IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オンビット カンパニーリミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-偏光フィルム及びその製造方法 図1
  • 特許-偏光フィルム及びその製造方法 図2
  • 特許-偏光フィルム及びその製造方法 図3
  • 特許-偏光フィルム及びその製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-24
(45)【発行日】2025-02-03
(54)【発明の名称】偏光フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20250127BHJP
【FI】
G02B5/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023503455
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 KR2020010186
(87)【国際公開番号】W WO2022025331
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0092842
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】524182008
【氏名又は名称】オンビット カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュン ドク
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0200973(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)PCフィルム部の一面を親水性で表面処理する段階と、
(b)前記表面処理されたPCフィルム部を乾燥する段階と、及び
(c)前記乾燥されたPCフィルム部をPVAフィルムの両面に水系性接着剤で付着して偏光フィルムを製造する段階と、
でなされ、
前記PCフィルム部は、PCフィルムと前記PCフィルムに付着される保護フィルムで構成され、前記保護フィルムが付着された前記PCフィルムの一面は、親水性処理にならず、前記保護フィルムはポリエチレンであることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記親水性表面処理する(a)段階は、
(a-1)3-aminopropyltriethoxysilaneを水にとかして2~7%濃度の水溶液で作る段階と、
(a-2)前記水溶液を40~60℃の温度で加熱する段階と、及び
(a-3)前記加熱された水溶液にPCフィルム部を1~3分間浸漬させてけん化処理する段階と、
でなされることを特徴とする請求項に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記水系性接着剤は、
ポリビニルアルコール系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤、ポリカルボキシ系接着剤、エポキシ系接着剤、アルデヒド系接着剤及び水分散ポリウレタン系接着剤のうちで何れか一つであることを特徴とする請求項に記載の偏光フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光フィルム及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、偏光フィルムを構成するポリカーボネート(PC:polycarbonate)フィルムとポリビニルアルコール(PVA:polyvinylalcohol)フィルムを合紙して偏光フィルムを製造するにおいて、PCフィルムの表面を親水性に作って、親水性のPCフィルム表面に水系接着剤を使用してPVAフィルムと合紙することで、人体に有害ではない偏光フィルムの製造方法とその方法による偏光フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自然物に反射されて難解に反射と屈折を繰り返えす自然光をそのまま目に受け入れるようになれば、眩しさ現象を起こすようになる。この時偏光の原理を応用した偏光レンズを着用すれば、眩しさを減らすことができる。
【0003】
ここでの偏光は難解に反射と屈折を繰り返えす自然光が偏光フィルム(偏光子)を通じて一方向だけで透過されて特定の方向だけに振動する光の波動を言う。
【0004】
このような偏光レンズは日が昇る頃や日が暮れる頃に反射光と屈折光を遮断して眩しさを減少させることができるし、事物を見られる可視距離が長くなるようにする。
【0005】
また、自動車運転時偏光レンズを着用するようになれば、不必要な光が遮られて広い視野を確保することができて安全運転にもお手助けになるようになる。
【0006】
一般な偏光レンズは、プラスチックまたは硝子レンズの表面に偏光フィルム(偏光子)を加熱付着するか、または偏光フィルムをあらかじめレンズ形態で成形した後偏光フィルムの両方にCR-39(allyldiglycol carbonate)または、ウレタンのような液状のモノマー、オリゴマーを注いで硬化させるキャスティング方法を使用するか、または偏光フィルム両面にポリカーボネートフィルムなどの保護フィルムを合紙(laminating)した偏光シートをレンズ形態で成形した後、成形した偏光シートを射出機に入れてインサート射出を通じて厚さを補強する方法を使用して製造する。特に、サングラス用偏光フィルムの場合には偏光フィルムにTAC(Tri Acetyl Cellulose)フィルムを付着する場合よく割れるという問題点があって、偏光フィルムに強度が強いPCフィルムを付着して来た。
【0007】
従来PCフィルムとPVAフィルムを合紙しようとする場合、PCフィルムは脂溶性であり、PVAフィルムは水溶性であるので、お互いに合紙するためにはポリウレタン樹脂を溶剤(solvent)で希釈したポリウレタン樹脂接着剤で合紙しなければならなかった。
【0008】
しかし、ポリウレタン樹脂に溶剤で希釈した偏光フィルムを使用して偏光レンズを製造する場合、偏光レンズに残存する溶剤によって人体に有害という問題があった。
【0009】
また、ポリウレタン樹脂を溶剤で希釈する場合、合紙後乾燥段階で一部揮発性溶剤がすり抜けて来ることができないことで、PCとPVAの合紙に不良が発生することがあるという問題点もあった。
【0010】
また、ポリウレタン接着剤に溶剤を使わない場合、PCフィルムにポリウレタン接着剤をコーティングしなければならないが、PCフィルムのコーティング設備が必要で製造原価が上昇するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述したところのような問題点を解決するために案出されたものであり、PCフィルムとPVAフィルムを合紙することにおいて、脂溶性であるPCフィルムの表面を水溶性表面に表面改質することで、PCとPVAフィルムの合紙が通常の水溶性接着剤でなされた偏光フィルムとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために本発明は、PVAフィルムと、前記PVAフィルムの両面に接着される親水性で表面処理されるPCフィルム部でなされて、前記PCフィルム部は前記PVAフィルムと水系性接着剤で付着されることを特徴とする偏光フィルムを提供する。
【0013】
本発明で親水性表面処理は、3-aminopropyltriethoxysilane2~7%濃度でなされる水溶液40~60℃で1~3分間浸漬させ、前記PCフィルム部の表面をけん化処理することでなされることを特徴とする。
【0014】
本発明で水溶液に浸漬されるPCフィルム部は、PCフィルムと前記PCフィルムに付着される保護フィルムで構成され、前記保護フィルムが付着された前記PCフィルムの一面は親水性処理にならないことを特徴とする。
【0015】
本発明で水系性接着剤は、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤、ポリカルボキシ系接着剤、エポキシ系接着剤、アルデヒド系接着剤及び水分散ポリウレタン系接着剤のうちで何れか一つであることを特徴とする。
【0016】
また、前記の目的を達成するために本発明は、(a)PCフィルム部の一面を親水性で表面処理する段階と、(b)前記表面処理されたPCフィルム部を乾燥する段階と、及び(c)前記乾燥されたPCフィルム部をPVAフィルムの両面に水系性接着剤で付着して偏光フィルムを製造する段階と、でなされることを特徴とする偏光フィルムの製造方法を提供する。
【0017】
本発明で親水性で表面処理する(a)段階は、(a-1)3-aminopropyltriethoxysilaneを水にとかして2~7%濃度の水溶液に作る段階と、(a-2)前記水溶液を40~60℃の温度で加熱する段階と、及び(a-3)前記加熱された水溶液にPCフィルム部を1~3分間浸漬させてけん化処理する段階と、でなされることを特徴とする。
【0018】
本発明でPCフィルム部は、PCフィルムと前記PCフィルムに付着される保護フィルムで構成され、前記保護フィルムが付着された前記PCフィルムの一面は、親水性処理にならないことを特徴とする。
【0019】
本発明で水系性接着剤は、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤、ポリカルボキシ系接着剤、エポキシ系接着剤、アルデヒド系接着剤及び水分散ポリウレタン系接着剤のうちで何れか一つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
前述したように本発明は、PCフィルムとPVAフィルムを、水溶性接着剤を使用して合紙することができるため、別にコーティング工程が必要ではなくて偏光フィルムの製造による費用を節減することができるという長所がある。
【0021】
また、本発明はPCフィルムとPVAフィルムの接着時溶剤を使わないため人体に有害な物質が排出されないという長所を有する。
【0022】
また、本発明はPCフィルムとPVAフィルム接着時揮発性溶剤の残存によるコーティング不良が発生しないため接着力が強い偏光フィルムを製造することができるという長所を有する。
【0023】
また、本発明は保護フィルムでPCフィルムを使用するため強度が強い偏光フィルムを得ることができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるPCフィルム部の表面を親水性で処理するためのシステムを説明する構成図である。
図2図1のシステムに使用されるPCフィルム部の構成図である。
図3】本発明による偏光フィルムを製造する段階を説明する構成図である。
図4図3の構成を通じて製造された偏光フィルムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施のための最善の形態は、PVAフィルムと、前記PVAフィルムの両面に接着される親水性に表面処理されるPCフィルム部でなされて、前記PCフィルム部は前記PVAフィルムと水系性接着剤で付着する構成を有して、
【0026】
製造方法は、(a)PCフィルム部の一面を親水性に表面処理する段階と、(b)前記表面処理されたPCフィルム部を乾燥する段階と、及び(c)前記乾燥されたPCフィルム部をPVAフィルムの両面に水系性接着剤で付着して偏光フィルムを製造する段階と、でなされる。
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の一実施例による偏光レンズの製造方法を詳しく説明する。
【0028】
図1は、本発明によるPCフィルム部の表面を親水性で処理するためのシステムを説明する構成図であり、図2図1のシステムに使用されるPCフィルム部の構成図であり、図3は本発明による偏光フィルムを製造する段階を説明する構成図であり、図4図3の構成を通じて製造された偏光フィルムの構成図である。
【0029】
図1は、本発明によるPCフィルム部の表面を親水性で処理するためのシステムを説明した図面である。図面に示されたように、PCフィルム部100を親水性で処理するためには、ロール・ツー・ロール形態でなされたシステムを通じてPCフィルム部100の一面を親水性で処理する。具体的に親水性で処理する前のPCフィルム部100が絡められた第1ロール1と親水性で処理された親水処理PCフィルム部100'が絡められる第2ロール2でなされる。第1ロール1と第2ロール2の間にはPCフィルム部100を親水性で処理するための水槽3が具備される。水槽には溶媒である水と溶質である3-aminopropyltriethoxysilane(3-APTES)が一定量投入されて水溶液を形成する。また、水槽と第2ロール2との間には乾燥部4が形成され、乾燥部4はファンまたはヒーター41が具備されて親水性で処理された親水処理PCフィルム部100'を乾燥させる。
【0030】
具体的に、PCフィルム部100は第1ロール1を通じて水槽3に投入される。水槽には3-APTESが2~7%濃度で希釈された水溶液が準備される。水溶液の温度は40~60℃で加熱される。水溶液が一定濃度と一定温度になれば、第1ロール1と第2ロール2を駆動する。第1ロール1と第2ロール2が駆動されれば、一定長さでPCフィルム部100が水槽内に投入される。水槽内に投入されたPCフィルム部100フィルムの表面にけん化反応(saponification reaction)が起こるように一定時間水槽に浸漬された状態を維持するようにする。水槽に浸漬される時間は1~3分程度である。一定時間の間水槽に浸漬された状態でPCフィルム部100表面にけん化反応がなされると、第1ロール1と第2ロール2を駆動させて表面処理PCフィルム部100'は乾燥部4に移動するようになる。乾燥部4で表面処理PCフィルム部100’は乾燥され、乾燥された表面処理PCフィルム部100’は第2ロール2でワインディングされる。水槽3は入口ロール31と出口ロール32及び浸漬ロール33で構成され、水槽3内の水溶液を加熱するためのヒーター34がさらに具備されることができる。また、水槽3内の温度を一定に維持できるように下部の水溶液を上部に循環させる循環ポンプ36がさらに含まれることができる。また、必要によってセンサー部35がさらに具備されることができるし、センサー部35は温度、水位及び濃度センサーに区分されて設置されることができる。また、入口ロール31と出口ロール32には長さセンサーが装着されて各ロールに通過されるPCフィルム部100の長さを測定して一定な長さが供給されるようにすることができる。
【0031】
図2は、PCフィルム部100のけん化反応が一面だけに起きるようにするために一面には保護フィルム102が付着されることを示している。すなわち、PCフィルム部100は、PCフィルム101と保護フィルム102で構成されるが、PCフィルム101は非親水性であるため、有機溶剤(solvent)で希釈したポリウレタンのような脂溶性接着剤を利用するとPVAフィルムに付着が可能である。但し、PCフィルム101の表面が親水性に変わるようになれば、親水性であるPVAフィルムと付着が可能になる。PCフィルム101の表面を親水性に変えるためには3-APTESが希釈された水溶液を利用して、PCフィルム101の一表面だけ親水性に変えるために反対面には保護フィルム102が付着される。保護フィルム102はポリエチレンなどを利用することができる。
【0032】
石鹸化反応を具体的に見れば次のようである。
ポリカーボネート樹脂は次のような構造式を有する。
【0033】
前記構造式1を見れば、ポリカーボネートがエステル(ester)作用基を有していることを分かって、けん化反応(saponification reaction)はエステルの逆反応を指称して一般的に石鹸化反応とも言う。石鹸化反応はエステルが水と応じてカルボン酸とアルコールを形成する反応を言う。ポリカーボネート樹脂の石鹸化反応は水と応じるように促進剤で酸やアルカリを添加して反応を促進させる。本発明でポリカーボネート樹脂であるPCフィルムを3-APTESが希釈された水溶液に浸漬させてけん化反応を誘導し、また、PCフィルムの一面だけけん化反応が起きるように他面は保護フィルム102を付着してけん化反応が起きないようにする。3-APTESは水と有機溶媒に溶解されるが、水で加水分解されて水溶液をアルカリ性で作る。
【0034】
エステル化の逆反応式は次のようである。
RCOOR'+HO→RCOOH+R'OH(R、R'=アルキル基)------(2)
【0035】
上の反応式(2)で見られるように、エステル作用基は水と応じてカルボン酸とアルコールを形成し、カルボン酸アルコールはすべてヒドロキシ基を有するため、PCフィルムがけん化されると、親水性であるPVAフィルムと付着することができるようになる。
【0036】
図3は、表面処理PCフィルム部100’とPVAフィルム200を水系性接着剤300を利用して接着する段階を見せてくれている。図面に示されたように、PVAフィルム200とPVAフィルム200の両面側に表面処理PCフィルム部100’がローラー部5を通じて投入されることを示している。PVAフィルム200の両面側に保護フィルムが付着された表面処理PCフィルム部100’が供給されながらともに水系性接着剤300が接着剤投入機6を通じて投入される。PVAフィルム200と表面処理PCフィルム部100’がともに投入されながらローラー部5である一側ローラー51と他側ローラー52によって圧着されながら接着されて乾燥部7に投入されることを示している。一定なローラー部5の圧力によって水系性接着剤で圧着され、圧着された後乾燥部7ですぐ乾燥されるため、偏光フィルム1000に揮発性溶剤が使用されなくて製品の品質を保障することができる。すなわち、PCフィルムのガスバリア(gas barrier)機能による溶剤ガスの排出が必要なくて偏光フィルムの品質を保障することができる。本発明で使用される水系接着剤は、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤、ポリカルボキシ系接着剤、エポキシ系接着剤、アルデヒド系接着剤及び水分散ポリウレタン系接着剤のうちで何れか一つを使用することができる。また、本発明でPVAフィルム200は無色または有色の偏光フィルムが使用されることができる。また、PCフィルム101、101'も無色または有色のフィルムが使用されることができる。
【0037】
図4は、本発明による偏光フィルム1000を示している。本発明による偏光フィルム1000は、PVAフィルム層200と、PVAフィルム層200両側に形成される接着剤層300と、接着剤層300の両側に接着されるPCフィルム層101'と、PCフィルム層101'をカバーする保護フィルム層102'でなされる。
【0038】
下の表は、本発明によって製造された偏光フィルム1000を一定な条件下で強度を測定した実験結果データである。実験条件は製造された偏光フィルム1000を3日間エイジング(aging)した後一定温度と3-APTESの%濃度による試料の接着力である引張強度を測定した。
【0039】
【表1】
表1は、水溶液の温度を40℃で一定に維持しながら3-APTESの各濃度別にPCフィルム部100を表面処理し、表面処理されたPCフィルム部100’を利用して製造された偏光フィルム1000の引張強度を検査した実施例である。表1では40℃の温度では3-APTESの濃度が4.5%濃度である時最大の引張強度値を有することを分かる。
【0040】
【表2】
表2は、水溶液の温度を50℃で一定に維持しながら3-APTESの各濃度別にPCフィルム部100を表面処理し、表面処理されたPCフィルム部100’を利用して製造された偏光フィルム1000の引張強度を検査した実施例である。表2では50℃の温度では3-APTESの濃度が5.5%濃度である時最大の引張強度値を有することを分かる。
【0041】
【表3】
表3は、水溶液の温度を60℃で一定に維持しながら3-APTESの各濃度別にPCフィルム部100を表面処理し、表面処理されたPCフィルム部100’を利用して製造された偏光フィルム1000の引張強度を検査した実施例である。表3では60℃の温度では3-APTESの濃度が5.5%濃度である時最大の引張強度値を有することを分かる。前記[表1]乃至[表3]で分かるように、水溶液の温度は高いほど3-APTESは4.5~5.5の%濃度で一番良い結果が現われることを分かる。それによって水溶液の温度が高いほど引張強度が大きくなるので、温度もけん化反応の促進剤として作用することを分かる。また、促進剤である3-APTESの場合は、濃度がすぎるほど高いものよりは適当なアルカリ性を維持できるように4.5~5.5%濃度を有するようにすることが強度に有利であることが分かる。
【0042】
但し、水溶液の温度が高いほどPCフィルム部100のけん化反応がさらに促進されることができるが、60℃以上の温度では水溶液の温度維持のための循環ポンプに損傷を加えることがあるため、その以上の温度では測定しなかった。
【0043】
以上で本発明の望ましい一実施例を説明したが、本発明は多様な変化と変更及び均等物を使用することができるし、前記実施例を適切に変形して等しく応用することができることが明確である。したがって、前記記載内容は下記特許請求範囲の限界によって決まる本発明の範囲を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、脂溶性のPCフィルムを水溶性のPVAフィルムと直接接着することで、偏光フィルムの強度を強くすることと同時に、製造上の便宜性を提供することができる産業上利用性が高い発明である。
図1
図2
図3
図4