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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-27
(45)【発行日】2025-02-04
(54)【発明の名称】プレス装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 1/34 20060101AFI20250128BHJP
   B32B 37/10 20060101ALN20250128BHJP
【FI】
B30B1/34 Z
B32B37/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024506223
(86)(22)【出願日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 JP2023027868
【審査請求日】2024-01-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】315005004
【氏名又は名称】株式会社アルファーシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】益田 大三
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-040838(JP,A)
【文献】特開平01-309798(JP,A)
【文献】特開平01-202322(JP,A)
【文献】特開平04-339595(JP,A)
【文献】特開昭56-001295(JP,A)
【文献】実開昭62-189897(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/32 - 1/34
B30B 15/02
B32B 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをプレスするプレス装置であって、
第1型と、
前記第1型に対して移動する第2型と、
前記第2型を移動させるピストンと、
前記ピストンを支持するシリンダと、
前記ピストンと協働して前記第2型を移動させる第1追加ピストンと、
前記第1追加ピストンを支持する第1追加シリンダと、
前記ピストンと前記第1追加ピストンとを互いに独立に移動させる油圧装置と、
前記ピストンと、前記第1追加ピストンと、を付勢する付勢装置と、を備え、
前記ピストンは、筒体であり、かつ、前記第2型を押す環状の押圧面と、第1中心軸心と、前記第1中心軸心に沿う方向に延びる第1貫通孔と、を有し、
前記第1追加ピストンは、筒体または柱体であり、前記第1中心軸心と同軸の第2中心軸心を有し、かつ、前記第1貫通孔内に配置され、
前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの一方は、前記第2型に固定され、
前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの他方は、前記第2型に対して移動可能であり、
前記油圧装置は、前記第2型が前記第1型に近づく第1方向に移動するように、前記シリンダ内において前記ピストンを移動させる第1油圧系と、前記第2型が前記第1方向に移動するように、前記第1追加シリンダ内において前記第1追加ピストンを移動させる第2油圧系と、を有し、
前記付勢装置は、前記第2型が前記第1型から離れる第2方向に移動するように、前記シリンダ内において前記ピストンを付勢する第1付勢部と、前記第2型が前記第2方向に移動するように、前記第1追加シリンダ内において前記第1追加ピストンを付勢する第2付勢部と、を有する、
プレス装置。
【請求項2】
ワークをプレスするプレス装置であって、
第1型と、
前記第1型に対して移動する第2型と、
前記第2型を移動させるピストンと、
前記ピストンを支持するシリンダと、
前記ピストンと協働して前記第2型を移動させる第1追加ピストンと、
前記第1追加ピストンを支持する第1追加シリンダと、
前記ピストンと前記第1追加ピストンとを互いに独立に移動させる油圧装置と、
前記油圧装置を制御する制御部と、を備え、
前記ピストンは、筒体であり、かつ、前記第2型を押す環状の押圧面と、第1中心軸心と、前記第1中心軸心に沿う方向に延びる第1貫通孔と、を有し、
前記第1追加ピストンは、筒体または柱体であり、前記第1中心軸心と同軸の第2中心軸心を有し、かつ、前記第1貫通孔内に配置され、
前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの一方は、前記第2型に固定され、
前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの他方は、前記第2型に対して移動可能であり、
前記油圧装置は、前記第2型が前記第1型に近づく第1方向に移動するように、前記シリンダ内において前記ピストンを移動させる第1油圧系と、前記第2型が前記第1方向に移動するように、前記第1追加シリンダ内において前記第1追加ピストンを移動させる第2油圧系と、を有し、
前記制御部は、ワークの加圧時に、前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの一方の加圧タイミングが、前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの他方の加圧タイミングと異なるように、前記油圧装置を制御する、
プレス装置。
【請求項3】
前記ピストンと、前記第1追加ピストンと、を付勢する付勢装置をさらに備え、
前記付勢装置は、前記第2型が前記第1型から離れる第2方向に移動するように、前記シリンダ内において前記ピストンを付勢する第1付勢部と、前記第2型が前記第2方向に移動するように、前記第1追加シリンダ内において前記第1追加ピストンを付勢する第2付勢部と、を有する、
請求項に記載のプレス装置。
【請求項4】
ワークをプレスするプレス装置であって、
第1型と、
前記第1型に対して移動する第2型と、
前記第2型を移動させるピストンと、
前記ピストンを支持するシリンダと、
前記ピストンと協働して前記第2型を移動させる第1追加ピストンと、
前記第1追加ピストンを支持する第1追加シリンダと、
前記ピストンと前記第1追加ピストンとを互いに独立に移動させる油圧装置と、
前記ピストンおよび前記第1追加ピストンと協働して前記第2型を移動させる第2追加ピストンと、を備え、
前記ピストンは、筒体であり、かつ、前記第2型を押す環状の押圧面と、第1中心軸心と、前記第1中心軸心に沿う方向に延びる第1貫通孔と、を有し、
前記第1追加ピストンは、筒体または柱体であり、前記第1中心軸心と同軸の第2中心軸心を有し、かつ、前記第1貫通孔内に配置され、
前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの一方は、前記第2型に固定され、
前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの他方は、前記第2型に対して移動可能であり、
前記油圧装置は、前記第2型が前記第1型に近づく第1方向に移動するように、前記シリンダ内において前記ピストンを移動させる第1油圧系と、前記第2型が前記第1方向に移動するように、前記第1追加シリンダ内において前記第1追加ピストンを移動させる第2油圧系と、を有し、
前記第2追加ピストンは、筒体であり、かつ、前記第1中心軸心および前記第2中心軸心と同軸の第3中心軸心と、前記第3中心軸心に沿う方向に延びる第2貫通孔と、を有し、
前記ピストンおよび前記第1追加ピストンは、前記第2貫通孔内に配置される、
プレス装置。
【請求項5】
前記ピストン、前記第1追加ピストン、および、前記第2追加ピストンのうちの1つは、前記第2型に固定され、
前記ピストン、前記第1追加ピストン、および、前記第2追加ピストンのうちの残りの2つは、前記第2型に対して移動可能である、
請求項に記載のプレス装置。
【請求項6】
前記油圧装置は、前記ピストンと、前記第1追加ピストンと、前記第2追加ピストンと、を互いに独立に移動させるように構成され、
前記油圧装置を制御するように構成される制御部をさらに備え、
前記制御部は、ワークの加圧時に、前記ピストン、前記第1追加ピストン、および、前記第2追加ピストンのうちの1つの加圧タイミングが、前記ピストン、前記第1追加ピストン、および、前記第2追加ピストンのうちの残りの2つの加圧タイミングと異なるように、前記油圧装置を制御するように構成される、
請求項に記載のプレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス装置は、積層型電子部品を製造する積層機を含む。例えば、特許文献1に記載のプレス装置は、プレスによってフィルム状樹脂材を積層する。また、プレス装置は、積層型コンデンサの製造工程において、セラミックグリーンシートを積層する積層機として構成される。これらプレス装置は、ピストンを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-12918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピストンの推力が中央部に集中する場合、ワークに接触するプレステーブルに撓みが生じるおそれがある。
プレス装置は、積層工程において、ワークを精度よく圧着できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するプレス装置は、ワークをプレスするプレス装置であって、第1型と、前記第1型に対して移動する第2型と、前記第2型を移動させるピストンと、を備え、前記ピストンは、前記第2型を押す環状の押圧面を有する。
【0006】
この構成によれば、第2型の中央にピストンの推力が集中することを抑制できる。したがって、プレス装置は、ワークを精度よく圧着できる。
【0007】
(2)上記(1)のプレス装置において、前記ピストンは、筒体である。この構成によれば、第2型の中央にピストンの推力が集中することを抑制できる。また、ピストンが筒体である場合、ピストンは、ピストン内周面と、ピストン外周面と、を有する。このため、ピストン内周面でピストンをガイドできるとともに、ピストン外周面でピストンをガイドできる。これによって、ピストンの直進性を向上できる。ピストンの直進性の向上によって、ワークの積層精度を向上できる。
【0008】
(3)上記(1)または(2)のプレス装置において、前記ピストンは、第1中心軸心と、前記第1中心軸心に沿う方向に延びる第1貫通孔と、を有し、前記ピストンと協働して前記第2型を移動させる第1追加ピストンをさらに備え、前記第1追加ピストンは、筒体または柱体であり、前記第1中心軸心と同軸の第2中心軸心を有し、かつ、前記第1貫通孔内に配置される。
【0009】
この構成によれば、ピストンおよび第1追加ピストンによって、好適にワークに圧力をかけることができる。
【0010】
(4)上記(3)のプレス装置において、前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの一方は、前記第2型に固定され、前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの他方は、前記第2型に対して移動可能である。
【0011】
この構成によれば、第2型が第1型に向かって移動するようにピストンおよび第1追加ピストンを動作させる場合に、ピストンを支持するシリンダ内の気泡発生を抑制できる。
【0012】
(5)上記(4)のプレス装置において、前記ピストンと、前記第1追加ピストンと、を互いに独立に移動させる油圧装置をさらに備える。
【0013】
この構成によれば、ピストンと、第1追加ピストンと、を油圧装置によって互いに独立に移動できる。
【0014】
(6)上記(5)のプレス装置において、前記ピストンを支持するシリンダと、前記第1追加ピストンを支持する第1追加シリンダと、をさらに備え、前記油圧装置は、前記第2型が前記第1型に近づく第1方向に移動するように、前記シリンダ内において前記ピストンを移動させる第1油圧系と、前記第2型が前記第1方向に移動するように、前記第1追加シリンダ内において前記第1追加ピストンを移動させる第2油圧系と、を有する。
【0015】
この構成によれば、異なる油圧系によってピストンと、第1追加ピストンと、を動作させることができる。
【0016】
(7)上記(6)のプレス装置において、前記ピストンと、前記第1追加ピストンと、を付勢する付勢装置をさらに備え、前記付勢装置は、前記第2型が前記第1型から離れる第2方向に移動するように、前記シリンダ内において前記ピストンを付勢する第1付勢部と、前記第2型が前記第2方向に移動するように、前記第1追加シリンダ内において前記第1追加ピストンを付勢する第2付勢部と、を有する。
【0017】
この構成によれば、付勢部によって、第2型が第2方向に移動するように、ピストンと、第1追加ピストンと、を動作させることができる。
【0018】
(8)上記(6)または(7)のいずれかのプレス装置において、前記油圧装置を制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、ワークの加圧時に、前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの一方の加圧タイミングが、前記ピストンおよび前記第1追加ピストンのうちの他方の加圧タイミングと異なるように、前記油圧装置を制御する。
【0019】
この構成によれば、第1型および第2型によってプレスされるワークに対して、圧力のかけ方の態様を異ならせることができる。
【0020】
(9)上記(6)に記載のプレス装置において、前記ピストンおよび前記第1追加ピストンと協働して前記第2型を移動させる第2追加ピストンをさらに備え、前記第2追加ピストンは、筒体であり、かつ、前記第1中心軸心および前記第2中心軸心と同軸の第3中心軸心と、前記第3中心軸心に沿う方向に延びる第2貫通孔と、を有し、前記ピストンおよび前記第1追加ピストンは、前記第2貫通孔内に配置される。
【0021】
この構成によれば、ピストン、第1追加ピストン、および、第2追加ピストンによって、好適にワークに圧力をかけることができる。
【0022】
(10)上記(9)に記載のプレス装置において、前記ピストン、前記第1追加ピストン、および、前記第2追加ピストンのうちの1つは、前記第2型に固定され、前記ピストン、前記第1追加ピストン、および、前記第2追加ピストンのうちの残りの2つは、前記第2型に対して移動可能である。
【0023】
この構成によれば、第2型が第1型に向かって移動するように、ピストン、第1追加ピストン、および、第2追加ピストンを動作させる場合に、ピストンを支持するシリンダ内の気泡発生を抑制できる。
【0024】
(11)上記(10)に記載のプレス装置において、前記油圧装置は、前記ピストンと、前記第1追加ピストンと、前記第2追加ピストンと、を互いに独立に移動させるように構成され、前記油圧装置を制御するように構成される制御部をさらに備え、前記制御部は、ワークの加圧時に、前記ピストン、前記第1追加ピストン、および、前記第2追加ピストンのうちの1つの加圧タイミングが、前記ピストン、前記第1追加ピストン、および、前記第2追加ピストンのうちの残りの2つの加圧タイミングと異なるように、前記油圧装置を制御するように構成される。
【0025】
この構成によれば、第1型および第2型でプレスされるワークに対して、圧力のかけ方の態様を異ならせることができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示のプレス装置は、ワークを精度よく圧着できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態のプレス装置の部分断面を示す斜視図である。
図2図1のプレス装置の断面図である。
図3図2のプレス装置の第2型の平面図である。
図4】第2実施形態のプレス装置の断面図である。
図5図4のプレス装置の第2型の平面図である。
図6】第3実施形態のプレス装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
図1から図3を参照して、プレス装置11について説明する。
【0029】
<プレス装置>
プレス装置11は、ワーク21をプレスするための装置である。プレス装置11は、ワーク21をプレスすることによって、ワーク21を圧着する。プレス装置11は、プレス装置11内にワーク21が搬送される都度、ワーク21の圧着を繰り返すことによって、ワーク21の積層体を形成する。プレス装置11は、各種の積層型電子部品の製造に用いられる。例えば、プレス装置11は、MLCC(Multi-Layer Ceramic Capacitor)積層機の積層装置部、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)積層機の積層装置部、リチウムイオン積層機の積層装置部、積層型インダクタ製造用積層機の積層装置部、または、積層型レジスタ製造用積層機の積層装置部に用いられる。
【0030】
図1および図2に示すように、プレス装置11は、第1型12と、第1型12に対して移動する第2型13と、第2型13を移動させるピストン31と、を備える。
【0031】
プレス装置11は、フレーム14をさらに備える。フレーム14の材質は、金属である。フレーム14は、第1フレーム部14Aと、第1フレーム部14Aよりも下方に位置する第2フレーム部14Bと、を有する。
【0032】
第1型12は、フレーム14に固定される。フレーム14は、振動に起因して、第1型12、シリンダ41、および、第1追加シリンダ42の位置関係がずれないように、第1型12、シリンダ41、および、第1追加シリンダ42を固定する。第1型12は、第1フレーム部14Aまたは第2フレーム部14Bに固定される。一例では、第1型12は、第1フレーム部14Aに固定される。
【0033】
第1型12は、直方体に構成される。第1型12の材質は、金属である。第1型12は、第2型13が第1型12に向かって移動する場合に、第1型12にかかる力を受ける。
【0034】
第2型13は、直方体に構成される。第2型13の材質は、金属である。第2型13は、ピストン31によって押されることにより、第2型13が第1型12に近づく第1方向Z1に移動する。第2型13は、ピストン31が、第2型13が第1型12から離れる第2方向Z2に移動することにより、第2方向Z2に移動する。
【0035】
第2型13は、第1面13Aと、第2型13の移動方向において、第1面13Aの反対側の第2面13Bと、を有する。第1面13Aは、ワーク21が設けられる面である。第2面13Bは、ピストン31および第1追加ピストン34が接触する面である。
【0036】
<ワーク>
ワーク21は、第1型12と第2型13との間に挟まれて圧力によってプレスされる。ワーク21は、矩形のシートである。一例では、ワーク21は、セラミックグリーンシートである。プレス装置11によって、複数のワーク21が1シートずつ順に積層され、かつ、プレスされることによって、積層体が形成される。
【0037】
ワーク21の種類および材質は、特に限定されない。ワーク21は、普通鋼等の鉄鋼、合金鋼および工具鋼等の特殊鋼、銅およびアルミニウム等の非鉄金属、または、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)であってもよい。
【0038】
<ピストン>
ピストン31は、筒体である。筒体は、円筒体を含む。一例では、ピストン31は、円筒体である。ピストン31は、1または2つの円筒体によって構成される。ピストン31の材質は、金属である。ピストン31は、第1中心軸心C1と、第1中心軸心C1に沿う方向に延びる第1貫通孔31Aと、を有する。
【0039】
ピストン31は、油圧によって動作するように構成される。ピストン31は、電動アクチュエータによって動作するように構成されてもよい。
【0040】
ピストン31は、本体部32と、第1円筒ピストンロッド33と、を含む。本体部32は、円筒に構成される。本体部32は、ピストン内周面32Aと、ピストン外周面32Bと、を有する。ピストン内周面32Aは、第1貫通孔31Aと対応する。
【0041】
第1円筒ピストンロッド33は、第1円筒ピストンロッド内周面33Aと、第1円筒ピストンロッド外周面33Bと、を有する。第1円筒ピストンロッド内周面33Aは、第1貫通孔31Aと対応する。第1円筒ピストンロッド33は、本体部32の端面に接続される。第1円筒ピストンロッド33の中心軸心と本体部32の中心軸心とは一致する。一例では、第1円筒ピストンロッド33と本体部32とは一体に形成される。本体部32は、第1円筒ピストンロッド33を介して、第2型13を第1型12に対して移動させるように構成される。
【0042】
図2および図3に示すように、ピストン31は、第2型13を押す環状の押圧面33Cを有する。押圧面33Cは、第1円筒ピストンロッド33に設けられる。押圧面33Cは、第2型13に接触する。押圧面33Cは、第1円筒ピストンロッド33において本体部32とは反対側の端部に設けられる。
【0043】
図1および図2に示すように、プレス装置11は、第1追加ピストン34をさらに備える。第1追加ピストン34は、筒体または柱体である。柱体は、円柱体または角柱体を含む。一例では、第1追加ピストン34は、円柱体である。
【0044】
第1追加ピストン34の材質は、金属である。第1追加ピストン34は、第1中心軸心C1と同軸の第2中心軸心C2を有する。第1追加ピストン34は、ピストン31の第1貫通孔31A内に配置される。
【0045】
第1追加ピストン34は、ピストン31と協働して第2型13を移動させる。第1追加ピストン34は、油圧によって動作するように構成される。第1追加ピストン34は、電動アクチュエータによって動作するように構成されてもよい。
【0046】
第1追加ピストン34は、第1追加ピストン本体部35と、ピストンロッド36と、を含む。第1追加ピストン本体部35は、第1追加ピストン外周面35Aを有する。ピストンロッド36は、ピストンロッド外周面36Aを有する。ピストンロッド36は、第1追加ピストン本体部35の端面に接続される。ピストンロッド36の中心軸心と第1追加ピストン本体部35の中心軸心とは一致する。一例では、ピストンロッド36と第1追加ピストン本体部35とは一体に形成される。第1追加ピストン34は、ピストンロッド36を介して、第2型13を押すように構成される。
【0047】
図2および図3に示すように、第1追加ピストン34は、第2型13を押す第1追加押圧面36Bを有する。第1追加押圧面36Bは、ピストンロッド36に設けられる。第1追加押圧面36Bは、第2型13に接触する。第1追加押圧面36Bは、ピストンロッド36において、第1追加ピストン本体部35とは反対側の端部に設けられる。
【0048】
第1追加押圧面36Bは、第2型13の第2面13Bの略中央に接触する。上述の押圧面33Cは、第2面13Bにおいて、第1追加押圧面36Bが接触する部分よりも外側に接触する。
【0049】
ピストン31および第1追加ピストン34のうちの一方は、第2型13に固定される。具体的には、第1円筒ピストンロッド33の押圧面33Cおよびピストンロッド36の第1追加押圧面36Bのうちの一方は、第2型13に固定される。本実施形態では、第1追加ピストン34は、第2型13に固定される。
【0050】
ピストン31および第1追加ピストン34のうちの他方は、第2型13に対して移動可能である。言い換えれば、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの他方は、第2型13に固定されていない。具体的には、第1円筒ピストンロッド33の押圧面33Cおよびピストンロッド36の第1追加押圧面36Bのうちの他方は、第2型13に対して移動可能である。本実施形態では、ピストン31は、第2型13に対して移動可能である。
【0051】
<シリンダ>
図1および図2に示すように、プレス装置11は、ピストン31を支持するシリンダ41と、第1追加ピストン34を支持する第1追加シリンダ42と、をさらに備える。
【0052】
シリンダ41は、中空の円筒体を含む。シリンダ41の材質は、金属である。シリンダ41は内部空間Sを有する。第1円筒ピストンロッド33の一部および本体部32は、シリンダ41の内部空間Sに配置される。
【0053】
シリンダ41は、第1シリンダ内周面41Aと、第2シリンダ内周面41Bと、を有する。第1シリンダ内周面41Aは、第2シリンダ内周面41Bよりも内側に設けられる。
【0054】
シリンダ41は、シリンダ貫通孔41Cを有する。シリンダ貫通孔41Cは、環状である。第1円筒ピストンロッド33は、シリンダ貫通孔41Cを通って、第2型13と接触する。
【0055】
シリンダ41は、第1圧力室43を有する。第1圧力室43は、内部空間Sの一部である。第1圧力室43には、第1油圧ポンプ54から第1ポート55を介してオイルが供給または排出される。第1圧力室43にオイルが供給されるとともに第2圧力室44からオイルが排出される場合、ピストン31は、第2型13を第1方向Z1に移動させるように動作する。
【0056】
シリンダ41は、第2圧力室44を有する。第2圧力室44は、内部空間Sの一部である。第2圧力室44には、第1油圧ポンプ54から第2ポート56を介してオイルが供給または排出される。第2圧力室44にオイルが供給されるとともに第1圧力室43からオイルが排出される場合、ピストン31は、第2型13を第2方向Z2に移動させるように動作する。
【0057】
第1追加シリンダ42は、中空の円柱体を含む。第1追加シリンダ42の材質は、金属である。第1追加シリンダ42は第1内部空間S1を有する。ピストンロッド36の一部および第1追加ピストン本体部35は、第1追加シリンダ42の第1内部空間S1に配置される。第1追加シリンダ42は、第1追加シリンダ内周面42Bを有する。
【0058】
第1追加シリンダ42は、第1追加シリンダ貫通孔42Cを有する。第1追加シリンダ貫通孔42Cは、第1追加シリンダ42の第2型13側の端部に、第1追加シリンダ42に沿って設けられる。ピストンロッド36は、第1追加シリンダ貫通孔42Cを通って、第2型13と接触する。
【0059】
第1追加シリンダ42は、第3圧力室45を有する。第3圧力室45は、第1内部空間S1の一部である。第3圧力室45には、第2油圧ポンプ58から第3ポート59を介してオイルが供給または排出される。第3圧力室45にオイルが供給されるとともに第4圧力室46からオイルが排出される場合、第1追加ピストン34は、第2型13を第1方向Z1に移動させるように、動作する。
【0060】
第1追加シリンダ42は、第4圧力室46を有する。第4圧力室46は、第1内部空間S1の一部である。第4圧力室46には、第2油圧ポンプ58から第4ポート60を介してオイルが供給または排出される。第4圧力室46にオイルが供給されるとともに第3圧力室45からオイルが排出される場合、第1追加ピストン34は、第2型13を第2方向Z2に移動させるように、動作する。
【0061】
<油圧装置>
図2に示すように、プレス装置11は、ピストン31と、第1追加ピストン34と、を互いに独立に移動させる油圧装置51をさらに備える。
【0062】
油圧装置51は、第1油圧系52と、第2油圧系53と、を有する。第1油圧系52は、第2型13が第1方向Z1または第2方向Z2に移動するように、シリンダ41内においてピストン31を移動させる。第1油圧系52は、第1油圧ポンプ54と、第1ポート55と、第2ポート56と、第1切替弁57と、を含む。第1油圧ポンプ54は、第1切替弁57および第1ポート55を介して、シリンダ41の第1圧力室43と繋がる。また、第1油圧ポンプ54は、第1切替弁57および第2ポート56を介して、シリンダ41の第2圧力室44と繋がる。
【0063】
第2油圧系53は、第2型13が第1方向Z1または第2方向Z2に移動するように、第1追加シリンダ42内において第1追加ピストン34を移動させる。第2油圧系53は、第2油圧ポンプ58と、第3ポート59と、第4ポート60と、第2切替弁61と、を含む。第2油圧ポンプ58は、第2切替弁61および第3ポート59を介して、第1追加シリンダ42の第3圧力室45と繋がる。第2油圧ポンプ58は、第2切替弁61および第4ポート60を介して、第1追加シリンダ42の第4圧力室46と繋がる。
【0064】
<シール>
プレス装置11は、1または複数の第1シール71Aを有する。第1シール71Aは、シリンダ41の第1圧力室43のオイルが、シリンダ41の第2圧力室44に入らないようにするためのシールである。第1シール71Aは、リング状である。第1シール71Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第1シール71Aは、第1シール配置部71Bに配置される。第1シール配置部71Bは、ピストン外周面32Bに設けられる。
【0065】
プレス装置11は、1または複数の第2シール72Aを有する。第2シール72Aは、第1シール71Aとともに、第1圧力室43のオイルが、第2圧力室44に入らないようにするためのシールである。第2シール72Aは、リング状である。第2シール72Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第2シール72Aは、第2シール配置部72Bに配置される。第2シール配置部72Bは、第1シリンダ内周面41Aに設けられる。
【0066】
プレス装置11は、第3シール73Aを有する。第3シール73Aは、第1円筒ピストンロッド33が動作する場合に、第2圧力室44のオイルがシリンダ貫通孔41Cから外部へ漏れないようにするためのシールである。第3シール73Aは、リング状である。第3シール73Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第3シール73Aは、第3シール配置部73Bに配置される。第3シール配置部73Bは、第1円筒ピストンロッド外周面33Bに設けられる。
【0067】
プレス装置11は、第4シール74Aを有する。第4シール74Aは、第3シール73Aとともに、第1円筒ピストンロッド33が動作する場合に、第2圧力室44のオイルがシリンダ貫通孔41Cから外部へ漏れないようにするためのシールである。第4シール74Aは、リング状である。第4シール74Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第4シール74Aは、第4シール配置部74Bに配置される。第4シール配置部74Bは、シリンダ貫通孔41Cに設けられる。
【0068】
プレス装置11は、1または複数の第5シール75Aを有する。第5シール75Aは、第1追加シリンダ42の第3圧力室45のオイルが、第1追加シリンダ42の第4圧力室46に入らないようにするためのシールである。第5シール75Aは、リング状である。第5シール75Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第5シール75Aは、第5シール配置部75Bに配置される。第5シール配置部75Bは、第1追加ピストン外周面35Aに設けられる。
【0069】
プレス装置11は、第6シール76Aを有する。第6シール76Aは、ピストンロッド36が動作する場合に、第4圧力室46のオイルが第1追加シリンダ貫通孔42Cから外部へ漏れないようにするためのシールである。第6シール76Aは、リング状である。第6シール76Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第6シール76Aは、第6シール配置部76Bに配置される。第6シール配置部76Bは、ピストンロッド外周面36Aに設けられる。
【0070】
<ウェアリング>
プレス装置11は、1または複数の第1ウェアリング81Aを有する。第1ウェアリング81Aは、ピストン31が動作する場合に、ピストン31がシリンダ41に沿って動作するようにガイドするための軸受材である。第1ウェアリング81Aは、円筒状である。第1ウェアリング81Aの材質は、合成樹脂である。
【0071】
第1ウェアリング81Aは、第1ウェアリング配置部81Bに配置される。第1ウェアリング配置部81Bは、ピストン外周面32Bに設けられる。一例では、第1ウェアリング配置部81Bは、ピストン外周面32Bのうちの第1シール配置部71Bよりも第2型13から離れた部分に設けられる。第1ウェアリング81Aの配置および個数は、この例に限定されない。
【0072】
プレス装置11は、1または複数の第2ウェアリング82Aを有する。第2ウェアリング82Aは、第1ウェアリング81Aとともに、ピストン31が動作する場合に、ピストン31がシリンダ41に沿って動作するようにガイドするための軸受材である。第2ウェアリング82Aは、リング状である。第2ウェアリング82Aの材質は、合成樹脂である。
【0073】
第2ウェアリング82Aは、第2ウェアリング配置部82Bに配置される。第2ウェアリング配置部82Bは、第1シリンダ内周面41Aに設けられる。一例では、第2ウェアリング配置部82Bは、第1シリンダ内周面41Aのうちの第2シール配置部72Bよりも第2型13から離れた部分に設けられる。第2ウェアリング82Aの配置および個数は、この例に限定されない。
【0074】
プレス装置11は、1または複数の第3ウェアリング83Aを有する。第3ウェアリング83Aは、第1追加ピストン34が動作する場合に、第1追加ピストン34が第1追加シリンダ42に沿って動作するようにガイドするための軸受材である。第3ウェアリング83Aは、リング状である。第3ウェアリング83Aの材質は、合成樹脂である。
【0075】
第3ウェアリング83Aは、第3ウェアリング配置部83Bに配置される。第3ウェアリング配置部83Bは、第1追加ピストン外周面35Aに設けられる。一例では、第3ウェアリング配置部83Bは、第1追加ピストン外周面35Aのうちの第5シール配置部75Bよりも第2型13から離れた部分に設けられる。第3ウェアリング83Aの配置および個数は、この例に限定されない。
【0076】
<制御部>
プレス装置11は、制御部91をさらに備える。制御部91は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部91に含まれる演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部91に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部91は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0077】
プレス装置11は、記憶部92をさらに備える。記憶部92は、例えば、制御部91と有線または無線により通信可能に接続される。記憶部92には、例えば、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。
【0078】
記憶部92は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0079】
制御部91は、油圧装置51を制御する。制御部91は、第2型13を第1方向Z1または第2方向Z2に移動させる場合、第1油圧系52において、ピストン31が動作するように油圧装置51を制御する。
【0080】
制御部91は、第2型13を第1方向Z1または第2方向Z2に移動させる場合、第2油圧系53において、第1追加ピストン34が動作するように油圧装置51を制御する。
【0081】
制御部91は、第2型13を第1方向Z1に移動させる場合、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの一方が、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの他方よりも速く移動するように、油圧装置51を制御する。一例では、制御部91は、第2型13を第1方向Z1に移動させる場合、第2型13に固定される第1追加ピストン34が、ピストン31よりも速く移動するように、油圧装置51を制御する。これによって、後述の気泡発生状態の頻発を抑制できる。
【0082】
制御部91は、第2型13を第2方向Z2に移動させる場合、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの他方が、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの一方よりも速く移動するように、油圧装置51を制御する。一例では、制御部91は、第2型13を第2方向Z2に移動させる場合、第2型13に固定されていないピストン31が、第1追加ピストン34よりも速く移動するように油圧装置51を制御する。これによって、後述の気泡発生状態の頻発を抑制できる。
【0083】
さらに、制御部91は、ワーク21の加圧時に、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの一方の加圧タイミングが、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの他方の加圧タイミングと異なるように油圧装置51を制御する。本実施形態では、第1追加ピストン34に基づく加圧タイミングは、ピストン31に基づく加圧タイミングよりも時間的に早い。これによって、ワーク21の中央部を、中央部の周囲よりも先に加圧できる。
【0084】
他の例では、制御部91は、第1追加ピストン34に基づく加圧タイミングは、ピストン31に基づく加圧タイミングよりも時間的に遅くなるように、第1追加ピストン34およびピストン31を制御する(以下、特定タイミング制御)。これによって、ワーク21の中央部の周囲を、中央部よりも先に加圧できる。このような特定タイミング制御によれば、ワーク21の積層においてワーク21の横ずれを抑制できる。なお、この制御を実行する場合、後述の変更例に記載のように、ピストン31が第2型13に固定され、かつ、第1追加ピストン34が第2型13に固定されないことが好ましい。
【0085】
<動作原理>
プレス装置11がワーク21をプレスする場合の動作原理について説明する。
【0086】
第1油圧系52において、第1圧力室43へオイルが連続的に供給されることによって、ピストン31が第1速度V1で第1方向Z1に動作する。
【0087】
第2油圧系53において、第3圧力室45へオイルが連続的に供給されることによって、第1追加ピストン34が第2速度V2で第1方向Z1に動作する。第2速度V2は、第1速度V1よりも若干大きい。すなわち、ピストン31は、第1追加ピストン34よりも若干遅れて移動する。
【0088】
ピストン31の速度が第1追加ピストン34の速度よりも大きくなった場合の問題について説明する。ピストン31の速度が第1追加ピストン34の速度よりも大きい場合、ピストン31の推力によって移動する第2型13の速度が、オイルの供給に基づく第1追加ピストン34自体の速度よりも大きくなる。しかし、第1追加ピストン34は第2型13に固定されているため、実際には、第1追加ピストン34は第2型13と同じ速度で移動する。
【0089】
このとき、オイルの供給に基づく第1追加ピストン34の速度と、実際の第1追加ピストン34の速度との間に不整合が生じる。具体的には、第1追加ピストン34の速度に対してオイルの供給が追い付いていない状態となっている。このため、第1追加シリンダ42内に気泡が発生する(以下、この事象を「気泡発生状態」という。)。このような事象の抑制のため、第2型13に固定されている第1追加ピストン34の速度(すなわち第2速度V2)は、第2型13に固定されていないピストン31の速度(すなわち、第1速度V1)よりも大きい値に設定される。
【0090】
第2速度V2が第1速度V1よりも大きくする設定に替えて次の手段も取り得る。ピストン31の移動開始のタイミングは、第1追加ピストン34の移動開始のタイミングよりも遅い時間に設定される。これによっても、ピストン31が第1追加ピストン34よりも遅れて移動させることができる。
【0091】
ワーク21が第1型12に接触すると、第2型13の中央部に、第1追加押圧面36Bを介して第1追加ピストン34による圧力が加わる直後に、第2型13の中央部の周囲に、押圧面33Cを介してピストン31による圧力が加わる。第2型13の第2面13Bには、ピストン31および第1追加ピストン34によって、中央部とその周囲との両方に圧力がかかるため、第2型13が第1型12に接触するときに生じる第2型13の撓みが解消される。よって、ワーク21の面全体において均一な圧力がかかり易い。したがって、ワーク21を精度よく圧着することができる。
【0092】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態の効果について説明する。
(1)プレス装置11は、ワーク21をプレスするプレス装置11であって、第1型12と、第1型12に対して移動する第2型13と、第2型13を移動させるピストン31と、を備える。ピストン31は、第2型13を押す環状の押圧面33Cを有する。
【0093】
従来技術のように、第2型13の中央を1つのピストン31で押す場合、第2型13の中央に加わる圧力によって第2型13がわずかに湾曲する。そうすると、ワーク21の中央部と中央部の周囲とで、ワーク21に加わる圧力に差が生じる。中央から周囲に向かって圧力の勾配が生じると、ワーク21の中央部と、ワーク21の周囲部とで品質のばらつきが生じる虞がある。また、第2型13の中央をピストン31で押す場合、ピストン31のプレス方向が第2型13に対して傾くと、プレスの力の一部が水平方向に作用することによってワーク21の積層時にワーク21の横ずれが生じる虞がある。ワーク21の積層体の製造においてワーク21の横ずれは、歩留まりに大きく影響する。このような問題は、第2型13の大型化によって顕在する。
【0094】
この点、上記の構成によれば、第2型13の中央にピストン31の推力が集中することを抑制できる。したがって、プレス装置11は、ワーク21を精度よく圧着できる。
【0095】
(2)ピストン31は、筒体である。この構成によれば、第2型13の中央にピストン31の推力が集中することを抑制できる。また、ピストン31が筒体である場合、ピストン31は、ピストン内周面32Aと、ピストン外周面32Bと、を有するため、ピストン内周面32Aでピストン31をガイドできるとともに、ピストン外周面32Bでピストン31をガイドできる。これによって、ピストン31の直進性を向上できる。ピストン31の直進性の向上によって、ワーク21の積層精度を向上できる。
【0096】
(3)ピストン31は、第1中心軸心C1と、第1中心軸心C1に沿う方向に延びる第1貫通孔31Aと、を有し、ピストン31と協働して第2型13を移動させる第1追加ピストン34をさらに備え、第1追加ピストン34は、筒体または柱体であり、第1中心軸心C1と同軸の第2中心軸心C2を有し、かつ、第1貫通孔31A内に配置される。
【0097】
この構成によれば、ピストン31および第1追加ピストン34によって、好適にワーク21に圧力をかけることができる。
【0098】
(4)ピストン31および第1追加ピストン34のうちの一方は、第2型13に固定され、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの他方は、第2型13に対して移動可能である。
【0099】
複数のピストンによって第2型13を移動させる場合、複数のピストンを第2型13に固定することが考えられる。この場合、複数のピストンそれぞれを油圧ポンプによって高精度に移動させる必要がある。複数のピストンの移動のタイミングがずれたり、または、いずれか1つのピストンが他のピストンよりも速く移動したりすると、複数のピストンの非同期に起因する事象(以下、非同期事象)によってシリンダ内に気泡が発生する(以下、気泡発生状態)。シリンダ内に気泡が発生すると、油圧がピストンに加わり難くなり、第2型13の移動に支障が生じる。非同期事象は、1つの型に複数のピストンを固定した場合において複数のピストンを動作させるとき、ピストンの同期が十分にとれていないときに生じる。1つの型に複数のピストンを固定した場合(以下、複数固定状態)、1つの型を介して複数のピストンは互いに拘束される。このため、型の移動にともなってピストンは、同じ距離移動する。すなわち、移動開始からの各時刻においてピストンの移動量は等しい。
【0100】
一方、複数のピストンそれぞれを同期させる油圧制御を行っている場合でも、その制御が高精度でなければ、複数のシリンダそれぞれに供給されるオイル供給量または複数のシリンダそれぞれから排出されるオイル排出量にばらつきがある。このため、複数のピストンのうちのいずれか1つまたは複数において、ピストンの移動量と、ピストンを支持するシリンダへのオイル供給量とが整合しないことが生じる。そして、このような不整合が生じると、そのシリンダ内に気泡が発生する。シリンダ内に気泡が発生すると、上述のようにピストンに十分に油圧が加わらなくなる。
【0101】
上記の構成によれば、ピストン31および第1追加ピストン34は互いに独立して移動するため、第2型13が第1型12に向かって移動するようにピストン31および第1追加ピストン34を動作させる場合に、ピストン31を支持するシリンダ41内の気泡発生を抑制できる。
【0102】
(5)ピストン31と、第1追加ピストン34と、を互いに独立に移動させる油圧装置51をさらに備える。
【0103】
この構成によれば、ピストン31と、第1追加ピストン34と、を油圧装置51によって互いに独立に移動できる。
【0104】
(6)ピストン31を支持するシリンダ41と、第1追加ピストン34を支持する第1追加シリンダ42と、をさらに備え、油圧装置51は、第2型13が第1型12に近づく第1方向Z1に移動するように、シリンダ41内においてピストン31を移動させる第1油圧系52と、第2型13が第1方向Z1に移動するように、第1追加シリンダ42内において第1追加ピストン34を移動させる第2油圧系53と、を有する。
【0105】
この構成によれば、異なる油圧系によってピストン31と、第1追加ピストン34と、を動作させることができる。
【0106】
(7)油圧装置51を制御する制御部91をさらに備える。制御部91は、ワーク21の加圧時にピストン31および第1追加ピストン34のうちの一方の加圧タイミングが、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの他方の加圧タイミングと異なるように油圧装置51を制御する。
【0107】
この構成によれば、第1型12および第2型13によってプレスされるワーク21に対して、圧力のかけ方の態様を異ならせることができる。例えば、油圧装置51の制御によって、ワーク21の中央部に圧力を加えた後、ワーク21の周囲部に圧力を加えるといった態様でワーク21に圧力を加えることができる。また、ワーク21の周囲部に圧力を加えた後、ワーク21の中央部に圧力を加えるといった態様でワーク21に圧力を加えることができる。
【0108】
(第2実施形態)
図4および図5を参照して、第2実施形態のプレス装置11について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と同様の部材については、同一の名称を付すことによって説明を省略する。
【0109】
<第2追加ピストン>
第2実施形態のプレス装置11は、ピストン31および第1追加ピストン34に加えて、第2追加ピストン37をさらに備える。第2追加ピストン37は、筒体である。一例では、第2追加ピストン37は、円筒体である。第2追加ピストン37の材質は、金属である。
【0110】
第2追加ピストン37は、第3中心軸心C3と、第3中心軸心C3に沿う方向に延びる第2貫通孔37Aと、を有する。第3中心軸心C3は、第1中心軸心C1および第2中心軸心C2と同軸である。ピストン31および第1追加ピストン34は、第2追加ピストン37の第2貫通孔37A内に配置される。
【0111】
第2追加ピストン37は、ピストン31および第1追加ピストン34と協働して第2型13を移動させる。第2追加ピストン37は、油圧によって動作するように構成される。第2追加ピストン37は、電動アクチュエータによって動作するように構成されてもよい。
【0112】
第2追加ピストン37は、第2追加ピストン本体部38と、第2円筒ピストンロッド39と、を含む。第2追加ピストン本体部38は、第2追加ピストン内周面38Aと、第2追加ピストン外周面38Bと、を有する。第2追加ピストン内周面38Aは、第2貫通孔37Aと対応する。
【0113】
第2円筒ピストンロッド39は、第2円筒ピストンロッド内周面39Aと、第2円筒ピストンロッド外周面39Bと、を有する。第2円筒ピストンロッド内周面39Aは、第2貫通孔37Aと対応する。第2追加ピストン本体部38は、第2円筒ピストンロッド39を介して、第2型13を第1型12に対して移動させるように構成される。
【0114】
図4および図5に示すように、第2追加ピストン37は、第2型13を押す環状の第2追加押圧面39Cを有する。第2追加押圧面39Cは、第2円筒ピストンロッド39に設けられる。第2追加押圧面39Cは、第2型13に接触する。第2追加押圧面39Cは、第2円筒ピストンロッド39において第2追加ピストン本体部38とは反対側の端部に設けられる。第2追加押圧面39Cは、押圧面33Cよりも外側で第2型13の第2面13Bに接触する。
【0115】
ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの1つは、第2型13に固定される。具体的には、第1円筒ピストンロッド33の押圧面33C、ピストンロッド36の第1追加押圧面36B、および、第2円筒ピストンロッド39の第2追加押圧面39Cのうちの1つは、第2型13に固定される。本実施形態では、第1追加ピストン34は、第2型13に固定される。
【0116】
ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの残りの2つは、第2型13に対して移動可能である。言い換えれば、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの残りの2つは、第2型13に固定されていない。具体的には、第1円筒ピストンロッド33の押圧面33C、ピストンロッド36の第1追加押圧面36B、および、第2円筒ピストンロッド39の第2追加押圧面39Cのうちの残りの2つは、第2型13に対して移動可能である。本実施形態では、ピストン31および第2追加ピストン37は、第2型13に対して移動可能である。
【0117】
<第2追加シリンダ>
第2実施形態のプレス装置11は、シリンダ41および第1追加シリンダ42に加えて、第2追加シリンダ47をさらに備える。第2追加シリンダ47は、中空の円筒体を含む。第2追加シリンダ47の材質は、金属である。第2追加シリンダ47は第2内部空間S2を有する。第2円筒ピストンロッド39の一部および第2追加ピストン本体部38は、第2追加シリンダ47の第2内部空間S2に配置される。
【0118】
第2追加シリンダ47は、第1内周面47Aと、第2内周面47Bと、を有する。第1内周面47Aは、第2追加シリンダ47においてシリンダ41側の内周面である。第2内周面47Bは、第3中心軸心C3に垂直な径方向において、第1内周面47Aの外側に配置される。
【0119】
第2追加シリンダ47は、第2追加シリンダ貫通孔47Cを有する。第2追加シリンダ貫通孔47Cは、環状である。第2円筒ピストンロッド39は、第2追加シリンダ貫通孔47Cを通って、第2型13と接触する。
【0120】
第2追加シリンダ47は、第5圧力室48を有する。第5圧力室48は、第2内部空間S2の一部である。第5圧力室48には、第3油圧ポンプ63から第5ポート64を介してオイルが供給また排出される。第5圧力室48にオイルが供給されるとともに第6圧力室49からオイルが排出される場合、第2追加ピストン37は、第2型13を第1方向Z1に移動させるように動作する。
【0121】
第2追加シリンダ47は、第6圧力室49を有する。第6圧力室49は、第2内部空間S2の一部である。第6圧力室49には、第3油圧ポンプ63から第6ポート65を介してオイルが供給また排出される。第6圧力室49にオイルが供給されるとともに第5圧力室48からオイルが排出される場合、第2追加ピストン37は、第2型13を第2方向Z2に移動させるように動作する。
【0122】
<油圧装置>
第2実施形態の油圧装置51は、ピストン31と、第1追加ピストン34と、第2追加ピストン37と、を互いに独立に移動させるように構成される。
【0123】
油圧装置51は、第1油圧系52および第2油圧系53に加えて、第3油圧系62を有する。第3油圧系62は、第2型13が第1方向Z1または第2方向Z2に移動するように、第2追加シリンダ47内において第2追加ピストン37を移動させる。第3油圧系62は、第3油圧ポンプ63と、第5ポート64と、第6ポート65と、第3切替弁66と、を含む。第3油圧ポンプ63は、第3切替弁66および第5ポート64を介して、第2追加シリンダ47の第5圧力室48と繋がる。第3油圧ポンプ63は、第3切替弁66および第6ポート65を介して、第2追加シリンダ47の第6圧力室49と繋がる。
【0124】
<シール>
プレス装置11は、1または複数の第7シール77Aを有する。第7シール77Aは、第5圧力室48のオイルが、第6圧力室49に入らないようにするためのシールである。第7シール77Aは、リング状である。第7シール77Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第7シール77Aは、第7シール配置部77Bに配置される。第7シール配置部77Bは、第2追加ピストン外周面38Bに設けられる。
【0125】
プレス装置11は、1または複数の第8シール78Aを有する。第8シール78Aは、第7シール77Aとともに、第5圧力室48のオイルが、第6圧力室49に入らないようにするためのシールである。第8シール78Aは、リング状である。第8シール78Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第8シール78Aは、第8シール配置部78Bに配置される。第8シール配置部78Bは、第1内周面47Aに設けられる。
【0126】
プレス装置11は、第9シール79Aを有する。第9シール79Aは、第2円筒ピストンロッド39が動作する場合に、第6圧力室49のオイルが第2追加シリンダ貫通孔47Cから外部へ漏れないようにするためのシールである。第9シール79Aは、リング状である。第9シール79Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第9シール79Aは、第9シール配置部79Bに配置される。第9シール配置部79Bは、第2円筒ピストンロッド外周面39Bに設けられる。
【0127】
プレス装置11は、第10シール80Aを有する。第10シール80Aは、第9シール79Aとともに、第2円筒ピストンロッド39が動作する場合に、第6圧力室49のオイルが第2追加シリンダ貫通孔47Cから外部へ漏れないようにするためのシールである。第10シール80Aは、リング状である。第10シール80Aの材質は、合成樹脂またはゴムである。第10シール80Aは、第10シール配置部80Bに配置される。第10シール配置部80Bは、第2追加シリンダ貫通孔47Cに設けられる。
【0128】
<ウェアリング>
プレス装置11は、1または複数の第4ウェアリング84Aを有する。第4ウェアリング84Aは、第2追加ピストン37が動作する場合に、第2追加ピストン37が第2追加シリンダ47に沿って動作するようにガイドするための軸受材である。第4ウェアリング84Aは、円筒状である。第4ウェアリング84Aの材質は、合成樹脂である。第4ウェアリング84Aは、第4ウェアリング配置部84Bに配置される。第4ウェアリング配置部84Bは、第1内周面47Aに設けられる。一例では、第4ウェアリング配置部84Bは、第1内周面47Aのうちの第8シール配置部78Bよりも第2型13から離れた部分に設けられる。第4ウェアリング84Aの配置および個数は、この例に限定されない。
【0129】
プレス装置11は、1または複数の第5ウェアリング85Aを有する。第5ウェアリング85Aは、第4ウェアリング84Aとともに、第2追加ピストン37が動作する場合に、第2追加ピストン37が第2追加シリンダ47に沿って動作するようにガイドするための軸受材である。第5ウェアリング85Aは、円筒状である。第5ウェアリング85Aの材質は、合成樹脂である。第5ウェアリング85Aは、第5ウェアリング配置部85Bに配置される。第5ウェアリング配置部85Bは、第2追加ピストン外周面38Bに設けられる。一例では、第5ウェアリング配置部85Bは、第2追加ピストン外周面38Bのうちの第7シール配置部77Bよりも第2型13から離れた部分に設けられる。第5ウェアリング85Aの配置および個数は、この例に限定されない。
【0130】
<制御部>
制御部91は、第1実施形態と同様に、第1油圧系52によって、ピストン31が動作するように油圧装置51を制御する。制御部91は、第1実施形態と同様に、第2油圧系53によって、第1追加ピストン34が動作するように油圧装置51を制御する。制御部91は、第3油圧系62によって、第2追加ピストン37が動作するように油圧装置51を制御する。
【0131】
制御部91は、第2型13を第1方向Z1に移動させる場合、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの1つが、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの残りの2つよりも速く移動するように、油圧装置51を制御するように構成される。本実施形態では、制御部91は、第2型13を第1方向Z1に移動させる場合、第2型13に固定される第1追加ピストン34が、ピストン31および第2追加ピストン37よりも速く移動するように、油圧装置51を制御する。これによって、前述の気泡発生状態の頻発を抑制できる。
【0132】
制御部91は、第2型13を第2方向Z2に移動させる場合、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの2つが、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの残りの1つよりも速く移動するように、油圧装置51を制御する。本実施形態では、制御部91は、第2型13を第2方向Z2に移動させる場合、第2型13に固定されていないピストン31および第2追加ピストン37が、第1追加ピストン34よりも速く移動するように、油圧装置51を制御する。これによって、前述の気泡発生状態の頻発を抑制できる。
【0133】
第2実施形態のプレス装置11において、第2型13の第2面13Bには、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37によって、略中央と外側の2か所とに圧力がかかるため、第2型13が第1型12に接触するときに生じる第2型13の撓みが解消される。よって、ワーク21の面全体において均一な圧力がかかり易い。したがって、ワーク21を精度よく圧着することができる。
【0134】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態の効果について説明する。
(1)プレス装置11は、ピストン31および第1追加ピストン34に加えて、ピストン31および第1追加ピストン34と協働して第2型13を移動させる第2追加ピストン37をさらに備える。第2追加ピストン37は、筒体であり、かつ、第1中心軸心C1および第2中心軸心C2と同軸の第3中心軸心C3と、第3中心軸心C3に沿う方向に延びる第2貫通孔37Aと、を有する。ピストン31および第1追加ピストン34は、第2貫通孔37A内に配置される。
【0135】
この構成によれば、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37によって、好適にワーク21に圧力をかけることができる。
【0136】
(2)ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの1つは、第2型13に固定され、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの残りの2つは、第2型13に対して移動可能である。
【0137】
この構成によれば、第2型13が第1型12に向かって移動するように、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37を動作させる場合に、これらのピストン31,34,37を支持するシリンダ41,42,47内の気泡発生を抑制できる。
【0138】
(3)油圧装置51は、ピストン31と、第1追加ピストン34と、第2追加ピストン37と、を互いに独立に移動させるように構成される。油圧装置51は、油圧装置51を制御するように構成される制御部91をさらに備える。制御部91は、ワーク21の加圧時に、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの1つの加圧タイミングが、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちの残りの2つの加圧タイミングと異なるように、油圧装置51を制御するように構成される。
【0139】
この構成によれば、第1型12および第2型13でプレスされるワーク21に対して、圧力のかけ方の態様を異ならせることができる。
【0140】
(第3実施形態)
図6を参照して、第3実施形態のプレス装置11について説明する。第3実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と同様の部材については、同一の名称を付すことによって説明を省略する。
【0141】
<付勢装置>
図6に示すように、プレス装置11は、付勢装置100をさらに備える。付勢装置100は、ピストン31と、第1追加ピストン34と、を付勢する。
【0142】
付勢装置100は、第1付勢部101と、第2付勢部102と、を有する。第1付勢部101は、金属ばね、ゴムばね、空気ばね、または、液体ばねである。第1付勢部101は、内部空間Sに設けられる。第1付勢部101は、ピストン31と、シリンダ41との間に設けられる。第1付勢部101は、第2型13が第1型12から離れる第2方向Z2に移動するように、ピストン31を付勢する。具体的には、第1付勢部101は、第1実施形態の第2圧力室44に相当する部分に設けられる。
【0143】
第2付勢部102は、金属ばね、ゴムばね、空気ばね、または、液体ばねである。第2付勢部102は、第1内部空間S1に設けられる。第2付勢部102は、第1追加ピストン34と、第1追加シリンダ42との間に設けられる。第2付勢部102は、第2型13が第1型12から離れる第2方向Z2に移動するように、第1追加ピストン34を付勢する。具体的には、第2付勢部102は、第1実施形態の第4圧力室46に相当する部分に設けられる。
【0144】
付勢装置100は、第1アクチュエータ103と、第2アクチュエータ104と、をさらに備えてもよい。第1アクチュエータ103は、エアアクチュエータ、電動アクチュエータ、または、油圧アクチュエータである。第1アクチュエータ103は、第1円筒ピストンロッド33に設けられる。第1アクチュエータ103は、第1付勢部101とともに、第2型13が第1型12から離れる第2方向Z2に移動するように、ピストン31を付勢する。
【0145】
第2アクチュエータ104は、エアアクチュエータ、電動アクチュエータ、または、油圧アクチュエータである。第2アクチュエータ104は、ピストンロッド36に設けられる。第2アクチュエータ104は、第2付勢部102とともに、第2型13が第1型12から離れる第2方向Z2に移動するように、第1追加ピストン34を付勢する。
【0146】
付勢装置100は、ピストン31用のリニアスケールまたはリニアエンコーダを含んでいてもよい。付勢装置100は、第1追加ピストン34用のリニアスケールまたはリニアエンコーダを含んでいてもよい。
【0147】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態の効果について説明する。
(1)ピストン31と、第1追加ピストン34と、を付勢する付勢装置100をさらに備える。付勢装置100は、第2型13が第1型12から離れる第2方向Z2に移動するように、シリンダ41内においてピストン31を付勢する第1付勢部101と、第2型13が第2方向Z2に移動するように、第1追加シリンダ42内において第1追加ピストン34を付勢する第2付勢部102と、を有する。
【0148】
この構成によれば、付勢部によって、第2型13が第2方向Z2に移動するように、ピストン31と、第1追加ピストン34と、を動作させることができる。また、高弾性の第1付勢部101および第2付勢部102を設けることによって、型開きの速度を向上できる。
【0149】
<変更例>
本開示のプレス装置は、上記実施形態以外の、以下に示される変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例を組み合わせた形態としてもよい。
【0150】
・第1実施形態では、第1追加ピストン34が第2型13に固定され、かつ、ピストン31が第2型13に対して移動可能である。これに対して、第1追加ピストン34が第2型13に対して移動可能とされ、かつ、ピストン31が第2型13に固定されてもよい。この場合、第1方向Z1の移動において、第2型13に固定されるピストン31が、第2型13に対して移動可能である第1追加ピストン34よりもタイミングとして先に移動するように制御される。これによって、ワーク21の周囲を中心部よりも先に圧力を加えることができる。また、気泡発生状態の頻発を抑制できる。第2方向Z2の移動において、第2型13に対して移動可能である第1追加ピストン34が、第2型13に固定されるピストン31よりもタイミングとして先に移動するように制御される。これによって、気泡発生状態の頻発を抑制できる。
【0151】
・第1実施形態において、ピストン31および第1追加ピストン34は、ともに、第2型13に固定されなくてもよい。この場合、第2型13は、所定の力で、ピストン31および第1追加ピストン34に向かって付勢されることが好ましい。この構成によれば、ピストン31および第1追加ピストン34の動作にばらつきが生じる場合でも、気泡発生状態を抑制できる。
【0152】
・第2実施形態では、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37のうちで、第1追加ピストン34のみが第2型13に固定される。これに対して、第2追加ピストン37のみが第2型13に固定されてもよい。この場合、第1方向Z1の移動において、第2型13に固定される第2追加ピストン37が、第2型13に対して移動可能であるピストン31および第1追加ピストン34よりもタイミングとして先に移動するように制御される。さらに、第1方向Z1の移動において、ピストン31が、第1追加ピストン34よりもタイミングとして先に移動するように制御される。このように、外側から順に、すなわち、第2追加ピストン37、ピストン31、第1追加ピストン34の順にこれらピストンを移動させることによって、ワーク21の外周から中央部に向かって順に圧力を加えることができる。
【0153】
・第2実施形態において、次のように制御してもよい。第1方向Z1の移動において、第2型13に固定される第1追加ピストン34が、第2型13に対して移動可能であるピストン31および第2追加ピストン37よりもタイミングとして先に移動するように制御される。さらに、第1方向Z1の移動において、ピストン31が、第2追加ピストン37よりもタイミングとして先に移動するように制御される。このように、内側から順に、すなわち、第1追加ピストン34、ピストン31、第2追加ピストン37の順にこれらピストンを移動させることによって、ワーク21の中心部から外周に向かって順に圧力を加えることができる。
【0154】
・第2実施形態において、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37の全てが、第2型13に固定されなくてもよい。この場合、第2型13は、所定の力で、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37に向かって付勢されることが好ましい。この構成によれば、ピストン31、第1追加ピストン34、および、第2追加ピストン37の動作にばらつきが生じる場合でも、気泡発生状態を抑制できる。
【0155】
・プレス装置11において、ピストンの数は制限されない。プレス装置11は、中心軸心を共通とする3個以上の筒状のピストンを有してもよい。また、プレス装置11は、中心軸心を共通とする3個以上の筒状のピストン、および、筒状のピストンと共通の中心軸心をもつ円柱状のピストンを有してもよい。
【0156】
・第1実施形態において、第1速度V1は、第2速度V2と等しくてもよい。第1速度V1が第2速度V2と等しい場合、制御部91は、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの、第2型13に固定される一方が、ピストン31および第1追加ピストン34のうちの他方よりも先に動くように、油圧装置51を制御する。
【0157】
・各ポート55,56,59,60,64,65は、それぞれ別の油圧ポンプに接続されてもよく、同じ油圧ポンプに接続されてもよい。
【0158】
・各実施形態において、油圧装置51の形態は限定されない。油圧装置51として、サーボ制御方式のポンプ装置を用いることもできる。サーボ制御方式のポンプ装置は、サーボモータによって流量と流れの方向を制御できる。サーボ制御方式のポンプ装置によれば、ピストンの移動を高精度に制御できる。また、サーボ制御方式のポンプ装置によれば、モータの回転方向の正逆の切り替えによって、オイルの流れの方向を切り替えることができるため、切替弁を省略できる。サーボ制御方式のポンプ装置において、モータの回転方向の正逆の切り替えに基づく、オイルの流れの方向を切り替え制御によれば、第2型13の第1方向Z1から第2方向Z2への切替動作を円滑に行うことができる。
【0159】
本明細書には次の技術を開示する。
[付記1]
付記1は、プレス装置に関する技術である。プレス装置は、第1型と、前記第1型に対して移動する第2型と、前記第2型を移動させるピストンと、を備える。前記ピストンは、前記第2型を押す環状の押圧面を有する。前記ピストンは、筒体である。前記ピストンは、第1中心軸心と、前記第1中心軸心に沿う方向に延びる第1貫通孔と、を有する。前記ピストンと協働して前記第2型を移動させる第1追加ピストンをさらに備える。前記第1追加ピストンは、筒体または柱体であり、前記第1中心軸心と同軸の第2中心軸心を有し、かつ、前記第1貫通孔内に配置される。前記ピストンおよび前記第1追加ピストンはともに前記第2型に固定されず、前記第2型に対して移動可能である。
[付記2]
付記1において、前記ピストンと、前記第1追加ピストンと、を互いに独立に移動させる油圧装置をさらに備える。
【0160】
各実施形態に関する説明は、本開示に従うプレス装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従うプレス装置は、各実施形態に例示された形態とは異なるその他の形態を取り得る。
【符号の説明】
【0161】
11…プレス装置、12…第1型、13…第2型、21…ワーク、31…ピストン、31A…第1貫通孔、33C…押圧面、34…第1追加ピストン、37…第2追加ピストン、37A…第2貫通孔、41…シリンダ、42…第1追加シリンダ、51…油圧装置、52…第1油圧系、53…第2油圧系、91…制御部、100…付勢装置、101…第1付勢部、102…第2付勢部、C1…第1中心軸心、C2…第2中心軸心、C3…第3中心軸心、Z1…第1方向、Z2…第2方向。
【要約】
ワーク(21)をプレスするプレス装置(11)であって、第1型(12)と、第1型(12)に対して移動する第2型(13)と、第2型(13)を移動させるピストン(31)と、を備え、ピストン(31)は、第2型(13)を押す環状の押圧面(33C)を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6