(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】自転車フレーム延長具及び自転車
(51)【国際特許分類】
B62K 19/36 20060101AFI20250218BHJP
B62J 1/08 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
B62K19/36
B62J1/08 C
(21)【出願番号】P 2024034022
(22)【出願日】2024-03-06
【審査請求日】2024-05-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504378777
【氏名又は名称】株式会社丸石サイクル
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-081151(JP,A)
【文献】実開昭55-138183(JP,U)
【文献】実公昭51-032174(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0127770(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0355879(US,A1)
【文献】実公昭32-011118(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 19/00 ー 19/36
B62J 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のフレーム体の一部を構成し、当該自転車の後輪側に一定角度斜めに傾いておりサドルを支持する立パイプの長さを延長する自転車フレーム延長具であって、
前記サドルを支持するシートポストを内部に挿入して前記サドルを支持する前記立パイプの内部に挿入可能であり、かつ上部からシートポストを内部に挿入可能な筒状の延長立パイプと、
当該延長立パイプの上部に一端部が連結され、他端部が前記フレーム体の所定部位に連結され、前記延長立パイプと前記延長立パイプが挿入された前記立パイプと前記フレーム体とによって三角構造を形成する支持シャフトと、を備え、
前記延長立パイプを前記立パイプに挿入した場合に、前記支持シャフトの他端部が前記所定部位に位置付けられ、
前記支持シャフトは、前記延長立パイプの上部に2本連結されており、
2本の前記支持シャフトの他端部は、前記フレーム体における後輪の回転軸の両側部近傍に連結されている
、自転車フレーム延長具。
【請求項2】
請求項
1に記載の自転車フレーム延長具において、
前記支持シャフトは、前記延長立パイプに対して回動自在に連結されている自転車フレーム延長具。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の自転車フレーム延長具と、
前記支持シャフトの他端部に連結する連結部と、を備える自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サドルの高さを調整するために用いる自転車フレーム延長具及び自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車のサドルは、円筒パイプ状のシートポストの一端部に固定されており、シートポストの他端部がフレーム体の中央に配置される立パイプ内に挿入され、立パイプの上部に配置された締め付け機構によって立パイプの上部を縮径することによって、自転車のフレーム体に固定される。また、締め付け機構を緩めることにより、立パイプに対してシートポストが伸縮自在な状態とし、使用者の身長に合わせてシートポストを延ばして締め付け機構を締めることにより、サドルの位置を調整することができる。
【0003】
しかしながら、この場合、サドルの位置を高くできる範囲はシートポストの長さの範囲に限られる。このため、サドルの位置をシートポストの長さ以上に高くすることは困難がある。従来におけるサドルをより高い位置に調整できるようにする技術として、特許文献1に記載された技術が提案されている。特許文献1には、一輪車のフレームに延長ポストを挿入し、延長ポストに、サドルのポストを挿入することで、子供用と大人用の大きく股下の異なる場合でも同一の一輪車で兼用可能にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、二輪自転車のシートポストは、鉛直方向に対して斜めに延びている。このような二輪自転車に対して、特許文献1に記載された技術のように立パイプに延長ポストを挿入してサドルを高くした場合、立パイプと延長ポストとの連結部分に大きな負荷が係りやすくなり、最悪の場合、延長ポストが変形するおそれがある。このため、立パイプの長さを延長してサドルの位置を高くすることが困難である。このように、従来においては、小学校低学年の時に使用していた自転車であっても、使用者の成長にしたがってシートポストを延ばしてサドルを高くすることによって使用可能であった。しかし、使用者が更に成長した場合に、シートポストの長さ以上にサドルを高くすることが困難になり、結果として、小学校低学年の時に使用していた自転車を更に使用することが困難であった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決し、自転車においてサドルの位置をシートポストの長さ以上に高く調整可能にする自転車フレーム延長具及び自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
【0008】
(1) サドル(例えば、サドル10)を支持するシートポスト(例えば、シートポスト12)を内部に挿入して前記サドルを支持する立パイプ(例えば、立パイプ21)の内部に挿入可能であり、かつ上部からシートポストを内部に挿入可能な筒状の延長立パイプ(例えば、延長立パイプ60)と、
当該延長立パイプの上部に一端部が連結され、他端部がフレーム体の所定部位に連結され、前記延長立パイプが挿入された前記立パイプと前記フレーム体とによって三角構造を形成する支持シャフト(例えば、支持シャフト61)と、を備える自転車フレーム延長具。
【0009】
(1)によれば、延長立パイプを立パイプに挿入することにより、立パイプの長さを延長させることが可能になり、サドルをより高い位置に調整することが可能になる。また、延長立パイプの上部とフレーム体の所定部位との間に支持シャフトが配置されて三角構造が形成されるため、自転車の使用時に使用者の体重によって延長立パイプに係る負荷を分散させることが可能になり、延長立パイプが変形してしまうことをより確実に防止することができる。このように、自転車においてサドルの位置をシートポストの長さ以上に高くする調整可能にすることが可能になる。
【0010】
(2) (1)において、
前記支持シャフトは、前記延長立パイプの上部に2本連結されており、
2本の前記支持シャフトの他端部は、前記フレーム体における後輪の回転軸の両側部近傍に連結されている自転車フレーム延長具。
【0011】
(2)によれば、2本の支持シャフトが延長立パイプを後輪側から支持するために、延長立パイプにおける立パイプとの連結部分に係る負荷を低減することが可能になる。これにより、自転車の使用時に使用者の体重によって延長立パイプに負荷が係り、延長立パイプが変形してしまうことをより確実に防止することができる。
【0012】
(3) (2)において、
前記支持シャフトは、前記延長立パイプに対して回動自在に連結されている自転車フレーム延長具。
【0013】
(3)によれば、支持シャフトが延長立パイプに対して回動自在であることにより、支持シャフトの他端部が移動可能になる。これにより、支持シャフトの他端部をフレーム体との連結部位に位置決めすることが容易になり、自転車フレーム延長具を取り付けるための作業負担を軽減することができる。
【0014】
(4) (1)~(3)の自転車フレーム延長具と、
前記支持シャフトの他端部に連結する連結部(例えば、固定部25a)と、を備える自転車。
【0015】
(4)によれば、使用者の身体の成長に合わせて、自転車の形態を変えることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自転車においてサドルの位置をシートポストの長さ以上に高く調整可能にする自転車フレーム延長具及び自転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の自転車1の概略構成を示す側明図である。
【
図2】本発明の一実施形態の自転車1に係る自転車フレーム延長具2の外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態の自転車1に自転車フレーム延長具2及びサドル10を取り付けた状態を示す側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態における自転車1に係る自転車フレーム延長具2の変形例の構成を示す説明図である。
【
図5】自転車フレーム延長具2の変形例をフレーム体20に取り付けた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
<自転車1の構成>
図1は、本発明の一実施形態の自転車1の概略構成を示す側明図である。自転車1は、サドル10と、シートポスト12と、フレーム体20と、ハンドルバー30と、前ホーク31と、ハンドルステム32と、前輪40と、後輪41と、ギヤクランク50と、クランク51と、ペダル52と、フリーホイール53と、チェーン54と、を備えている。
【0020】
サドル10は、使用者が着座する部材である。シートポスト12は、一端部にサドル10が設置された円筒状の長尺部材である。ここで、シートポスト12は、フレーム体20に直接取り付けるシートポストと、後述するフレーム体20の延長具である自転車フレーム延長具2(
図3参照)に取り付けるシートポストと、の2種類ある。以下の説明において、両者を区別するため、前者をシートポスト12a、後者をシートポスト12bと称する場合がある。
【0021】
フレーム体20は、金属によって構成されており、立パイプ21と、ヘッドパイプ22と、上パイプ23と、下パイプ24と、バックホーク25と、チェーンステー26と、締め付け機構27と、を備えている。
【0022】
立パイプ21は、円筒状に構成されており、シートポスト12の他端部を挿入し、固定することによってサドル10を支持する。ヘッドパイプ22は、円筒状に構成されており、後述するハンドルステム32を回動自在に支持する。上パイプ23は、立パイプ21の上部とヘッドパイプ22とを連結する長尺部材である。下パイプ24は、立パイプ21の下部とヘッドパイプ22とを連結する長尺部材である。立パイプ21、ヘッドパイプ22、上パイプ23及び下パイプ24の中心軸は、同一の仮想平面内に含まれる。立パイプ21の下端部には、円筒状の軸受け部(図示せず)が連結されている。この軸受け部の内部にクランク軸(図示せず)が回転自在に支持される。軸受け部及びクランク軸の中心軸は前述した仮想平面に対して垂直方向を向いている。
【0023】
バックホーク25は、立パイプ21の上部に一端部が連結され、立パイプ21の上部からヘッドパイプ22側に対して反対側に延びる長尺部材である。チェーンステー26は、立パイプ21の下部に一端部が連結され、立パイプ21の下部からヘッドパイプ22側に対して反対側に延びる長尺部材である。バックホーク25の他端部とチェーンステー26の他端部とは連結されており、立パイプ21とバックホーク25とチェーンステー26とによって三角形が形成される。
【0024】
バックホーク25及びチェーンステー26は、立パイプ21から2本ずつ延びており、一対のバックホーク25及びチェーンステー26の他端部同士は、後輪41の幅よりも若干大きく離間した状態で互いに対向する。また、一対のバックホーク25及びチェーンステー26は、前述した仮想平面に対して線対称である。
【0025】
また、バックホーク25は、他端部近傍に後述する自転車フレーム延長具2の支持シャフト61の他端部を固定するための固定部25aを備えている。固定部25aは、バックホーク25の他端部近傍から平板状に延出させ、この延出部分の平板面にボルト穴を形成したものである。
【0026】
締め付け機構27は、立パイプ21の上端部に設けられ、立パイプ21を縮径させることで、立パイプ21にシートポスト12を固定するものである。
【0027】
ここで、締め付け機構27は、規定の外径よりも小さい外径のシートポスト12を締め付け固定することはできない。本実施形態によれば、シートポスト12aとシートポスト12bとは、同径ではなくシートポスト12bの径の方が小さく設定されている。このため、締め付け機構27は、シートポスト12aを締め付け固定することは可能であるが、シートポスト12bを締め付け固定することはできない。
【0028】
本実施形態によれば、立パイプ21の上端の一部に下方に延びる複数(例えば3つ)のスリットが形成されており、立パイプ21の上端部が複数の湾曲した延在片に分割されている。この立パイプ21の上端部にU字型に湾曲した板状部材が配置され、この板状部材が一つの延在片に溶接固定されている。板状部材の両端部の平板面にボルト穴が形成されており、片方のボルト穴の縁部にナットが固定されている。そして、もう片方のボルト穴からボルトを通し、このボルトをナットに螺合させことにより、締め付け機構27が構成される。ボルトを緩めることにより、立パイプ21に対してシートポスト12aをスライド移動させることが可能になり、サドル10を所望の高さに調整できる。ボルトを締めることにより、立パイプ21の上部が縮径してシートポスト12aが立パイプ21に密着して固定される。
【0029】
ハンドルバー30は、使用者が運転操作するハンドル体である。前ホーク31は、ヘッドパイプ22に挿入される円筒状のホークコラム31aと、U字状をした長尺のホーク部31bと、を備えている。ホークコラム31aは、ホーク部31bの中央部に一端部が連結され、他端部がホーク部31bの延在方向に対して反対方向に延びている。ハンドルステム32は、ハンドルバー30と前ホーク31とを連結する部材である。
【0030】
ホークコラム31aは、ヘッドパイプ22に挿入された場合に、ヘッドパイプ22の内側でヘッドパイプ22の軸周りに回転可能であり、ホークコラム31aの上部がヘッドパイプ22から突出する。この突出部分に、ハンドルステム32が固定され、ハンドルステム32にハンドルバー30が取り付けられる。
【0031】
前輪40は、円環状のリム40aと、リムの中心部にあるハブ40bと、リム40aとハブ40bとを連結するスポーク(図示せず)と、リム40aの外周に配置されるタイヤ40cと、からなる。後輪41も前輪40と同様な構成であるため詳細な説明は省略する。
【0032】
前輪40は、前ホーク31におけるホーク部31bの内側に配置され、ハブ40bがホーク部31bの先端部に固定されることにより、前ホーク31に取り付けられる。これにより、使用者がハンドルバー30を操作することにより、ハンドルバー30に連動してホークコラム31aが回動するとともにホーク部31bが回動して、前輪40の向きを変えることが可能になる。
【0033】
後輪41は、一対のバックホーク25及びチェーンステー26の間に配置され、一対のバックホーク25及びチェーンステー26の他端部に後輪41のハブ(図示せず)が固定されることにより、フレーム体20に取り付けられる。
【0034】
ギヤクランク50は、チェーン54が掛けられる歯車形状のスプロケットと、このスプロケットに固定され、スプロケットの中心から半径方向に延びる棒状のクランクと、を有する。ギヤクランク50は、立パイプ21の下端部に回転自在に取り付けられたクランク軸の一端部にスプロケットの中心を固定することによってフレーム体20に取り付けられる。クランク51は、ギヤクランク50のクランクと同じ長さの棒状の部材であり、クランク軸の他端部に固定される。ギヤクランク50のクランクとクランク51とは、互いに180度反対方向を向いている。ペダル52は、ギヤクランク50のクランク及びクランク51の他端部に回転自在に取り付けられた直方体形の部材である。ペダル52の回転軸の方向はクランク51の長尺方向に対して直角である。言い換えれば、ペダル52の回転軸と、立パイプ21の下端部に設けられたクランク軸の中心軸とは互いに平行である。
【0035】
フリーホイール53は、後輪41に回転を伝達する部材である。チェーン54は、ギヤクランク50のスプロケットと、フリーホイール53との外周に巻き付けられる環状の部材であり、ギヤクランク50の回転をフリーホイール53に伝達するものである。
【0036】
使用者が、ペダル52を踏み込んで立パイプ21の下端部のクランク軸を回転させるとギヤクランク50が回転し、その回転がチェーン54を介してフリーホイール53に伝達されることにより、後輪41が回転する。なお、使用者がペダル52の回転を停めた場合に、フリーホイール53の機能によって後輪41は惰性で回転する。
【0037】
<自転車フレーム延長具2の構成>
図2は、本発明の一実施形態の自転車1に係る自転車フレーム延長具2の外観を示す斜視図である。
【0038】
自転車フレーム延長具2は、延長立パイプ60と、2本の支持シャフト61、61と、締め付け機構62と、を備えている。
【0039】
延長立パイプ60は、シートポスト12aと同じ外径の円筒状に構成されており、立パイプ21に挿入可能である。言い換えれば、延長立パイプ60の内径は、立パイプ21の内径よりも小さい。延長立パイプ60には、立パイプ21に挿入する長さを示す指標60aが形成されている。
【0040】
2本の支持シャフト61、61は、一端部が延長立パイプ60の上部に溶接固定されており、斜め下方に延びている。支持シャフト61、61の他端部は、押しつぶし加工によって平板状に形成されており、この平板面にボルト穴が形成されている。支持シャフト61、61の長さ及び延長立パイプ60に対して延びる方向は、延長立パイプ60が立パイプ21に指標60aの位置まで挿入されたときに、支持シャフト61、61の他端部が、バックホーク25に形成されている固定部25aに対向するように設定されている。
【0041】
締め付け機構62は、延長立パイプ60の上端部に設けられ、延長立パイプ60を縮径させることで、延長立パイプ60にシートポスト12bを固定するものである。締め付け機構62は、立パイプ21の最上部に設けた締め付け機構27と略同様な構成であり、U字型に湾曲した板状部材62aと、板状部材62aの両端部に通すボルト62bと、ボルト62bに螺合するナット62cと、を備えている。但し、延長立パイプ60の外径は立パイプ21の外径よりも小さいため、板状部材62aのU字の曲率は、立パイプ21の板状部材のU字の曲率よりも小さい。延長立パイプ60の上部には上端から下方に延びる1本のスリット60bが形成されており、このスリット60bの両側に板状部材62aの両端部が位置付けられるように延長立パイプ60の上部に板状部材62aが配置され、溶接固定される。そして、ボルト62bを緩めることにより、延長立パイプ60に対してシートポスト12bをスライド移動させることが可能になり、サドル10を所望の高さに調整することができる。ボルト62bを締めることにより、延長立パイプ60の上部が縮径してシートポスト12bが延長立パイプ60に密着して固定される。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態の自転車1に自転車フレーム延長具2及びサドル10を取り付けた状態を示す側面図である。
【0043】
自転車1に自転車フレーム延長具2を取り付ける際には、延長立パイプ60を立パイプ21に挿入し、指標60aと立パイプ21とを合わせるとともに、支持シャフト61、61の他端部をバックホーク25の固定部25aに対向させる。この状態で、締め付け機構27のボルトを回転させることにより、延長立パイプ60を立パイプ21に固定する。更に、支持シャフト61、61の他端部のボルト穴と固定部25aのボルト穴とにボルトを通し、ナット締めを行うことにより、支持シャフト61、61の他端部をバックホーク25に連結する。これにより、支持シャフト61と、バックホーク25と、延長立パイプ60が挿入された立パイプ21とによる三角構造が形成され、フレーム体20に自転車フレーム延長具2が固定される。
【0044】
最後に、延長立パイプ60にシートポスト12bを挿入し、締め付け機構62のボルト62bを回転させることによってシートポスト12bを延長立パイプ60に固定することにより、自転車1が使用可能になる。
【0045】
なお、本実施形態によれば、延長立パイプ60の内径が立パイプ21の内径よりも小さい。このため、自転車フレーム延長具2を使用する場合には、シートポスト12の外径が
図2に示すサドル10のシートポスト12aよりも若干細いシートポスト12bをサドル10に取り付けるか、或いは延長立パイプ60に挿入可能なシートポスト12bを有する専用のサドル10を用意することが望ましい。なお、シートポスト12bは延長立パイプ60に挿入するとともに一部を立パイプ21に挿入することが可能であるため、シートポスト12bをシートポスト12aよりも長くすることが可能になる。その結果、サドル10の高さを調整する範囲を広くすることが可能になる。
【0046】
使用者の身長が低い場合には、
図1に示すように、自転車フレーム延長具2を取り付けずに使用する。使用者の身長が高い場合には、
図3に示すように、自転車フレーム延長具2を取り付け、ハンドルバー30を180度前方に回転させてハンドルバー30のグリップ部分をヘッドパイプ22の前方に位置付ける。これにより、使用者の成長に合わせて、サドル10の高さやハンドルバー30のグリップ位置を大きく調整することが可能になる。
【0047】
このように構成された本実施形態によれば、使用者の身長に応じて自転車の形態を変化させることが可能になり、使用者にとって最適な形態で自転車を使用することができる。例えば、小学校低学年の時には、
図1に示す形態で使用し、小学校高学年以上になって身長が高くなった時には、
図3に示す形態で使用する。このように、自転車を長期間にわたって使用することが可能になる。また、延長立パイプ60を立パイプ21に挿入することにより、立パイプ21の長さを延長させることが可能になり、サドル10をより高い位置に調整することが可能になる。ここで、仮に、支持シャフト61、61が無い場合には、延長立パイプ60が立パイプ21に沿って後輪側に斜めに傾いているため、使用者がサドル10に乗ったときに延長立パイプ60における立パイプ21との連結部分に大きな負荷がかかる。本実施形態によれば、延長立パイプ60が支持シャフト61、61によって後方から支持されるため、使用者がサドル10に乗ったときに延長立パイプ60にかかる負荷が分散され、自転車1の使用中に延長立パイプ60が変形するといった事象が発生することを防止することができる。
【0048】
<自転車フレーム延長具2の変形例>
図4は本発明の一実施形態における自転車1に係る自転車フレーム延長具2の変形例の構成を示す説明図であり、
図4(a)は延長立パイプ60の中心軸に沿って上方から視認した平面図、
図4(b)は側面図である。
図5は、自転車フレーム延長具2の変形例をフレーム体20に取り付けた状態を示す側面図である。なお、
図2に示す自転車フレーム延長具2における部材と同一の部材或いは同一機能の部材については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
図2に示す自転車フレーム延長具2においては、延長立パイプ60に支持シャフト61、61が溶接固定されている。それに対して、
図4に示す自転車フレーム延長具2の変形例においては、支持シャフト61、61は、延長立パイプ60に回動可能に連結されている。具体的に、支持シャフト61、61の一端部も押しつぶし加工によって平板状に形成されており、この平板部分にボルト穴が形成されている。そして、このボルト穴に締め付け機構62のボルトに挿入して、延長立パイプ60の上部の平板部分とナット62cとの間及び延長立パイプ60の上部の平板部分とボルト62bのヘッドとの間に支持シャフト61、61の一端部を位置付けたものである。これにより、支持シャフト61、61は、締め付け機構62に回動自在に支持される。
【0050】
また、
図2に示す自転車1においては、バックホーク25の他端部とチェーンステー26の他端部とが連結されている。それに対して、
図4に示す自転車1においては、バックホーク25の他端部とチェーンステー26の他端部とが、
図5に示すように、後輪41を支持する後つめ28に連結されている。更に、支持シャフト61、61の他端部が後つめ28にボルト締め等によって連結されている。
【0051】
このように、支持シャフト61、61が延長立パイプ60に対して回動可能であることにより、支持シャフト61、61の他端部が移動可能になる。また、支持シャフト61、61が延長立パイプ60に対して回動可能であり、更に、後つめ28に、延長立パイプ60の他端部をボルト締めするための孔部を複数前後方向に並べて形成する。これにより、立パイプ21から延長させる延長立パイプ60の長さを変えた場合に、延長立パイプ60の他端部を後つめ28に固定することができる。これにより、支持シャフト61、61の他端部を後つめ28における連結部位に位置決めすることが容易になり、自転車フレーム延長具2を取り付けるための作業負担を軽減することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上述した実施形態に限るものではない。例えば、上述した実施形態においては、フレーム体20に対して支持シャフト61、61の他端部を直接的に連結しているが、それに限らず、フレーム体20における後輪の支持部の近傍にオプション金具を取り付け、この金具を介してフレーム体20に対して支持シャフト61、61の他端部を連結してもよい。
【0053】
また、上述した実施形態においては、フレーム体20と支持シャフト61、61の他端部との連結にボルトとナットを使用しているが、フレーム体20と支持シャフト61、61とが強固に連結できるのであれば、固定方法は問わない。
【0054】
また、上述した実施形態においては、自転車1として小学校低学年用の自転車のフレームに自転車フレーム延長具2を取り付けた例を用いて説明したが、大人用の自転車フレーム延長具2を取り付けてもよい。また、使用者が、自転車フレーム延長具2を自転車1に取り付けて使用した使用者が、高齢になって自転車のサドルが高く感じるようになった場合に、自転車フレーム延長具2を取り外してサドルを低くしてもよい。このように、シニア用の自転車として、予め自転車フレーム延長具2を取り付けてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態においては、支持シャフト61、61の他端部を、フレーム体20における後輪41の近傍に連結しているが、その他に、延長立パイプ60の上部と上パイプ23とを連結する支持シャフト61を追加して、延長立パイプ60を挿入した立パイプ21と支持シャフト61と上パイプ23とによる三角構造を形成してもよい。これにより、自転車1の使用時に使用者の体重によって延長立パイプ60に負荷が係り、延長立パイプ60が変形してしまうことをより確実に防止することができる。
【0056】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 自転車
2 自転車フレーム延長具
10 サドル
12 シートパイプ
20 フレーム体
21 立パイプ
22 ヘッドパイプ
23 上パイプ
24 下パイプ
25 バックホーク
25a 固定部
26 チェーンステー
27 締め付け機構
28 後つめ
30 ハンドルバー
31 前ホーク
31a ホークコラム
31b ホーク部
32 ハンドルステム
40 前輪
40a リム
40b ハブ
40c タイヤ
41 後輪
50 ギヤクランク
51 クランク
52 ペダル
53 フリーホイール
54 チェーン
60 延長立パイプ
60a 指標
60b スリット
61 支持シャフト
62 締め付け機構
62a 板状部材
62b ボルト
62c ナット
【要約】
【課題】サドルの位置をシートポストの長さ以上に高く調整可能にする自転車フレーム延長具及び自転車を提供すること。
【解決手段】自転車フレーム延長具2は、サドル10を支持するシートポスト12を内部に挿入してサドル10を支持する立パイプ21の内部に挿入可能であり、かつ上部からシートポスト12を内部に挿入可能な筒状の延長立パイプ60と、延長立パイプ60の上部に一端部が連結され、他端部がバックホーク25における後輪41の近傍部位に形成された固定部25aに連結され、延長立パイプ60が挿入された立パイプ21とバックホーク25とによって三角構造を形成する支持シャフト61と、を備える。
【選択図】
図3