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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】分析装置、分析プログラム、分析方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/00 20240101AFI20250204BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023204159
(22)【出願日】2023-12-01
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】300060506
【氏名又は名称】株式会社ホットリンク
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】桧野 安弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 真照
(72)【発明者】
【氏名】榊 剛史
(72)【発明者】
【氏名】セーヨー サンティ
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-22512(JP,A)
【文献】特開2021-81869(JP,A)
【文献】吉本和紀、外2名,マイクロブログにおける他者への影響を考慮した投稿者の重要度推定手法,第2回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム-DEIM 2010-論文集,日本,電子情報通信学会データ工学研究専門委員会,2010年06月09日,p.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のキーワードを含む通常投稿と、前記通常投稿のそれぞれを拡散する拡散投稿と、の情報を含む投稿情報を取得し、前記通常投稿に係る前記拡散投稿を紐づけて投稿群として記憶する投稿情報取得部と、
前記投稿群は、前記拡散投稿の数が所定の数より少ない小規模拡散投稿群と、前記拡散投稿の数が所定の数より多い大規模拡散投稿群を含み、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる前記通常投稿の前記拡散投稿の数の情報をもとに、前記通常投稿の拡散傾向を分析する分析部と、
を備える、分析装置。
【請求項2】
前記分析部は、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれの前記拡散投稿の数が同程度の規模になるように抽出し、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群を等倍増減させた場合に増減する前記拡散投稿を比較することにより、前記拡散傾向を分析する、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記投稿情報取得部は、前記通常投稿および前記拡散投稿を行ったアカウントの情報を取得し、
前記通常投稿を行ったアカウントと、前記通常投稿に係る拡散投稿を行った前記アカウントを含む前記投稿群における、特定の前記アカウントの情報拡散の寄与度を評価する評価部と、
を備える、請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記拡散投稿の数の情報により、前記拡散傾向を分析した前記通常投稿に含まれる第1の前記キーワードと、前記拡散傾向を分析したい第2の前記キーワードの類似度を判定する類似判定部と、
を備え、
前記分析部は、前記類似度より第2の前記キーワードの前記拡散傾向を予測する、
請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項5】
前記拡散傾向の情報と、前記寄与度の情報から、前記通常投稿を前記アカウントのユーザが投稿した場合の拡散数を予測する予測部と、
を備える、請求項3に記載の分析装置。
【請求項6】
コンピュータに、
所定のキーワードを含む通常投稿と、前記通常投稿のそれぞれを拡散する拡散投稿と、の情報を含む投稿情報を取得し、前記通常投稿に係る前記拡散投稿を紐づけて投稿群として記憶する投稿情報取得ステップと、
前記投稿群は、前記拡散投稿の数が所定の数より少ない小規模拡散投稿群と、前記拡散投稿の数が所定の数より多い大規模拡散投稿群を含み、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる前記通常投稿の前記拡散投稿の数の情報をもとに、前記通常投稿の拡散傾向を分析する分析ステップと、
を実行させる、分析プログラム。
【請求項7】
コンピュータが、
所定のキーワードを含む通常投稿と、前記通常投稿のそれぞれを拡散する拡散投稿と、の情報を含む投稿情報を取得し、前記通常投稿に係る前記拡散投稿を紐づけて投稿群として記憶する投稿情報取得ステップと、
前記投稿群は、前記拡散投稿の数が所定の数より少ない小規模拡散投稿群と、前記拡散投稿の数が所定の数より多い大規模拡散投稿群を含み、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる前記通常投稿の前記拡散投稿の数の情報をもとに、前記通常投稿の拡散傾向を分析する分析ステップと、
を実行する、分析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、分析プログラム、分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上での情報拡散現象は、商品や商材の認知を向上させるものとして幅広く認識されており、広告配信などのデジタルマーケティングでも実務的な効果測定に応用されている。
【0003】
しかし、情報拡散現象の応用については結果として認識されるものであって、事前にその現象を予想することは困難であり、こうした予測不可能性がある以上、広告制作の現場では主にコスト的な非効率が大きく、産業の発展を妨げていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5282857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1には、SNSなどのようなウェブサイトで、投稿者ごとの影響力、および特定トピックに対しての未来における投稿数を予測する技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、特定のトピックに対するSNS上の1次的な情報の拡散の規模を予測するものであり、例えばある投稿を引用して拡散するなどの再拡散の数を予測することは困難である。
【0007】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、情報の拡散の規模を分析することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本開示にかかる、分析装置は、所定のキーワードを含む通常投稿と、前記通常投稿のそれぞれを拡散する拡散投稿と、の情報を含む投稿情報を取得し、前記通常投稿に係る前記拡散投稿を紐づけて投稿群として記憶する投稿情報取得部と、前記投稿群は、前記拡散投稿の数が所定の数より少ない小規模拡散投稿群と、前記拡散投稿の数が所定の数より多い大規模拡散投稿群を含み、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる前記通常投稿の前記拡散投稿の数の情報をもとに、前記通常投稿の拡散傾向を分析する分析部と、を備える。
【0009】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、情報の拡散の規模を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る分析システムの全体構成例を示す図である。
図2】同実施形態に係るサーバ装置1のハードウェア構成例を示す図である。
図3】同実施形態に係るサーバ装置1の機能構成例を示す図である。
図4】同実施形態に係る投稿情報記憶部131に記憶される投稿情報の例を示す図である。
図5】同実施形態に係る類似情報記憶部132に記憶される類似度状態情報の例を示す図である。
図6】同実施形態に係る実績情報記憶部133に記憶される実績情報の例を示す図である。
図7】同実施形態に係る分析部112による分析を説明する図である。
図8】同実施形態に係る分析部112による分析の結果を示す図である。
図9】同実施形態に係る寄与度評価部113による寄与度評価を説明する図である。
図10】同実施形態に係るサーバ装置1の処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<発明の概要>
[項目1]
所定のキーワードを含む通常投稿と、前記通常投稿のそれぞれを拡散する拡散投稿と、の情報を含む投稿情報を取得し、前記通常投稿に係る前記拡散投稿を紐づけて投稿群として記憶する投稿情報取得部と、
前記投稿群は、前記拡散投稿の数が所定の数より少ない小規模拡散投稿群と、前記拡散投稿の数が所定の数より多い大規模拡散投稿群を含み、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる前記通常投稿の前記拡散投稿の数の情報をもとに、前記通常投稿の拡散傾向を分析する分析部と、
を備える、分析装置。
[項目2]
前記分析部は、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれの前記拡散投稿の数が同程度の規模になるように抽出し、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群を等倍増減させた場合に増減する前記拡散投稿を比較することにより、前記拡散傾向を分析する、
項目1に記載の分析装置。
[項目3]
前記投稿情報取得部は、前記通常投稿および前記拡散投稿を行ったアカウントの情報を取得し、
前記通常投稿を行ったアカウントと、前記通常投稿に係る拡散投稿を行った前記アカウントを含む前記投稿群における、特定の前記アカウントの情報拡散の寄与度を評価する評価部と、
を備える、項目1または2に記載の分析装置。
[項目4]
前記拡散投稿の数の情報により、前記拡散傾向を分析した前記通常投稿に含まれる第1の前記キーワードと、前記拡散傾向を分析したい第2の前記キーワードの類似度を判定する類似判定部と、
を備え、
前記分析部は、前記類似度より第2の前記キーワードの前記拡散傾向を予測する、
項目1または2に記載の分析装置。
[項目5]
前記拡散傾向の情報と、前記寄与度の情報から、前記通常投稿を前記アカウントのユーザが投稿した場合の拡散数を予測する予測部と、
を備える、項目3に記載の分析装置。
[項目6]
コンピュータに、
所定のキーワードを含む通常投稿と、前記通常投稿のそれぞれを拡散する拡散投稿と、の情報を含む投稿情報を取得し、前記通常投稿に係る前記拡散投稿を紐づけて投稿群として記憶する投稿情報取得ステップと、
前記投稿群は、前記拡散投稿の数が所定の数より少ない小規模拡散投稿群と、前記拡散投稿の数が所定の数より多い大規模拡散投稿群を含み、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる前記通常投稿の前記拡散投稿の数の情報をもとに、前記通常投稿の拡散傾向を分析する分析ステップと、
を実行させる、分析プログラム。
[項目7]
コンピュータが、
所定のキーワードを含む通常投稿と、前記通常投稿のそれぞれを拡散する拡散投稿と、の情報を含む投稿情報を取得し、前記通常投稿に係る前記拡散投稿を紐づけて投稿群として記憶する投稿情報取得ステップと、
前記投稿群は、前記拡散投稿の数が所定の数より少ない小規模拡散投稿群と、前記拡散投稿の数が所定の数より多い大規模拡散投稿群を含み、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる前記通常投稿の前記拡散投稿の数の情報をもとに、前記通常投稿の拡散傾向を分析する分析ステップと、
を実行する、分析方法。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る評価システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の評価システムは、サーバ装置1を含んで構成される。サーバ装置1は、ユーザ端末3と、通信ネットワーク2を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク2は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0014】
==サーバ装置1==
サーバ装置1は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。本実施形態においては、説明の便宜上1台を例示しているが、これに限定されず、複数台であってもよい。
【0015】
==ユーザ端末3==
ユーザ端末3は、分析を行うユーザが扱うコンピュータである。例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータなどである。ユーザは、たとえばユーザ端末3で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。
【0016】
図2は、サーバ装置1のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。サーバ装置1は、プロセッサ101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、通信ネットワーク2に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置105は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述するサーバ装置1の各機能部はプロセッサ101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、サーバ装置1の各記憶部はメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0017】
図3には、サーバ装置1の機能構成を示している。図3に示すように、サーバ装置1は、投稿情報記憶部131と、類似情報記憶部132と、の各記憶部と、投稿情報取得部111と、分析部112と、寄与度評価部113と、類似判定部114と、予測部115と、提示部116と、の各処理部を備える。
【0018】
投稿情報記憶部131と、類似情報記憶部132と、実績情報記憶部133の各記憶部の説明を記載する。
【0019】
投稿情報記憶部131は、図4に一例を示す、インターネット上のウェブサイトにおける投稿に関する情報を記憶する。投稿情報は、一例として投稿、投稿の再投稿・投稿を引用した引用投稿(拡散投稿)、当該投稿、当該拡散投稿を行ったアカウントと、当該アカウントのフォロー、フォロアーの情報、投稿に対する評価の種類または数等の情報を含むが、これらに限定されない。また、投稿情報は、大規模拡散投稿群、小規模拡散投稿群を含む。
【0020】
類似情報記憶部132は、図5に一例を示す、類似判定部114が判定したキーワードまたはアカウント同士の類似情報を記憶する。類似情報記憶部132は、キーワード同士、アカウント同士の類似性の情報に加え、類似の程度の情報を記憶してもよい。
【0021】
実績情報記憶部133は、図6に一例を示す、類似判定部114が判定したキーワードまたはアカウント同士の類似情報を記憶する。
【0022】
以下に、投稿情報取得部111と、分析部112と、寄与度評価部113と、類似判定部114と、予測部115と、提示部116と、の処理部の説明を記載する。
【0023】
投稿情報取得部111は、一例として、通信ネットワーク2を介して、インターネット上のウェブサイトより、投稿情報を取得し、投稿情報記憶部131に記憶する。
【0024】
投稿情報取得部111が投稿情報を取得するウェブサイトは、一例として、ユーザが管理するアカウントから情報を投稿(以下、通常投稿と記す)することができ、他のユーザが管理するアカウントが、通常投稿を再投稿、引用投稿(再投稿や引用投稿をまとめて拡散投稿と記す)などができる機能を有していればよく、ブログ、X(旧twitter(登録商標))、Instagram(登録商標)、Tik Tok(登録商標)、YouTube(登録商標)、17Live(登録商標)などのインフルエンサープラットフォームなどを含むソーシャルメディアなどであればよいが、これらに限定されない。なお、拡散投稿には、当該他のユーザが管理するアカウントが、通常投稿に対する評価を表明した場合に、当該他のユーザのウォールに当該投稿が表示されるものを含んでもよい。
【0025】
投稿情報取得部111は、一例として、所定のキーワードを含む投稿情報を取得する。当該キーワードは、商品名・サービス・タレント(芸能人、youtuber、v-tuber、配信者等を含むがそれらに限定されない)、キャラクタ名の正式名称または略称・愛称等、一般化された商材名(例えば、webサービス、お菓子、飲料、食品、化粧品、不動産等)、活動・イベント・業界名(スポーツ、ファッション、外食等)などを含んでよいが、これらに限定されない。
【0026】
なお、投稿情報取得部111が取得する投稿情報は、UGC(user generated content)を含む。UGCとは、ある消費者の商品等への言及を示す言葉で、あるアカウントから発信されたUGCを起点として、フォロアー等が拡散投稿をすることで、当該商品等の認知度が向上する事例が知られている。
【0027】
投稿情報取得部111は、上述した投稿情報を、投稿がなされた言語、抽出する期間を指定して取得してもよい。
【0028】
投稿情報取得部111は、通常投稿と拡散投稿を行ったアカウントと、当該アカウントのフォロー、フォロアー情報を取得してもよい。
【0029】
投稿情報取得部111は、通常投稿と、当該通常投稿をもとに行われた拡散投稿とを抽出し、投稿群を生成する。
【0030】
投稿情報取得部111は、拡散投稿の数が所定の数より少ない投稿群を小規模拡散投稿群とし、拡散投稿の数が所定の数より多い投稿群を大規模拡散投稿群として分別し、投稿情報記憶部131に記憶する。
【0031】
投稿情報取得部111は、通常投稿を行ったアカウントと、当該通常投稿を拡散投稿したアカウントとのフォロー・フォロアー関係をもとに、通常投稿の拡散に関するアカウント同士のネットワーク(投稿群)を抽出する。この場合、投稿情報取得部111は、例えば、Leiden法等の既知の手法を用いて、投稿群を抽出すればよい。
【0032】
投稿情報取得部111は、投稿群の大きさ、つまり投稿群に含まれるアカウント数によって投稿群を分類する。投稿群サイズは例えば、投稿群に含まれるアカウント数が1(micro)、2~10(small)、11~99(medium)、100以上(large)などの区分で分類する。投稿情報取得部111は、さらに、投稿群に含まれるアカウント数が、例えば1、2~10の投稿群を小規模拡散投稿群、11~99、100以上の投稿群を大規模拡散投稿群に分類してもよいが、これらの閾値に限定されない。1アカウントが1度拡散投稿をしていると想定すれば、ここで言うアカウント数は投稿数と見なせ、拡散投稿をしたアカウント数は、拡散投稿数と見なせる。
【0033】
分析部112は、一例として、小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる通常投稿の拡散投稿を含む総投稿数の情報をもとに、通常投稿の拡散傾向を分析する。
【0034】
分析部112は、一例として、あるキーワード(キーワードAとする)を含む通常投稿に対する小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる拡散投稿の数の情報をもとに、小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群のそれぞれの拡散投稿の平均値または中央値を算定し、実績情報記憶部133に記憶する。
【0035】
分析部112は、例えば、図7に示すように、キーワードAを含む通常投稿を含む小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群のそれぞれの総投稿数が同程度の規模になるように抽出する。分析部112は、これら小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群のそれぞれの通常投稿の一部をサンプリング抽出する。分析部112は、小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群からサンプリング抽出した通常投稿を等倍増減させた場合に、上述したキーワードAを含む通常投稿の拡散投稿の平均値または中央値の値を実績情報記憶部133から読み出し、通常投稿の数に掛け合わせ、増減する総投稿数の数を比較することにより、キーワードAを含む通常投稿の拡散傾向を分析する。
【0036】
分析部112は、例えば、拡散投稿の平均値または中央値のデータを取得していないキーワード(キーワードBとする)について、小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群のそれぞれの総投稿数が同程度の規模になるように抽出する。分析部112は、これら小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群のそれぞれの通常投稿の一部をサンプリング抽出する。分析部112は、小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群からサンプリング抽出した通常投稿を等倍増減させた場合に、後述する類似判定部114がキーワードBと類似すると判定したキーワードA(仮に類似判定部114が、キーワードBとキーワードAと類似していると判定したとする)を含む通常投稿の拡散投稿の平均値または中央値の値を実績情報記憶部133から読み出し、通常投稿の数に掛け合わせ、増減する総投稿数の数を比較することにより、キーワードBを含む通常投稿の拡散傾向を分析する。
【0037】
分析部112の分析の具体的な例を記載する。分析部112は、キーワードAを含む通常投稿に関する小規模拡散投稿群(総投稿数1000、投稿群数100、1通常投稿当たりの平均拡散投稿数は9)と大規模拡散投稿群(総投稿数900、投稿群数20、1通常投稿当たりの平均拡散投稿数は44)を抽出する(小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群の両方の総投稿数が1900)。分析部112は、例えば、小規模拡散投稿群を25(総投稿数は250件)と、大規模拡散投稿群を5(総投稿数は225件)と、を抽出することにより、小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群のそれぞれの投稿数を同程度とする。分析部112は、抽出した小規模拡散投稿群と大規模拡散投稿群のそれぞれの通常投稿から、例えば、ランダムに20%(小規模拡散投稿群の通常投稿は5件、大規模拡散投稿群の通常投稿は1件)を抽出する。分析部112は、抽出した通常投稿を、例えば倍増させ(小規模拡散投稿群の通常投稿は30件、大規模拡散投稿群の通常投稿は6件となったことになる)、倍増させた通常投稿をもとにする拡散投稿も、抽出した通常投稿に紐づく拡散投稿の数を同割合で増加させる。この場合、小規模拡散投稿群の増加した通常投稿5件に対し、拡散投稿は45件増加し、総投稿数は50件増加したことになる。また、通常投稿30件に対する総投稿数は300件となった。また、大規模拡散投稿群の増加した通常投稿1件に対し、拡散投稿は44件増加し、総投稿数は45件増加したことになる。また、通常投稿6件に対する総投稿数は270件となる。したがって、キーワードAを含む通常投稿の拡散傾向としては、小規模拡散投稿群の通常投稿を増加させる方が、総投稿数を増加させやすいということになる。分析部112は上述した処理をおこなうことにより、特定のキーワードを含む通常投稿をもとにする拡散投稿が、小規模拡散投稿群か、大規模拡散投稿群のどちらを形成したほうが、総投稿数が増加するかを分析する。
【0038】
なお、上述した例では、平均拡散投稿数が実績情報記憶部133に記憶されているキーワードAを含む通常投稿の事例を紹介したが、平均拡散投稿数が知られていないキーワードBに関しては、分析部112は、類似判定部114がキーワードBと類似であると判定したキーワードAの平均拡散投稿数の情報を利用して、通常投稿を増加した場合の、当該通常投稿をもとにした拡散投稿の増加数を算定すればよい。
【0039】
図8は、分析部112が分析した拡散傾向の一例を示す図である。図8中の商材には、具体的な商品名または一般的な商材名を含み、これらをキーワードとして含む通常投稿が、小規模拡散投稿群か、大規模拡散投稿群のどちらの方が、総投稿数が増加するのかが分析できている。例えばお菓子_1、お菓子_2は小規模投稿群による拡散の方が、お菓子_3、お菓子_4は大規模投稿群による拡散の方が、総投稿数が増加することを示している。
【0040】
分析部112は、一例として、後述する類似判定部114が判定した通常投稿に含まれるキーワードの類似度の情報をもとに、あるキーワードを含む通常投稿の拡散傾向を予測してもよい。分析部112は、類似度の高いキーワードは、同様の拡散傾向となると分析すればよい。
【0041】
分析部112は、一例として、後述する類似判定部114が判定したアカウントの類似度の情報をもとに、あるアカウントによる通常投稿の拡散傾向を予測してもよい。分析部112は、類似度の高いアカウントによる通常投稿は、同様の拡散傾向となると分析すればよい。
【0042】
寄与度評価部113は、一例として、通常投稿を行ったアカウントと、当該通常投稿に係る拡散投稿を行ったアカウントを含む投稿群における、特定のアカウントの情報拡散の寄与度を評価する。
【0043】
寄与度評価部113は、例えば、図9に示すように、投稿群を分析し、各通常投稿について、どのように投稿が拡散投稿されたかを表す情報拡散ネットワークを推定する。具体的には、寄与度評価部113は、ある通常投稿を拡散投稿したすべてのアカウントを抽出し、ネットワークのノード集合Vとする。さらに、寄与度評価部113は、通常投稿、または拡散投稿を行ったアカウントのノード集合をVfrom、通常投稿、または拡散投稿を受け取ったアカウントのノード集合をVtoとした場合に、VfromとVto間にエッジを作成し、情報拡散ネットワークを推定する。さらに、寄与度評価部113は、投稿群から、拡散への寄与度を評価したいアカウント(評価アカウント)を除外した結果、拡散投稿の数がどう変化するかを分析する。具体的には、寄与度評価部113は、投稿群から、評価アカウントをランダムに抽出し、当該評価アカウントに対応するノードを拡散経路ネットワーク上から除外する。次に、寄与度評価部113は、当該評価アカウントから情報が拡散したアカウントのノードも除外し、これを繰り返す。最後に、寄与度評価部113は、除外されたノード数を評価アカウントの情報拡散への寄与度とする。
【0044】
類似判定部114は、一例として、拡散傾向を分析した通常投稿に含まれる第1のキーワードと、拡散傾向を分析したい第2のキーワードが類似しているか否かを判定する。
【0045】
類似判定部114は、例えば、キーワードが含まれる商品・サービス等のカテゴリ、キーワードが示す商品・サービス等の特徴の情報をもとに、キーワード同士の類似性を判定する。類似判定部114は、例えば、第1のキーワードが化粧品の製品名であり、第2のキーワードも化粧品の製品名である場合に、第1のキーワードと第2のキーワードが類似であると判定する。また、類似判定部114は、例えば、第1のキーワードがお菓子の製品名であり、第2のキーワードもお菓子の製品名であり、それぞれの製品が甘い特徴を有する場合や、チョコレートを含む場合、同程度の販売価格である場合など、共通の特徴がある場合に、第1のキーワードと第2のキーワードが類似であると判定すればよい。
【0046】
類似判定部114は、一例として、アカウントの類似性を判定してもよい。
【0047】
類似判定部114は、例えば、アカウントの関係を表すグラフ構造を分析し、当該グラフ構造が似たアカウント同士を、類似していると判定すればよい。なお、当該グラフ構造は、ソーシャルメディアにおけるアカウント相互の関係(例えば、フォロー、フォロワー関係、あるアカウントの投稿へ評価(いいね等)や拡散などをつけたアカウントという関係、返信などを紐付けた関係など、を含む)を、ノード(アカウント)とエッジ(アカウントとアカウントを繋ぐ関係)で表したグラフ構造であればよい。また、グラフ構造の類似を判定していくにあたり、重要なノード/エッジ関係でのエッジの重なり、中心的なノード(アカウント)属性の類似度、ページランクなど代表的なアルゴリズムで算出したノードの中心性の値などが考えられるが、これに限らない。
【0048】
類似判定部114は、アカウントを運用する事業体(個人、企業等を含んでよい)の情報を取得し、事業内容や業界、業態、取扱う製品、対象とする業界、事業規模などの情報をもとに、アカウント同士の類似度を判定してもよい。また、類似判定部114は、当該事業体が運用するサービスサイトやホームページ等の情報をもとに、サイトのデザイン(用いているキーワード・フレーズ、質感、色彩、フォントの種類、大きさ等)を比較し、デザインの類似度をもとに、アカウント同士の類似性を判定してもよい。
【0049】
予測部115は、一例として、拡散傾向の情報と、寄与度の情報をもとに、または拡散傾向の情報と、寄与度の情報と、さらに類似度の情報と、をもとに、通常投稿をあるアカウントから投稿した場合に、拡散投稿が多くなる方法を予測する。
【0050】
予測部115は、例えば、拡散傾向の情報と、寄与度の情報をもとに、通常投稿をあるアカウントから投稿した場合の拡散投稿が多くなる方法を予測する。予測部115は、分析部112の分析の結果から、あるキーワードを含む通常投稿についての拡散傾向が、小規模拡散投稿群と、大規模拡散投稿群のいずれが拡散投稿の規模を得やすいかを取得する。さらに、予測部115は、当該通常投稿について寄与度の高いアカウントを含む投稿群を選定すればよい。
【0051】
予測部115は、例えば、拡散傾向の情報と、寄与度の情報と、類似度の情報をもとに、通常投稿をあるアカウントから投稿した場合の拡散投稿が多くなる方法を予測する。予測部115は、拡散投稿が多くなる方法を予測したいキーワードの情報を、ユーザの入力操作を受け付けることにより取得する。予測部115は、類似判定部114が判定した、当該キーワードと類似度の高いキーワードの情報を取得する。予測部115は、分析部112の分析の結果から、当該類似度の高いキーワードを含む通常投稿についての拡散傾向が、小規模拡散投稿群と、大規模拡散投稿群のいずれが拡散投稿の規模を得やすいかを取得する。さらに、予測部115は、通常投稿と拡散投稿について寄与度の高いアカウントを含む投稿群を選定すればよい。
【0052】
提示部116は、予測部115が予測した、通常投稿をあるアカウントから投稿した場合の拡散投稿が多くなる方法をユーザ端末3に提示する。
【0053】
図10は、本実施形態の評価装置の処理の例を説明する図である。
【0054】
サーバ装置1は、投稿情報を取得する(1001)。サーバ装置1は、投稿情報を分析する(1002)。サーバ装置1は、拡散投稿に対するアカウントの寄与度を評価する(1003)。サーバ装置1は、キーワードまたはアカウントの類似度を判定する(1004)。サーバ装置1は、通常投稿から拡散投稿を多く得る方法を予測する(1005)。サーバ装置1は、予測した方法をユーザ端末3に提示する(1006)。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本開示1の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部が通信ネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、サーバ装置1のCPUおよび記憶装置は、互いに通信ネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。
【0057】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、およびソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係るサーバ装置1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えば通信ネットワークを介して配信されてもよい。
【0058】
また、本明細書において説明した処理は、必ずしも説明した順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0059】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0060】
1 サーバ装置
2 通信ネットワーク
3 ユーザ端末
101 CPU
102 メモリ
103 記憶装置
104 通信インタフェース
105 入力装置
106 出力装置
111 投稿情報取得部
112 分析部
113 寄与度評価部
114 類似判定部
115 予測部
116 提示部
131 投稿情報記憶部
132 類似情報記憶部
133 実績情報記憶部

【要約】
【課題】情報の拡散の規模を分析すること
【解決手段】所定のキーワードを含む通常投稿と、前記通常投稿のそれぞれを拡散する拡散投稿と、の情報を含む投稿情報を取得し、前記通常投稿に係る前記拡散投稿を紐づけて投稿群として記憶する投稿情報取得部と、前記投稿群は、前記拡散投稿の数が所定の数より少ない小規模拡散投稿群と、前記拡散投稿の数が所定の数より多い大規模拡散投稿群を含み、前記小規模拡散投稿群と前記大規模拡散投稿群のそれぞれに含まれる前記通常投稿の前記拡散投稿の数の情報をもとに、前記通常投稿の拡散傾向を分析する分析部と、を備える、分析装置。
【選択図】図1


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10