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特許7626411財務リスク評価方法、財務リスク評価報告書の作成方法および財務リスク評価支援システム
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  • 特許-財務リスク評価方法、財務リスク評価報告書の作成方法および財務リスク評価支援システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】財務リスク評価方法、財務リスク評価報告書の作成方法および財務リスク評価支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0635 20230101AFI20250128BHJP
   G06Q 40/12 20230101ALI20250128BHJP
【FI】
G06Q10/0635
G06Q40/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024151482
(22)【出願日】2024-09-03
【審査請求日】2024-09-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524231524
【氏名又は名称】セブンセンスFAIR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181940
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 禎浩
(72)【発明者】
【氏名】大野 修平
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125247(JP,A)
【文献】特許第7526415(JP,B1)
【文献】国際公開第2024/172005(WO,A1)
【文献】特許第7537046(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第113221579(CN,A)
【文献】KPMG,KPMG、「AIを用いたこれからの財務報告と監査」を発表,KPMGジャパンサイト,日本,KPMG,2024年05月31日,インターネット<URL:https://kpmg.com/jp/ja/home/media/press-releases/2024/05/ai-in-financial-reporting-and-audit.html>,[令和6年12月20日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象会社の財務リスクを示すよう、所定の端末からネットワークを介してテキスト生成AIに要求し、前記要求により取得されたテキストに記載の財務リスクを前記対象会社の財務リスクとして評価する処理をおこなうシステムによる財務リスク評価方法であって、
前記対象会社の財務情報を勘定科目ごとに取得する第1のステップと、
前記第1のステップにより取得された財務情報に基づき、想定される財務リスクを要求するプロンプトを作成する第2のステップと、
前記第2のステップで作成されたプロンプトに基づき、前記想定される財務リスクを前記端末から前記テキスト生成AIに要求する第3のステップと、
前記第3のステップにより取得されたテキストに記載の財務リスクの大小の評価を要求するプロンプトを作成する第4のステップと、
前記第4のステップで作成されたプロンプトに基づき、前記財務リスクの大小の評価を前記端末から前記テキスト生成AIに要求する第5のステップと、
を含む処理によって実現される財務リスク評価方法。
【請求項2】
対象会社の財務リスクを示すよう、所定の端末からネットワークを介してテキスト生成AIに要求し、前記要求により取得されたテキストに記載の財務リスクを前記対象会社の財務リスクとして評価する処理をおこなうシステムによる財務リスク評価方法であって、
前記対象会社の財務情報を勘定科目ごとに取得する第1のステップと、
前記第1のステップにより取得された財務情報に所定の情報を反映し、これに基づき、想定される財務リスクを要求するプロンプトを作成する第2のステップと、
前記第2のステップで作成されたプロンプトに基づき、前記想定される財務リスクを前記端末から前記テキスト生成AIに要求する第3のステップと、
前記第3のステップにより取得されたテキストに記載の財務リスクの大小の評価を要求するプロンプトを作成する第4のステップと、
前記第4のステップで作成されたプロンプトに基づき、前記財務リスクの大小の評価を前記端末から前記テキスト生成AIに要求する第5のステップと、
を含む処理によって実現され、
前記第2のステップの所定の情報は、前記テキスト生成AIに前記対象会社の財務リスクを要求するために、あらかじめ勘定科目ごとに紐づけられた情報を管理する管理サーバの管理下にあり、前記第1のステップにおいて取得された情報の勘定科目と一致する勘定科目に紐づく情報として前記端末に提供されたものである財務リスク評価方法。
【請求項3】
対象会社の財務リスク評価を支援するための財務リスク評価支援システムであって、
前記対象会社の財務情報を勘定科目ごとに取得する財務情報取得手段と、
前記財務情報取得手段により取得された財務情報に基づき、前記対象会社の財務リスクをテキスト生成AIに要求するプロンプトを作成するための情報を提供するプロンプト作成情報提供手段と、
前記プロンプト作成情報提供手段によって提供された情報により作成されたプロンプトに基づき、前記テキスト生成AIに所定の要求を行い、テキストを取得するテキスト生成AI通信手段と、
を備え、
前記プロンプト作成情報提供手段が、勘定科目ごとに財務リスクを要求するプロンプトを作成するための情報と前記財務情報取得手段によって取得された前記対象会社の財務情報とを照合し、一致する勘定科目に紐づく所定の情報を所定の端末に提供するものである財務リスク評価支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、財務リスク評価方法、財務リスク評価報告書の作成方法および財務リスク評価支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象会社の資産などを評価する評価ビジネスにおいて、様々な評価方法や評価システムが開発されている。対象会社の事業性評価を行う技術として、以下の特許技術(特許技術1)が挙げられる。
【0003】
特許技術1に係る文献(特許文献1)には、評価者の端末に接続されるサーバにより、発電事業を行う事業者の事業性の評価を行う事業性評価方法であって、前記サーバのデータベースから、前記事業者の設備の評価を行う評価者の第1の端末、試験装置により前記事業者の設備を構成する機器の試験、検査を行って、機器の評価を行う評価者の第2の端末、および前記事業者の設備が設置される場所において、実地に評価を行う評価者の第3の端末に、動産評価、発電リスク評価、災害リスク評価について評価項目とその評価方法とが記述された評価シートを送信するステップと、前記第1、第2および第3の端末から前記評価者による評価が記入された評価シートを評価結果として受信し、各々の評価シートについて、評価点を集計して、予め定めた評価指標に換算するステップと、評価時から所定の年限までの発電量と電力量料金単価とから算出された売電金額から経費の合計金額を差し引いた将来価値価格を算出するステップと、前記各々の評価シートにおいて換算された評価指標のそれぞれに重み付けを行い、合計した小数点以下の係数を、前記将来価値価格に乗算して売却予想価値価格を算出するステップとを備えたことを特徴とする事業性評価方法が記載されている。
【0004】
また、近年では、AI(Artificial Intelligence)技術の発達により、様々な場面でAIが活用されるようになってきた。図面などのビジネス資料の作成をAIに支援させる技術として、以下の特許技術(特許技術2)が挙げられる。
【0005】
特許技術2に係る文献(特許文献2)には、コンピュータに、ソフトウェアの技術文書を作成するための方法であって、前記ソフトウェアの説明が表現された説明データを取得するステップであって、前記説明データは、1又は複数の文及び1又は複数の画像の少なくとも一方を含むステップと、前記説明データに基づいて、前記ソフトウェアにおいて生じる1又は複数のユースケースを生成することを第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を行うステップと、前記1又は複数のユースケースの少なくともいずれかについて、当該ユースケースに対応する1又は複数のビジネスロジックを生成することを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を行うステップとを含むことが記載されている。
【0006】
特許技術1は、動産評価を含む対象会社の事業性評価を提供することを課題にしている。しかしながら、当該技術は、必ずしもAI技術を活用することは想定されておらず、AI技術を活用するにあたっての技術課題を解決するものではない。
【0007】
特許技術2は、AI技術によりソフトウェア開発などに必要な技術文書の作成を効率化することを課題にしている。しかしながら、技術文書の作成と財務リスク評価報告書の作成は大きく異なるものである。例えば、財務リスクは、対象会社の事業内容によって多様である点で、定形的な技術文書とは、作成の工程や作成の難易度が大きく異なる。
【0008】
財務リスク評価は、評価対象が多岐にわたる。そのため、単にAIとの対話を繰り返すことで得られた情報を活用する財務リスク評価だと、作業量が膨大になる。また、AIとの対話において、ノイズとなる情報が増え、評価品質が低下することになる。これらの問題を鑑み、本考案は、より簡易かつ効率的に対象会社の財務リスクを評価することを課題としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6327684号公報
【文献】特許第7503700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、対象会社の財務リスクを簡易かつ効率的に評価する方法を提供することである。
【0011】
第1の発明は、対象会社の財務リスクを示すよう、所定の端末からネットワークを介してテキスト生成AIに要求し、前記要求により取得されたテキストに記載の財務リスクを前記対象会社の財務リスクとして評価する処理をおこなうシステムによる財務リスク評価方法であって、前記対象会社の財務情報を勘定科目ごとに取得する第1のステップと、前記第1のステップにより取得された財務情報に基づき、想定される財務リスクを要求するプロンプトを作成する第2のステップと、前記第2のステップで作成されたプロンプトに基づき、前記想定される財務リスクを前記端末から前記テキスト生成AIに要求する第3のステップと、前記第3のステップにより取得されたテキストに記載の財務リスクの大小の評価を要求するプロンプトを作成する第4のステップと、前記第4のステップで作成されたプロンプトに基づき、前記財務リスクの大小の評価を前記端末から前記テキスト生成AIに要求する第5のステップと、を含む処理によって実現される財務リスク評価方法である。また、第2の発明は、対象会社の財務リスクを示すよう、所定の端末からネットワークを介してテキスト生成AIに要求し、前記要求により取得されたテキストに記載の財務リスクを前記対象会社の財務リスクとして評価する処理をおこなうシステムによる財務リスク評価方法であって、前記対象会社の財務情報を勘定科目ごとに取得する第1のステップと、前記第1のステップにより取得された財務情報に所定の情報を反映し、これに基づき、想定される財務リスクを要求するプロンプトを作成する第2のステップと、前記第2のステップで作成されたプロンプトに基づき、前記想定される財務リスクを前記端末から前記テキスト生成AIに要求する第3のステップと、前記第3のステップにより取得されたテキストに記載の財務リスクの大小の評価を要求するプロンプトを作成する第4のステップと、前記第4のステップで作成されたプロンプトに基づき、前記財務リスクの大小の評価を前記端末から前記テキスト生成AIに要求する第5のステップと、を含む処理によって実現され、前記第2のステップの所定の情報は、前記テキスト生成AIに前記対象会社の財務リスクを要求するために、あらかじめ勘定科目ごとに紐づけられた情報を管理する管理サーバの管理下にあり、前記第1のステップにおいて取得された情報の勘定科目と一致する勘定科目に紐づく情報として前記端末に提供されたものである財務リスク評価方法である。また、第の発明は、対象会社の財務リスク評価を支援するための財務リスク評価支援システムであって、前記対象会社の財務情報を勘定科目ごとに取得する財務情報取得手段と、前記財務情報取得手段により取得された財務情報に基づき、前記対象会社の財務リスクをテキスト生成AIに要求するプロンプトを作成するための情報を提供するプロンプト作成情報提供手段と、前記プロンプト作成情報提供手段によって提供された情報により作成されたプロンプトに基づき、前記テキスト生成AIに所定の要求を行い、テキストを取得するテキスト生成AI通信手段と、を備え、前記プロンプト作成情報提供手段が、勘定科目ごとに財務リスクを要求するプロンプトを作成するための情報と前記財務情報取得手段によって取得された前記対象会社の財務情報とを照合し、一致する勘定科目に紐づく所定の情報を所定の端末に提供するものである財務リスク評価支援システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、対象会社の財務情報を勘定科目ごとに取得し、これに基づき当該対象会社の財務リスクの特定を要求するプロンプトを作成する。これにより、本発明は、テキスト生成AIから有益な財務リスクに関する1次的な情報を簡易、効率的に取得する効果が期待できる。また、本発明は、テキスト生成AIから得られた1次的な情報に基づき、それぞれの財務リスクの大小の評価を要求するプロンプトを作成する。これにより、本発明は、テキスト生成AIから対象会社の財務リスクに関する情報を簡易、効率的に取得する効果が期待できる。また、本発明は、あらかじめ勘定科目ごとに紐づけられたプロンプト作成に有用な情報の中から、対象とする勘定科目と一致する勘定科目に紐づく情報をプロンプトに反映する。これにより、本発明は、よりノイズが少なく、また、担当者による能力の差に関係なく、テキスト生成AIから有益な情報を簡易、効率的に取得する効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】端末などが連動するシステムとしての概要図である。
図2】財務リスク評価に用いられる情報の一例である。
図3】財務リスク評価のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明に係る用語>
本発明において、「対象会社」とは、いわゆる財務デューデリジェンス(以下、デューデリジェンスを「DD」という。)のための財務状況などの評価の対象となる組織を意味する。
【0015】
本発明において、「財務リスク」とは、対象会社のM&Aなどの検討の際に当該対象会社の帳簿などに記載の情報から想定される財務上のリスクを意味する。
【0016】
本発明において、「端末」とは、いわゆる情報端末を意味し、パーソナルコンピュータ、サーバ、タブレット、スマートフォンなどを含んでいる。また、端末は、対象会社の財務情報の取得や各種情報の照合、必要な情報の作成・更新や格納、テキスト生成AIへの所定の要求や当該要求に対する回答の取得などに用いられる。
【0017】
本発明において、「ネットワーク」とは、複数の端末が有線または無線によって接続され、相互に通信可能な状態となるシステムであり、いわゆるインターネット、イントラネットなどを意味する。また、ネットワークは、専用回線やVPN(Virtual Private Network)であってもよい。
【0018】
本発明において、「テキスト生成AI」とは、要求に対するテキスト(回答)を生成するAI(Artificial Intelligence)を意味する。テキスト生成AIからの回答は、図表など、文字以外の情報が含まれてもよい。また、「プロンプト」とは、テキスト生成AIから回答を得るための要求(入力される命令や指示)を意味する。テキスト生成AIは、プロンプトに対して回答を生成する。
【0019】
(実施例1)
以下は、本発明に係る財務リスク評価方法とその流れに関する。
【0020】
図1は、本発明に係る端末などから構成されるシステムの概要図である。管理端末1は、サーバ2やテキスト生成AI3(後述)などとネットワークを介して所望の通信や情報処理を行うための装置である。
【0021】
サーバ2は、管理端末1などからの所定の要求に対して情報や情報処理の結果を提供する機能を果たすコンピュータやソフトウェアを意味する。サーバ2では、CPU、メモリ、ストレージなどが電気的に接続され、本発明を実現するための処理がなされる。
【0022】
サーバ2の機能は、一つの装置によって実現されてもよいし、複数の装置によって実現されるサーバ装置群でもよい。また、これらの装置は、同じ場所に限らず、異なる場所に配置されていてもよい。また、図1では管理端末1とサーバ2が別々に描かれているが、これらの機能を兼ねる一つの装置が用いられてもよい。
【0023】
テキスト生成AI3には、OpenAI社のChatGPT-4が用いられた。ただし、本発明において用いられるテキスト生成AI3は、種類やバージョンが限定されるものではない。例えば、Microsoft社のCopilot、Google社のGeminiなど、本発明にとって必要なテキストを生成するAIであれば、どのようなものであってもよいし、バージョン変更されてもよい。
【0024】
利用者端末4は、ネットワークを介して管理端末1などと財務リスクの評価に必要な通信を行うための装置である。上述の管理端末1、サーバ2、テキスト生成AI3、利用者端末4がネットワークを介して、財務リスクの評価に必要な通信、処理を行う。
【0025】
図2は、本発明に係る財務リスク評価に用いられる情報の一例である。サーバ2は、管理端末1の要求に応じて、あらかじめ格納された情報を提供したり、情報更新したりする。
【0026】
図2に示される情報は、プロンプトなどを作成するための情報であり、「現預金」、「売掛金」、「棚卸資産」など、原則、所定の勘定科目ごとの情報である。本実施例では、当該情報が20の勘定科目についてある。
【0027】
また、それぞれの勘定科目には、財務リスク評価の観点別に10の項目(図中の勘定科目の各行の項目)がある。ただし、勘定科目数や項目数は限定されるものではないし、プロンプトは、勘定科目に係る項目と1対1の関係で作成される必要もない。
【0028】
また、本発明において、「情報を勘定科目ごとに取得」とは、取得された情報に複数の勘定科目に係る情報が含まれることを否定するものではない。複数の勘定科目を含む情報が、それぞれどの勘定科目に関連するのかが区別可能であれば、「勘定科目ごとに取得」された情報である。
【0029】
以下は、対象会社の現預金情報を取得するための対象会社への質問の具体例である。
「銀行口座の一覧に記載されている、各口座の用途や口座開設の経緯を教えてください。また、海外において、長期間にわたり使用していない預金口座はありますか?」(これを質問Aとする。)
【0030】
このような情報は、サーバ2の管理下にあり、管理端末1から「現預金」に関する質問情報の要求があったときに、管理端末1に送られる。その後、管理端末1から利用者端末4に質問Aが送られ、利用者端末4から質問Aに対する回答が管理端末1に返されることになる。
【0031】
質問Aに対して、利用者端末4から現預金ついて以下の回答があったとする。
「〇〇銀行口座は入金用の口座、△△銀行口座は経費支払用の口座です。どちらも会社設立時に開設しました。長期間使用していない口座はありません。」(これを回答Aとする。)
【0032】
回答Aは、質問Aに対する回答であるから、これらの情報は関連性を有する。回答Aは、管理端末1からサーバ2へと送られ、サーバ2において回答Aが質問Aに対する回答として関連づけられ、新たに格納される。回答は、帳簿情報など、当該回答の付属的な情報も含まれてもよい。
【0033】
また、サーバ2の管理下の質問Aには、プロンプトの作成に必須な情報(必須情報Aとする。)があらかじめ紐づけられている。そのため、回答Aは、質問Aおよび必須情報Aに関連する情報として紐づけられサーバ2の管理下におかれることになる。図2は、この状態をあらわしている(図では省略されているが、上述の付属的情報もサーバ2の管理下の情報に含まれ得る。)。
【0034】
また、必須情報とは、テキスト生成AI3から有益な回答を引き出すための情報である。単に、回答Aに基づいて、対象会社の現預金の現状を示しつつ現預金について想定されるリスクをテキスト生成AI3に要求するだけでは、多くのノイズを含む回答や要求の趣旨と異なる回答が生成されることが多々ある。
【0035】
このような不具合を解消するためにプロンプトに反映される情報が上記の必須情報である。以下は、必須情報Aの具体例である。
「銀行担当者のノルマへの協力などから、不要な口座を開設している場合があります。この場合、銀行担当者との癒着のリスクもあるため、長期間にわたり使用していない口座など、不要な口座がないことを確認しておく必要があります。」
【0036】
以上の質問A、必須情報A、回答Aに基づき以下のプロンプトが作成されたとする。
「当社は、ある会社(以下、「対象会社」という)を株式譲渡により買収しようとしています。そのため、財務デューデリジェンスを実施しました。財務デューデリジェンスにおいて「銀行口座の一覧に記載されている、各口座の用途や口座開設の経緯を教えてください。また、海外において、長期間にわたり使用していない預金口座はありますか?」という質問をしました。質問の意図は以下のとおりです。「銀行担当者のノルマへの協力などから、不要な口座を開設している場合があります。この場合、銀行担当者との癒着のリスクもあるため、長期間にわたり使用していない口座など、不要な口座がないことを確認しておく必要があります。」対象会社の回答は以下のとおりです。「〇〇銀行口座は入金用の口座。△△銀行口座は経費支払用の口座です。どちらも会社設立時に開設しました。長期間使用していない口座はありません」対象会社からこのような回答を得られた時、財務デューデリジェンスにおいて、対象会社にはどのような財務上のリスクがありますか?300文字程度で具体的に教えてください。」
【0037】
上記プロンプトは、序文(AIへの質問の背景情報)、対象会社への質問、必須情報(対象会社への質問の意図)、対象会社からの回答、AIへの財務リスクの要求、という構成である。プロンプトは、当該構成に基づきサーバ2や管理端末1にて自動的に作成されてもよいし、管理端末1にて手動で作成されてもよい。
【0038】
ここで、本発明では、図1が示すように、管理端末1やサーバ2を用いて財務リスク評価に係るサービスの提供者(以下、「サービス提供者」という。)およびサービスの利用者(主に対象会社や対象会社のM&Aに関わる者などである。以下、「サービス利用者」という。)が想定されるプレーヤーとなる。
【0039】
図3は、財務リスク評価に係る流れを示す。サービス提供者は、対象会社の財務リスクを評価するための質問をサービス利用者に送信(S11)し、利用者端末1から回答(財務情報)を取得(S12)する(第1のステップ)。ただし、当該情報を取得するための質問と回答などのやりとりは、管理端末1と利用者端末4の通信に限定されるものではない。
【0040】
例えば、管理端末1を介さず、サーバ2が、利用者端末4から情報を取得してもよい。具体的には、利用者端末4から所定のサイトの入力フォームに入力された情報が、対象会社の回答として、各勘定科目に係る質問および必須情報に自動的に関連づけられ、サーバ2の管理下に置かれる例が挙げられる。
【0041】
サービス提供者とサービス利用者との情報のやりとりが紙媒体や直接のヒアリングその他の手段によって行われ、必要に応じて管理端末1やサーバ2が利用されてもよい。例えば、サーバ2などの管理下にある各種情報の取得、照合、更新など財務リスクの評価に必要な処理は管理端末1によって行われ、それ以外の情報のやりとりなどは紙媒体などによって行われてもよい。
【0042】
このようにして、サービス提供者は、対象会社の財務リスクの評価に必要な情報を、サービス利用者から取得する。取得された情報は、関連する質問や必須情報に紐づけられ、サーバ2の管理下に置かれる。
【0043】
サービス利用者から質問の回答を取得したサービス提供者は、第1のステップにより取得された勘定科目ごとに想定される財務リスクをテキスト生成AI3に要求するプロンプトを作成(S21)する(第2のステップ)。
【0044】
プロンプトは、上述のように、勘定科目や項目ごとの質問、必須情報、回答などによって構成される。プロンプトは、サーバ2などによってこれらの情報から自動作成されてもよいし、管理端末1により手動で作成されてもよい。作成されたプロンプトは必要に応じて、サーバ2などの管理下に置かれる。
【0045】
また、対象会社にとって、該当する勘定科目や項目が存在しない場合や、M&Aなどにおける重要性が低い勘定科目などについては、これらに対するプロンプトは必ずしも作成される必要はない。
【0046】
次に、サービス提供者は、第2のステップで作成されたプロンプトに基づき、管理端末1から、想定される財務リスクをテキスト生成AI3に要求(S31)する(第3のステップ)。具体的には、サービス提供者が、ネットワークを介し、管理端末1からテキスト生成AI3に要求するための入力欄にプロンプトを入力し、これをテキスト生成AI3に送る。
【0047】
テキスト生成AI3に対して、上記の質問A、必須情報A、回答Aに基づき作成されたプロンプトが送信され、テキスト生成AI3から以下のテキストが取得(S32)されたとする。
「対象会社からの回答に基づいて、財務デューデリジェンスにおける主な財務上のリスクは以下の通りです:
1.**流動性リスク**:〇〇銀行の預金が借入金の担保として設定されているため、この預金は自由に処分や利用ができない可能性があります。これは、対象会社の流動性や急な現金需要に対する対応能力に影響を及ぼす可能性があります。
2.**財務報告の精度**:貸借対照表上に現金及び預金として計上されているが、実際には担保として設定されている預金は、その表示が妥当でない可能性があります。財務報告の透明性と正確性を確保するために、これらの預金の扱いを適切に開示する必要があります。
3.**担保設定の影響**:借入金の担保として預金が設定されている場合、その預金が担保解除されない限り、その資金は他の目的に使用することができません。これにより、対象会社の資金繰りや投資計画に影響が出る可能性があります。
これらの点を考慮し、対象会社の財務状況を評価する際には、預金の実質的な利用可能性と流動性に注目することが重要です。」
【0048】
上記テキストに記載の財務リスク(上記1~3に財務上のリスクとして記載された情報)は、必要に応じて、上記の質問A、回答A、必須情報Aに関連づけられ、サーバ2の管理下に置かれる。
【0049】
これが、20の勘定科目について財務リスクを評価する10の観点別に行われたとする。そうすると、200のプロンプトがテキスト生成AI3に送られ、これらに対して、テキスト生成AI3では200のテキストが生成されることになる。テキスト生成AI3から取得されたこれらの1次的な情報は、さらなる評価のための情報となる。
【0050】
次に、サービス提供者は、管理端末1から、第3のステップで取得された各テキストに記載の各財務リスクの大小の評価を要求するプロンプトを作成(S41)する(第4のステップ)。これは、上記の200のテキストに記載の財務リスクの重要性の度合いを評価するためのステップである。
【0051】
プロンプトの作成においては、テキスト生成AI3から取得された1次的な情報から、さらに選別、抽出されるなどの機械的または人為的な処理が行われてもよい。これは、その後のテキスト生成AI3が生成するテキスト(財務リスクの大小の評価結果)をより有用なものにするための処理である。
【0052】
当該処理は、公認会計士その他専門家によって、経験に基づき行われてもよいし、サーバ2の管理下などに置かれた所定の判断基準に基づき、自動的に行われてもよい。判断基準としては、以下の例が挙げられる。
【0053】
すなわち、対象会社の収益や資産に対し、財務リスクが示された勘定科目に係る金額が、所定金額以上の場合に財務リスクが大きいと判断される例が挙げられる。より具体的には、当該金額が、対象会社の税引前利益の5%以上の場合に財務リスクが大きいと判断される例が挙げられる。このような判断基準に基づき、財務リスクの大小の評価に不要な情報が取り除かれる。
【0054】
財務リスクの大小とは、対象会社の事業性などに与える影響の深刻さの大小、例えば、対象会社の純資産や正常収益力に対する金額の大小に言い換えることができる。勘定科目に係る資産などの存否やその正確性、取得の経緯などに問題がある場合にも、その金額や違法性が大きいほど対象会社に与える影響は深刻で、財務リスクは大きいことになる。
【0055】
第4のステップでは、第2のステップのプロンプトと同じく、自動的に作成されても、手動で作成されてもよい。ここでは、以下のプロンプトが作成されたとする。
「当社は、ある会社(以下、「対象会社」という)を株式譲渡により買収しようとしています。そのため、財務デューデリジェンスを実施しました。以下は財務デューデリジェンスに関する分析結果です。対象会社にはどのような財務上のリスクがあるかまとめてください。なお、実態純資産や正常収益力に影響を与えるものを中心に検討して箇条書きで答えてください。また、対象会社から得られた回答は完全かつ正確なものであるとの前提で回答を考えてください。
・・・・(分析結果1)・・・・
・・・・(分析結果2)・・・・
・・・・(分析結果3)・・・・」
【0056】
上記プロンプトに記載の「・・・・(分析結果1)・・・・」、「・・・・(分析結果2)・・・・」、「・・・・(分析結果3)・・・・」は、第3のステップによって得られたテキストに記載の財務リスク情報または当該財務リスクからさらに選別、抽出された情報である。
【0057】
このように、第4のステップで作成されるプロンプトは、第1のステップから第3のステップを通じて得られた情報が一連の経緯が反映されたものであり、テキスト生成AI3から得られた各財務リスク情報について、さらに評価を求める構成となる。
【0058】
最後に、サービス提供者は、第4のステップで作成されたプロンプトに基づき、管理端末1から、財務リスクの大小の評価をテキスト生成AI3に要求(S51)する(第5のステップ)。
【0059】
第5のステップによりテキスト生成AI3から以下のテキストが取得(S52)されたとする。
「財務デューデリジェンスを通じて検討した内容に基づき、以下に対象会社における潜在的なリスクをまとめます。なお、実態純資産や正常収益力に影響を与えうる要因に焦点を当てています。
1.**銀行口座の管理状況**:対象会社は複数の銀行口座を保有しており、その用途や開設経緯については具体的な説明がありました。不要な口座の開設や銀行担当者との不適切な関係のリスクは低いと考えられます。海外口座に関しても、不明瞭な資金移動のリスクはありません。
2.**預金残高の実在性**:対象会社は、貸借対照表に記載された預金残高と銀行発行の残高証明が一致していることを確認しました。これにより、預金の実在性や外貨預金の評価に関するリスクは特に指摘されません。
3.**借入金の担保に関する預金**:対象会社は、借入金の担保になっている預金や引出しを制限される預金がないことを確認しました。これにより、資金の利用性に関するリスクは低いと評価されます。
4.**小切手の使用状況**: 対象会社は、現在小切手を使用しておらず、関連する内部統制のリスクは存在しないとのことです。
5.**資金繰りの管理**:対象会社は、手書きで入金表及び支払表を作成し資金繰りを管理しています。取引先が固定されているため、大きなリスクは指摘されていませんが、将来の成長に伴い、より洗練された資金管理手法への移行が推奨されます。
6.**事業用資金と余剰資金**:対象会社の現金及び預金の残高は全て事業用資金とされ、余剰資金がない状況です。これは、予期せぬ経済環境の変化や事業の変動に脆弱である可能性を示唆していますが、直接的な財務上のリスクは特定されていません。
これらのポイントを踏まえ、対象会社には特に重大な財務上のリスクが検出されたわけではありませんが、将来的な事業拡大や市場環境の変化に対応するために、資金管理の方法を含めた内部管理体制のさらなる強化が望まれます。」
【0060】
上例は、勘定科目に係る各項目に対する財務リスクの評価結果である。これ以外にも、他の観点からテキストを生成させるプロンプトが作成されてもよい。例えば、それぞれの勘定科目に係る財務リスクについての優劣の評価、M&Aなどにおける優先度の高い勘定科目の特定などを要求するプロンプトが作成されてもよい。
【0061】
上記テキストの例に示される財務リスク(上記1~6に財務上のリスクとして記載された情報)は、必要に応じて、勘定科目や質問、必須情報、回答などに関連づけられ、サーバ2の管理下に置かれる。
【0062】
サービス提供者は、取得したテキストに記載された財務リスクの評価に関する情報に基づき、財務リスク評価報告書を作成(S61)する(DDレポート作成ステップ)。財務リスク評価報告書は、このようにして作成された対象会社の財務DDの成果物であり、いわゆるDDレポートとして対象会社のM&Aなどの参考資料となるものである。
【0063】
財務評価報告書は、勘定科目ごとの財務リスクの評価結果が反映されるものでもよいし、優先度の高い勘定科目が重要事項として反映されるものでもよい。また、第5のステップにより取得された情報に基づき、公認会計士その他専門家によって、さらに財務リスクが評価されるものでもよいし、第4のステップに係る判断基準が適用されてもよい。
【0064】
(実施例2)
以下は、財務リスク評価のために各装置が連動する財務リスクの評価のためのシステム(財務リスク評価支援システム(以下、「システム」という。))としての本発明の説明である。
【0065】
サービス提供者が備えるべきシステムの機能として、まず、対象会社の財務情報を勘定科目ごとに取得する財務情報取得手段が挙げられる。管理端末1の機能がこれに相当する。サーバ2が当該機能を担ってもよい。
【0066】
また、システムの機能として、プロンプト作成情報提供手段が挙げられる。プロンプト作成情報提供手段は、財務情報取得手段により取得された財務情報に基づき、対象会社にどのような財務リスクがあるかをテキスト生成AI3に要求するプロンプト(上述の第2のステップのプロンプト)を作成するための情報を提供する。サーバ2の機能がこれに相当する。管理端末1が当該機能を担ってもよい。
【0067】
ここで、プロンプトを作成するための情報とは、実施例1の質問、必須情報、回答これらに関連する情報を意味する。当該情報は、実施例1にて上述の通り、必要に応じて、それぞれの情報が関連づけられサーバ2の管理下に置かれる。
【0068】
あらかじめサーバ2などの管理下に置かれるのは、勘定科目ごとの質問および必須情報である。管理端末1からの要求に応じて、利用者端末4から得られた回答は、既存の情報に関連づけられる。
【0069】
例えば、管理端末1が、勘定科目「現預金」に関する質問に基づく回答を取得したとする。そして、管理端末1から「現預金」に関する情報に一致する情報をサーバ2の管理下の情報から提供の要求があったとする。
【0070】
この場合、サーバ2は、勘定科目「現預金」を管理下にある情報と照合し、一致する情報(「現預金」に紐づけられた質問や必須情報など)を特定し、当該情報を管理端末1に提供する。提供された情報に基づき、管理端末1にて、プロンプトの作成が可能になる。
【0071】
また、システムの機能として、プロンプト自動作成手段が挙げられる。サーバ2または管理端末1が、プロンプト自動作成手段を有してもよい。プロンプトの全部またはその一部が、実施例1のように、所定の構文に基づき、質問、必須情報、回答などから作成される例が挙げられる。
【0072】
また、システムの機能として、テキスト生成AI通信手段が挙げられる。テキスト生成AI通信手段は、作成されたプロンプトに基づき、テキスト生成AI3に所定の要求を行い、生成されたテキストを取得する。管理端末1またはサーバ2の機能がこれに相当する。
【0073】
勘定科目「現預金」に関するプロンプトが作成された場合、管理端末1は、テキスト生成AI3に当該プロンプトを送信し、それに対して生成されたテキストを取得する。当該テキストに記載された財務リスク情報は、サーバ2に送られ、管理下の情報に紐づけられる。
【0074】
また、プロンプト作成情報提供手段は、上述の第4のステップに係るプロンプトの作成のための情報提供の機能を含んでもよい。ここで、管理端末1から、全ての勘定科目または所定の範囲の勘定科目について、上述の第4のステップに係るプロンプト作成のための情報提供の要求があったとする。
【0075】
この場合、サーバ2は、指定の勘定科目を管理下にある情報と照合し、一致する情報(テキスト生成AI3から取得された1次的な情報など)を特定し、管理端末1に提供する。提供された情報に基づき、管理端末1にて、プロンプトの作成が可能になる。
【0076】
また、システムの機能として、上述同様にプロンプト自動作成手段が挙げられる(上述の機能は繰り返しになるので省略)。プロンプト自動作成手段は、上述の第4のステップにおける判断基準に基づき機能するものであってもよい。
【0077】
このようにして作成されたプロンプトに基づき、上述のテキスト生成AI通信手段が、テキスト生成AI3への所定の要求、テキスト生成AI3からのテキストの取得を行う(上述の機能は繰り返しになるので省略)。
【0078】
また、システムの機能として、DDレポート作成手段が挙げられる。DDレポート作成手段は、テキスト生成AI3から取得されたテキストに基づきDDレポートを作成する。DDレポート作成手段は、実施例1に示す判断基準に基づき機能するものであってもよい。管理端末1またはサーバ2が当該機能を担ってもよい。
【0079】
(実施例3)
以下は、本発明の活用に関して繰り返し行われた検証結果および考えられる発明形態の考察に関する。
【0080】
本発明の発明者は、本発明以前からテキスト生成AIを活用した財務DDを行ってきた。今回、本発明に基づく財務DDにより、従来のDDレポートの品質と同程度以上のDDレポートを作成するための平均作業時間が、100時間から10時間に短縮された。
【0081】
また、簡易かつ迅速なDDレポートの市場ニーズが当初の想定以上であることが確認された。すなわち、従来は、時間をかけて総合的に評価された財務DDが業界の常識であったが、本発明により、所定事項に範囲が絞られた財務DD、迅速な財務DDという新市場が開拓された。
【0082】
所定範囲の財務DDニーズに対して、以下の発明形態が考えられる。
例えば、サービス利用者から、特に、対象会社の「現預金」の財務リスクを明らかにしたいという要望があったとする。
【0083】
この場合、サーバ2の管理下の情報の勘定科目「現預金」が、財務リスク評価の必須事項として、優先情報になる。例えば、勘定科目「現預金」に係る情報が財務リスク評価に係るステップ(実施例1の第2のステップからDDレポート作成ステップまで)を通じて、除外されることのないように処理(プロテクト)される。
【0084】
これにより、「現預金」に係る情報の扱いが変わってくる。すなわち、対象会社の「現預金」に係る金額が所定金額未満である場合や違法性が大きくない場合でも、当該情報が評価対象から除外されることがなくなる。
【0085】
これにより、財務リスクの大小に関係なく、「現預金」に係る財務DDの評価結果がDDレポートに反映されることになる。また、複数の勘定科目に係る情報が優先情報として、同時にプロテクトされてもよい。
【0086】
例えば、売上高に占める原価の割合(売上原価/売上高)に係る財務リスクを明らかにしたいという要望があったとする。この場合、上式の分子、分母に関連する全ての勘定科目がプロテクトされる。そして、売上高売上原価比率に影響の大きい勘定科目や小さい勘定科目の特定など、様々な分析に役立つDDレポートの作成が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、従来の財務DDに代わる財務DDやDDレポートの作成に利用可能である。また、特定の評価対対象に関する要望など、カスタマイズされた財務DDやDDレポートの作成にも利用可能である。
に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 端末(管理端末)
2 サーバ
3 テキスト生成AI

【要約】      (修正有)
【課題】テキスト生成AIを用い対象会社の財務リスクを簡易かつ効率的に評価する方法を提供する。
【解決手段】管理端末1が、サーバやテキスト生成AI3等とネットワークを介して所望の通信や情報処理を行うシステムにおいて、財務リスク評価方法は、対象会社の会計に係る情報を勘定科目毎に取得する第1のステップと、取得した情報に基づき、想定される財務リスクを要求するプロンプトを作成する第2のステップと、作成したプロンプトに基づき、想定される財務リスクを管理端末からテキスト生成AIに要求する第3のステップと、テキスト生成AIで取得しテキストに記載の財務リスクの大小の評価を要求するプロンプトを作成する第4のステップと、作成したプロンプトに基づき、財務リスクの大小の評価を管理端末からテキスト生成AIに要求する第5のステップと、を含み、取得したテキストに記載された財務リスクを、対象会社の財務リスクとして評価する。
【選択図】図1
図1
図2
図3