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特許7626448シール消臭剤およびシール消臭剤の製造方法
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  • 特許-シール消臭剤およびシール消臭剤の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】シール消臭剤およびシール消臭剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20250128BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20250128BHJP
   B01J 21/18 20060101ALI20250128BHJP
   B01J 35/45 20240101ALI20250128BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20250128BHJP
   B32B 18/00 20060101ALI20250128BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/01 B
B01J21/18 A
B01J35/45
B01J37/02 301A
B01J37/02 301R
B32B18/00 C
B32B27/00 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021113274
(22)【出願日】2021-07-08
(65)【公開番号】P2023009746
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】521302032
【氏名又は名称】芝住宅総合開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(72)【発明者】
【氏名】芝 潔
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-102188(JP,A)
【文献】特開2018-095782(JP,A)
【文献】特開2005-186004(JP,A)
【文献】特開平09-168583(JP,A)
【文献】特開2006-136586(JP,A)
【文献】特開2009-045287(JP,A)
【文献】特開平09-010138(JP,A)
【文献】特開昭63-108083(JP,A)
【文献】特開平10-085558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
B01J 21/00-38/74
B05D 1/00- 7/26
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面および前記第1主面とは反対側の第2主面を有する非吸湿性の基材と、
前記基材の前記第1主面上に形成され、ナノダイヤモンド触媒および水系無機バインダーを含む消臭層と
前記基材の前記第2主面上に形成された粘着剤層と
を備えるシール消臭剤であって、
前記非吸湿性の基材の第1主面に、前記ナノダイヤモンド触媒および前記水系無機バインダーを含む水系混合物を、コンプレッサを備えたスプレーガンを用いて吹き付けて、前記ナノダイヤモンド触媒および前記バインダーを前記第1主面に付着させる工程と、
前記基材の前記第1主面とは反対側の第2主面に、粘着剤層を形成する工程と
を含むシール消臭剤の製造方法によって製造された、
シール消臭剤。
【請求項2】
前記基材は、ポリプロピレンフィルムを主成分とする合成紙である、請求項1に記載のシール消臭剤。
【請求項3】
シール消臭剤の製造方法であって、
非吸湿性の基材の第1主面に、ナノダイヤモンド触媒および水系無機バインダーを含む水系混合物を、コンプレッサを備えたスプレーガンを用いて吹き付けて、前記ナノダイヤモンド触媒および前記水系無機バインダーを前記第1主面に付着させる工程と、
前記基材の前記第1主面とは反対側の第2主面に、粘着剤層を形成する工程と
を含むシール消臭剤の製造方法。
【請求項4】
前記基材として、ポリプロピレンフィルムを主成分とする合成紙を用いる、請求項3に記載のシール消臭剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール消臭剤およびシール消臭剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間は、生活空間の快適性を向上させるため、気に障る匂いをできるだけ消そうとする傾向がある。消臭対象としては、自分自身の汗や皮脂、自家用車の車内空間、玄関、寝室、居間、食卓、トイレおよび洗面所などの居住空間、冷蔵庫および冷凍庫の中の空間、物置やクローゼットといった収納空間などが挙げられる。これらの消臭対象を可能な限り無臭にしたいという人々の欲求に応えるべく、消臭対象に応じた様々な消臭剤が開発され、市販されている。消臭剤としては、たとえばデオドラントスプレーなどの消臭スプレー、置き型タイプの消臭剤、ならびにシート状およびシール状の消臭剤などがある。
【0003】
従来のシート状およびシール状の消臭剤は、典型的には消臭成分を含む薬剤を基材に染み込ませているタイプが多い。このようなタイプの消臭剤では、たとえばその薬剤の消臭成分がニオイ成分と化学結合することにより、ニオイ成分が分解され、消臭される。
【0004】
この化学反応により消臭成分も分解するため、時間の経過と共に基材に含まれる薬剤は減っていく。また、薬剤は揮発によっても減少する。そのため、商品を開封した瞬間から、すなわち使用を開始した瞬間から、時間の経過と共に消臭効果は失われてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開特開平7-232080号公報
【文献】特許第4825496号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、消臭成分を基材に含ませた従来のタイプの消臭剤は、使用を開始してから、時間の経過と共に消臭効果が失われてしまう。
【0007】
そのため、時間が経過しても消臭効果を維持できる消臭剤の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、時間が経過しても消臭効果を維持できるシール消臭剤および触媒を強固に固着することができるシール消臭剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討の結果、非吸湿性の基材と、ナノダイヤモンド触媒およびバインダーを含む消臭層と、粘着層とを備えたシール消臭剤であれば、開封してから時間が経過しても消臭効果を維持することができることを見出した。また、ポリプロピレンフィルムにスプレーガンでナノダイヤモンド触媒を吹き付けることにより、強固に触媒が固着されることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
従って、本発明は、
第1主面および前記第1主面とは反対側の第2主面を有する非吸湿性の基材と、
基材の第1主面上に形成され、ナノダイヤモンド触媒およびバインダーを含む消臭層と
基材の第2主面上に形成された粘着剤層と
を備えるシール消臭剤を提供する。
【0011】
また、本発明は、上記基材が、ポリプロピレンフィルムを主成分とする合成紙であるシール消臭剤を提供する。
【0012】
また、本発明は、上記バインダーが、水系セラミックバインダーである、シール消臭剤を提供する。
【0013】
また、本発明は、シール消臭剤の製造方法であって、
非吸湿性の基材の第1主面に、ナノダイヤモンド触媒およびバインダーを含む水系混合物をスプレーガンを用いて吹き付けて、ナノダイヤモンド触媒およびバインダーを第1主面に付着させる工程と、
前記基材の前記第1主面とは反対側の第2主面に、粘着剤層を形成する工程と
を含むシール消臭剤の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、上記基材として、ポリプロピレンフィルムを主成分とする合成紙を用いる、シール消臭剤の製造方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、上記バインダーとして、水系セラミックバインダーを用いる、シール消臭剤の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
実施形態に係るシール消臭剤は、使用を開始してから時間が経過しても消臭効果を維持することができる。また、実施形態に係るシール消臭剤は、たとえば冷暗室であっても、消臭効果を発揮できる。
【0017】
また、実施形態に係るシール消臭剤の製造方法では、使用を開始してから時間が経過しても消臭効果を維持することができるシール消臭剤を製造することができる。また、実施形態に係るシール消臭剤の製造方法では、反りなどを抑えて、シール消臭剤を製造することができる。さらに、実施形態に係るシール消臭剤の製造方法では、ナノダイヤモンド触媒を基材に対して強固に固着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るシール消臭剤の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、実施形態に係るシール消臭剤の例を、図1を参照しながら具体的に説明する。ただし、本発明のシール消臭剤は、以下に説明する例に限定されるものではない。
【0020】
図1に示すシール消臭剤10は、基材1と、消臭層2と、粘着剤層3とを備える。
【0021】
基材1は、非吸湿性の基材である。基材1が非吸湿性であることにより、水系混合物をスプレー塗布することによって消臭層2を形成しても、基材1の反りなどを防ぐことができる。
【0022】
基材1は、非吸湿性であれば特に限定されないが、たとえばポリプロピレンフィルムを主成分とする合成紙を基材1として用いることができる。ポリプロピレンフィルムを主成分とする合成紙の具体例としては、ユポ(登録商標)を挙げることができる。
【0023】
基材1は、特に非吸湿性でない基材にサイズ剤を施工して、非吸湿性としたものでも良い。基材1の非吸湿性は、水系混合物をスプレー塗布することによっても吸湿しない程度であればよい。
【0024】
基材1は、第1主面1Aと、その反対側の第2主面1Bとを有している。
【0025】
基材1の第1主面1A上には、消臭層2が形成されている。
【0026】
消臭層2は、ナノダイヤモンド触媒およびバインダーを含む。
【0027】
ナノダイヤモンド触媒は、粒子状のダイヤモンドであり、たとえば数nm~数千nmのサイズの粒子ダイヤモンドを含む。ナノダイヤモンド触媒は、たとえば粒子状の工業用ダイヤモンドであることができる。ナノダイヤモンド触媒は、一般に市販されているナノダイヤモンド粒子であることができる。
【0028】
ナノダイヤモンド触媒は、この触媒の粒子に接触した菌、ウィルスおよびニオイ成分等をその電気的特性により酸化還元反応で分解、無害化することができる。ナノダイヤモンド触媒自体は、触媒作用を発揮しても消尽しない。そのため、本発明のシール消臭剤10を開封して使用を開始して時間が経過しても、触媒作用は半永久的に続き、消臭効果を維持することができる。
【0029】
しかも、ナノダイヤモンド触媒は、光触媒とは異なり、暗所でも触媒作用を示すことができる。さらに、冷所でも触媒作用を示すことができる。よって、本発明のシール消臭剤10は、冷蔵庫や冷凍庫などの、光源がなく且つ冷所であっても、消臭効果を発揮できる。
【0030】
ナノダイヤモンド触媒の平均一次粒子径は、触媒作用を示すことができる任意の粒子径であることができる。ナノダイヤモンド触媒の平均一次粒子径は、0.1nm~数千nmであることができ、たとえば0.1nm~300nm、0.5nm~50nmまたは1nm~10nmであることができる。このような平均一次粒子径のナノダイヤモンド触媒を含むものであれば、より高い消臭効果を発揮することができる。
【0031】
消臭層2において、ナノダイヤモンド粒子の平均粒子径(一次粒子および二次粒子の区別をしない平均粒子径)は、所望の消臭効果および費用対効果に応じて任意のサイズのナノダイヤモンド粒子を含むことができるが、たとえば10μm~30μm以上の平均粒子の凝集したナノダイヤモンド触媒を含むことができる。また、凝集したナノダイヤモンド触媒は、バインダとの混合物として、上記サイズのナノダイヤモンド粒子として提供される。このような平均粒子径のナノダイヤモンド触媒を含む消臭層2であれば、ナノダイヤモンド触媒の担持量および批評面積のバランスに優れ、より高い消臭効果を発揮することができる。
【0032】
バインダーは、特に限定されないが、液体セラミックバインダーであってもよく、たとえば水系バインダーであることができる。水系バインダーを用いることにより、より環境に優しい製品となる。また、水系バインダーを用いることで、分散性に優れた水系懸濁液から消臭層2を形成することができる。特に、バインダーは、水系セラミックバインダーなどの水系無機バインダーを用いることが好ましい。
【0033】
基材1は、非吸湿性の基材であるので、水系バインダーを含む水系スラリーを用いて消臭層2を形成しても、吸湿を原因とする基材1の反りや伸縮により商品としての見た目が損なわれて商品化できない状態になるのを防ぐことができる。
【0034】
消臭層2におけるナノダイヤモンド触媒の含有量は、所望の消臭効果および費用対効果によって選択することができ、であることができる。この範囲内以上であれば、優れた消臭効果を発揮することができる。
【0035】
基材1の第2主面1B上、すなわち消臭層2とは反対側に、粘着剤層3が形成されている。
【0036】
粘着剤層3は、シール消臭剤10を貼り付け対象に貼り付ける役割を果たすことができる。
【0037】
粘着剤層3は、特に限定されないが、シール用の粘着剤として通常使用されるものを使用することができる。粘着剤層3は、たとえば、冷食糊を使用することができる。冷食糊は、自然由来であり、環境に優しい。
【0038】
本発明のシール消臭剤10では、基材1が非吸湿性であるため、消臭層2形成用スラリーの水分が基材1に移行するのを防ぐことができる。よって、粘着剤層3に水分が移行して粘着効果が弱まるのを防ぐことができる。
【0039】
本発明のシール消臭剤10は、他の部材を含むこともできる。たとえば、消臭層2上に、保護層を設けることもできる。また、粘着剤層に剥離層を設けることもできる。消臭剤10を貼り付けるときに剥離層を剥ぐだけで容易に接着することができる。
【0040】
[シール消臭剤の製造方法]
実施形態に係るシール消臭剤の製造方法を、以下に説明する。
【0041】
先に説明した実施形態に係るシール消臭剤は、以下に説明するシール消臭剤の製造方法によって製造することができる。ただし、実施形態に係るシール消臭剤は、実施形態に係るシール消臭剤の製造方法以外の製造方法で製造することもできる。
【0042】
実施形態に係るシール消臭剤の製造方法は、非吸湿性の基材の第1主面に、ナノダイヤモンド触媒およびバインダーを含む水系混合物をスプレーガンによって吹き付けて、ナノダイヤモンド触媒およびバインダーを基材の第1主面に付着させる工程を含む。スプレーガンとしてコンプレッサを備えたスプレーガンを用いることにより、所望の圧力でナノダイヤモンド触媒しっかりと基材に吹き付けることができる。
【0043】
上記水系混合物は、コンプレッサを備えたスプレーガンを用いて基材に吹き付けることにより、ナノダイヤモンド触媒およびバインダーを基材に強固に付着される。また、この工程後、水分を蒸発させる。上記工程により、所望の平均粒子径(一次粒子および二次粒子の区別をしない平均粒子径)、たとえば10μm~30μm以上の平均粒子径の凝集したナノダイヤモンド触媒とバインダーとを含む消臭層を、基材の第1主面上に形成することができる。なお、基材は非吸湿性であるため、水系混合物の水分を吸収しない。また、コンプレッサを備えたスプレーガンを用いて基材に吹き付けることにより、単にナノダイヤモンド触媒を接着剤等によって基剤1に接着した場合と比較して、強固に付着させることができ、長期間にわたったナノダイヤモンド触媒を基剤1に接着させておくことができる。さらに、水分を含むナノダイヤモンド触媒を基材に対して圧力と共に付着させても、非吸湿性であることにより、ナノダイヤモンド触媒およびバインダの水分が基材に吸収さることがなく、水分が外気に放出されて基材にナノダイヤモンド触媒をしっかりと付着させることができ、使用時においてもナノダイヤモンド触媒がはがれることがない。
【0044】
ナノダイヤモンド触媒は、基材に対して任意の量を付着させることができる。たとえば、ナノダイヤモンド触媒は、100mlあたり2500兆個含有するバインダーとの水系混合物を作製した場合、シール1m2あたり25mlの薬剤を吹付けることによってシール1m2あたり625兆個のナノダイヤモンド触媒を付着させることができる。
【0045】
基材1の第1主面上に形成された消臭層は、使用時まで当該層を保護するための保護層を設けてもよい。使用時に保護層を取ることにより、使用時まで汚れることがなく、消臭層のナノダイヤモンド触媒の作用を発揮することができる。
【0046】
次いで、基材の第1主面とは反対側の第2主面に、粘着剤層を形成する工程を行う。
【0047】
先の工程で基材に水分が吸収されないため、水分が粘着剤層に移行することがなく、そのため粘着剤層の粘着性が損なわれることはない。粘着剤層には、使用時まで当該層を保護するための保護層を設けてもよい。使用時に保護層を取ることにより、汚れのなく粘着剤層を介して所望の接地面に接着させることができる。
【0048】
本実施形態に係る製造方法で用いる材料は、実施形態に係るシール消臭剤の説明で列挙したものを用いることができる。
【0049】
ナノダイヤモンド触媒および前記バインダーを第1主面に付着させる工程と、基材の前記第1主面とは反対側の第2主面に粘着剤層を形成する工程とは、いずれの順序で行うこともできる。
【実施例
【0050】
次に、実施例を説明する。ただし実施例は、実施形態の具体例として説明することを目的としており、本発明を限定するものではない。
【0051】
(実施例)
基材として、基材に冷食糊を塗布した市販の製品を購入して使用した。ユポ#80冷食用キセパ(マルウ接着株式会社)を準備した。表面基材は、ポリプロピレンが主であり、粘着剤層は、アクリル酸エステル共重合体であり、粘着面に剥離層を有する。
【0052】
ナノダイヤモンド触媒およびバインダーを含む水系混合物は、NRC-G02S/水系無機バインダー(株式会社中村・フクイヤ)を購入して使用した。以下の重量%を有する。
以下のうち、アモルファス無機化合物がバインダーであり、炭素系有機無機複合化合物がナノダイヤモンド触媒である。
【表1】
【0053】
この水系混合物を、コンプレッサを備えたスプレーガンを用いて、基材の第1主面に吹き付け、乾燥させた。水系混合物は、100mlあたり2500兆個のナノダイヤモンド触媒を含有し、シール1m2あたり25mlの薬剤を吹付けることによって、計算上シール1m2あたり625兆個のナノダイヤモンド触媒を付着させた。かくして、基材の第1主面上に消臭層を形成した。消臭層におけるナノダイヤモンドの平均粒子径は、おおよそ30μmと推定された。
【0054】
上記手順により、実施例のシール消臭剤を製造した。
【0055】
(比較例1)
比較例1では、水系混合物を刷毛を用いて基材に塗布したこと以外は実施例と同様にして、比較例1のシール消臭剤を製造した。
【0056】
しかしながら、比較例1のシール消臭剤は、消臭層と基材との付着力が弱く、基材から消臭層が剥がれやすかった。
【0057】
(評価)
実施例のシール消臭剤を、臭気源と共に冷暗室に収容した。同じように、比較例1のシール消臭剤も、別々の冷暗室に、臭気源とともに収容した。
【0058】
比較例1のシール消臭剤は、基材からナノダイヤモンド触媒がはがれてしまい、消臭剤として使用することができなかった。
【0059】
一方、実施例のシール消臭剤の消臭剤は、消臭源を十分に消臭できた。
【0060】
実施例のシール消臭剤を入れた冷暗室に、1日おきに2週間にわたり消臭源を追加していったが、2週間後もナノダイヤモンド触媒がはがれることがなく、消臭効果が持続した。
【産業上の利用可能性】
【0061】
実施形態に係るシール消臭剤は、使用を開始してから時間が経過しても消臭効果を維持することができる。また、実施形態に係るシール消臭剤は、冷暗室であっても、消臭効果を発揮できる。
【符号の説明】
【0062】
1…基材、1A…第1主面、1B…第2主面、2…消臭層、3…粘着剤層。
図1