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7636845水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法
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  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図1
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図2
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図3
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図4
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図5
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図6
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図7
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図8
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図9
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図10
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図11
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図12
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図13
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図14
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図15
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図16
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図17
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図18
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図19
  • -水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法 図20
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】水門の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/20 20060101AFI20250219BHJP
   E02B 7/36 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
E02B7/20 109
E02B7/36
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024502594
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022007177
(87)【国際公開番号】W WO2023161983
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-07-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520169100
【氏名又は名称】株式会社オートマイズ・ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】藤山 幸二郎
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-016219(JP,U)
【文献】特開2020-117948(JP,A)
【文献】登録実用新案第3176786(JP,U)
【文献】特開昭59-068414(JP,A)
【文献】特開2016-113778(JP,A)
【文献】特開2011-089286(JP,A)
【文献】特開2016-160650(JP,A)
【文献】登録実用新案第3025296(JP,U)
【文献】実開昭60-172839(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0799351(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/20-7/54
E02B 8/02-8/04
E02B 3/04-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水門の駆体に設けてある軸受基体、該軸受基体により軸線方向かつ鉛直方向に昇降可能に支持され、下端部に扉板が取り付けてある昇降軸、前記軸受基体の所定位置に正逆回転可能に支持され、この回転により前記昇降軸を昇降させる回転駆動体、該回転駆動体を直接又は間接的に正逆回転操作可能なハンドルを有する水門開閉装置に取り付ける補助駆動装置であって、
所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態で前記ハンドルに回転中心を同じくして取り付けてあるスプロケット取付盤と、
所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態で前記スプロケット取付盤に回転中心を同じくして取り付けてある従動スプロケットと、
前記軸受基体に取り付けてある取付台部材と、
該取付台部材に取り付けてあり、駆動モーターで駆動される回転軸に駆動スプロケットが取り付けてある駆動ユニットと、
前記駆動スプロケットと前記従動スプロケットに回し掛けてある伝動チェーンと、
前記ハンドルに対して、前記スプロケット取付盤及び前記従動スプロケットが取り付けられた側とは反対側に配置され、同スプロケット取付盤及び同従動スプロケットとの間で同ハンドルを挟み込むと共に、前記昇降軸または前記ハンドルの回転軸を挿通させる通し孔が形成され、該通し孔に同昇降軸または同ハンドルの回転軸を挿通させた状態で、前記ハンドルに取り付けられた位置決め取付治具とを備える
水門開閉装置の補助駆動装置。
【請求項2】
前記位置決め取付治具及び前記スプロケット取付盤との嵌合部分と、前記スプロケット取付盤及び前記従動スプロケットの嵌合部分は、前記昇降軸の軸心または前記ハンドルの回転軸の軸心を中心とする、円形または円弧状の形状を有し、前記ハンドルの厚み方向に沿って、一方が凸状でかつ他方が凹状に形成された
請求項1記載の水門開閉装置の補助駆動装置。
【請求項3】
前記駆動スプロケットの歯数が、前記従動スプロケットの歯数より少なく形成された
請求項1又は2記載の水門開閉装置の補助駆動装置。
【請求項4】
前記水門開閉装置は、前記昇降軸が、軸周方向の回転が止められて昇降可能に支持され、スクリュー軸であり、前記回転駆動体は、中心部に雌ねじ部を有し、前記軸受基体の所定位置で前記雌ねじ部に前記スクリュー軸を螺合して水平方向に正逆回転可能に支持され、この回転により前記スクリュー軸を昇降させる
請求項1、2又は3記載の水門開閉装置の補助駆動装置。
【請求項5】
前記水門開閉装置は、前記昇降軸が、軸周方向の回転が止められて昇降可能に支持され、軸線方向に設けられた噛み合い歯を有するラック軸であり、前記回転駆動体は、前記噛み合い歯に駆動歯を噛み合わせて正逆回転可能に支持され、この回転により前記ラック軸を昇降させる
請求項1、2又は3記載の水門開閉装置の補助駆動装置。
【請求項6】
前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットにおける前記所定の分割は、直径線が前記接合線となる二分割である
請求項1、2、3、4又は5記載の水門開閉装置の補助駆動装置。
【請求項7】
前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの前記接合線同士を、周方向へ所定の角度でずらして取り付けてある
請求項1、2、3、4、5又は6記載の水門開閉装置の補助駆動装置。
【請求項8】
前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの前記接合線同士を周方向へずらす角度が90°である
請求項7記載の水門開閉装置の補助駆動装置。
【請求項9】
水門の駆体に設けてある軸受基体と、
該軸受基体により軸線方向かつ鉛直方向に昇降可能に支持され、下端部に扉板が取り付けてある昇降軸と、
前記軸受基体の所定位置に正逆回転可能に支持され、この回転により前記昇降軸を昇降させる回転駆動体と、
該回転駆動体を直接又は間接的に正逆回転操作可能なハンドルと、
補助駆動装置とを備えており、
該補助駆動装置は、
所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態で前記ハンドルに回転中心を同じくして取り付けてあるスプロケット取付盤と、
所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態で前記スプロケット取付盤に回転中心を同じくして取り付けてある従動スプロケットと、
前記軸受基体に取り付けてある取付台部材と、
該取付台部材に取り付けてあり、駆動モーターで駆動される回転軸に駆動スプロケットが取り付けてある駆動ユニットと、
前記駆動スプロケットと前記従動スプロケットに回し掛けてある伝動チェーンと、
前記ハンドルに対して、前記スプロケット取付盤及び前記従動スプロケットが取り付けられた側とは反対側に配置され、同スプロケット取付盤及び同従動スプロケットとの間で同ハンドルを挟み込むと共に、前記昇降軸または前記ハンドルの回転軸を挿通させる通し孔が形成され、該通し孔に同昇降軸または同ハンドルの回転軸を挿通させた状態で、前記ハンドルに取り付けられた位置決め取付治具とを有する
水門開閉装置。
【請求項10】
水門の駆体に設けてある軸受基体、該軸受基体により軸線方向かつ鉛直方向に昇降可能に支持され、下端部に扉板が取り付けてある昇降軸を有する既設の水門において、
前記軸受基体の所定位置に正逆回転可能に支持され、この回転により前記昇降軸を昇降させる回転駆動体を直接又は間接的に正逆回転操作可能なハンドルの一方の面側に、前記昇降軸または前記ハンドルの回転軸を挿通可能な位置決め取付治具を、回転中心を同じくして取り付ける位置決め取付治具組み付け工程と、
前記ハンドルの他方の面側から、同ハンドル及び前記位置決め取付治具に、所定の分割形状を有するスプロケット取付盤を、元の形状に接合線で接合し、回転中心を同じくして取り付けるスプロケット取付盤組み付け工程と、
前記スプロケット取付盤に対し、所定の分割形状を有する従動スプロケットを、元の形状に接合線で接合し、回転中心を同じくして取り付けるスプロケット組み付け工程と、
取付台部材を前記軸受基体に取り付ける取付台部材組み付け工程と、
前記取付台部材に、駆動モーターで回転する回転軸に駆動スプロケットが取り付けてある駆動ユニットを取り付け、前記駆動スプロケットと前記従動スプロケットに伝動チェーンを回し掛ける伝動チェーン組み付け工程とを備える
水門開閉装置の補助駆動装置の組み付け方法。
【請求項11】
前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの分割が、直径線が前記接合線となる二分割である
請求項10記載の補助駆動装置の組み付け方法。
【請求項12】
前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの前記接合線同士を、周方向へ所定の角度でずらして取り付けてある
請求項10又は11記載の補助駆動装置の組み付け方法。
【請求項13】
水門開閉装置の補助駆動装置の組み付け方法は、前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの前記接合線同士を周方向へずらす角度が90°である
請求項12記載の補助駆動装置の組み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水門開閉装置の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法に関するものである。詳しくは、既設の水門に対して後付けが可能で、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、動力の伝達損失を低減して、駆動モーターの動力を活かした安定的な作動が可能であり、扉板の開閉を自動化することができると共に、後付け時に駆動系に手を加える必要がないようにして、扉板の高さ位置を維持して扉板の開度に影響することなく作業を行うことができる水門開閉装置の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば田畑の用水路には、用水の流量を調整するため、比較的小規模な水門(ゲート)が設けられている。水門は、可動式の扉板を備えており、扉板を昇降させることによって開口部の大きさを変えて流量、或いは水位を調整することができる。なお、既に用水路に設けられている水門の多くは、人力で扉板を昇降させる手動式の比較的安価な駆動装置を備えたものである。
【0003】
上記のような水門は、小規模とはいえ、その扉板は水圧に充分に耐えられるように造られており、重量も相当に重くなっている。このため、手動式の駆動装置であれば、できるだけ軽い力で操作できるように、機構部の減速比を大きくしてあるが、操作は軽くなっていても、時間がかかりすぎるため、開閉作業には大変な労力が必要である。
【0004】
また、水門は、大雨や洪水の時など、緊急な扉板の開放が必要な場合もあるが、上記理由から扉板の開放が遅れてしまう懸念もあった。その対策として、従来より、モーター等を利用して水門の扉板の開閉を自動化できるようにしたものはあるが、特に既設の水門に後付けが可能で、簡易的なものとして、例えば特許文献1に示す「水門開閉器の補助駆動装置」がある。
【0005】
この特許文献1に記載された、水門開閉器の補助駆動装置は、扉板の昇降機構を備え、昇降機構は、扉板を昇降するスクリュー軸、スクリュー軸に噛合する雌ねじを内側に有するウォームホイール、ウォームホイールを駆動するウォーム、及びウォームを駆動し、手動ハンドルが取付け可能な水平軸を備えている。
【0006】
そして、ギヤボックス内に設けられた第1の駆動軸には、手動ハンドルが取り付け可能なハンドル取付け手段が設けられ、第2の駆動軸には、市販の電動工具のチャックに取付けられた断面多角形の回転伝達具を嵌入する角孔が設けられている。
【0007】
また、ギヤボックスの所定位置には電動工具に取付け金具を介して取付けられた水平ロッドが嵌入する貫通孔が設けられ、電動工具で第2の駆動軸を回転させた場合の反回転力を防止し、かつ水平ロッドと貫通孔を有して、第2の駆動軸に回転伝達具が正規の連結状態を保つ保持手段を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-160650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の水門開閉器の補助駆動装置には、次のような課題があった。
すなわち、電動工具の電動モーターの駆動力をスクリュー軸に伝達して昇降させる機構部は、まず(a)水平軸の回転力をウォームによりウォームホイールに伝え、更に(b)ウォームホイールの回転力を雌ねじと雄ねじを噛み合わせてスクリュー軸に伝える構造である。
【0010】
また、スクリュー軸の下端部には重量物である扉板が取り付けられ、ギヤボックス内では複数段階の減速が行われてはいるが、上記(a)では、ウォームとウォームホイールの噛み合い部分では両方のギヤ面同士が強く擦れ合う。更に、(b)では、ウォームホイールの雌ねじとスクリュー軸の雄ねじの噛み合い部分も、同じくねじ面同士が強く擦れ合うので、潤滑が行われているとはいえ、何れにおいても大きな摩擦力が生じる。
【0011】
このため、例えば特許文献1の明細書で説明されている、市販のインパクトドライバーのような電動工具の電動モーター程度の動力では、下端部に重い扉板を取り付けたスクリュー軸を安定的に昇降させることは困難であり、仮に可能だとしても、扉板が小さくて軽量な、ごく小型の水門での採用に限られていた。
【0012】
なお、上記特許文献1を含めて、水門開閉装置の補助駆動装置には、補助駆動装置を既設の水門開閉装置に後付けする場合に改善を要求されるところがある。すなわち、補助駆動装置の組み付け作業に当たっては、通常、水路の流量を変えないように水門の扉板の開度を維持しながら作業をする必要がある。
【0013】
しかし、従来のものは、例えばハンドルを回したり着脱したりするなどの、既設の駆動系(駆動機構部)に対して手を加えなければならないことがあり、扉板の高さ位置が変わって開度を変えてしまう不都合があった。
【0014】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、既設の水門に対して後付けが可能で、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、動力の伝達損失を低減して、駆動モーターの動力を活かした安定的な作動が可能であり、扉板の開閉を自動化することができると共に、後付け時に駆動系に手を加える必要がないようにして、扉板の高さ位置を維持して扉板の開度に影響することなく作業を行うことができる水門開閉装置の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
〔1〕上記の目的を達成するために本発明は、水門の駆体に設けてある軸受基体、該軸受基体により軸線方向かつ鉛直方向に昇降可能に支持され、下端部に扉板が取り付けてある昇降軸、前記軸受基体の所定位置に正逆回転可能に支持され、この回転により前記昇降軸を昇降させる回転駆動体、該回転駆動体を直接又は間接的に正逆回転操作可能なハンドルを有する水門開閉装置に取り付ける補助駆動装置であって、所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態で前記ハンドルに回転中心を同じくして取り付けてあるスプロケット取付盤と、所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態で前記スプロケット取付盤に回転中心を同じくして取り付けてある従動スプロケットと、前記軸受基体に取り付けてある取付台部材と、該取付台部材に取り付けてあり、駆動モーターで駆動される回転軸に駆動スプロケットが取り付けてある駆動ユニットと、前記駆動スプロケットと前記従動スプロケットに回し掛けてある伝動チェーンとを備える水門開閉装置の補助駆動装置である。
【0016】
本発明の水門開閉装置の補助駆動装置において、所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態でハンドルに回転中心を同じくして取り付けてあるスプロケット取付盤は、ハンドルと一体となって軸周方向へ回転することができる。
【0017】
所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態でスプロケット取付盤に回転中心を同じくして取り付けてある従動スプロケットは、スプロケット取付盤と共に、ハンドルと一体となって軸周方向へ回転することができる。
【0018】
軸受基体に取り付けてある取付台部材は、駆動ユニットの取り付け用の台とすることで、駆動ユニットが有する駆動モーターを所定の位置に位置させる(配置する)ことができる。
【0019】
取付台部材に取り付けてあり、駆動モーターで駆動される回転軸に駆動スプロケットが取り付けてある駆動ユニットは、従動スプロケットを駆動することができる所定の位置に位置させることで、伝動チェーンを介した動力の伝達が可能になる。なお、回転軸は、駆動モーターの回転軸であってもよいし、駆動モーターの回転軸で駆動される従動回転軸であってもよい。
【0020】
駆動スプロケットと従動スプロケットに回し掛けてある伝動チェーンは、駆動スプロケットが取り付けてある回転軸の動力を従動スプロケットに伝えると共に、従動スプロケットと一体となっているハンドルに伝えて、これを回転させることができる。
【0021】
これにより、本発明の水門開閉装置の補助駆動装置は、ハンドルの回転力で回転駆動体を正逆方向へ回転させ、昇降軸と共に扉板を昇降させることができる。
【0022】
また、駆動ユニットにより、駆動スプロケットと従動スプロケット間で伝動チェーンを介し動力が伝達されるので、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、例えばギヤによる動力伝達と比較して動力の伝達損失を低減できる。これにより、駆動モーターの動力を活かした安定的な作動を可能として、扉板の開閉を自動化することができる。
【0023】
このように、補助駆動装置を既設の水門開閉装置に後付けするに当たり、スプロケット取付盤と従動スプロケットは、分割形状のものを元の形状に接合し、このときハンドルを動かしたり着脱したりせずに、或いは既存装置に対する新たな加工等はせずに取り付け作業ができるので、短時間での作業が可能である。
【0024】
また、これによれば、扉板の高さ位置を維持して扉板の開度に影響することなく取り付け作業を行うことができるので、取り付けの作業が、例えば水路の水量を調整しておらず扉板の開度の影響が出ないような時期又は時間に制限されることがないので、時期又は時間に関係なく、既設の水門開閉装置に対して後付けで導入することが可能である。
【0025】
なお、本発明にいう「分割形状」とは、そのままで使用可能なスプロケット取付盤及び従動スプロケットを実際に複数に分割してつくったものの他、分割形状と同等のものとして製造したものを含む。また、分割される数については、特に限定せず、二の他、三、四等、適宜数で分割可能である。
【0026】
〔2〕本発明の水門開閉装置の補助駆動装置は、 前記水門開閉装置は、前記昇降軸が、軸周方向の回転が止められて昇降可能に支持され、スクリュー軸であり、前記回転駆動体は、中心部に雌ねじ部を有し、前記軸受基体の所定位置で前記雌ねじ部に前記スクリュー軸を螺合して水平方向に正逆回転可能に支持され、この回転により前記スクリュー軸を昇降させる構成とすることができる。
【0027】
補助駆動装置は、ハンドルにより、スクリュー軸に螺合している回転駆動体を正逆方向へ回転させて、スクリュー軸を昇降させ、扉板も共に昇降させることができる。なお、スプロケット取付盤、従動スプロケット、取付台部材、駆動スプロケット、駆動ユニット及び伝動チェーンの作用、効果は、上記〔1〕で説明した作用、効果と同様である。
【0028】
〔3〕本発明の水門開閉装置の補助駆動装置は、前記水門開閉装置は、前記昇降軸が、軸周方向の回転が止められて昇降可能に支持され、軸線方向に設けられた噛み合い歯を有するラック軸であり、前記回転駆動体は、前記噛み合い歯に駆動歯を噛み合わせて正逆回転可能に支持され、この回転により前記ラック軸を昇降させる構成とすることができる。
【0029】
補助駆動装置は、ハンドルにより、駆動歯を有する回転駆動体を正逆方向へ回転させて、駆動歯と噛み合う噛み合い歯を有するラック軸を昇降させ、扉板も共に昇降させることができる。なお、スプロケット取付盤、従動スプロケット、取付台部材、駆動スプロケット、駆動ユニット及び伝動チェーンの作用、効果は、上記〔1〕で説明した作用、効果と同様である。
【0030】
〔4〕本発明に係る水門開閉装置の補助駆動装置は、前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットにおける前記所定の分割が、直径線が前記接合線となる二分割である構成とすることができる。
【0031】
この場合は、スプロケット取付盤と従動スプロケットの分割が、直径線が接合線となる二分割であることにより、接合線を直線にすれば最小限の長さにすることができ、分割加工する際の作業がしやすい。また、接合もしやすく、その際の接合誤差も生じにくい。
【0032】
〔5〕本発明に係る水門開閉装置の補助駆動装置は、前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの前記接合線同士を、周方向へ所定の角度でずらして取り付けてある構成とすることができる。
【0033】
この場合は、スプロケット取付盤と従動スプロケットの接合線同士を、周方向へ所定の角度でずらして取り付けてあることで、スプロケット取付盤と従動スプロケットの回転中心の位置のずれを抑制(又は補正)して中心精度を高めることができる。
【0034】
これにより、従動スプロケットの回転精度が向上し、伝動チェーンとの噛み合いも円滑に行われる。また、スプロケット取付盤と従動スプロケットのそれぞれの接合線がずれることで、強度が増して、大きな力が一度に作用することによる同時分解(同時分離)等も起こりにくい。
【0035】
〔6〕本発明に係る水門開閉装置の補助駆動装置は、前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの前記接合線同士を周方向へずらす角度が90°である構成とすることができる。
【0036】
この場合は、スプロケット取付盤と従動スプロケットの接合線同士を周方向へずらす角度が90°であるので、接合線の一方は、周方向において他方の接合線のちょうど真ん中に位置し、力が作用したときの耐性のバランスに、より優れる。
【0037】
これにより、上記〔5〕の作用、すなわち、スプロケット取付盤と従動スプロケットの回転中心の位置のずれを抑制して中心精度を高めることができ、及び強度が増して動じ分解が起こりにくい作用が最大限に発揮される。
【0038】
〔7〕上記の目的を達成するために本発明は、水門の駆体に設けてある軸受基体と、該軸受基体により軸線方向かつ鉛直方向に昇降可能に支持され、下端部に扉板が取り付けてある昇降軸と、前記軸受基体の所定位置に正逆回転可能に支持され、この回転により前記昇降軸を昇降させる回転駆動体と、該回転駆動体を直接又は間接的に正逆回転操作可能なハンドルと、 補助駆動装置とを備えており、該補助駆動装置は、所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態で前記ハンドルに回転中心を同じくして取り付けてあるスプロケット取付盤と、所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態で前記スプロケット取付盤に回転中心を同じくして取り付けてある従動スプロケットと、所定の分割形状を有し、元の形状に接合された状態で前記軸受基体に取り付けてある取付台部材と、該取付台部材に取り付けてあり、駆動モーターで駆動される回転軸に駆動スプロケットが取り付けてある駆動ユニットと、前記駆動スプロケットと前記従動スプロケットに回し掛けてある伝動チェーンとを備える水門開閉装置である。
【0039】
本発明の水門開閉装置のハンドルを直接又は間接的に正逆回転操作することにより、軸受基体の所定位置に正逆回転可能に支持されている回転駆動体を回転させることができる。水門の駆体に設けてある軸受基体に支持されている昇降軸は、回転駆動体の回転により、軸受基体の軸線方向かつ鉛直方向に昇降すると共に。昇降軸の下端部に取り付けてある扉板も昇降する。
【0040】
また、所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態でハンドルに回転中心を同じくして取り付けてあるスプロケット取付盤は、ハンドルと一体となって軸周方向へ回転することができる。
【0041】
所定の分割形状を有し、元の形状に接合線で接合された状態でスプロケット取付盤に回転中心を同じくして取り付けてある従動スプロケットは、スプロケット取付盤と共に、ハンドルと一体となって軸周方向へ回転することができる。
【0042】
軸受基体に取り付けてある取付台部材は、駆動ユニットの取り付け用の台とすることで、駆動ユニットが有する駆動モーターを所定の位置に位置させることができる。
【0043】
取付台部材に取り付けてあり、駆動モーターで駆動される回転軸に駆動スプロケットが取り付けてある駆動ユニットは、従動スプロケットを駆動することができる所定の位置に位置させることで、伝動チェーンを介した動力の伝達が可能になる。
【0044】
駆動スプロケットと従動スプロケットに回し掛けてある伝動チェーンは、駆動スプロケットが取り付けてある回転軸の動力を従動スプロケットに伝えると共に、従動スプロケットと一体となっているハンドルに伝えて、これを回転させることができる。
【0045】
これにより、本発明の水門開閉装置は、ハンドルの回転力で回転駆動体を正逆方向へ回転させ、昇降軸と共に扉板を昇降させることができる。
【0046】
また、駆動ユニットにより、駆動スプロケットと従動スプロケット間で伝動チェーンを介し動力が伝達されるので、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、例えばギヤによる動力伝達と比較して動力の伝達損失を低減できる。これにより、駆動モーターの動力を活かした安定的な作動を可能として、扉板の開閉を自動化することができる。
【0047】
このように、既設の水門開閉装置に後付けするに当たり、スプロケット取付盤と従動スプロケットは、分割形状のものを元の形状に接合し、このときハンドルを動かしたり着脱したりせずに、或いは既存装置に対する新たな加工等はせずに取り付け作業ができるので、短時間での作業が可能である。
【0048】
また、これによれば、扉板の高さ位置を維持して扉板の開度に影響することなく取り付け作業を行うことができるので、取り付けの作業が、例えば水路の水量を調整しておらず扉板の開度の影響が出ないような時期又は時間に制限されることがないので、時期又は時間に関係なく、既設の水門開閉装置に対して後付けで導入することが可能である。
【0049】
〔8〕上記の目的を達成するために本発明は、水門の駆体に設けてある軸受基体、該軸受基体により軸線方向かつ鉛直方向に昇降可能に支持され、下端部に扉板が取り付けてある昇降軸を有する既設の水門において、前記軸受基体の所定位置に正逆回転可能に支持され、この回転により前記昇降軸を昇降させる回転駆動体を直接又は間接的に正逆回転操作可能なハンドルに、所定の分割形状を有するスプロケット取付盤を、元の形状に接合し、回転中心を同じくして取り付けるスプロケット取付盤組み付け工程と、前記スプロケット取付盤に対し、所定の分割形状を有する従動スプロケットを、元の形状に接合し、回転中心を同じくして取り付けるスプロケット組み付け工程と、取付台部材を前記軸受基体に取り付ける取付台部材組み付け工程と、前記取付台部材に、駆動モーターで回転する回転軸に駆動スプロケットが取り付けてある駆動ユニットを取り付け、前記駆動スプロケットと前記従動スプロケットに伝動チェーンを回し掛ける伝動チェーン組み付け工程とを備える水門開閉装置の補助駆動装置の組み付け方法である。
【0050】
本発明の水門開閉装置の補助駆動装置の組み付け方法によれば、まず、スプロケット取付盤組み付け工程により、昇降軸を昇降させる回転駆動体を直接又は間接的に正逆回転操作可能なハンドルに、所定の分割形状を有するスプロケット取付盤を、元の形状に接合し、回転中心を同じくして取り付けることができる。
【0051】
これにより、スプロケット取付盤は、ハンドルと一体となって回転できるようになる。また、所定の分割形状を有するスプロケット取付盤と従動スプロケットを、元の形状に接合し取り付けるので、ハンドルを回したり着脱したりすることなく、つまり扉板の開度に影響を与えることなく取り付けることができる。
【0052】
次に、スプロケット組み付け工程により、スプロケット取付盤に対し、所定の分割形状を有する従動スプロケットを、元の形状に接合し、回転中心を同じくして取り付けることができる。これにより、従動スプロケットが、スプロケット取付盤と共に、ハンドルと一体となって軸周方向へ回転できるようになる。
【0053】
また、取付台部材組み付け工程により、所定の分割形状を有する取付台部材を、元の形状に接合して軸受基体に取り付けることができる。これにより、取付台部材を駆動ユニットの取り付け用の台とすることで、駆動ユニットが有する駆動モーターを所定の位置に位置させることができる。
【0054】
そして、伝動チェーン組み付け工程によれば、取付台部材に、駆動モーターで回転する回転軸に駆動スプロケットが取り付けてある駆動ユニットを取り付け、駆動スプロケットと従動スプロケットに伝動チェーンを回し掛けることができる。
【0055】
これにより、駆動スプロケットと従動スプロケット間で伝動チェーンを介し動力が伝達されるので、駆動ユニットの駆動モーターの動力を、従動スプロケットに伝えて、従動スプロケットと一体となっているハンドルに伝え、これを回転させることができる。これにより、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、例えばギヤ同士による動力伝達と比較して動力の伝達損失を低減できる。
【0056】
また、駆動ユニットにより、駆動スプロケットと従動スプロケット間で伝動チェーンを介し動力が伝達されるので、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、例えばギヤによる動力伝達と比較して動力の伝達損失を低減できる。これにより、駆動モーターの動力を活かした安定的な作動を可能として、扉板の開閉を自動化することができる。
【0057】
このように、補助駆動装置を水門開閉装置に後付けするに当たり、スプロケット取付盤と従動スプロケットは、分割形状のものを元の形状に接合し、このときハンドルを動かしたり着脱したりせずに、或いは既存装置に対する新たな加工等はせずに取り付け作業ができるので、短時間での作業が可能である。
【0058】
また、これによれば、扉板の高さ位置を維持して扉板の開度に影響することなく取り付け作業を行うことができるので、取り付けの作業が、例えば水路の水量を調整しておらず扉板の開度の影響が出ないような時期又は時間に制限されることがないので、時期又は時間に関係なく、既設の水門開閉装置に対して後付けで導入することが可能である。
【0059】
〔9〕本発明に係る水門開閉装置の補助駆動装置の組み付け方法は、前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの分割が、直径線が前記接合線となる二分割である構成とすることができる。
【0060】
この場合は、スプロケット取付盤と従動スプロケットの分割が、直径線が接合線となる二分割であることにより、接合線を直線にすれば最小限の長さにすることができ、分割加工する際の作業がしやすい。また、接合もしやすく、その際の接合誤差も生じにくい。
【0061】
〔10〕本発明に係る水門開閉装置の補助駆動装置の組み付け方法は、前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの前記接合線同士を、周方向へ所定の角度でずらして取り付けてある構成とすることができる。
【0062】
この場合は、スプロケット取付盤と従動スプロケットの接合線同士を、周方向へ所定の角度でずらして取り付けてあることで、スプロケット取付盤と従動スプロケットの回転中心の位置のずれを抑制して中心精度を高めることができる。
【0063】
これにより、従動スプロケットの回転精度が向上し、伝動チェーンとの噛み合いも円滑に行われる。また、スプロケット取付盤と従動スプロケットのそれぞれの接合線がずれることで、強度が増して、大きな力が一度に作用することによる同時分解等も起こりにくい。
【0064】
〔11〕本発明に係る水門開閉装置の補助駆動装置の組み付け方法は、水門開閉装置の補助駆動装置の組み付け方法は、前記スプロケット取付盤と前記従動スプロケットの前記接合線同士を周方向へずらす角度が90°である構成とすることができる。
【0065】
この場合は、スプロケット取付盤と従動スプロケットの接合線同士を周方向へずらす角度が90°であるので、接合線の一方は、周方向において他方の接合線のちょうど真ん中に位置し、力が作用したときの耐性のバランスがよく、上記〔10〕の作用が最大限に発揮される。
【発明の効果】
【0066】
本発明は、既設の水門に対して後付けが可能で、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、動力の伝達損失を低減して、駆動モーターの動力を活かした安定的な作動が可能であり、扉板の開閉を自動化することができると共に、後付け時に駆動系に手を加える必要がないようにして、扉板の高さ位置を維持して扉板の開度に影響することなく作業を行うことができる水門開閉装置の補助駆動装置、水門開閉装置及び補助駆動装置の組み付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明に係る水門開閉装置の補助駆動装置の第一実施形態のスプロケット取付盤、及び従動スプロケットをハンドルに組み付ける際に位置決め取付治具を取り付ける説明図である。
図2】水門のハンドルにスプロケット取付盤、及び従動スプロケットを取り付けた説明図である。(a)は上からの斜視図、(b)は下からの斜視図である。また、図示の便宜上、実際の組み付けでは先に取り付けられている取付台部材等の図示を省略している。
図3】位置決め取付治具とスプロケット取付盤及び従動スプロケットの分解説明図である。(a)は下からの斜視図、(b)は上からの斜視図である。
図4】ハンドルに位置決め取付治具、スプロケット取付盤、及び従動スプロケットを組み付けた部分断面説明図である。
図5】水門の軸受基体の接合アングルに、駆動ユニットを取り付けるための取付台部材を取り付ける説明図である。(a)は第1取付台部材の取り付けを示す説明図、(b)はジョイント板の取り付けを示す説明図、(c)は第2取付台部材の取り付けを示す説明図である。
図6】取付台部材の取り付け後に位置決め取付治具及びスプロケット取付盤を取り付け、取付台部材に駆動ユニットを取り付けて、補助駆動装置を組み付ける説明図である。(a)はスプロケットユニットを取り付けた状態の下からの斜視図、(b)は駆動ユニットを取り付け、各スプロケットに伝動チェーンを回し掛けた状態の下からの斜視図である。
図7】軸受基体とハンドルに補助駆動装置を組み付けた断面説明図である。
図8】軸受基体とハンドルに補助駆動装置を組み付けた水門の説明図である。
図9】本発明に係る水門開閉装置の補助駆動装置の第二実施形態のスプロケットユニットをハンドルに組み付ける際に位置決め取付治具とスプロケット取付盤を取り付ける説明図である。(a)はスプロケット取付盤を分割し、位置決め取付治具とスプロケット取付盤を分解した後ろからの斜視図、(b)は位置決め取付治具とスプロケット取付盤を取り付けた後ろからの斜視図、(c)は位置決め取付治具とスプロケット取付盤を取り付けた前からの斜視図である。
図10】ハンドルに取り付けたスプロケット取付盤に従動スプロケットを取り付ける説明図である。(a)は従動スプロケットを分割した後ろからの斜視図、(b)はスプロケット取付盤に従動スプロケットを取り付けた後ろからの斜視図である。
図11】スプロケットユニットを構成する位置決め取付治具とスプロケット取付盤及び従動スプロケットの分解説明図である。(a)は前からの斜視図、(b)は後ろからの斜視図である。
図12】ハンドルにスプロケットユニットを組み付けた部分断面説明図である。
図13】水門の軸受基体に取付台部材を取り付ける説明図である。(a)は取付台部材の分解斜視図、(b)は取付台部材を取り付ける斜視図、(c)は取付台部材を取り付けた斜視図である。
図14】軸受基体とハンドルに補助駆動装置を組み付けた説明図である。(a)は取付台部材に駆動ユニットを取り付けて各スプロケットに伝動チェーンを回し掛けた後ろからの斜視図、(b)は各スプロケットと伝動チェーンを覆うカバーを取り付けた後ろからの斜視図、(c)はカバーを取り付けた前からの斜視図である。
図15】本発明に係る水門開閉装置の補助駆動装置の第三実施形態のスプロケットユニットをハンドルに組み付ける際に位置決め取付治具とスプロケット取付盤を取り付ける説明図である。(a)はスプロケット取付盤を分割し、位置決め取付治具とスプロケット取付盤を分解した前からの斜視図、(b)はハンドルに取り付けたスプロケット取付盤と位置決め取付治具を分解した前からの斜視図である。
図16】ハンドルに取り付けたスプロケット取付盤に従動スプロケットを取り付ける説明図である。(a)は従動スプロケットを分割した後ろからの斜視図、(b)はスプロケット取付盤に従動スプロケットを取り付けた後ろからの斜視図である。
図17】スプロケットユニットを構成する位置決め取付治具とスプロケット取付盤及び従動スプロケットの分解説明図である。(a)は前からの斜視図、(b)は後ろからの斜視図である。
図18】ハンドルにスプロケットユニットを組み付けた部分断面説明図である。
図19】水門の軸受基体に取付台部材を取り付ける説明図である。(a)は取付台部材の後ろからの分解斜視図、(b)は取付台部材を取り付ける後ろからの斜視図、(c)は取付台部材を取り付けた後ろからの斜視図である。
図20】軸受基体とハンドルに補助駆動装置を組み付けた説明図である。(a)は取付台部材に駆動ユニットを取り付けて各スプロケットに伝動チェーンを回し掛けた後ろからの斜視図、(b)は各スプロケットと伝動チェーンを覆うカバーを取り付けた後ろからの斜視図、(c)はカバーを取り付けた前からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1乃至図20を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。
まず、図8に示すような水門Gは、水路90の要所に設けられ、コンクリート製で全体が門型の躯体9を有し、躯体9の水平な架台92の中央部に水門開閉装置G1が設けてある。本発明の水門開閉装置G1は、既設の水門開閉装置8に本発明の補助駆動装置D1(図7参照)を組み付けたものである。
【0069】
既設の水門開閉装置8(図1参照)は、駆体9に設けてある金属製の軸受基体80を有している。軸受基体80は、中心に軸線方向かつ鉛直方向に通し孔81(図4図7参照)が上下方向に貫通して設けてある。通し孔81には、下端部に扉板83が取り付けてあると共に、所定の長さを有するスクリュー軸82がスライド可能に通してある(図4参照)。
【0070】
なお、扉板83は、水路90の開口部91の幅と略同幅を有し、ガイド96に沿って昇降動するので、水平回転方向には動かないようになっている。これにより、スクリュー軸82は、軸周方向へは回転しない(図8参照)。
【0071】
軸受基体80の上端部には、有底円筒形状の回転受け具84が固定されており、回転受け具84の内部には、略円筒形状の回転駆動体85が水平方向に回転可能に配置されている(図4参照)。なお、回転駆動体85の中心部には、軸線方向に貫通してネジ孔86が形成されている。そして、スクリュー軸82は、ネジ孔86に螺合して通してある(図4参照)。
【0072】
また、回転駆動体85には、ハンドル87が、自身が有する三本のリム870を介して取り付けてある。これにより、ハンドル87を正逆方向に回転させることで、回転駆動体85を直接回転させて、軸周方向には回転しないスクリュー軸82を、扉板83と共に鉛直方向において昇降させることができる(図4図8参照)。
【0073】
上記水門開閉装置8には、本発明の補助駆動装置D1が組み付けられて本発明の水門開閉装置G1が構成される。補助駆動装置D1は、上記ハンドル87に取り付けるスプロケット取付盤1と、スプロケット取付盤1に取り付ける従動スプロケット2と、上記軸受基体80に取り付ける取付台部材3と、取付台部材3に取り付ける駆動モーター41の回転軸42に駆動スプロケット43が取り付けてある駆動ユニット4と、駆動スプロケット43と従動スプロケット2に回し掛ける伝動チェーン5とを備える(図7参照)。
【0074】
(スプロケット取付盤1)
スプロケット取付盤1は、位置決め取付治具100と協働してハンドル87に取り付けられる。なお、ハンドル87に一体となって取り付けられる位置決め取付治具100、スプロケット取付盤1及び従動スプロケット2の構造については、以下、主に図3図4を参照して説明する。
【0075】
位置決め取付治具100は、円筒形の軸挿通管101を有する。軸挿通管101の一端部には、軸挿通管101の通し孔109に連通する孔(符号省略)を有する天板102が設けてある。通し孔109の内径は、上記スクリュー軸82が通る大きさに形成してある。
【0076】
天板102の外縁部には周壁103が設けられ、続いて天板102と平行にフランジ板104が設けてある。周壁103及びフランジ板104は、円形の周方向へ略三分の一が欠落して形成してある。
【0077】
この欠落部105は、周壁103とフランジ板104をハンドル87の隣り合う二つのリム870を跨いで取り付けるためのものである(図2(a)参照)。なお、フランジ板104には、周方向へ所定の間隔をおいてネジ孔106が貫通して設けてある。また、周壁103で形成される孔(符号省略)の孔縁に沿って突条部107が設けてある(図3(a)参照)。
【0078】
スプロケット取付盤1は、この位置決め取付治具100と一体化して、ハンドル87に取り付けられる。スプロケット取付盤1の図3に示すものは、後述する従動スプロケット2と共に、便宜上、接合状態で表しているが、実際には組み付けを行うまでは、直径線の位置の接合線14で、二分の一に分割されている。つまり、スプロケット取付盤1は、分割された取付盤10a、10bからなり、組み付け時に接合線14で接合したときに円盤形になる。
【0079】
取付盤10a、10bは、フランジ部11a、11bを有し、続いて周壁12a、12bを有する。周壁12a、12bは、接合により円筒形となり、通し孔13が形成される。周壁12a、12bの円弧形状の先端面には、それぞれ通し孔13の孔縁側に突条部120が設けられている。
【0080】
突条部120の外側の面121には所定の間隔をおいてネジ孔122が貫通して設けてある。また、周壁12a、12bとは表裏方向で反対側のフランジ部11a、11bには、通し孔13の孔縁に沿って円弧状の溝部113が設けてある。
【0081】
突条部120と溝部113は、取付盤10a、10bを接合線14で接合したときに円形になる。また、位置決め取付治具100とスプロケット取付盤1を合わせるときに、スプロケット取付盤1の溝部113は、回転中心が決まっている位置決め取付治具100の突条部107と嵌め合う。これにより、スプロケット取付盤1の回転中心も決まる(図4参照)。
【0082】
位置決め取付治具100とスプロケット取付盤1は、ハンドル87のリム870を挟むようにして、ネジ孔106、111を貫通するボルトナット(図示省略)により固定されて取り付けられる。なお、図3では図示を省略しているが、フランジ部11a、11bの溝部113がある面には、リム870に嵌め込む凹部を有する固定具15が三箇所に設けてある(図2図4参照)。
【0083】
(従動スプロケット2)
従動スプロケット2は、分割されたギヤ盤20a、20bからなり、接合線24で接合したときに、上記周壁12a、12bより径大の円形になる。ギヤ盤20a、20bの外周部には、全周にわたり歯200が設けてある。(図2図4参照)。
【0084】
また、従動スプロケット2の中心に設けてある通し孔23は、回転受け具84に回転可能に外嵌めできる内径を有する。これは、上記通し孔13と周壁103の内径も同様である(図2図4参照)。
【0085】
ギヤ盤20a、20bの接合側(図3(b)で上面側)の面の通し孔23の孔縁には、全周にわたり溝部212が設けてある。溝部212は、従動スプロケット2を回転中心が決まっているスプロケット取付盤1に取り付けるとき突条部120と嵌め合う。これにより、従動スプロケット2の回転中心も決まる(図4参照)。
【0086】
なお、従動スプロケット2を、実際のスプロケット(市販標準品)を二分割して製造する場合には、スプロケットの希望サイズに近い偶数歯数のものを選定することで、コスト面も有利になり、特に二分割の場合、切断部を歯底とするようにして切断すれば、切断されたものが常に対称形状となる。
【0087】
切断したもの(ギヤ盤20a、20bに相当)は、カッターの歯幅分は縮むが、スプロケット取付盤1に設けられた位置出し部(突条部120に相当)と上記のように嵌め合わせることにより、同心円も保たれるようにしてある。また、これについては、後述する従動スプロケット2a、2bも同様である。
【0088】
(取付台部材3)
軸受け基体80と回転受け具84は、フランジ88、88aをボルト止めして固定されている(図5参照)。取付台部材3は、まず、フランジ88、88aの既設のボルト(図示省略)を長尺のボルトナットB1に交換して、第1取付台部材31を固定する。次に第1取付台部材31にジョイント板32をボルトナットB2で取り付け、更にジョイント板32に第2取付台部材33をボルトナットB3で取り付ける。
【0089】
このように、第1取付台部材31、ジョイント板32及び第2取付台部材33は、分割されていたものを、上記のようにして元の形状に接合し、後述する駆動ユニット4を取り付けることができる取付台部材3を形成している。
【0090】
(駆動ユニット4及び伝動チェーン5)
駆動ユニット4は、取付台部材3に取り付けられる。駆動ユニット4のケース40内部には駆動モーター41が収容されている(図6図7参照)。駆動モーター41の回転軸42には、駆動スプロケット43が取り付けてある。そして、駆動スプロケット43と従動スプロケット2の間に伝動チェーン5が回し掛けてある。なお、図6においては、伝動チェーン5は図示の便宜上、ベルト様に表している。
【0091】
これにより、駆動モーター41を有する駆動ユニット4の動力をハンドル87に伝えて、回転駆動体85を正逆方向へ回転させ、スクリュー軸82と共に扉板83を昇降させることができる。
【0092】
また、駆動スプロケット43の歯数は従動スプロケット2の歯数より少なく設定されており、伝動チェーン5により所定の減速比で動力(回転力)が伝わるようにしてある。更には、駆動モーター41の小型化が図られており、駆動ユニット4がコンパクトになっている。
【0093】
なお、駆動ユニット4により、駆動スプロケット43と従動スプロケット2間で伝動チェーン5を介し動力が伝達されるので、駆動スプロケット43より従動スプロケット2の歯数が多いことで、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、例えばギヤによる動力伝達と比較して動力の伝達損失を低減できる。これにより、駆動モーター41の動力を活かした安定的な作動を可能として、扉板83の開閉を自動化することができる。
【0094】
[駆動モーター41の制御機構]
なお、駆動モーター41は、0rpmでも最大トルクが出せるサーボモーターで、図示しない制御システムに接続され、その駆動が制御されている。なお、駆動モーター41の駆動を制御するシステムは、アブソリュートエンコーダとも接続されている。アブソリュートエンコーダは、駆動モーター41における、回転した位置情報の検出、及びその回転動作に対する位置制御を行う。
【0095】
より詳細には、駆動モーター41は、コントローラ及びサーボドライバーで構成された制御システムにより、その駆動が制御されている。コントローラは、サーボドライバーに対して動作の指令信号を出力する指令部である。また、サーボドライバーは、コントローラからの指令信号に追従するように、駆動モーター41に対してパルス信号を出力し、又はその出力の制御を行う制御部である。
【0096】
また、サーボドライバーは、下位CPU及び上位CPUを有している。下位CPUは、駆動モーター41にパルス信号を送信する。下位CPUは、駆動モーター41のアブソリュートエンコーダから、回転位置の位置情報を取得して、その回転位置の情報と、その回転位置の位置情報が、上位CPUから指示された回転情報と一致しているか否かの判断結果の情報を上位CPUに伝達する。
【0097】
下位CPUは、パルス変調周波数が20kHzのパルス信号が出力可能に構成されている。これにより、回転軸を回転させるためのパルス信号が出力される時間が、パルス変調周波数が10kHzのパルス信号に比べて短くなり、回転軸をより滑らかに駆動させることが可能となる。この結果、駆動モーター41が駆動する際に発生する音や振動を小さく抑えることができる。
【0098】
上位CPUは、下位CPUを制御する。上位CPUは、駆動モーター41の回転速度及び回転位置を決定して、下位CPUに回転情報として送信する。また、上位CPUは、駆動モーター41の外部からの通信制御が可能に構成されている。
【0099】
上位CPUは、下位CPUから、駆動モーター41の回転位置の位置情報と、その回転位置の位置情報が、上位CPUから指示された回転情報と一致しているか否かの判断結果の情報を取得する。上位CPUは、下位CPUから取得した情報に基づき、駆動モーター41の回転位置の位置情報が指示した回転位置(理論値の位置情報)と一致しない場合に、回転の修正制御を決定する。
【0100】
上位CPUは、上述したように駆動モーター41に対してパルス信号を送信する下位CPUを制御する部材であり、駆動モーター41が回転した位置情報が、下位CPUに指示した回転情報と一致しない場合に、下位CPUから出力するパルス信号を修正して、駆動モーター41の回転動作を修正する機能を有している。
【0101】
ここで、従前の駆動モーター41では、サーボドライバー(ドライバー用CPU)の中には、下位CPUだけを有しており、上位CPUに該当する部材は含まれていないため、本発明の駆動モーター41のように、サーボドライバーに上位CPUを備え、バルブアクチュエータ単体で自立制御を可能にするには、追加でメイン制御ボードを増設する必要が生じる。こうしたメイン制御ボードを増設すると、筐体またはアクチュエータ本体が大型になってしまう。
【0102】
従って、本発明の駆動モーター41では、サーボドライバーが、下位CPU及び上位CPUを有することで、より一層小型化することが可能となる。さらに、本発明の駆動モーター41では、サーボドライバーの中に含める部材を簡素化することで、サーボドライバーをより小型なものにしている。このように、サーボドライバーに含まれる部品点数を減らして小型化して、駆動モーター41をより一層小型なものにすることができる(市販品に比べると、体積的に1/6程度)。
【0103】
(作用)
図1乃至図8を参照して、本発明の第1の実施形態である補助駆動装置D1の水門開閉装置G1に対する組み付け方法を説明する。
既設の水門Gの水門開閉装置8は、上記したようにハンドル87が水平方向に回転し、ハンドル87で回転駆動体85を直接回転させるタイプである。
【0104】
(1) まず、位置決め取付治具100を、水門開閉装置8のスクリュー軸82を軸挿通管101に嵌め入れるようにして落とし込む。このとき、位置決め取付治具100の周壁103とフランジ板104がハンドル87の隣り合う二つのリム870を跨いで取り付けるようにする。これにより、位置決め取付治具100の回転中心(中心位置)が決まる。(図1図2参照)
【0105】
(2) スプロケット取付盤1の取付盤10a、10bをハンドル87の内側位置(図2で下側位置)において、分割されていたものを接合線14で接合して位置決め取付治具100と合わせ、突条部107と溝部113を嵌め合わせて、ボルトナット(図示省略)で取り付ける。このとき、各固定具15を各リム870に嵌め込んで、しっかりと固定する。これにより、スプロケット取付盤1の回転中心も決まる(図2参照)
【0106】
(3) 分割されていたギヤ盤20a、20bを接合線24で接合した従動スプロケット2を、位置決め取付治具100の周壁103の先端面の突条部120に溝部212を嵌め合わせて、ボルトナット(図示省略)で固定する。このとき、スプロケット取付盤1の接合線14と従動スプロケット2の接合線24は、周方向へ90°ずらして固定する。このとき、接合線14、24の一方は、周方向において他方の接合線のちょうど真ん中に位置し、力が作用したときの耐性のバランスに、より優れる。これにより、スプロケット取付盤1と従動スプロケット2の回転中心の位置のずれを抑制して中心精度を高めることができると共に、従動スプロケット2の回転中心も決まる(図2図3図4参照)
【0107】
このように、補助駆動装置D1を既設の水門開閉装置8に後付けするに当たり、スプロケット取付盤1と従動スプロケット2及び取付台部材3は、分割形状のものを元の形状に接合し、このときハンドルを動かしたり着脱したりせずに、或いは既存装置に対する新たな加工等はせずに取り付け作業ができるので、短時間での作業が可能である。
【0108】
また、これによれば、扉板83の高さ位置を維持して扉板83の開度に影響することなく取り付け作業を行うことができるので、作業が例えば水路90の水量を調整しておらず扉板83の開度の影響が出ないような時期又は時間に制限されることがないので、時期に関係なく、既設の水門開閉装置8に対して後付けで導入することが可能である。
【0109】
(4) 軸受け基体80のフランジ88、88aに、上記のようにして取付台部材3を取り付ける。(図5参照)
【0110】
(5) 取付台部材3に駆動ユニット4を取り付ける。これにより、駆動スプロケット43と従動スプロケット2の高さが同じになるので、駆動スプロケット43と従動スプロケット2の間に伝動チェーン5を回し掛ける。なお、伝動チェーン5の回し掛けは、通常、駆動ユニット4の取り付けと並行して行われる(図6参照)。
【0111】
(6) 駆動スプロケット43と従動スプロケット2及び伝動チェーン5を覆うカバー6を取り付ける。(図7参照)
【0112】
(7) このようにして、補助駆動装置D1が組み付けられた水門開閉装置G1を有する水門Gの架台92に設けてある手摺り93には操作盤94が配されている。操作盤94からは駆動ユニット4に給電が行われ、水門開閉装置G1の運転を行うことができる。また、手摺り93には監視カメラ95を備えており、悪戯の防止を図っている(図8参照)。
【0113】
次に、図9乃至図14を参照して、補助駆動装置D2の実施の形態を説明する。
補助駆動装置D2(図14参照)が組み付けられる既設の水門開閉装置8a(図9参照)は、駆体に設けてある金属製の軸受基体80aを有している。軸受基体80aは、中心に軸線方向かつ鉛直方向に通し孔81aが上下方向に貫通して設けてある。通し孔81aには、下端部に扉板(図示省略)が取り付けてあると共に、所定の長さを有する軸周方向へは回転しないスクリュー軸82aがスライド可能に通してある(図9等参照)。
【0114】
軸受基体80aの内部の上部には、中心部にスクリュー軸82aを螺合させて通すネジ孔(図示省略)が設けられた回転駆動体である径大の従動傘歯車(図示省略)が水平方向に回転可能に取り付けられている。従動傘歯車は、垂直方向に回転するハンドル87aの水平な回転軸871(図12参照)の先端に取り付けてある駆動傘歯車(図示省略)と噛み合わせてある。
【0115】
また、ハンドル87aは、自身が有する四本のリム870aを介して回転軸871に取り付けてある。これにより、ハンドル87aを正逆方向に回転させることで、従動傘歯車は減速回転し、軸周方向には回転しないスクリュー軸82aを、扉板と共に鉛直方向において昇降させることができる。
【0116】
上記水門開閉装置8aには、本発明の補助駆動装置D2が組み付けられて本発明の水門開閉装置G2が構成される。補助駆動装置D2は、上記ハンドル87aに取り付けるスプロケット取付盤1aと、スプロケット取付盤1aに取り付ける従動スプロケット2aと、上記軸受基体80aに取り付ける取付台部材3aと、取付台部材3aに取り付ける駆動モーター41aの回転軸(図示省着)に駆動スプロケット43aが取り付けてある駆動ユニット4aと、駆動スプロケット43aと従動スプロケット2aに回し掛ける伝動チェーン5aとを備える(図14参照)。
【0117】
(スプロケット取付盤1a)
スプロケット取付盤1aは、位置決め取付治具100aと協働してハンドル87aに取り付けられる。なお、ハンドル87aに一体となって取り付けられる位置決め取付治具100a、スプロケット取付盤1a及び従動スプロケット2aの構造については、以下、主に図11を参照して説明する。
【0118】
位置決め取付治具100aは、扁平な円筒形の軸挿通管101aを有する。軸挿通管101aの一端部には、軸挿通管101aの通し孔109aに連通する孔(符号省略)を有する天板102aが設けてある。通し孔109aの内径は、上記ハンドル87aの回転軸871が通る大きさに形成してある。
【0119】
天板102aの外縁部には突出部103aが周方向の四箇所に設けられ、各突出部103aの間には、周方向へ等間隔で四箇所に直径線方向へ欠落部105aが設けてある。欠落部105aは、上記ハンドル87aに取り付けたとき、四本のリム870aの位置に合わせることができる(図9(c)参照)。
【0120】
なお、天板102aには、周方向へ所定の間隔をおいてネジ孔106aが貫通して設けてある。また、各突出部103aの先端面には、円弧状の突条部108aが設けてある。ネジ孔106aは、突条部108aの先端面に位置している。
【0121】
スプロケット取付盤1aは、この位置決め取付治具100aと一体となって、ハンドル87aに取り付けられる。スプロケット取付盤1aの図11に示すものは、後述する従動スプロケット2aと共に、便宜上、接合状態で表しているが、実際には組み付けを行うまでは、直径線の位置の接合線14aで、二分の一に分割されている。つまり、スプロケット取付盤1aは、分割された取付盤10c、10dからなり、組み付け時に接合線14aで接合したときに円盤形になる。
【0122】
取付盤10c、10dは、接合により円盤形となり、中心部に通し孔13aが形成される。取付盤10c、10dの上記位置決め取付治具100aと合わせられる側の通し孔13aの孔縁に沿って、突条部130が周方向へ所定の間隔をおいて四箇所に設けられている。また、同面側には、二本が接合線14aと重なる溝部134が四箇所に設けてある。
【0123】
取付盤10c、10dには、外周部に沿うように所定の間隔をおいてネジ孔131が貫通して設けてある。また、突条部130が設けてある面とは表裏方向で反対側の面には、通し孔13aと中心を同じくして外径よりやや小径の段差部132が全周にわたり設けてある。なお、各ネジ孔131は、段差部132より外側にある。
【0124】
突条部130の外側には隙間(符号省略)があり、この隙間には所定の間隔をおいて、ネジ孔133が貫通して設けてある。また、位置決め取付治具100aとスプロケット取付盤1aを合わせるときに、この隙間に回転中心が決まっている位置決め取付治具100aの各突出部103aの先端部を嵌め入れることができる。これにより、スプロケット取付盤1aの回転中心も決まる(図12参照)。
【0125】
位置決め取付治具100aとスプロケット取付盤1aは、ハンドル87aのリム870aを挟むようにして、ネジ孔106a、133を貫通するボルトナット(図示省略)により固定されて取り付けられる。
【0126】
(従動スプロケット2a)
従動スプロケット2aは、分割されたギヤ盤20c、20dからなり、接合線24aで接合したときに、上記取付盤10c、10dより径大の円形になる。ギヤ盤20c、20dの外周部には、全周にわたり歯200が設けてある(図11等参照)。
【0127】
また、従動スプロケット2aのギヤ盤20c、20dの中心に設けてある通し孔23aの、スプロケット取付盤1aに取り付ける側の孔縁には突条部231が全周にわたり設けてある。通し孔23aと同じ内径の突条部231の内径は、スプロケット取付盤1aの段差部132に外嵌めできる大きさに設定されている。
【0128】
ギヤ盤20c、20dの突条部231より外側には、周方向へ所定の間隔をおいてネジ孔232が貫通して設けてある。そして、従動スプロケット2aを回転中心が決まっているスプロケット取付盤1aに取り付けるとき、突条部231は、スプロケット取付盤1aの段差部132と嵌め合う。これにより、従動スプロケット2aの回転中心も決まる(図12参照)。
【0129】
(取付台部材3a)
軸受け基体80aの上端部には、基体蓋880が既設のボルトB4でボルト止めして固定されている(図13等参照)。取付台部材3aは、まず、ボルトB4を取り外し、長尺のボルトスペーサーB5に交換して、ボルト孔35にボルトスペーサーB5を通して固定する(図13参照)。
【0130】
このとき、ボルトスペーサーB5は、基体蓋880との間にスペーサー(符号省略)を挟んで、取付台部材3aを確実に締め付けて固定する。また、L板状の取付台部材3aには、取り付け時に水平になる本体部分から垂下して駆動ユニット取付部34が設けてある。なお、取付台部材3aは、単体であり上記取付台部材3とは相違して、分割されていたものを元の形状に接合するものではない。
【0131】
(駆動ユニット4a及び伝動チェーン5a)
駆動ユニット4aは、駆動ユニット取付部34に取り付けられる。駆動ユニット4aのケース40a内部には駆動モーター41aが収容されている。駆動モーター41aの回転軸には、駆動スプロケット43aが取り付けてある。そして、駆動スプロケット43aと従動スプロケット2aの間に伝動チェーン5aが回し掛けてある(図14参照)。
【0132】
これにより、駆動モーター41aを有する駆動ユニット4aの動力をハンドル87aに伝えて、従動傘歯車を正逆方向へ回転させ、スクリュー軸82aと共に扉板83を昇降させることができる。
【0133】
なお、駆動スプロケット43aの歯数は従動スプロケット2aの歯数より少なく設定されており、伝動チェーン5aにより所定の減速比で動力(回転力)が伝わるようにしてあることと、駆動モーター41aの小型化が図られており、駆動ユニット4aがコンパクトになっていることについては、上記駆動補助装置D1と同様である。
【0134】
なお、駆動ユニット4aにより、駆動スプロケット43aと従動スプロケット2a間で伝動チェーン5aを介し動力が伝達されるので、駆動スプロケット43aより従動スプロケット2aの歯数が多いことで、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、例えばギヤによる動力伝達と比較して動力の伝達損失を低減できる。これにより、駆動モーター41aの動力を活かした安定的な作動を可能として、扉板83の開閉を自動化することができる。
【0135】
(作用)
図9乃至図14を参照して、本発明の第2の実施形態である補助駆動装置D2の水門開閉装置G2に対する組み付け方法(工程)を説明する。
既設の水門の水門開閉装置8aは、上記したようにハンドル87aが垂直方向に回転し、ハンドル87aの回転軸871に取り付けてある駆動傘歯車で従動傘歯車を間接的に回転させるタイプである。
【0136】
(1)まず、位置決め取付治具100aを、水門開閉装置8aのハンドル87aの回転軸871を通し孔109aに嵌め入れるようにして押し込む。このとき、位置決め取付治具100aの各欠落部105aがハンドル87aの各リム870aに嵌るようにする。これにより、位置決め取付治具100aの回転中心が決まる。(図9(c)参照)
【0137】
(2) スプロケット取付盤1aの取付盤10c、10dをハンドル87aの内側位置(図9で手前側)において、分割されていたものを接合線14aで接合して位置決め取付治具100aと合わせ、突条部108aと突条部130に沿う隙間部を嵌め合わせて、ボルトナットB6(図9参照)で取り付ける。このとき、スプロケット取付盤1aの各溝部134がハンドル87aの各リム870aの裏側に嵌るようにする。これにより、スプロケット取付盤1aの回転中心も決まる(図12参照)
【0138】
(3)分割されていたギヤ盤20c、20dを接合線24aで接合した従動スプロケット2aを、スプロケット取付盤1aの段差部132に通し孔23aの孔縁を嵌め合わせて、ボルトナットB7で固定する(図10参照)。このとき、スプロケット取付盤1aの接合線14aと従動スプロケット2aの接合線24aは、周方向へ90°ずらして固定する。このとき、接合線14a、24aの一方は、周方向において他方の接合線のちょうど真ん中に位置し、力が作用したときの耐性のバランスに、より優れる。これにより、スプロケット取付盤1aと従動スプロケット2aの回転中心の位置のずれを抑制して中心精度を高めることができると共に、従動スプロケット2aの回転中心も決まる(図9図12参照)
【0139】
このように、補助駆動装置D2を既設の水門開閉装置8に後付けするに当たり、スプロケット取付盤1aと従動スプロケット2aは、分割形状のものを元の形状に接合し、このときハンドル87aを動かしたり着脱したりせずに、或いは既存装置に対する新たな加工等はせずに取り付け作業ができるので、短時間での作業が可能である。
【0140】
また、これによれば、扉板83の高さ位置を維持して扉板83の開度に影響することなく取り付け作業を行うことができるので、作業が例えば水路90の水量を調整しておらず扉板83の開度の影響が出ないような時期又は時間に制限されることがないので、時期に関係なく、既設の水門開閉装置8に対して後付けで導入することが可能である。
【0141】
(4)軸受け基体80aの基体蓋880に、上記のようにして取付台部材3aを取り付ける。(図13参照)
【0142】
(5)取付台部材3aに駆動ユニット4aを取り付ける。これにより、駆動スプロケット43aと従動スプロケット2aの前後位置が同じになるので、駆動スプロケット43aと従動スプロケット2aの間に伝動チェーン5aを回し掛ける。なお、伝動チェーン5aの回し掛けも、上記補助駆動装置D1と同様に駆動ユニット4aの取り付けと並行して行われる(図14参照)。
【0143】
(6)駆動スプロケット43aと従動スプロケット2a及び伝動チェーン5aを覆うカバー6を取り付ける。また、位置決め取付治具100aには、径が大きい円板状のカバー板60を取り付ける(図14参照)。
【0144】
(7)このようにして、補助駆動装置D2が組み付けられた水門開閉装置G2は、上記水門開閉装置G1と同様に、水門の架台に設けてある操作盤から駆動ユニットに給電が行われ、水門開閉装置G2の運転を行うことができる。
【0145】
次に、図15乃至図20を参照して、補助駆動装置D3の実施の形態を説明する。
補助駆動装置D3が組み付けられる既設の水門開閉装置8b(図15参照)は、駆体に設けてある金属製の軸受基体80bを有している。軸受基体80aは、中心に軸線方向かつ鉛直方向に通し孔81b(図19参照)が上下方向に貫通して設けてある。通し孔には、下端部に扉板(図示省略)が取り付けてあると共に、所定の長さを有する軸周方向へは回転しないラック軸82bがスライド可能に通してある(図15等参照)。
【0146】
ラック軸82bには、長さ方向に噛み合い歯であるラックギヤ820が形成してある。また、軸受基体80bには減速ユニット89が設けてある。減速ユニット89内部の回転軸871にはウォーム(図示省略)が取り付けられ、一端部にウォームと噛み合うウォームホイール(図示省略)を取り付けた水平軸(図示省略)の他端部に、回転駆動体である駆動歯(図示省略)を取り付け、駆動歯をラックギヤ820に噛み合わせてある。
【0147】
また、回転軸871には、垂直方向に回転するハンドル87bが、自身が有する三本のリム870bを介して取り付けてある。これにより、ハンドル87bを正逆方向に回転させることで、駆動歯はウォームとウォームホイールを介して減速回転し、ラック軸82bを、扉板と共に鉛直方向において昇降させることができる。
【0148】
上記水門開閉装置8bには、本発明の補助駆動装置D3が組み付けられて本発明の水門開閉装置G3(図20参照)が構成される。補助駆動装置D3は、上記ハンドル87bに取り付けるスプロケット取付盤1bと、スプロケット取付盤1bに取り付ける従動スプロケット2bと、上記減速ユニット89に取り付ける取付台部材3bと、取付台部材3bに取り付ける駆動モーター41bの回転軸(図示省着)に駆動スプロケット43bが取り付けてある駆動ユニット4bと、駆動スプロケット43bと従動スプロケット2bに回し掛ける伝動チェーン5bとを備える(図20参照)。
【0149】
(スプロケット取付盤1b)
スプロケット取付盤1bは、位置決め取付治具100bと協働してハンドル87bに取り付けられる。なお、ハンドル87bに一体となって取り付けられる位置決め取付治具100b、スプロケット取付盤1b及び従動スプロケット2bの構造については、以下、主に図17を参照して説明する。
【0150】
位置決め取付治具100bは、扁平な円筒形の軸挿通管101bを有する。軸挿通管101bの一端部には、軸挿通管101bの通し孔109bに連通する孔(符号省略)を有する天板102bが設けてある。通し孔109bの内径は、上記ハンドル87bの回転軸871が通る大きさに形成してある。
【0151】
天板102bの外縁部には突出部103bが周方向の三箇所に設けられ、各突出部103bの間には、周方向へ等間隔で三箇所に欠落部105bが設けてある。欠落部105bは、上記ハンドル87bに取り付けたとき、三本のリム870bの位置に合わせることができる(図15参照)。
【0152】
なお、天板102bには、周方向へ所定の間隔をおいてネジ孔106bが貫通して設けてある。また、各突出部103bの先端面には、円弧状の溝部108bが設けてある。ネジ孔106bは、溝部108bの先端面に位置している。
【0153】
スプロケット取付盤1bは、この位置決め取付治具100bと一体となって、ハンドル87bに取り付けられる。スプロケット取付盤1bの図17に示すものは、後述する従動スプロケット2bと共に、便宜上、接合状態で表しているが、実際には組み付けを行うまでは、直径線の位置の接合線14bで、二分の一に分割されている。つまり、スプロケット取付盤1bは、分割された取付盤10e、10fからなり、組み付け時に接合線14bで接合したときに円盤形になる。
【0154】
取付盤10e、10fは、接合により円盤形となり、中心部に通し孔13bが形成される。取付盤10e、10fの上記位置決め取付治具100bと合わせられる側の通し孔13bの孔縁に沿って、突条部136が全周にわたり設けられている。突条部136の先端面には、周方向に所定の間隔をおいてネジ孔137が貫通して設けてある。
【0155】
取付盤10e、10fには、外周部に沿うように所定の間隔をおいてネジ孔138が貫通して設けてある。また、突条部136が設けてある面とは表裏方向で反対側の面には、通し孔13bと中心を同じくして外径よりやや小径の段差部139が全周にわたり設けてある。なお、各ネジ孔138は、段差部139より外側にある。
【0156】
また、位置決め取付治具100bとスプロケット取付盤1bを合わせるときに、回転中心が決まっている位置決め取付治具100bの各溝部108bに、突条部136を嵌め入れることができる。これにより、スプロケット取付盤1bの回転中心も決まる(図18参照)。
【0157】
位置決め取付治具100bとスプロケット取付盤1bは、ハンドル87bのリム870bを挟むようにして、ネジ孔106b、137を貫通するボルトナットB8により固定されて取り付けられる(図15参照)。
【0158】
(従動スプロケット2b)
従動スプロケット2bは、分割されたギヤ盤20e、20fからなり、接合線24bで接合したときに、上記取付盤10e、10fより径大の円形になる。ギヤ盤20e、20fの外周部には、全周にわたり歯200が設けてある(図17等参照)。
【0159】
また、従動スプロケット2bのギヤ盤20e、20fの中心には、通し孔23bが形成される。通し孔23bの内径は、スプロケット取付盤1bの段差部139に外嵌めできる大きさに設定されている。
【0160】
ギヤ盤20e、20fには、周方向へ所定の間隔をおいてネジ孔233が貫通して設けてある。そして、従動スプロケット2bを回転中心が決まっているスプロケット取付盤1bに取り付けるとき、通し孔23bの孔縁は、スプロケット取付盤1bの段差部139と嵌め合う。これにより、従動スプロケット2bの回転中心も決まる(図18参照)。
【0161】
(取付台部材3b)
軸受け基体80bの上端部には、上記減速ユニット89が既設のボルトB10でボルト止めして固定されている。取付台部材3bは、まず、ボルトB10を取り外し、長尺のボルトスペーサーB11に交換して、ボルト孔36にボルトスペーサーB11を通して固定する(図19参照)。
【0162】
このとき、ボルトスペーサーB11は、減速ユニット89底部との間にスペーサー(符号省略)を挟んで、取付台部材3bを確実に締め付けて固定する。また、L板状の取付台部材3bには、取り付け時に水平になる本体部分から垂下して駆動ユニット取付部34が設けてある。なお、取付台部材3bは、単体であり上記取付台部材3aと同様に、分割されていたものを元の形状に接合するものではない。
【0163】
(駆動ユニット4b及び伝動チェーン5b)
駆動ユニット4bは、取付台部材3bの駆動ユニット取付部34に取り付けられる。駆動ユニット4bのケース40b内部には駆動モーター41bが収容されている。駆動モーター41bの回転軸には、駆動スプロケット43bが取り付けてある。そして、駆動スプロケット43bと従動スプロケット2aの間に伝動チェーン5aが回し掛けてある(図14参照)。
【0164】
これにより、駆動モーター41b有する駆動ユニット4bの動力をハンドル87bに伝えて、回転駆動体の駆動歯をウォームとウォームホイールを介して正逆方向へ減速回転させ、ラック軸82bと共に扉板を昇降させることができる。
【0165】
なお、駆動スプロケット43bの歯数は従動スプロケット2bの歯数より少なく設定されており、伝動チェーン5bにより所定の減速比で動力(回転力)が伝わるようにしてあることと、駆動モーター41bの小型化が図られており、駆動ユニット4bがコンパクトになっていることについては、上記駆動補助装置D2と同様である。
【0166】
なお、駆動ユニット4bにより、駆動スプロケット43bと従動スプロケット2b間で伝動チェーン5bを介し動力が伝達されるので、駆動スプロケット43bより従動スプロケット2bの歯数が多いことで、駆動系の必要な減速比を維持しつつ、例えばギヤによる動力伝達と比較して動力の伝達損失を低減できる。これにより、駆動モーター41bの動力を活かした安定的な作動を可能として、扉板の開閉を自動化することができる。
【0167】
(作用)
図15乃至図20を参照して、本発明の第3の実施形態である補助駆動装置D3の水門開閉装置G3に対する組み付け方法(工程)を説明する。
既設の水門の水門開閉装置8bは、上記したようにハンドル87bが垂直方向に回転し、ハンドル87bの回転軸871の回転により、ウォームとウォームホイールを介して駆動歯を間接的に減速回転させるタイプである。
【0168】
(1)まず、位置決め取付治具100bを、水門開閉装置8bのハンドル87bの回転軸871を通し孔109bに嵌め入れるようにして押し込む。このとき、位置決め取付治具100aの各欠落部105bがハンドル87bの各リム870bに嵌るようにする。これにより、位置決め取付治具100bの回転中心が決まる。(図15参照)
【0169】
(2)スプロケット取付盤1bの取付盤10e、10fをハンドル87bの内側位置(図15で奥側)において、分割されていたものを接合線14bで接合して位置決め取付治具100bと合わせ、突条部136と溝部108bを嵌め合わせて、ボルトナットB8で取り付ける。これにより、スプロケット取付盤1bの回転中心も決まる(図18参照)
【0170】
(3)分割されていたギヤ盤20e、20fを接合線24bで接合した従動スプロケット2bを、スプロケット取付盤1bの段差部139に通し孔23aの孔縁を嵌め合わせて、ボルトナットB9で固定する(図16参照)。このとき、スプロケット取付盤1bの接合線14bと従動スプロケット2bの接合線24bは、周方向へ90°ずらして固定する。
【0171】
このとき、接合線14b、24bの一方は、周方向において他方の接合線のちょうど真ん中に位置し、力が作用したときの耐性のバランスに、より優れる。これにより、スプロケット取付盤1bと従動スプロケット2bの回転中心の位置のずれを抑制して中心精度を高めることができると共に、従動スプロケット2bの回転中心も決まる(図18参照)。
【0172】
このように、補助駆動装置D3を既設の水門開閉装置8bに後付けするに当たり、スプロケット取付盤1bと従動スプロケット2bは、分割形状のものを元の形状に接合し、このときハンドル87bを動かしたり着脱したりせずに、或いは既存装置に対する新たな加工等はせずに取り付け作業ができるので、短時間での作業が可能である。
【0173】
また、これによれば、扉板の高さ位置を維持して扉板の開度に影響することなく取り付け作業を行うことができるので、作業が例えば水路90の水量を調整しておらず、扉板の開度の影響が出ないような時期又は時間に制限されることがないので、時期に関係なく、既設の水門開閉装置8bに対して後付けで導入することが可能である。
【0174】
(4)軸受け基体80bに取り付けられた減速ユニット89に上記のようにして取付台部材3bを取り付ける。(図19参照)
【0175】
(5)取付台部材3bに駆動ユニット4bを取り付ける。これにより、駆動スプロケット43bと従動スプロケット2bの前後位置が同じになるので、駆動スプロケット43bと従動スプロケット2bの間に伝動チェーン5bを回し掛ける。なお、伝動チェーン5bの回し掛けも、上記補助駆動装置D2と同様に駆動ユニット4bの取り付けと並行して行われる(図20参照)。
【0176】
(6)駆動スプロケット43bと従動スプロケット2b及び伝動チェーン5bを覆うカバー6を取り付ける。また、位置決め取付治具100bには、径が大きい円板状のカバー板60を取り付ける(図20参照)。
【0177】
(7)このようにして、補助駆動装置D3が組み付けられた水門開閉装置G3は、上記水門開閉装置G1と同様に、水門の架台に設けてある操作盤から駆動ユニットに給電が行われ、水門開閉装置G3の運転を行うことができる。
【0178】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0179】
G 水門
9 躯体
90 水路
92 架台
96 ガイド
G1 水門開閉装置
D1 補助駆動装置
8 水門開閉装置
80 軸受基体
81 通し孔
82 スクリュー軸
83 扉板
84 回転受け具
85 回転駆動体
86 ネジ孔
87 ハンドル
870 リム
88、88a フランジ
100 位置決め取付治具
101 軸挿通管
102 天板
103 周壁
104 フランジ板
105 欠落部
106 ネジ孔
107 突条部
109 通孔
1 スプロケット取付盤
10a、10b 取付盤
11a、11b フランジ部
12a、12b 周壁
120 突条部
121 面
122 ネジ孔
113 溝部
13通し孔
14 接合線
15 固定具
2 従動スプロケット
20a、20b ギヤ盤
24 接合線
200 歯
23 通し孔
212 溝部
3 取付台部材
31 第1取付台部材
32 ジョイント板
33 第2取付台部材
4 駆動ユニット
41 駆動モーター
42 回転軸
43 駆動スプロケット
5 伝動チェーン
B1 ボルトナット
B2 ボルトナット
B3 ボルトナット
G2 水門開閉装置
D2 補助駆動装置
8a 水門開閉装置
80a 軸受基体
880 基体蓋
81a 通し孔
82a スクリュー軸
87a ハンドル
870a リム
871 回転軸
100a 位置決め取付治具
101a 軸挿通管
102a 天板
103a 突出部
105a 欠落部
106a ネジ孔
108a 突条部
109a 通孔
1a スプロケット取付盤
10c、10d 取付盤
13a 通し孔
130 突条部
131 ネジ孔
132 段差部
133 ネジ孔
134 溝部
14a 接合線
2a 従動スプロケット
20c、20d ギヤ盤
24a 接合線
23a 通し孔
231 突条部
232 ネジ孔
3a 取付台部材
34 駆動ユニット取付部
35 ボルト孔
4a 駆動ユニット
40a ケース
41a 駆動モーター
43a 駆動スプロケット
5a 伝動チェーン
B4 ボルト
B5 ボルトスペーサー
B6 ボルトナット
B7 ボルトナット
G3 水門開閉装置
D3 補助駆動装置
8b 水門開閉装置
80b 軸受基体
81b 通し孔
82b ラック軸
820 ラックギヤ
87b ハンドル
870b リム
89 減速ユニット
100b 位置決め取付治具
101b 軸挿通管
102b 天板
103b 突出部
105b 欠落部
106b ジ孔
108b 溝部
109b 通孔
1b スプロケット取付盤
10e、10f 取付盤
13b 通し孔
136 突条部
137 ネジ孔
138 ネジ孔
139 段差部
14b 接合線
2b 従動スプロケット
20e、20f ギヤ盤
24b 接合線
23b 通し孔
233 ジ孔
3b 取付台部材
4b 駆動ユニット
40b ケース
41b 駆動モーター
43b 駆動スプロケット
5b 伝動チェーン
B8 ボルトナット
B9 ボルトナット
B10 ボルト
B11 ボルトスペーサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20