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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】梱包材
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/10 20060101AFI20250218BHJP
   B65D 81/03 20060101ALI20250218BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
B65D30/10 V
B65D81/03 200A
B65D77/04 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024125610
(22)【出願日】2024-08-01
【審査請求日】2024-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524289846
【氏名又は名称】株式会社TROC
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴江 侑里
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2022-0108921(KR,A)
【文献】特開2002-019789(JP,A)
【文献】登録実用新案第3102780(JP,U)
【文献】実開昭49-026815(JP,U)
【文献】登録実用新案第3076271(JP,U)
【文献】特開2011-025981(JP,A)
【文献】実開昭56-125840(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/10-30/28
B65D 81/03
B65D 77/04-77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が収容口を有するとともにサイズが互いに異なる複数の袋であって、収容口の向きが揃った状態で相対的に小サイズの袋が大サイズの袋に収容される入れ子構造を構成し、最も内側に位置する最内袋に、当該最内袋の収容口から収容対象物が収容される複数の収容袋と、
前記複数の収容袋において最も外側に位置する最外袋を除いた袋のうち、少なくとも前記最内袋を保護対象の袋として設けられて外力を吸収する部材であって、前記保護対象の袋の外面を覆うとともにその外面の少なくとも一部に収容口の開閉が可能な状態で接着固定されている緩衝材と、
を備え
前記緩衝材は、その外面の少なくとも一部が、当該緩衝材の外側に位置する外側袋の内面に、当該外側袋の収容口の開閉によって前記保護対象の袋の収容口の開閉が可能な状態で接着固定され、
前記緩衝材は、前記保護対象の袋の外面のうち、その収容口寄りの一部にのみ接着固定され、
前記緩衝材は、その外面のうち、前記保護対象の袋の収容口寄りの一部のみが前記外側袋の内面に接着固定され、
前記最内袋は、前記最外袋に接着固定されていないことを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記緩衝材が、
前記保護対象の袋を相互間に挟んで保持する2枚の矩形平板と、
前記2枚の矩形平板の外面に貼付されたクッション部分と、
を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容対象物を収容する梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを介して物品の提供者どうしを結びつけ、物々交換の取引を仲介するサービスが知られている(例えば、特許文献1参照)。物品の提供者は、交換相手が現れると、対象物品を梱包して発送し、同様の梱包を行った交換相手から交換物品を受け取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-118673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような物々交換の仲介サービスでは、多くの場合、物品の提供者が収容袋や緩衝材等といった各種梱包材を各自の判断で用意し、収容対象物としての物品を収容して梱包を行っているのが現状である。このような現状では、梱包材の用意が負担となる上、梱包のレベルにもバラつきが生じ、物品の提供者どうしの間でトラブルを招く恐れがある。
【0005】
よって、本発明は、従来技術に存する問題を解決するために、梱包を行う者の手間を抑えつつレベルの安定した梱包を行うことができる梱包材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決する梱包材は、各々が収容口を有するとともにサイズが互いに異なる複数の袋であって、収容口の向きが揃った状態で相対的に小サイズの袋が大サイズの袋に収容される入れ子構造を構成し、最も内側に位置する最内袋に、当該最内袋の収容口から収容対象物が収容される複数の収容袋と、前記複数の収容袋において最も外側に位置する最外袋を除いた袋のうち、少なくとも前記最内袋を保護対象の袋として設けられて外力を吸収する部材であって、前記保護対象の袋の外面を覆うとともにその外面の少なくとも一部に収容口の開閉が可能な状態で接着固定されている緩衝材と、を備え、前記緩衝材は、その外面の少なくとも一部が、当該緩衝材の外側に位置する外側袋の内面に、当該外側袋の収容口の開閉によって前記保護対象の袋の収容口の開閉が可能な状態で接着固定され、前記緩衝材は、前記保護対象の袋の外面のうち、その収容口寄りの一部にのみ接着固定され、前記緩衝材は、その外面のうち、前記保護対象の袋の収容口寄りの一部のみが前記外側袋の内面に接着固定され、前記最内袋は、前記最外袋に接着固定されていないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記の梱包材によれば、梱包を行う者の手間を抑えつつレベルの安定した梱包を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る梱包材を示す模式的な斜視図である。
図2図1に示されている梱包材の分解斜視図である。
図3図1に示されている梱包材の内部構造を示した模式図である。
図4】第2実施形態に係る梱包材を、その内部構造について図3と同様に示した模式図である。
図5】第3実施形態に係る梱包材を示す模式的な斜視図である。
図6図5に示されている梱包材の分解斜視図である。
図7図6に示されている緩衝材の分解斜視図である。
図8】第4実施形態に係る梱包材を模式的な分解斜視図で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、梱包材の一実施形態を、図面を参照して説明する。まず、第1実施形態について説明を行う。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る梱包材を示す模式的な斜視図であり、図2は、図1に示されている梱包材の分解斜視図である。また、図3は、図1に示されている梱包材の内部構造を示した模式図である。
【0011】
本実施形態の梱包材1は、例えば缶バッジ等といった、ある程度扁平な形状を有する物品を収容対象物A1として収容する袋状の部材である。この梱包材1は、インターネットを介した物々交換サービスにおいて、サービスを仲介するプラットフォーム業者から交換希望の物品の提供者それぞれに梱包のために送られる。梱包材1の最外面には、プラットフォーム業者を示すロゴマーク等が印刷されており、その品質が保証されている。梱包材1を受け取った各提供者はこの梱包材1に物品を収容して梱包し、郵送等によって交換相手へと発送する。この梱包材1は、2つの収容袋11と、緩衝材12と、を備えている。
【0012】
2つの収容袋11は、サイズが互いに異なる大小2つの袋であり、相対的に小サイズの袋が大サイズの袋に収容される入れ子構造を構成する。小サイズで最も内側に位置する収容袋11を最内袋111と呼び、大サイズで最も外側に位置する収容袋11を最外袋112と呼ぶ。本実施形態では、収容袋11は大小2つの袋で構成されるので、一方が最内袋111で他方が最外袋112となる。最内袋111及び最外袋112は、各々が収容口111a,112aを有し、収容口111a,112aの向きが揃った状態で最内袋111が最外袋112に収容される入れ子構造を構成する。また、本実施形態では、2つの収容袋11は、何れも、例えばOPP(Oriented Polypropylene)等といった透明樹脂シートで形成されている。
【0013】
また、最外袋112の収容口112aには、その開口縁の一部を折り目線112bとしたフラップ112cが封緘可能に設けられている。フラップ112cには、最外袋112の全幅に亘って封緘用の接着ノリ112dが帯状に塗布され、更に、意図せずに張り付いてしまわないように接着ノリ112dがマスキングテープ112eによってマスクされている。このような2つの収容袋11における最内袋111に、当該最内袋111の収容口111aから収容対象物A1が収容される。
【0014】
緩衝材12は、2つの収容袋11のうちの最内袋111を保護対象の袋として設けられて外力を吸収する部材である。緩衝材12は、保護対象の袋たる最内袋111の外面を覆うとともにその外面の一部の接着エリア111bに収容口111aの開閉が可能な状態で接着固定されている。本実施形態では、最内袋111の外面における緩衝材12の接着エリア111bは、その収容口111a寄りの一部のみとなっている。この接着エリア111bは、最内袋111がシート状に畳まれたときの表裏ぞれぞれの外面に1つずつ設けられている。
【0015】
また、緩衝材12は、その外面の少なくとも一部の接着エリア12aが、当該緩衝材12の外側に位置する外側袋(本実施形態では、最外袋112)の内面に接着固定されている。この接着固定は、最外袋112の収容口112aの開閉によって、緩衝材12の内側に位置する保護対象の袋である最内袋111の収容口111aの開閉が可能な状態で行われている。また、この緩衝材12の外面の接着エリア12aは、最内袋111の収容口111a寄りの一部のみとなっている。そして、この緩衝材12における接着エリア12aも、緩衝材12がシート状に畳まれたときの表裏ぞれぞれの外面に1つずつ設けられている。
【0016】
ここで、本実施形態では、緩衝材12は、保護対象の袋である最内袋111の底部111cを含む全外面を覆い、収容口12bの向きが最内袋111及び最外袋112の収容口111a,112aと揃った袋状に設けられている。更に、緩衝材12は、最内袋111の外面を少なくとも二重に取り巻いて覆うように内緩衝袋121と外緩衝袋122との二重袋となっている。内緩衝袋121は外緩衝袋122よりも小サイズの袋であり、緩衝材12は、内側収容口12b-1及び外側収容口12b-2の向きが揃った状態で内緩衝袋121が外緩衝袋122に収容された入れ子構造を有している。また、内緩衝袋121の外面と外緩衝袋122の内面とは互いに分離しないように広範に亘って接着固定されている。この接着固定によって互いに一体となった内側収容口12b-1及び外側収容口12b-2が緩衝材12の収容口12bを構成し、この収容口12bから最内袋111が収容される。そして、内緩衝袋121の内面に最内袋111の接着エリア111bが接着固定され、外緩衝袋122の外面に設けられた接着エリア12aが最外袋112の内面に接着固定されている。また、内緩衝袋121及び外緩衝袋122それぞれが、気泡緩衝材で袋状に形成されている。
【0017】
本実施形態の梱包材1による収容対象物A1の梱包は、次のように行われる。まず、最外袋112の収容口112aが開かれることで、その内側の緩衝材12の収容口12b及び最内袋111の収容口111aが一体的に開かれる。開かれた最内袋111の収容口111aから収容対象物A1が最内袋111の内部に収容される。次に、最外袋112の収容口112aに設けられた封緘用のフラップ112cからマスキングテープ112eが剥がされて帯状の接着ノリ112dが露出される。その後、フラップ112cが折り目線112bで折り畳まれ、接着ノリ112dによってフラップ112cが最外袋112の外面に接着固定されることで封緘が行われ、収容対象物A1の梱包が完了する。以上の作業が、物々交換サービスを仲介するプラットフォーム業者から梱包材1の提供を受けた物品の各提供者によって行われる。提供物品を収容対象物A1として梱包材1による梱包が完了すると、各提供者は、梱包済みの提供物品を交換相手に向けて発送することとなる。
【0018】
尚、ここまでの説明では、本実施形態の梱包材1における収容対象物の一例として、例えば缶バッジ等といった、ある程度扁平な形状を有する物品を収容対象物A1が例示されている。しかしながら、梱包材1における収容対象物は、これに限るものではなく、収容可能な大きさや形状であるのならば、例えばカプセルトイの玩具等といった小型立体構造物であってもよい。
【0019】
以上に説明した第1実施形態の梱包材1によれば、入れ子構造における最内袋111に収容対象物A1が収容され、その最内袋111を保護対象の袋とした緩衝材12が外面を覆っている。従って、この梱包材1に収容された収容対象物A1は、輸送中の外力から緩衝材12によって安定的に保護される。そして、緩衝材12が、最内袋111の外面の一部に収容口111aの開閉が可能な状態で接着固定されていることから、最内袋111の収容口111aを緩衝材12ごと開いて収容対象物A1を収容することができ、収容に関する手間が軽減されている。このように、上記の梱包材1によれば、梱包を行う者の手間を抑えつつレベルの安定した梱包を行うことができる。
【0020】
ここで、本実施形態では、緩衝材12は、保護対象の袋である最内袋111の外面のうち、その収容口111a寄りの一部にのみ接着固定されている。この構成によれば、収容対象物A1の収容時に最内袋111が適宜に動くことが可能であり、収容に関する自由度を高めることができる。
【0021】
また、本実施形態では、緩衝材12は、その外面の一部が、当該緩衝材12の外側に位置する外側袋である最外袋112の内面に、この最外袋112の収容口112aの開閉によって最内袋111の収容口111aの開閉が可能な状態で接着固定されている。この構成によれば、緩衝材12を介し、最内袋111の収容口111aを最外袋112ごと開いて収容対象物A1を収容することができ、収容に関する手間を更に抑えることができる。
【0022】
また、本実施形態では、緩衝材12は、その外面のうち、最内袋111の収容口111a寄りの一部のみが最外袋112の内面に接着固定されている。この構成によれば、収容対象物A1の収容時に緩衝材12が最外袋112の内部で最内袋111とともに適宜に動くことが可能であり、収容に関する自由度を高めることができる。
【0023】
また、本実施形態では、緩衝材12が、最内袋111の底部111cを含む全外面を覆うように設けられている。この構成によれば、最内袋111の深さ方向について緩衝材12の位置ズレを抑えることができる。また、最内袋111の各面に対して緩衝材を個別に設けて縁どうしをテープ止めする場合等と比較すると、初めから緩衝材12が最内袋111の底部111cを覆っていることからテープ止め等の手間を軽減することができる。
【0024】
また、本実施形態では、緩衝材12が、最内袋111の外面を二重に取り巻いて覆っている。この構成によれば、二重に取り巻くように緩衝材12を設けることで、外力の吸収効果を高めることができる。
【0025】
また、本実施形態では、2つの収容袋11のうち最外袋112の収容口112aには、その開口縁の一部を折り目線112bとしたフラップ112cが封緘可能に設けられている。この構成によれば、収容対象物A1の収容後の防水等のための封緘についても作業の手間を抑えることができる。また、封緘のためのフラップ112cが、最外袋112における収容口112aの開口縁の一部を折り目線112bとして設けられているので、決まった位置でフラップ112cが曲げられて封緘が行われることとなる。これにより、不慣れな人でも防水性の高い封緘を行うことができる。
【0026】
また、本実施形態では、2つの収容袋11が、何れも透明樹脂シートで形成されている。この構成によれば、梱包後の物品の受取人が梱包材越しに内部の状態を目視することができるので安心感を与えることができ好適である。
【0027】
また、本実施形態では、梱包材1の最外面となる最外袋112の外面には、プラットフォーム業者を示すロゴマーク等が印刷されており、その品質が保証されている。この構成によれば、梱包材1の由来が明確となり、この点においても物品の受取人に安心感を与えることができる。
【0028】
また、本実施形態では、緩衝材12が、気泡緩衝材を用いて形成されている。この構成によれば、入手が容易な気泡緩衝材を用いることで緩衝材12のコストを低減することができる。
【0029】
次に、第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、収容される物品の形状と、この物品が収容される最内袋の形状が第1実施形態と異なっている。以下では、第2実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
【0030】
図4は、第2実施形態に係る梱包材を、その内部構造について図3と同様に示した模式図である。尚、この図4では、図3に示されている第1実施形態の構成要素と同等な構成要素については、説明に必要なもののみ図3と同じ符号が付されており、以下では、同等な構成要素に関する重複説明を省略する。
【0031】
本実施形態の梱包材2は、例えばカプセルトイの玩具等といった小型立体構造物を収容対象物A2として収容する袋状の部材である。この梱包材2は、上述の第1実施形態と同様で若干大型の最外袋112及び気泡緩衝材で二重袋状に形成された緩衝材12を備えている。他方、本実施形態において最外袋112とともに2つの収容袋21を構成する最内袋211は、小型立体構造物を収容可能な程度に大型な袋であるとともに、その収容口211aにも封緘可能なフラップ211cが設けられている。この最内袋211におけるフラップ211cは、最外袋112のフラップ112cと同様に、収容口211aの開口縁の一部を折り目線211bとして設けられている。
【0032】
本実施形態の梱包材2では、小型立体構造物である収容対象物A2が若干大型の最内袋211に収容された後、この最内袋211のフラップ211cによって封緘される。ここでの封緘は、最外袋112のフラップ112cと同様に、最内袋211のフラップ212cからマスキングテープ212eが剥がされて帯状の接着ノリ212dが露出され、フラップ212cが折り目線212bで折り畳まれることで行われる。この折畳みによって、接着ノリ212dでフラップ212cが最内袋212の外面に接着固定されることで封緘が行われる。その後、最外袋112のフラップ112cでの封緘が行われることで二重に封緘され、小型立体構造物である収容対象物A2の梱包材2による梱包が完了する。
【0033】
尚、ここまでの説明では、本実施形態の梱包材2における収容対象物の一例として、例えばカプセルトイの玩具等といった小型立体構造物としての収容対象物A2が例示されている。しかしながら、梱包材2における収容対象物は、これに限るものではなく、収容可能な大きさや形状であるのならば、例えば缶バッジ等といった、ある程度扁平な形状を有する物品であってもよい。
【0034】
以上に説明した第2実施形態の梱包材2によっても、上述の第1実施形態と同様に、梱包を行う者の手間を抑えつつレベルの安定した梱包を行うことができることは言うまでもない。
【0035】
また、本実施形態では、収容対象物A2が収容される最内袋211にも封緘可能なフラップ211cが設けられている。この二重封緘の構成によれば、扁平な収容対象物A1に比べて封緘に隙間が生じがちな小型立体構造物の収容対象物A2についても、防水性の高い封緘を行うことができる。
【0036】
次に、第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、収容される物品の形状と、緩衝材の構成が第1実施形態と異なっている。以下では、第3実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
【0037】
図5は、第3実施形態に係る梱包材を示す模式的な斜視図であり、図6は、図5に示されている梱包材の分解斜視図である。また、図7は、図6に示されている緩衝材の分解斜視図である。
【0038】
本実施形態の梱包材3は、例えばカード状等といった薄手で変形し易い形状の物品を収容対象物A3として収容する袋状の部材である。この梱包材3は、上述の第1実施形態と同様の最内袋111及び最外袋112で構成される二重の収容袋11を備えている。他方、本実施形態において最内袋111を保護対象の袋とした緩衝材32は、第1実施形態とは異なり、袋状ではなく、最内袋111を挟んで保持する構成を有しており、2枚の矩形平板321とクッション部分322を備えたものとなっている。
【0039】
2枚の矩形平板321は、最内袋111を相互間に挟んで保持するものであり、本実施形態では、長方形状の段ボール片が長手方向中央の折り目線321aで二つ折りに折り畳まれた折畳み段ボール323を構成する一対の板状部位となっている。最内袋111は、その外面における収容口111a寄りの接着エリア1111bで、折畳み段ボール323における2枚の矩形平板321の対向内面に収容口111aが開閉可能な状態で接着固定されている。
【0040】
クッション部分322は、2枚の矩形平板321の外面に貼付された長方形状のシート状物であり、本実施形態では、長方形状の気泡緩衝材が2枚重ね合わされた二重構造を有している。この二重構造のクッション部分322が、折畳み段ボール323の折り目線321aに対応する箇所で二つ折りに折り畳まれ、各矩形平板321の外面に全面的に貼付されて二つ折り形状の緩衝材32が構成されている。また、この緩衝材32のクッション部分322の外面において、内側の最内袋111の収容口111a寄りに最外袋112との接着エリア32aが設けられている。この接着エリア32aが、二つ折り形状の緩衝材32の表裏ぞれぞれの外面に1つずつ設けられて最外袋112の内面に接着固定されている。
【0041】
本実施形態の梱包材3では、カード状等といった薄手で変形し易い形状の物品を収容対象物A3として梱包が行われる。梱包に際しては、最外袋112の収容口112aが開かれることで、二つ折り形状の緩衝材32を介して最内袋111の収容口111aが開かれて収容対象物A3が収容口111aから最内袋111に収容される。次に、最外袋112の収容口112aに設けられた封緘用のフラップ112cからマスキングテープ112eが剥がされて帯状の接着ノリ112dが露出される。その後、フラップ112cが折り目線112bで折り畳まれ、接着ノリ112dによってフラップ112cが最外袋112の外面に接着固定されることで封緘が行われ、収容対象物A3の梱包が完了する。
【0042】
以上に説明した第3実施形態の梱包材3によっても、上述の第1実施形態と同様に、梱包を行う者の手間を抑えつつレベルの安定した梱包を行うことができることは言うまでもない。
【0043】
また、本実施形態では、緩衝材32が、保護対象の袋として最内袋111を相互間に挟んで保持する2枚の矩形平板321と、2枚の矩形平板321の外面に貼付されたクッション部分322と、を備えたものとなっている。この構成によれば、例えばカード状等といった薄手で変形し易い形状の物品を収容対象物A3として、2枚の矩形平板321で挟むことで効果的に保護するとともに、その外面のクッション部分322によって外力の影響を抑えることができる。
【0044】
次に、第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、収容される物品が縫いぐるみ等のある程度大型の物品となっており、このような物品を収容可能な構成となっている点が第1実施形態と異なっている。以下では、第4実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
【0045】
図8は、第4実施形態に係る梱包材を模式的な分解斜視図で示した図である。
【0046】
本実施形態の梱包材4は、上述のように縫いぐるみ等といったある程度大型の物品を収容対象物A4として収容する袋状の部材である。この梱包材4は、基本構造は上述の第1実施形態と同様で透明樹脂シートで形成された最内袋411及び最外袋412からなる2つの収容袋41と、気泡緩衝材で二重袋状に形成された緩衝材42と、を備えている。2つの収容袋41及び緩衝材42は、最も小サイズの最内袋411が、縫いぐるみ等の収容対象物A4を収容可能な大きさで、緩衝材42及び最外袋412は、内側の最内袋411に応じた大きさとなっている。更に、最内袋411、緩衝材42、及び最外袋412は、何れも、側面にマチ411a,42a,412aが折り畳み可能に形成された四角袋となっている。また、最内袋411の収容口411bの近傍には接着エリア411cが設けられ、緩衝材42の内面に接着固定される。同様に、緩衝材42の収容口42bの近傍にも接着エリア42cが設けられ、最外袋412の内面に接着固定される。
【0047】
また、最外袋412の収容口412bにはフラップ412cが設けられている。このフラップ412cは、収容対象物A4が収容されてマチ412aが開いた状態でも封緘可能な十分な長さで形成されており、接着ノリ412dが塗布されるとともにマスキングテープ412eでマスクされている。
【0048】
以上に説明した第4実施形態の梱包材4によっても、上述の第1実施形態と同様に、梱包を行う者の手間を抑えつつレベルの安定した梱包を行うことができることは言うまでもない。
【0049】
また、本実施形態では、2つの収容袋41、及び緩衝材42が、何れも側面にマチ411a,42a,412aが折り畳み可能に形成された四角袋となっている。この構成によれば、縫いぐるみ等のある程度大型の収容対象物A4を効果的に収容することができる。尚、本実施形態の梱包材4にも、第1実施形態における缶バッジ等といった扁平な形状を有する物品や、カプセルトイの玩具等といった小型立体構造物を収容することとしてもよい。
【0050】
尚、以上に説明した第1~第4実施形態は、梱包材の一例を示したものに過ぎず、梱包材は、これらの実施形態に限るものでない。即ち、梱包材は、それぞれの用途等に合わせて適宜に変更を加えて用いることができる。
【0051】
例えば、上述の第1~第4実施形態では、梱包材の一例として、最内袋111,211,411と最外袋112,412との2つの収容袋11,21,41を備え、最内袋111,211,411を緩衝材12,32,42で覆った梱包材1,2,3,4が例示されている。しかしながら、梱包材は、これに限るものではなく、3つ以上の複数の収容袋を備えたものであってもよい。このとき、緩衝材は、最外袋を除いた収容袋のうち、最内袋のみを保護対象の袋としてもよく、あるいは、最内袋と他の袋の全部又は一部を保護対象の袋として各袋に1つずつ設けられることとしてもよい。
【0052】
また、上述の第1~第4実施形態では、緩衝材の一例として、保護対象の袋の外面のうち、その収容口111a,211a,411b寄りの一部にのみ接着固定された緩衝材12,32,42が例示されている。しかしながら、緩衝材は、これに限るものではなく、保護対象の袋の外面の全面に接着固定されたものであってもよく、外面の一部にのみ接着固定される場合でも、保護対象の袋の収容口から離れた位置に接着固定されることとしてもよい。ただし、保護対象の袋の外面の収容口111a,211a,411b寄りの一部にのみ緩衝材12,32,42が接着固定される構成によれば、収容対象物A1,A2,A3,A4の収容に関する自由度を高めることができる点は上述した通りである。
【0053】
また、上述の第1~第4実施形態では、緩衝材の一例として、その外側に位置する外側袋(最外袋112,412)の内面に、保護対象の袋の収容口111a,211a,411bの開閉が可能な状態で接着固定された緩衝材12,32,42が例示されている。しかしながら、緩衝材は、これに限るものではなく、緩衝材が、外側袋に対して非接着状態で収容されることとしてもよい。ただし、緩衝材12,32,42が外側袋(最外袋112,412)の内面に、保護対象の袋の収容口111a,211a,411bの開閉が可能な状態で接着固定されていることで、収容に関する手間を更に抑えることができる点は上述した通りである。
【0054】
また、上述の第1~第4実施形態では、緩衝材の一例として、外面のうち保護対象の袋の収容口111a,211a,411b寄りの一部のみが外側袋(最外袋112,412)の内面に接着固定された緩衝材12,32,42が例示されている。しかしながら、緩衝材は、これに限るものではなく、その外面の全面が外側袋の内面に接着固定されたものであってもよく、外面の一部のみが接着固定される場合でも、保護対象の袋の収容口から離れた位置が接着固定されることとしてもよい。ただし、緩衝材12,32,42の外面のうち保護対象の袋の収容口111a,211a,411b寄りの一部のみが外側袋(最外袋112,412)の内面に接着固定された構成によれば、収容に関する自由度を高めることができる点は上述した通りである。
【0055】
また、上述の第1~第4実施形態では、緩衝材の一例として、保護対象の袋の底部111cを含む全外面を覆うように設けられた緩衝材12,32,42が例示されている。しかしながら、緩衝材は、これに限るものではなく、保護対象の袋の外面の一部のみを覆うものであってもよい。ただし、緩衝材12,32,42が保護対象の袋の底部111cを含む全外面を覆うことで、緩衝材12,32,42の位置ズレを抑えることができ、また、緩衝材12,32,42のテープ止め等の手間を軽減することができる点は上述した通りである。
【0056】
また、上述の第1,第2,第4実施形態では、保護対象の袋の外面を二重に取り巻いて覆っている緩衝材12,42が例示されている。しかしながら、緩衝材は、これに限るものではなく、例えば第3実施形態に緩衝材32として例示されているように保護対象の袋の外面を一重のみで覆うものであってもよい。ただし、緩衝材12,42が保護対象の袋の外面を二重に取り巻いて覆うことで、外力の吸収効果を高めることができる点は上述した通りである。尚、緩衝材の数は二重に限るものでもなく、三重以上の複数層が重ねられて保護対象の袋の外面を覆うものであってもよい。
【0057】
また、上述の第1~第4実施形態では、梱包材の一例として、最外袋112,412の収容口112a,412bに封緘可能なフラップ112c,412cが設けられた梱包材1,3,4や、最内袋211の収容口211aにもフラップ211cが設けられた梱包材2が例示されている。しかしながら、梱包材は、これに限るものではなく、複数の収容袋の何れについても封緘用のフラップが設けられていないものであってもよい。ただし、少なくとも最外袋112,412に封緘用のフラップ112c,412cを設けることで、防水等のための封緘についても作業の手間を抑えるとともに、不慣れな人でも防水性の高い封緘を行うことができる点は上述した通りである。
【0058】
また、上述の第1~第4実施形態では、複数の収容袋の一例として、例えばOPP等といった透明樹脂シートで形成された複数の収容袋11,21,41が例示されている。しかしながら、複数の収容袋は、これに限るものではなく、全て又は一部が不透明な素材で形成されたものであってもよい。ただし、複数の収容袋の何れもが透明樹脂シートで形成されていることで、梱包後の物品の受取人に安心感を与えることができる点は上述した通りである。
【0059】
また、上述の第3実施形態では、緩衝材の一例として、折畳み段ボール323を構成する2枚の矩形平板321とクッション部分322とを備えた緩衝材32が例示されている。しかしながら、緩衝材は、これに限るものではなく、例えば第1、第2、及び第4実施形態に緩衝材12,42として例示されているように袋状に形成されたもの等であってもよい。緩衝材は、保護対象の袋に対する外力を吸収可能で、保護対象の袋の外面を覆うとともにその外面の少なくとも一部に収容口の開閉が可能な状態で接着固定されている部材であれば具体的な構成を問うものではない。ただし、2枚の矩形平板321とクッション部分322とを備えた緩衝材32によれば、例えばカード状等といった薄手で変形し易い形状の物品を収容対象物A3として効果的に保護するとともに外力の影響を抑えることができる点は上述した通りである。尚、緩衝材が2枚の矩形平板とクッション部分を備える構成であっても、2枚の矩形平板は、折畳み段ボール323等といった折畳み形状の部材の一部に限るものではない。2枚の矩形平板は、個別に設けられた平板であってもよく、また、その素材も、段ボール以外の例えば樹脂板、厚紙板、木製板、金属板等といった任意素材であってもよい。また、上述の第3実施形態では、クッション部分の一例として、二重構造のクッション部分322が例示されているが、クッション部分は、これに限るものではなく、一重構造であっても、三重以上の複数層構造であってもよい。
【0060】
また、上述の第1~第4実施形態では、緩衝材の一例として、気泡緩衝材を用いて形成された緩衝材12,32,42が例示されている。しかしながら、緩衝材は、これに限るものではなく、外力の吸収効果を発揮するものであれば、ウレタンシートやゴムシート等といった任意素材を採用し得るものである。ただし、入手が容易な気泡緩衝材を用いることで緩衝材12,32,42のコストを低減することができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0061】
1,2,3,4 梱包材
11,21,41 収容袋
12,32,42 緩衝材
12a,111b,32a,42c,411c 接着エリア
12b,111a,112a,211a,42b,411b,412b 収容口
12b-1 内側収容口
12b-2 外側収容口
111,211,411 最内袋(保護対象の袋)
111c 底部
112,412 最外袋(外側袋)
112b,211b,321a 折り目線
112c,211c,412c フラップ
112d,212d,412d 接着ノリ
112e,212e,412e マスキングテープ
121 内緩衝袋
122 外緩衝袋
321 矩形平板
322 クッション部分
323 折畳み段ボール
A1,A2,A3,A4 収容対象物
【要約】
【課題】梱包を行う者の手間を抑えつつレベルの安定した梱包を行うことができる梱包材を提供する。
【解決手段】梱包材1は、各々が収容口111a,112aを有するとともにサイズが互いに異なる2つの袋であって、収容口111a,112aの向きが揃った状態で相対的に小サイズの袋が大サイズの袋に収容される入れ子構造を構成し、最も内側に位置する最内袋111に、当該最内袋111の収容口111aから収容対象物が収容される2つの収容袋11と、2つの収容袋11において最も外側に位置する最外袋112を除いた袋のうち、少なくとも最内袋111を保護対象の袋として設けられて外力を吸収する部材であって、保護対象の袋の外面を覆うとともにその外面の少なくとも一部に収容口111aの開閉が可能な状態で接着固定されている緩衝材12と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
図1
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図8