(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20250212BHJP
B65D 83/06 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B65D83/04 E
B65D83/06 F
(21)【出願番号】P 2024028215
(22)【出願日】2024-02-28
【審査請求日】2024-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】724001763
【氏名又は名称】宇野 慎太郎
(73)【特許権者】
【識別番号】724001796
【氏名又は名称】松村 碧陽
(73)【特許権者】
【識別番号】724001785
【氏名又は名称】水野 太貴
(73)【特許権者】
【識別番号】724001774
【氏名又は名称】鳥濱 来央
(72)【発明者】
【氏名】宇野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】松村 碧陽
(72)【発明者】
【氏名】水野 太貴
(72)【発明者】
【氏名】鳥濱 来央
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-082876(JP,U)
【文献】実開平02-135507(JP,U)
【文献】特開2015-164878(JP,A)
【文献】特開2006-123944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04-83/06
B65D 77/08
B65F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収納されて販売に供される容器であって、
容器本体と前記容器本体に内蔵される仕切板とからなり、
前記仕切板は、前記容器本体内を、ごみを収容可能な上部空間と内容物を収納可能な下部空間とに分割可能な形状に形成されているとともに、
前記容器本体は、前記上部空間にごみを投入可能なごみ投入口および前記下部空間から内容物を排出可能な内容物排出口を有しており、
前記仕切板は、前記下部空間から前記内容物が排出されるのに伴って自重または弾性物による弾性力によって降下し、前記上部空間の収容量を増加することができるように上下動可能に構成されて
おり、
前記容器本体は、内部容器と外部容器とからなり、一方は底部のある円筒状、他方は天部のある円筒状に形成されていて、前記底部および前記天部の反対となる開口側から互いに嵌合させることで上下面が閉鎖された二重管を構成し、
前記内部容器および前記外部容器には、相対的に所定の角度回転させることで開口する前記ごみ投入口と、相対的に所定の角度回転させた後、上方向および下方向のいずれかの方向にスライドさせることで開口する前記内容物排出口とが形成されている、前記容器。
【請求項2】
前記内部容器および前記外部容器には、相対的に所定の角度回転させることで開口する前記ごみ投入口と、前記ごみ投入口を開口させた状態から、上方向および下方向のいずれかの方向にスライドさせることで開口する前記内容物排出口とが形成されている、
請求項1に記載の容器。
【請求項3】
内容物が収納されて販売に供される容器であって、
容器本体と前記容器本体に内蔵される仕切板とからなり、
前記仕切板は、前記容器本体内を、ごみを収容可能な上部空間と内容物を収納可能な下部空間とに分割可能な形状に形成されているとともに、
前記容器本体は、前記上部空間にごみを投入可能なごみ投入口および前記下部空間から内容物を排出可能な内容物排出口を有しており、
前記仕切板は、前記下部空間から前記内容物が排出されるのに伴って自重または弾性物による弾性力によって降下し、前記上部空間の収容量を増加することができるように上下動可能に構成されて
おり、
前記容器を上下反転したときに、前記仕切板が自重で降下しない反転時降下防止手段を備え
ており、
前記反転時降下防止手段は、
前記容器本体の内周面に上方から下方にかけてらせん状に形成されたガイド溝と、
前記仕切板の外周縁から突出するように形成されており、前記ガイド溝に嵌め入れられて前記仕切板を前記ガイド溝に沿って回転させながら降下させるガイド突起と
を有しており、
前記ガイド溝の上面には、前記容器を上下反転させたときに、前記ガイド突起を係止し、前記仕切板の降下を防止する複数個の降下防止用係止突起が形成されている、
前記容器。
【請求項4】
前記降下防止用係止突起は、前記容器が上下反転された状態で略水平となり、前記ガイド突起を載置させて前記ガイド突起の脱落を防止するガイド突起載置面を備えている、
請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記降下防止用係止突起は、前記容器が上下反転された状態で下方に向けて窪んだ凹形状となり、前記ガイド突起を嵌合させるガイド突起嵌合凹溝を備えている、
請求項3に記載の容器。
【請求項6】
内容物が収納されて販売に供される容器であって、
容器本体と前記容器本体に内蔵される仕切板とからなり、
前記仕切板は、前記容器本体内を、ごみを収容可能な上部空間と内容物を収納可能な下部空間とに分割可能な形状に形成されているとともに、
前記容器本体は、前記上部空間にごみを投入可能なごみ投入口および前記下部空間から内容物を排出可能な内容物排出口を有しており、
前記仕切板は、前記下部空間から前記内容物が排出されるのに伴って自重または弾性物による弾性力によって降下し、前記上部空間の収容量を増加することができるように上下動可能に構成されて
おり、
前記容器を上下反転したときに、前記仕切板が自重で降下しない反転時降下防止手段を備え
ており、
前記反転時降下防止手段は、
前記容器本体の中心位置に立設されたガイド棒と、
前記ガイド棒に所定間隔ごとに並べて形成された略円錐台状の逆行防止円錐部と、
前記仕切板の中心位置でかつ前記逆行防止円錐部を挿通可能な大きさに開口された挿通孔と
を有しており、
前記逆行防止円錐部は、前記容器を上下反転させた状態において、前記ガイド棒と前記仕切板との中心位置がずれた場合に、前記挿通孔の周縁部を係止して前記仕切板の降下を防止する、
前記容器。
【請求項7】
前記容器本体には、前記内容物とは異なる複数枚のシート状の付加物を収納できる収納凹部が形成されているとともに、
前記収納凹部の上部開口には、前記付加物の少なくとも一部を覆う被覆部と、前記被覆部の側部から前記収納凹部内に指を入れて前記付加物をスライド移動させるためのスライド用開口部と、前記被覆部のスライド方向の両端に開口されておりスライド移動させた前記付加物を取り出すための取出用開口部とが形成されている、
請求項1から請求項6のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ入れの付いた容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒状のガム等は、開閉可能な蓋を備えた容器内に収納した、いわゆるボトルガムとして販売されている。噛み終わったガム等は、そのまま廃棄するのは公衆道徳上,衛生上,美観上好ましくない。よって、紙等に包んで廃棄するのが慣行である。しかしながら、紙に包んだガムを廃棄するためにゴミ箱等の廃棄場所が必要であり、廃棄場所が近くに無い場合には、ガムを噛み終わるごとに一々廃棄場所まで運ばなければならない。従って、携帯用には不向きである。そこで、これまでに、この様な不都合を解消すべく、ゴミ入れ付きの容器に係る発明が提案されている。
【0003】
例えば、特開2008-7306号公報には、複数のガムが収納された容器と、容器体の胴部に摺動降下可能に嵌合した上端開口の有底筒状をなす可動カバーを備え、容器体の胴部と可動カバー周壁との間に投入・収納用の第1空間を形成し、第1空間と連通する投入口を可動カバーの上端部に設けている。そして、容器体に対する可動カバーの相対降下時に第1空間と連通する第2空間が容器体底部と可動カバー底部との間に形成される、ゴミ入れ付容器が提案されている(特許文献1)。
【0004】
この特許文献1によれば、上記ゴミ入れ付容器は、喫食後、捨て紙に包んだガムを第2空間に廃棄することができるとともに、可動カバーの摺動降下により、ゴミの量に応じてゴミ収納量を増やすことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された上記従来の容器においては、可動カバーを降下させてゴミ収納量を増やすのにつれて容器全体が大きくなってしまうという問題がある。また、ガムの個数が減少するのにつれてガムの遊び空間が生じ、携帯時の振動などで音が発生するといった問題もある。さらに、蓋を開いて指を容器の中に入れてガムを取り出す必要があるため、その都度ほこりや手指についた雑菌が容器内に侵入して衛生的でないという問題もある。
【0007】
本発明は、これらのような事情に鑑みなされたもので、粒状ガムや個包装されたキャンデー等を対象として収納し、これらの内容物の減少に伴って、ごみの収容量を増加させることができるとともに、前記ごみ収容部に加え、容器上面に捨て紙を一枚づつ取り出し可能に収納する収納凹部を備えており、内容物が減少しても遊び空間による音の発生を抑えることができ、且つ容器内に指を入れずとも内容物および捨て紙を取り出すことができるコンパクトなごみ入れ付容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る容器は、ごみの収容量を増加させることにより容器全体が大きくなり、内容物の減少に伴う遊び空間により音が発生するという課題を解決するために、内容物が収納されて販売に供される容器であって、容器本体と前記容器本体に内蔵される仕切板とからなり、前記仕切板は、前記容器本体内を、ごみを収容可能な上部空間と内容物を収納可能な下部空間とに分割可能な形状に形成されているとともに、前記容器本体は、前記上部空間にごみを投入可能なごみ投入口および前記下部空間から内容物を排出可能な内容物排出口を有しており、前記仕切板は、前記下部空間から前記内容物が排出されるのに伴って自重または弾性物による弾性力によって降下し、前記上部空間の収容量を増加することができるように上下動可能に構成されている。
【0009】
また、本発明の一態様として、意図せず内容物が飛び出るという課題を解決するために、前記容器本体は、内部容器と外部容器とからなり、一方は底部のある円筒状、他方は天部のある円筒状に形成されていて、前記底部および前記天部の反対となる開口側から互いに嵌合させることで上下面が閉鎖された二重管を構成し、前記内部容器および前記外部容器には、相対的に所定の角度回転させることで開口する前記ごみ投入口と、相対的に所定の角度回転させた後、上方向および下方向のいずれかの方向にスライドさせることで開口する前記内容物排出口とが形成されていてもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様として、意図せず内容物が飛び出るのを防止するとともに、ごみ投入口の開口操作からの連続操作で内容物排出口を開口させるという課題を解決するため、前記内部容器および前記外部容器には、相対的に所定の角度回転させることで開口する前記ごみ投入口と、前記ごみ投入口を開口させた状態から、上方向および下方向のいずれかの方向にスライドさせることで開口する前記内容物排出口とが形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様として、容器内に指を入れずに捨て紙などの付加物を簡単かつ確実に取り出すという課題を解決するため、前記容器本体には、前記内容物とは異なる複数枚のシート状の付加物を収納できる収納凹部が形成されているとともに、前記収納凹部の上部開口には、前記付加物の少なくとも一部を覆う被覆部と、前記被覆部の側部から前記収納凹部内に指を入れて前記付加物をスライド移動させるためのスライド用開口部と、前記被覆部のスライド方向の両端に開口されておりスライド移動させた前記付加物を取り出すための取出用開口部とが形成されていてもよい。
【0012】
さらに、本発明の一態様として、容器が上下反転したときに仕切板によって内容物を押さえられなくなるという課題を解決するために、前記容器を上下反転したときに、前記仕切板が自重で降下しない反転時降下防止手段を備えていてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様として、上下正しい状態のときには、仕切板を自重で降下させ、上下反転させたときには、自重で降下するのを防止するという課題を解決するため、前記反転時降下防止手段は、前記容器本体の内周面に上方から下方にかけてらせん状に形成されたガイド溝と、前記仕切板の外周縁から突出するように形成されており、前記ガイド溝に嵌め入れられて前記仕切板を前記ガイド溝に沿って回転させながら降下させるガイド突起とを有しており、前記ガイド溝の上面には、前記容器を上下反転させたときに、前記ガイド突起を係止し、前記仕切板の降下を防止する複数個の降下防止用係止突起が形成されていてもよい。
【0014】
さらに、本発明の一態様として、容器を上下反転させたときに、ガイド突起を降下防止用係止突起に確実に係止させるという課題を解決するため、前記降下防止用係止突起は、前記容器が上下反転された状態で略水平となり、前記ガイド突起を載置させて前記ガイド突起の脱落を防止するガイド突起載置面を備えていてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様として、容器を上下反転させたときに、ガイド突起を降下防止用係止突起に確実に係止させるという課題を解決するため、前記降下防止用係止突起は、前記容器が上下反転された状態で下方に向けて窪んだ凹形状となり、前記ガイド突起を嵌合させるガイド突起嵌合凹溝を備えていてもよい。
【0016】
さらに、本発明の一態様として、上下正しい状態のときには、仕切板を自重で降下させ、上下反転させたときには、自重で降下するのを防止するという課題を解決するため、前記反転時降下防止手段は、前記容器本体の中心位置に立設されたガイド棒と、前記ガイド棒に所定間隔ごとに並べて形成された略円錐台状の逆行防止円錐部と、前記仕切板の中心位置でかつ前記逆行防止円錐部を挿通可能な大きさに開口された挿通孔とを有しており、前記逆行防止円錐部は、前記容器を上下反転させた状態において、前記ガイド棒と前記仕切板との中心位置がずれた場合に、前記挿通孔の周縁部を係止して前記仕切板の降下を防止するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、容器本体を降下可能な仕切板によってごみを収容可能な上部空間と、内容物を収納可能な下部空間とに分けることで、内容物の減少に伴って仕切板が降下し、容器全体の大きさを変化させずに上部空間の収容量を増加させることができる。
【0018】
また、仕切板の降下によって、内容物の遊び空間が小さくなることで音を抑えることができる。
【0019】
さらに、容器本体と仕切板は、反転時降下防止手段を備えているため、容器が上下反転しても音を抑える効果を維持することができる。
【0020】
また、内容物排出口を内部容器と外部容器の相対的な回転と上下スライドの二段階スライド動作によって開口することができるように構成されているため、意図せず内容物が飛び出すことを防止することができる。
【0021】
さらに、容器の天部に設けられた収納凹部によって、捨て紙を一枚づつ取り出すことができ、指を容器の中に入れて内容物や捨て紙を取り出す必要がなく、ほこりや手指についた雑菌が容器内に侵入して不衛生となることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る容器の第一実施形態を示す組立斜視図である。
【
図2】本第一実施形態の容器を示す組立断面図である。
【
図4】本第一実施形態におけるごみ投入口および内容物排出口の開口時における回転操作およびスライド操作を示す模式図である。
【
図5】本第一実施形態における収納凹部からの紙の取り出し方法を示す斜視図である。
【
図6】本第一実施形態における反転時降下防止手段において、上下正しい状態(左側)と上下反転した状態(右側)を示す模式図である。
【
図7】本発明に係る他の実施形態の反転時降下防止手段における、上下正しい状態(左側)と上下反転した状態(右側)を示す模式図である。
【
図8】本発明に係る容器の第二実施形態における上下正しい状態(左側)と上下反転した状態(右側)の容器内部を示す模式図である。
【
図9】本発明に係る容器の第三実施形態であって、容器内部の反転時降下防止手段を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る容器の第一実施形態について説明する。
【0024】
本第一実施形態の容器は、
図1に示すように、内容物として粒状のガムを多数個充填して販売に供されるものであって、容器本体1と、容器本体1に内蔵される仕切板2とから構成される。
【0025】
容器本体1は、内容物、仕切板2および内容物を使用した後のごみを収容する容器部分であり、本第一実施形態では、内部容器11と、その外側の外部容器12とから構成されている。
【0026】
内部容器11は、底部のある円筒状に形成されており、側面上端近傍には内部にごみを投入可能なごみ投入口111が開口しているとともに、側面下端近傍には内部から内容物を排出可能な内容物排出口112が開口している。
【0027】
また、内部容器11の外周面には、
図1、
図2および
図4に示すように、外部容器12と相対的に回転または上下スライドさせる際のガイドとなるスライド溝113が形成されている。本第一実施形態におけるスライド溝113は、
図1に示すように、回転方向に沿って形成された回転用溝113aと、この回転用溝113aの一方の端部から上方向に沿って形成された上下スライド用溝113bと、前記回転用溝113aの他端部側の溝の深さよりも浅い凸状に形成されており、外部容器12の突起122を乗り越えさせて係止することで回転操作をロックするロック凸部113cとを有する。
【0028】
また、内部容器11の底部は、容器を持ちやすくするため、外部容器12の外径以上の外径寸法を有する円盤状に形成されている。
【0029】
外部容器12は、内部容器11とともに内部に内容物やごみ、仕切板を内蔵可能な空間を形成するためのものであり、天部のある円筒状に形成されている。この外部容器12の内径は、内部容器11の外径よりわずかに大きい寸法に形成されており、
図3に示すように、前記内部容器11の底部および前記外部容器12の天部の反対となる開口側から互いに嵌合させることで上下面が閉鎖された二重管を構成している。
【0030】
また、外部容器12の内周面には、
図2および
図4に示すように、スライド溝113に嵌合される突起122を備えている。これら外部容器12の突起122および、内部容器11のスライド溝113によって、回転および上下スライドの範囲が規制され、必要以上に回転や上下スライドするのを防止することができる。
【0031】
さらに、外部容器12には、
図1および
図4に示すように、外部容器12の突起122を内部容器11のロック凸部113cに嵌合させたロック状態から外部容器12と内部容器11とを相対的に所定の角度回転させたときに、内部容器11のごみ投入口111に連通する連通孔121が開口されている。
【0032】
なお、回転方向は、特に限定されるものではなく、上記スライド溝113の構造や位置に応じて適宜選択することができる。
【0033】
また、外部容器12の天部には、複数枚のシート状の付加物を収納できる収納凹部123が形成されている。また、本第一実施形態における収納凹部123の上部開口には、
図2、
図3および
図5に示すように、前記付加物の少なくとも一部を覆う被覆部123cと、前記被覆部123cの側部から前記収納凹部内に指を入れて付加物をスライド移動させるためのスライド用開口部123aと、前記被覆部のスライド方向の両端に開口されておりスライド移動させた前記付加物を取り出すための取出用開口部123bとが形成されている。
【0034】
本第一実施形態における収納凹部123は、付加物として噛み終えた後のガムを包む捨て紙を収納する捨て紙収納部として機能するようになっており、矩形状の捨て紙を収納するため、平面視で略矩形状に形成されている。また、
図2に示すように、収納凹部123のスライド方向の両端部は、底部が取出用開口部123bに向かって凹曲面状に形成されたフィレットが形成されている。
【0035】
被覆部123cは、収納凹部123に収納された捨て紙が意図せず飛び出すのを防止するためのものであり、前記収納凹部123の上部開口であって、1つの縁部から中央に向けて前記捨て紙の一部を覆うように形成されている。
【0036】
スライド用開口部123aは、収納凹部123に捨て紙を収納する際の投入口になるとともに、被覆部123cの側部から指を入れて捨て紙をスライド移動させるための開口であって、前記被覆部123cの基端部と逆側の側部に一般的な成人の指の先端を入れられる程度の隙間ができるように開口している。
【0037】
取出用開口部123bは、スライド用開口部123aを用いてスライド移動させた捨て紙を収納凹部123から外部へ取り出すための開口であって、
図1に示すように、前記被覆部123cのスライド方向の両端において、捨て紙を通過させることができる程度の隙間ができるように開口している。
【0038】
なお、本第一実施形態では、内部容器11に底部、外部容器12に天部を有しているが、これに限定されるものではなく、内部容器11に天部、外部容器12に底部を有する構成にしてもよい。
【0039】
仕切板2は、容器本体1の内部空間を、ごみを収容可能な上部空間と、内容物を収納可能な下部空間とに分けるための板であって、本第一実施形態では、内部容器11の内周に対して、わずかに小さい外径の円板状に形成されており、前記内部容器11の内部空間において自重によって降下可能に内蔵されている。
【0040】
また、本第一実施形態の容器は、容器を上下反転させたときに、仕切板2が自重で降下しないための反転時降下防止手段を備えている。
【0041】
本第一実施形態における反転時降下防止手段は、
図1および
図2に示すように、上記内部容器11の内周面に上方から下方にかけてらせん状に形成されたガイド溝114と、上記仕切板2の外周縁から突出するように形成されており、当該ガイド溝114に嵌め入れられて仕切板2を当該ガイド溝114に沿って回転させながら降下させるガイド突起21とによって構成されている。
【0042】
ガイド溝114の下面は、
図6に示すように、容器が上下正しい状態のときに、仕切板2が自重で下降するのを妨げないように面状に形成されている。
【0043】
一方、ガイド溝114の上面は、容器が上下反転された状態のときに、仕切板2が自重で降下するのを妨げるため、複数個の降下防止用係止突起が形成されている。本第一実施形態における降下防止用係止突起は、階段状に形成されており、容器が上下反転された状態において略水平となり、ガイド突起21を載置させて前記ガイド突起21の脱落を防止するガイド突起載置面を備えている。
【0044】
なお、降下防止用係止突起は、ガイド突起載置面を備えている構成に限定されるもではなく、
図7に示すように、上下反転された状態で下方に向けて窪んだ凹形状となり、ガイド突起21を嵌合させるガイド突起嵌合凹溝を備えていてもよい。
【0045】
また、ガイド突起21は、
図6に示すように、直角三角形状に形成されており、容器が上下正しい状態のときに、下面が面状に形成されたガイド溝114の下面に沿うように傾斜面状に配置されている。
【0046】
一方、ガイド突起21は、容器が上下反転された状態のときに、ガイド突起載置面と面で接触するように配置されている。よって、ガイド突起21は、ガイド突起載置面に載置されるとともに、前記ガイド突起載置面と面接触させることで摩擦抵抗が強くなり、下の段により降下しづらくすることができる。
【0047】
なお、ガイド突起21の形状は、直角三角形状に限定されるものではなく、
図7に示すように、円柱状や楕円柱状などから適宜選択してもよい。
【0048】
次に、本第一実施形態の容器における各構成の作用について説明する。
【0049】
容器の内部空間であって、仕切板2によって仕切られた下部空間に内容物を収納する。仕切板2は、容器の内部において上下動可能であり、内部空間に対して目一杯内容物を収納することができる。
【0050】
内容物を取り出す前においては、外部容器12と内部容器11が意図せず回転や上下スライドしないように、外部容器12の突起122を内部容器11のロック凸部113cを乗り越えさせて係止することでロックさせておく。
【0051】
次に、内容物を取り出すときは、上記回転用溝113aに沿って上記上下スライド用溝113bまで回転した後、上記上下スライド用溝113bに沿って上記外部容器12を上方向にスライドさせる。これにより、外部容器12により塞がれていた内部容器11の側面下端近傍の上記内容物排出口112が開口し、内容物を取り出すことができるようになる。このように、本第一実施形態では、内容物排出口112を開口するためには、回転操作と上方へのスライド操作という、方向の異なる二段階の操作が必要なため、意図せず内容物排出口112が開口してしまい内容物が飛び出すのを防止することができる。また、指を容器の中に入れて内容物を取り出す必要がないため、ほこりや手指についた雑菌が容器内に侵入するのを防ぐことができる。また、本第一実施形態では、内容物を取り出すときには、ごみ投入口111が閉口しているため、意図せずごみが飛び出すこともない。
【0052】
一方、ごみを投入するときは、回転用溝113aに沿って外部容器12を所定の角度回転させることで、内部容器11のごみ投入口111と外部容器12の連通孔121が連通し、上部空間にごみを投入可能になる。よって、本第一実施形態における内容物であるガムを噛み終えた後は、天部に設けられた収納凹部123から取り出した捨て紙に包んで捨てることができる。
【0053】
また、本第一実施形態における収納凹部123内に収納される捨て紙は、1枚ずつ積層されており、捨て紙を取り出すには、
図5に示すように、スライド用開口部123aに指を入れて捨て紙を取り出し方向にスライドさせ、捨て紙の先端が取出用開口部123bから出て来たら、捨て紙の先端を指で掴んで引っ張ることで捨て紙を取り出せる。このとき、取出用開口部123bは、二方向あるため、向きを気にせずとも取り出しが容易になる。また、内容物の取り出し時と同様に、容器内に指を入れて捨て紙を取り出す必要がないため、衛生的である。
【0054】
内容物排出口112を開けて内容物を取り出すと、下部空間の内容物の体積が減る。一方、仕切板2は、自重で降下可能に内蔵されているため、体積の減少により降下し、上部空間の容量が増える。これによって、ごみの投入量を増やすことができるため、あらかじめ、ごみの投入量を増やすために上部空間を大きくとる必要がなく、容器全体をコンパクトにすることができる。
【0055】
また、容器の上下が正しい場合は、ガイド突起21の傾斜した下面と面状に形成されたガイド溝114の下面とが接した状態となるため、仕切板2は傾くことなく、スムーズに降下する。さらに、上記仕切板2が降下することで、内容物との間の遊び空間がなくなるため、携帯時の振動などにより内容物同士や内容物と容器とがぶつかり合うことで発生する音を抑えることができる。
【0056】
本第一実施例では、さらに反転時降下防止手段が、容器を反転させたとき仕切板2の降下を防止する。具体的には、
図6に示すように、容器を上下反転させたときにはガイド突起21が、階段状に形成された上記ガイド溝114上面の降下防止用係止突起に係止することで仕切板2の降下を防止する。本第一実施形態では、略水平状のガイド突起載置面と、略水平状のガイド突起21の下面とが、面接触しているため、摩擦抵抗が大きくなり、ガイド突起21がガイド突起載置面から脱落するのを防止することができる。
【0057】
本第一実施形態の容器は、反転時降下防止手段によって上下反転された状態においても仕切板2の降下を防止されるため、音を抑える効果を維持することができる。
【0058】
以上のような本第一実施形態の容器によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
1.容器全体の大きさを変化させずに、内容物の排出にともないごみ収容部の収容量が増加されることができるため、予め大きなごみ収容部を備えておく必要がなく、容器全体をコンパクトにすることができる。
2.二段階の操作を行わなければ内容物排出口112が開口しないため、意図せず内容物が飛び出すことを防止することができる。
3.指を容器の中に入れて内容物や捨て紙を取り出す必要がないため、ほこりや手指についた雑菌が容器内に侵入して不衛生となることを防ぐことができる。
4.容器の上下の方向にかかわらず、仕切板2と内容物との間の遊び空間を少なくすることができるため、携帯時の振動などにより発生する音を抑えることができる。
【0059】
次に、本発明に係る容器の第二実施形態について説明する。なお、第一実施形態で説明した構成と同一または相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0060】
本第二実施形態の反転時降下防止手段は、
図8に示すように、容器本体1の中心位置に立設された円柱状のガイド棒13と、当該ガイド棒13に所定間隔ごとに並べて形成された逆行防止円錐部131と、仕切板2の中心位置でかつ当該逆行防止円錐部131を挿通可能な大きさに開口された挿通孔22とによって構成される。
【0061】
ガイド棒13は、仕切板2を挿通孔22に沿って上下動するのをガイドするためのものであり、容器本体1の中心位置から、容器本体1の天部近傍まで立設されている。
【0062】
逆行防止円錐部131は、容器が上下正しい状態のときには、仕切板2の降下を妨げず、上下反転した状態のときには、仕切板2を係止することによって降下を防止するためのものであり、ガイド棒13の軸方向に対して所定間隔ごとに並べて形成されている。本第二実施形態における逆行防止円錐部131は、
図8に示すように、容器が上下正しい状態のときに上方が頂部となる略円錐状になるように形成されている。
【0063】
挿通孔22は、仕切板2が下降できるようにするための孔であって、仕切板2の中心位置において、逆行防止円錐部131の最大径よりもわずかに大きい寸法で開口している。
【0064】
次に、本第二実施形態における反転時降下防止手段の作用について説明する。
【0065】
図8に示すように、容器の上下が正しい場合、下部空間から内容物が排出されると、仕切板2は自重によって降下を開始する。このとき逆行防止円錐部131は上方から下方に向けて広がるように傾斜しているため、当該仕切板2の中心位置がずれていても、傾斜に沿って中心が一致するようにガイドする。挿通孔22は、逆行防止円錐部131より大きく開口されているため、前記逆行防止円錐部131を挿通させることができる。よって、仕切板2は、自重で降下することができる。
【0066】
一方、上下反転時においては、当該逆行防止円錐部131も逆さになり上面は平面状になる。このとき、挿通孔22が逆行防止円錐部131を通過するには、仕切板2とガイド棒13との中心が一致していなければならず、仕切板2の中心位置がわずかにガイド棒13の中心位置からずれていた場合には、
図8に示すように、逆行防止円錐部131が仕切板2を係止し、降下するのを防止することができる。
【0067】
以上より、本第二実施形態の容器によれば、容器の上下の方向にかかわらず、仕切板2と内容物との間の遊び空間を少なくして、携帯時の振動などにより発生する音を抑えることができるため、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
次に、本発明に係る容器の第三実施形態について説明する。なお、第一実施形態および第二実施形態で説明した構成と同一または相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0069】
本第三実施形態の容器は、
図9に示すように、仕切板2を下方に移動させる弾性力を発揮する弾性物を備えている。
【0070】
本第三実施形態における弾性物は、外部容器12の天部と仕切板2の中心位置とを繋ぐばね3からなり、仕切板2を下方に押しつけるように弾性力を発揮するように構成されている。
【0071】
次に、本第三実施形態の容器の作用について説明する。
【0072】
図9に示すように、本第三実施形態では、下部空間から内容物が排出されると、仕切板2はばね3の弾性力によって内容物を下降させる。よって、上部空間の収容量を増加し、ごみを投入するスペースを増加させることができる。
【0073】
また、容器の上下反転時には、当該ばね3の弾性力によって当該仕切板2の降下を防止することになるため、反転時降下防止手段としての機能を兼ねることができる。
【0074】
以上より、本第三実施形態の容器によれば、弾性物の弾性力によって、容器の上下の方向にかかわらず、仕切板2と内容物との間の遊び空間をなくすように、仕切板2を上下動させることができるため、容器全体のコンパクト化や携帯時の音の抑制など、第一実施形態および第二実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0075】
なお、本発明に係る容器は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、第一乃至第三実施形態では、内容物を粒状ガムとしているが、特に限定するものではなく、たばこや、マッチ棒、個包装されたあめやチョコレート等、各種のものに適用することができる。特に、使用後や食後にごみが発生し、その一時的な捨て場を要するものには有効である。
【符号の説明】
【0076】
1 容器本体
2 仕切板
3 ばね
11 内部容器
12 外部容器
13 ガイド棒
21 ガイド突起
22 挿通孔
111 ごみ投入口
112 内容物排出口
113 スライド溝
114 ガイド溝
121 連通孔
122 突起
123 収納凹部
131 逆行防止円錐部
【要約】 (修正有)
【課題】粒状ガム等を対象として収納し、喫食後のガムを収容でき、容易に取り扱うことができるコンパクトなごみ入れ付容器を提案する。
【解決手段】容器本体1は内部容器11と外部容器12による二重管を構成しており、内部容器11を降下可能な仕切板2によって分けることで、ごみを収容可能な上部空間と、内容物を収納可能な下部空間を形成し、内部容器11と外部容器12の相対的なスライド動作によりごみ投入および内容物排出が可能となるように構成した。
【選択図】
図3