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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20250311BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 176
G03G15/08 390A
G03G15/08 340
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021103399
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023002265
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2024-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】孫 撃
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-202903(JP,A)
【文献】特開2020-160280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0301753(US,A1)
【文献】国際公開第2020/194767(WO,A1)
【文献】特開2013-250460(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02626751(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第112506015(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102017106464(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムを有するドラムユニットと、
前記感光体ドラムと互いの外周面を対向させて配置される現像ローラーを有する現像装置と、
前記現像装置が着脱され、前記現像ローラーを前記感光体ドラムに対して接近及び離間させるように揺動する現像ホルダーと、
前記現像ローラーの軸方向にスライドするスライド部材と、
前記現像装置が挿入される開口部と、
前記開口部にヒンジを介して結合され、前記スライド部材が連結されたカバーと、を備え

前記カバーを閉じる動作に連動して前記スライド部材が第1位置から第2位置へスライドし、前記カバーを開ける動作に連動して前記スライド部材が前記第2位置から前記第1位置へスライドし、
前記スライド部材の前記第1位置から前記第2位置へのスライドに連動して前記現像ローラーが前記感光体ドラムに接近するように前記現像ホルダーが揺動し、
前記スライド部材の前記第2位置から前記第1位置へのスライドに連動して前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像ホルダーが揺動し、
前記スライド部材の前記カバー側の端部から前記ヒンジの軸方向に突出したボスと、
前記カバーの内側に設けられ、前記カバーの開閉時に前記カバーとともに揺動するリンク部材と、
前記リンク部材に設けられ、前記カバーの開閉時に前記ボスの先端部に対して摺動する溝と、を備え、
前記溝は、
前記ヒンジの軸を中心とする円弧状の第1区間と、
前記第1区間の前記カバー側の端部と連続し、前記第1区間よりも曲率半径の小さい第2区間と、を備え、
全開位置から前記全開位置と全閉位置との間の所定位置までの範囲内で前記カバーを揺動させる場合に、前記スライド部材が前記第1位置に位置したまま、前記第1区間が前記ボスに対して摺動し、
前記所定位置から前記全閉位置までの範囲内で前記カバーを揺動させる場合に、前記第2区間が前記ボスに対して摺動することで、前記スライド部材が前記第1位置と前記第2位置との間をスライドすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記スライド部材は、前記現像ホルダーの下方に設けられ、
前記現像ホルダーは、下方に突出した第1凸部を備え、
前記スライド部材は、上方に突出した第2凸部を備え、
前記スライド部材が前記第1位置に位置する場合に、前記第1凸部は前記第2凸部と接触せず、
前記スライド部材が前記第1位置から前記第2位置にスライドした場合に、前記第1凸部が前記第2凸部を押し退けることで、前記現像ローラーが前記感光体ドラムに接近するように前記現像ホルダーを揺動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラムと現像装置を備える。感光体ドラムは、寿命に達した場合に交換する必要がある。現像装置は、定期的なメンテナンスが必要である。そのため、感光体ドラムを含むドラムユニットと現像装置とを個別に画像形成装置本体に対して着脱可能な構成とすることが一般的である。例えば、特許文献1に記載された画像形成装置は、ドラムユニット及び現像装置を個別に着脱可能に支持するユニット支持フレームと、ユニット支持フレームに設けられ、感光体ドラムに対して現像ローラーを接近または離間する方向に揺動可能に現像装置を保持する現像ホルダーと、を備え、現像ホルダーは、現像装置に動力を伝達する駆動歯車と、現像ローラーの軸線方向と平行に延びる回転軸線を有し、ユニット支持フレームに対して回転可能に支持される一対の揺動軸部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-201459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された画像形成装置は、現像装置を揺動させるカムと、カバーの開閉とカムの動作を連動させる歯車を備えるため、部品数が増加し、コストが高くなる。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、簡潔な構成により現像装置の位置決めを容易且つ正確に行うことのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、感光体ドラムを有するドラムユニットと、前記感光体ドラムと互いの外周面を対向させて配置される現像ローラーを有する現像装置と、前記現像装置が着脱され、前記現像ローラーを前記感光体ドラムに対して接近及び離間させるように揺動する現像ホルダーと、前記現像ローラーの軸方向にスライドするスライド部材と、を備え、前記スライド部材の第1位置から第2位置へのスライドに連動して前記現像ローラーが前記感光体ドラムに接近するように前記現像ホルダーが揺動し、前記スライド部材の前記第2位置から前記第1位置へのスライドに連動して前記現像ローラーが前記感光体ドラムから離間するように前記現像ホルダーが揺動することを特徴とする。
【0007】
前記スライド部材は、前記現像ホルダーの下方に設けられ、前記現像ホルダーは、下方に突出した第1凸部を備え、前記スライド部材は、上方に突出した第2凸部を備え、前記スライド部材が前記第1位置に位置する場合に、前記第1凸部は前記第2凸部と接触せず、前記スライド部材が前記第1位置から前記第2位置にスライドした場合に、前記第1凸部が前記第2凸部を押し退けることで、前記現像ローラーが前記感光体ドラムに接近するように前記現像ホルダーを揺動させるように構成されていてもよい。
【0008】
前記画像形成装置は、前記現像装置が挿入される開口部と、前記開口部にヒンジを介して結合され、前記スライド部材が連結されたカバーと、を備え、前記カバーを閉じる動作に連動して前記スライド部材が前記第1位置から前記第2位置へスライドし、前記カバーを開ける動作に連動して前記スライド部材が前記第2位置から前記第1位置へスライドするように構成されていてもよい。
【0009】
前記画像形成装置は、前記スライド部材の前記カバー側の端部から前記ヒンジの軸方向に突出したボスと、前記カバーの内側に設けられ、前記カバーの開閉時に前記カバーとともに揺動するリンク部材と、前記リンク部材に設けられ、前記カバーの開閉時に前記ボスの先端部に対して摺動する溝と、を備え、前記溝は、前記ヒンジの軸を中心とする円弧状の第1区間と、前記第1区間の前記カバー側の端部と連続し、前記第1区間よりも曲率半径の小さい第2区間と、を備え、全開位置から前記全開位置と全閉位置との間の所定位置までの範囲内で前記カバーを揺動させる場合に、前記スライド部材が前記第1位置に位置したまま、前記第1区間が前記ボスに対して摺動し、前記所定位置から前記全閉位置までの範囲内で前記カバーを揺動させる場合に、前記第2区間が前記ボスに対して摺動することで、前記スライド部材が前記第1位置と前記第2位置との間をスライドするように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡潔な構成により現像装置の位置決めを容易且つ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る作像装置と内カバーの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る作像装置と内カバーの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るドラムユニットの斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る現像装置の斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る作像装置の構成を模式的に示す正面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る作像装置の構成を模式的に示す正面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るユニット支持フレームに現像ホルダーが装着されている様子を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係るユニット支持フレームの斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係る現像ホルダーと下段レールの斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係る現像ホルダーと上段レールと下段レールの斜視図である。
図13】本発明の一実施形態に係る下段レールと現像装置の断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る下段レールと現像装置の断面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る下段レールと現像装置の断面図である。
図16】本発明の一実施形態に係るリンク部材の側面図である。
図17】本発明の一実施形態に係るリンク部材の側面図である。
図18】本発明の一実施形態に係るリンク部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る画像形成装置100について説明する。
【0013】
最初に、画像形成装置100の全体の構成について説明する。図1は、画像形成装置100の外観を示す斜視図である。図2は、画像形成装置100の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、図2における紙面手前側を画像形成装置100の正面側(前側)とし、左右の向きは画像形成装置100を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0014】
画像形成装置100は、プリンター1と、スキャナー110と、原稿搬送装置120と、を備える。プリンター1の上方にスキャナー110が設けられ、スキャナー110の上方に原稿搬送装置120が設けられている。原稿搬送装置120は、スキャナー110の読取位置を経由する搬送路に沿って原稿を搬送する。スキャナー110は、フラットベッド型のイメージスキャナーであり、原稿を読み取って画像データを生成する。プリンター1は、画像データに基づく画像をシートSに形成する。
【0015】
プリンター1とスキャナー110は、ハウジング3により一体化されている。ハウジング3の内部の下部には、シートSが収容される給紙カセット4と、給紙カセット4からシートSを右方に送り出す給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4の上方には、電子写真方式にてトナー像を形成する作像装置6が設けられ、作像装置6の右上方には、トナー像をシートSに定着させる定着装置7が設けられている。定着装置7の上方には、トナー像が定着されたシートSを排出する排紙ローラー8と、排出されたシートSが積載される排紙トレイ9が設けられている。
【0016】
ハウジング3の内部には、給紙ローラー5から作像装置6、定着装置7を経て排紙ローラー8に至る搬送路10が設けられている。搬送路10は、シートSを通過させる間隙を空けて互いに対向する板状部材を主体として形成されており、シートSを挟持して搬送する搬送ローラー17が搬送方向Yの複数箇所に設けられている。作像装置6よりも搬送方向Y上流側には、レジストローラー18が設けられている。定着装置7の右方には、定着装置7よりも搬送方向Y下流側で搬送路10から分岐し、レジストローラー18よりも搬送方向Y上流側で搬送路10に合流する反転搬送路10Rが設けられている。
【0017】
作像装置6は、光の照射により電位が変化する感光体ドラム11、感光体ドラム11を帯電させる帯電装置12、画像データに応じたレーザー光を出射する露光装置13、感光体ドラム11にトナーを供給する現像装置14、感光体ドラム11からシートSへトナー像を転写する中間転写ユニット15、及び、感光体ドラム11に残留したトナーを除去するクリーニング装置16を備える。中間転写ユニット15は、駆動ローラー15Dと従動ローラー15Nに巻き掛けられた無端の中間転写ベルト15B、感光体ドラム11に対応する位置で中間転写ベルト15Bの内周面に対向し、一次転写バイアスを発生する一次転写ローラー151、及び、駆動ローラー15Dに対応する位置で中間転写ベルト15Bの外周面に対向し、二次転写バイアスを発生する二次転写ローラー152を備える。現像装置14には、現像装置14にトナーを供給するトナーコンテナ20が接続されている。
【0018】
作像装置6は、感光体ドラム11、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、一次転写ローラー151、クリーニング装置16及びトナーコンテナ20を4組備え、4色のトナー像を中間転写ベルト15Bに重ねることでカラー画像を形成する。なお、3色以下又は5色以上のトナーでカラー画像を形成する画像形成装置に本発明が適用されてもよい。
【0019】
制御部2は、演算部と記憶部とを備える。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。演算部は、記憶部に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いずに、集積回路のみによって実現されてもよい。
【0020】
スキャナー110の前側には、操作パネル19が設けられている。操作パネル19は、表示パネルと、表示パネルの表示面に重ねて設けられたタッチパネルと、表示パネルに隣接するキーパッドと、を備える。制御部2は、プリンター1及びスキャナー110の操作メニューやステータス等を表す画面を表示パネルに表示させ、タッチパネル及びキーパッドで検知された操作に応じてプリンター1及びスキャナー110の各部を制御する。
【0021】
プリンター1の基本的な画像形成動作は、次のとおりである。外部のコンピューター等からプリンター1に片面印刷の印刷ジョブが入力されると、給紙ローラー5が給紙カセット4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー18がシートSの斜行を補正し、レジストローラー18が所定のタイミングで作像装置6にシートSを送り出す。作像装置6においては、帯電装置12が感光体ドラム11を所定の電位に帯電させ、露光装置13が感光体ドラム11に潜像を書き込み、現像装置14がトナーコンテナ20から供給されたトナーを用いて潜像を現像することでトナー像を形成し、一次転写ローラー15Aがトナー像を中間転写ベルト15Bに転写し、二次転写ローラー15Cがトナー像をシートSに転写する。続いて、定着装置7がシートSを挟持して搬送しながらトナー像を溶融させることでトナー像をシートSに定着させ、排紙ローラー8が排紙トレイ9にシートSを排出する。クリーニング装置16は、感光体ドラム11に残留したトナーを除去する。両面印刷の場合、第1面にトナー像が定着されたシートSが反転搬送路10Rを経由して搬送路10に送り込まれることで、第2面にトナー像が転写される。
【0022】
次に、作像装置6について詳細に説明する。図3は、作像装置6と内カバー3Cの斜視図である(内カバー3Cが閉じられた状態)。図4は、作像装置6と内カバー3Cの斜視図である(内カバー3Cが開けられた状態)。図5は、ドラムユニット50の斜視図である。図6は、現像装置14の斜視図である。図7、8は、作像装置6の構成を模式的に示す正面図である(露光装置13を除く)。
【0023】
[内カバー]
ハウジング3の正面の給紙カセット4の上方には、開口部3Aと、開口部3Aを塞ぐ外カバー3Bが設けられている(図1参照)。外カバー3Bを開ける(又は、取り外す)ことで開口部3Aが開放され、内カバー3C(カバーの一例)が露出される(図3、4参照)。内カバー3Cの下端部は、左右方向を軸方向とするヒンジ3Hを介して開口部3Aに結合されている。内カバー3Cの後方には、着脱可能な4組のドラムユニット50と現像装置14が設けられている。
【0024】
[ドラムユニット]
ドラムユニット50(図5、7参照)は、感光体ドラム11と帯電装置12とクリーニング装置16とを一体化したものである。ドラムユニット50の下部は、前後方向を長手方向とする箱状に形成されており、その内部に帯電装置12が収容されている。帯電装置12の上方には感光体ドラム11が設けられ、感光体ドラム11の右方にクリーニング装置16が設けられている。
【0025】
[現像装置]
現像装置14(図6、7参照)は、軸周りに回転して現像剤を撹拌する2つのスクリュー33と、スクリュー33の上方において現像剤を保持する現像ローラー32と、スクリュー33と現像ローラー32とを収容し、現像ローラー32の外周面の一部が露出される開口部35を備えるハウジング31と、開口部35の下方に配置され、現像ローラー32に保持された現像剤の層厚を規制するブレード34と、を備える。現像ローラー32とスクリュー33は、いずれも前後方向を軸方向として配置されている。
【0026】
現像剤は、例えば磁性を有するキャリアと非磁性のトナーとを含む2成分現像剤である。2つのスクリュー33は、ハウジング31の内部に互いに平行に左右に並べて配置され、互いに逆方向に現像剤を搬送する。2つのスクリュー33の間には、隔壁部36が設けられている。隔壁部36の前端部とハウジング31の内面との間、及び、隔壁部36の後端部とハウジング31の内面との間には間隙が設けられており、現像剤は間隙を通って隔壁部36の周囲を循環する。スクリュー33によって現像剤が撹拌されることでトナーが摩擦帯電する。
【0027】
現像ローラー32は、右側のスクリュー33の上方に平行に配置されている。現像ローラー32は、永久磁石と、永久磁石の周囲を覆う非磁性材料によって形成された現像スリーブと、を備える(図示省略)。現像ローラー32の後端部には、従動ギア32Gが設けられている。開口部35は、ハウジング31の上部の右側に形成され、開口部35から露出された現像ローラー32の外周面が感光体ドラム11の外周面に対向している。現像剤は、現像ローラー32の表面に磁気ブラシの層を形成する。ブレード34は、先端部を現像ローラー32と所定の間隔を空けて配置されており、磁気ブラシの層厚を所定の厚さに整える。
【0028】
現像ローラー32の両端部には、現像スリーブよりも径の大きい環状の間隔規制部材32Sが設けられている。間隔規制部材32Sが感光体ドラム11の外周面に接触することで、現像スリーブの外周面と感光体ドラム11の外周面とが所定の間隔を空けて対向する。
【0029】
次に、現像装置14を位置決めする構成について説明する。図9は、ユニット支持フレーム60に現像ホルダー70が装着されている様子を示す斜視図である。図10は、ユニット支持フレーム60の斜視図である。図11は、現像ホルダー70と下段レール42の斜視図である。図12は、現像ホルダー70と上段レール41と下段レール42の斜視図である。図13は、下段レール42と現像装置14の断面図である(内カバー3Cが全閉の状態)。図14は、下段レール42と現像装置14の断面図である(内カバー3Cが全閉と全開の間の所定位置の状態)。図15は、下段レール42と現像装置14の断面図である(内カバー3Cが全開の状態)。なお、図13乃至15は、左側のスクリュー33の軸に沿う断面を示している。図16乃至18は、リンク部材43の側面図である。
【0030】
画像形成装置100は、感光体ドラム11を有するドラムユニット50と、感光体ドラム11と互いの外周面を対向させて配置される現像ローラー32を有する現像装置14と、現像装置14が着脱され、現像ローラー32を感光体ドラム11に対して接近及び離間させるように揺動する現像ホルダー70と、現像ローラー32の軸方向にスライドする下段レール42(スライド部材の一例)と、を備え、下段レール42の第1位置から第2位置へのスライドに連動して現像ローラー32が感光体ドラム11に接近するように現像ホルダー70が揺動し、下段レール42の第2位置から第1位置へのスライドに連動して現像ローラー32が感光体ドラム11から離間するように現像ホルダー70が揺動する。
【0031】
[ユニット支持フレーム]
ユニット支持フレーム60(図9、10参照)は、4組のドラムユニット50と現像装置14を支持する部材である。ユニット支持フレーム60は、概ね矩形の板状の底部60Bを有し、ハウジング3に固定されている。ユニット支持フレーム60の上面には、ドラムユニット支持部62と、ホルダー支持部61と、下段レール支持部63と、が設けられている。
【0032】
ドラムユニット支持部62は、ドラムユニット50の下部が嵌合する凹形の部分である。ドラムユニット支持部62の左方に、ドラムユニット50と対をなす現像装置14を支持する現像ホルダー70が設けられる。現像ホルダー70は、ホルダー支持部61によって支持される。ホルダー支持部61は、現像ホルダー70の前後方向の2箇所を支持する第1支点611及び第2支点612を備える。ユニット支持フレーム60の後端部には、上方に直立した壁部60Wが設けられている。第1支点611は、壁部から前方に突出した円柱形の軸である。第2支点612は、第1支点611よりも前方に設けられた直立した板状の部材であり、前後方向に貫通した円形の穴を備える。第1支点611の軸の中心線は、第2支点612の穴の中心を通っている。下段レール支持部63は、ホルダー支持部61の上面の左側の部分に設けられ、後述する下段レール42の左右の側面に接触することで、下段レール42を前後方向にスライド可能に支持する。
【0033】
[現像ホルダー]
現像ホルダー70(図11、12参照)は、現像装置14の後端部が接続される軸方向接続部71と、現像装置14の底部を支持する底部支持部72と、を備える。軸方向接続部71は、現像装置14の後端部に対向し、駆動ギア71Gを備える。駆動ギア71Gは、減速ギアを介してモーターによって駆動される(図示省略)。底部支持部72は、前後方向を長手方向とする概ね矩形の板状の部材であり、現像装置14の左右方向の位置ずれを規制する壁部を備える。
【0034】
底部支持部72の右端部に第1支点721と第2支点722が設けられている。第1支点721は、ユニット支持フレーム60の第1支点611が嵌合する円形の穴である。第2支点722は、ユニット支持フレーム60の第2支点612に嵌合する円柱状の軸である。現像装置14のハウジング31の前端部の右下部には、支点37が設けられている。支点37は、例えば、前後方向に貫通した穴である。支点37は、現像ホルダー70の第2支点722に外嵌めされる。現像ホルダー70及び現像装置14は、第1支点721及び第2支点722を中心として揺動可能である。
【0035】
現像装置14は、前方から現像ホルダー70に押し込むことによって現像ホルダー70に取り付けられる。このとき、現像ローラー32の従動ギア32Gが現像ホルダー70の駆動ギア71Gに噛み合わされる。現像装置14は、現像ホルダー70から前方に引き出すことによって現像ホルダー70から取り外される。
【0036】
[上段レール、下段レール]
上段レール41と下段レール42(図11乃至15参照)は、全体として前後方向を長手方向とする棒状の部材である。上段レール41は、現像ホルダー70の下面の左側の部分に固定されている。前述のとおり、下段レール42は、ユニット支持フレーム60の上面にスライド可能に設けられている。上段レール41と下段レール42は上下方向に対向している。
【0037】
上段レール41は、矩形断面の本体部41Mを有する。本体部41Mの下面には、現像ホルダー70の前後方向の中央部よりも若干後寄りの位置に、下方に突出した第1凸部41Tが設けられている。第1凸部41Tは、左右の側面、前面、後面、下面を有し、前面は、上端部が下端部よりも前方に位置するように傾斜している。第1凸部41Tの前方に隣接して、前後方向に細長い凹部41Uが設けられている。凹部41Uの左右方向の幅は、第1凸部41Tの幅よりも狭い。
【0038】
上段レール41の下面には、凹部41Uよりも前方に、ガイド部材41Gが設けられている。ガイド部材41Gは、溝形部材41GUと、左右方向を長手方向とする棒状部材41GBと、を備える。溝形部材41GUは、天板部と、左右の側壁部と、を有し、天板部が上段レール41の下面に固定されている。棒状部材41GBは、溝形部材41GUの内部に設けられ、棒状部材41GBの左右両端部が、溝形部材41GUの左右の側壁部に支持されている。
【0039】
下段レール42は、矩形断面の本体部42Mを有する。本体部42Mの前端部は、下方に折れ曲がった形状をなしており、右方に突出したボス42Bを備える。下段レール42の上面には、上方に突出した第2凸部42Tが設けられている。第2凸部42Tは、左右の側面、前面、後面、上面を有し、後面は、上端部が下端部よりも前方に位置するように傾斜している。第2凸部42Tの左右方向の幅は、上段レール41の凹部41Uの幅よりも若干狭く、第2凸部42Tは、凹部41Uに進入可能である。
【0040】
下段レール42には、上段レール41のガイド部材41Gの棒状部材41GBを挿入可能な切欠部42Kが設けられている。切欠部42Kは、前後方向(現像ローラー32の軸方向)に延びる軸方向部42KAと、第1凸部41Tの前面及び第2凸部42Tの後面と同様に傾斜した傾斜部42KSと、を備える。
【0041】
[リンク部材]
リンク部材43(図16乃至18参照)は、内カバー3Cの内側に固定されており、内カバー3Cの開閉時に内カバー3Cとともに揺動する。リンク部材43は、内カバー3Cのヒンジ3Hと同軸に支持される軸穴部43Aと、内カバー3Cの開閉時にボス42Bの先端部に対して摺動する溝43Vと、を備える。溝43Vは、ヒンジ3Hの軸を中心とする円弧状の第1区間43V1と、第1区間43V1と連続し、第1区間43V1よりも曲率半径の小さい第2区間43V2と、を有する。第2区間43V2は、第1区間43V1の内カバー3C側の端部とつながっている。
【0042】
次に、内カバー3Cの開閉動作について説明する。図15、18は、内カバー3Cを全開にした状態を示している。現像装置14は、内カバー3Cを全開にした状態で着脱される。下段レール42のボス42Bは、リンク部材43の溝43Vの第1区間43V1の現像装置14側の端部に位置している。このとき、下段レール42は、最も前方に引き出された位置にある。この位置を第1位置という。
【0043】
第1位置においては、下段レール42の第2凸部42Tは、上段レール41の第1凸部41Tよりも前方に位置し、上段レール41の凹部41Uに進入している。つまり、第2凸部42Tは、第1凸部41Tと接触していない。また、上段レール41のガイド部材41Gの棒状部材41GBは、下段レール42の切欠部42Kの軸方向部42KAに位置している。このとき、上段レール41は、下段レール42に最も接近した状態にあり、図8に示されるように、現像ローラー32が感光体ドラム11から最も離間している。
【0044】
図14、17は、43V溝の第1区間43V1と第2区間43V2の境界付近にボス42Bが位置する状態を示している。このときの内カバー3Cの位置を所定位置と呼ぶ。全開位置から所定位置までの範囲内で内カバー3Cを揺動させる場合に、下段レール42が第1位置に位置したまま、第1区間43V1がボス42Bに対して摺動する。下段レール42は移動しないため、上段レール41との相対的な位置関係も変化せず、現像ホルダー70の姿勢も変化しない。
【0045】
図13、16は、内カバー3Cを全閉にした状態を示している。所定位置から全閉位置に内カバー3Cを閉じる場合、ボス42Bが溝43Vの第2区間43V2に進入するため、第2区間43V2の外周部によってボス42Bが後方に押され、下段レール42も後方に移動する。内カバー3Cを全閉にすると、下段レール42が最も後方に押し込まれた位置となる。この位置を第2位置という。
【0046】
第1位置(図15参照)から第2位置(図13参照)に下段レール42が移動する場合、第2凸部42Tの後面が第1凸部41Tの前面に対して摺動しながら後方に移動する。また、上段レール41のガイド部材41Gの棒状部材41GBは、下段レール42の切欠部42Kの傾斜部42KSに対して摺動しながら後方に移動する。そのため、上段レール41が徐々に押し上げられ、第1凸部41Tの下面が第2凸部42Tの上面に乗り上げ、棒状部材41GBが下段レール42の上面に乗り上げる。このとき、上段レール41は下段レール42から最も離間した状態にあり、図7に示されるように、現像ローラー32が感光体ドラム11に最も接近している。
【0047】
全閉位置(図13参照)から所定位置(図14参照)に内カバー3Cを開ける場合、溝43Vの第2区間43V2の内周部によってボス42Bが前方に押され、下段レール42も前方に移動する。内カバー3Cが所定位置に到達すると、下段レール42が第1位置に到達する。第2位置から第1位置に下段レール42が移動する場合、第2凸部42Tの後面が第1凸部41Tの前面に対して摺動しながら前方に移動する。棒状部材41GBは、切欠部42Kの傾斜部42KSに対して摺動しながら前方に移動する。そのため、上段レール41が徐々に下降し、全開位置(図15参照)に戻る。
【0048】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置100によれば、感光体ドラム11を有するドラムユニット50と、感光体ドラム11と互いの外周面を対向させて配置される現像ローラー32を有する現像装置14と、現像装置14が着脱され、現像ローラー32を感光体ドラム11に対して接近及び離間させるように揺動する現像ホルダー70と、現像ローラー32の軸方向にスライドする下段レール42(スライド部材の一例)と、を備え、下段レール42の第1位置から第2位置へのスライドに連動して現像ローラー32が感光体ドラム11に接近するように現像ホルダー70が揺動し、下段レール42の第2位置から第1位置へのスライドに連動して現像ローラー32が感光体ドラム11から離間するように現像ホルダー70が揺動する。よって、簡潔な構成により現像装置14の位置決めを容易且つ確実に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、下段レール42は、現像ホルダー70の下方に設けられ、現像ホルダー70は、下方に突出した第1凸部41Tを備え、下段レール42は、上方に突出した第2凸部42Tを備え、下段レール42が第1位置に位置する場合に、第1凸部41Tは第2凸部42Tと接触せず、下段レール42が第1位置から第2位置にスライドした場合に、第1凸部41Tが第2凸部42Tを押し退けることで、現像ローラー32が感光体ドラム11に接近するように現像ホルダー70を揺動させる。よって、簡潔な構成により下段レール42のスライドに連動させて現像ホルダー70を揺動させることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、現像装置14が挿入される開口部3Aと、開口部3Aにヒンジ3Hを介して結合され、下段レール42が連結された内カバー3C(カバーの一例)と、を備え、内カバー3Cを閉じる動作に連動して下段レール42が第1位置から第2位置へスライドし、内カバー3Cを開ける動作に連動して下段レール42が第2位置から第1位置へスライドする。よって、内カバー3Cを開閉するだけで現像装置14の位置決めを容易且つ正確に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、下段レール42の内カバー3C側の端部からヒンジ3Hの軸方向に突出したボス42Bと、内カバー3Cの内側に設けられ、内カバー3Cの開閉時に内カバー3Cとともに揺動するリンク部材43と、リンク部材43に設けられ、内カバー3Cの開閉時にボス42Bの先端部に対して摺動する溝43Vと、を備え、溝43Vは、ヒンジ3Hの軸を中心とする円弧状の第1区間43V1と、第1区間43V1の内カバー3C側の端部と連続し、第1区間43V1よりも曲率半径の小さい第2区間43V2と、を備え、全開位置から全開位置と全閉位置との間の所定位置までの範囲内で内カバー3Cを揺動させる場合に、下段レール42が第1位置に位置したまま、第1区間43V1がボス42Bに対して摺動し、所定位置から全閉位置までの範囲内で内カバー3Cを揺動させる場合に、第2区間43V2がボス42Bに対して摺動することで、下段レール42が第1位置と第2位置との間をスライドする。よって、内カバー3Cを開閉する力の軸方向の分力が大きい状態で下段レール42のスライドが行われるから、内カバー3Cを開閉する労力を軽減することができる。
【0052】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0053】
上記実施形態では、第2凸部42Tの後面が第1凸部41Tの前面に対して摺動する例が示されたが、下段レール42の後端部を第2凸部42Tの後面と同様に傾斜させ、下段レール42の後端部が第1凸部41Tの前面に対して摺動するように構成されていてもよい。この場合、第2凸部42Tは不要である。この構成によっても、上記実施形態と同様の機能が実現される。
【0054】
上記実施形態では、上段レール41の下面に第1凸部41Tが設けられている例が示されたが、上段レール41を設けずに、現像ホルダー70の下面に第1凸部41Tが設けられていてもよい。この構成によっても、上記実施形態と同様の機能が実現される。
【0055】
上記実施形態では、リンク部材43が、内カバー3Cのヒンジ3Hと同軸に支持される軸穴部43Aを備えている例が示されたが、リンク部材43は軸穴部43Aを備えていなくてもよい。この構成によっても、上記実施形態と同様の機能が実現される。なお、軸穴部43Aを備えている方が、開閉時の内カバー3Cの変形を抑制することができる。
【0056】
上記実施形態では、外カバー3Bの後方に内カバー3Cを備える例が示されたが、外カバー3Bが内カバー3Cを兼ねていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
100 画像形成装置
11 感光体ドラム
14 現像装置
3A 開口部
3C 内カバー(カバー)
3H ヒンジ
32 現像ローラー
41T 第1凸部
42 下段レール(スライド部材)
42T 第2凸部
42B ボス
43 リンク部材
43V 溝
43V1 第1区間
43V2 第2区間
50 ドラムユニット
70 現像ホルダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
図18