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特許7633636飛散防止カバー及び飛散防止カバーが設けられた刈払機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】飛散防止カバー及び飛散防止カバーが設けられた刈払機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/90 20060101AFI20250213BHJP
【FI】
A01D34/90 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024196305
(22)【出願日】2024-11-08
【審査請求日】2024-11-08
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524413267
【氏名又は名称】株式会社メイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100158023
【弁理士】
【氏名又は名称】牛田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】甕 百合香
(72)【発明者】
【氏名】甕 みぎわ
(72)【発明者】
【氏名】甕 みちる
(72)【発明者】
【氏名】甕 昌徳
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3144196(JP,U)
【文献】特開2012-029681(JP,A)
【文献】特開2008-289373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/00 -34/01
A01D 34/412-34/90
A01D 42/00 -42/08
A01D 43/06 -43/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することにより雑草を刈り取る草刈部と、前記草刈部が先端に設けられたロッド部と、前記ロッド部に設けられ前記草刈部を回転させる駆動源と、を有する刈払機に着脱可能に取り付けられる飛散防止カバーであって、
前記草刈部の上部及び側部を覆い、前記ロッド部が移動可能に貫通する貫通孔が形成された保護カバーと、
前記保護カバーに設けられ、端部が前記ロッド部又は前記草刈部のいずれか一方に固定され、伸縮性を有するロッド支持部と、を有し、
前記保護カバーの側面には、全周に亘って柔軟性を有する周縁材が設けられ、
前記周縁材は、前記ロッド支持部が伸びることにより前記草刈部と接触し、少なくとも一部が地面と接触していることを特徴とする刈払機に用いる飛散防止カバー。
【請求項2】
前記保護カバーは上方から見て円形であって、
前記ロッド支持部は、前記保護カバーの上部であって前記貫通孔の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の刈払機に用いる飛散防止カバー。
【請求項3】
前記保護カバーには、円筒形状であって前記ロッド部が移動可能に貫通することにより前記ロッド部を支持するサポート部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の飛散防止カバー。
【請求項4】
前記保護カバーの外に設けられ、一端が前記ロッド部に着脱可能に固定され、他端が前記保護カバーに固定された伸縮性を有する補助伸縮部を有することを特徴とする請求項1に記載の飛散防止カバー。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の飛散防止カバーが、着脱可能に設けられた刈払機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飛散防止カバー及び飛散防止カバーが設けられた刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、草刈機で除草作業を行う際に草刈作業者に飛散した草や石類が当たらないように防護する草刈機用飛散防止カバーが知られている(特許文献1)。飛散防止カバーには、刈刃の上面側を覆う基板と、基板に備えられ、刈刃の背面側と左右の側面側を覆う周壁を有し且つ下面が開放されたカバー本体と、周壁の前方側に形成された切り欠き部とが設けられている。切欠き部からは、回転駆動する刈刃の一部が飛散防止カバーの外部に露出している。飛散防止カバーは、クランパに操作棹の先端部を通してボルトとナットとで互いに動かないように固定されている。これにより、草等の刈取り対象物の飛散を防止できるとともに、小石等の硬物の飛散を防止して安全性を高めることができる。
【0003】
他の草刈機用飛散防止カバーでは、内側に比較的硬質のプラスチックと外側に合成ゴムによって形成する二重の円盤状の、前記外側の合成ゴム製円盤の最外周縁を上方に屈曲させる反り返りを設けている(特許文献2)。草刈機本体の先端部分に飛散防護カバーを取り付けることにより、作業中の草や石類などの飛散物が無くなる。円盤状の合成ゴム製であるため、刈りにくい所にある草なども最外縁を上方に屈曲を設けたことで、合成ゴムが反り返り狭い隙間の所の草刈りも刈ることが出来きる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-119244号公報
【文献】特開2004-89169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の飛散防止カバーでは、切欠き部で刈刃が露出しているため、露出している刈刃に石が当たって飛散することで周囲の人や物を損傷する虞があった。また、飛散防止カバーに形成された切り欠き部から周囲に石等が飛散することがあった。さらに、草刈機の操作棹と飛散防止カバーとが互いに動かないように固定されているため、飛散防止カバーと刈刃との間に空間が出来てしまい当該空間に存在する雑草を刈ることができなかった。特に、壁際の雑草の除草作業を行うときは、切欠き部の刈刃が壁に当り損傷する可能性があるとともに、飛散防止カバーと刈刃との間に存在する雑草は刈ることが難しかった。
【0006】
特許文献2に記載の草刈機用飛散防止カバーでは、回転するナイロンコードカッターの上部に円盤状であって最外周縁を上方に反らせた防護材が設けられている。しかし、防護材はナイロンコードカッターの上部のみ覆っており側部は露出しているため、ナイロンコードカッターで切断した草、枝、石などが周囲に飛散し人や物を損傷することがあった。さらに、ナイロンコードカッターよりも防護材のほうが大きいため、防護材が障害となって垂直に立設された壁の近傍の草を刈ることが難しかった。
【0007】
そこで、本発明は石や草などが周囲に飛散することを防止することができるとともに壁際の雑草も効率的に刈ることができる飛散防止カバー及び飛散防止カバーが設けられた刈払機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、回転することにより雑草を刈り取る草刈部と、前記草刈部が先端に設けられたロッド部と、前記ロッド部に設けられ前記草刈部を回転させる駆動源と、を有する刈払機に着脱可能に取り付けられる飛散防止カバーであって、前記草刈部の上部及び側部を覆い、前記ロッド部が移動可能に貫通する貫通孔が形成された保護カバーと、前記保護カバーに設けられ、端部が前記ロッド部又は前記草刈部のいずれか一方に固定され、伸縮性を有するロッド支持部と、を有し、前記保護カバーの側面には、全周に亘って柔軟性を有する周縁材が設けられ、前記周縁材は、前記草刈部と接触可能な位置であって、少なくとも一部が地面と接触していることが好ましい。
【0010】
また、前記保護カバーは上方から見て円形であって、前記ロッド支持部は、前記保護カバーの上部であって前記貫通孔の近傍に設けられていることが好ましい。
【0011】
また、前記保護カバーには、円筒形状であって前記ロッド部が移動可能に貫通することにより前記ロッド部を支持するサポート部をさらに有することが好ましい。
【0012】
また、前記保護カバーの外に設けられ、一端が前記ロッド部に着脱可能に固定され、他端が前記保護カバーに固定された伸縮性を有する補助伸縮部を有することが好ましい。
【0013】
本発明の別の観点では、上記に記載されたいずれかの飛散防止カバーが、着脱可能に設けられた刈払機を提供している。
【発明の効果】
【0014】
このような構成によると、ロッド部が貫通孔を移動可能であってロッド支持部が伸縮性を有しているため、草刈部が保護カバー内で移動可能となる。これにより、草刈部と保護カバーとの間の隙間がなくなるため、当該隙間に位置する雑草も除去することが可能となる。従来の飛散防止カバーでは、当該飛散防止カバーとロッドとが移動不能に固定されていたため、壁際の雑草を綺麗に除去することが難しかった。これに対し、本発明の飛散防止カバーは、草刈部が飛散防止カバー内を移動可能のため、図6に示すように壁際の雑草を残すことなく除去することができる。また、保護カバーが草刈部の上部及び側部を覆っているため、周囲への石や枝等の飛散を抑制することができる。
【0015】
このような構成によると、周縁材はロッド支持部が伸びることで草刈部と接触するため、周縁材によって石や枝等が周囲に飛散することを抑制できる。また、周縁材の少なくとも一部が地面と接触しているため、周縁材によって石や枝等が周囲に飛散することを抑制できる。さらに、周縁材が柔軟性を有しているため、草刈部が当接することによる劣化を抑制することができる。
【0016】
このような構成によると、ロッド支持部が貫通孔の近傍に設けられているため、ロッド支持部の長さを短く設定することができる。これにより、草刈部が保護カバー内を移動する際に、ロッド支持部と干渉することなく円滑に移動することができる。また、ロッド支持部が保護カバーの上部に設けられているため、草刈部がロッド支持部に接触することによる損傷を回避することができる。
【0017】
このような構成によると、サポート部がロッド部を支持した状態で除草作業を行うため、保護カバーが草刈部の回転による振動で揺れ動く不安定な状態を抑止することができる。これにより、保護カバーが安定するため地面との隙間が発生し難くなり、石や枝等が周囲に飛散することを効果的に抑制することができる。さらに、サポート部に形成された貫通孔にロッド部を挿入するため、ロッド部が揺れ動くことによる貫通孔の損傷を回避することができる。
【0018】
このような構成によると、補助伸縮部がロッド部をサポートすることで保護カバーが安定し、草刈部の振動で保護カバーが揺れ動く不安定な状態を抑止することができる。これにより、保護カバーが安定するため地面との隙間が発生し難くなり、石や枝等が周囲に飛散することを効果的に抑制することができる。
【0019】
本発明により、石や草などが周囲に飛散することを防止することができるとともに壁際の雑草も効率的に刈ることができる飛散防止カバー及び飛散防止カバーが設けられた刈払機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施の形態による飛散防止カバーが取り付けられた刈払機の斜視図。
図2】本発明の第1の実施の形態による飛散防止カバーの側面図。
図3】本発明の第1の実施の形態による飛散防止カバーを刈払機に装着する手順を説明するための斜視図。
図4】本発明の第1の実施の形態による飛散防止カバーのロッド支持部が保護カバーに装着されている部分の拡大図。
図5】本発明の第1の実施の形態による飛散防止カバーのロッド支持部の伸縮部の構造を示す図。
図6】本発明の第1の実施の形態による飛散防止カバー内においてヘッド部が保護カバー内を移動可能であることを説明するための図。
図7】本発明の第2の実施の形態による飛散防止カバーの側面図。
図8】本発明の第3の実施の形態による飛散防止カバーの平面図。
図9】本発明の第4の実施の形態による飛散防止カバーの側面図。
図10】本発明の第5の実施の形態による第1ロッド部が飛散防止カバーに装着された状態を示す斜視図。
図11】本発明の第6の実施の形態による第1ロッド部が飛散防止カバーに装着された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施の形態による刈払機10に着脱可能に装着される飛散防止カバー1を図1から図6に基づき説明する。図中に示すように、前後上下左右方向を定義する。
【0022】
図1に示すように、刈払機10は、ロッド部11の先端に着脱可能に設けられた草刈部12のナイロンコードカッター13で周縁の草類を刈り取る。ロッド部11の草刈部12が設けられている側とは反対側に、図示せぬ駆動源が設けられている。作業者は、ロッド部11の後部に位置する把持部14を持ち、刈払機10による草刈作業を行う。
【0023】
図3に示すように、ロッド部11の略中央部分に固定部15が設けられている。固定部15を解除することで、ロッド部11を、草刈部12が設けられている第1ロッド部11Aと、把持部14が設けられている第2ロッド部11Bと、に分離することができる。また、ロッド部11と草刈部12とは、図示せぬ固定ボルトを外すことで着脱可能に構成される。図示せぬ駆動源は、ロッド部11の端部に取り付けられたバッテリー又は軽油で駆動可能であってもよく、背中に背負う形式であってもよい。また、草刈部12にはナイロンコードカッター13に限らず、金属製の刈刃が設けられていてもよい。
【0024】
飛散防止カバー1は、図1及び図2に示すように、保護カバー2と、ロッド支持部3と、周縁材4と、から構成される。保護カバー2は、略ドーム形状をなし内部が視認できるように金属のメッシュで構成され、草刈部12の上部及び側部の全てを覆っている。保護カバー2の上部には略円筒形状の筒状部21が設けられていて、保護カバー2の後部にはロッド部11が挿入される貫通孔22が形成されている。
【0025】
筒状部21は、保護カバー2と中心が略一致するように設けられ、保護カバー2の剛性を高める役割を果たす。貫通孔22は、斜め上後方向に開口するように形成され、図3に示すように、第1ロッド部11Aが挿通可能かつ移動可能な程度の径を有する。貫通孔22の周縁は、メッシュのほつれ防止のために図示せぬカシメ部材が設けられている。貫通孔22には、下方に向けて切込22aが形成され、切込22aを固定するためのクリップ23が設けられている。クリップ23を開放して切込22aを開くことで、飛散防止カバー1を多様な形状のロッド部11及び草刈部12に適用することができる。切込22aの周縁には、ほつれ防止のための補強材22Aが設けられている。貫通孔22が形成される位置は、ロッド部11の角度等に応じて任意に設定することができる。
【0026】
保護カバー2は、図6に示すように、草刈部12が保護カバー2の略中央部分に配置されてナイロンコードカッター13が駆動したとき、ナイロンコードカッター13と周縁材4とが近接する程度の内径を有している。換言すると、保護カバー2の内径は、ナイロンコードカッター13の回転時の直径よりも大きく設定される。これにより、ナイロンコードカッター13と周縁材4とが常時接触することを回避し、作業時の音を低減するとともに周縁材4及びナイロンコードカッター13の摩耗を抑制することができる。
【0027】
ロッド支持部3は、ロッド部11又は草刈部12と、飛散防止カバー1と、を固定するための部材であって、図2に示すように、保護カバー2の上部かつ貫通孔22の近傍に設けられる。ロッド支持部3は、カバー固定部31と、伸縮部32と、ロッド固定部33と、から構成される。図4に示すように、カバー固定部31は伸縮部32を保護カバー2に固定するための部材であって、一対の取付カラー34と、ボルト35と、ナット36と、から構成される。取付カラー34は、保護カバー2を上下方向から挟むように設けられ、ボルト35及びナット36が挿通される。
【0028】
図5に示すように、伸縮部32は、略平板形状のゴム製チューブであって、一端部に開口32aが形成される。開口32aの周縁には、亀裂防止のためのカシメ部37が設けられている。伸縮部32の厚みは、草刈部12が保護カバー2内で移動できる程度に伸縮することができる程度に設定することが望ましい。伸縮部32の他端部は、ロッド固定部33に固定されている。
【0029】
伸縮部32は、図6に示すように、草刈部12が保護カバー2において周縁材4の近傍まで移動したときに十分に伸びる程度の長さに設定される。換言すると、保護カバー2が壁100に当接して前に進めない状態で、作業者が把持部14をさらに前進させることにより草刈部12を壁100に押し付けたとき、草刈部12が周縁材4に近接又は接触した状態でこれ以上前進できない程度の長さに設定される。カバー固定部31において、ボルト35がカシメ部37によって囲まれた開口32aを貫通するとともにナット36で取付カラー34に固定されることにより、伸縮部32が保護カバー2に固定される。
【0030】
草刈部12は、図6の実線で示す位置から点線で示す位置のまで保護カバー2内を移動可能である。換言すると、ナイロンコードカッター13が保護カバー2内の地面Gの雑草を完全に刈り取ることができるように、草刈部12が保護カバー2内を移動する。これにより、壁100の近傍であって図中の一点鎖線で示された隙間Sに位置する雑草であっても刈り取ることができる。このとき、壁100とナイロンコードカッター13との間に周縁材4が位置しているため、ナイロンコードカッター13によって壁100が損傷することを防止できる。
【0031】
ロッド固定部33は、挿通孔33aが形成されており、挿通孔33aにロッド部11又は草刈部12を通し固定ボルト33Aでロッド部11又は草刈部12に固定する。
【0032】
周縁材4は、保護カバー2の下部に設けられていて、所定の厚みを有するゴム製である。周縁材4は、展開すると略平板形状となり、保護カバー2の全周に亘って設けられる。周縁材4は、複数のボルト41によって保護カバー2に固定される。図2に示すように、周縁材4の下端部は全周に亘って、地面Gに当接または近接している。つまり、草刈部12及びナイロンコードカッター13は、保護カバー2及び周縁材4によって前後上下左右のあらゆる方向が覆われている。
【0033】
次に、図3を参照して、飛散防止カバー1の刈払機10への取付方法を説明する。
【0034】
図3(a)に示すように、刈払機10の固定部15を解除し、ロッド部11を第1ロッド部11Aと第2ロッド部11Bとに分離すると同時に、ロッド部11と草刈部12とを固定している図示せぬボルトを外して両者を分離する。図3(b)に示すように、草刈部12を保護カバー2内に配置する。このとき、草刈部12が保護カバー2によって完全に覆われていてもよく、草刈部12の一部が貫通孔22から外部に露出していてもよい。
【0035】
図3(c)に示すように、保護カバー2が草刈部12を覆う状態で挿通孔33aにロッド部11を挿入する。このとき、クリップ23を外して切込22aを開くことにより、容易にロッド部11を貫通孔22に挿入することができる。ロッド部11と草刈部12とを互いに固定するとともに、固定ボルト33Aによってロッド固定部33をロッド部11又は草刈部12に固定する。第1ロッド部11Aと第2ロッド部11Bとを繋ぎ固定部15で固定することで、飛散防止カバー1の刈払機10への装着が完了する。
【0036】
このような構成によると、ロッド部11が貫通孔22を移動可能であってロッド支持部3が伸縮性を有しているため、草刈部12が保護カバー2内で移動可能となる。これにより、草刈部12と保護カバー2との間の隙間Sがなくなるため、当該隙間Sに位置する雑草も除去することが可能となる。従来の飛散防止カバーでは、当該飛散防止カバーとロッドとが移動不能に固定されていたため、壁際の雑草を綺麗に除去することが難しかった。これに対し、本発明の飛散防止カバー1は、草刈部12が飛散防止カバー1内を移動可能のため、図6に示すように壁100近傍の雑草を残すことなく除去することができる。また、保護カバー2が草刈部12の上部及び側部を覆っているため、周囲への石や枝等の飛散を抑制することができる。
【0037】
このような構成によると、周縁材4はロッド支持部3の伸縮部32が伸びることで草刈部12と接触するため、周縁材4によって石や枝等が周囲に飛散することを抑制できる。また、周縁材4の少なくとも一部が地面Gと接触しているため、周縁材4によって石や枝等が周囲に飛散することを抑制できる。さらに、周縁材4が柔軟性を有しているため、草刈部12が当接することによる劣化を抑制することができる。
【0038】
このような構成によると、ロッド支持部3が貫通孔22の近傍に設けられているため、ロッド支持部3の伸縮部32の長さを短く設定することができる。これにより、草刈部12が保護カバー2内を移動する際に、伸縮部32と干渉することなく円滑に移動することができる。また、ロッド支持部3が保護カバー2の上部に設けられているため、草刈部12が伸縮部32に接触することによる損傷を回避することができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図7に基づいて説明する。第1の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0040】
第2の実施の形態による飛散防止カバー101は、保護カバー2と、ロッド支持部3とから構成される。飛散防止カバー101は、第1の実施の形態による飛散防止カバー1とは異なり、周縁材4が設けられていない。換言すると、保護カバー2の底が地面Gと当接又は近接している。これにより、ナイロンコードカッター13の回転による石等の飛散を防止するとともに、飛散防止カバー1の製造コストを削減することができる。
【0041】
次に、本発明の第3の実施の形態について、図8に基づいて説明する。上述の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0042】
第3の実施の形態による飛散防止カバー301は、ロッド支持部303が保護カバー302の上面に4つ設けられている。それぞれの伸縮部332の先には、図示せぬロッド固定部が設けられている。また、貫通孔322には、切込22a及びクリップ23が設けられていない。
【0043】
このような構成によると、複数のロッド支持部303によってロッド固定部が支持されているため、草刈部12を保護カバー2内で安定的に移動させることができる。また、4つの伸縮部332でロッド固定部が支持されることにより、伸縮部332の消耗を抑制し飛散防止カバー301の長寿命化を図ることができる。さらに、貫通孔322において切込22a及びクリップ23が省略されているため、飛散防止カバー301の製造コストを削減することができる。
【0044】
次に、本発明の第4の実施の形態について、図9に基づいて説明する。上述の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0045】
第4の実施の形態による飛散防止カバー401は、保護カバー2に円筒形状のサポート部422が設けられている。サポート部422は、保護カバー2から斜め上後方向に突出しており、ロッド部11よりも大きい支持孔422aが形成されている。ロッド部11を保護カバー2に装着するときは、草刈部12を保護カバー2内に配置した状態で、第1ロッド部11Aをサポート部422に挿入し、草刈部12と第1ロッド部11Aとを固定する。
【0046】
このような構成によると、サポート部422がロッド部11を支持した状態で除草作業を行うため、保護カバー2が草刈部12の回転による振動で揺れ動く不安定な状態を抑止することができる。これにより、保護カバー2が安定するため周縁材4と地面Gとの隙間が発生し難くなり、石や枝等が周囲に飛散することを効果的に抑制することができる。さらに、サポート部422に形成された支持孔422aにロッド部11を挿入するため、ロッド部11が揺れ動くことによる貫通孔22の損傷を回避することができる。
【0047】
次に、本発明の第5の実施の形態について、図10に基づいて説明する。上述の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0048】
第5の実施の形態による飛散防止カバー501では、一端が第1ロッド部11Aに固定された第1取付部511に固定され、他端が保護カバー2に固定された第2取付部513に固定された補助伸縮部512が設けられている。第1取付部511及び第2取付部513の少なくとも一方は、補助伸縮部512が着脱可能に設けられている。保護カバー2を刈払機10に装着するときは、保護カバー2内に草刈部12を配置して草刈部12と第1ロッド部11Aとを固定した後、補助伸縮部512を第1取付部511及び第2取付部513に固定する。
【0049】
このような構成によると、補助伸縮部512がロッド部11をサポートすることで保護カバー2が安定し、草刈部12の振動で保護カバー2が揺れ動く不安定な状態を抑止することができる。これにより、保護カバー2が安定するため周縁材4と地面Gとの隙間が発生し難くなり、石や枝等が周囲に飛散することを効果的に抑制することができる。
【0050】
次に、本発明の第6の実施の形態について、図11に基づいて説明する。上述の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0051】
第6の実施の形態による飛散防止カバー601では、一端が第1取付部511に固定され、他端が筒状部21に設けられた第3取付部613に固定された2つの第2補助伸縮部612が設けられている。第1取付部511及び第3取付部613の少なくとも一方は、第2補助伸縮部612が着脱可能に設けられている。保護カバー2を刈払機10に装着するときは、保護カバー2内に草刈部12を配置して草刈部12と第1ロッド部11Aとを固定した後、補助伸縮部512を第1取付部511及び第2取付部513に固定し、2つの第2補助伸縮部612を第1取付部511及び第3取付部613に固定する。
【0052】
このような構成によると、補助伸縮部512及び第2補助伸縮部612がロッド部11をサポートすることで保護カバー2がより安定し、草刈部12の振動で保護カバー2が揺れ動く不安定な状態を抑止することができる。これにより、保護カバー2が安定するため周縁材4と地面Gとの隙間が発生し難くなり、石や枝等が周囲に飛散することを更に効果的に抑制することができる。
【0053】
本発明による飛散防止カバー及び飛散防止カバーが設けられた刈払機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0054】
上述の実施の形態では、保護カバー2は略ドーム状の円形断面を有していたが、これに限定されない。草刈部12を完全に覆うような保護カバー2であればよく、断面形状は矩形や多角形であってもよい。また、保護カバー2は金属製のメッシュ素材を用いたが、これに限定されず透過性のある樹脂製であってもよく、内部が視認可能なパンチングメタルであってもよい。
【0055】
上述の実施の形態では、伸縮部32として円筒形状のゴムチューブを用いたがこれに限定されない。伸縮部32は、草刈部12が保護カバー2内で移動可能な程度の伸縮性を有していれば、略平板形状のゴムであってもよく、天然ゴム、ブチルゴム、クロロブレンゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム等であってもよい。
【0056】
上述の実施の形態では、ロッド固定部33がロッド部11に固定されたが、これに限定されない。伸縮部32の一端はカバー固定部31によって保護カバー2に固定され、他端が草刈部12の任意の場所に固定されていてもよい。
【0057】
上述の実施の形態では、周縁材4はゴム製であったがこれに限定されない。例えば、樹脂、アルミ等の金属等任意の素材を用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
1、101、201、301 飛散防止カバー
2、202、302 保護カバー
3、303 ロッド支持部
4 周縁材
10 刈払機
11 ロッド部
13 ナイロンコードカッター
22、222、322 貫通孔
32、332 伸縮部
【要約】
【課題】
石や草などが周囲に飛散することを防止することができるとともに壁際の雑草も効率的に刈ることができる飛散防止カバー及び飛散防止カバーが設けられた刈払機の提供。
【解決手段】
飛散防止カバー1は、回転することにより雑草を刈り取る草刈部12と、草刈部12が先端に設けられたロッド部11と、ロッド部11に設けられ草刈部12を回転させる駆動源と、を有する刈払機10に着脱可能に取り付けられる。飛散防止カバー1は、草刈部12の上部及び側部を覆い、ロッド部11が移動可能に貫通する貫通孔が形成された保護カバー2と、保護カバー2に設けられ、端部がロッド部11又は草刈部12のいずれか一方に固定され、伸縮性を有するロッド支持部3と、を有する。
【選択図】図1
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