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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/01 20110101AFI20250219BHJP
   F24F 1/0007 20190101ALI20250219BHJP
   F24F 1/0018 20190101ALI20250219BHJP
【FI】
F24F1/01
F24F1/0007 321
F24F1/0018
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024182159
(22)【出願日】2024-10-17
【審査請求日】2024-10-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524383524
【氏名又は名称】株式会社Sky-JAM
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 伸彦
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-205791(JP,A)
【文献】特開2023-066765(JP,A)
【文献】特開2024-062250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0159907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を空気調和機の内部に吸い込むための少なくとも1つの吸気口と、
前記吸気口から吸い込まれた前記空気温度を調整し、前記空気調和機の底部に対して、斜めに傾けて配置される熱交換器と、
気体を運ぶ管として、温度が調節された空気を外部に排出するための前記熱交換器を跨ぐ上部ダクト及び下部ダクトと、前記上部ダクト及び前記下部ダクトに搭載された、空気を排出するためのスリットと、前記吸気口から吸い込んだ空気を、前記熱交換器に温度調節された後に前記スリットを介して吹き出す送風ファンと、前記送風ファンを作動させるモーターとから構成される扇風機と、
温度が調節された空気を前記空気調和機の外部に吐き出すための少なくとも1つの排気口と、を備え、前記吸気口から前記排気口までの前記空気流において前記扇風機の少なくとも前記スリットを含む一部が前記熱交換器より後段に配されており、前記扇風機の他の部分が前記熱交換器より前段に配されている
空気調和機。
【請求項2】
前記熱交換器は、
冷媒を循環するための室外機と接続している
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚れが溜まりにくい空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化による気温の上昇が進む中で空気調和機の使用率が爆発的に増加しており、エアコンクリーニングサービスの需要も同時に伸びている。エアコンクリーニングサービスは時間及び費用を要するため、エアコンクリーニングサービスの利用をできるだけ抑制するために、掃除機能付きの空気調和機が開発されている。しかしながら、各機能付きの空気調和機の価格は普通のタイプより金額が上がるだけではなく、部品数の増加により内部構造が複雑化することで、クリーニング時の費用も大幅に増加する。エアコンクリーニングを定期的に利用しないと、エネルギーが無駄に使用されてしまう可能性もある。
【0003】
地球温暖化による気温上昇により、空気調和機の稼働率は大幅に上がり、空気調和機内部の汚れ方も年々悪化している。したがって、空気調和機の内部において汚れの発生を抑制することができる空気調和機の開発は必要である。
【0004】
特許文献1に記載の空気調和機は、蒸発器と、及び蒸発器の下方に配置された、作動により発生した結露水を受けるドレンパンと、ドレンパンの汚れを抑制する薬剤をドレンパンに供給する供給装置と、供給装置を制御する制御装置と、を備える。空気調和機の作動する際に汚れが溜まる場合、特許文献1の空気調和機は、薬剤容器内の薬剤を自動的にドレンパンに注入して汚れを除去する。一方、空気調和機の汚れを低減する先行技術文献の多くは熱交換器やフィルターの汚れを低減する対策となっており、一定の効果が期待できるが、空気調和機の主要な構造にも成っている送風ファンの汚れに対して有効な方法がなく、多くの場合主要な汚れの原因に成っているにも関わらず、事業者によるエアコンクリーニング以外に有効な手段がない状況となっています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2023-23607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今までの現有技術において、送風ファンやプロペラファン等の羽に堆積する汚れを有効的に清潔に保つ技術が開示されていないので、送風ファンに変わる汚れを蓄積しにくい送風装置の開発を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る空気調和機は、空気を空気調和機の内部に吸い込む為の少なくとも1つの吸気口と、吸気口から吸い込まれた空気と熱交換を行って温度調整する熱交換器と、空気を誘導してコアンダ表面に引き込まれる開口部を介して空気流を生成して送風する羽が取り付けられていない送風機と、温度が調整された空気を空気調和機の外部に吐き出すための少なくとも1つの排気口を備えるものとしてよい。
【0008】
本発明の一実施形態に係る空気調和機は、吸気口から排気口までの空気流において扇風機が熱交換器より前段に配されていることとしてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る空気調和機は、吸気口から排気口までの空気流において扇風機が熱交換器より後段に配されていることとしてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る熱交換器は、冷媒を循環するための室外機と接続していることを特徴とすることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る空気調和機は、ホコリやカビ等汚れが溜まることを防ぎ、業者へのクリーニング依頼の間隔を大幅に伸ばす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施例及び第2実施例の構成例を示す空気調和機の例を示す斜視図である。
図2】第1実施例及び第2実施例の空気調和機の分解図の一例である。
図3】第1実施例において送風機が熱交換器の前段にある場合、空気調和機を右側面から見た模式図の一例である。
図4】第2実施例において送風機が熱交換器の後段にある場合、空気調和機を右側面から見た模式図の一例である。
図5】第3実施例の空気調和機の分解図の一例である。
図6】(a)は、第3実施例の扇風機の拡大図の一例である。(b)は、その扇風機を右側面から見た模式図である。
図7】第3実施例において空気調和機を右側面から見た模式図の一例である。
図8】(a)は、第4実施例の空気調和機の吸気口及び排気口を閉塞する閉状態を示す図の一例である。(b)は、第4実施例の空気調和機前壁の上部及び空気調和機下壁を開ける開状態を示す図の一例である。
図9】第4実施例において空気調和機の内部構成の例を示す斜視図である。
図10】第4実施例に係る空気調和機を右側面から見た模式図の一例である。
図11】第4実施例において扇風機の斜視図の一例である。
図12】第4実施例において扇風機の上面図であり、扇風機の送風経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態>
<概要>
図1は、本開示に係る空気調和機10の室内機の斜視図の一例である。本実施形態に係る空気調和機10は、温度を調節した空気流を排出する送風機能を有する。空気調和機10の種類は限定されておらず、一例として、エアコンディショナー(いわゆる、エアコン)、冷房機(クーラー)、暖房機(ヒーター)、送風機、加湿機、除湿機、空気浄化機等であってもよく、壁掛け型空気調和機、天井埋込型空気調和機、天吊り型空気調和機、床置き型空気調和機、カセット型空気調和機であってもよい。また、本実施形態に係る空気調和機10本体は、吸気口101、排気口102、筐体103等を備える。吸気口101及び排気口102は、筐体103に備え付けられており、空気調和機10に接続している。また、各吸気口及び排気口に取り付けられた位置及び向きは限定されていないが、吸気口101は、温度調節の対象となる場所の空気を吸い込みやすい位置に設けられ、排気口102は、温度調節の対象となる場所に温度調整後の空気を送り出しやすい位置に設けられてもよい。説明の便宜上、本実施形態に係る空気調和機10に搭載された共通の構成要素には同一の符号を付し、一部の繰り返しの説明を省略する。本開示に係る空気調和機10は、空気調和機10内の送風ファンを、羽根なし扇風機に置換した構成を有し、その他の構成については、従来の空気調和機10と同様であってもよい。以下、空気調和機10の各構成を詳しく説明する。
【0014】
吸気口101は、空気調和機10に備え付けられ、空気調和機10外部の空気を空気調和機10の内部に吸入するために設置された制気口である。本実施形態に係る吸気口101は複数があり、空気調和機10の外装の上部に亘って形成されている。しかしながら、吸気口101の位置、形状及び個数は限定されておらず、空気調和機10外部の空気を空気調和機10の内部に吸入する構成であればよい。
【0015】
排気口102は、空気調和機10に備え付けられ、熱交換器104によって温度を調節された空気を排出する孔部である。本実施形態に係る排気口は複数があり、空気調和機の前壁の下部に亘って形成されている。吸気口101から吸い込まれた空気の温度が空気調和機10に搭載された熱交換器104に調節され、温度が調節された空気は複数の排気口102から空気調和機10の外部に排出されてもよい。しかしながら、排気口102の位置、形状及び個数は限定されておらず、温度が調節された空気を空気調和機10の外部に排出する構成であればよい。また、排気口102には、風向きを制御するためのフィンが設けられてもよい。
【0016】
筐体103は、空気調和機10の外装として空気調和機10の各内部構成を包含して保護する構成である。具体的には、本実施形態に係る筐体103は、空気調和機10の上の壁1031、前の壁1032、側壁1033を備える。また、筐体103は、少なくとも一つの吸気口101及び排気口102を備える。また、本開示の筐体103の材質は、耐久性と耐腐食性が良いステンレス鋼であってもよいし、空気調和機10の軽量化、或いはコストダウンなどのメリットを有する樹脂であってもよいが、筐体103の材質はこれらに限定されるものではない。筐体103は、空気調和機10内部の各構成を収めており、当該構成を外部の環境から保護してもよい。
【0017】
次に、空気調和機10内部の各構成を説明する。図2は、本開示の空気調和機10の分解斜視図の一例である。本開示の空気調和機10の内部は、熱交換器104、扇風機105、ドレンパン106を含む。これらに限定されておらず、本実施形態に係る空気調和機10は、吸気口101から取り込まれた空気中のホコリやカビを取り除くフィルター、空気を加湿するための加湿器、空気の除湿(減湿)に使用される除湿器、空気の各種情報(例えば、空気の温度情報、度情報等を含んでもよい)を検知するセンサー等を搭載してもよい。また、図2によると、組立体1051は、吸気口としての制気口を備え、組立体1051の内部に扇風機105が配置される。扇風機105が作動している際に、室内の空気は、制気口から組立体1051の内部に吸い込まれ、扇風機105が起こした空気流は、ノズル1053の壁面に設けられたスリット111から送り出される。以下、本開示の空気調和機10の特徴となる機能を実行する、主な構成を説明する。
【0018】
熱交換器104は、空気調和機10外部又は内部に設けられる室外機との間で冷媒の熱交換を行う構成である。これにより、熱交換器104が冷やされ、熱交換器104にふれた空気を冷却することができる。また、本開示の室外機は、空気調和機10の内部に設けられてもよい。この場合、空気調和機10は単体で作動してもよい。具体的には、本実施形態に係る熱交換器104は、複数の吸気口101から吸入した空気を暖めたり、冷やしたりするために必要な部品として、空気調和機10外部の空気流と空気調和機10内部の空気流とを触れ合わせて冷媒との間で熱を移動させる。次に、熱交換器104は、触れ合わされた空気の温度を調節する。熱交換器104の作動状態は空気調和機10の動作により異なり、空気調和機10が冷房運転をする場合、冷媒が低温の液体状態で熱交換器104に流れ込んでおり、吸気口101から吸い込まれた空気が熱交換器104に接すると、空気中の熱が冷媒に移動する。冷房運転の過程で、吸気口101から吸い込まれた空気は冷却されており、空気調和機10の扇風機105によって冷たい空気が排気口102を通過して空気調和機10外部に送り出される。空気調和機10が暖房運転をする場合、冷媒の流れが逆になり、熱交換器104内に高温気体状態の冷媒が注入され、吸気口101から取り込まれた空気に熱が移動して空気を加温する。本実施形態に係る熱交換器104は限定されておらず、空気調和機10の配管及び接続口が入口と出口の二つである二方弁等を更に搭載してもよい。熱交換器104は更に、空気調和機10内の湿度を調整する機能を備えてもよい。
【0019】
扇風機105は、吸気口101から空気を吸い込み、排気口102から冷却または加温された空気を排出するための空気流を生成する。扇風機105は、環状に形成されたノズル1053を有し、ノズル1053に設けられた開口から1次空気流を生成し、1次空気流がノズル1053の壁面に沿って流れることで環状内部に2次空気流を生成して送風する所謂羽根無し扇風機である。具体的には、本実施形態に係る扇風機105は、スリット111を有し、吸気口101から吸入した空気が所定の空気流路に従ってノズル1053の下表面に引き寄せられて空気流を生成し、コアンダ表面1052を形成する。本実施形態に係る扇風機105の形状、構成、設置位置等が限定されておらず、複数の吸気口101から吸い込んだ空気は熱交換器104に温度を調節され、ノズル1053の壁面に設けられたスリット111から送り出され、スリット111下部の壁面に引き込まれて空気流を生成してもよい。なお、本開示の扇風機105は、空気流を生成して制御するために、制気口を含む組立体1051を更に備えてもよく、この場合、組立体1051は、空気調和機10の側壁1033の反対側面の筐体の内部に設けられており、空気調和機10外部の空気を内部に吸い込んで空気流を調節してもよい。
【0020】
本実施形態に係る扇風機105のコアンダ表面1052には、空気の噴流が引き寄せられており、コアンダ効果を起こさせやすい面である。また、本実施形態に係るノズル1053に引き寄せられる空気は複数の種類があり、吸気口101から吸い込んだ空気は、スリット111の排気により形成したコアンダ表面1052に沿って流れ、排気口102から排出されてよい。具体的には、吸気口101から吸い込んだ空気が熱交換器104によって温度が調節されずにスリット111の排気により形成したコアンダ表面1052に引き込まれる場合、扇風機105は、温度が調節されなかった空気流を生成して排気口102を介して空気調和機10の外に排出してもよい。吸気口101から吸い込んだ空気が熱交換器104に調節され、スリット111の排気により形成したコアンダ表面1052に引き込まれる場合、扇風機105は、温度が熱交換器104によって調節された空気流を生成して排気口102を介して空気調和機10の外に排出してもよい。この場合、前述の空気流は、空気調和機10の使用者の指令により涼しい空気流を生成して空気調和機10外部に送風してもよいが、暖かい空気流を生成して空気調和機10外部に送風してもよい。

【0021】
ドレンパン106は、空気調和機10の冷房運転中に熱交換器104の表面に発生する結露水を受け取るための受け皿である。具体的には、空気調和機10が作動している場合、水蒸気を含む空気が室内機の内部に吸い込まれており、水蒸気を含む空気は熱交換器104に触れて冷却される。空気の温度が下がるとともに、その空気が保持できる水蒸気の量が同時に減少し、露点温度に達すると、空気調和機10に吸い込んだ空気中の水蒸気が凝縮して結露水になる。この場合、温度の変化により生成した結露水は、熱交換器104の表面に付着し、重力によって熱交換器104の下方に設置したドレンパン106に流れ落ちる。一般的には、ドレンパン106に集まった結露水は、ドレンホースという配管を介して室外へ、或いは空気調和機10の室内機の下部に設置された排水口から室外に排出される。
【0022】
以上が、本実施形態に係る空気調和機10の主な構成の説明である。なお、空気調和機10の構成は上述のように限定されておらず、電源部、制御回路、電力ケーブル等機能を実現するための構成も含んでおり、公知技術と同様であるため省略する。
【0023】
<第1実施例>
図3は、本開示に係る熱交換器104と扇風機105との位置関係の一例を示す空気調和機10を右側面から見た模式図の一例である。図3に示すように、第1実施例においての扇風機105は、空気調和機10内部の吸気口101から排気口102までの空気流において、熱交換器104の左下にある位置に配されている。具体的には、空気調和機10の吸気口101から吸い込んだ空気は、まず、空気調和機10に搭載したフィルターを通してホコリやカビを除去する。浄化された空気は、排気経路に沿って先に扇風機105に誘導しており、扇風機105のノズル1053によって空気流を生成する。その後、生成した空気流は、熱交換器104に引き寄せられており、熱交換器104に温度を調節させる。この場合、熱交換器104に温度を調節された、暖かい空気流又は涼しい空気流は、所定の排気経路に沿って排気口102を通して空気調和機10の外部に排出する。
【0024】
<第2実施例>
これから、本実施形態に係る空気調和機10の各実施例を説明する。図4は、本開示に係る熱交換器104と扇風機105との位置関係の一例を示す空気調和機10を右側面から見た模式図の一例である。右側からの側面視で、図4に示すように、第2実施例においての扇風機105は、空気調和機10内部の吸気口101から排気口102までの空気流において、熱交換器104の右上にある位置に配されている。具体的には、空気調和機10の吸気口101から吸い込んだ空気は、まず、空気調和機10に搭載したフィルターを通してホコリやカビを除去する。浄化された空気は、排気経路に沿って先に熱交換器104に誘導されており、熱交換器104に空気の温度を調節させる。その後、温度が調節された空気は、扇風機105に引き寄せられており、扇風機105のノズル1053を通して空気流を生成して排気口102から排出する。
【0025】
第1実施例及び第2実施例において、扇風機105が生成した空気流は、吸気口101から吸い込んだ空気と空気調和機10内部の空気とをスリット111の排気により形成したコアンダ表面1052を通して生成した空気の流れである。次に、第1空気流は、扇風機105のノズル1053の表面に沿ってノズル1053の外に流れ出す際に、第1空気流と外部環境か引き込まれる空気とを結合して第2空気流を生成する。生成された第2空気流は排気口102を通して室外に排出してもよい。これにより、空気調和機10を作動する際にホコリやカビは溜まらずに空気流として外部に排出する。
【0026】
空気調和機10により生成した空気流の風向きは、空気調和機10の排気口102の前に取り付けられているルーバーによって調節する。具体的には、空気調和機10の排気口102の周りに複数の小型モーターが設けられており、本実施形態に係るルーバーは、小型モーターの制御により上下や左右の風向きを調整する。一例として、ルーバーが上下方向において調整される場合(つまり、上下可動ルーバーである)、扇風機105から吹き出す空気流は、ルーバーの固定翼に沿って上方又は下方に排出してもよい。逆に、ルーバーが左右方向において調整される場合(つまり、左右可動ルーバーである)、扇風機105から吹き出す空気流は、ルーバーの固定翼に沿って左方又は右方に排出してもよい。なお、本開示のルーバーは、左右や上下に動きながら空気流を自動的に調整する自動ルーバーや、風向きの調整ができない固定ルーバーを含んでもよく、空気調和機10に生成された空気流は、部屋全体に均等に行き渡るように調整されており、空気流を微調整して部屋の各部分に適切に風を送ればよい。
【0027】
<第3実施例>
これから、図5図6及び図7を利用して空気調和機10の第3実施例を説明する。図5は、第3実施例における空気調和機10の分解図の一例である。第3実施例に係る空気調和機10は、第2実施例における空気調和機10の構成と類似しており、筐体103、熱交換器104、扇風機105及びドレンパン106を備える。
【0028】
具体的には、第3実施例の扇風機105は上部構造体及び下部構造体を有し、各構造体は、空気調和機10の内部に吸い込んだ空気を排出するためのスリット111、風向を調整するためのルーバー108を更に備える。空気調和機10の内部に吸い込まれた空気は、熱交換器104に温度を調節された後に、スリット111を介して外部に排出する。第3実施例における空気調和機10が作動していない場合、扇風機105の上部構造体及び下部構造体は閉塞する閉状態とする。空気調和機10が作動している場合、扇風機105の上部構造体及び下部構造体は開けることで、温度が調節された空気がスリット111から空気調和機10の外部に排出されてもよい。この場合、スリット111から排出した空気の噴流は、上部構造体及び下部構造体の表面に引き寄せられており、コアンダ表面を形成することで、コアンダ効果を起こす。本実施形態のスリット111は、切れ目のような形であり、室内の空気を吸い込んで空気調和機10へ戻す又は室外に排出する機能がある。
【0029】
次に、図6を利用して扇風機105の内部構成を説明する。図6は、第3実施例に係る扇風機105の一例である。図6(a)は、本開示の扇風機105の下部構造体の拡大図の一例である。扇風機105の下部構造体において、左右方向の風向きを調整するためのルーバー108が内蔵されており、温度が調節された空気を外部に排出するためのスリット111がコアンダ上表面に設けられている。この中で、本開示のルーバー108は、空気調和機10の外部に排出しようとする空気を所定の方向により調整する。一例として、ルーバー108は左右ルーバーであり、ルーバー108の向きが左右に振れる場合、空気調和機10は、空気調和機10の内部に吸い込んでおり、温度が調節された空気を、ルーバー108の向きにより外部に排出してもよい。また、扇風機105の下部構造体は、ルーバー108を固定するための構成(以下、固定用部品である)を更に備える。ルーバー108は、固定用部品に所定の位置に固定されており、固定用部品の動作と共に、送風方向を調整する。図6(b)は、本開示の扇風機105の下部構造体を右側面から見た模式図の一例である。温度が調節された空気は、本開示の下部構造体に吸い込まれた後に、その送風方向はルーバー108の向きに調整され、スリット111を介して空気調和機10の外部に排出する。図5の扇風機105の上部構造体は、図6(a)に示された下部構造体をひっくり返した構成であるため(上部構造体のスリットは、上部構造体の裏側の表面に設けられる)、説明の便宜上、上部構造体の説明を省略する。
【0030】
図7は、第3実施例における空気調和機10を右側面から見た模式図である。図7に示すように、第3実施例における扇風機105は、空気調和機10の内部に吸気口101から排気口102までの空気流において、排気口102の周りにある位置に配されている。具体的には、空気調和機10の吸気口101から吸い込んだ空気は先に、熱交換器104に引き寄せられて温度を調節する。熱交換器104が空気の温度を調節する場合、ドレンパン106は、熱交換器104が生成した結露水を受け溜める。その後、温度が調節された空気は、所定の排気経路に沿って扇風機105によりスリット111を介して空気調和機10の外部に排出する
【0031】
また、第3実施例における空気調和機10には、吸い込んだ空気内に含まれるホコリやカビを取り除くためのフィルター107を更に備えてもよい。フィルター107は、吸気口101の外側にある位置に配されてもよいし、吸気口101の裏側にある位置に配されてもよい。フィルター107が吸気口101の外側に設置する場合、空気調和機10の外部の空気に含まれるホコリやカビは、空気調和機10の内部に吸入する前に除去されており、空気調和機10は、相対的に清潔な空気を空気調和機10の外部に排出してもよい。また、フィルター107が外部に取り付けられるため、使用者に対して清掃しやすい。
【0032】
<第4実施例>
これから、本開示の空気調和機10の第4実施例を説明する。図8は、本開示に係る空気調和機10が空気を吸い込む一例を示す図である。図8(a)は、吸気口101及び排気口102を閉塞する閉状態を示す図である。第4実施例における空気調和機10が作動していない場合、空気調和機10前壁の上部カバーが排気口102を覆ってもよい。図8(b)は、空気調和機10前壁の上部カバー、及びフィルター107を開ける開状態を示す図である。空気調和機10の前壁の上部が開状態である場合、空気調和機10は、温度が調節された空気を前壁の上部カバーに設けられた排気口102から排出する。空気調和機10のフィルター107が開状態である場合、使用者は、フィルター107を取り外して清掃することができる。また、第4実施例に係る空気調和機10が作動している場合、空気調和機10の前壁の上部カバーは開状態であり、下部のフィルター107は閉状態である。この場合、第4実施例における空気調和機10は、空気調和機10の下部に取り付けられた吸気口101から室内の空気を吸い込んでおり、温度が調節された空気を空気調和機10前壁の上部に設けられた排気口102から排出する。この場合、温度が調節された空気は、空気調和機10の下部から吸入されるため、空気中のホコリやカビが空気調和機10の下部に設置したフィルター107に溜まって落ちる。
【0033】
図9は、第4実施例における空気調和機10の斜視図である。本開示の空気調和機10は、吸気口101、排気口102、熱交換器104、扇風機105、ドレンパン106、送風ファン109、及びスリット111を備える。本開示の熱交換器104は、扇風機105により吹き出した空気の温度を調節する構成であり、温度を調節している際に生じた結露水は、ドレンパン106に受け溜められる。また、本実施形態において、温度が調節された空気を外部に排出するための上部ダクト20及び下部ダクト30は熱交換器104を跨いでおり、送風ファン109は、送風ファン109の下部から室内の空気を吸い込み、上部ダクト20及び下部ダクト30に搭載された、コアンダ表面を有するスリット111を介して空気調和機10の外部に排出する。本実施形態に係る上部ダクト20及び下部ダクト30は、気体を運ぶ管であり、温度が熱交換器104に調節された気体は、上部ダクト20を介して上方から排気口102に排出し、下部ダクト30を介して下方から排気口102に排出してもよい。以下、本開示の空気調和機10及び扇風機105について説明する。
【0034】
図10は、第4実施例における空気調和機10を右側面から見た模式図の一例である。図10に示すように、扇風機105の真下において排気口102及びフィルター107が配されている。空気調和機10は作動状態で空気調和機10の外部から空気を吸い込んでおり、フィルター107を通してホコリやカビを除去する。その後に、ホコリやカビを除去した空気は、吸気口101を介して空気調和機10の内部にある扇風機105に吸入されており、送風ファン109によって熱交換器104に吹き出す。本実施形態の上部ダクト20及び下部ダクト30は、コアンダ表面を有するスリット111を搭載しており、熱交換器104を跨いで排気口102を介して空気調和機10の外部に空気を排出してもよい。また、上部ダクト20及び下部ダクト30の長さ、スリット111の排気口のサイズが限定されておらず、スリット111を搭載する上部ダクト及び下部ダクトは扇風機105の上部から熱交換器104を跨いで排気口102の辺りまで延伸しており、コアンダ表面を有するスリット111から排出した空気は直接的に排気口102を介して空気調和機10の外部に排出する。スリット111が、熱交換器104の後段に配されているので、ホコリやカビが発生しにくくなる。
【0035】
次に、図11及び図12を利用して第4実施例に係る扇風機105の斜面図及び送風経路を説明する。図11は、第4実施例における扇風機105の構成例の斜視図である。本開示の扇風機105は、送風ファン109及びモーター110を備え、モーター110により送風ファンを制動することで、扇風機105の真下に配されている吸気口から吸い込んだ空気を送風ファン109により扇風機105上部の排気口から熱交換器104に排出する。また、送風ファン109の作動により排出された風が、本実施形態に係る扇風機105内部の左右側面から通っており、所定の送風経路に従って扇風機105に搭載されたスリット111から排気口102までに排出する。図12は、第4実施例において扇風機105の上面図であり、扇風機105の送風経路の一例を示す図である。具体的には、扇風機105は、送風ファン109を駆動するためのモーター110を搭載しており、モーター110の左側及び右側に、送風ファン109を内蔵する筐体が配されている。この場合、モーター110の作動により、空気調和機10の外部の空気は、左側の送風ファン109を内蔵する左側筐体115Aの下部に設置した吸気口101から左側筐体115Aの内部に吸い込まれており、右側の送風ファン109を内蔵する右側筐体115Bの下部に設置した吸気口101から右側筐体115Bの内部に吸い込まれる。左側筐体115Aの下部から吸入した空気は、送風ファン109の作動により左側送風経路113に従って上部送風経路114A及び下部送風経路114Bに排出されており、右側の送風ファン109を内蔵する右側筐体115Bの仕組みは左側筐体115Aと同様であり、右側筐体115Bの下部から吸入した空気は、送風ファン109の作動により右側送風経路112に従って上部送風経路114A及び下部送風経路114Bに排出されてもよい。次に、上部送風経路114A及び下部送風経路114Bに集まった気体はコアンダ表面を有するスリット111を介して空気調和機10の外部に排出されてもよい。この場合、扇風機105の内部に吸入された空気は、熱交換器104により温度が調節された空気であってもよい。なお、コアンダ表面を有する扇風機105の吸気口は、空気調和機10の吸気口101とは同一の構成であり、空気調和機10の外部から空気を左側筐体115A及び右側筐体115Bの内部に吸い込まれてもよいし、空気調和機10の吸気口101とは別の構成であり、空気調和機10の下部や横部でも別部に設置されてもよい。この場合、空気調和機10外部の空気は、空気調和機10の内に吸い込まれた後、扇風機105の吸気口は、その空気を左側筐体115A及び右側筐体115Bの内部に吸い込まれてもよい。
【0036】
また、本開示のフィルター107は、高品質フィルター1071及び通常フィルター1072に分けられてもよい。具体的には、高品質フィルター1071は、微細なホコリやカビを効果的に除去するための特殊なフィルターであり、通常フィルター1072と比べて高い精度で異物を排除する能力を持つものの、価格が相対的に高い。通常フィルター1072は、外気に含まれるチリやホコリ、花粉などの異物をキャッチするためのパーツであるものの、高品質フィルター1071と比べて異物を除去する精度及び値段が相対的に低い。本開示の空気調和機10に搭載されたフィルター107は、室内空気の状況及びコストパフォーマンスにより自由に変更されてもよい。
【0037】
第4実施例において、熱交換器104の後に扇風機105を配置する場合、熱交換器104の先端部に風圧が掛かりにくいため、空気調和機10の下部から空気調和機10の内部に吸い込まれた空気に含まれるホコリやカビは、熱交換器104に溜まりにくくなり、汚れの堆積も少なくなる。また、空気調和機10は、冷房で作動する際に生成した結露水を利用して熱交換器104に堆積したホコリやカビを洗い流せてもよい。
【0038】
また、各実施形態において開示されたドレンパン106は、直線的なシンプルな形状であり、空気調和機10が作動している際に生じた結露水を受け止めてホコリやカビを洗い流せて空気調和機10の外部に排出する機能を備えてもよい。
【0039】
上記の各実施例に係る空気調和機10は、室外機(図示せず)と接続している。本開示の室外機は一般的な室外機と同様な機能を備え、主に冷媒の圧縮、冷媒の冷却、冷媒の膨張及び冷媒の再循環等機能を実現し、冷媒を使って熱を室内から室外へ排出する。具体的には、空気調和機10が熱交換器104により空気中の熱を吸収し、冷媒に移し、その冷媒が室外機に送られており、室外機に搭載したコンデンサー(いわゆる凝縮器)を介して冷媒に含まれる熱を室外に放出する。この場合、冷媒が熱を外部に放出するため、高温・高圧の状態で気体から液体に変化させてもよい。
【0040】
なお、各図面に示される同一又は同等の構成要素、処理、信号には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない構成要素の一部は省略して表示する。
【0041】
<補足>
上記の各実施形態に係る空気調和機10について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。以下に、各種の変形例について説明する。
【0042】
(1)上記の実施例において、本開示の空気調和機10は、自動掃除機能を搭載してもよい。一例として、空気調和機10の内部は、空気調和機10運転後に内部の湿気を飛ばすために送風が行われる乾燥機が更に備え付けられてもよい。乾燥機が空気調和機10内部に溜まっていた水分を気化させて排気口102を介して水蒸気として外部に排出し、カビや細菌の繁殖を防いでもよい。
【0043】
(2)上記の実施例において、本開示の空気調和機10は、音声制御機能を搭載してもよい。本実施形態に係る空気調和機10は、音声識別用端末を更に有する。使用者が音声で指令やコマンドを発声し、空気調和機10は、その使用者の音声指令又は音声コマンドを解析して対応するアクションが実行されてもよい。音声情報を取得する方法は限定されておらず、使用者は移動端末(例えば、スマートホームデバイス、携帯電話、音声アシスタント等)において自分の音声情報を端末に入力して空気調和機10及び移動端末のデータベースに格納されてもよい。その後、空気調和機10は、使用者の音声情報を識別した後に、使用者の指令を示す信号を空気調和機10に送信し、空気調和機10に機能を実行させてもよい。
【0044】
(3)上記の実施例において、本開示の空気調和機10は、天井に嵌め込むパターンであってもよい。病院や飲食店等の混み合っている場所において、吸換気の機能を有する装置が必要である。この場合、本開示の扇風機105は、空気を吸い込むための通路や管を示す吸気ダクトを更に設けており、空気調和機10は、外部から空気調和機10の内部に風を吸い込むことで、吸気ダクトにおける空気の冷温を調節して空気の入れ換えを実現してもよい。また、本変形例では、空気調和機10の中心部にファンが搭載されておらず、熱交換器104が一定の角度で斜めに傾斜することで、作動している生じた結露水を空気調和機10の外部に排出してもよい。なお、室内の空気は、空気調和機10本体の中心部に配置された吸気口101から内部に吸い込まれ、熱交換器104により温度が調節される。その後、温度が調節された空気は、吸気口101の周りに設置した四方向の排気口102から室内に冷風や暖風を送り出してもよい。
【0045】
(4)上記の実施例において、本開示の空気調和機10は、更に、空気調和機10外部の空気質モニタリング機能、除菌機能、消臭機能、除湿機能、省エネモード制御機能、静音運転機能、コンパクトデザイン機能、風向きの自動調整機能、温湿度バランス制御機能、遠隔制御機能、デュアルコンプレッサー技術等を搭載してもよい。
【0046】
(5)その他、本開示の各構成の機能或いは制御手順においては、その処理方法及び手順は一部を省略し、或いは新たな一部を追加や手順間の置換、順序の入れ替えること、このような省略、追加、順位の変更がなされた処理手順も本展示の趣旨を逸脱しない限り本開示の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10 空気調和機
101 吸気口
102 排気口
103 筐体
1031 上の壁
1032 前の壁
1033 側壁
104 熱交換器
105 扇風機
1051 組立体
1052 コアンダ表面
1053 ノズル
106 ドレンパン
107 フィルター
108 ルーバー
109 送風ファン
110 モーター
111 スリット
112 右側送風経路
113 左側送風経路
114A 上部送風経路
114B 下部送風経路
115A 左側筐体
115B 右側筐体
20 上部ダクト
30 下部ダクト
【要約】
【課題】
空気調和機の送風装置に溜まるホコリやカビを大幅に削減し、清掃しやすい空気調和機を提供する。
【解決手段】
空気を空気調和機の内部に吸い込むための少なくとも1つの吸気口と、前記吸気口から吸い込まれた前記空気と熱交換を行って温度を調整する熱交換器と、前記空気を誘導してコアンダ表面に引き込まれる開口部を介して空気流を生成して送風する羽根が取り付けられていない扇風機と、温度が調節された空気を前記空気調和機の外部に吐き出すための少なくとも1つの排気口と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12