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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】積層体の製造方法、及び接着剤塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20250212BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20250212BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250212BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B05D3/00 F
B05D7/24 301P
B05D7/24 301U
B05D7/24 302T
B32B27/00 D
B32B27/40
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021110340
(22)【出願日】2021-07-01
(65)【公開番号】P2023007230
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】396009595
【氏名又は名称】東洋モートン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前田 諭志
(72)【発明者】
【氏名】染田 忠
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 紀人
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-146912(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110780(WO,A1)
【文献】特開2020-105687(JP,A)
【文献】特開2019-98285(JP,A)
【文献】特開2020-196788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B32B 1/00-43/00
B41J 2/01-2/215
B41M 5/00-5/52
B05C 1/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材1、無地部と印刷部とからなる印刷層、ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤とを含む反応性接着剤から形成された接着剤層、及び基材2をこの順に有する積層体の製造方法であって、
少なくとも基材1、及び、無地部と印刷部とからなる印刷層を有する印刷物の印刷層上に、前記無地部上における前記反応性接着剤の塗布量をCW1(g/m:固形分換算)、前記印刷部上の前記反応性接着剤の塗布量をCW2(g/m:固形分換算)とした場合に、0.5(g/m:固形分換算)<CW1<CW2を満たすように前記反応性接着剤を塗布する工程1と、
前記反応性接着剤が塗布された面に、前記基材2をラミネートする工程2と、
を有する、積層体の製造方法。
【請求項2】
インクジェット塗布方式、及び噴霧塗布方式からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む塗布方法により、前記反応性接着剤の塗布を行う、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記工程1が、前記印刷層の全面に前記反応性接着剤を塗布する工程a1と、前記印刷層の印刷部に前記反応性接着剤を塗布する工程a2と、を含む、請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記工程a1が、グラビア塗布方式、又は噴霧塗布方式により行われ、前記工程a2が、インクジェット塗布方式により行われる、請求項3に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
前記工程1が、前記印刷層の無地部と印刷部とに、インクジェット塗布方式を用いて前記反応性接着剤を塗布する工程b1を含む、請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
少なくとも基材1、及び、無地部と印刷部とからなる印刷層を有する印刷物の印刷層上に、ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤とを含む反応性接着剤を塗布する接着剤塗布方法であって、
前記無地部上における前記反応性接着剤の塗布量をCW1(g/m:固形分換算)、前記印刷部上の前記反応性接着剤の塗布量をCW2(g/m:固形分換算)とした場合に、0.5(g/m:固形分換算)<CW1<CW2を満たすように前記反応性接着剤を塗布する工程を有する、接着剤塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、医薬品、化粧品、洗剤、雑貨等の包装材に好適に用いられる積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、衣料品、化粧品、雑貨等の包装材としては、各種プラスチックフィルムを多層ラミネートして複合化した積層体が広く用いられている。このような積層体は一般的に、プラスチックフィルム上に印刷層を形成して印刷フィルムを作製した後、得られた印刷フィルムと別のプラスチックフィルムとを接着剤を用いてラミネートすることで製造される。
上記印刷層は、印刷インキをグラビア印刷、フレキソ印刷のほか、インクジェット印刷等のオンデマンド印刷などの方式により形成される印刷部と無地部とからなる。また、ラミネート接着剤は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とからなる2液反応性接着剤が主流であり、ウレタン接着剤層を形成する。ラミネートの方法としては、グラビアコーターやロールコーターによって、印刷層全面に均一な塗布量で接着剤を塗布した後、貼り合わせ側の基材フィルムを熱圧着で貼り合わせるのが一般的である。したがって、接着剤の塗布量は、無地部と印刷部とで同量であり、接着剤が浸透しない無地部には、接着性が発現するために必要な塗布量を超える量が塗布されている。そのため、経済性及び環境負荷の観点から改善が望まれている。
【0003】
上記状況において、例えば、特許文献1には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを別々に印刷層上にインクジェット塗布することで、高い反応性を有するがポットライフの短い2液硬化型無溶剤接着剤を利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-098285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、印刷層のデザインに因らず、接着剤を塗布するものであり、接着剤の浸透等のない無地部に対しても、印刷部と同様に接着剤が塗布される。そして一般的に、無溶剤型接着剤は、塗布適性を付与するために低粘度に設計されているため、特に無地部において、ゆず肌等の外観不良が発生しやすいという課題がある。
したがって本発明の目的は、経済性、環境負荷低減に優れ、且つ、ゆず肌等の外観不良の無い積層体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の実施態様は、少なくとも基材1、無地部と印刷部とからなる印刷層、ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤とを含む反応性接着剤から形成された接着剤層、及び基材2をこの順に有する積層体の製造方法であって、少なくとも基材1、及び、無地部と印刷部とからなる印刷層を有する印刷物の印刷層上に、前記無地部上における前記反応性接着剤の塗布量をCW1(g/m:固形分換算)、前記印刷部上の前記反応性接着剤の塗布量をCW2(g/m:固形分換算)とした場合に、0.5(g/m:固形分換算)<CW1<CW2を満たすように前記反応性接着剤を塗布する工程1と、前記反応性接着剤が塗布された面に、前記基材2をラミネートする工程2と、を有する、積層体の製造方法に関する。
【0008】
本発明の他の実施態様は、インクジェット塗布方式、及び噴霧塗布方式からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む塗布方法により、前記反応性接着剤の塗布を行う、上記積層体の製造方法に関する。
【0009】
本発明の他の実施態様は、前記工程1が、前記印刷層の全面に前記反応性接着剤を塗布する工程a1と、前記印刷層の印刷部に前記反応性接着剤を塗布する工程a2と、を含む、上記積層体の製造方法に関する。
【0010】
本発明の他の実施態様は、前記工程a1が、グラビア塗布方式、又は噴霧塗布方式により行われ、前記工程a2が、インクジェット塗布方式により行われる、上記積層体の製造方法に関する。
【0011】
本発明の他の実施態様は、前記工程1が、前記印刷層の無地部と印刷部とに、インクジェット塗布方式を用いて前記反応性接着剤を塗布する工程b1を含む、上記積層体の製造方法に関する。
【0012】
本発明の他の実施態様は、少なくとも基材1、及び、無地部と印刷部とからなる印刷層を有する印刷物の印刷層上に、ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤とを含む反応性接着剤を塗布する接着剤塗布方法であって、前記無地部上における前記反応性接着剤の塗布量をCW1(g/m:固形分換算)、前記印刷部上の前記反応性接着剤の塗布量をCW2(g/m:固形分換算)とした場合に、0.5(g/m:固形分換算)<CW1<CW2を満たすように前記反応性接着剤を塗布する工程を有する、接着剤塗布方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、経済性、環境負荷低減に優れ、且つ、ゆず肌等の外観不良の無い積層体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<積層体の製造方法>
本発明は、少なくとも基材1、無地部と印刷部とからなる印刷層、ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤とを含む反応性接着剤から形成された接着剤層、及び基材2をこの順に有する積層体の製造方法であって、少なくとも基材1、及び、無地部と印刷部とからなる印刷層を有する印刷物の印刷層上に、前記無地部上における前記反応性接着剤の塗布量をCW1(g/m:固形分換算)、前記印刷部上の前記反応性接着剤の塗布量をCW2(g/m:固形分換算)とした場合に、0.5(g/m:固形分換算)<CW1<CW2を満たすように前記反応性接着剤を塗布する工程1と、前記反応性接着剤が塗布された面に、前記基材2をラミネートする工程2と、を有することを特徴とする。
無地部及び印刷部の塗布量が上記を満たすことで、無地部に過剰な接着剤を塗布することなく、経済性、環境負荷低減に優れ、且つ、ゆず肌等の外観不良の無い積層体を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0015】
<工程1>
工程1において、反応性接着剤を塗布する方法は特に限定されず、公知の塗布方式から適宜選択できる。このような塗布方式としては、例えば、グラビア塗布方式、フレキソ塗布方式、ロールコーター塗布方式、インクジェット塗布方式、噴霧塗布方式が挙げられる。塗布方式は、1つの方式を単独で用いてもよく、2つ以上の方式を組み合わせてもよい。
本発明においては、印刷部と無地部とで反応性接着剤の塗布量が異なり、例えば、グラビア塗布方式を用いる場合、印刷層のデザインに応じたグラビアシリンダー版を用いることで、印刷部と無地部の塗布量を調整することができる。また、インクジェット塗布方式を用いる場合、印刷層のデザインに応じてオンデマンドで接着剤の塗布量を調整することができる。このほか、塗布量を変更する方法は上記に限定されず、塗布範囲を変更しつつ複数回塗布を行う方法等、公知の方法から適宜選択してよい。中でもインクジェット塗布方式が、経済的に優れるため好ましい。
【0016】
工程1の好適な態様は、印刷層の全面に反応性接着剤を塗布する工程a1と、印刷層の印刷部に反応性接着剤を塗布する工程a2とを含む。工程a1で全面に均一に反応性接着剤を塗布した後、印刷部のみに反応性接着剤を塗布することで、塗布量を制御でき、印刷部の塗布量を、無地部の塗布量より多くすることができる。工程a1は、グラビア塗布方式、又は噴霧塗布方式により行われることが好ましく、工程a2は、インクジェット塗布方式により行われることが好ましい。
【0017】
工程1の他の好適な態様は、印刷層の無地部と印刷部とに、インクジェット塗布方式を用いて前記反応性接着剤を塗布する工程b1を含む。インクジェット塗布方式を用いることで、印刷部と無地部の塗布量をオンデマンドで簡便に制御でき、印刷部の塗布量を、無地部の塗布量より多くすることができる。
【0018】
[基材1]
本発明に用いられる基材1は特に制限されず、包装材に一般的に用いられるフィルム状又はシート状のプラスチック基材を用いることができる。これらは、積層された積層体であってもよい。
プラスチック基材としては、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のフィルムが挙げられ、好ましくは熱可塑性樹脂のフィルムである。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、繊維素系プラスチックが挙げられる。
【0019】
より詳細には、ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のようなポリオレフィン樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)のようなポリエステル樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)のようなポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;セロハンフィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体;等が用いられる。中でも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
プラスチック基材は、必要に応じて帯電防止剤、紫外線防止剤等の添加剤を含有してもよく、シリカ、アルミナ等の蒸着層を備えていてもよい。
【0020】
基材1がプラスチック基材の積層体である場合、基材同士は接着剤層を介して積層されていることが好ましい。該接着剤層の形成方法は制限されず、公知の接着剤を用いて公知の方法で形成することができる。
【0021】
基材1の厚みは、好ましくは5μm以上200μm以下、より好ましくは10μm以上100μm以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。基材1の表面は、コロナ処理又は低温プラズマ処理されていてもよい。
また、基材1は、後述する印刷層との密着性を向上させるために、アンカーコーティング、プライマーコーティング等のコーティング層を有していてもよい。
【0022】
[印刷物]
本発明における印刷物は、少なくとも基材1、及び、無地部と印刷部とからなる印刷層を有するものである。印刷層は、無地部と印刷部とを有していればよく、印刷層の形成方法は限定されない。印刷層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式、オフセット印刷方式、オフセットグラビア方式、液体電子写真方式(LEP)、インクジェット(IJ)方式が挙げられる。
上記印刷層の形成に用いられる印刷インキは特に限定されず、溶剤系インキ、水性インキ、UV硬化型インキ、2液硬化型インキ、トナーインキ等が使用できる。
印刷層における印刷部の厚みは、特に限定されないが、一般的に、0.5~3μmの範囲で調整することが多い。印刷部の厚みはデザインに応じて適宜変更できる。
【0023】
[接着剤層]
本発明における接着剤層は、ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤を含む反応性接着剤から形成され、少なくとも基材1、及び、無地部と印刷部とからなる印刷層を有する印刷物の印刷層上に、「0.5(g/m:固形分換算)<無地部上における反応性接着剤の塗布量CW1(g/m:固形分換算)<印刷部上の反応性接着剤の塗布量をCW2(g/m:固形分換算)」を満たすように、反応性接着剤を塗布することで形成することができる。
反応性接着剤の塗布は、印刷層を形成した後、印刷物をロール状に巻取らずに連続して行ってもよく、ロール状に印刷物を巻き取った後に行ってもよい。
【0024】
反応性接着剤の塗布量は、好ましくは、0.5(g/m:固形分換算)<CW1<CW2<5(g/m:固形分換算) を満たし、より好ましくは、さらに、0.5(g/m:固形分換算)<CW1<3(g/m:固形分換算)、及び、1.5(g/m:固形分換算)<CW2<5(g/m:固形分換算) を満たすものである。
塗布量CW1は、好ましくは0.5~2.0g/mであり、塗布量CW2は、好ましくは2.0~5.0g/mであり、CW2/CW1は好ましくは1.1~6.0の範囲である。印刷部の塗布量CW2を無地部の塗布量CW1より多くすることにより、反応性接着剤に含まれるポリイソシアネートが印刷部に浸透することを抑制できる。また、印刷部に残留する水分やポリイソシアネートと反応し得る成分と、反応性接着剤に含まれるポリイソシアネートとの反応による硬化阻害を抑制できる。また無地部の塗布量CW1をCW2より少なくすることで、過剰に接着剤を使用することがなく、材料コストの観点から経済性を高め、環境負荷を低減することができる。
【0025】
本発明における接着剤層は、ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤を含む反応性接着剤から形成されていればよく、ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤とを混合したものを塗布してもよく、ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤とを別々に塗布してもよい。
ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤とを混合したものを塗布する方法は、例えば、グラビア塗布方式、フレキソ塗布方式、ロールコーター塗布方式で好適に用いられる。
ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤とを別々に塗布する方法は、例えば、グラビア塗布方式、インクジェット塗布方式、噴霧塗布方式等が好適に用いられる。
【0026】
ポリオール主剤に含有されるポリオール成分は特に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエステルウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートウレタンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンポリウレタンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールが挙げられる。
また、エチレングリコールやプロピレングリコールなどの低分子グリコールやひまし油など水酸基を含有する植物油などを使用することもできる。中でも、積層体の接着力の観点から、ポリエステルポリオール、ポリエステルウレタンポリオール、ポリエーテルウレタンポリオールが好ましい。
【0027】
ポリイソシアネート硬化剤に含有されるポリイソシアネート成分は特に限定されないが、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート若しくはその混合物、4,4′-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;トリフェニルメタン-4,4′,4″-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエンのような有機トリイソシアネート、4,4′-ジフェニルジメチルメタン-2,2′-5,5′-テトライソシアネートのような有機テトライソシアネート等のポリイソシアネート単量体;上記ポリイソシアネート単量体から誘導された、ダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、炭酸ガスと上記ポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6-オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネートが挙げられる。
【0028】
また、上記ポリイソシアネート成分としては、以下に示す種々のグリコール成分を上記ポリイソシアネート単量体に付加させた付加体が挙げられる。付加体の形成に用いられるグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3′-ジメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールのような分子量200未満の低分子ポリオール等の付加体、分子量200~20,000のポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ひまし油、ポリウレタンポリオールが挙げられる。
【0029】
ポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤との配合比(NCO/OH比(モル比))は特に限定されないが、一般的に1.1~10の範囲であることが好ましい。
接着剤におけるNCO/OH比は、印刷層の場所によって変更してもよく、無地部上の接着剤におけるNCO/OH比と、印刷部上の接着剤におけるNCO/OH比とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
無地部上の接着剤におけるNCO/OH比は、好ましくは1.1~2.0の範囲であり、印刷部上の接着剤におけるNCO/OH比は、好ましくは1.5~4.0の範囲であり、印刷部上の接着剤におけるNCO/OH比が、無地部上の接着剤におけるNCO/OH比より大きい方が好ましい。
NCO/OH比の調整は、例えば、インクジェット塗布方式を用いる場合、主剤を吐出するヘッドと、硬化剤を吐出するヘッドの各々の吐出量を調整してもよく、ヘッドの数を増減して吐出量を調整してもよい。
【0030】
反応性接着剤は、無溶剤型接着剤でもよく、有機溶剤や水を含む溶剤型接着剤若しくは水系接着剤であってもよい。好ましくは、有機溶剤や水を含む溶剤型接着剤若しくは水系接着剤である。また反応性接着剤は、必要に応じて更に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防黴剤、可塑剤、滑剤等の添加剤を含有してもよい。
有機溶剤や水を含む場合、反応性接着剤を塗布した後、必要に応じて、乾燥オーブンなどの乾燥設備により、有機溶剤や水を乾燥させることで接着剤層を形成することができる。
【0031】
<工程2>
工程1において、反応性接着剤が塗布された面に、基材2をラミネートし貼り合わせることで、積層体を得ることができる。
基材2を貼り合わせる方法は特に制限されず、公知の方法から適宜選択できる。このような方法として好ましくは、熱ニップロールを用いる方法が挙げられる。
【0032】
[基材2]
本発明に用いられる基材2としては、例えば、上述の基材1で挙げた基材のほか、シーラント基材が挙げられ、これらが積層された積層体であってもよい。
シーラント基材としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーが挙げられる。基材2として好ましくはシーラント基材であり、ポリオレフィンを含むものである。
基材2は、必要に応じて帯電防止剤、紫外線防止剤等の添加剤を含有してもよく、アルミニウム、シリカ、アルミナ等の蒸着層を備えていてもよい。
【0033】
基材2の厚みは特に限定されず、包装容器への加工性又はヒートシール性等を考慮すると、好ましくは10μm以上150μm以下であり、より好ましくは20μm以上70μm以下である。基材2は、数μm程度の高低差を有する凸凹を設けることで、滑り性や包装材の引き裂き性を付与してもよい。基材2表面は、コロナ処理又は低温プラズマ処理されていてもよい。
また、基材2の最外層には、シール剤層が設けられていてもよく、該シール剤層は、ヒートシール剤層又はコールドシール剤層のいずれであってもよい。
【0034】
このように、本発明を用いることで、印刷層のデザインに応じて、接着剤の塗布量を最適化でき、材料コストの観点から経済性を改善し、過剰な材料使用を無くすことで環境負荷を低減することができ、包装材分野において有用である。
【実施例
【0035】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に指定がない場合は「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0036】
<反応性接着剤の準備と製造>
(反応性接着剤Ad1)
溶剤系ポリエステルポリオールTM-569(東洋モートン製、固形分62%)17部、脂肪族イソシアネートCAT-RT37(東洋モートン製、固形分95%)0.8部、及び酢酸エチルを混合し、固形分30%の反応性接着剤Ad1を得た。
【0037】
(主剤A1)
溶剤系ポリエステルポリオールTM-569(東洋モートン製、固形分62%)を酢酸エチルにて希釈し、固形分20%の主剤A1を得た。
【0038】
(主剤A2)
サンニックスPP-200(三洋化成製)98部、サンニックスGP-250(三洋化成製)2部を混合し、主剤A2を得た。
【0039】
(硬化剤B1)
脂肪族イソシアネートCAT-RT37(東洋モートン製、固形分95%)を酢酸エチルにて希釈し、固形分5%の硬化剤B1を得た。
【0040】
(硬化剤B2)
ポリメリックMDI ミリオネートMR-100(東ソー製)を硬化剤B2とした。
【0041】
<印刷インキの準備>
(水系インクセットP1)
〔顔料分散液1C、1M、1Y、1Kの調製)
C.I.ピグメントブルー15:3を20部、着色剤分散樹脂(構成単位としてスチレンとアクリル酸とステアリルメタクリレートを、25:40:35の質量比で含み、重量平均分子量が25,000、酸価が185mgKOH/gである水溶性樹脂)のワニス(固形分25%)を20部、及び水を60部、を混合容器内に投入したのち、撹拌機でよく混合した。次いで、直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した容積0.6Lのダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製ビーズミル)を用いて分散を行い、シアン色の顔料分散液(顔料分散液1Cとする)を得た。
また、顔料を、各々、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー14、カーボンブラックに変更した以外は、顔料分散液1Cと同様にして、マゼンタ色、イエロー色、ブラック色の顔料分散液(それぞれ、顔料分散液1M、顔料分散液1Y、顔料分散液1Kとする)を得た。
【0042】
〔バインダー樹脂1の調製)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、2-ブタノン72.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱したのち、メタクリル酸4.5部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート5.0部、メチルメタクリレート90.5部、及びV-601(和光純薬社製重合開始剤)12部の混合物を、2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、V-601を0.6部添加し、さらに80℃で2時間反応を続け、ハイドロゾルであるバインダー樹脂1の溶液を得た。TSKgelカラム(東ソー社製)及びRI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)を用い、展開溶媒にTHFを用いて測定した上記バインダー樹脂1の重量平均分子量は約7,000であった。
上記バインダー樹脂1の溶液を50℃まで冷却した後、ジメチルアミノエタノールを4.7部添加し中和したのち、水を140部添加した。その後、反応容器内を78℃以上に加熱して、2-ブタノンを、水と共沸させて留去したのち、固形分が30%になるように水で調整して、バインダー樹脂1のワニスを得た。なお、樹脂の構成単位から算出したバインダー樹脂1の酸価及び水酸基価は、各々29.3mgKOH/g、21.6mgKOH/gであった。また、DSC(PerkinElmer社製、DSC6000)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は、103℃であった。
【0043】
〔水系インクセットP1の調製〕
顔料分散液1Cを20部、バインダー樹脂1のワニス(固形分30%)を21部、1,2-プロパンジオールを25部、サーフィノール465(信越化学工業社製アセチレン系界面活性剤)を1部、プロキセルGXL(LONZA社製防腐剤)を0.1部、及び水を32.9部、を混合容器内に順次投入した。次いで、当該混合容器内を50℃に加温したのち、撹拌機で1時間混合した。そして、孔径1μmのデプスタイプフィルターを用いて濾過を行い、粗大粒子を除去することで、シアン色の水系インク(インク1Cとする)を得た。
また、顔料分散液を、各々、顔料分散液1M、顔料分散液1Y、顔料分散液1Kに変更した以外は、インク1Cと同様にして、マゼンタ色、イエロー色、ブラック色の水性インク(それぞれ、インク1M、インク1Y、インク1Kとする)を得た。
このようにして調製した、インク1C、インク1M、インク1Y、インク1Kの4色のインクを、水系インクセットP1とした。
【0044】
<積層体の製造>
(実施例1)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)に、グラビア印刷方式にて、LPバイオの白インキ(東洋インキ(株)製)を使用して、印刷部と無地部が存在する印刷層を形成した。印刷部の厚みは1μmであった。
印刷層を形成した後、連続して、上記印刷層上に、グラビア塗布方式にて、反応性接着剤Ad1を塗布し、乾燥オーブンにて溶剤を乾燥させた。
次いで、厚み100μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50℃のニップロールにて圧着し、40℃のオーブンにて4日間エージングして接着層を硬化させ、PET/印刷層/接着剤層/LLDPEの構成である積層体を得た。
グラビア塗布方式に使用する、グラビアシリンダーは、印刷層の印刷部と無地部に合わせて、線数のパターン形成をしており、印刷部には110線格子式、無地部には180線格子式でパターン形成した。印刷部における反応性接着剤の塗布量は3.5g/m(固形分換算)、無地部における反応性接着剤の塗布量は1.5g/m(固形分換算)であった。
【0045】
(実施例2)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)に、グラビア印刷方式にて、LPバイオの白インキ(東洋インキ(株)製)を使用して、印刷部と無地部が存在する印刷層を形成した。印刷部の厚みは1μmであった。
印刷層を形成した後、連続して、上記印刷層上に、グラビア塗布方式にて、反応性接着剤Ad1を塗布し、乾燥オーブンにて溶剤を乾燥させた。
溶剤を乾燥させた後、連続して、インクジェット塗布方式にて、第一のインクジェットヘッドから印刷部に主剤A1を吐出し、さらに第二のインクジェットヘッドから印刷部に硬化剤B1を吐出し、乾燥オーブンにて溶剤を乾燥させた。
次いで、厚み100μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50℃のニップロールにて圧着し、40℃のオーブンにて4日間エージングして接着層を硬化させ、PET/印刷層/接着剤層/LLDPEの構成である積層体を得た。
グラビア塗布方式に使用する、グラビアシリンダーは、180線格子式で全面形成されているものを用いた。インクジェットヘッドは、KJ4C-00360(京セラ製)を用いた。印刷部における反応性接着剤の塗布量は3.5g/m(固形分換算)、無地部における反応性接着剤の塗布量は1.5g/m(固形分換算)であった。
【0046】
(実施例3)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)に、グラビア印刷方式にて、LPバイオの白インキ(東洋インキ(株)製)を使用して印刷部と無地部が存在する印刷層を形成した。印刷部の厚みは1μmであった。
印刷層を形成した後、連続して、上記印刷層上に、噴霧式塗布法にて、反応性接着剤Adを塗布し、乾燥オーブンにて溶剤を乾燥させたのち、インクジェット塗布方式にて、第一のインクジェットヘッドから、印刷部に主剤A1を吐出し、さらに第二のインクジェットヘッドから印刷部に硬化剤B1を吐出し、乾燥オーブンにて溶剤を乾燥させたのち、厚み100μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50℃のニップロールにて圧着し、40℃のオーブンにて4日間エージングして接着層を硬化させ、PET/印刷層/接着剤層/LLDPEの構成である積層体を得た。
インクジェットヘッドは、KJ4C-00360(京セラ製)を用いた。印刷部における反応性接着剤の塗布量は3.5g/m(固形分換算)、無地部における反応性接着剤の塗布量は1.5g/m(固形分換算)であった。
【0047】
(実施例4)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)に、グラビア印刷方式にて、LPバイオの白インキ(東洋インキ(株)製)を使用して印刷部と無地部が存在する印刷層を形成した。印刷部の厚みは1μmであった。
印刷層を形成した後、連続して、上記印刷層上に、インクジェット塗布方式として、第一のインクジェットヘッドから、主剤A1、さらに第二のインクジェットヘッドから硬化剤B1をそれぞれ印刷層の印刷部と無地部で吐出量を変えて吐出し、乾燥オーブンにて溶剤を乾燥させた。
次いで、厚み100μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50℃のニップロールにて圧着し、40℃のオーブンにて4日間エージングして接着層を硬化させ、PET/印刷層/接着剤層/LLDPEの構成である積層体を得た。
インクジェットヘッドは、KJ4C-00360(京セラ製)を用いた。印刷部における反応性接着剤の塗布量は3.5g/m(固形分換算)、無地部における反応性接着剤の塗布量は1.5g/m(固形分換算)であった。
【0048】
(実施例5)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)に、グラビア印刷方式にて、LPバイオの白インキ(東洋インキ(株)製)を使用して、印刷部と無地部が存在する印刷層を形成した。印刷部の厚みは1μmであった。
印刷層を形成した後、連続して、上記印刷層上に、グラビア塗布方式にて、反応性接着剤Ad1を塗布し、乾燥オーブンにて溶剤を乾燥させた。
次いで、厚み100μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50℃のニップロールにて圧着し、40℃のオーブンにて4日間エージングして接着層を硬化させ、PET/印刷層/接着剤層/LLDPEの構成である積層体を得た。
グラビア塗布方式に使用する、グラビアシリンダーは、印刷層の印刷部と無地部に合わせて、線数のパターン形成をしており、印刷部には110線格子式、無地部には220線格子式でパターン形成した。印刷部における反応性接着剤の塗布量は3.5g/m(固形分換算)、無地部における反応性接着剤の塗布量は0.7g/m(固形分換算)であった。
【0049】
(実施例6)
実施例2において、印刷方式をフレキソ印刷方式に変更し、インキをアクワエコールの白インキ(東洋インキ(株)製)に変更した以外は実施例2と同様にして、積層体を得た。なお、アクワエコールの白インキの残留水分は4.8g/mであった。
【0050】
(実施例7)
実施例2において、印刷方式をインクジェット印刷方式に変更し、インキをインクセットP1に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。なお、インクセットP1の残留水分は2.5g/m、残留1,2-プロパンジオールは3.6g/mであった。
【0051】
(実施例8)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)に、グラビア印刷方式にて、LPバイオの白インキ(東洋インキ(株)製)を使用して、印刷部と無地部が存在する印刷層を形成し、印刷層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)をロール状に巻き取った。印刷部の厚みは1μmであった。
その後、ロール状に巻き取った印刷層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)を再度巻き出して、上記印刷層上に、グラビア塗布方式にて、反応性接着剤Ad1を塗布し、乾燥オーブンにて溶剤を乾燥させた。
次いで、厚み100μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50℃のニップロールにて圧着し、40℃のオーブンにて4日間エージングして接着層を硬化させ、PET/印刷層/接着剤層/LLDPEの構成である積層体を得た。
グラビア塗布方式に使用する、グラビアシリンダーは、印刷層の印刷部と無地部に合わせて、線数のパターン形成をしており、印刷部には110線格子式、無地部には180線格子式でパターン形成した。印刷部における反応性接着剤の塗布量は3.5g/m(固形分換算)、無地部における反応性接着剤の塗布量は1.5g/m(固形分換算)であった。
【0052】
(比較例1)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)にグラビア印刷方式にて、LPバイオの白インキ(東洋インキ(株)製)を使用して、印刷部と無地部が存在する印刷層を形成した。印刷部の厚みは1μmであった。
印刷層を形成した後、連続して、上記印刷層上に、インクジェット塗布方式にて、第一のインクジェットヘッドから、主剤A2、さらに第二のインクジェットヘッドから硬化剤B2を全面に吐出した。次いで、厚み100μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を50℃のニップロールにて圧着し、40℃のオーブンにて4日間エージングして接着層を硬化させで、PET/印刷層/接着剤層/LLDPEの構成である積層体を得た。
インクジェットヘッドは、KJ4C-00360(京セラ製)を用いた。反応性接着剤の塗布量は、印刷部、無地部共に3.5g/m(固形分換算)であった。
【0053】
(比較例2)
実施例1において、無地部の反応性接着剤の塗布量を0.4g/m(固形分換算)に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
【0054】
<積層体の評価>
得られた積層体について、ラミネート外観、ラミネート強度、積層体の経済性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
[無地部のラミネート外観]
無地部のラミネート外観を目視で確認し、下記基準で評価を行った。
A:カスレ、欠陥、凹凸が無く、外観良好(良)
B:カスレ、欠陥、凹凸等の外観不良が見られる(不可)
【0056】
[無地部のラミネート強度と印刷部のラミネート強度]
無地部及び印刷部の積層体を、各々幅15mm、長さ300mmに切り取り試験片とした。JIS K6854に基づき、インストロン型引張試験機を用いて、温度20℃、相対湿度65%の環境下で、300mm/分の剥離速度で引張り、PETとLLDPEとの間のT型剥離強度[N/15mm]を測定した。測定は5回行いその平均値を接着強度とした。得られた接着強度と、剥離後の接着剤の状態から下記基準で評価を行った。
S:接着強度が3.0N/15mm以上(非常に良)
A:接着強度が1.0N/15mm以上、3.0N/15mm未満で接着剤層にタックが無い(良)
B:接着強度が1.0N/15mm以上、3.0N/15mm未満で接着剤層にタックがある、又は、接着強度が1.0N/15mm未満(不可)
【0057】
[経済性、環境負荷低減]
無地部の塗布量が印刷部の塗布量より少ないものを「良」、無地部の塗布量が印刷部の塗布量と同等以上のものを「不良」とした。
【0058】
【表1】
【0059】
表1中の略称を以下に示す。
12μmPET:フタムラ化学社製 2軸延伸ポリエステルフィルム「FE2001」、厚み12μm
100μmLLDPE:三井化学東セロ社製 直鎖状低密度ポリエチレンフィルム「TUX-FC-D」、厚み100μm
【0060】
表1の結果によれば、本願発明の製造方法により製造された積層体は、無地部の外観が良好であり、且つ、接着強度に優れていた。また、これらの積層体が、無地部の接着剤塗布量が印刷部の塗布量より低減されており、経済性、環境負荷低減に優れていた。
一方、比較例1は、特許文献1に相当し、無地部と印刷部の接着剤塗布量が同一であるため、経済性、環境負荷低減に劣っていた。さらに、無溶剤型接着剤は凝集力が低いため、外観及び接着強度が低下した。比較例2は、無地部の塗布量が少ないため、無地部の外観及び接着強度が低下した。