(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】ブリスタ包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/34 20060101AFI20250210BHJP
B65D 83/04 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
B65D75/34
B65D83/04 D
(21)【出願番号】P 2024027955
(22)【出願日】2024-02-27
【審査請求日】2024-04-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524075892
【氏名又は名称】内田 隆徳
(74)【代理人】
【識別番号】100136928
【氏名又は名称】高宮 章
(72)【発明者】
【氏名】内田 隆徳
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-078272(JP,U)
【文献】特開平09-085696(JP,A)
【文献】特開2005-225557(JP,A)
【文献】特開2005-066299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/34-75/62
B65D 83/04
A61J 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を収容する凹状の収容部が縦横に複数配列して形成された本体シートと、該本体シートの収容部の開口を閉鎖するように該本体シートに取付される蓋シートと、を備えるブリスタ包装体であって、
該本体シートは、複数の収容部を所定の単位に切り離し可能とする縦分割線状部と該縦分割線状部に交差する横分割線状部とが形成されており、
縦分割線状部は、該本体シートを切断可能なようにいずれか一方の端部側から所定の長さで形成された第1切断線部と、該第1切断線
部と同一線上に沿って他方の端部側から長く設けられた細幅の開口を含む細隙部と、を有し、
横分割線状部は、該本体シートを切断可能に形成されるとともに端部を細隙部に臨ませた第2切断線部を有し、
縦分割線状部の細隙部は、該本体シートの横方向に並ぶ収容部の位置に対応して、それらの収容部どうしの間を分断するように長く設けられていることを特徴とするブリスタ包装体。
【請求項2】
縦分割線状部の第1切断線部は、縦方向のいずれかの端部側に配置された収容部に対応した位置に設定されたことを特徴とする請求項1記載のブリスタ包装体。
【請求項3】
細隙部と第1切断線部は、横方向に向けて互い違いに設けられたことを特徴とする請求項2記載のブリスタ包装体。
【請求項4】
第1切断線部又は第2切断線部は、該切断線
部の端部側が次第に厚みが薄くなるように形成されたことを特徴とする請求項1記載のブリスタ包装体。
【請求項5】
第2切断線部は、細隙部の長手方向に対して傾斜した方向に設けられたことを特徴とする請求項1記載のブリスタ包装体。
【請求項6】
縦分割線状部は、細隙部の端部側又は中間位置で該細隙部両側の本体シート部位を切断可能なように局所的に連結する易破断部が設けられたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のブリスタ包装体。
【請求項7】
第1切断線部又は第2切断線部は、1個または複数の間隙が設けられたことを特徴とする請求項1記載のブリスタ包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、薬品、食品、化粧品等の包装に利用できるブリスタ包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤やカプセル剤等の包装では、簡便に錠剤等を取り出せるとともに防湿性も高く、携帯性や輸送性及び管理等にも便利で製造コストも比較的安価であることから、PTP(プレススルーパック)包装シートが多く利用されている。PTPは、いわゆるブリスタ包装体(ブリスタパック)の一つであり、錠剤等を収容する複数の収容凹部が形成された合成樹脂製の本体シートに、該収容凹部の開口を閉鎖するようアルミニウム箔等のシートを貼り合わせて設けられている。
【0003】
ブリスタ包装体は、薬品に限らず、菓子等の食品、化粧品、雑貨、電池、日用品等の包装にも広く使用されている。従来のブリスタ包装体は、本体シートのそれぞれの収容凹部どうしの間にスリット状の溝やミシン目からなる切取線が形成されており、所定の包装単位ごとに切り離すことができるものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
図20、
図21は、本体シート101に錠剤等を収容する収容凹部102が2列5行形成された従来のブリスタ包装体100の例を示している。
図20の従来例では、ブリスタ包装体100には、収容凹部を1個ずつ切り離しできるように、それぞれの収容凹部102どうしの間に縦切取線104及び横切取線105が形成されている。この縦横の切取線によって、例えば、必要な個数分(例えば、1個、2個、3個・・・)を切り離して、錠剤を取り出して服用したり、携帯したりすることができるものである。一方、
図20の従来例のような収容凹部を1個ずつ切り離すことができる態様では、切り離したブリスタ包装体のシートごと口に入れて飲んでしまうといった誤飲のおそれがあり、過去にも誤飲事故も発生している。これに対して、近年では、
図21に示すように、横に並ぶ2個の収容凹部102を最小の単位として切り離すことができるように横切取線105のみが形成されたものが普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図20、
図21に示すような従来のブリスタ包装体では、例えば、薬剤師が錠剤等を調剤する際に、必要に応じて該ブリスタ包装体から、必要個数の収容凹部の単位にシートを分割するように所望の位置で切り離して、処方された分を患者に渡すことも多い。また、患者が外出する際に、必要な個数分の錠剤等のみを携帯するために、患者自身によって、必要個数の収容凹部の単位にシートを切り離すことも多い。従来のブリスタ包装体の構造では、例えば、行方向に並ぶ収容凹部を同時に切り離す際、すなわち、例えば、2列×5行のシート態様で2個、4個・・・等の偶数個の収容凹部の単位で切り離す場合には、直線状の横切取線に沿って簡単に切り離すことができる。しかしながら、例えば、ブリスタ包装体が、2列×5行のシート態様で1個、3個、5個等の奇数個の単位で切り離す場合など、横切取線に沿って途中まで切り離す作業と縦切取線に沿って切り離す作業とを行う必要がある場合には、余分に切取線を切り離してしまわないように非常に慎重な作業となり、煩雑で時間がかかり、不便さを感じる等の問題があった。特に、
図21に示すようなブリスタ包装体では、横切取線のみしか形成されていないことから、奇数個に切り離す際には鋏等の道具を必要とするが、鋏等での切断作業も煩雑で時間がかかっていた。さらに、正確な切り離し作業を行いにくく、不意に余分な切取線を切り離してしまったり、収容凹部やその閉鎖部分を破いてしまうおそれもあり、錠剤を紛失したり、錠剤等の数量を間違ってしまったりする問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、複数の収容部を有するブリスタ包装体であって、極めて簡単な手による一動作で、素早くかつ正確に任意の個数の収容部に切り離しすることができる実用性が高いブリスタ包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、被包装物を収容する凹状の収容部が縦横に複数配列して形成された本体シートと、該本体シートの収容部の開口を閉鎖するように該本体シートに取付される蓋シートと、を備えるブリスタ包装体であって、該本体シートは、複数の収容部を所定の単位に切り離し可能とする縦分割線状部と該縦分割線状部に交差する横分割線状部とが形成されており、縦分割線状部は、該本体シートを切断可能なようにいずれか一方の端部側から所定の長さで形成された第1切断線部と、該第1切断線部と同一線上に沿って他方の端部側から長く設けられた細幅の開口を含む細隙部と、を有し、横分割線状部は、該本体シートを切断可能に形成されるとともに端部を細隙部に臨ませた第2切断線部を有するブリスタ包装体から構成される。
【0008】
縦分割線状部の第1切断線部は、縦方向のいずれかの端部側に配置された収容部に対応した位置に設定されたこととしてもよい。
【0009】
細隙部と第1切断線部は、横方向に向けて互い違いに設けられたこととしてもよい。
【0010】
第1切断線部又は第2切断線部は、該切断線部の端部側が次第に厚みが薄くなるように形成されたこととしてもよい。
【0011】
第2切断線部は、細隙部の長手方向に対して傾斜した方向に設けられたこととしてもよい。
【0012】
縦分割線状部は、細隙部の端部側又は中間位置で該細隙部両側の本体シート部位を切断可能なように局所的に連結する易破断部が設けられたこととしてもよい。
【0013】
第1切断線部又は第2切断線部は、1個または複数の間隙が設けられたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のブリスタ包装体によれば、被包装物を収容する凹状の収容部が縦横に複数配列して形成された本体シートと、該本体シートの収容部の開口を閉鎖するように該本体シートに取付される蓋シートと、を備えるブリスタ包装体であって、該本体シートは、複数の収容部を所定の単位に切り離し可能とする縦分割線状部と該縦分割線状部に交差する横分割線状部とが形成されており、縦分割線状部は、該本体シートを切断可能なようにいずれか一方の端部側から所定の長さで形成された第1切断線部と、該第1切断線部と同一線上に沿って他方の端部側から長く設けられた細幅の開口を含む細隙部と、を有し、横分割線状部は、該本体シートを切断可能に形成されるとともに端部を細隙部に臨ませた第2切断線部を有する構成であるから、任意の個数の収容部の単位で切り離す際に、いずれの個数であっても、細幅部を利用しつつ第1切断線部又は第2切断線部のいずれか1つの切断線部のみの切断操作で切断することができる結果、極めて簡単な手操作による一動作だけで、素早くかつ確実に所望の個数単位で切り離すことができ、切り離し操作性及び実用性が高いブリスタ包装体を提供することができる。
【0015】
縦分割線状部の第1切断線部は、縦方向のいずれかの端部側に配置された収容部に対応した位置に設定された構成とすることにより、細隙部が設けられた構造であっても切り離し操作性を損なうことなく、該細隙部両側のシート部分を比較的安定して連結させ、本体シート全体の強度を保持しうる。
【0016】
細隙部と第1切断線部は、横方向に向けて互い違いに設けられた構成とすることにより、収容部を任意の個数単位で確実に切り離すことができ、実用性をより向上しうる。
【0017】
第1切断線部又は第2切断線部は、該切断線部の端部側が次第に厚みが薄くなるように形成された構成とすることにより、当該切断線部の切断操作をよりスムーズに行うことができるとともに、切断後のバリも発生しにくく比較的きれいに切断することができる。
【0018】
第2切断線部は、細隙部の長手方向に対して傾斜した方向に設けられた構成とすることにより、第2切断線部の切断操作を行いやすいとともに、使用者が視覚的にも切断方向を把握しやすく、操作性をより向上しうる。
【0019】
縦分割線状部は、細隙部の端部側又は中間位置で該細隙部両側の本体シート部位を切断可能なように局所的に連結する易破断部が設けられた構成とすることにより、細隙部が設けられた構造であっても操作性をほとんど損なうことなく、該細隙部両側のシート部分を比較的安定的に連結させて、本体シートの強度を保持することができる。その結果、例えば、複数のブリスタ包装体を扱ったり、搬送したりする際や保管管理等する際に細隙部どうしが挟まってしまって扱いにくくなったり、または所望の個数での切り離し作業中に、不意に目的の切断部分以外の部分で切り離されてしまったりするのを良好に防止できる。
【0020】
第1切断線部又は第2切断線部は、1個または複数の間隙が設けられた構成とすることにより、当該切断線部の切断操作をよりスムーズに行うことができるとともに、比較的きれいに切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るブリスタ包装体の正面図である。
【
図2】
図1のブリスタ包装体の(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図3】
図1のブリスタ包装体のA-A線断面の一部拡大説明図である。
【
図4】
図1のブリスタ包装体のB-B線断面の一部拡大説明図である。
【
図6】
図4のブリスタ包装体の切断線部の他の実態を示す断面拡大図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図10】本発明の第5の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図11】本発明の第6の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図12】本発明の第7の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図13】本発明の第8の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図14】本発明の第9の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図15】本発明の第10の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図16】本発明の第11の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図17】本発明の第12の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図18】本発明の第13の実施形態に係るブリスタ包装体の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
【
図19】本発明の第14の実施形態に係るブリスタ包装体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下添付図面を参照しつつ本発明のブリスタ包装体の実施形態について説明する。本発明に係るブリスタ包装体は、例えば、タブレット状、カプセル状、その他任意の固形状、粉粒状、液状、ゼリー状等形態の薬剤、化粧品、食品、雑貨、日用品等の包装に使用されるシート状の包装用容器である。
【0023】
図1ないし
図5は、本発明のブリスタ包装体の第1の実施形態を示している。
図1、
図2、
図3に示すように、本実施形態に係るブリスタ包装体10は、複数の収容部12が形成された本体シート14と、該本体シート14に取付される蓋シート16と、を備える。さらに、本体シート14には、複数の収容部12を所定の単位に切り離し可能とする縦分割線状部18と、該縦分割線状部に交差する横分割線状部20と、が形成されている。
【0024】
本実施形態では、ブリスタ包装体10は、例えば、被包装物が円形状で所定の厚みの錠剤であり、蓋シート16がアルミニウム箔で形成され、収容部12を外部側から指で押すことにより、蓋シート16の当該部分が破れて錠剤を取り出すことができるPTP(Press Through Pack)包装シートに適用した例で説明する。
【0025】
本体シート14は、被包装物を収容する凹状の収容部12が縦横に複数配列して形成された包装シート本体である。本実施形態では、本体シート14は、例えば、ポリ塩化ビニールやポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を単層又は複層で形成され、外形輪郭形状が略隅丸長方形状の薄いシート材からなる。
図1、
図2、
図3に示すように、本体シート14は、合成樹脂製のシートの所定位置に被包装物である錠剤を収容するように略円筒状又は円錐台形状に凹設させて収容部12が一体的に形成されている。本実施形態では、例えば、1つの本体シート14に収容部12が縦方向に2個×横方向に5個配列して計10個形成されている。なお、本実施形態では、本体シート14の長手方向を横方向W、該横方向に直交する方向を縦方向Hとしている。
【0026】
蓋シート16は、本体シート14の収容部12の開口を閉鎖するように該本体シート14に取付される閉鎖シート材又は台紙である。本実施形態では、蓋シート16は、例えば、アルミニウム箔で形成されており、本体シート14と同じ外形輪郭形状で、該本体シート14に接着されて、収容部12を封止する。
【0027】
縦分割線状部18と横分割線状部20とは、所定の個数の収容部12を単位として本体シート14を分割するためのシート分割手段である。本実施形態では、
図1、
図2、
図3に示すように、縦分割線状部18は、縦方向Hに沿って直線状に形成されており、横方向Wに並ぶ収容部12どうしの中間位置に対応して、互いに所定の間隔をあけて4つ形成されている。各縦分割線状部18は、第1切断線部22と、該第1切断線部22と同一線上に形成される細隙部24と、を有している。
【0028】
第1切断線部22は、本体シート14を他の部分に比べて薄肉で形成することにより容易に切断可能なように形成されている。第1切断線部22は、例えば、縦方向に並ぶ2つの収容部12のうち、いずれか一方の端部側の収容部12の位置に対応して端部側から所定の長さで形成されている。さらに、第1切断線部22は、横方向Wに向けて上部側の収容部12と下部側の収容部12とに交互に対応して形成されている。なお、第1切断線部22は、前記した形態に限らず、例えば、長手方向に沿って切り込みを形成したり、ミシン目等で形成したりしてもよい。また、第1切断線部22は、後述の第2切断線部28のように、その長手方向に沿うように縦断面した形状では、両端が略三角形状又はテーパ状に先鋭形状に形成してもよい。すなわち、第1切断線部22は、
図4同様に、該第1切断線部22の両端部側では、該第1切断線部22の厚みが次第に薄くなるように形成されていてもよい。
【0029】
図1に示すように、細隙部24は、縦方向に長く設けられたスリット状の細幅の開口を含む。細隙部24は、第1切断線部22とは他方の端部側の収容部12に対応した長さで設けられている。細隙部24は、第1切断線部22が形成された端部とは他方の端部側から該第1切断線部22の端部側に向けて長く設けられている。よって、細隙部24は、第1切断線部22とは逆位置となるように横方向Wに向けて下部側の収容部12と上部側の収容部12とに交互に対応して形成されている。すなわち、細隙部24と第1切断線部22は、横方向Wに向けて互い違いに交互に設けられている。
【0030】
本体シート14の細隙部24の外端部側には、該細隙部24の横方向両側のシート部位を局所的に連結しつつ、他の部位に比較して容易に切断できるように形成された易破断部26が設けられている。易破断部26は、例えば、細隙部24の間隙幅を次第に狭めながら最終的に間隙両側を接続するように形成されている。
【0031】
さらに、縦分割線状部18では、第1切断線部22の両端部側で本体シート14はアール状に切り欠きされている。細隙部24の第1切断線部22側の端部についても、本体シート14はアール状に切り欠きされている。また、易破断部26の外部側の本体シート14はアール状に切り欠きされている。これにより、縦分割線状部18の位置を把握しやすく、かつ切り離し操作を行いやすい。同時に、切り離した後も、アール状に面取りされているので、使用者もケガ等しにくく、安全に使用や携帯等することができる。
【0032】
横分割線状部20は、本体シート14を切断可能に横方向に長く形成された第2切断線部28を有する。第2切断線部28は、縦分割線状部18に交差して形成され、かつその切断線部の端部を細隙部24の端部に臨ませて形成されている。本実施形態では、第2切断線部28は、横方向Wに並ぶ5個の収容部12のそれぞれの位置に対応した所定の長さで形成され、細隙部24を間に挟みながら5つが横方向に並設されている。第2切断線部28は、本体シート14を他の部分に比べて薄肉で形成することにより容易に切断可能なように形成されている。さらに、
図4に示すように、第2切断線部28は、第2切断線部28の両端部28a側に向けて次第に厚みが薄くなるように形成されている。すなわち、第2切断線部28は、その長手方向に沿うように縦断面した形状では、両端部28aが略三角形状又はテーパ状に先鋭形状に形成されている。これにより、第2切断線部28の端部側(28a)からスムーズに切り離し操作しやすく、かつ切断後も比較的きれいに形成される。なお、第2切断線部28は、前記した形態に限らず、例えば、長手方向に沿って切り込みを形成したり、ミシン目等で形成したりしてもよい。また、第2切断線部28(第1切断線部22)は、例えば、
図6に示すような形状としてもよい。例えば、
図6(a)に示すように、第2切断線部28は、長手方向に沿ってすべて同じ厚みとしてもよい。また、例えば、
図6(b)に示すように、第2切断線部28は、長手方向の中間位置に1個(又は複数個)の間隙30を設けることとしてもよい。また、例えば、
図6(c)に示すように、第2切断線部28は、中間位置に1個(又は複数個)の間隙30を設けるとともに、両端部28a側で、次第に厚みを薄くして、三角形状又はテーパ状に形成することとしてもよい。第1切断線部22も第2切断線部28同様に、
図6のような形状で形成してもよい。
【0033】
本実施形態では、第2切断線部28は、細隙部24の長手方向に対して鈍角状の角度θで傾斜するように形成されている。よって、横方向に隣り合う収容部12に対応する隣接する第2切断線部28は、山谷状に上り傾斜と下り傾斜を交互に繰り返すように、細隙部24に対して線対称状に配列されている。さらに、第2切断線部28の両端部側では、本体シート14はアール状に切り欠きされている。よって、横分割線状部20の位置を把握しやすく、かつ切り離し操作を行いやすい。同時に、切り離した後も、アール状に面取りされているので、使用者もケガ等しにくく、安全に使用、携帯等することができる。
【0034】
本実施形態に係るブリスタ包装体10を所定の個数の収容部12の単位に切り離す場合について説明する。例えば、1個(又は9個)の収容部12を切り離す場合には、
図5上の<0>-<1>線上となる1つの細隙部24と1つの第2切断線部28を利用して、ちぎり離すような操作で、
図5の下図のように、1個の収容部12のみを単位として簡単に切り離すことができる。なお、第2切断線部28を折り曲げ伸ばしするような切断操作でも簡単に切り離すことができる。同様に、2個(又は8個)の収容部12を単位として切り離す場合には、
図5上の<0>-<2>線上の直線状に形成された1つの細隙部24と1つの第1切断線部22を利用して簡単に切り離すことができる。また、3個(又は7個)の収容部12を単位として切り離す際には、
図5上の<0>-<3>-<5>線上の2つの細隙部24と、それらの細隙部24に両端を臨ませた1つの第2切断線部28を利用して簡単に切り離すことができる。また、4個(又は6個)の収容部を単位として切り離す際には、
図5上の<4>-<5>線上の直線状に形成された1つの細隙部24と1つの第1切断線部22を利用してちぎり離すような操作で、簡単に切り離すことができる。また、5個の収容部12を単位として切り離す際には、
図5上の<5>-<6>-<7>線上の2つの細隙部24と、それらの細隙部24に両端を臨ませた1つの第2切断線部28を利用して簡単に切り離すことができる。
【0035】
このようにいずれの個数の収容部12の単位で切り離す場合でも、1つまたは2つの細隙部24を利用しつつ、第1切断線部22又は第2切断線部28のいずれか1つの切断線部のみを切り離すだけでよい。縦分割線状部18は細隙部24部分で分断された構造であることにより、第1切断線部22又は第2切断線部28の切断操作を行う際に簡単かつ正確に行うことができる。その結果、手操作の一動作で、簡単にかつ素早く正確に所定の個数の収容部12を単位として切り離すことができる。以上のように、本実施形態のブリスタ包装体10は、上記した
図20に示すような従来のブリスタ包装体100のように単に縦横に交差する切断線を形成した構造に比べて、切断操作性を格段に向上し実用性が高いブリスタ包装体を提供することができる。
【0036】
次に、
図7ないし
図19を参照しつつ本発明のブリスタ包装体の第2~第14の実施形態について説明する。各実施形態において、上記実施形態と同一部材には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。第2~第14のいずれの実施形態も基本的には第1の実施形態と同様に、複数の収容部12が配列形成された本体シート14と、蓋シート16と、を備え、本体シート14には縦分割線状部18と横分割線状部20が形成された構成である。さらに、縦分割線状部18は第1切断線部22と細隙部24を有し、横分割線状部20は端部を細隙部24に臨ませた第2切断線部28を有する点も同様である。よって、各実施形態も一動作で簡単かつスピーディに所定の個数の収容部の単位に切り離すことができる等の上記実施形態と同様の作用効果を奏しうる。
【0037】
第2の実施形態に係るブリスタ包装体10-2は、
図7に示すように、前記第1の実施形態と略同様の構成であるが、第2切断線部28の形態が若干異なっている。本実施形態では、第2切断線部28は、各収容部12に対応する長さで形成されるが、その第2切断線部28の長手方向を中間位置で分割するようにその中間位置に小さな長丸状又はドット状の間隙30が設けられている。よって、第2切断線部28の縦断面形状は、
図6(c)のような形状となっている。本実施形態も一動作で簡単かつスピーディに所定の個数の収容部の単位に切り離すことができる等の上記実施形態と同様の作用効果を奏しうる。
【0038】
第3の実施形態に係るブリスタ包装体10-3は、
図8に示すように、前記第1の実施形態と略同様の構成であるが、第2切断線部28の形態が若干異なっている。本実施形態では、第2切断線部28が、細隙部24の長手方向に対して垂直方向に設定されている。
【0039】
第4の実施形態に係るブリスタ包装体10-4は、
図9に示すように、前記第1の実施形態と略同様の構成であるが、縦分割線状部18の形態が若干異なっている。本実施形態では、易破断部26が、細隙部24の長手方向中間位置に形成されており、細幅の開口が外端側に連通した第1細幅開口32と、第1切断線部22及び第2切断線部28に接続される第2細幅開口33との2つに分かれて形成されている。
【0040】
第5の実施形態に係るブリスタ包装体10-5は、
図10に示すように、前記第4の実施形態と略同様の構成であるが、第2切断線部28の形態が若干異なっている。本実施形態では、第2切断線部28が、細隙部24の長手方向に対して垂直方向に設定されている。
【0041】
第6の実施形態に係るブリスタ包装体10-6は、
図11に示すように、前記第1の実施形態と略同様の構成であるが、縦分割線状部18の形態が若干異なっている。本実施形態では、前記実施形態のような易破断部26が設けられておらず、細隙部24が第1切断線部22の端部から外端部側まで連続した細幅の開口で形成されている。
【0042】
第7の実施形態に係るブリスタ包装体10-7は、
図12に示すように、前記第6の実施形態と略同様の構成であるが、第2切断線部28の形態が若干異なっている。本実施形態では、第2切断線部28が、細隙部24の長手方向に対して垂直方向に設定されている。
【0043】
第8の実施形態に係るブリスタ包装体10-8は、
図13に示すように、前記第1の実施形態と略同様の構成であるが、本体シート14の形態が異なっている。本実施形態では、本体シート14の収容部12は、正面視で一方に長い長丸形状に形成されている。さらに、本体シート14は、収容部12の長丸形状に対応して、上記実施形態よりも縦方向に長い略隅丸長方形状に形成されている。本実施形態では、例えば、被包装物が紡錘形の錠剤やカプセル剤等の場合に利用され得る。
【0044】
第9の実施形態に係るブリスタ包装体10-9は、
図14に示すように、前記第8の実施形態と略同様の構成であるが、第2切断線部28の形態が若干異なっている。本実施形態では、第2切断線部28が、細隙部24の長手方向に対して垂直方向に設定されている。
【0045】
第10の実施形態に係るブリスタ包装体10-10は、
図15に示すように、前記第8の実施形態と略同様の構成であるが、縦分割線状部18の形態が若干異なっている。本実施形態では、易破断部26が、細隙部24の長手方向中間位置に形成されており、細幅の開口が外端側に連通した第1細幅開口32と、第1切断線部22及び第2切断線部28に接続される第2細幅開口33との2つに分かれて形成されている。
【0046】
第11の実施形態に係るブリスタ包装体10-11は、
図16に示すように、前記第9の実施形態と略同様の構成であるが、第2切断線部28の形態が若干異なっている。本実施形態では、第2切断線部28が、細隙部24の長手方向に対して垂直方向に設定されている。
【0047】
第12の実施形態に係るブリスタ包装体10-12は、
図17に示すように、前記第8の実施形態と略同様の構成であるが、縦分割線状部18の形態が若干異なっている。本実施形態では、易破断部26が設けられておらず、細隙部24が第1切断線部22の端部から外端部側まで連続した細幅の開口で形成されている。
【0048】
第13の実施形態に係るブリスタ包装体10-13は、
図18に示すように、前記第12の実施形態と略同様の構成であるが、第2切断線部28の形態が若干異なっている。本実施形態では、第2切断線部28が、細隙部24の長手方向に対して垂直方向に設定されている。
【0049】
第14の実施形態に係るブリスタ包装体10-14は、
図19に示すように、前記第1の実施形態と略同様の構成であるが、本体シート14、縦分割線状部18、横分割線状部20の形態が異なっている。本実施形態では、本体シート14の収容部12が、横に5個×縦に3個の合計15個形成された構成となっている。さらに、本体シート14は、前記第1実施形態よりも縦方向に長い略隅丸長方形状に形成されている。
【0050】
縦分割線状部18は、縦方向に3つ並ぶ収容部12の上端部側又は下部側の1つの収容部12に対応した位置に第1切断線部22が形成されている。よって、細隙部24は、縦方向に並ぶ3つの収容部12のうち残り2つの収容部12に対応して第1切断線部22よりも長い長さで形成されている。細隙部24は、第1切断線部22の終端部側から本体シート14の他方の端部側(上端又は下端)まで連通して形成される。横分割線状部20は、縦方向に並ぶ3つの収容部12の間にそれぞれ形成された第2切断線部28を含む。第2切断線部28は、細隙部24の長手方向に対して垂直方向に設定されている。
【0051】
なお、この実施形態でも細隙部24の外端部側又は中間位置に易破断部26を設けることとしてもよい。また、第2切断線部28は、細隙部24の長手方向に対して傾斜して形成されることとしてもよい。また、収容部12は、横にM個×縦にN個のM列×N行の個数(M,Nは正の整数)を配列形成することとしてもよい。収容部12の配列に対応して、縦分割線状部18と横分割線状部20が設定される。
【0052】
以上説明した本発明のブリスタ包装体は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のブリスタ包装体は、例えば、錠剤やカプセル剤等を包装するのに好適に利用できる。さらに、ブリスタ包装体は、例えば、食品、化粧品、日用品等、広い分野で好適に利用できる。
【符号の説明】
【0054】
10 ブリスタ包装体
12 収容部
14 本体シート
16 蓋シート
18 縦分割線状部
20 横分割線状部
22 第1切断線部
24 細隙部
26 易破断部
28 第2切断線部
30 間隙
【要約】
【課題】極めて簡単な一動作で、素早くかつ正確に任意の個数の収容部に切り離しすることができるブリスタ包装体を提供する。
【解決手段】被包装物の収容部12が縦横に複数配列して形成された本体シート14と、該本体シート14の収容部12の開口を閉鎖するように該本体シート14に取付される蓋シート16と、を備えるブリスタ包装体であって、該本体シート14は、複数の収容部12を所定の単位に切り離し可能とする縦分割線状部18と横分割線状部20とが形成されており、縦分割線状部18は、該本体シート14を切断可能なようにいずれか一方の端部側から所定の長さで形成された第1切断線部22と、該第1切断線22と同一線上に沿って他方の端部側から長く設けられた細幅の開口を含む細隙部24と、を有し、横分割線状部20は、該本体シート14を切断可能に形成されるとともに端部を細隙部24に臨ませた第2切断線部28を有する。
【選択図】
図1