(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】仮想空間生成装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/52 20140101AFI20250217BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20250217BHJP
A63F 13/40 20140101ALI20250217BHJP
【FI】
A63F13/52
A63F13/53
A63F13/40
(21)【出願番号】P 2024168141
(22)【出願日】2024-09-27
【審査請求日】2024-10-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520490174
【氏名又は名称】榊原 正啓
(73)【特許権者】
【識別番号】520490185
【氏名又は名称】菰下 将司
(73)【特許権者】
【識別番号】521239750
【氏名又は名称】株式会社Redefine Arts
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 正啓
(72)【発明者】
【氏名】菰下 将司
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-165306(JP,A)
【文献】特開2019-024748(JP,A)
【文献】特許第7565419(JP,B1)
【文献】特開2024-092727(JP,A)
【文献】特開2024-075563(JP,A)
【文献】[生成AI]LLM・画像生成・コード生成・動画生成など主要な無料・有料ツール44選の特徴・活用例を徹底解説!,[online],2024年08月18日,<URL:http://web.archive.org/web/20240818163109/https://ai-market.jp/services/generative-ai-tools/>,2024年11月1日検索
【文献】物体検出をわかりやすく解説!違い・活用範囲・手法までを詳しく紹介,[online],2022年10月07日,<URL:http://web.archive.org/web/20221007152446/https://www.scorer.jp/blog/object-detection>,2024年11月1日検索
【文献】StrongSORT: DeepSORTが強くなって帰ってきた!アップグレードされた追尾モデル!,[online],2022年12月31日,<URL:https://ai-scholar.tech/articles/object-tracking/strongsort>,2024年11月1日検索
【文献】博報堂DYメディアパートナーズのAaaS Tech Lab、生成AIを活用し、画像中の任意の物体を自然言語によって高精度に検出する技術を開発,[onilne],2024年05月14日,<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000186.000038657.html>,2024年11月1日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間の表示データ、及び該仮想空間において動作するプレイヤーキャラクターの表示データが保存された表示データ記憶部と、
前記表示データ記憶部に保存された前記仮想空間の表示データを用いて仮想空間を生成する仮想空間生成部と、
前記表示データ記憶部に保存された前記プレイヤーキャラクターの表示データを用い、外部からの入力操作に応じて前記仮想空間でプレイヤーキャラクターを動作させるプレイヤーキャラクター動作処理部と、
ターゲット領域を含む画像のデータに基づいて該画像を前記仮想空間内に生成する画像表示処理部と、
前記プレイヤーキャラクターにより、前記画像に対する所定の動作が行われたときに、該動作が前記ターゲット領域に対して行われたものであるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する判定結果出力部と
を備え
、
前記画像表示処理部が、前記仮想空間にスクリーンオブジェクトを配置し、該スクリーンオブジェクトに前記画像を表示する
ことを特徴とする仮想空間生成装置。
【請求項2】
前記スクリーンオブジェクトは透明なオブジェクトであり、
前記判定部は、前記スクリーンオブジェクトの背面に判定パネルを配置し、該判定パネル上での、前記プレイヤーキャラクターによる、前記画像に対して行われた動作の範囲と、前記ターゲット領域の重なりに基づいて前記判定を行う
ことを特徴とする、請求項
1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項3】
さらに、
単語又は文章に基づいて画像を生成する画像生成器が保存された画像生成器記憶部と、
前記画像に関する単語又は文章の入力を受け付ける画像情報入力受付部と
を備え、
前記画像表示処理部は、前記画像情報入力受付部に入力された単語又は文章を前記画像生成器に入力することによって前記画像のデータを生成する
ことを特徴とする、請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項4】
前記画像生成器が大規模言語モデルを含む
ことを特徴とする、請求項
3に記載の仮想空間生成装置。
【請求項5】
さらに、
ゲーム画像と、該ゲーム画像に含まれるターゲット領域の組から成る学習データを用いた機械学習によって作成された学習済モデルで構成された、画像に含まれる物体を識別する画像識別器が保存された画像識別器記憶部
を備え、
前記判定部は、前記画像識別器によって前記画像に含まれるターゲット領域を特定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項6】
前記画像識別器が物体検出アルゴリズム、該物体検出アルゴリズムにより検出された移動物体の軌道推定を行うアルゴリズム、及び大規模言語モデルのうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする、請求項
5に記載の仮想空間生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが仮想空間においてプレイヤーキャラクターを操作することによりイベントやゲームなどを行う技術が広く用いられている。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの端末をユーザに装着させ、その表示部にプレイヤーキャラクターの視点で仮想空間を捉えた画像を表示する仮想現実(VR)技術を利用すると、ユーザに没入感を与えつつイベントやゲームなどを楽しませることができる。
【0003】
特許文献1には、仮想空間に設けたステージ上にスクリーンオブジェクトを配置し、そこに実空間で撮影したライブ、スポーツ、舞台などの映像を表示するシステムが記載されている。このシステムでは、仮想空間において動作するプレイヤーキャラクターをユーザが操作し、ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイにプレイヤーキャラクターの視点で捉えた仮想空間の映像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】"[生成AI]LLM・画像生成・コード生成・動画生成など主要な無料・有料ツール44選の特徴・活用例を徹底解説!",[online],2024年9月12日,AI Market 編集部,[2024年9月27日検索],インターネット<URL:https://ai-market.jp/services/generative-ai-tools/>
【文献】"YOLOとは?他の手法との違いやメリット・デメリットについて解説",[online],2024年2月7日,AIsmiley編集部,[2024年9月27日検索],インターネット<URL:https://aismiley.co.jp/ai_news/yolo/>
【文献】"物体検出(物体検知)をわかりやすく解説!違い・活用範囲・手法までを詳しく紹介",[online],株式会社フューチャースタンダード,[2024年9月27日検索],インターネット<URL:https://www.scorer.jp/blog/object-detection>
【文献】宮澤理佑也,"StrongSORT: DeepSORTが強くなって帰ってきた!アップグレードされた追尾モデル!",[online],2022年12月31日,株式会社wevnal,[2024年9月27日検索],インターネット<URL:https://ai-scholar.tech/articles/object-tracking/strongsort>
【文献】"博報堂DYメディアパートナーズのAaaS Tech Lab、生成AIを活用し、画像中の任意の物体を自然言語によって高精度に検出する技術を開発~ルームクリップ社のサービスやメディアビジネス領域に活用~",[online],2024年5月14日,株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ,[2024年9月27日検索],インターネット<URL:https://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/service/20240514_34939.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のシステムでは、ユーザはスクリーンオブジェクトに表示される映像を受動的に楽しむだけで、プレイヤーキャラクターを動作させることにより何らかの変化を生じるものではないため、ゲーム性に乏しい。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、従来にないゲーム性を有する仮想空間生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係る仮想空間生成装置は、
仮想空間の表示データ、及び該仮想空間において動作するプレイヤーキャラクターの表示データが保存された表示データ記憶部と、
前記表示データ記憶部に保存された前記仮想空間の表示データを用いて仮想空間を生成する仮想空間生成部と、
前記表示データ記憶部に保存された前記プレイヤーキャラクターの表示データを用い、外部からの入力操作に応じて前記仮想空間でプレイヤーキャラクターを動作させるプレイヤーキャラクター動作処理部と、
ターゲット領域を含む画像のデータに基づいて該画像を前記仮想空間内に生成する画像表示処理部と、
前記プレイヤーキャラクターにより、前記画像に対する所定の動作が行われたときに、該動作が前記ターゲット領域に対して行われたものであるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する判定結果出力部と
を備える。
【0009】
本発明に係る仮想空間生成装置では、画像表示処理部が、ターゲット領域を含む画像を仮想空間内に生成する。ユーザが、外部入力装置を用いてこの仮想空間生成装置に対してプレイヤーキャラクターを動作させる入力操作を行うと、プレイヤーキャラクター動作処理部はその入力操作に応じて仮想空間でプレイヤーキャラクターを動作させる。外部入力装置は、例えばヘッドマウントディスプレイ(HMD)であり、その表示部には、プレイヤーキャラクターの視点で捉えた仮想空間の画像が表示される。
【0010】
仮想空間内に生成される画像のデータは外部から入力される。画像におけるターゲット領域の位置を特定する情報は、外部から入力される画像のデータに含まれていてもよく、含まれていなくてもよい(即ち、画像表示処理部が画像を生成する時点で、当該画像に含まれるターゲット領域が不定であってもよい)。後者の場合には、上記判定部として、様々な種類のゲームについて、ゲーム画像とターゲット領域の組からなる学習用データを予め機械学習させた学習済モデルを用いた識別器を含むものを用いてターゲット領域を特定するとよい。また、この画像データは、予め用意されたものであってもよく、あるいはユーザが入力したキーワードに基づいて大規模言語モデル(LLM: Large Language Models)等によって生成されたものであってもよい。後者の場合には、上記判定部として同じくLLMを用いた識別器を含むものを用いるとよい。
【0011】
ユーザにより操作されるプレイヤーキャラクターが、仮想空間内に生成された画像に対する所定の動作を行うと、判定部は、その動作がターゲット領域に対して行われたものであるか否かを判定し、判定結果出力部はその判定結果を出力する。例えば生成される画像がシューティングゲームに関するものである場合には、所定の動作はプレイヤーキャラクターによる射撃動作であり、判定部は、プレイヤーキャラクターの動作によって発射された銃弾が該画像に含まれるターゲット領域(敵キャラクター、飛行機、動物など)に命中したか否かを判定する。あるいは、例えば、仮想空間内に生成される画像がダンスゲームに関するものである場合には、所定の動作はプレイヤーキャラクターのダンス動作であり、判定部は、プレイヤーキャラクターの身体の動きと該画像に含まれるターゲット領域(ダンサーの身体)の一致度を判定する。これにより、ユーザは、仮想空間内に生成される画像に応じてプレイヤーキャラクターを動作させるという、従来にないゲームを楽しむことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る仮想空間生成装置を用いることにより、仮想空間にスクリーンオブジェクトを配置してそこに映像を表示する仮想空間生成装置にゲーム性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る仮想空間生成装置の一実施形態を含む、ゲームシステムの要部構成図。
【
図2】本実施形態の仮想空間生成装置用いたシューティングゲームにおいてプレイヤーキャラクターによる、スクリーンオブジェクトに表示された画像に対するアクションが行われた状態を説明する図。
【
図3】本実施形態の仮想空間生成装置において、スクリーンオブジェクトの画像に基づいて仮想空間を生成する一例。
【
図4】本実施形態の仮想空間生成装置を用いたシューティングゲームにおける判定パネルを用いた判定について説明する図。
【
図5】本実施形態の仮想空間生成装置用いたダンスゲームにおいてプレイヤーキャラクターによる、スクリーンオブジェクトに表示された画像に対するアクションが行われた状態を説明する図。
【
図6】本実施形態の仮想空間生成装置を用いたダンスゲームにおける判定パネルを用いた判定について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る仮想空間生成装置の一実施形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の仮想空間生成装置10を含むゲームシステム1の要部構成図である。ゲームシステム1は、仮想空間生成装置10と、ユーザ端末40を含む。
図1にはユーザ端末40を1つのみ示しているが、ユーザ端末40は複数であってもよい。また、ゲームシステム1とユーザ端末40は、インターネットなどの無線による通信ネットワーク、あるいは有線による通信ネットワークを介して相互に接続されている。
【0016】
仮想空間生成装置10は、記憶部11を備えている。記憶部11は、ユーザ情報記憶部111、仮想空間表示データ記憶部112、キャラクターデータ記憶部113、エフェクトデータ記憶部114、画像生成器記憶部115、画像識別器記憶部116、及び画像データ記憶部117を有している。なお、本願明細書における画像の概念には、静止画だけでなく動画(例えば、60フレーム/秒の静止画で構成される動画)が含まれる。
【0017】
ユーザ情報記憶部111には、ユーザ端末40を使用するユーザを識別するユーザIDとパスワード、当該ユーザが操作するプレイヤーキャラクターの種類、ユーザ端末40を識別する端末IDなどの情報が保存されている。仮想空間表示データ記憶部112には、仮想空間の表示データが保存されている。キャラクターデータ記憶部113には、仮想空間で動作するプレイヤーキャラクター及びノンプレイヤーキャラクターの表示データが保存されている。エフェクトデータ記憶部114には、仮想空間において生じさせる各種のエフェクト(音声、画像など)のデータが保存されている。
【0018】
画像生成器記憶部115には、外部から入力される単語や文章に基づいて画像を生成する画像生成器が保存されている。画像生成器には、例えば、大規模言語モデル(LLM: Large Language Models。例えば非特許文献1)などの生成AIを好適に用いることができる。画像識別器記憶部116には、外部から入力される画像や画像生成器によって生成された画像に含まれるターゲット領域と非ターゲット領域の識別や、画像に含まれる背景を所定の基準で識別する画像識別器が保存されている。画像識別器には、例えば、YOLO(You Only Look Onece。例えば非特許文献2、3)、SSD(Single Shot MlutiiBox Detector。例えば非特許文献3)といった物体検出アルゴリズムに基づく識別器や、該識別器によって識別された物体が移動物体である場合にその軌道推定を行うDeepSORT、StrongSORT(例えば非特許文献4)といった軌道推定アルゴリズムを用いることができる。また、画像生成器がLLMなどの生成AIである場合には、画像識別器にも同様にLLM(例えば非特許文献5)などの生成AIを用いることができる。その他、動画に含まれる移動物体(時間的に連続する画像間で位置が変化する物体)をターゲット領域として特定するアルゴリズムなどを用いることもできる。
【0019】
画像データ記憶部117には、ユーザにゲームをプレイさせる際に使用可能な画像データが保存されている。画像データ記憶部117に保存されている画像のデータには、当該画像に含まれるターゲット領域の位置を特定する情報が対応付けられたものと、該情報が対応付けられていないものの両方が含まれ得る。ターゲット領域は、ユーザがゲームをプレイする際の対象領域を意味し、例えばシューティングゲームにおいては射撃対象物の表示領域、ダンスゲームにおいては模範ダンサーの表示領域をいう。また、画像データ記憶部117に保存されている画像のデータには、仮想空間表示データ記憶部112に保存されているデータと関連付けられたものと、関連付けられていないものの両方が含まれ得る。
【0020】
仮想空間生成装置10は、機能ブロックとして、ユーザ認証部21、仮想空間生成部22、プレイヤーキャラクター動作処理部23、画像情報入力受付部24、画像生成部25、画像識別部26、画像表示処理部27、判定部28、及びエフェクト生成部29を備えている。これらの機能ブロックの詳細は後記する。
【0021】
仮想空間生成装置10は、例えば、クラウドサーバや一般的なパーソナルコンピュータで構成され、予めインストールされた専用のソフトウェア(仮想空間生成プログラム)をプロセッサで実行することにより上記の各機能ブロックが具現化される。
【0022】
ユーザ端末40は、記憶部41を備えている。記憶部41には、ユーザ端末40を特定するための端末ID情報や、ユーザ端末40を使用するユーザの情報(ユーザIDの情報等)が保存されている。
【0023】
また、ユーザ端末40は、ハードウェアとして、姿勢取得部42、音声入力部43、音声出力部44、入力部45、及び表示部46を備えている。ユーザ端末40は、例えばヘッドマウントディスプレイ(HMD)であり、姿勢取得部42は、各種のセンサ類と、該センサ類の出力信号に基づいてユーザの位置及び姿勢を決定する演算処理部を有している。姿勢取得部42、音声入力部43、及び音声出力部44は所定の頻度(例えば、60回/秒)で仮想空間生成装置10との間で信号の送受信を行う。これにより、姿勢取得部42が取得したユーザの位置や姿勢の情報、及び音声入力部43に入力された音声の情報が仮想空間生成装置10に送信され、仮想空間におけるプレイヤーキャラクターの位置、姿勢、及び音声に反映される。また、仮想空間において発生した音声の情報等が、音声出力部44から出力される。表示部46は、ユーザがユーザ端末40を頭部に装着した状態でユーザの眼前に位置するように配置されている。その他、ユーザ端末40は、機能ブロックとしてデータ処理部48を備えている。
【0024】
次に、本実施形態のゲームシステム1の動作を説明する。
【0025】
ユーザがユーザ端末40において所定の操作を行うことにより仮想空間生成装置10にアクセスすると、ユーザ認証部21は、ユーザIDとパスワードを入力する画面を生成し、そのデータをユーザ端末40に送信する。ユーザ端末40では、受信したデータをデータ処理部48で処理し、上記画面を表示部46に表示する。使用者がユーザIDとパスワードを入力すると、ユーザ認証部21は、入力されたユーザIDとパスワードに基づいてユーザを特定する。ここではユーザIDとパスワードを入力する構成としたが、ユーザ端末40の記憶部41に保存されたユーザIDとパスワード、又は端末IDを自動的に送信するようにしてもよい。なお、以下の説明においても、仮想空間生成装置10の各部によって生成される画面の表示データをユーザ端末40に送信し、その表示データをデータ処理部48が処理して表示部46に表示させる処理を行うが、これら一連の処理については繰り返し記載せず、単に「画面を表示部46に表示する」などと記載する。
【0026】
ユーザ認証部21によりユーザが特定されると、仮想空間生成部22は、仮想空間表示データ記憶部112から、初期状態として予め決められた仮想空間の表示データを読み出して仮想空間を生成する。また、プレイヤーキャラクター動作処理部23は、ユーザ情報記憶部111に保存されたデータに基づいて当該ユーザが操作するプレイヤーキャラクターの種類を特定する。当該ユーザに対して複数種類のプレイヤーキャラクターが対応付けられている場合には、そのいずれかをユーザに選択させる。そして、キャラクターデータ記憶部113に保存されたデータに基づいて仮想空間にプレイヤーキャラクターを登場させる。これと併せて、予め設定されたノンプレイヤーキャラクターを登場させてもよい。
【0027】
ここでは、ユーザがユーザIDとパスワードを入力してログインする形態としたが、ログイン操作を省略してもよい。また、ユーザが操作するプレイヤーキャラクターの種類の情報を予めユーザ情報記憶部111に保存しておく形態としたが、ユーザ情報と対応付けることなく、キャラクターデータ記憶部113に保存されている複数種類のプレイヤーキャラクターの情報をユーザに提示し、都度、操作対象とするプレイヤーキャラクターをユーザに選択させてもよい。また、ユーザ端末40の記憶部41にプレイヤーキャラクターの種類の情報を保存しておき、プレイヤーキャラクター動作処理部23がその情報を読み出すようにしてもよい。
【0028】
続いて、画像情報入力受付部24は、ゲームに使用する画像として、既に画像データ記憶部117に保存された画像と、新たに生成する画像のいずれを使用するかをユーザに選択させる画面を表示部46に表示する。
【0029】
ユーザが既存の画像を使用することを選択した場合には、画像情報入力受付部24は、画像データ記憶部117に保存されている画像(ゲーム映像)を表示部46に一覧表示し、ユーザにそのうちのいずれかを選択させる。
【0030】
ユーザがいずれかの画像を選択すると、画像識別部26は、選択された画像のデータに、当該画像に含まれるターゲット領域の位置を特定する情報が対応付けられているか否かを確認する。ターゲット領域の位置を特定する情報が対応付けられている場合には、それを併せて読み込む。一方、ターゲット領域の位置を特定する情報が対応付けられていない場合には、画像識別器記憶部116に保存されている画像識別器を読み込んで動作させる。
【0031】
また、画像識別部26は、選択された画像のデータが、仮想空間表示データ記憶部112に保存されている仮想空間の表示データと関連付けられているか否かを確認する。仮想空間表示データ記憶部112に保存されているデータと対応付けられている場合には、仮想空間生成部22がそのデータを読み込む。仮想空間表示データ記憶部112に保存されているデータと対応付けられていない場合には、画像識別器記憶部116に保存されている画像識別器を読み込んで動作させる。なお、画像のデータに対応付けられた仮想空間の表示データとは、後記するスクリーンオブジェクト5に表示される当該画像(ゲーム映像)と同期して表示される仮想空間の表示データである。
【0032】
上記の選択画面においてユーザが新たに生成する画像を使用することを選択した場合には、画像生成部25は、画像生成器記憶部115から画像生成器を読み出すとともに、どのような画像(ゲーム映像)を表示させるかをユーザに問い合わせる。これに対してユーザがユーザ端末40から音声又はテキストで単語(例えば、シューティングゲーム、森、狩り)又は文章(例えば、森で狩猟を行うシューティングゲーム)を入力すると、画像生成器は入力された音声又はテキストに基づいて画像データを生成する。
【0033】
例えば、ここで作成する画像がダンスゲームの映像である場合、ユーザがダンスゲームをプレイする際には、模範動作を確認した後に、その動作を真似るダンスゲームを生成することができる。その場合には、ユーザがユーザ端末40から、例えば、「模範フェーズ(模範動作を表示してユーザが確認するフェーズ)とプレイフェーズ(ユーザが確認した模範動作をユーザが真似るフェーズ。このフェーズでは、模範動作を表示してもよく表示しなくてもよい)の2フェーズを1組として構成されるダンスゲーム」といった情報を入力すればよい。また、ダンスゲームでは、模範動作を行うモデルの体格とプレイヤーキャラクターの体格が一致していないと、動作の一致度の判定結果が悪くなることがある。そこで、上記の情報と併せてプレイヤーキャラクターの性別や体格に関する情報を入力するとよい。こうした情報を入力することで、画像生成部25に、プレイヤーキャラクターの体格と近似したモデルが模範動作を行うダンスゲームの画像を生成させることができる。ここでユーザ端末40から入力された情報は記憶部11(例えば画像データ記憶部117)に保存される。
【0034】
ゲームに使用する画像の選択又は生成が終了すると、画像表示処理部27は、仮想空間8の所定位置(例えば、予め決められた距離Lだけ離れてプレイヤーキャラクター9と正対する位置。
図2参照。)に透明なスクリーンオブジェクト5を仮想的に表示し、選択又は生成されたデータに基づいて画像を表示(映像の再生を開始)する。スクリーンオブジェクト5が透明であることによって、プレイヤーキャラクター9の視点でスクリーンオブジェクト5を捉えた時に、スクリーンオブジェクト5の裏側に位置する仮想空間も同時に視認することができる。上記のようにスクリーンオブジェクト5は仮想空間に仮想的に表示されるものであり、例えば、他のユーザが操作するプレイヤーキャラクターやノンプレイヤーキャラクターはスクリーンオブジェクト5を自由に通過する(通り抜ける)ことができる。また、その画像に仮想空間表示データ記憶部112に保存されているデータと対応付けられている場合には、画像の表示(映像の再生。以下同様。)と並行し、仮想空間生成部22が、その画像に対応付けられた仮想空間の表示データに基づいて仮想空間を生成する。
【0035】
上記選択又は生成された画像に、仮想空間表示データ記憶部112に保存されている仮想空間の表示データと対応付けられていない場合には、画像識別部26が、画像の表示と並行して画像識別器によりその画像に含まれる要素を識別し、スクリーンオブジェクト5に表示されている画像を拡張した仮想空間8を生成する。例えば、
図3に示すように、画像が、空6と地面7を背景とし、空6の領域に太陽61や雲62が含まれ、地面7の領域に家71や道路72が含まれるものである場合には、仮想空間における、空6と地面7の境界よりも上方の空間に空60を、該境界よりも下方の空間に地面70を有する仮想空間8を生成する。また、画像に含まれるものと同様に、空60に雲621を配置したり、地面70に家711を配置したり、スクリーンオブジェクト5から拡張した道路721を表示したりする。
【0036】
また、上記選択又は生成された画像のデータにターゲット領域の位置を特定する情報が含まれていない場合には、画像識別部26が、画像の表示と並行して画像識別器によりその画像に含まれるターゲット領域52を特定する(
図2参照)。
【0037】
スクリーンオブジェクト5に映像を表示する場合、ターゲット領域52を特定する処理は、該映像のフレームレート(例えば60フレーム/秒)と同じ頻度(例えば60回/秒)で行ってもよいが、仮想空間生成装置10を構成する装置の性能や、画像識別器の種類によってはそのような高速処理を行うことが難しい場合がある。
【0038】
そこで、画像識別器として、YOLO(You Only Look Onece)、SSD(Single Shot MlutiiBox Detector)といった物体検出アルゴリズムに加えて、これらの物体検出アルゴリズムによって検出された物体の軌道を推定し追跡するDeepSORT、StrongSORTといった軌道推定アルゴリズムを併用するとよい。こうした構成を採ることにより、映像のフレームレートよりも低い頻度(例えば1回/秒)で物体検出を行うのみで、1秒毎に検出された物体の位置と当該物体の推定軌道によってターゲット領域52を特定すればよくなり、一般的なパーソナルコンピュータで仮想空間生成装置10を構成することが可能になる。
【0039】
仮想空間に表示される映像によるVR酔いを回避するには、最低60フレーム/秒のフレームレートが要求されるが、こうした技術を用いることにより、高フレームレートの映像を用いたゲームを実現することができる。また、画像識別器として選択可能なアルゴリズムの種類がより多くなる。あるいは、映像に含まれる移動物が全てターゲットである場合には、移動物体を検出してターゲット領域52として特定する、より単純なアルゴリズムを用いてもよい。
【0040】
スクリーンオブジェクト5に画像が表示(映像が再生)された状態で、ユーザがユーザ端末40を通じてプレイヤーキャラクター9を操作すると、プレイヤーキャラクター動作処理部23は、その入力操作に応じて仮想空間8でプレイヤーキャラクター9を動作させる。例えば、ユーザの移動に合わせてプレイヤーキャラクター9が仮想空間で移動し、ユーザが姿勢を変更するとプレイヤーキャラクター9もそれと同じ姿勢に変更される。
【0041】
プレイヤーキャラクター9(又はユーザ)によって第1の所定の動作がなされると、判定部28が起動する。そして、プレイヤーキャラクター9(又はユーザ)が第2の所定の動作を行うと、判定部28は、その動作がスクリーンオブジェクト5に表示された画像に対して行われたものであると認識する。所定の動作の具体的な内容はゲームの種類及び内容に応じて異なるため、判定部28は、ターゲット領域52の内容に応じて上記第1の所定の動作及び第2の所定の動作の内容を決定する。あるいは、特定の種類のゲームのみを実行する場合には、上記第1の所定の動作及び第2の所定の動作の内容を予め決めておいてもよい。
【0042】
シューティングゲームの場合、第1の所定の動作は、例えばプレイヤーキャラクター9が銃を構える動作であり、第2の所定の動作は、例えばトリガーを操作する動作(銃から弾を発射する動作)である。あるいは、ダンスゲームの場合、第1の所定の動作は、プレイヤーキャラクター9がスクリーンオブジェクト5に正対する動作であり、第2の所定の動作は、スクリーンオブジェクト5に正対した状態から姿勢を変化させる任意の動作である。なお、模範フェーズとプレイフェーズの2フェーズで構成されるダンスゲームの場合、判定部28は、プレイフェーズにおいてのみ、第1の所定の動作及び第2の所定の動作を検知する。あるいは、プレイヤーキャラクター9が上記画像に対して所定の動作を行うタイミング(該動作を開始するタイミング)を、ユーザがユーザ端末40における所定の入力操作によって仮想空間生成装置10に通知し、これを受けて判定部28が所定時間(例えば10秒間)動作するようにしてもよい。
【0043】
判定部28は、プレイヤーキャラクター9の動作がスクリーンオブジェクト5に表示された画像に対して行われたものであると認識すると、その動作がターゲット領域52に対して行われたものであるか否かを判定する。例えば、シューティングゲームでは、プレイヤーキャラクター9が構えた銃から発射される銃弾がターゲット領域52を通過するか否かを判定する。シューティングゲームのように、プレイヤーキャラクター9からスクリーンオブジェクト5に対して何らかの物体が発せられるゲームの場合、エフェクト生成部29は、プレイヤーキャラクター9が構えた銃の銃口から、銃身が延びる方向に銃弾の軌跡91を示す光線を発射する。
【0044】
このとき、判定部28は、例えば、スクリーンオブジェクト5の背面(プレイヤーキャラクター9と反対側の面)に透明な判定パネル51を仮想的に配置し、該スクリーンオブジェクト5を通過した光線の、判定パネル51における入射位置512と、スクリーンオブジェクト5におけるターゲット領域52に対応する判定パネル51上のターゲット領域511の重なりの有無に基づいて、その銃弾がターゲット領域52に的中したか否かを判定する(
図4参照)。これは、判定部28による的中判定の一例であって、的中判定の方法は適宜に変更可能である。
【0045】
また、例えば、ダンスゲームの場合には、
図5に示すように、判定部28は、プレイヤーキャラクター9の背面(スクリーンオブジェクト5と反対側)に光源54を仮想的に配置し、またスクリーンオブジェクト5の背面に透明な判定パネル51を仮想的に配置して、光源54からプレイヤーキャラクター9に光を照射することで判定パネル51上に投影されたプレイヤーキャラクター9のシルエット領域513と、スクリーンオブジェクト5におけるターゲット領域52に対応する判定パネル51上のターゲット領域511の重なり度合に基づいてプレイヤーキャラクター9が行ったダンスを採点するように構成することもできる(
図6参照)。光源54を用いることは必須でなく、プレイヤーキャラクター9のシルエット領域513を判定パネル51に映し出すことができるものであれば任意の構成を採ることができる。例えば、スクリーンオブジェクト5の側からプレイヤーキャラクター9を捉えるカメラを仮想的に配置し、該カメラで捉えたシルエットを判定パネル51に投影するなどしてもよい。上記のとおり、ダンスゲームにおいて模範動作を行うモデルと、プレイヤーキャラクターの体格が一致していないと、動作の一致度の判定結果が悪くなる可能性がある。そこで、ダンスゲームの画像データが、プレイヤーキャラクターの性別や体格に関する情報の入力を受けて生成されたものでない場合には、プレイヤーキャラクター9のシルエットを判定パネル51に映し出す際に、両者の体格(身長や身体の幅)を揃えるなどの処理を行うとよい。
【0046】
ここでは、スクリーンオブジェクト5におけるターゲット領域52に対応する判定パネル51上のターゲット領域511の重なり度合に基づいてプレイヤーキャラクター9が行ったダンスを採点する形態としたが、これ以外にも様々な方法を採ることができる。例えば、ユーザ端末42の姿勢取得部42として、検出したユーザの姿勢からユーザのボーンデータを抽出可能なものを用い、また、プレイヤーキャラクター動作処理部23がユーザのボーンデータに基づいてプレイヤーキャラクター9を動作させるように構成し、さらに、判定部28がターゲット領域52から模範動作を行うモデルのボーンデータを抽出してユーザのボーンデータとの一致度からダンスを採点するようにしてもよい。なお、判定部28がダンスゲームのプレイ中にリアルタイムでターゲット領域52からモデルのボーンデータを抽出し、かつユーザのボーンデータとの一致度を判定すると、判定部28による処理の負荷が過大になることがあり得る。そこで、判定部28がユーザとモデルのボーンデータの一致度に基づく判定を行う場合には、画像データが選択又は生成された後、その画像データを用いたゲームのプレイが開始される前の時点で、事前に画像データからモデルのボーンデータを抽出する処理を行っておくとよい。あるいは、模範フェーズとプレイフェーズの2フェーズで構成されるダンスゲームの場合には、模範フェーズの画像データを再生している間にモデルのボーンデータを抽出しておいてもよい。
【0047】
あるいは、姿勢取得部42として、ユーザが手に所持したコントローラや足に装着した特定の物体の位置の変化の情報を抽出し、また、プレイヤーキャラクター動作処理部23がそれらの位置の情報をプレイヤーキャラクター9の動作(手足の位置の変化)に反映させるように構成し、さらに、判定部28がターゲット領域52からモデルの手足の位置の変化を抽出してユーザの手足の位置の変化との一致度からダンスを採点するようにしてもよい(即ち、ユーザの特定の部位の位置と、ターゲット領域52に含まれるモデルの該特定の部位の位置の変化の一致度からダンスを採点するようにしてもよい)。
【0048】
判定部28による判定結果は、エフェクト生成部29によるスクリーンオブジェクト5に画像(又は映像)として表示される。例えば、シューティングゲームの場合には、
図2に示すように、エフェクト生成部29がターゲット領域内の着弾位置を中心として破裂や爆風を表すエフェクト53を表示したり、着弾位置から血しぶきを発するエフェクトを表示したりするように構成することができる。また、ターゲット領域52に銃弾が的中したことを示す効果音をエフェクトとして発生させてもよい。あるいは、ターゲット領域52内の着弾位置の近傍に”HIT!”という文字を表示することによりターゲット領域への的中したことを示すこともできる。また、ダンスゲームの場合には、
図5に示すように、エフェクト生成部29が、判定部28による判定結果を点数としてスクリーンオブジェクト5に表示したり、各時点での判定部28による判定結果に応じて”Excellent!”、”Good!”、”Bad”などの文字を表示したりするように構成することができる。これらのエフェクトのデータは、想定されるゲームの種類に応じたものを予めエフェクトデータ記憶部114に保存しておく。
【0049】
上記のゲームにおいて用いられた画像(ゲーム映像)が画像生成器によって新たに生成されたものである場合には、ゲーム終了後、その画像(ゲーム映像)のデータは、該ゲーム映像から画像識別器が識別したターゲット領域52の情報とともに画像データ記憶部117に保存される。また、画像識別器によって生成された仮想空間8の表示データが、ゲーム映像のデータと対応付けられて仮想空間表示データ記憶部112に保存される。さらに、ゲームにおいて用いられたゲーム映像が予め画像データ記憶部117に保存されたものである場合にも、ゲーム終了後、画像識別器によって識別されたターゲット領域52の情報が画像データ記憶部117に保存され、画像識別器によって生成された仮想空間8の表示データが仮想空間表示データ記憶部112に保存される。
【0050】
本実施形態のゲームシステム1では、上記のような仮想空間生成装置10に外部から入力された画像をスクリーンオブジェクト5に表示し、その画像を用いてゲームを楽しむことができる。従来、スクリーンオブジェクトを用いることは提案されていたが、そこに表示された画像を受動的に楽しむものに留まっていた。これに対し、本実施形態の仮想空間生成装置10及び該仮想空間生成装置10を含むゲームシステム1を用いることにより、スクリーンオブジェクトに表示された画像を用いた、従来にないゲームを楽しむことができる。
【0051】
また、上記実施形態では、ユーザが単語や文章を音声やテキストで入力することにより、自らの趣向に応じた画像(ゲーム映像)を生成させてそれを楽しむことができる。
【0052】
上記実施形態は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
【0053】
上記実施形態ではゲームシステム1として説明したが、本発明に係る仮想空間生成装置はゲーム以外にも使用可能である。例えば、ヨガやトレーニングなどの訓練を行うためにも上記実施形態と同様の構成のシステムを好適に用いることができる。また、上記実施形態では、仮想空間生成装置10とユーザ端末40によりゲームシステム1を構成したが、仮想空間生成装置10の記憶部や機能ブロックの一部又は全部をユーザ端末40の記憶部
や機能ブロックとしてもよい。
【0054】
上記実施形態では、ターゲット領域を含む画像をスクリーンオブジェクトに表示したが、他の方法を採ることもできる。例えば、スクリーンオブジェクトを用いることなく、ターゲット領域に相当する画像のホログラムを仮想空間に生成してもよい。また、上記実施形態では、矩形状のスクリーンオブジェクト5を配置し、ターゲット領域と非ターゲット領域を含む画像を表示したが、ターゲット領域と同じ外形を有するスクリーンオブジェクトにターゲット領域のみを表示してもよい。スクリーンオブジェクト自体が仮想的に配置されるものであるため、その形状は瞬時に、かつ任意に変更可能である。上記実施形態では、判定部28が判定パネル51を用いる例を説明したが、判定パネル51を用いることなく判定を行ってもよい。
【0055】
上記実施形態では画像生成器によってゲーム映像を作成し、そのゲーム映像に含まれるターゲット領域を画像識別器が検出する例を説明したが、画像形成器が、ターゲット領域を含む初期画像を生成し、画像生成器がそのターゲット領域に予め決められた動きを与えることによってゲーム映像を生成することもできる。例えば、動物の場合には、プレイヤーキャラクター9に向かって突進する軌道、飛行機の場合には、プレイヤーキャラクター9に向かいつつ旋回する軌道などを予め設定しておけばよい。この場合には、画像生成器によって与えられた動きのデータを用いて画像識別器が容易にゲーム画像に含まれるターゲット領域を追跡することができる。また、ターゲット領域の特性(飛行機、動物など)に応じてターゲット領域からプレイヤーキャラクターに向かって予め決められた攻撃を発するように構成することもできる。
【0056】
上記実施形態では一人のユーザがゲームを楽しむ例を説明したが、複数のユーザがそれぞれのユーザ端末40を使用し、1つの仮想空間で同時にゲームを楽しむこともできる。
【0057】
[態様]
上述した例示的な実施形態が以下の態様の具体例であることは、当業者には明らかである。
【0058】
(第1項)
本発明の一態様に係る仮想空間生成装置は、
仮想空間の表示データ、及び該仮想空間において動作するプレイヤーキャラクターの表示データが保存された表示データ記憶部と、
前記表示データ記憶部に保存された前記仮想空間の表示データを用いて仮想空間を生成する仮想空間生成部と、
前記表示データ記憶部に保存された前記プレイヤーキャラクターの表示データを用い、外部からの入力操作に応じて前記仮想空間でプレイヤーキャラクターを動作させるプレイヤーキャラクター動作処理部と、
ターゲット領域を含む画像のデータに基づいて該画像を前記仮想空間内に生成する画像表示処理部と、
前記プレイヤーキャラクターにより、前記画像に対する所定の動作が行われたときに、該動作が前記ターゲット領域に対して行われたものであるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する判定結果出力部と
を備える。
【0059】
第1項に係る仮想空間生成装置では、画像表示処理部が、ターゲット領域を含む画像を仮想空間内に生成する。ユーザが、外部入力装置を用いてこの仮想空間生成装置に対してプレイヤーキャラクターを動作させる入力操作を行うと、プレイヤーキャラクター動作処理部はその入力操作に応じて仮想空間でプレイヤーキャラクターを動作させる。外部入力装置は、例えばヘッドマウントディスプレイ(HMD)であり、その表示部には、プレイヤーキャラクターの視点で捉えた仮想空間の画像が表示される。
【0060】
仮想空間内に生成される画像のデータは外部から入力される。画像におけるターゲット領域の位置を特定する情報は、外部から入力される画像のデータに含まれていてもよく、含まれていなくてもよい(即ち、画像表示処理部が画像を生成する時点で、当該画像に含まれるターゲット領域が不定であってもよい)。後者の場合には、上記判定部として、様々な種類のゲームについて、そのゲーム画像に含まれるターゲット領域を予め機械学習させた学習済モデルを用いた識別器を含むものを用いてターゲット領域を特定するとよい。また、この画像データは、予め用意されたものであってもよく、あるいはユーザが入力したキーワードに基づいて大規模言語モデル(LLM: Large Language Models)等によって生成されたものであってもよい。後者の場合には、上記判定部として同じくLLMを用いた識別器を含むものを用いるとよい。
【0061】
ユーザにより操作されるプレイヤーキャラクターが、仮想空間内に生成された画像に対する所定の動作を行うと、判定部は、その動作がターゲット領域に対して行われたものであるか否かを判定し、判定結果出力部はその判定結果を出力する。例えば生成される画像がシューティングゲームに関するものである場合には、所定の動作はプレイヤーキャラクターによる射撃動作であり、判定部は、プレイヤーキャラクターの動作によって発射された銃弾が該画像に含まれるターゲット領域(敵キャラクター、飛行機、動物など)に命中したか否かを判定する。あるいは、例えば、仮想空間内に生成される画像がダンスゲームに関するものである場合には、所定の動作はプレイヤーキャラクターのダンス動作であり、判定部は、プレイヤーキャラクターの身体の動きと該画像に含まれるターゲット領域(ダンサーの身体)の一致度を判定する。これにより、ユーザは、仮想空間内に生成される画像に対してプレイヤーキャラクターを動作させるという、従来にないゲームを楽しむことができる。
【0062】
(第2項)
第2項に係る仮想空間生成装置は、第1項に係る仮想空間生成装置において、
前記画像表示処理部が、前記仮想空間にスクリーンオブジェクトを配置し、該スクリーンオブジェクトに前記画像を表示する
ものである。
【0063】
(第3項)
第3項に係る仮想空間生成装置は、第2項に係る仮想空間生成装置において、
前記スクリーンオブジェクトは透明なオブジェクトであり、
前記判定部は、前記スクリーンオブジェクトの背面に判定パネルを配置し、該判定パネル上での、前記プレイヤーキャラクターによる、前記画像に対して行われた動作の範囲と、前記ターゲット領域の重なりに基づいて前記判定を行う
ものである。
【0064】
第1項に係る仮想空間生成装置において、仮想空間に画像を生成する方法の1つとして、第2項に記載のように、仮想空間に配置したスクリーンオブジェクトに画像を表示させることが考えられる。また、第2項に記載の仮想空間生成装置では、第3項に記載のように、スクリーンオブジェクトの背面に配置した判定パネルを用いてプレイヤーキャラクターの動作がターゲット領域に対して行われたものであるか否かを判定することができる。
【0065】
(第4項)
第4項に係る仮想空間生成装置は、第1項から第3項のいずれかに係る仮想空間生成装置において、さらに、
単語又は文章に基づいて画像を生成する画像生成器が保存された画像生成器記憶部と、
前記画像に関する単語又は文章の入力を受け付ける画像情報入力受付部と
を備え、
前記画像表示処理部は、前記画像情報入力受付部に入力された単語又は文章を前記画像生成器に入力することによって前記画像のデータを生成する
ものである。
【0066】
第4項に係る仮想空間生成装置では、ユーザが、自らの趣向に応じて任意の画像を生成させ、その画像を用いたゲームを楽しむことできる。
【0067】
(第5項)
第5項に係る仮想空間生成装置は、第4項に係る仮想空間生成装置において、
前記画像生成器が大規模言語モデルを含む。
【0068】
第4項に係る仮想空間生成装置における画像生成器として、第5項に記載の大規模言語モデル(LLM: Large Language Models)を好適に用いることができる。
【0069】
(第6項)
第6項に係る仮想空間生成装置は、第1項から第5項のいずれかに係る仮想空間生成装置において、さらに、
ゲーム画像と、該ゲーム画像に含まれるターゲット領域の組から成る学習データを用いた機械学習によって作成された学習済モデルで構成された、画像に含まれる物体を識別する画像識別器が保存された画像識別器記憶部
を備え、
前記判定部は、前記画像識別器によって前記画像に含まれるターゲット領域を特定する
ものである。
【0070】
第6項に係る仮想空間生成装置では、ターゲット領域が事前に特定されていない、任意の画像を用いてゲームを楽しむことができる。
【0071】
(第7項)
第7項に係る仮想空間生成装置は、第6項に係る仮想空間生成装置において、
前記画像識別器が物体検出アルゴリズム、該物体検出アルゴリズムにより検出された移動物体の軌道推定を行うアルゴリズム、及び大規模言語モデルのうちの少なくとも1つを含む。
【0072】
第6項に係る仮想空間生成装置における画像識別器として、第7項に記載の物体検出アルゴリズム(例えば、YOLO(You Only Look Onece)、SSD(Single Shot MlutiiBox Detector))、該物体検出アルゴリズムにより検出された移動物体の軌道推定を行うアルゴリズム(例えば、DeepSORT、StrongSORT)、及び/又は大規模言語モデル(LLM: Large Language Models)を好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0073】
1…ゲームシステム
10…仮想空間生成装置
11…記憶部
111…ユーザ情報記憶部
112…仮想空間表示データ記憶部
113…キャラクターデータ記憶部
114…エフェクトデータ記憶部
115…画像生成器記憶部
116…画像識別器記憶部
117…画像データ記憶部
21…ユーザ認証部
22…仮想空間生成部
23…プレイヤーキャラクター動作処理部
24…画像情報入力受付部
25…画像生成部
26…画像識別部
27…画像表示処理部
28…判定部
29…エフェクト生成部
40…ユーザ端末
41…記憶部
42…姿勢取得部
43…音声入力部
44…音声出力部
45…入力部
46…表示部
48…データ処理部
5…スクリーンオブジェクト
51…判定パネル
511…判定パネル上のターゲット領域
512…入射位置
513…プレイヤーキャラクターのシルエット領域
52…ターゲット領域
53…エフェクト
54…光源
6、60…空
61…太陽
62、621…雲
7、70…地面
71、711…家
72、721…道路
8…仮想空間
9…プレイヤーキャラクター
91…軌跡
【要約】
【課題】従来にないゲーム性を有する仮想空間生成装置を提供する。
【解決手段】仮想空間の表示データ及びプレイヤーキャラクターの表示データが保存された表示データ記憶部(112、113)と、仮想空間の表示データを用いて仮想空間を生成する仮想空間生成部(22)と、プレイヤーキャラクターの表示データを用い外部からの入力操作に応じて仮想空間でプレイヤーキャラクターを動作させるプレイヤーキャラクター動作処理部(23)と、外部から入力されるターゲット領域を含む画像のデータに基づいて該画像を仮想空間内に生成する画像表示処理部(27)と、プレイヤーキャラクターによる所定の動作がターゲット領域に対して行われたものであるか否かを判定する判定部(28)と、判定部による判定結果を出力する判定結果出力部(29)とを備える仮想空間生成装置(10)。
【選択図】
図1