(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】運動機器
(51)【国際特許分類】
A63B 22/02 20060101AFI20250213BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
A63B22/02
A47K4/00
(21)【出願番号】P 2024537597
(86)(22)【出願日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2024022038
【審査請求日】2024-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2023190009
(32)【優先日】2023-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503354446
【氏名又は名称】レーシングドライバー有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】但馬 安俊
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特許第6635572(JP,B1)
【文献】特許第5437717(JP,B2)
【文献】特許第4347937(JP,B2)
【文献】特開2022-107102(JP,A)
【文献】特開2023-137132(JP,A)
【文献】特許第4715087(JP,B2)
【文献】米国特許第5829069(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 22/02
A47K 4/00
A63B 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中歩行を含む運動が可能である運動機器であり、
上方が開放されたユニットハウジングを有する運動室ユニットと、
前記ユニットハウジングに供給したり、前記ユニットハウジングからリターンしたりする、水あるいは湯を蓄えるタンクと、
前記タンクと前記運動室ユニットとを接続する配管路と、
前記配管路の途中に設けられた電磁弁手段及びポンプ手段と、
前記電磁弁手段及びポンプ手段を制御する制御手段と、を備え、
前記タンクは、温度の異なる水が蓄えられる第1タンクと第2タンクとが含まれ、
前記第1タンクには前記第2タンクの水よりも高温の水が蓄えられていて、前記制御手段が、温冷交代浴モードと水中歩行モードを含む複数のモードから1のモードを選択するモード選択手段を有することを特徴とする、運動機器。
【請求項2】
前記制御手段の前記モード選択手段により、前記温冷交代浴モードが選択された際に、
前記制御手段が前記電磁弁手段及びポンプ手段を制御して、前記第1タンクと前記運動室ユニットとの間での所定温度の水の供給・リターンと、前記第2タンクと前記運動室ユニットとの間での所定温度の水の供給・リターンと、を交互に繰り返すことを特徴とする、
請求項1記載の運動機器。
【請求項3】
前記制御手段の前記モード選択手段により、前記水中歩行モードが選択された際に、
前記制御手段が前記電磁弁手段及びポンプ手段を制御して、前記第1タンク及び前記第2タンクから、それぞれ所定温度の水が、前記運動室ユニットに供給されることを特徴とする、
請求項2記載の運動機器。
【請求項4】
前記水中歩行モードが選択された際の前記運動室ユニットの水位が、前記温冷交代浴モードが選択された際の前記運動室ユニットの水位よりも高く、かつ、
前記水中歩行モードが選択された際の前記運動室ユニットに満たされた状態の水温が、前記温冷交代浴モードが選択された際の前記第1タンクの水温と前記第2タンクの水温との間の温度であることを特徴とする、
請求項3記載の運動機器。
【請求項5】
前記第1タンクに蓄えられている水温が、36~42℃であり、
前記第2タンクに蓄えられている水温が、16~26℃である、
請求項4記載の運動機器。
【請求項6】
前記水中歩行モードが選択された際の前記運動室ユニットに満たされた状態の水温が、26℃~34℃である、
請求項5記載の運動機器。
【請求項7】
前記第1及び第2タンクは、それぞれ上限及び下限水位を検出する上限及び下限水位検出センサを上下に有し、
前記制御手段は、前記上限水位検出センサが、水位が上限を超えたことを検出すると水の供給を停止し、前記下限水位検出センサが、水位が下限を下回ったことを検出すると水の供給のリターンを停止するものである、
請求項1記載の運動機器。
【請求項8】
前記第1タンクは、前記制御手段にて制御されるヒータを備える、
請求項7記載の運動機器。
【請求項9】
前記第1タンクは、前記上限及び下限水位検出センサの間に、温度検出センサが設けられ、
前記制御手段は、前記温度検出センサからの信号を受け設定温度を超えると前記ヒータによる加熱を停止するものである、
請求項8記載の運動機器。
【請求項10】
前記運動室ユニットは、前記ユニットハウジングの水位を検出する複数の水位検出センサが設けられている、
請求項1記載の運動機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動室ユニットと、水あるいは湯を蓄えるタンクとを有する運動機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バスタブ入浴を行う浴槽とシャワー入浴を行うための洗い場とを一体で備えたユニットバスが実用に供されている。例えば、壁により囲われたユニット室内に浴槽と洗い場を備え、洗い場側の周壁に出入り可能なドアが設けられ、洗い場には給湯および給水用の混合水栓が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、浴槽の底部にトレッドミルを配設した水中歩行装置が実用化されており、下半身のリハビリや筋力トレーニングなどに利用されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、バスタブ入浴とシャワー入浴および水中歩行のうち別の入浴方法に変更する場合は、浴槽、洗い場、水中歩行装置の間を移動しなければならない。特に、水中歩行装置を利用する場合は、併設されている階段で装置の上まで上がり、そこから梯子を伝って水槽内に下りなければならない。したがって、移動が面倒であるとともに、要介護者の場合は利用が困難な場合もある。
【0005】
そこで、1つの入浴スペースでバスタブ入浴、シャワー入浴および水中歩行が行える入浴装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載のものでは、入浴装置とは別に、水中歩行が行える室内に水を供給するタンクに設けているため、設置に必要とされるスペースが大きくなる。
【0006】
近年、高齢者人口の増加に伴い高齢の歩行困難による寝たきり人口の増加に伴い介護が必要な人の人口が増えつつある。そのため、近年介護予防としてリハビリデイサービスでの筋力増加のための運動などが増加している。高齢者の筋トレは関節を痛める可能性があり、また、プールでの水中歩行はプール施設までの往来が必要となる。従来の浴槽では水中歩行ができないからである。
【0007】
また、水中歩行や椅子による全身入浴やシャワーの利用可能な運動室ユニット(本体浴槽)を中心に、その両側に保温可能なタンクをそれぞれ配置し、前記タンクを浴槽としても利用できるようにし、次世代の運動可能な入浴機器となるものも知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平8-260722号公報
【文献】特開平8-206251号公報
【文献】特開2011-15849号公報
【文献】特許第6635572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、温冷交代浴を行うと、短時間で血管の収縮と拡張が繰り返され、いわゆる自律神経のトレーニングが行われ、疲労回復に加えてケガの回復のサポート、筋肉痛を和らげる効果やパフォーマンス向上効果が認められることから、近年、温冷交代浴が注目されている。
【0010】
そこで、前述した特許第6635572号公報に記載の、運動可能な入浴機器をさらに一歩進めて、温冷交代浴もできるものを開発し、本発明がなされた。本発明は、温冷交代浴を行うことができる運動機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、水中歩行を含む運動が可能である運動機器であり、上方が開放されたユニットハウジングを有する運動室ユニットと、前記ユニットハウジングに供給したり、前記ユニットハウジングからリターンしたりする、水あるいは湯を蓄えるタンクと、前記タンクと前記運動室ユニットとを接続する配管路と、前記配管路の途中に設けられた電磁弁手段及びポンプ手段と、前記電磁弁手段及びポンプ手段を制御する制御手段と、を備え、
前記タンクは、温度の異なる水が蓄えられる第1タンクと第2タンクとが含まれ、前記第1タンクには前記第2タンクの水よりも高温の水が蓄えられていて、前記制御手段が、温冷交代浴モードと水中歩行モードを含む複数のモードから1のモードを選択するモード選択手段を有することを特徴とする。
【0012】
これにより、第1タンクと第2タンクとで温度の異なる水が貯留され、これを配管路を通じて選択的に運動室ユニットに供給・リターンすることで、温冷交代浴モードと水中歩行モードなどを実現することができる。
【0013】
また、この運動機器は、前記制御手段の前記モード選択手段により、前記温冷交代浴モードが選択された際に、前記制御手段が前記電磁弁手段及びポンプ手段を制御して、前記第1タンクと前記運動室ユニットとの間での所定温度の水の供給・リターンと、前記第2タンクと前記運動室ユニットとの間での所定温度の水の供給・リターンと、を交互に繰り返すことを特徴とする。
【0014】
これにより、第1タンクと運動室ユニットとの間での水の供給・リターンと、第2タンクと運動室ユニットとの間での水の供給・リターンとを交互に繰り返すことで、水温の異なる水を一定回数繰り返す温冷交代浴が簡易に実現される。
【0015】
また、この運動機器は、前記制御手段の前記モード選択手段により、前記水中歩行モードが選択された際に、前記制御手段が前記電磁弁手段及びポンプ手段を制御して、前記第1タンク及び前記第2タンクから、それぞれ所定温度の水が、前記運動室ユニットに供給されることを特徴とする。
【0016】
これにより、第1タンク及び第2タンクから、温度の異なる水を運動室ユニットに供給することで、熱すぎず冷たすぎない適当な水温で、水中歩行運動が可能となる。また、双方のタンクから水を供給することで、水中歩行運動に適した水量で運動が可能となる。
【0017】
また、この運動機器は、前記水中歩行モードが選択された際の前記運動室ユニットの水位が、前記温冷交代浴モードが選択された際の前記運動室ユニットの水位よりも高く、かつ、前記水中歩行モードが選択された際の前記運動室ユニットに満たされた状態の水温が、前記温冷交代浴モードが選択された際の前記第1タンクの水温と前記第2タンクの水温との間の温度であることを特徴とする。
【0018】
これにより、水温の異なる2つのタンクを利用することで、水量や水温を温冷交代浴と水中歩行とで簡便に切り替えることが可能となる。
【0019】
また、この運動機器は、前記第1タンクに蓄えられている水温が36~42℃であり、前記第2タンクに蓄えられている水温が16~26℃であり、また、前記水中歩行モードが選択された際の前記運動室ユニットに満たされた状態の水温が、26℃~34℃であることを特徴とする。
【0020】
これにより、片側ずつタンクを利用することで温冷交代浴に適した水温で適用できるとともに、両側のタンクを利用することで、水中歩行に適した水温で適用できる。
【0021】
また、この運動機器は、前記第1及び第2タンクがそれぞれ上限及び下限水位を検出する上限及び下限水位検出センサを上下に有し、前記制御手段は、前記上限水位検出センサが、水位が上限を超えたことを検出すると水の供給を停止し、前記下限水位検出センサが、水位が下限を下回ったことを検出すると水の供給のリターンを停止するものである。
【0022】
これにより、制御手段とセンサによって、適切な水位で確実に運用することができる。
【0023】
また、この運動機器は、前記第1タンクが前記制御手段にて制御されるヒータを備える。
【0024】
これにより、第1タンクの水温を維持管理できる。このヒータは、第1タンクに水を貯留開始した際に昇温することのほか、水中歩行モードにより第2タンクの水と合わさることで降温した水をリターンした際の昇温、第1タンク内の貯留時の昇温などに用いられる。
【0025】
また、この運動機器は、前記第1タンクが、前記上限及び下限水位検出センサの間に、温度検出センサが設けられ、前記制御手段が、前記温度検出センサからの信号を受け設定温度を超えると前記ヒータによる加熱を停止するものである。
【0026】
これにより、ヒータによる無駄な加熱が回避されるとともに、確実に水温を維持管理できる。
【0027】
また、この運動機器は、前記運動室ユニットが、前記ユニットハウジングの水位を検出する複数の水位検出センサが設けられている。これにより、温冷交代浴時、水中歩行時に合わせて、必要な水位に確実にすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、第1タンクと第2タンクを備え、これらに温度の異なる水を貯留することで、温冷交代浴モード、水中歩行モードなどを簡便に切り替えて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施の形態である運動機器を後方上側から見た斜視図である。
【
図5】(a)同運動機器の前方上側から見た3D図面である。(b)同運動機器の後方上側から見た3D図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施の形態を説明するが、発明は下記実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明の一実施の形態である運動機器を上側から見た斜視図、
図2は同運動機器の前側部分の概略断面図、
図3は同運動機器の使用の説明図である。
【0031】
<1.運動機器の構成>
図1及び
図2に示すように、運動機器1は、運動室ユニット2と、運動室ユニット2の左右に配置される第1側タンク3及び第2側タンク4とを備える。なお、運動室ユニット2は、後側部分が、水中歩行などの運動を行う運動室ともなる本体浴槽とされ、前側部分(空間部分S)において、第1側タンク3、第2側タンク4との配管類、電気配線類、ポンプ5、モータ6(トレッドミル7駆動用)などが収納されている。第1側タンク3、第2側タンク4は、それぞれ600リットル程度の貯水が可能である。
【0032】
運動室ユニット2の後側部分である本体浴槽は、上方が開放されたユニットハウジング8とされ、内部で、利用者が水中歩行などの運動ができるようになっている。その内部の底面上にトレッドミル7が、ユニットハウジング8の底面に、モータ6によって駆動される駆動ベルト9の回転方向がユニットハウジング8の前後方向とほぼ一致するように配置されており、後述するコントロールパネル部10で走行、停止、スピード調整などの操作が行えるようになっている。
【0033】
ユニットハウジング8(運動室ユニット2)は、左右の側面が第1平坦面とされる一方、第1側タンク3及び第2側タンク4は、運動室ユニット2側の側面が、前記第1平坦面に対向する第2平坦面とされている。第1平坦面と第2平坦面とが接触した状態で運動室ユニット2の両側に2つの第1側タンク3、第2側タンク4が接触して配置され、運動室ユニット2の左右両側に第1側タンク3、第2側タンク4が寄り添う形となっている。
【0034】
よって、1つのかたまりとして設置することができ、少ない設置スペース(占有スペース)で運動室ユニット2と2つの第1側タンク3、第2側タンク4を配置できる。
【0035】
なお、運動室ユニット2に第1側タンク3及び第2側タンク4を位置決めして設置し、その際に、運動室ユニット2と第1側タンク3、第2側タンク4との間の配管の接続も、ワンタッチで管の端部同士を接続できるようにすれば、配管の接続作業を容易にすることができる。
【0036】
また、第1側タンク3及び第2側タンク4は、全体外観形状が略同一であり、運動室ユニット2から取り外し、運動室ユニット2の側部とは別の場所に設置することも可能である。このようにすれば、運動室ユニット2の周囲にフリースペースを設けることができ、スペースの有効活用が可能になる。
【0037】
ユニットハウジング8はFRPで形成され、上部が開口する箱型形状をしており、幅方向の長さに対して高さ方向および前後方向の長さを長くし、箱形形状の外観を備えている。ユニットハウジング8の高さは、
図3に示すように、利用者が直立した状態で利用者の体の大部分が納まるようになっており、幅は利用者が窮屈に感じない程度でかつ省スペース化を図れる大きさになっている。
【0038】
なお、
図3において、L1は利用者が直立して歩行する際の水位、L2は利用者が着座して入浴するときの水位である。ユニットハウジング8は水密構造になっており、水が満杯になった状態でもその水圧に耐え得るだけの十分な強度を備えている。内部への出入りは、後部壁に設けられている水密構造のメインドア8aから行うことができる。レバーハンドルによってメインドア8aが開閉されるようになっている。
【0039】
ユニットハウジング8の側部前側には、ユニットハウジング8の開口部分よりも上側に位置するように支持部材11を介して、利用者が見えるように防水タブレットPCからなるコントロールパネル部10が設けられている。
【0040】
なお、コントロールパネル部10には、濾過フィルタ利用スイッチ、タンク排水スイッチ、シャワー利用時排水スイッチ、スピンドル・ジャグジー利用スイッチ、タンク送水スイッチ、タンク返水スイッチなどが表示され、それらを選択することで、各動作を行うことができるようになっている。例えば、濾過フィルタ利用スイッチを選択した濾過フィルタ利用時には、第1側タンク3、第2側タンク4からの排水が配管を通じて、空間部分Sに配置されるフィルタ、UV装置等を経て、第1側タンク3、第2側タンク4にそれぞれ戻される。
【0041】
第1側タンク3は温水を、第2側タンク4は冷水をそれぞれ蓄えるもので、第1側タンク3、第2側タンク4と運動室ユニット2とが配管(給水管、給湯管及び排水管となる配管)を通じて接続されている。
【0042】
そして、この配管の途中に設けられた電磁弁MV1~MV9,SV1,SV2(電磁弁手段)及びポンプ5(給排水ポンプ手段)によって、本体浴槽(運動室ユニット2)と第1側タンク3との間での温水の供給・リターンと、本体浴槽(運動室ユニット2)と第2側タンク4との間での冷水の供給・リターンとが繰り返し行われ、第1側タンク3、第2側タンク4に蓄えられる温水あるいは冷水が、ユニットハウジング8の本体浴槽(運動室ユニット2)内に第1側タンク3、第2側タンク4から供給されたり、戻されたりするようになっている。
【0043】
つまり、第1側タンク3、第2側タンク4と運動室ユニット2とが配管を通じて接続され、配管の途中に設けられる複数の電磁弁MV1~MV9,SV1,SV2(電磁弁手段)及びポンプ5(給排水ポンプ手段)によって、第1側タンク3、第2側タンク4からの運動室ユニット2へ給水と、運動室ユニット2から第1側タンク3、第2側タンク4へのリターン排水が行われるようになっている。この給水やリターン排水は、後述するモードに応じて、制御手段(図示せず)にて電磁弁MV1~MV9,SV1,SV2やポンプ5が制御されて行われる。
【0044】
このような運動機器1によれば、運動室ユニット2の前側部分(空間部分S)に、濾過機能を含む給排水機能を有する浄化ユニットが設けられ、その側方に配置する第1側タンク3、第2側タンク4と前記浄化ユニットとを配管でつなぐことで、従来のタンクと濾過器とが分離型であるものとは異なり、設置現場での配管や配線工事が不要となっている。
【0045】
そして、バスと水中歩行やシャワーを利用する場合は、従来は移動する必要が生じていたが、従来の浴室(シャワーを含む)を、丸ごとこの本体浴槽(運動室ユニット2)で代用することが可能になり、加えて健康保持増進のための水中歩行が同時に可能になる。
【0046】
よって、水中歩行可能である入浴装置として、健康維持増進疾病の予防が可能になる。このように構成されている運動機器1は、病院のリハビリ室、スポーツクラブのプールサイドやフィットネスルーム、一般家庭における洋間やリビングの床のタイル張りがされた区画などに設置可能である。
【0047】
また、このような給水系統の配管は、第1側タンク3及び第2側タンク4の前側上部に接続される部分やユニットハウジング8の前側部分に接続される部分を有する。つまり、
図4に示すように、第1側タンク3については、給湯管21からの給湯と給水管22からの給水とが第1混合栓23にて混合されて温度調整され、電磁開閉弁SV1を開くことで、ユニットハウジング8や第1側タンク3への給湯が行われる。
【0048】
また、第2側タンク4への給水管22からの給水は電磁開閉弁SV2を開くことで、行われる。同様に温度調整され、図示しないシャワー手段によって、ボディシャワーを行ったり、シャワーヘッドにてシャワーを行ったりすることができるようになっている。
【0049】
第1側タンク3、第2側タンク4に蓄えられる温水・冷水は、それぞれ、電磁開閉弁MV6,MV6を開くことで、排水口部24a,24aを通じて排水口25へと排水される。また、第1側タンク3、第2側タンク4におけるオーバーフローは、オーバーフロー口部24cからオーバーフローホースを通じて排水口25へと排水される。
【0050】
第1側タンク3からユニットハウジング8への給水は、電磁開閉弁MV3,MV1を開いてポンプ5を経て、給水・排水口26を通じて行われ、ユニットハウジング8から第1側タンク3への排水(リターン)は、電磁三方弁MV1を切り替え、ポンプ5、電磁開閉弁MV5を通じて、第1側タンク3に戻されることで行われる。
【0051】
一方、第2側タンク4からユニットハウジング8への給水は、電磁開閉弁MV2を開き、電磁三方弁MV1を切り替えてポンプ5を経て、給水・排水口26を通じて行われ、排水(リターン)は、電磁三方弁MV1を切り替え、ポンプ5、電磁開閉弁MV4を通じて、第2側タンク4に戻されることで行われる。
【0052】
第1側タンク3とユニットハウジング8との間の給水・リターンと、第2側タンク4とユニットハウジング8との間の給水・リターンとを繰り返すことで、本体浴槽内が温水(36~42℃)と冷水(16~26℃)とで交互に満たされるので、温冷交代浴が簡単に実現される。
【0053】
ユニットハウジング8内には、前後方向の中央部には利用者のための把持棒20(
図2参照)が設けられ、スピンドルジェット27A、マイクロバブル27Bも備える。そして、それらの付近には、枕28A及び椅子28B、LED29が設けられ、底面上に歩行・走行用の水中コンベアであるトレッドミル7が配置されている。なお、34,35,36はチャンバである。
【0054】
前述したように、運動室ユニット2は、配管にて、第1側タンク3及び第2側タンク4にそれぞれ接続され、第1側タンク3及び第2側タンク4から運動室ユニット2に給水することができる。よって、例えば、リハビリや脚力強化などのため水中歩行に利用する際に、運動室ユニット2内に給水できるようになっている。
【0055】
たとえば、運動室ユニット2内に利用者が入った後、コントロールパネル部10の画面に表示されている水中歩行用の給湯ボタンを押すと、排水口25が自動的に閉じられて、あらかじめ設定した量の温水と冷水が、それぞれ第1側タンク3及び第2側タンク4から自動的に供給される。そして、ユニットハウジング8内で、これらの温水と冷水とが混ざりあうことで、26℃~34℃の水中歩行に適切な水温となるとともに、両タンクからの給水により、温冷交代浴時よりも水位が高くなり、走る状態(立った状態)で胸付近までの水位となり、水中歩行に適切な水位とできる(
図3のL1参照)。
【0056】
そして、コントロールパネル部10でトレッドミル7の走行速度を設定し、走行ボタンを押すと、ベルトが走行し始めるため、利用者は、トレッドミル7上を歩行することができる。また、シャワーを浴びたりすることもできるようになっている。
【0057】
水中歩行終了後に、入浴する場合には、第1側タンク3において、ヒータ30(例えば、1kw)による温度制御によって、浴槽内の湯の温度は上限温度を超えないように保持される。つまり、第1側タンク3には、貯水する水の温度を検出する温度検出センサ33が設けられ、温度検出センサ33からの信号に基づいて、ヒータ30による温度制御が行われる。そして、第1側タンク3に予め温水が蓄えられているので、直ちに入浴することができる。
【0058】
<2.運動機器の動作>
続いて、運転機器1の動作について説明する。
まず、運動室ユニット2内に設置されるコントロールパネル部10(防水タブレットPC)にて、第1側タンク3、第2側タンク4への注水を選択すると、第1側タンク3、第2側タンク4からそれぞれへの給水が始まり、予め定められた上限水位まで溜まると、タンク用水位センサ31a,31b,32a,32bにより検出され、自動的に給水を停止する。
【0059】
なお、湯はりや予約などの注水開始の指示は携帯電話からも通信で行うこともできる。また、第1側タンク3、第2側タンク4に溜まった水は、運動室ユニット2の前部(空間部分S)に設けられた浄化ユニットにより、自動的に濾過や紫外線殺菌により浄化される。
【0060】
利用者はユニットハウジング8(運動室ユニット2)のメインドア8aを開き、内部に入る。そのとき、メインドア8aが完全に締まってないと、ロック確認センサー(図示せず)が働いて、入水を行うことができない。
【0061】
完全にロックされたら、コントロールパネル部10にてモードを選択する。つまり、コントロールパネル部10にて、温冷交代浴、水中歩行(walk)、スパ(Spa)、シャワー(Shower)のモードのいずれかを選択することができる。それぞれマニュアルモードとオートモードとがある。
【0062】
例えば、温浴交代浴モードを選択した場合には、オートモードを選択すると、第1側タンク3の温水と、第2側タンク4の冷水との供給・リターンが、自動的に交互に繰り返される。そして、決められた時間内にマイクロバブルやジェットバスが順番に作動し、LED29も自動で点灯する。そして、終了すると、自動的に排水される。
【0063】
なお、温浴交代浴の際には、備えつけの枕28Aや椅子28Bを利用することもできる。一方、マニュアルモードは水位を選択して、温水と冷水とが交互に交互の供給する時間間隔を選択する。これにより、選択した希望条件通りに、温浴交代浴ができる。なお、マイクロバブルやジェットバスを選択して利用することができる。
【0064】
水中歩行モードの場合には、マニュアルモードでは、水位設定を選択して、入水が開始されると、第1側タンク3及び第2側タンク4の双方からの給水が開始される。入水開始後一定時間経過後(例えば20秒経過後)には、スピードボタンを操作することが可能になる。
【0065】
また、規定水位まで達したらジャグジーやスピンドルジェットを操作することが可能になる。終了時にはスピードを停止し、排水を選択して、電磁開閉弁MV9を開き、排水口37から排水をする。なお、浴槽用水位センサ38a,38b,38c,38dが水位0,700,900,1100mmを検出するように設けられている。
【0066】
一方、オートモードでは、画面に、歩行から走行までの各コース(レベル1~5)が表示されるので、そこでコースを選択すると、自動で給水が始まり自動で歩行速度あるいは走行速度が上がり下がりする。このオートモードでは、自動でジャグジーやスピンドルジェットが動作し、自動的に排水して終了する。なお、オートモード途中での緊急停止ボタンを押すと、オートモードが中断され、急速排水が開始される。
【0067】
スパモードを選択した場合には、マニュアルモードは水位を選択して、マイクロバブルやジェットバスを選択して利用できる。一方、オートスパモードを選択した場合は、自動的に湯はりされ、決められた時間内にマイクロバブルやジェットバスが順番に作動し、LED29も自動で点灯し、終了すると、自動的に排水される。なお、スパ利用時には、備えつけの枕28Aや椅子28Bを利用することができる。また、スパモード利用時には中にアクアバイクも入れて利用することができる。
【0068】
万一、上記の水中歩行やスパモードのときに停電となり、電気で排水ができなくなった場合は、内部に備えつけの手動排水栓を開くことで、排水することができる。
【0069】
シャワー選択時には、ボディシャワーかハンドシャワーかを、コントロールパネル部10で選択して利用することができる。コントロールパネル部10でシャワーモードを選択すれば、ボディシャワーは自動で作動し、シャワーヘッドを使用する場合は、止水栓を用いる。シャワー利用時には、排水弁が開き自動的に排水される。排水後外に出ることが可能になる。排水する場合は、コントロールパネル部10の画面で排水を選択すると、電磁開閉弁が開いて排水される。
【0070】
<3.その他の実施形態>
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、または変更が可能である。
【0071】
(i)起立状態の利用者の顔位置に対応して顔認証用カメラが配置され、各モードにおいて、最初に顔認証が行われるようにすることもできる。その場合には、動作中に、顔認証システムが動作しているので、利用者が、万が一転倒した場合においては、顔認証システムがそれを検知して、緊急停止し、急速排水を開始すると共に、外部への警報装置が作動することが可能となる。
【0072】
(ii)ユニットハウジング8の側部前側には、防水タブレットPCからなるコントロールパネル部10が設けているが、それと並んで、防水タブレットPCからなるTVを設けることもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 運動機器
2 運動室ユニット
3 第1側タンク
4 第2側タンク
5 ポンプ
6 モータ
7 トレッドミル
8 ユニットハウジング
8a メインドア
9 駆動ベルト
10 コントロールパネル部
11 支持部材
20 把持棒
21 給湯管
22 給水管
23 混合栓
24 オーバーフロー口
25 排水口
26 給水・排水口
27A スピンドルジェット
27B マイクロバブル
28A 枕
28B 椅子
29 LED
30 ヒータ
31a,31b,32a,32b タンク用水位センサ
33 温度検出センサ
34,35,36 チャンバ
37 排水口
38a,38b,38c,38d 浴槽用水位センサ
S 空間部分
【要約】
【課題】 温冷交代浴を行うことができる運動機器を提供する。
【解決手段】 利用者が、上方が開放されたユニットハウジング8を有し水中歩行を含む運動が可能である運動室ユニット2と、ユニットハウジング8に供給されたりユニットハウジング8から戻されたりする貯水可能なタンクを備える。タンクは、温水が貯水される第1側タンク3と、冷水が貯水される第2側タンク4とからなる。温冷交代浴モードを含む複数のモードから、1つのモードを選択するモード選択手段を備え、選択されたモードに応じて、電磁弁MV1~MV9,SV1,SV2及びポンプ5が制御される。温冷交代浴モードが選択された際に、電磁弁MV1~MV9,SV1,SV2及びポンプ5を制御して、第1タンク3と運動室ユニット2との間での温水の給湯・リターンと、第2タンク4と運動室ユニット2との間での冷水の給水・リターンとを交互に繰り返すことで、温冷交代浴が実現される。