(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】サウナ装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/06 20060101AFI20250218BHJP
【FI】
A61H33/06 F
(21)【出願番号】P 2024026979
(22)【出願日】2024-02-05
【審査請求日】2024-02-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524068517
【氏名又は名称】株式会社ウッドライフ
(73)【特許権者】
【識別番号】524068894
【氏名又は名称】合同会社讃和通商
(73)【特許権者】
【識別番号】594093356
【氏名又は名称】高尾 正範
(73)【特許権者】
【識別番号】524068908
【氏名又は名称】登 重彦
(73)【特許権者】
【識別番号】524068919
【氏名又は名称】大嶌 好春
(72)【発明者】
【氏名】横岡 秀春
(72)【発明者】
【氏名】山西 和雄
(72)【発明者】
【氏名】高尾 正範
(72)【発明者】
【氏名】登 重彦
(72)【発明者】
【氏名】大嶌 好春
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-112467(JP,A)
【文献】特開昭63-111867(JP,A)
【文献】特開2004-089493(JP,A)
【文献】特開平02-102653(JP,A)
【文献】特開2009-273651(JP,A)
【文献】特開2010-042175(JP,A)
【文献】特開平01-046461(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1700590(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サウナ室
の床面上に、加熱源となる電気ヒータと蓄熱石材を備えて構成される加熱装置と
、サウナ使用者が待機する待機部を配置したサウナ装置において、
上記サウナ室の上記加熱装置に近い側壁内に
は、該側壁内を縦方向に延びる壁内通気路が設けられるとともに、該壁内通気路の上端
はサウナ室内の上部に開口する高温空気導入口に臨み、
該壁内通気路の下端
は上記床面の内部に設けられた床内通気路の一端側に連通
する一方、
上記床内通気路の他端は
、上記サウナ室の床面上で且つ上記待機部の下側に
形成される内部空間に臨んで開口し上記床内通気路側からの空気流
を該内部空間に流入させるように構成され、
さらに上記内部空間は上記待機部
の隙間を通して上記サウナ室に連通し、該内部空間内の空気流を上記サウナ室側へ流出
させるように構成されたことを特徴とするサウナ装置。
【請求項2】
請求項1において
上記内部空間内には、上記壁内通気路から上記床内通気路に至る流路内の空気流を上記内部空間側に導入する第1の吸気ファンが設けられたことを特徴とするサウナ装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記床面の一側寄り位置で且つサウナ室の出入口扉に近接する位置には、上記床内通気路内の空気流を上記サウナ室内に導入する第2の吸気ファンが設けられたことを特徴とするサウナ装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
サウナ室の天井壁寄りの上記加熱装置の直上に位置する部位には、該加熱装置から上昇移動する空気流の一部を捕集して上記高温空気導入口側に案内する空気流捕集案内部が設けられていることを特徴とするサウナ装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、
上記床内通気路は、その流路上面側が、多数の通気口を備えた合板と、該合板の上面に積層配置されたステンレスパンで構成され、該床内通気路を流れる空気流の一部が上記合板の上記通気口を通して上記ステンレスパンと接触するように構成されたことを特徴とするサウナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、サウナ室内に、熱源機能とロウリュ機能を持つ加熱装置と、サウナ利用者が待機する待機部を配置して構成されるサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のサウナ装置としては、例えば、特許文献1に示されるようなサウナ装置が提案されている。このサウナ装置は、サウナ室内に、加熱用のサウナストーブと、サウナ使用者が待機する待機部を備えて構成される。そして、上記サウナストーブで加熱された高温空気でサウナ室内の雰囲気温度を高めるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなサウナ装置においては、床面側に置いた加熱装置において加熱昇温された高温空気が順次浮力上昇によりサウナ室の上部に押し上げられることで、該サウナの上部に溜まる一方、後から順次浮力上昇してくる高温空気によって押し下げられることで、高温空気領域がサウナ室上部から底部側まで広がってサウナ室全体が温められるようになっている。
しかし、この高温空気のサウナ室上部から底部側への広がり速度は極めて緩慢であることから、サウナ室の天井壁に近い領域に位置する待機部に座った利用者の頭部近傍においては90~100℃と高温となる一方、サウナ室底部のサウナ利用者の足元に近い領域では40~50℃と低温であるなど、上下領域間において大きな温度勾配が発生し且つこの状態が長く続くことになる。
【0007】
この結果、上記待機部に座っている利用者は、頭部が熱くなり過ぎて、目鼻の渇き、皮膚の傷み等が感じられるなど、到底快適とは言えない状態となる。
【0008】
一方、サウナ室の底部近傍に居る利用者は、足元が温まらないことから快適とは言えない状態にある。しかも、このような低温状態が長く続くと、床面側の結露の影響もあって、カビの発生が懸念され、衛生上好ましくない状態にもなる。
【0009】
このようなことから、この種のサウナ装置では、サウナ室の上下領域間での大きな温度勾配状態を迅速に解消できるように加熱特性を改善すること、さらに熱効率を改善して運転コストを抑えること、等が要請される。
【0010】
そこで本願発明者らは、上記各課題の解決策を検討する過程で、加熱されてサウナ室上部に上昇する高温空気を全て該上部側に滞留させて漫然と利用するのではなく、浮力上昇する加熱空気の一部を積極的にサウナ室上部から取り出し、これをサウナ室の中段部とか底部側に還流させて熱を再利用するなど、加熱空気の有効利用を図ることに想到し、これを具現化したサウナ装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0012】
本願の第1の発明では、サウナ室の床面上に、加熱源となる電気ヒータと蓄熱石材を備えて構成される加熱装置と、サウナ使用者が待機する待機部を配置したサウナ装置において、上記サウナ室の上記加熱装置に近い側壁内には、該側壁内を縦方向に延びる壁内通気路が設けられるとともに、該壁内通気路の上端はサウナ室内の上部に開口する高温空気導入口に臨み、該壁内通気路の下端は上記床面の内部に設けられた床内通気路の一端側に連通する一方、上記床内通気路の他
端は、上記サウナ室の床面上で且つ上記待機部の下側に形成される内部空間に臨んで開口し上記床内通気路側からの空気流を該内部空間に流入させるように構成され、さらに上記内部空間は上記部の隙間を通して上記サウナ室に連通し、該内部空間内の空気流を上記サウナ室側へ流出させるように構成されたことを特徴としている。
【0013】
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係るサウナ装置において、上記内部空間内に、上記壁内通気路から上記床内通気路に至る流路内の空気流を該内部空間側に導入する第1の吸気ファンが設けられたことを特徴としている。
【0014】
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係るサウナ装置において、上記床面の一側寄り位置で且つサウナ室の出入口扉に近接する位置には、上記床内通気路内の空気流を上記サウナ室内に導入する第2の吸気ファンが設けられたことを特徴としている。
【0015】
本願の第4の発明では、上記第1又は第2の発明に係るサウナ装置において、サウナ室の天井壁寄りの上記加熱装置の直上に位置する部位に、該加熱装置から上昇移動する空気流の一部を捕集して上記高温空気導入口側に案内する空気流捕集案内部が設けられていることを特徴としている。
【0016】
本願の第5の発明では、上記第1又第2の発明に係るサウナ装置において、上記床内通気路は、その流路上面側が、多数の通気口を備えた合板と、該合板の上面に積層配置されたステンレスパンで構成され、該床内通気路を流れる空気流の一部が上記合板の上記通気口を通して上記ステンレスパンと接触するように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本願発明では次のような効果が得られる。
【0018】
(a)本願の第1の発明では、サウナ室の床面上に、加熱源となる電気ヒータと蓄熱石材を備えて構成される加熱装置と、サウナ使用者が待機する待機部を配置したサウナ装置において、上記サウナ室の上記加熱装置に近い側壁内には、該側壁内を縦方向に延びる壁内通気路が設けられるとともに、該壁内通気路の上端はサウナ室内の上部に開口する高温空気導入口に臨み、該壁内通気路の下端は上記床面の内部に設けられた床内通気路の一端側に連通する一方、上記床内通気路の他端は、上記サウナ室の床面上で且つ上記待機部の下側に形成される内部空間に臨んで開口し上記床内通気路側からの空気流を該内部空間に流入させるように構成され、さらに上記内部空間は上記待機部の隙間を通して上記サウナ室に連通し、該内部空間内の空気流を上記サウナ室側へ流出させるように構成されている。
【0019】
係る構成によれば、上記加熱装置からサウナ室の天井壁側に吹き上げられた加熱空気の一部が上記高温空気導入口から上記壁内通気路に導入され、これが該壁内通気路から上記床内通気路を経て上記内部空間に導入され、ここから上記待機部を通してサウナ室内に吹き出させることで、該サウナ室の底部側寄り領域における雰囲気温度の上昇が、例えば、上記加熱装置からサウナ室の天井壁側に吹き上げられる高温空気が、後から吹き上げられる高温空気によって順次押し下げられて底部寄り領域を温める場合に比して、より迅速となり、早期に温度勾配の少ない適正な雰囲気温度状態を実現でき、サウナの快適性が向上する。
【0020】
この場合、上記内部空間内の加熱空気は上記待機部部分にも直接的に触れることで、該待機部の近傍の雰囲気温度がより迅速に上昇し、サウナ入浴の待ち時間の短縮化が図られるとともに、光熱費等のサウナ装置運営上のコストが抑えられる。
【0021】
さらに、サウナ室の底部近傍の温度をより早期に上昇させて、カビ菌の活動温度以上に維持することが可能となり、カビの発生の少ない衛生的なサウナ装置を提供できる。
【0022】
(b)本願の第2の発明に係るサウナ装置では、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が奏せられる。即ち、この発明では、上記内部空間内に、上記壁内通気路から上記床内通気路に至る流路内の空気流を上記内部空間側に導入する第1の吸気ファンが設けられたので、高温空気の上記内部空間側への導入、及び該内部空間から上記サウナ室内への吹き出し作用が促進され、その結果、サウナ室の底部の雰囲気温度の上昇が促進され、サウナ装置の使用上における快適性が向上する。
【0023】
(c)本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係るサウナ装置において、上記床面の一側寄り位置で且つサウナ室の出入口扉に近接する位置には、上記床内通気路内の空気流を上記サウナ室内に導入する第2の吸気ファンが設けられているので、該第2の吸気ファンによって上記サウナ室内に導入される空気流が上記出入口扉部分においてエアカーテンとして機能し、上記サウナ室の開閉時にサウナ室内の温かい空気が出入口扉から戸外に流出するのが抑制され、この結果、出入口扉の開閉に伴う出入口扉底部付近の急激な温度低下が抑制されるとともに、温度低下後における温度の再立ち上がり迅速となり、これらの結果、サウナ装置の使用に伴う快適性が良好に維持される。
【0024】
(d)本願の第4の発明に係るサウナ装置では、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が奏せられる。即ち、この発明では、サウナ室の天井壁寄りの上記加熱装置の直上に位置する部位に、該加熱装置から上昇移動する空気流の一部を捕集して上記高温空気導入口側に案内する空気流捕集案内部が設けられているので、高温空気の上記壁内通気路への導入、さらに上記床内通気路及び上記内部空間への高温空気の導入が担保され、延いてはサウナ装置の快適性が向上する。
【0025】
(e)本願の第5の発明に係るサウナ装置では、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が奏せられる。即ち、この発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係るサウナ装置において、上記床内通気路が、その流路上面側が、多数の通気口を備えた合板と、該合板の上面に積層配置されたステンレスパンで構成され、該床内通気路を流れる空気流の一部が上記合板の上記通気口を通して上記ステンレスパンと接触するように構成しているので、該ステンレスパンは、上記通気口を通して接触される加熱空気と接触して昇温され、サウナ室内に向けて輻射熱を発生し、その結果、該ステンレスパンの上面側の温度、即ち、サウナ室の底部近傍の雰囲気温度の早期上昇が促進され、延いてはサウナ装置の使用上における快適性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本願発明の実施の形態に係るサウナ装置の全体システム図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本願発明のサウナ装置を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0028】
図1には、本願発明の実施形態に係るサウナ装置Zの全体システムを示している。
また
図2及び
図3にはその要部の構成を示している。
【0029】
このサウナ装置Zは、主として家庭用サウナ装置として利用されるものであって、所要大きさのサウナ室1を備えるとともに、該サウナ室1の出入口扉10から奥側へ離間した隅部寄り位置には、加熱装置8が載置されている。またこの加熱装置8に対向する位置には待機部7が載置されている。
【0030】
「加熱装置8」
加熱装置8は、所定大きさの網筒体内に、加熱源となる電気ヒータ15と、ロウリュ効果生成用の蓄熱石材16を配置して構成される。そして、上記電気ヒータ15によって周辺の空気が加熱されて高温空気となり、順次天井壁6側に向けて浮力上昇され、上記サウナ室1の天井壁6側から順次室内温度を上昇させる一方、後から上昇してくる加熱空気に押下げられる状態で下方側へ移動し、サウナ室1の雰囲気温度を次第に高めるものである。
【0031】
一方、上記蓄熱石材16は、上記電気ヒータ15あるいは該電気ヒータ15の周辺から上昇移動する加熱空気によって加熱され蓄熱する。そして、サウナ室1内の湿度が下がった場合には必要に応じて、蓄熱石材16に水を打って水蒸気を発生させて室内湿度の回復を図る。この際、雰囲気中にマイナスイオンが発生し、ロウリュ効果が得られる。
【0032】
「壁内通気路34」
上記サウナ室1の上記加熱装置8が接近配置された上記サウナ室1の第1側壁3の内部には、
図2に示すように、縦方向に延びる壁内通気路34が設けられている。この壁内通気路34は上記加熱装置8において発生し天井壁6側に浮力上昇する高温空気の一部を取り出してこれを後述の床面2側の床内通気路28に受け渡すものであって、その上端は内面板32に設けた高温空気導入口35を介して上記サウナ室1の内部に臨んでいる。一方、壁内通気路34の下端は、後述する床内通気路28に連通している。
【0033】
「空気流捕集案内部38」
上記加熱装置8の直上方の天井壁6近くには、上記加熱装置8から浮力上昇する高温空気の一部を捕集して上記高温空気導入口35側に集めるための空気流捕集案内部38が設けられている。この空気流捕集案内部38は、上記高温空気導入口35の周囲を取り囲む所高さの仕切壁37と、該仕切壁37内に上記内面板32側の端縁から外方に向けて下降傾斜するように配置された矩形のガイド板36を備えて構成される。
【0034】
この空気流捕集案内部38を備えることで、上記加熱装置8から上昇移動する高温空気は、その一部が該空気流捕集案内部38内に流入した後、上記ガイド板36の斜面に沿って上昇移動し、上記高温空気導入口35から上記壁内通気路34内に流入される。この場合、上記仕切壁37が設けられているため、確実に所要量を捕集して上記壁内通気路34に導入することができ、高温空気の上記壁内通気路への導入、さらに上記床内通気路及び上記内部空間への高温空気の導入が担保され、延いてはサウナ装置の快適性が向上する。
【0034】
「床内通気路28」
上記サウナ室1の床面2には、上記加熱装置8及び待機部7が載置されるが、その構成は本願発明に特徴的である。即ち、上記床面2は、複数本の床下受21が所定間隔で列設されるとともに、該床下受21の上面側には所定間隔で切欠溝22が形成されている。この切欠溝22部分は通気路として機能するようになっている。
【0035】
上記各床下受21の上面には、多数の通気口24が設けられた合板23が載置される。更にこの合板23の上面にはステンレス板で構成されたステンレスパン25が載置されている。さらに、このステンレスパン25の上面には木製の簀子26が載置されている。
【0036】
また、上記各床下受21の下半部には断熱材27が充填されている。そして、この断熱材27の上面と上記合板23の下面の間に、床面2の全域に跨って延びる床内通気路28が形成されている。この場合、上記サウナ室1の各切欠溝22が連絡通路となり、上記床内通気路28が床面2の全域に跨ることになる。
【0037】
「待機部7」
待機部7は、サウナ使用者が着座してサウナ浴をするためのもので、この実施形態では、座部71とその前面側の上側前壁部72、足置部73とその前面側の下側前壁部と、上記座部71の背部に位置する背もたれ部75を備えて構成される。そして、これら各部は、共に複数枚の板材で構成され、各板材間には横長の通気隙間が形成されている。
【0038】
「内部空間14」
上記待機部7の内側と上記床面2のステンレスパン25との間には、内部空間14が形成されている。そして、この内部空間14には、
図1及び
図3にそれぞれ示すように、三個の吸気ファン41が、この内部空間14に臨む上記床面2の上面、即ち、上記合板23とステンレスパン25の衝合部分を貫通して取り付けられており、該各吸気ファン41の吸引力によって上記サウナ室1の天井側の高温空気が上記壁内通気路34及び床内通気路28を通って強制的に吸引導入される。
【0039】
この場合、上記各吸気ファン41は所定間隔で上記待機部7の長手方向に列設されていることから、上記床内通気路28内の高温空気は、上記床内通気路28の全域から可及的均等に吸引導入される。このことは、高温空気が上記ステンレスパン25の平面方向の全域に可及的均等に接して加熱されて広範囲で輻射熱を発生することを意味しており、したがって上記サウナ室1の床面2近くの雰囲気温度が可及的均等に上昇されるということであり、該サウナ室1の上下方向における温度勾配が改善され、該サウナ室1内における快適性が向上することになる。
【0040】
また、上記内部空間14内に導入された高温空気は、上記待機部7の各部の隙間を通してサウナ室1内に直接吹き出されることで、該サウナ室1内の底部側温度を上昇させ、上記ステンレスパン25側からの輻射熱と協働して上記サウナ室1の上下方向における温度勾配のより一層の改善に寄与することになる。
【0041】
このように上記サウナ室1の上下方向における温度勾配が改善されることで、該サウナ室1内の雰囲気温度がより迅速に適正温度に近づきサウナ浴の快適性が実感できることになる。
【0042】
一方、上記床面2の一側寄り位置で且つサウナ室1の出入口扉10に近接する位置には、上記床内通気路内の空気流を上記サウナ室内に導入する第2の吸気ファン送気ファン42が設けられている。この第2の送気ファン42の吸引力によって、上記床内通気路28内の高温空気の流れが上記第1の各吸気ファン41の吸引力によって過度にサウナ室1の中央寄りに偏流されるのが抑制され、該出入口扉10の近傍寄りまで高温空気が流れることになる。
【0043】
そして、この第2の送気ファン42は、上記床内通気路28内の高温空気を上記サウナ室1の底部に向けて直接吹き出すことから、この吹き出し空気流は上記出入口扉10部分においてエアカーテンとして機能する。この結果、上記出入口扉10の開閉時にサウナ室内の温かい空気流が出入口扉10から戸外に流出するのが抑制され、出入口扉出入口扉10の開閉に伴う出入口扉10の底部付近の急激な温度低下が抑制されるとともに、温度低下後における温度の再立ち上がりが迅速となり、これらの結果、サウナ装置Zの使用に伴う快適性が良好に維持される。
【0044】
「換気構造」
上記サウナ装置Zにおいては、上記出入口扉10の下端縁近くに新気導入口11を設ける一方、該新気導入口11に対して対角い位置にある天井隅部には排気口12を設け、必要に応じて上記排気口12の開度を調整して上記サウナ室1の換気を行うようにしている。また、
図1の符号13は、点検用の窓である。
【0045】
「その他」
(1)この実施形態では上記サウナ装置Zを、「主として家庭用サウナ装置として利用されるもの」として説明しているが、本願発明のサウナ装置は、家庭用に限らず、例えば大型の施設用、公共用として広く適用できるものである。
(2)この実施形態では、上記壁内通気路34を1つの壁部に設けたものを例示しているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば、入隅を介して接する二つの壁部部にそれぞれ設けることもでききる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願発明に係るサウナ装置は、サウナ室内に、熱源となる加熱装置とサウナ使用者が待機する待機部を配置したサウナ装置において、広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 ・・サウナ室
2 ・・床面
3 ・・第1側壁
4 ・・第2側壁
5 ・・第3側壁
6 ・・天井壁
7 ・・待機部
8 ・・加熱装置
9 ・・捕集ユニット
10 ・・出入口扉
11 ・・新気導入口
12 ・・排気口
13 ・・窓
14 ・・内部空間
15 ・・電気ヒータ
16 ・・蓄熱石材
21 ・・床下受
22 ・・切欠溝
23 ・・合板
24 ・・通気口
25 ・・ステンレスパン
26 ・・簀子
27 ・・断熱材
28 ・・床内通気路
31 ・・外面版
32 ・・内面板
33 ・・断熱材
34 ・・壁内通気路
35 ・・高温空気導入口
36 ・・ガイド板
37 ・・仕切壁
38 ・・空気流捕集案内部
41 ・・第1の吸気ファン
42 ・・第2の吸気ファン
Z ・・サウナ装置
【要約】
【課題】加熱空気の有効利用を図ることで、加熱時間の短縮化、雰囲気温度の適正化、ランニングコストの低廉化を実現するサウナ装置を提供する。
【解決手段】サウナ室1内に、加熱装置8とサウナ使用者が待機する待機部7を配置したサウナ装置において、加熱装置8に近い側壁3内に上下方向に延びてその上端がサウナ室1内の上部に開口する高温空気導入口35に臨むとともに、その下端が床面2の内部に設けられた床内通気路28の一端側に連通する壁内通気路34が設けられる一方、床内通気路28の他端は上記待機部7の下側の内部空間14に臨んで開口し該床内通気路28に上記壁内通気路側からの空気流を導入する構成とし、さらに上記待機部に流入した空気流を該待機部7の隙間空間を通ってサウナ室1内に導入されるように構成する。
【選択図】
図1