホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態のトイレットペーパーホルダーの斜視図である。
図2図1のトイレットペーパーホルダーの要部拡大側面図である。
図3図1のトイレットペーパーホルダーのトイレットペーパーを取り付けた状態の斜視図である。
図4】本発明の他の実施の形態のトイレットペーパーホルダーの要部拡大側面図である。
図5】本発明のさらに他の実施の形態のトイレットペーパーホルダーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1図3に、本発明の実施の形態のトイレットペーパーホルダーを示す。
トイレットペーパーホルダーは、円筒状の芯TSを有するロール状のトイレットペーパーTを回転可能に支持するために用いられる。
【0015】
図1に示すように、トイレットペーパーホルダーは、背面板1と1対の側面板2とカバー3と1対の支持部4と1対の付勢部材5とを有している。背面板1は、長方形状の板材であって、トイレ壁面に固定するためのボルト穴1aを有している。1対の側面板2は、それぞれ長方形状の板材から成る。各側面板2は、長手方向一端が背面板1の長手方向端部にそれぞれ直角に固定され、背面板1の正面側で平行に対向している。各側面板2は、対向する内側に縦方向に伸びる凹部2aを有している。カバー3は、1対の側面板2で挟まれる空間の上方を覆う大きさの長方形の板材から成る。カバー3は、正面側縁部にトイレットペーパーTに上方から押し付けてトイレットペーパーTをカットするためのカッター部3aを有している。カバー3は、各側面板2の背面板1付近の上部内側に回転可能に軸支され、カッター部3aを上下運動可能である。
【0016】
1対の支持部4は、それぞれ細長い板材から成る。各支持部4は、各凹部2aの両側壁下部に回転可能に軸支され、各凹部2aに収納された位置と各凹部2aから内側方向に突出した位置とに位置付け可能となっている。各支持部4は、自重により常態で内側方向に突出した位置に位置付けられる。各支持部4は、内側方向に突出した位置で各側面板2に対し直角に突出し、上面を水平に位置付け可能となっている。1対の支持部4は、内側方向に突出した位置で一直線上に配置される。1対の支持部4は、トイレットペーパーTの芯TSの中心軸線回りの回転を拘束されて芯TSの両端内側に挿入される。
【0017】
図2に示すように、1対の付勢部材5は、それぞれ1枚の金属製平板材を鋭角、例えば約30度~70度、特に45度前後の角度に折り曲げて成る板ばねから成る。各付勢部材5は、折り曲げ部分5aを正面側に向けて2つの外側面の一方が各支持部4の上部に沿って固定されている。各付勢部材5は、カバー3で上方から押圧されたとき、上端がトイレットペーパーTの芯TSの上部内周面に当接し、折り曲げられて上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢するよう支持部4に配置されている。各付勢部材5は、上端に滑止め5bを有している。滑止め5bは、例えばゴム材から成る。
図3に示すように、トイレットペーパーホルダーは、トイレットペーパーTの芯TSに支持部4および付勢部材5を挿入させて、トイレットペーパーTを回転可能に支持している。
【0018】
次に作用について説明する。
トイレットペーパーホルダーは、1対の支持部4をロール状のトイレットペーパーTの芯TSに挿入させて、トイレットペーパーTを回転可能に支持する。トイレットペーパーTを引き出して切り取る際、カバー3をトイレットペーパーTに上方から押し付けてカバー3の先端でトイレットペーパーTをカットする。従来のトイレットペーパーホルダーでは、カバー3の上から指でトイレットペーパーTが上方から押圧されたとき、トイレットペーパーTは奥側に押されて移動し、トイレットペーパーTをカットしカバー3から指を離したとき、トイレットペーパーTが元の位置に戻る際にトイレットペーパーTの先端がカバー3のカッター部3aから奥に引っ込むようになる。
【0019】
これに対し、本発明の実施の形態のトイレットペーパーホルダーでは、カバー3で上方からトイレットペーパーTが押圧されたとき、付勢部材5がトイレットペーパーTの芯TSの上部内周面に当接し上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢する。トイレットペーパーTのカット後、カバー3への押圧力を除くと、付勢部材5による回転力により芯TSの上部内周面が奥側から正面側に回転し、トイレットペーパーTの先端をカバー3から手前に出るよう繰り出すことができる。このように、支持部4および付勢部材5の簡易な構成を有し、トイレットペーパーTの先端の繰出し機構を安価に実現可能で、既存のトイレットペーパーホルダーにも付勢部材5を支持部4に固定する改良により適用可能である。
【0020】
トイレットペーパーホルダーは、板材を鋭角に折り曲げた形状の板ばねにより安価に付勢部材5を構成することができる。また、滑止め5bにより、付勢部材5の付勢力を芯TSの上部内周面に伝達しやすくすることができる。1対の付勢部材5はそれぞれ1対の支持部4に固定されているので、トイレットペーパーTを切り取る際、カバー3のトイレットペーパーTに押し付ける位置を1対の付勢部材5のうち一方に寄せることにより、寄せた一方の付勢部材5の付勢力を他方の付勢部材5より大きくし、寄せた一方側のトイレットペーパーTを他方側より長く繰り出すことができる。このため、利き腕や癖などに応じて使い勝手を良くすることができる。また、カバー3をより強く押すことにより、トイレットペーパーTの先端をより長く繰り出すことができる。
【0021】
なお、付勢部材5は、磁石を用いたものから成っていてもよい。この場合、図4に示すように、付勢部材5は、板材を鋭角に折り曲げた形状の1対の開閉部材から成る。付勢部材5は、折り曲げ部分5aを正面側に向けて2つの外側面の一方が各支持部4の上部に沿って固定される。各付勢部材5は、2つの内側面に同一極性の互いに反発する2つの磁石6a,6bが対向して設けられて常時開いている。各付勢部材5は、カバー3で上方から押圧されたとき上端が芯TSの上部内周面に当接し磁石の反発力により上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢するようになっている。各付勢部材5は、上端に滑止め5bを有していてもよい。
【0022】
このように磁石6a,6bを用いた場合、板材を鋭角に折り曲げた形状の開閉部材および磁石6a,6bにより安価に付勢部材5を構成することができる。また、滑止め5bにより、付勢部材5の付勢力を芯TSの上部内周面に伝達しやすくすることができる。1対の付勢部材5はそれぞれ1対の支持部4に固定されているので、トイレットペーパーTを切り取る際、カバー3のトイレットペーパーTに押し付ける位置を1対の付勢部材5のうち一方に寄せることにより、寄せた一方の付勢部材5の磁石による付勢力を他方の付勢部材5より大きくし、寄せた一方側のトイレットペーパーTを他方側より長く繰り出すことができる。このため、利き腕や癖などに応じて使い勝手を良くすることができる。また、カバー3をより強く押すことにより、トイレットペーパーTの先端をより長く繰り出すことができる。
【0023】
なお、カッター部3aは、本発明者による特許第7242024号のトイレットペーパー用カッターから成っていてもよい。すなわち、図5に示すように、トイレットペーパーホルダーに取り付けられるトイレットペーパーTの幅方向の一端から所定の長さにわたってカバー3のトイレットペーパーT側の面に沿って第1カッター部を有し、幅方向の他端から所定の長さにわたってカバー3のトイレットペーパーT側の反対面に沿って第2カッター部を有する構成から成っていてもよい。
この場合、さらにトイレットペーパーTを引き出しやすくすることができる。
また、トイレットペーパーホルダーは、トイレットペーパーTの反転防止部材を有していてもよい。
【0024】
本発明の実施の形態のトイレットペーパーホルダーは、病院のトイレ、高齢者施設のトイレ、公衆トイレ、コンビニエンスストアのトイレなどで好適に実施可能である。
【符号の説明】
【0025】
T トイレットペーパー、TS 芯、1 背面板、1a ボルト穴、2 側面板、
2a 凹部、3 カバー、3a カッター部、4 支持部、5 付勢部材、
5a 折り曲げ部分、5b 滑止め
【要約】
【課題】トイレットペーパーの先端の繰出し機構を安価に実現可能で、既存のトイレットペーパーホルダーにも改良により適用可能なトイレットペーパーホルダーを提供する。
【解決手段】円筒状の芯を有するロール状のトイレットペーパーを回転可能に支持する。トイレットペーパーの正面側でトイレットペーパーに上方から押し付けてトイレットペーパーをカットするためのカバー3を有する。1対の支持部4が、芯の中心軸線回りの回転を拘束されて芯の両端内側に挿入される。付勢部材5が、各支持部4の上部に固定され、カバー3で上方から押圧されたとき芯の上部内周面に当接し上部内周面に対し奥側から正面側に回転力を付勢する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5