(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】足踏み式消毒液供給具
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20250219BHJP
【FI】
A61L2/18
(21)【出願番号】P 2021112098
(22)【出願日】2021-07-06
【審査請求日】2024-05-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年04月13日、Facebook(https://jp-jp.facebook.com/tamagawapipe)、Twitter(https://twitter.com/tamagawapipe)、Instagram(https://gramho.com/explore-hashtag/%E7%8E%89%E5%B7%9D%E3%83%91%E3%82%A4%E3%83%97)、YouTube(https://www.toutube.com/channel/UCpA8Tby7HSQ3aDarHpPfjhQ)、クラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/408294)において公開
(73)【特許権者】
【識別番号】520266029
【氏名又は名称】株式会社玉川パイプ
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】藤井啓太
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-093449(JP,U)
【文献】登録実用新案第3232120(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第112618944(CN,A)
【文献】登録実用新案第3230172(JP,U)
【文献】登録実用新案第3230545(JP,U)
【文献】中国実用新案第213489952(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0114102(US,A1)
【文献】特開2015-100454(JP,A)
【文献】中国実用新案第208906983(CN,U)
【文献】国際公開第2017/104542(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00~ 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒液ボトルを固定するボトルホルダを支える中空な支柱を有し、
ペダルが踏まれると、
前記支柱内に上下動自在に挿入されたロッドが下降して、該ロッドの上端に設けたレバーが
前記消毒液ボトルのノズルを押圧し、該消毒液ボトルから消毒液が噴出する足踏み式消毒液供給具において、
前記ボトルホルダは、設置される
建物の壁面又は乗り物における壁面に配置されたプレートに着脱自在に固定され
、
前記支柱を前記プレートに着脱自在に固定するための磁石を備えた
ことを特徴とする足踏み式消毒液供給具。
【請求項2】
前記支柱を前記プレートに拘束するための拘束具を備えたことを特徴とする
請求項1記載の足踏み式消毒液供給具。
【請求項3】
前記消毒液ボトルを前記支柱から吊り下げるためのボトルホルダを備えたことを特徴とする請求項1記載の足踏み式消毒液供給具。
【請求項4】
前記ペダルは床面に設置された台座に弾性的に傾動可能に支持されることを特徴とする請求項1記載の足踏み式消毒液供給具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単に安定して設置することができる足踏み式消毒液供給具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手を消毒するためには、ノズルをプッシュすることで消毒液(アルコール除菌液とも言う)が噴出するポンプ式の消毒液ボトルが用いられてきた。
しかしながら、消毒液を噴出する際に利用者が手動でノズルを押圧しなければならなかったため、衛生面で万全とは言えなかった。
【0003】
特に、2020年から世界中で始まったコロナウィルス(Covid-19)の大流行では、最も効果的な予防措置がマスクの装着と共に手の消毒であると指摘されたため、手をノズルに接触させずに消毒液を噴出できる器具の利用が望まれることとなった。
【0004】
そこで、特許文献1には、足でペダルを踏むことで、手で接触することなく消毒液を噴霧することができる消毒液スタンドが開示されている。
即ち、特許文献1の消毒液スタンドは、ペダルを踏むことで中空スタンドに内設された移動体が下降し、それに伴って下降した押圧体が消毒液ボトルのノズルを押圧して消毒液が噴出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された消毒液スタンドは、消毒液ボトルが人の手の届く程度の高さに保持されているので、重心が高く不安定であった。特に、消毒液スタンドに検温手段を搭載した場合には、顕著に不安定となる。
【0007】
また、重心の高い消毒液スタンドを床面に安定して設置するためには、床面に設置される台座(ベース)に重石を乗せるか、台座を床面に対して何らかの手段で固定する必要があり、設置の際の手間が煩雑となってしまっていた。あるいは、台座の面積を広く設計することで、これらの手間を省くことはできるが、そのようにすると、小さいスペースに設置することができなくなるといった不具合があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑みたものであり、簡単に安定して設置することができ、かつ、省スペースを実現することができる足踏み式消毒液供給具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点における足踏み式消毒液供給具は、ペダルが踏まれると、中空な支柱内に上下動自在に挿入されたロッドが下降して、該ロッドの上端に設けたレバーが消毒液ボトルのノズルを押圧し、該消毒液ボトルから消毒液が噴出する足踏み式消毒液供給具において、前記支柱は、壁面に配置されたプレートに着脱自在に固定されることを特徴とする。
【0010】
更に好適には、前記支柱を前記プレートに着脱自在に固定するための磁石を備えたことを特徴とする。
【0011】
更に好適には、前記支柱を前記プレートに拘束するための拘束具を備えたことを特徴とする。
【0012】
更に好適には、前記消毒液ボトルを前記支柱から吊り下げるためのボトルホルダを備えたことを特徴とする。
【0013】
更に好適には、前記ペダルは床面に設置された台座に弾性的に傾動可能に支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の足踏み式消毒液供給具は、支柱がプレートに着脱自在に固定されるので、壁面に立て掛けることにより簡単に安定して設置できるという効果を奏する。また、磁石により着脱自在とすると、支柱をプレートから簡単に取り外すことができるという効果を奏する。拘束具により支柱をプレートに拘束すると、大きな力が作用したときも、転倒を防止できるという効果を奏する。消毒液ボトルは、ボトルホルダにより吊り下げると、落下防止になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る足踏み式消毒液供給具のロッドに関し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る足踏み式消毒液供給具の中空な支柱に関し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である
【
図3】本発明の第1の実施例に係る足踏み式消毒液供給具のボトルホルダに関し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施例に係る足踏み式消毒液供給具のペダルに関し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る足踏み式消毒液供給具の台座に関し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に係る足踏み式消毒液供給具の使用状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第2の実施例に係る足踏み式消毒液供給具の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、図面に示す実施例を参照して詳細に説明する。
[実施例1]
【0017】
本発明の第1の実施例に係る足踏み式消毒液供給具を
図1-
図6に示す。
同図に示す通り、本実施例の足踏み式消毒液供給具1は、ロッド10、中空な支柱(ガイドパイプ)20、ボトルホルダ30、ペダル40、台座(ベース)50等により主として構成され、ペダル40が踏まれると、中空な支柱20内に上下動自在に挿入されたロッド10が下降して、ロッド10の上端に設けたレバー13が消毒液ボトル60のノズル61を押圧し、消毒液ボトル60から消毒液が噴出するものである。
【0018】
即ち、
図1に示すように、ロッド10は、中実状の垂直軸部11及び垂直軸部11の上端で略直角に折り曲げられた水平軸部12と、水平軸部12の先端に取り付けられた長方形状のレバー13とからなる。
【0019】
垂直軸部11の下端には、小孔14が水平方向に設けられると共にこの小孔14にはピン15が貫通しており、このピン15の両端には、抜け止め用の円板16,17が取り付けられている。このピン15により、後述する通り、ロッド10はペダル40と連結する。
従って、ペダル40を踏むとロッド10が下降し、レバー13が消毒液ボトル60のノズル61を押すことになる(
図6参照)
【0020】
図2に示す通り、支柱20は、円筒状であり、ロッド10の垂直軸部11が上下動自在に挿入されている。
支柱20の下端には、小孔21が水平方向に設けられると共にこの小孔21にはピン22が貫通しており、このピン22の両端には、抜け止め用の円板23,24がナットで止められている。このピン22により、後述する通り、台座50の断面コ字状の支持部52に対して支柱20が連結される。このピン22の長さは、支持部52の幅と同程度とする。
【0021】
また、支柱20の小穴21より上方には、縦長の長孔25が水平方向に設けられている。この長孔25を、ロッド10の下端に取り付けられたピン15が貫通することになり、ロッド10及びピン15の上下動が長孔25により許容されることになる。
【0022】
図3に示すとおり、ボトルホルダ30は、水平板部31と垂直板部32とを蝶番33により略直角に結合したものである。蝶番33により、水平板部31と垂直板部32とのなす角度は、90度以外にも調節可能である。
【0023】
水平板部31には、支柱20の直径と同径の結合穴38が設けられており、この結合穴38には支柱20の上端が溶接等により一体に結合されている。水平板部31には、溶接跡を隠すための化粧板を設けても良い。
また、水平板部31には、消毒液ボトル60を吊り下げて保持するための保持穴34が設けられている(
図6参照)。
【0024】
保持穴34の内径は、消毒液ボトル60の本体首部の直径と同じとする。
消毒液ボトル60を保持穴34に吊り下げるためには、消毒液ボトル60を本体とノズル部分に分離し、本体首部を保持穴34に通してノズル部分を差し込んでねじ込む。
なお、消毒液ボトル60の本体首部の太さは、メーカにより各種異なるので、保持穴34の内径は最大値とし、各メーカに対応した内径を持つ円環状のスペーサ(図示省略)を準備して、このスペーサを消毒液ボトル60の本体首部と保持穴34の間に差し込んで使用すると良い。
【0025】
一方、垂直板部32の裏面には3つの磁石35,36,37が取り付けられている。これら3つの磁石35,36,37により、壁面Aに配置されたプレート(鉄板)70に着脱自在に固定するものである(
図6参照)。磁石35,36,37には、傷付け防止のためのシリコン被膜を形成すると良い。
プレート70は壁面Aに対して両面テープで配置することが望ましいが、ネジ等で設置することも可能である。
【0026】
図4に示すように、ペダル40には、後部に支柱20との衝突を回避するためのU状の凹部41が設けられると共に、後部の両サイドに横長の長孔42を有するサイドプレート43を設けたものである。この長孔42を、ロッド10の下端に設けたピン15が貫通することにより、ロッド10とペダル40が連結することになる。
【0027】
図5に示すように、台座50は床面Bに設置されるものであり(
図6参照)、その後部には、両脇に2つの丸穴51を備えた断面コ字状の支持部52が設けられている。
これらの丸穴51を、支柱20の下端に設けたピン22が貫通している。
【0028】
更に、台座50の後部には、上向きに折れている折曲部58が設けられている。台座50は、壁Aに接するように配置されるため、折曲部58により、壁Aに傷がつくのを防ぐためである。また、壁Aと床Bとの間に隙間がある場合に、その隙間に台座50が入らないようにするためである。
【0029】
また、台座50の前部に対して、ペダル40の前部が、蝶番53により傾動可能に連結されると共に、台座50に上向きに固定されたスタッドボルト54,55と、ペダル40に下向きに固定されたスタッドボルト44,45との間にスプリング56,57を差し込むことにより、ペダル40が台座50に対して弾性的に傾動可能に支持されることになる。
【0030】
上記構成を有する本実施例の足踏み式消毒液供給具は、
図6に示すように、壁面Aに配置されたプレート70に対して3つの磁石35,36,37によりボトルホルダ30及びこれと一体の支柱20を着脱自在に固定するので、壁面Aに安定して立て掛ける(自立させるのではなく壁付けにする)ことができるという効果を奏する。
即ち、壁面Aに立て掛けるので、転倒を防止するために、台座50に重石を搭載する必要もなく、また、台座50を床面Bに対して固定する必要がない。あるいは、台座50の面積を広げる必要もないのである。つまり、本実施例の足踏み式消毒液供給具は簡単に設置でき、かつ、省スペースを実現することができ、軽量化することができるという効果を奏する。
【0031】
また、磁石35,36,37を使用して着脱自在としているので、不要となったら、磁石35,36,37の磁力以上の力を作用させて、簡単に取り外すことも可能である。
【0032】
更に、本実施例では、消毒液ボトル60がボトルホルダ30により支柱20から吊り下げられているため、例えば、テーブル等に単に消毒液ボトルを搭載している場合に比較して、外力が作用しても消毒液ボトル60は落下することがないという効果も奏する。
【0033】
なお、壁面A、床面Bとは、建物の場合に限るものではなく、広く、バス等の乗り物における壁面、床面をも含むものである。
[実施例2]
【0034】
本発明の第2の実施例に係る足踏み式消毒液供給具を
図7に示す。
本実施例の足踏み式消毒液供給具は、
図7に示す通り、プレート70に対してボトルホルダ30及びこれと一体の支柱20(図示省略)を拘束する拘束具80を追加したものであり、その他の構造については、前述した実施例と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0035】
即ち、プレート70には、階段状の溝71が形成されると共にこの溝71に繋がる穴部72が形成される。一方、ボトルホルダ30を構成する垂直板部32には、鍵状の凹部32aが形成されている。
【0036】
そして、ワイヤをリング状に結束した拘束具80がプレート70の溝71を通じて穴部72に係合すると共に、垂直板部32の凹部32aに係合している。
そのため、拘束具80をプレート70の溝71を通じて穴部72から意図的に引き抜かない限り、プレート70に対してボトルホルダ30及びこれと一体の支柱20が拘束されることになる。ただし、この拘束具80による拘束は、完全に固定するのではなく、ある程度のゆとり(あそび)を持たせるようにする。
【0037】
また、本実施例の足踏み式消毒液供給具を移動させる場合には、拘束具80をプレート70の溝71を通じて穴部72から引き抜いて、プレート70に対してボトルホルダ30及びこれと一体の支柱20との拘束が解除すれば良い。
【0038】
上記構成を有する本実施例の足踏み式消毒液供給具は、拘束具80がプレート70の溝71を通じて穴部72に係合すると共に、垂直板部32の凹部32aに係合しているため、プレート70に対してボトルホルダ30及びこれと一体の支柱20が拘束されるという効果を奏する。
【0039】
そのため、ボトルホルダ30及びこれと一体の支柱20に対して、磁石35,36,37(図示省略)の磁力以上の外力が不用意に作用した場合でも、本実施例の足踏み式消毒液供給具は転倒することがないという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の足踏み式消毒液供給具は、壁面に立て掛けられることにより簡単に設置できるので、広く産業上利用可能なものである。
【符号の説明】
【0041】
10 ロッド
11 垂直軸部
12 水平軸部
13 レバー
14 小孔
15 ピン
16,17 円板
20 中空な支柱
21 小孔
22 ピン
23,24 円板
25 長孔
30 ボトルホルダ
31 水平板部
32 垂直板部
33 蝶番
34 保持穴
35,36,37 磁石
38 結合穴
40 ペダル
41 凹部
42 長孔
43 サイドプレート
44,45 スタッドボルト
50 台座(ベース)
51 丸穴
52 支持部
53 蝶番
54,55 スタッドボルト
56,57 スプリング
58 折曲部
60 消毒液ボトル
61 ノズル
70 プレート
80 拘束具
A 壁面
B 床面