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▶ 岸 恵美子の特許一覧

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  • 特許-忘れ物防止用のポケット型収納ケース 図1
  • 特許-忘れ物防止用のポケット型収納ケース 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】忘れ物防止用のポケット型収納ケース
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/02 20060101AFI20250131BHJP
   A47B 96/16 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
A47K17/02 Z
A47B96/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024096281
(22)【出願日】2024-05-22
【審査請求日】2024-05-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508296118
【氏名又は名称】岸 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】岸 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】太田 秀信
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-128898(JP,U)
【文献】特許第6958909(JP,B2)
【文献】特開2006-263439(JP,A)
【文献】特開2020-081389(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044860(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 17/00-17/02
E05C 1/02-1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室内の扉、または袖パネルに設置する忘れ物防止用のポケット型収納ケースであって、
ポケットケースとバネで支持された受け皿を入れる収納ケース本体と、
前記受け皿に備えられたスプリングと一体に伸縮する扉の開閉を妨げるスライドストッパーと、を備え、
入室時に物を前記ポケットケースに入れると、前記スプリングが圧縮されながら前記受け皿が下がり、圧縮されたシリコンチューブ管の作用により、前記スライドストッパーが押し出されて扉をロックし、
退室時に前記物を取り出すと圧縮されていた前記スプリングが復元し前記スライドストッパーが元の位置に戻って扉のロックが自動で解除されることを特徴とする忘れ物防止用のポケット型収納ケース。
【請求項2】
前記スライドストッパーは、前記スライドストッパーに抗して扉を開こうとすると、曲って扉の開放を妨げず、扉を開く作用が解除されると復元する材料で構成されている請求項1に記載の忘れ物防止用のポケット型収納ケース。
【請求項3】
前記ポケットケースは、前記収納ケース本体から取り外して手入れが可能である請求項1または2に記載の忘れ物防止用のポケット型収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室内に設置する忘れ物防止のポケット型収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、「トイレ忘れ物ランキング」に財布と携帯電話が上位を占めている。
【0003】
忘れ物の防止対策として、扉又は袖パネルに固定プレートと小物類の載せ台(忘れ物防止トレイ)をスライド鍵と連結、または嵌合するなどして一体化し、施錠位置にスライドして載せ台を倒して使用する構造の忘れ物防止トレイが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、扉、または袖パネルに棚受けを設置し折り畳み式棚を倒すと扉と袖パネルの両面で係合し小物置台になり、その小物置台は施錠の代用となる構造の忘れ物減少用の折り畳み式棚が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6958909号公報
【文献】特開2006-263439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1記載の先行技術は、スライド錠と一体化した構造であるため、スライド錠ではない既設の扉には設置することができない。前記特許文献2記載の先行技術では、忘れ物減少用の折り畳み式棚は小物置台が施錠の代用となる構造であるため、室内で非常事態や緊急事態が発生した場合この小物置台でロック状態となり、救助等の妨げとなる。
【0007】
前記特許文献1及び2に記載の先行技術は、忘れ物の防止対策面では両者共にドア錠の近傍に設置された小物置台であり、小物が目につき易く小物等を取り除かなければ開錠操作が不可能なため、置忘れを効果的に防止することができる。
【0008】
トイレ室内は、保健衛生面に於いて常に清潔であることに留意しなければならない。
大腸菌(O157等)に汚染されやすい危険な場所として、水洗トイレの取っ手とドアノブが挙げられている。これらの感染経路は、便や菌のついた人の手や指を介しての間接的な感染であり、退室後に洗面台で手洗い消毒を充分すれば感染を回避することができる。
しかし、ドアノブの近傍に設置された小物置き台に置いていた小物を洗うことは困難であり、前記小物から経口感染する場合がある。特に、剥き出しに直置きした携帯電話については、口の周辺で使用するものであるため二次感染のリスクが極めて高い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記のような従来の問題を解決するため、本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケースは、ポケットケースとバネで支持された受け皿を入れる収納ケース本体と、受け皿に備えられたスプリングと一体に伸縮する扉の開閉を妨げるスライドストッパーと、を備え、入室時に物をポケットケースに入れると、スプリングが圧縮されながら前記受け皿が下がり、圧縮されたスプリングの作用により、スライドストッパーが押し出されて扉をロックし、退室時に前記物を取り出すと圧縮されていたスプリングが復元しスライドストッパーが元の位置に戻って扉のロックが自動で解除されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケースのスライドストッパーは、緊急事態発生時にスライドストッパーに抗して扉を開こうとすると、曲って扉の開放を妨げず、扉を開く作用が解除されると復元する材料で構成されていることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の忘れ物防止用のポケット型の収納ケースに内蔵されているポケットケースは、前記収納ケースから取り外して手入れが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
トイレ室内の一般的な荷物置きは、前方か壁横に棚が設置されている場合が多い。
財布等を荷物置きに置いた人の動線は、最初に施錠をして自身のポケットから取り出した財布等を荷物置きに剥き出しで無造作に置く。次に一連の用足し等を済ませて立ち上がり荷物置きから財布等を取り元の自身のポケットに入れて開錠して退室する。しかし、立ち上がりから退室までの動線の中で、扉と反対側にある荷物置きは、視界から外れ財布等は見落とされて置忘れに繋がることがある。
【0013】
本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケースを設置した場合では、人の動線はトイレに入室後まず施錠し、次に自身のポケットから財布等を取り出し目線の高さに設置されたポケットケースに挿入する。そして一連の用足し等を済ませて立ち上がりそのまま扉に向かい、ポケットケースから財布等を取り出し元の自身のポケットに入れて開錠して退室する。無駄のない動作であり財布等の忘れ物もなくなるのは必然であるが本発明は、忘れ物への注意を喚起する装置でもあるので他の忘れ物防止への啓発になる。
【0014】
本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケースは、収納ケースやポケットケースに於いても一切他人の手に触れられることはなく、かつポケットケースへの財布や携帯電話などの出し入れも簡単である。
更に、前記収納ケースは簡単に取り付けることができ、鍵から上部の目線の高さに設置するため如何なる種類の鍵の既設にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケースの正面図である。
図2】本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケースの分解説明図であって、(a)は収納ケース本体の斜視図、(b)は内蔵されたポケットケースの斜視図、(c)は内蔵された受け皿の斜視図である。
図3】本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケースのスライドストッパーが押し出された状態を示す図であって、(a)は右用にスライドストッパーが押し出された状態を示す正面図、(b)は左用にスライドストッパーが押し出された状態を示す正面図である。
図4】本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケース、内蔵された受け皿及びポケットケースの内部構造であって、(a)はポケットケースに小物類が入れられていない状態を示す正面図、(b)はポケットケースに小物類が入れられ、スライドストッパーが押し出された状態を示す正面図である。
図5】本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケースに内蔵された受け皿に備えられたスプリング及びスプリングと一体に伸縮するスライドストッパーの正面図の分解説明図である。
図6】本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケースを扉または袖パネルに設置した例を示すものであって、(a)、(b)、(c)、(d)は説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、忘れ物防止用のポケット型収納ケース本体11にポケットケース12が内蔵された本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケース10の正面図である。図2は、本発明の収納ケース10の分解説明図であって、(a)は収納ケース本体11の斜視図、(b)は収納ケース本体11に内蔵されたポケットケース12の斜視図、(c)は収納ケース本体11に内蔵された受け皿13の斜視図である。
【0017】
図3は、収納ケース10に内蔵されたポケットケース12に物を挿入した後、物の重量で圧縮されたスプリングの作用でスライドストッパー14が押し出された状態を示す図であって、(a)は右用にスライドストッパー14が押し出された状態(右用ストッパー)を示す正面図、(b)は左用にスライドストッパー14が押し出された状態(左用ストッパー)を示す正面図である。
【0018】
図4は、本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケース10、収納ケース10に内蔵された受け皿13及びポケットケース12の内部構造であって、受け皿13にはスプリング20とスプリング20に安定した重力と圧力を提供するため4ケ所にバネ15が取り付けられている。(a)はポケットケース12に小物類が入れられていない空の状態を示す正面図、(b)はポケットケース12に小物類が入れられ、ポケットケース12及び受け皿13が前記小物類の重量で下がり、圧縮されたスプリング20の作用によりスライドストッパー14がスライドストッパー飛び出し口16押し出された状態を示す正面図である。
【0019】
図5は、スライドストッパー14が押し出される仕組みを示したものである。(a)はポケット型収納ケース10に内蔵された受け皿13に備えられたスプリング20とシリコンチューブ管22は一体となって伸縮し、シリコンチューブ管22の先端部にはスライドストッパー14が取り付けられているものを示した正面図である。(b)はスプリングガイド用シリコンチューブ23とそのシリコンチューブ23の先端に取り付けられたスプリング止め21を示した正面図である。(C)はスライドストッパーガイド用シリコン24の斜視図である。
【0020】
ポケットケース12に小物類を挿入するとその重量で受け皿13が下がり、スプリング20が圧縮される。スプリングガイド用シリコンチューブ23の先端部に設けられたスプリング止め21の機能によりスプリング20の収縮が止まり、シリコンチューブ管22のみが押し出される。その結果、シリコンチューブ管22の先端部に取り付けられているスライドストッパー14が収納ケース本体11の外に押し出される。これらの作用をスムーズに可動させるために、シリコンチューブ及びシリコン等をスプリング20及びスライドストッパー14にガイド役として取り付ける方が好ましい。
【0021】
図6は、本発明の忘れ物防止用のポケット型収納ケース10を扉または袖パネルに設置した例を示すものである。トレイブースは、設置する場所や状況により、右扉と左扉または引き戸と押し戸等の条件が異なっているため、スライドストッパー14による効能には、右用と左用のスライドストッパー14が必要であり、設置条件も変わる。
トイレ室内から見て、(a)は右扉30の引き戸用に右用のスライドストッパー14が押し出される本発明の収納ケース10を袖パネル31に設置されたときの説明図、(b)は右扉30の押し戸用に左用のスライドストッパー14が押し出される本発明の収納ケース10を扉30に設置されたときの説明図、(c)は左扉30の引き戸用に左用のスライドストッパー14が押し出される本発明の収納ケース10を袖パネル31に設置されたときの説明図、(d)は左扉30の押し戸用に右用のスライドストッパー14が押し出される本発明の収納ケース10を扉30に設置されたときの説明図である。
【0022】
本発明のポケット型収納ケース、内蔵されたポケットケース及び受け皿等には、安全性が高く、デザイン性や機能性に優れることが要求される。そのため、前記の収納ケース、ポケットケース及び受け皿等の素材は、ABS樹脂が好ましいが、前記要求を満たす材料であれば、特に制限はない。
【0023】
本発明のポケット型収納ケースの設置については、トイレの引き戸、押し戸、扉及び袖パネルにしっかりと固定できるのものであれば、設置方法には特に制限はなく、公知の方法で設置することができる。例えば、ビス止め用にあけた2か所以上の孔を利用してビス止めする方法が挙げられるが、収納ケースの裏面に取り付けた強力な吸着シートを壁面へ貼り付ける方法は、しっかり固定され位置変えも自在であって好ましい。
【符号の説明】
【0024】
10 収納ケース
11 収納ケース本体
12 ポケットケース
13 受け皿
14 スライドストッパー
15 バネ
16 スライドストッパー飛び出し口
20 スプリング
21 スプリング止め
22 シリコンチューブ管
23 スプリングガイド用シリコンチューブ
24 スライドストッパーガイド用シリコン
30 扉
31 袖パネル
32 錠
【要約】      (修正有)
【課題】従来より、「トイレ忘れ物ランキング」の上位に財布と携帯電話が取り上げられており、これらの置き忘れを確実に防止し、尚且つ、大腸菌等に汚染されやすいトイレ室内での保健衛生面においても配慮した忘れ物防止のポケット型収納ケースを提供する。
【解決手段】トイレ室内の扉、または袖パネルに設置する忘れ物防止用のポケット型収納ケース10であって、ポケットケース12とバネ15で支持された受け皿13を入れる収納ケース本体11と、受け皿に備えられたスプリング20と一体に伸縮する扉の開閉を妨げるスライドストッパー14と、を備え、入室時に物をポケットケースに入れると、スプリングが圧縮されながら受け皿が下がり、圧縮されたスプリングの作用により、スライドストッパーが押し出されて扉をロックし、退室時に前記物を取り出すと圧縮されていたスプリングが復元しスライドストッパーが元の位置に戻って扉のロックが自動で解除される。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6