(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20250212BHJP
【FI】
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2024162284
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2024147750の分割
【原出願日】2024-08-29
【審査請求日】2024-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524087208
【氏名又は名称】株式会社STコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 修太郎
【審査官】日比野 可奈子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-174188(JP,A)
【文献】特開2020-042698(JP,A)
【文献】ITANDI BB+ 更新退去くん 更新・退去手続き管理の負担を削減 入居者状況や手続きをWebで管理,イタンジ株式会社,2023年11月30日,全頁,[online],[令和6年10月17日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20231130201244/https://lp.itandibb.com/koushin-taikyo/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の不動産賃貸物件の各々について、貸主、借主、管理会社、及び契約更新日が記録されたデータベースにアクセスするアクセス手段と、
前記複数の不動産賃貸物件のうち対象となる対象物件について、前記契約更新日前の指定された期日が到来した場合、当該対象物件の貸主に更新条件の問い合わせを送信する第1送信手段と、
前記貸主から前記問い合わせに対する貸主回答を受信する第1受信手段と、
前記貸主回答により示される更新条件を含む契約更新の意思確認を前記対象物件の借主に送信する第2送信手段と、
前記借主から前記意思確認に対する借主回答を受信する第2受信手段と、
前記借主回答に応じた情報を、設定された出力先に出力する出力手段と
、
前記複数の不動産賃貸物件のうち、前記第1送信手段が前記更新条件の問い合わせを送信したにもかかわらず前記第1受信手段が前記貸主から当該問い合わせに対する貸主回答をまだ受信していない不動産賃貸物件に関する情報を、当該不動産賃貸物件の管理会社に通知する通知手段と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記契約更新を行うための更新契約書に対する合意の手続を前記借主に依頼する第1依頼手段
を有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データベースにはさらに、前記更新契約書に対する合意の手続を前記借主に依頼する依頼期日が記録され、
前記第1依頼手段は、前記データベースに記録された前記依頼期日が到来すると、前記更新契約書に対する合意の手続を前記借主に依頼する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記契約更新を行うための更新契約書に対する合意の手続を前記貸主に依頼する第2依頼手段
を有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記更新契約書に係る契約更新費用の入金が済んだことを示す入金情報を受け付ける受け付け手段を有し、
前記第2依頼手段は、前記入金情報が受け付けられた後で、前記合意の手続を前記貸主に依頼する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1送信手段は、前記管理会社の確認を経ずに、前記貸主に更新条件の問い合わせを送信する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
複数の不動産賃貸物件の各々について、貸主、借主、管理会社、及び契約更新日が記録されたデータベースにアクセスするステップと、
前記複数の不動産賃貸物件のうち対象となる対象物件について、前記契約更新日前の指定された期日が到来した場合、当該対象物件の貸主に更新条件の問い合わせを送信するステップと、
前記貸主から前記問い合わせに対する貸主回答を受信するステップと、
前記貸主回答により示される更新条件を含む契約更新の意思確認を前記対象物件の借主に送信するステップと、
前記借主から前記意思確認に対する借主回答を受信するステップと、
前記借主回答を受信すると、前記対象物件の更新契約書を生成するステップと
、
前記複数の不動産賃貸物件のうち、前記更新条件の問い合わせを送信するステップにおいて前記更新条件の問い合わせが送信されたにもかかわらず、前記貸主回答を受信するステップにおいて前記貸主から当該問い合わせに対する貸主回答がまだ受信されていない不動産賃貸物件に関する情報を、当該不動産賃貸物件の管理会社に通知するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃貸物件を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
不動産物件の賃貸契約を電子化する技術が知られている。例えば特許文献1は、契約書
データ及び署名データを用いて賃貸契約を行う不動産賃貸契約支援システム技術を開示し
ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明は、賃貸物件の新規契約に関する手続きが主となる支援対象で
あって、更新契約に関する手続きの利便性を追求するものではなかった。
【0005】
上記の背景に鑑み、本発明は、利便性の高い改善された賃貸物件管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、複数の不動産賃貸物件の各々について、貸主、
借主、管理会社、及び契約更新日が記録されたデータベースにアクセスするアクセス手段
と、前記複数の不動産賃貸物件のうち対象となる対象物件について、前記契約更新日前の
指定された期日が到来した場合、当該対象物件の貸主に更新条件の問い合わせを送信する
第1送信手段と、前記貸主から前記問い合わせに対する貸主回答を受信する第1受信手段
と、前記貸主回答により示される更新条件を含む契約更新の意思確認を前記対象物件の借
主に送信する第2送信手段と、前記借主から前記意思確認に対する借主回答を受信する第
2受信手段と、前記借主回答に応じた情報を、設定された出力先に出力する出力手段とを
有する。
【0007】
情報処理装置において、前記契約更新を行うための更新契約書に対する合意の手続を前
記借主に依頼する第1依頼手段を有する。
【0008】
情報処理装置において、前記データベースにはさらに、前記更新契約書に対する合意の
手続を前記借主に依頼する依頼期日が記録され、前記第1依頼手段は、前記データベース
に記録された前記依頼期日が到来すると、前記更新契約書に対する合意の手続を前記借主
に依頼する。
【0009】
情報処理装置において、前記契約更新を行うための更新契約書に対する合意の手続を前
記貸主に依頼する第2依頼手段を有する。
【0010】
情報処理装置において、前記更新契約書に係る契約更新費用の入金が済んだことを示す
入金情報を受け付ける受け付け手段を有し、前記第2依頼手段は、前記入金情報が受け付
けられた後で、前記合意の手続を前記貸主に依頼する。
【0011】
情報処理装置において、前記複数の不動産賃貸物件のうち、前記第1送信手段が前記更
新条件の問い合わせを送信したにもかかわらず前記第1受信手段が前記貸主から当該問い
合わせに対する貸主回答をまだ受信していない不動産賃貸物件に関する情報を、当該不動
産賃貸物件の管理会社に通知する通知手段を有する。
【0012】
情報処理装置において、前記第1送信手段は、前記管理会社の確認を経ずに、前記貸主
に更新条件の問い合わせを送信する。
【0013】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、複数の不動産賃貸物件の各々に
ついて、貸主、借主、管理会社、及び契約更新日が記録されたデータベースにアクセスす
るステップと、前記複数の不動産賃貸物件のうち対象となる対象物件について、前記契約
更新日前の指定された期日が到来した場合、当該対象物件の貸主に更新条件の問い合わせ
を送信するステップと、前記貸主から前記問い合わせに対する貸主回答を受信するステッ
プと、前記貸主回答により示される更新条件を含む契約更新の意思確認を前記対象物件の
借主に送信するステップと、前記借主から前記意思確認に対する借主回答を受信するステ
ップと、前記借主回答を受信すると、前記対象物件の更新契約書を生成するステップとを
実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、利便性の高い改善された賃貸物件管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】賃貸物件管理システム1のシステム構成を例示する図。
【
図2】賃貸物件管理システム1の機能構成を例示する図。
【
図3】情報処理装置10のハードウェア構成を例示する図。
【
図4】賃貸物件管理システム1における契約更新の手続き処理方法を例示するシーケンスチャート。
【
図5】賃貸物件管理システム1における賃貸更新データベース1001を例示する図。
【
図6】更新条件の問い合わせフォーム画面を例示する図。
【
図7】契約更新の意思確認及び支払い案内に関するフォーム画面を例示する図。
【
図8】賃貸物件管理システム1における入金データの取得方法を例示するシーケンスチャート。
【
図10】賃貸物件管理システム1における借主及び貸主に対する更新契約書の合意手続き方法を例示するシーケンスチャート。
【
図11】借主に対する更新契約書の合意手続きを依頼するためのフォーム画面を例示する図。
【
図12】賃貸物件管理システム1における貸主又は借主に対する回答依頼方法を例示するシーケンスチャート。
【
図13】賃貸物件管理システム1における更新状況データベース2001を例示する図。
【
図14】賃貸物件に関する契約更新の進捗画面を例示する図。
【
図15】賃貸物件管理システム1における借主募集サイトへの物件掲載方法を例示するシーケンスチャート。
【
図17】機械学習モデルによる入力項目の抽出方法を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.構成
図1は、賃貸物件管理システム1のシステム構成を例示する図である。この例において
賃貸物件管理システム1(又は単にシステムという)は、管理会社が管理する不動産賃貸
物件(又は単に物件/賃貸物件/不動産という)の契約更新及び借主募集に関する手続き
処理を実施するためのシステムである。契約更新とは、貸主と借主との間で交わされた物
件に関する賃貸契約(賃貸借契約)の契約期間が満了したときに、さらに契約期間を延長
するための手続きのことである。借主募集とは、管理会社がWebサイト、SNS(Soci
al networking service)、又はアプリケーションなどを利用して不動産賃貸物件の新た
な入居者を募り、新規契約に結び付けるために行う営業活動(又は業務)のことである。
以下では、契約更新及び借主募集のうち、特に契約更新を主要な例として挙げて説明する
。この例において管理会社は、貸主から運用を任された物件について、貸主の代わりに賃
貸に関する業務を行う事業者(いわゆる「元付け業者」のこと)である。貸主(例えばオ
ーナ)は、不動産の所有者である。借主は、物件を借りている入居者である。
【0017】
ここで、管理会社は、賃貸物件を所有するオーナに代わり、物件の管理・メンテナンス
、入居者の募集、契約の手続きなどを行う。このような管理業務をオーナが自ら行う場合
、種々の業務負担が生じるだけでなく、入居者とのトラブル、契約に関する法的な問題、
空室による収益率の低下のリスクを抱えることから、より専門的な管理会社に管理業務を
委託することが望ましい。特に、賃貸物件の場合、定められた契約期間毎(2年ごとなど
)の契約満了とともに、入居者が新たに契約更新を希望する場合、管理会社は、貸主・借
主の双方に対して、更新条件の問い合わせ、更新意思の確認、更新料の支払い管理に基づ
いた種々の業務を行う必要がある。また、2022年5月18日に施行された宅地建物取
引業法(宅建業法)・借地借家法の改正・施行により、不動産取引・賃貸借契約で義務付
けられていた書面での交付が不要(押印不要)となり、電磁的方法による交付が可能とな
った。このような事情から賃貸物件管理システム1は、賃貸物件の契約更新に関する諸手
続きの電子化(オンライン化)と、業務効率化とを目的に、より利便性の高いシステムを
提供する。
【0018】
賃貸物件管理システム1は、情報処理装置10、貸主端末20、借主端末30、及び管
理会社端末40を有する。この例においてシステムの各構成要素は、ネットワーク9を介
して
図1のように接続する。この例においてネットワーク9は、インターネットなどのコ
ンピュータネットワークである。
【0019】
情報処理装置10は、賃貸物件管理システム1における情報処理装置/サーバ装置であ
る。この例において情報処理装置10は、賃貸物件の契約更新に関する各種の手続き・処
理を行う。情報処理装置10は、賃貸物件毎の貸主、借主、管理会社、及び契約更新日な
どが記録されたデータベースを有する。情報処理装置10は、対象物件の契約更新日前の
指定期日が到来した場合、貸主に対しては、更新条件の問い合わせを行い、借主に対して
は、契約更新の意思確認を行う。指定期日は、賃貸物件毎に入居者の契約更新日(契約満
了日)に対して予め設定された期日(例えば、2~3ヶ月前など)である。更新条件は、
貸主が任意に設定可能な更新契約における諸条件、例えば、更新期間、更新料、賃料の改
定などである。契約更新の意思確認とは、借主が賃貸契約を更新・継続するか否か(居住
し続けるか否か)に関する希望を確認することである。情報処理装置10は、貸主端末2
0/借主端末30に対して送信した問い合わせ/確認に対する回答をそれぞれ受け付ける
。また、情報処理装置10は、各種回答に関する物件毎(更新契約毎)の情報を管理会社
端末40に出力する。
【0020】
情報処理装置10は、その他に、更新契約書に対する各種合意の手続きを行うことがで
きる。情報処理装置10は、データベースに賃貸更新契約書のデータを有する。情報処理
装置10は、上述した貸主への問い合わせ及び借主への意思確認に対するそれぞれの回答
に基づいて、契約締結のための処理を行う。そのため、情報処理装置10は、貸主端末2
0及び借主端末30に対して、それぞれ契約合意の手続きに関する情報を送信することが
できる。
【0021】
貸主端末20は、不動産の所有者である貸主が操作する端末/装置である。貸主端末2
0は、情報処理装置10から更新条件の問い合わせを受信する。貸主端末20は、情報処
理装置10から取得した問い合わせに関して、貸主から各種条件の変更内容の入力を受け
付けることができる。貸主端末20は、貸主回答を取得すると、それを情報処理装置10
に送信する。情報処理装置10は、受信した貸主回答に基づいて、更新条件を変更/維持
する。
【0022】
借主端末30は、賃貸物件を借りている借主(居住者)が操作する端末/装置である。
借主端末30は、情報処理装置10から更新条件を含む契約更新の意思確認を受信する。
借主端末30は、情報処理装置10から取得した意思確認に関して、借主から契約更新の
有無の入力を受け付けることができる。借主端末30は、借主回答を取得すると、それを
情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、受信した借主回答に基づいて、例え
ば、更新料などが発生する場合、借主端末30に入金依頼を送信する。
【0023】
管理会社端末40は、物件の賃貸管理を行う管理会社が操作する端末/装置である。管
理会社端末40は、情報処理装置10による貸主回答/借主回答に基づいた物件の情報、
例えば、契約更新の進捗状況を表す情報を取得する。これによって、管理会社は、契約更
新の進捗状況に問題がある場合、貸主/借主に対して回答依頼を行うことができる。なお
、貸主端末20、借主端末30、及び管理会社端末40は、例えば、スマートフォン、タ
ブレット、又はパーソナルコンピュータを含む。
【0024】
また、賃貸物件管理システム1は、契約更新及び借主募集のうち、特に借主募集に関す
る処理を実施することができる。この例において賃貸物件管理システム1(又は「借主募
集補助システム」という名称で区別される)は、ネットワーク9を介して情報処理装置1
0、貸主端末20、借主端末30、及び管理会社端末40と協業する。借主募集補助シス
テムは、主に、物件の募集図面の取得、募集図面の画像データの解析処理、及び募集サイ
トへの物件情報のアップロードなどを行う。なお、借主募集補助システムは、賃貸物件に
おける借主募集に限らず、売買物件に関する買主の募集(以下「買主募集」という)を行
ってもよい。この場合、賃貸物件管理システム1は、ネットワーク9を介して種々の装置
と接続し、例えば売主、買主、又は地主などのユーザがアクセス可能な機能を有していて
もよい。
【0025】
図2は、賃貸物件管理システム1の機能構成を例示する図である。この実施形態では、
情報処理装置10は、アクセス手段11、第1送信手段12、第1受信手段13、第2送
信手段14、第2受信手段15、出力手段16、第1依頼手段171、第2依頼手段17
2、受け付け手段173、通知手段174、抽出手段175、アップロード手段176、
決定手段177、記憶手段18、及び制御手段19という機能ブロック(構成手段)を有
する。この例において記憶手段18は、例えば、データベースを含む各種のデータを記憶
する。この例において制御手段19は、各種の制御を行う。
【0026】
アクセス手段11は、複数の不動産賃貸物件の各々について、貸主、借主、管理会社、
及び契約更新日が記録されたデータベースにアクセスする。アクセス手段11は、記憶手
段18のデータベースにアクセスすることができる。これによって情報処理装置10は、
データベースにある各種データを参照・取得することができる。
【0027】
第1送信手段12は、貸主端末20に各種データを送信する。第1送信手段12複数の
不動産賃貸物件のうち対象となる対象物件について、契約更新日前の指定された期日が到
来した場合、対象物件の貸主に更新条件の問い合わせを送信する。また、第1送信手段1
2は、管理会社の確認を経ずに、貸主に更新条件の問い合わせを送信する。
【0028】
第1受信手段13は、貸主端末20から各種データを受信する。第1受信手段13は、
貸主から問い合わせに対する貸主回答を受信する。
【0029】
第2送信手段14は、借主端末30に各種データを送信する。第2送信手段14は、貸
主回答により示される更新条件を含む契約更新の意思確認を対象物件の借主に送信する。
【0030】
第2受信手段15は、借主端末30から各種データを受信する。第2受信手段15は、
借主から意思確認に対する借主回答を受信する。
【0031】
出力手段16は、各装置に対して、各種データを出力する。出力手段16は、借主回答
に応じた情報を、設定された出力先に出力する。例えば、出力手段16は、契約更新にお
ける、借主の意思、要望、又は問い合わせなどを管理会社端末40に対して、出力するこ
とができる。
【0032】
第1依頼手段171は、契約更新を行うための更新契約書に対する合意の手続を借主に
依頼する。また、記憶手段18のデータベースにはさらに、更新契約書に対する合意の手
続を借主に依頼する依頼期日が記録される。この場合、第1依頼手段171は、このデー
タベースに記録された依頼期日が到来すると、更新契約書に対する合意の手続を借主に依
頼する。
【0033】
第2依頼手段172は、契約更新を行うための更新契約書に対する合意の手続を貸主に
依頼する。第2依頼手段172は、例えば、借主が合意済みの更新契約書における合意の
手続を貸主に依頼する。これによって、第2依頼手段172は、更新契約に関する借主と
貸主との合意形成を行うことができる。
【0034】
受け付け手段173は、各装置から各種データを受け付ける。受け付け手段173は、
更新契約書に係る契約更新費用の入金が済んだことを示す入金情報を受け付ける。第2依
頼手段172は、入金情報が受け付けられた後で、合意の手続を貸主に依頼する。
【0035】
通知手段174は、各装置に対して、各種の通知を行う。通知手段174は、複数の不
動産賃貸物件のうち、第1送信手段12が更新条件の問い合わせを送信したにもかかわら
ず第1受信手段13が貸主から問い合わせに対する貸主回答をまだ受信していない不動産
賃貸物件に関する情報を、不動産賃貸物件の管理会社に通知する。
【0036】
以下では、借主募集(又は買主募集)補助システムに関する機能ブロックについて説明
する。受け付け手段173は、不動産賃貸物件の借主募集サイト(又は販売物件を対象と
した買主募集サイト)に物件の情報を掲載するために、その物件の募集図面の画像データ
の入力を受け付ける。借主募集サイト(又は単にサイトという)は、物件情報を掲載し、
新たな入居者を募るためのWebサイトである。募集図面は、新たな入居者に貸し出すた
めの不動産賃貸物件に関する図面(又は画像)である。この例において募集図面は、物件
の間取り、外観、内観、設備、及び周辺設備の少なくとも1種を撮影した少なくとも1枚
の写真を含む。受け付け手段173は、例えば、管理会社端末40(又は貸主端末20)
から募集図面を取得する。あるいは、借主募集サイトに物件を登録できる会員が、元付け
業者(つまり管理会社)に限られる。なお、受け付け手段173は、買主募集を行うため
の不動産に関する画像データの入力を受け付けてもよい。
【0037】
抽出手段175は、画像データから、借主募集サイトに対して定義された複数の入力項
目の値を自動的に抽出する処理を行う。この例において入力項目は、サイトのフォーマッ
トに応じて定められている。値は、データに関する種々の値をいい、例えば、数字、文字
列、又は記号などを含む。抽出処理は、各種解析ソフト又はプログラムを用いて行われる
。例えば、この処理には、機械学習モデルが用いられる。抽出手段175は、複数の募集
図面の画像データを入力とし、募集図面に記載されている入力項目の値を出力とする教師
データを与えて学習した機械学習モデルを用いて、抽出処理を行う。
【0038】
アップロード手段176は、抽出手段175により抽出された複数の入力項目の値を含
む物件データを、借主募集サイトに対してアップロードする。なお、借主募集サイトは、
例えば、Webサイト専用のサーバなどで管理される。あるいは、借主募集サイトは、情
報処理装置10によって管理される。
【0039】
決定手段177は、抽出手段175により抽出された少なくとも1枚の写真の、借主募
集サイトにおけるレイアウトを自動的に決定する。レイアウトは、借主募集サイトに写真
を配置又は掲載することであり、より具体的には、写真の選択、デザインの変更(あるい
は加工)、又は掲載順序の決定などを含む。この例において抽出手段175は、画像デー
タから少なくとも1枚の写真を抽出する。次に、決定手段177は、データベースからサ
イトの物件ページの掲載形式(又はテンプレートなど)を取得する。決定手段177は、
掲載形式に応じて画像データを含む物件ページを構築する。なお、受け付け手段173、
抽出手段175、アップロード手段176、及び決定手段177の機能のうち少なくとも
一部は、買主募集を行うための機能を実装していてもよい。また、サイトは、借主募集サ
イトと買主募集サイトとが統合されたサイトであってもよい。
【0040】
図3は、情報処理装置10のハードウェア構成を例示する図である。この例において情
報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレ
ージ103、及び通信IF104を有するコンピュータ又は情報処理装置である。CPU
101は、プログラムに従って各種の演算を行うプロセッサである。メモリ102は、C
PU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置であり、
例えばRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ103は、各種のデータ及び
プログラムを記憶する補助記憶装置であり、例えばSSD(Solid State Drive)又はH
DD(Hard Disc Drive)を含む。通信IF104は、所定の通信規格に従って他の装置
と通信する装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。若しくは、例
えば無線で通信する場合には無線チップを含む。
【0041】
この例においてストレージ103が記憶するプログラムには、コンピュータを賃貸物件
管理システム1におけるサーバとして機能させるためのプログラム(以下「サーバプログ
ラム」という。)が含まれる。CPU101がサーバプログラムを実行している状態にお
いて、CPU101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF104は、情報処
理装置10を動作させるための機能の一例である。CPU101は、アクセス手段11、
第1依頼手段171、第2依頼手段172、抽出手段175、決定手段177、及び制御
手段19の一例である。メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方は、記憶手
段18の一例である。通信IF104は、第1送信手段12、第1受信手段13、第2送
信手段14、第2受信手段15、出力手段16、受け付け手段173、通知手段174、
及びアップロード手段176の一例である。以上により、ここまで賃貸物件管理システム
1の構成を説明した。次に、賃貸物件管理システム1の動作を説明する。
【0042】
2.動作
2-1.契約更新の手続き処理方法及び借主による入金方法
図4は、賃貸物件管理システム1における契約更新の手続き処理方法を例示するシーケ
ンスチャートである。以下のシーケンスは、例えば、指定期日の到来を契機に開始される
。ステップS101において、情報処理装置10は、定期的に(例えば、毎日、日付変更
時、又は所定の頻度で)データベースを参照し、指定期日が到来した物件の有無を確認す
る。この例においてデータベースには、賃貸に出している(契約中の)物件毎の指定期日
が予め登録されている。情報処理装置10は、データベースの物件毎の指定期日と、現在
日時とを比較することで、指定期日が到来した物件を特定することができる。
【0043】
ステップS102において、情報処理装置10は、指定期日が到来した物件に関するデ
ータを取得する。ここで、賃貸物件の契約更新に関するデータベースについて説明する。
【0044】
図5は、賃貸物件管理システム1における賃貸更新データベース1001を例示する図
である。この例において賃貸更新データベース1001は、複数のレコードを含む。各レ
コードは、1つの物件に対応する。各レコードは、物件ID、物件名、貸主、借主、管理
会社、契約概要、契約更新日、問い合わせ期日、及び合意依頼期日を含む。物件IDは、
物件毎に、固有に識別可能なID情報である。物件名(号室)、貸主、借主、及び管理会
社は、それぞれ賃貸物件の識別情報(例えば、名称及び入居者の居室)、オーナ、入居者
(契約者)、及び賃貸物件の管理者である。契約概要は、賃貸借契約に含まれる契約の内
容である。契約概要は、契約更新に関する貸主が設定可能な更新条件を含む。なお、契約
概要は、契約書データそのもの又は自由形式の入力項目に基づいたデータなどであっても
よい。契約更新日は、賃貸契約における契約期間の満了日である。問い合わせ期日(指定
期日の一例)は、契約期間が満了する前に、貸主・借主に対して、各種問い合わせを行う
期限日である。通常、問い合わせ期日は、契約更新日の前の日付、例えば、2~3ヶ月前
など、予め定められた日付に設定される。合意依頼期日(依頼期日の一例)は、さらなる
契約更新が行われる場合、特に電子契約に基づいた契約更新の貸主・借主双方の合意形成
を行うための期限日である。合意依頼期日も、問い合わせ期日と同様に、予め定められた
期限日として設定される。情報処理装置10は、問い合わせ期日が到来すると、データベ
ースを参照し、対象物件の更新条件のデータを取得する。情報処理装置10は、取得した
データに基づいて、貸主に更新条件の変更有無を問い合わせるためのデータ(入力フォー
ム)を取得する。
【0045】
図4に戻る。ステップS103において、情報処理装置10は、貸主端末20に対象物
件の更新条件の問い合わせを送信する。貸主端末20は、各種UIに従って、更新条件の
問い合わせフォームを貸主に提示する。ここで、更新条件の問い合わせフォームについて
説明する。
【0046】
図6は、更新条件の問い合わせフォーム画面を例示する図である。この例において
図6
では、貸主端末20が表示する表示画面の一例が表されている。この例においてフォーム
画面F1は、更新条件の問い合わせフォームを表す。フォーム画面F1は、契約期間の満
了の通知、対象物件の情報、現在の更新条件、更新条件の変更有無の確認、及び更新条件
の変更内容を表示する。これによって、貸主端末20は、貸主に対して、対象物件の契約
期間満了を通知するとともに、更新条件の問い合わせを行うことができる。
【0047】
図4に戻る。ステップS104において、貸主端末20は、貸主から更新条件の問い合
わせに対する回答入力を受け付ける。貸主端末20は、上述したフォーム画面F1を介し
て、貸主の回答を取得する。貸主は、更新条件の入力が完了した場合、フォーム画面F1
の送信ボタンを押す。
【0048】
ステップS105において、貸主端末20は、貸主の回答を情報処理装置10に送信す
る。これによって、情報処理装置10は、貸主から問い合わせに対する貸主回答を受信す
ることができる。
【0049】
ステップS106において、情報処理装置10は、貸主回答の内容に応じてデータベー
スの更新条件の各種条件を変更(更新)する。なお、データベースの更新時に、情報処理
装置10は、貸主回答の入力が行われたときの日時を示すタイムスタンプの情報も併せて
記録する。以上、ここまでのステップS101~ステップS106の処理は、賃貸物件管
理システム1において、貸主に対する更新条件の問い合わせを行うための動作である。
【0050】
ステップS107において、情報処理装置10は、借主端末30に契約更新の意思確認
を行うための入力フォームを送信する。情報処理装置10は、貸主回答から取得した更新
条件を反映させた契約更新の内容も一緒に借主端末30に送信する。ここで、契約更新の
意思確認を行うための入力フォームについて説明する。
【0051】
図7は、契約更新の意思確認を行うためのフォーム画面を例示する図である。この例に
おいて
図7では、借主端末30が表示する表示画面の一例が表されている。この例におい
てフォーム画面F2は、物件の居住者である借主に対して、契約更新の意思確認を行うた
めの入力フォームを表す。フォーム画面F2は、契約期間の満了の通知、対象物件の情報
、更新条件、及び契約更新の希望有無を表示する。例えば、更新条件は、新賃料の案内、
更新料及び火災保険料などを合わせた合計支払い金額、並びに、支払い案内を含む。以上
により、情報処理装置10は、借主に対して、対象物件の契約期間満了を通知するととも
に、契約更新の意思確認(居住し続けるかどうかの確認)を行うことができる。
【0052】
図4に戻る。ステップS108において、借主端末30は、借主から契約更新の意思確
認に対する回答入力を受け付ける。再度
図7を参照すると、借主は、契約更新の希望有無
のいずれかにチェックマークを入力し、送信ボタンを押す。契約更新を希望する場合のチ
ェック欄には、更新料の支払いに関する同意が記載されている。
【0053】
ここで、更新料の支払い方法について説明すると、フォーム画面F2では、例えば更新
条件の欄に、更新料の金額情報、振込先(管理会社)の口座情報、及び振り込み期限の情
報などが借主に提示される。あるいは、その他の実装として種々の支払い方法、例えば、
銀行振込、クレジットカード決済、自動引き落とし、コンビニ決済、及び電子決済(又は
モバイル決済)などを含む支払いに関する選択画面が借主に提示されてもよい。以上によ
り、借主が契約更新を希望する場合、情報処理装置10は、更新料の支払い案内も同時に
行うことができる。これによって、支払い漏れが低減されるという効果が期待できる。
【0054】
図4に戻る。ステップS109において、借主端末30は、借主回答を情報処理装置1
0に送信する。これによって、情報処理装置10は、借主から契約更新の意思確認に対す
る借主回答を受信することができる。情報処理装置10は、入力フォームの借主回答から
更新の有無を判定し、データベースに記録する。この際、情報処理装置10は、借主回答
のタイムスタンプも併せて記録する。
【0055】
ステップS110において、情報処理装置10は、管理会社端末40に借主回答におけ
る契約更新の希望有無を出力する。この時、情報処理装置10は、物件情報、契約期間、
又は更新条件(変更有無)などの各種の情報をデータベースから取得し、管理会社端末4
0に出力してもよい。これによって、情報処理装置10は、管理会社に契約更新に関する
貸主・借主の意向を通知することができる。
【0056】
以上により、賃貸物件管理システム1は、契約更新前の指定期日の到来を契機に、自動
的に、貸主への更新条件の問い合わせ、及び、借主への契約更新の意思確認を行うことが
できる。これによって、賃貸物件管理システム1は、管理会社の業務負荷を低減させるこ
とができる。
【0057】
2-2.入金データ取得方法及び契約書発行方法
図8は、賃貸物件管理システム1における入金データの取得方法を例示するシーケンス
チャートである。以下のシーケンスは、借主が契約を更新する(つまり物件を借り続ける
)という意思を含む借主回答を情報処理装置10が取得した場合の処理である。この際、
借主による更新料の支払いが既に行われたものとする。
【0058】
ステップS201において、情報処理装置10は、管理会社端末40から入金データを
取得する。ここで入金データについて説明する。
【0059】
図9は、入金確認の概要を例示する図である。この例において
図9では、借主による更
新料の支払い(例えば入金)が行われた場合に、情報処理装置10が入金を確認するため
の処理モデルの一例が表されている。入金データ4000は、情報処理装置10が管理会
社端末40から取得した入金に関するデータである。この例において管理会社端末40に
インストールされている不動産管理ソフトが、管理会社の銀行口座を管理している所定の
銀行サーバとAPI(Application Programming Interface)連携している。そのため、
情報処理装置10は、この不動産管理ソフトを介して銀行サーバから入金データ4000
を定期的に取得する。入金データ4000は、管理会社が所有する銀行口座の履歴情報(
例えば送金履歴又は受金履歴)を含む。
図9では、入金データ4000は、借主による更
新料の支払いに関する取引日時、取引内容、及び取引金額を含む。
【0060】
図8に戻る。ステップS202において、情報処理装置10は、入金確認を行う。この
例において情報処理装置10は、取得した入金データ4000と、各種データベースとを
比較照合し、更新料の入金が行われた対象物件を特定する。情報処理装置10は、入金デ
ータ4000(
図9)の種々の情報、例えば、取引内容の振込銀行口座及び依頼人名など
に基づいて、賃貸更新データベース1001に記録されている物件のうち、借主による更
新料の支払いが行われた物件を特定することができる。以上により、情報処理装置10は
、自動的に更新料の入金確認を行うことができる。これによって、管理会社の負担を軽減
させることができる。なお、この段階で借主への請求金額と、実際の入金額とに相違があ
った場合(例えば入金額が間違っていた場合)、情報処理装置10は、管理会社及び借主
に対してエラー通知を行う。
【0061】
ステップS203において、情報処理装置10は、借主による更新料の支払いが行われ
た物件の賃貸借更新契約書のデータを発行する。この例において情報処理装置10は、デ
ータベースに記録されている各種情報、例えば、対象物件の情報、更新条件、又は新たな
更新期間などの情報に基づいて、更新契約書のデータを発行する。更新契約書に関し、デ
ータベースには、予め契約書のひな形のデータ(いわゆるテンプレート)が記録されてい
る。情報処理装置10は、ひな形の空欄部分に応じた物件情報、更新条件、貸主情報、又
は借主情報を入力する。これによって、情報処理装置10は、借主による支払いを契機と
して自動的に更新契約書を作成することができる。
【0062】
なお、ステップS201~ステップS202において、情報処理装置10は、借主によ
る更新料の支払いが行われた旨を管理会社端末40に通知してもよい。これによって、例
えば、管理会社の担当者は、情報処理装置10から入金完了の報告を受け、貸主への更新
料の支払いを実施することができる。この例において管理会社から貸主への更新料の入金
は、一例においては、定期的な家賃入金と同じタイミングで行われる(すなわち、管理会
社は、家賃と更新料とを合算して貸主に入金する)。そのため、管理会社は、借主による
更新料の支払いがあった場合でも、貸主への入金を滞りなく(又は手間を最小限に抑えて
)行うことができる。
【0063】
2-3.借主及び貸主に対する更新契約書の合意手続き方法
図10は、賃貸物件管理システム1における借主及び貸主に対する更新契約書の合意手
続き方法を例示するシーケンスチャートである。以下のシーケンスは、例えば、依頼期日
の到来を契機に開始される。ここで、情報処理装置10は、定期的にデータベースを参照
し、依頼期日が到来した物件の有無を確認する。指定期日と同様に、データベースには、
賃貸契約中の物件毎の依頼期日が予め登録されている。情報処理装置10は、日時情報に
基づいて依頼期日が到来した物件を特定する。以下では、依頼期日が到来した物件に関す
る合意手続き方法について説明する。
【0064】
ステップS301において、情報処理装置10は、更新契約書に対する合意の手続き依
頼を借主端末30に送信する(手続きを借主に依頼する)。より具体的には、情報処理装
置10は、既存の電子契約システムと連携し、発行した契約書データを含む、入力フォー
ムを借主端末30に送信する。ここで、借主に対する更新契約書の合意手続きを依頼する
ための入力フォームについて説明する。
【0065】
図11は、借主に対する更新契約書の合意手続きを依頼するためのフォーム画面を例示
する図である。この例において
図11では、借主端末30が表示する表示画面の一例が表
されている。この例においてフォーム画面F3は、物件の居住者である借主に対して、更
新契約書の合意手続きを依頼するための入力フォームを表す。フォーム画面F3は、更新
契約に関する情報、例えば、対象物件の情報、契約者情報、原契約に関する情報、更新期
間、更新条件、及び更新契約の同意確認を表示する。これによって、借主端末30は、借
主に対して、対象物件の更新契約書の合意手続きの依頼を行うことができる。
【0066】
図10に戻る。ステップS302において、借主端末30は、借主から更新契約書の合
意手続きに対する回答入力を受け付ける。借主は、契約内容を確認し、所定の記入欄に表
示された編集マークなどの各種UIに従って、必要事項(例えば住所、氏名、電子押印、
アンケートなど)を入力し、送信ボタンを押す。なお、電子契約による署名(サイン)及
び押印について、賃貸物件管理システム1は、上述した入力を合意の証明と判定する。こ
の際、賃貸物件管理システム1は、借主による署名に関する入力操作及び送信ボタンの入
力操作が行われた時間をタイムスタンプとしてデータベースに記録する。
【0067】
ステップS303において、借主端末30は、借主の合意を含む契約書データを情報処
理装置10に返信する。ステップS304において、情報処理装置10は、借主端末30
から取得した契約書データをデータベースに記録する。
【0068】
ステップS305において、情報処理装置10は、貸主端末20に契約書データを送信
し、貸主側の合意の手続きを依頼する。この例において契約書データには、ステップS3
01~ステップS302で説明した借主による電子契約の同意が含まれる。情報処理装置
10は、上述した借主に対する手続きと同様に、契約書データを含む入力フォームを貸主
端末20に送信する(図示略)。
【0069】
ステップS306において、貸主端末20は、貸主から更新契約書の合意手続きに対す
る回答入力を受け付ける。
【0070】
ステップS307において、貸主端末20は、貸主の合意を含む契約書データを情報処
理装置10に返信する。情報処理装置10は、貸主端末20から取得した契約書データを
データベースに記録する。なお、この時点で、借主及び貸主の双方の合意による更新契約
が締結(あるいは契約が更新)されたものとみなされる。ステップS308において、情
報処理装置10は、貸主端末20から取得した契約書データをデータベースに記録する。
なお、ステップS301~ステップS304の処理と、ステップS305~ステップS3
08の処理とは、それぞれ時系列的に逆転して実施されてもよい。
【0071】
以上により、賃貸物件管理システム1は、借主及び貸主に対する更新契約書の合意手続
きを行うことができる。これによって、賃貸物件管理システム1は、更新契約の締結に関
する処理を行うことができる。
【0072】
2-4.貸主及び借主に対する回答依頼方法
図12は、賃貸物件管理システム1における貸主又は借主に対する回答依頼方法を例示
するシーケンスチャートである。ここでは、2-1節にて賃貸物件管理システム1が貸主
による更新条件の問い合わせへの回答、又は、借主による契約更新の意思確認への回答を
得られなかった場合における回答依頼方法について説明する。ステップS401において
、情報処理装置10は、データベースを参照し、回答・更新の状況を確認する。ここで、
更新状況に関するデータベースについて説明する。
【0073】
図13は、賃貸物件管理システム1における更新状況データベース2001を例示する
図である。この例において更新状況データベース2001は、複数のレコードを含む。各
レコードは、1つの物件に対応する。各レコードは、物件ID、契約更新日、貸主回答(
更新条件)、借主回答(意思確認)、入金有無、及び契約状況を含む。物件ID及び契約
更新日は、賃貸更新データベース1001に紐づけられる共通の項目である。貸主回答は
、更新条件の問い合わせに対するステータスを表す情報である。貸主回答は、貸主端末2
0への問い合わせの送信有無、貸主による問い合わせへの回答有無を含む。借主回答は、
契約更新の意思確認に対するステータスを表す情報である。借主回答は、借主端末30へ
の意思確認の送信有無、借主による回答有無を含む。入金有無及び契約状況は、更新契約
書に対する合意の手続きまで処理が進行した際の、更新料などの入金の状況、契約手続き
の状況をそれぞれ表す。情報処理装置10は、更新状況データベース2001を参照する
ことで、契約更新に関する進捗度合いを判定することができる。また、情報処理装置10
は、各ステータスに対して、契約更新日までのリミットを任意に予め定めることで、更新
状況を適切に管理することができる。
【0074】
図12に戻る。ステップS402において、情報処理装置10は、管理会社端末40に
更新状況を通知する。この通知は、例えば、情報処理装置10が貸主端末20に更新条件
の問い合わせを送信したのにも関わらず、貸主から問い合わせに対する貸主回答を取得し
ていない物件(物件ID[P2]の物件)に関する通知を含む。なお、この通知は、貸主
・借主の両方又はいずれかの更新ステータスに関する通知であってもよい。
【0075】
ステップS403において、管理会社端末40は、情報処理装置10から取得した物件
の情報を表示画面に表示する。ここで、管理会社端末40が表示する表示画面について説
明する。
【0076】
図14は、賃貸物件に関する契約更新の進捗画面を例示する図である。この例において
図14では、管理会社端末40が表示する表示画面の一例が表されている。この例におい
て表示画面D40は、更新状況データベース2001に基づいて物件毎の契約更新に関す
るステータス状況を表示する画面の一例である。表示画面D40は、管理ID順、物件名
順、又は契約更新日順など、種々のレイアウトで、物件と、それに対応する契約更新の進
捗状況とを表示する。
図14では、借主回答の取得及び入金の実施がまだ行われていない
と分かる。そのため、管理会社の担当者は、表示画面D40を介して借主への回答催促な
どを通知することができる。なお、情報処理装置10は、表示画面D40を介して期日に
応じたタスクを管理会社へ通知してもよい。これによって、情報処理装置10は、管理会
社に対してより利便性の高い表示機能を提供することができる。なお、情報処理装置10
は、更新状況データベース2001に記録されているデータのうち、どのようなデータを
管理会社端末40に出力してもよい。ここで、例えば、貸主(又は借主)から送信済みの
問い合わせ(又は意思確認など)に対して、各種回答が得られていない場合、管理会社は
、回答の催促を通知することができる。
【0077】
図12に戻る。ステップS404において管理会社端末40は、貸主端末20又は借主
端末30に、回答依頼の催促を通知する。例えば、物件ID[P1]の物件の場合、借主
から意思確認に対する回答が得られていないため、管理会社は、借主に対して確認の催促
を通知する。あるいは、物件ID[P2]の物件の場合であれば、更新条件の問い合わせ
を送信したのにも関わらず、貸主から問い合わせに対する貸主回答が得られていないため
、管理会社は、貸主に連絡を入れる。管理会社端末40から貸主端末20又は借主端末3
0への回答依頼(又は催促通知)は、例えば、賃貸物件管理システム1が提供する、メー
ル、メッセージアプリ、電話などの機能のうち、所定の方法で行われる。
【0078】
以上により、賃貸物件管理システム1は、契約更新の状況を記録するとともに、たとえ
更新の進捗に遅滞が生じた場合であっても、管理会社端末40に対象となる物件の情報を
通知することができる。あるいは、管理会社は、賃貸物件管理システム1の機能を利用し
、契約更新の進捗に関する問題に対処することができる。
【0079】
2-5.借主募集サイトへの物件掲載方法
図15は、賃貸物件管理システム1における借主募集サイト(又は買主募集サイト)へ
の物件掲載方法を例示するシーケンスチャートである。ここでは、管理会社がオーナから
預かっている不動産物件に関して、新規の入居者を募集する場合の処理について説明する
。ステップS501において、情報処理装置10は、管理会社端末40から物件登録を受
け付ける。この例において情報処理装置10は、管理会社端末40から物件の募集図面を
取得する。ここで、募集図面について説明する。
【0080】
図16は、募集図面を例示する図である。この例において
図16では、管理会社端末4
0から情報処理装置10に入力された募集図面の画像データの一例が表されている。この
例において画像データPD1は、借主募集サイトに物件の情報を掲載するために利用され
る、種々のデータである。画像データPD1は、PDF、JPEG、又はPNGなどの形
式を有するデータを含む。この例において画像データPD1は、物件の元々の募集図面の
データでもよいし、紙媒体などを撮影した2次的な画像データなどでもよい。画像データ
PD1は、テキスト及び写真を含む。テキストT(T1~T2)は、物件の見出し、広告
、説明、又は詳細などの文字情報である。テキストT1では、物件の見出しに関する情報
、例えば、物件名、間取り、及び内見情報が表示される。テキストT2では、物件の詳細
として物件概要、費用、及び設備が表示される。テキストT2では、物件の住所、更新料
、及び火災保険料なども表示される。写真P(P1~P4)は、物件の間取り、外観、内
観、設備、又は周辺設備などを撮影した写真である。写真P1は、物件の間取り(例えば
平面図)を表す写真である。写真P2~P4は、その他の視覚情報を表す写真(例えば地
図情報など)である。情報処理装置10は、このような募集図面に基づいて借主募集サイ
トに掲載するための物件の情報を抽出することができる。なお、これらの情報は、まとめ
られた1つの画像データであってもよいし、それぞれ複数の異なる画像データであっても
よい。
【0081】
図15に戻る。ステップS502において、情報処理装置10は、画像データを解析し
、借主募集サイトに応じて定められた入力項目を抽出する。情報処理装置10による解析
及び抽出処理は、例えば、機械学習モデルを用いて行われる。ここで、機械学習モデルに
ついて説明する。
【0082】
図17は、機械学習モデルによる入力項目の抽出方法を例示する図である。この図は、
機械学習モデルが実行する処理の模式図である。情報処理装置10は、機械学習モデルM
を有する。機械学習モデルMは、募集図面を説明変数として入力を受け付け、目的変数と
して借主募集サイトのフォーマット(以下「テンプレート」という)に応じた入力項目の
値を出力する機能を有する。この例において説明変数は、募集図面に関する画像データ(
例えば、テキスト及び写真を含む)である。目的変数は、入力項目に関するデータ又はサ
イトページの模式図である。
【0083】
機械学習モデルMは、例えば、過去に入力された募集図面の画像データと、借主募集サ
イトのテンプレートに基づいて抽出された入力項目とを含む複数のデータセットを教師デ
ータとして与えられ、予め学習を行う。そのため、機械学習モデルMは、新規に募集図面
が入力された場合であっても(例えば、ステップS501に相当)、画像データから各要
素を抽出し、テンプレートマッチングなどの処理を行うことで、精度良く、入力項目を出
力することができる。この例において機械学習モデルMは、募集図面内の情報、例えば、
キーワード、数値、又は写真などに基づいて処理を行う。あるいは、教師データに対して
予めラベリング又はアノテーションなどの処理を施すことで、機械学習モデルMによる処
理精度が向上する。
【0084】
図15に戻る。ステップS503において、情報処理装置10は、募集図面から写真を
抽出し、借主募集サイトにおけるレイアウトを決定する。この例において情報処理装置1
0は、例えば、
図16の募集図面の写真P(P1~P4)に対して、写真の選択、配置箇
所の決定、写真の加工処理、又は掲載順序の決定などを行う。なお、この処理は、機械学
習モデルなどによって行われてもよい。例えば、情報処理装置10は、機械学習モデルM
と同じ(あるいは異なる)機械学習モデルを用いてレイアウトの決定を行う。
【0085】
ステップS504において、情報処理装置10は、借主募集サイトに物件の掲載を行う
。この例において情報処理装置10は、抽出した入力項目を含む物件データを、借主募集
サイトに対してアップロードする。借主募集サイトは、情報処理装置10が管理してもよ
いし、別のサーバによって運営されていてもよい。ここで、借主募集サイトについて説明
する。
【0086】
図18は、借主募集サイトを例示する図である。この図は、借主募集サイトの物件ペー
ジに関する表示例である。サイト画面SD1は、借主募集サイトを表示する外部端末の表
示画面である。この例においてサイト画面SD1は、Webサーバなどで構築されたサイ
トページに端末からアクセスすることで図のような画面として表示される。領域Aは、物
件ページ内の物件データを掲載するためのエリア(レイアウトの一例)である。領域A1
は、インデックス情報を表示する領域である。領域A2は、物件の複数の写真を一か所に
表示する領域である。領域A2では、例えば、スマートフォン端末などの表示画面をスラ
イドすることで表示画像の切り替えが可能である。領域A3は、その他の物件情報を表示
する領域である。領域A3には、物件の詳細な情報が表示される。情報処理装置10は、
このような借主募集サイトの表示に応じて、入力項目の抽出、写真レイアウトの決定、及
び物件データのアップロードを行う。なお、借主募集サイトへの物件登録が可能な主体は
、原則として元付け業者(例えば、管理会社)に限られる。
【0087】
以上により、賃貸物件管理システム1は、募集図面に基づいて借主募集サイトの物件ペ
ージを構築することができる。これにより、管理会社の業務負担を低減させることができ
る。さらに、良質な物件情報をサイト閲覧者に提供することができる。
【0088】
3.変形例
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する事項のうち2つ以上の事項が組み合わ
されて適用されてもよい。
【0089】
(1)賃貸物件管理システム1
賃貸物件管理システム1におけるハードウェア構成、ネットワーク構成、及び機能構成
は、実施形態において例示したものに限定されない。要求される機能を実現できるもので
あれば、賃貸物件管理システム1はどのようなハードウェア構成、ネットワーク構成、及
び機能構成を有していてもよい。例えば、物理的に複数の装置が協働して賃貸物件管理シ
ステム1として機能してもよい。なお、
図1が表す主体、構成、及びシステム構造は、あ
くまで一例であり、システムの概要を表すに過ぎない。賃貸物件管理システム1は、契約
更新に関する種々のシステムと連動してもよい。例えば、賃貸物件管理システム1は、更
新の進捗を管理する専用スケジューラ、解約(又は再契約)を管理する解約システム、又
は保険関連の手続き処理を行う保険管理システムなどと協業してもよい。あるいは、賃貸
物件管理システム1は、物件管理システム、新規契約システム、又は家賃管理システムな
どと協業してもよい。また、賃貸物件管理システム1は、貸主端末20へのメール送信な
どに替えて(又は加えて)人の手を介して行われる方法を有していてもよく、この場合、
例えば管理会社から貸主への対面又は電話による依頼又は通知を含んでいてもよい。なお
、賃貸物件管理システム1は、2-5節で説明した借主募集補助システムの機能を実行す
るために、どのような装置又はシステムと協業してもよい。
【0090】
(2)情報処理装置10
情報処理装置10における機能構成の形態は、実施形態において例示したものに限定さ
れない。要求される機能を実現できるものであれば、情報処理装置10はどのような機能
構成の形態を有していてもよい。また、機能要素とハードウェアとの対応関係は実施形態
において例示したものに限定されない。例えば、実施形態において、情報処理装置10に
実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部が他の装置又はシステムに実装され
てもよいし、反対に、他の装置又はシステムに実装されるものとして説明した機能の少な
くとも一部が情報処理装置10に実装されてもよい。情報処理装置10は、例えば、管理
会社端末40のデータベースを共有し、管理会社が管理する物件の情報を、一括で取得し
てもよい。情報処理装置10は、プリンタなどの複合機(外部装置)と連携し、必要に応
じて契約書データを出力してもよい。
【0091】
(3)貸主端末20
貸主端末20における機能構成の形態は、実施形態において例示したものに限定されな
い。要求される機能を実現できるものであれば、貸主端末20はどのような機能構成の形
態を有していてもよい。また、機能要素とハードウェアとの対応関係は実施形態において
例示したものに限定されない。例えば、実施形態において、貸主端末20に実装されるも
のとして説明した機能の少なくとも一部が他の装置又はシステムに実装されてもよいし、
反対に、他の装置又はシステムに実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部が
貸主端末20に実装されてもよい。貸主端末20は、情報処理装置10から受信した更新
条件の問い合わせの回答について、情報処理装置10のアプリなどを介して、管理会社端
末40に連絡事項(質問・相談など)を送信してもよい。
【0092】
(4)借主端末30
借主端末30における機能構成の形態は、実施形態において例示したものに限定されな
い。要求される機能を実現できるものであれば、借主端末30はどのような機能構成の形
態を有していてもよい。また、機能要素とハードウェアとの対応関係は実施形態において
例示したものに限定されない。例えば、実施形態において、借主端末30に実装されるも
のとして説明した機能の少なくとも一部が他の装置又はシステムに実装されてもよいし、
反対に、他の装置又はシステムに実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部が
借主端末30に実装されてもよい。借主端末30は、情報処理装置10から端末の使用者
(居住者)が居住する物件の各種情報を取得可能であってもよい。
【0093】
(5)管理会社端末40
管理会社端末40における機能構成の形態は、実施形態において例示したものに限定さ
れない。要求される機能を実現できるものであれば、管理会社端末40はどのような機能
構成の形態を有していてもよい。また、機能要素とハードウェアとの対応関係は実施形態
において例示したものに限定されない。例えば、実施形態において、管理会社端末40に
実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部が他の装置又はシステムに実装され
てもよいし、反対に、他の装置又はシステムに実装されるものとして説明した機能の少な
くとも一部が管理会社端末40に実装されてもよい。管理会社端末40は、情報処理装置
10の更新契約に関する情報を物件毎に登録する機能を有していてもよい。
【0094】
(6)契約更新の手続き処理方法及び借主による入金方法
図4に示すシーケンスチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、賃貸物件管理
システム1の動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が変更・省略されてもよい
し、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。ステップS107
において、情報処理装置10は、合意手続きの依頼期日の到来を契機に、借主端末30に
対して、契約更新の意思確認を送信する前に、新たな更新条件が反映された更新契約書の
データを発行してもよい。その後、情報処理装置10は、借主端末30に対して、契約更
新の意思確認と、手続き依頼に必要な契約書データとを同じタイミングで送信してもよい
。これによって、借主が予め契約更新を希望する場合、即時更新契約の手続きに移行する
ことができる。なお、ステップS107において、契約更新の意思確認のタイミングと、
借主への更新料の入金依頼のタイミングとが、同時でなくてもよい。例えば、契約書デー
タを出力するタイミングと同時など、借主への更新料の入金依頼は、他のタイミングでも
よい。情報処理装置10から貸主、借主、及び管理会社への通知は、それぞれ、アプリ上
の通知に限らず、電子メール、SMSなど他の手法でもよい。ステップS107~ステッ
プS108において、情報処理装置10は、更新料の変動(例えば家賃の値上げなど)を
借主に通知する場合、回答フォームにて借主から家賃の値上げに関する相談を受け付けて
もよい。この例において情報処理装置10は、回答フォームに相談用のチェック欄を追加
して借主の入力を受け付ける、あるいは電話又はメールなどの連絡先を回答フォームに提
示する実装を有していてもよい。
【0095】
(7)入金データ取得方法及び契約書発行方法
図8に示すシーケンスチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、賃貸物件管理
システム1の動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が変更・省略されてもよい
し、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。ステップS201
~ステップS202において、情報処理装置10は、どのような方法で入金データの取得
及び入金確認の実施をしてもよい。この例において情報処理装置10又は管理会社端末4
0が入金確認を実施する方法は、銀行サーバとのAPI連携に限定されない。例えば、情
報処理装置10は、銀行が所有する端末(例えばコンピュータ)からのメール、SMS等
による通知、あるいは銀行員からの電話(つまり人力)による通知などを取得してもよい
。管理会社端末40にインストールされているソフトウェア(又はアプリケーション)に
加えて、例えば、ネットバンキング又はWeb決済サービスと連携し、情報処理装置10
は、入金データを取得してもよい。この例において賃貸物件管理システム1は、予め電子
決済システムなどと連携し、種々の支払い方法が可能な機能を有していてもよい。なお、
最終的な貸主への入金に関し、貸主と管理会社とが同一の場合、情報処理装置10から借
主による更新料の支払い報告を受けた時点で、データベース内の進捗状況が更新されても
よい。データベースには、貸主の欄と管理会社の欄とに同一の名称及び宛先などが記録さ
れているため、このような場合であったとしても、入金確認を自動的に行うことができる
。
【0096】
その他に、情報処理装置10は、借主端末30から入金完了を示す報告を受け付けたこ
とを契機に、管理会社端末40に対して、入金有無の確認を行ってもよい。また、情報処
理装置10が、管理会社端末40から入金データを取得した後、借主端末30に対して、
入金が正常に行われたことを示す情報を送信してもよい。さらに、情報処理装置10は、
管理会社端末40を介さずに、銀行サーバから直接、入金情報を取得してもよい。この場
合、情報処理装置10に銀行サーバとのAPI連携機能が実装される。
【0097】
(8)借主及び貸主に対する更新契約書の合意手続き方法
図10に示すシーケンスチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、賃貸物件管
理システム1の動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が変更・省略されてもよ
いし、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。ステップS30
2において、借主端末30は、各種入力装置と連携して借主が更新契約書データに対して
行う署名・サインの入力を受け付けてもよい。賃貸物件管理システム1は、図示した動作
のうち少なくとも一部を既存の電子契約システムを介して実施してもよい。また、更新契
約に限らず、再契約の場合など、種々の契約形態に応じて
図11の契約フォームなどが変
更されてもよい。
【0098】
(9)貸主及び借主に対する回答依頼方法
図12に示すシーケンスチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、賃貸物件管
理システム1の動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が変更・省略されてもよ
いし、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。ステップS40
2において、情報処理装置10は、契約更新日の近い順に優先順位が設けられた、管理会
社が管理する複数の物件の更新状況をまとめて管理会社端末40に出力してもよい。この
際、貸主端末20/借主端末30に対して、問い合わせ/確認を行ったものの、回答の返
事が無い物件について、情報処理装置10は、管理会社端末40が識別可能な状態で各種
データを送信してもよい。
【0099】
(10)借主募集サイトへの物件掲載方法
図15に示すシーケンスチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、借主募集補
助システムの動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が変更・省略されてもよい
し、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。システムが、買主
募集に関する処理を含む場合、上述した機能及び動作の少なくとも一部が適宜変更されて
実装されてもよい。ステップS502において、情報処理装置10は、どのような方法を
用いて募集図面に関する解析及び抽出処理を行ってもよい。例えば、情報処理装置10は
、LLM(Large Language Models)を用いて読み込んだ募集図面の情報を抽出したり、
既存のフォーマットに応じた文章を生成したりしてもよい。さらに、募集図面のフォーマ
ット統一のため、情報処理装置10は、募集図面の空の書式ファイルを出力してもよい。
募集図面のフォーマットには、物件の画像及び物件情報の配置が決められており、いわゆ
る元付け業者はこのフォーマットに従って募集図面を入力できる。このフォーマットに従
って入力すれば、情報の読み取りがより正確にできる。
【0100】
また、ステップS502において、情報処理装置10は、募集図面から抽出された物件
住所及び地図情報などから、借主募集サイトと連携する地図アプリを用いて物件の場所に
関する位置情報を取得してもよい。この例において情報処理装置10は、借主募集サイト
内のマップに物件の位置を表示してもよい。ステップS503において、情報処理装置1
0は、借主募集サイトに掲載する写真の配置、表示、又は構図に関する処理を自動的に行
ってもよい。また、これらの処理には、どのような手段が採用されてもよく、例えば、A
Iなどの機能が利用されてもよい。ステップS504において、情報処理装置10は、掲
載が完了した(あるいは、掲載予定の)サイト情報を管理会社端末40に出力してもよい
。これによって、管理会社の担当者は、物件の表示を確認することができる。また、ステ
ップS501~ステップS504において、借主募集補助システムは、一度データベース
に登録した物件に関しては、管理会社から再度掲載要求があった場合、既存のデータを利
用してもよい。また、その際に、借主募集補助システムは、管理会社に対して募集図面(
又はサイトページ)の修正、追加、及び削除などの確認を依頼してもよい。
【0101】
その他に、借主募集補助システムは、借主募集サイトに対して問い合わせのあったユー
ザ(例えば、借主予定者)に対して、問い合わせ回答、資料送付、又は内見案内に関する
処理を実施してもよい。借主募集補助システムは、例えば、内見案内システムと連動し、
物件の予約、内見日の設定、及び管理会社への通知などの処理を行う。これによって、内
見に関する処理を自動で行うことができる。
【0102】
(11)データベース
図5、
図9、及び
図13に示す賃貸物件管理システム1のデータベースは、実施形態に
おいて例示したものに限定されない。この例においてデータベースに登録される情報はど
のようなものでもよく、例えば、物件情報、契約情報、期限情報、及び回答情報などに加
え、管理会社が固有に定める期限に応じた情報であってもよい。また、データベースのレ
イアウトは、図示したものに限定されず、どのようなレイアウトでデータが管理されても
よい。なお、情報処理装置10が貸主端末20、借主端末30、及び管理会社端末40に
出力する/表示させるデータは、データベースに登録されたデータであればどのようなデ
ータであってもよい。賃貸物件管理システム1は、処理に必要な書類データのひな形をデ
ータベースに記録していてもよい。この例において賃貸物件管理システム1は、案内書、
契約書費用清算書、賃貸借契約書、保証人承諾書、及び取引成立台帳などのテンプレート
を利用し、書類データの生成を行う。
【0103】
(12)表示画面・入力方法
図6~
図7、
図11、
図14、
図16、及び
図18に示す表示画面は、実施形態におい
て例示したものに限定されない。この例において各種装置に表示させる表示画面に関し、
各種装置のUIに応じて、表示レイアウト/入力フォームが定義されてもよい。また、そ
もそも表示画面のレイアウト又は構成は、スマートフォンなどの端末のUIに合わせて最
適な表示画面に設定されてもよい。また、入力方法についても同様に、各種装置のUIに
合わせた最適な設計が採用されてもよい。
【0104】
(13)ブロックチェーン
実施形態において例示した構成及び動作に関し、ブロックチェーン技術が賃貸物件管理
システム1に適用されてもよい。賃貸物件管理システム1におけるブロックチェーン技術
の適用に関し、例えば、データベース内に登録されたデータが、種々のブロックチェーン
ネットワークに記録されてもよい。特に、更新契約に関する貸主/借主回答、入力時のタ
イムスタンプ、又は電子契約に応じたデータがブロックチェーンネットワークに記録され
てもよい。若しくは、電子契約に関する種々の手続きをブロックチェーンネットワークを
介して実行するスマートコントラクト機能が賃貸物件管理システム1に実装されてもよい
。これによって各種データの削除及び書き換え等ができない状態でデータを保護すること
ができる。なお、ブロックチェーンネットワークに記録されるデータはどのようなもので
あってもよい。
【0105】
(14)その他
CPU101によって実行される各種プログラムは、インターネット等のネットワーク
を介したダウンロードにより提供されるものであってもよいし、DVD-ROM等のコン
ピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。なお、
各プロセッサは、CPUに代えて、例えば、MPU(Micro Processing Unit)又はGP
U(Graphics Processing Unit)であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…賃貸物件管理システム、10…情報処理装置、20…貸主端末、30…借主端末、4
0…管理会社端末、9…ネットワーク、11…アクセス手段、12…第1送信手段、13
…第1受信手段、14…第2送信手段、15…第2受信手段、16…出力手段、171…
第1依頼手段、172…第2依頼手段、173…受け付け手段、174…通知手段、17
5…抽出手段、176…アップロード手段、177…決定手段、18…記憶手段、19…
制御手段、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF、
1001…賃貸更新データベース、2001…更新状況データベース、4000…入金デ
ータ
【要約】 (修正有)
【課題】利便性の高い改善された賃貸物件管理方法を実現する情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】賃貸物件管理システム1において、情報処理装置は、複数の不動産賃貸物件の各々について、貸主、借主、管理会社及び契約更新日を記録されたデータベースにアクセスするアクセス手段と、前記複数の不動産賃貸物件のうち対象となる対象物件について、前記契約更新日前の指定された期日が到来した場合、当該対象物件の貸主に更新条件の問い合わせを送信する第1送信手段と、前記貸主から前記問い合わせに対する貸主回答を受信する第1受信手段と、前記貸主回答により示される更新条件を含む契約更新の意思確認を前記対象物件の借主に送信する第2送信手段と、前記借主から前記意思確認に対する借主回答を受信する第2受信手段と、前記借主回答に応じた情報を、設定された出力先に出力する出力手段と、を有する。
【選択図】
図2