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特許7647569SEPICコンバータの同期整流素子の駆動用電源
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】SEPICコンバータの同期整流素子の駆動用電源
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
H02M3/155 X
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021561682
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2020047724
(87)【国際公開番号】W WO2022137292
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108866
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝
(72)【発明者】
【氏名】麻生 真司
(72)【発明者】
【氏名】姚 剣▲敖▼
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第7352158(US,B2)
【文献】特開2009-65781(JP,A)
【文献】特開2017-69180(JP,A)
【文献】特開2019-58016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源とカップリングコンデンサの第1端子間に接続された第1インダクタと、
前記カップリングコンデンサの第1端子と接地間に接続された第1スイッチング素子と、
前記カップリングコンデンサの第2端子と前記接地間に接続された第2インダクタと、
前記カップリングコンデンサの第2端子と出力端子間に接続された第2スイッチング素子と、
前記第2スイッチング素子を駆動するための駆動手段と、
前記駆動手段へ電源供給するための駆動電圧と、を備えた同期整流型SEPIC回路で構成されたDC-DCコンバータにおいて、
出力電圧が前記駆動電圧よりも高い設定に応じて、前記出力電圧または前記出力電圧より高い電圧源から前記駆動手段へ電源供給を行うように接続を切替え、前記出力電圧が前記駆動電圧よりも低い設定に応じて、前記駆動電圧から前記駆動手段へ電源供給を行うように接続を切替える駆動電圧切替手段と、
前記出力電圧を検知し、前記出力電圧をデジタル変換値に変換するADコンバータと、
出力目標値と前記デジタル変換値との差分値を出力する減算器と、
前記差分値に基づいて演算値を演算するフィルタ演算手段と、
前記演算値に応じたデューティを持つPMW信号を生成するPMW信号生成手段と、を備え、
前記駆動手段は、前記駆動電圧切替手段から供給された電圧及び前記PMW信号に基づいて前記第2スイッチング素子を駆動するための駆動信号を出力することを特徴とするDC-DCコンバータ。
【請求項2】
前記駆動電圧切替手段は、前記駆動電圧と前記駆動手段の間に接続された第1整流手段と、前記出力電圧と前記駆動手段の間に接続された第2整流手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項3】
前記駆動電圧切替手段は、前記駆動電圧と前記駆動手段の間に接続された第1整流手段と、前記出力電圧と前記駆動手段の間に接続された第2整流手段を備え
前記第2整流手段は、前記カップリングコンデンサの第2端子と前記第2スイッチング素子との接続点に接続されることを特徴とする請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項4】
前記DC-DCコンバータは、第3インダクタと、第2整流手段と、を含み、
前記第3インダクタは、前記カップリングコンデンサの第2端子と接続された前記第2インダクタとの接続点と前記第2スイッチング素子との間に接続され、
前記第2整流手段は、前記カップリングコンデンサの第2端子及び前記第2インダクタの接続点と前記駆動手段とに接続されることを特徴とする請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項5】
前記DC-DCコンバータは、第3インダクタと、第2整流手段と、を含み、
前記第3インダクタの一方は前記カップリングコンデンサの第2端子と接続され、他方は前記第2インダクタと前記第2スイッチング素子とに接続され、
前記第2整流手段は、前記カップリングコンデンサの第2端子及び前記第3インダクタの接続点と前記駆動手段とに接続されることを特徴とする請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項6】
入力電源とカップリングコンデンサの第1端子間に接続された第1インダクタと、
前記カップリングコンデンサの第1端子と接地間に接続された第1スイッチング素子と、
前記カップリングコンデンサの第2端子と前記接地間に接続された第2インダクタと、
前記カップリングコンデンサの第2端子と出力端子間に接続された第2スイッチング素子と、
前記第2スイッチング素子を駆動するための駆動手段と、
前記駆動手段へ電源供給するための駆動電圧と、を備えた同期整流型SEPIC回路で構成されたDC-DCコンバータにおいて、
前記カップリングコンデンサの第1端子における電位に係る電圧が前記駆動電圧よりも高い設定に応じて、前記電圧または前記電圧より高い電圧源から前記駆動手段へ電源供給を行うように接続を切替え、前記電圧が前記駆動電圧よりも低い設定に応じて、前記駆動電圧から前記駆動手段へ電源供給を行うように接続を切替える駆動電圧切替手段と、
出力電圧を検知し、前記出力電圧をデジタル変換値に変換するADコンバータと、
出力目標値と前記デジタル変換値との差分値を出力する減算器と、
前記差分値に基づいて演算値を演算するフィルタ演算手段と、
前記演算値に応じたデューティを持つPMW信号を生成するPMW信号生成手段と、を備え、
前記駆動手段は、前記駆動電圧切替手段から供給された電圧及び前記PMW信号に基づいて前記第2スイッチング素子を駆動するための駆動信号を出力し、
前記駆動電圧切替手段は、前記駆動電圧と前記駆動手段の間に接続された第1整流手段と、
前記カップリングコンデンサの第1端子と前記第1スイッチング素子との接続点と前記駆動手段の間に接続された第2整流手段を備えたことを特徴とするDC-DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SEPIC回路で構成されたDC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のバッテリーなどの不安定な入力電源から安定した出力電圧を生成する手段として、昇降圧コンバータが使用されている。バッテリーの無駄な消耗を抑えるには電源回路の高効率化が必要であるが、図10に示すように、整流手段にPチャネルMOSFETを用いることで損失低減を実現した同期整流型SEPIC回路で構成されたDC-DCコンバータが、特許文献1、2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】JP5937442公報
【文献】US7,352,158公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、PチャネルMOSFET駆動回路の電源電圧を駆動電圧Vdrvから供給する構成のため、図11(1)に示すように、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvより低い場合には、同期整流用PチャネルMOSFETをオンオフ駆動できる。
しかし、図11(2)に示すように、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvより高い設定では、T2bのタイミングで第1駆動信号がLowからHighに切り替わりNチャネルMOSFET3のしきい値Vth_Nchを上回るためにNチャネルMOSFET3はオフからオンに切り変わる。一方、第2駆動信号がLowからHighに切り替わるがPチャネルMOSFET6のしきい値Vth_Pch(GND基準)を上回ることができないためにPチャネルMOSFET6はオンからオフに切り変わらない。このために出力電圧Vo端子からPchMOSFET6と第2インダクタ5を介してGNDへ電流が逆流してしまい、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvよりも上昇することができない。このために、出力電圧Voの設定を、駆動電圧Vdrvよりも低く制限しなければならない問題がある。
また、特許文献2には、同期整流用PチャネルMOSFETの駆動電圧を出力電圧とGND間から供給する構成が開示されている。これにより同期整流用PチャネルMOSFETの駆動回路を簡素化でき、駆動回路の駆動電圧よりも高い出力電圧Voを発生することができる。
しかし、同期整流用PチャネルMOSFETの駆動手段の出力段回路のオフ駆動側が抵抗で構成されているので、同期整流用PチャネルMOSFETのゲート―ソース間容量Cgsを高速に放電するが難しく、車載用途で求められる、例えば2MHz以上での高速なスイッチング動作への対応が困難な問題がある。その上、PチャネルMOSFETのオン抵抗値が低くなる程ゲート―ソース間容量Cgsは大きくなる傾向にある。
従って、大出力電流を供給する場合、ゲート―ソース間容量Cgsは大きくなり、スイッチング損失が増加する。仮にゲート抵抗を小さくしてスイッチング動作を早めたとしても、今度はゲート抵抗の損失が過大になってしまい、高速なスイッチング動作が困難になる。
【0005】
ここで、駆動手段に一般的なドライバIC(出力段がPチャネルMOSFETとNチャネルMOSFETの組み合わせで構成されたプッシュプル構成)を用いた場合でも、出力電圧設定値がドライバICの電源電圧値を上回る条件では十分な駆動電圧を供給できず、PチャネルMOSFETをオフ駆動できない問題を生じる。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明は、出力電圧設定範囲によらずSEPIC回路の同期整流用PチャネルMOSFETを制御できる駆動用電源を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様によれば、同期整流型SEPICであるDC-DCコンバータにおいて、同期整流用MOSトランジスタを駆動するための駆動回路の駆動電圧切替手段を備え、前記駆動電圧切替手段は、前記駆動回路へ電源供給するための駆動電圧が出力電圧より低い設定時に、前記駆動回路へ出力電圧から前記駆動回路へ電源供給するように接続切替し、前記駆動回路へ電源供給するための駆動電圧が出力電圧より高い設定時は、駆動電圧から電源供給するように接続切替する手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、駆動電圧と出力電圧のいずれかの高い電圧に切り替えて接続することで、同期整流用MOSトランジスタを駆動するための電源を確保することが可能になる。これにより、PチャネルMOSFETを確実にオフ駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るSEPIC回路で構成されたDC/DCコンバータを示す図である。
図2図2は、図1に示す本発明の実施形態1において、駆動電圧と出力電圧との電圧大小関係による第1駆動信号と第2駆動信号を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態2に係るSEPIC回路で構成されたDC/DCコンバータを示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態3に係るSEPIC回路で構成されたDC/DCコンバータを示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態4に係るSEPIC回路で構成されたDC/DCコンバータを示す図である。
図6図6は、図5に示す本発明の実施形態4において、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvより高い場合の第1駆動信号と第2駆動信号を示す図である。
図7図7は、図5に示す本発明の実施形態4において、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvより高い場合の各部の動作波形を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態5に係るSEPIC回路で構成されたDC/DCコンバータを示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態6に係るSEPIC回路で構成されたDC/DCコンバータを示す図である。
図10図10は、従来技術のSEPIC回路を示す図である。
図11図11は、図10に示す従来技術において、駆動電圧と出力電圧との電圧大小関係による第1駆動信号と第2駆動信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
図1の第1実施例は、第1インダクタ2、NチャネルMOSFET3、カップリングコンデンサ4、第2インダクタ5、PチャネルMOSFET6、出力コンデンサ7、出力負荷8、第1駆動手段9、第2駆動手段10、ADコンバータ11、減算器12、フィルタ演算手段13、PWM信号生成手段14、駆動電圧切替部15で構成されている。
また、駆動電圧切替部15は、スイッチ手段16、スイッチ手段17、および電圧切替制御手段18とで構成され、電圧切替制御手段18にて出力電圧Voと駆動電圧Vdrvを比較し、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvを下回っている場合にはスイッチ手段16をオン、スイッチ手段17をオフにする。これによって、第2駆動手段10はPチャネルMOSFET6を駆動電圧Vdrvで駆動する。
また、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvを上回っている場合にはスイッチ手段16をオフ、スイッチ手段17をオンにする。これによって、第2駆動手段10はPチャネルMOSFET4を出力電圧Voで駆動する。
なお、第1駆動手段1の電源端子には、駆動電圧Vdrvが供給され、PWM信号生成手段から出力される第1PWM信号を基にNチャネルMOSFET3を駆動する。ここで、NチャネルMOSFET3のソースはGND側に接続されるため、ゲート閾値電圧Vth_Nchは出力電圧Voに影響されない。
第2駆動手段10の電源端子には、駆動電圧切替部15を介して駆動電圧Vdrvまたは出力電圧Voの電圧が供給され、第2PWM信号を基にPチャネルMOSFET6を駆動する。
NチャネルMOSFET3がオン、且つ、PチャネルMOSET6がオフの期間に、第1インダクタ2と第2インダクタ5にエネルギーを励磁して、NチャネルMOSFET3がオフ、且つ、PチャネルMOSFET6がオンの期間に、励磁されたエネルギーを出力コンデンサ7と出力負荷8に対して供給することで出力電圧Voを発生する。
ADコンバータ11は、出力電圧Voを検出し、所定のビット数のデジタル値に変換し、デジタル変換値を減算器12に出力する。
減算器12は、出力目標値とデジタル変換値の差分値を発生し、フィルタ演算手段13に出力する。フィルタ演算手段13は、差分値を基にPIやPID演算を行い、演算値をPWM信号生成手段14へ出力する。
PWM信号生成手段14は演算値に応じたデュティーを持つ第1PWM信号と、第2PWM信号を生成する。
【0011】
次に、駆動電圧と出力電圧との電圧大小関係による第1駆動信号と第2駆動信号を示す図2のタイミングチャートを参照しながら詳細な全体動作を説明する。
ここで、第1インダクタ2と第2インダクタ5には、ほぼ等しいインダクタ値が選定されているものと仮定する。出力電圧Voの設定が駆動電圧Vdrvより低い場合は、第1駆動手段9の電源電圧には駆動電圧Vdrvが供給され、第2駆動手段10の電源電圧には駆動電圧切替部15のスイッチ手段16を介して駆動電圧Vdrvが供給される。
T1aのタイミングで第1駆動信号がHighからLowに切り替わりNチャネルMOSFET2のしきい値Vth_Nchを下回るためにNチャネルMOSFET2はオンからオフに切り変わる。また、第2駆動信号がHighからLowに切り替わりPチャネルMOSFET6のしきい値Vth_Pch(GND基準)を下回るためにPチャネルMOSFET4はオフからオンに切り変わる。
T2aのタイミングで第1駆動信号がLowからHighに切り替わりNチャネルMOSFET3のしきい値Vth_Nchを上回るためにNチャネルMOSFET3はオフからオンに切り変わる。また、第2駆動信号がLowからHighに切り替わりPチャネルMOSFET6のしきい値Vth_Pch(GND基準)を上回るためにPチャネルMOSFET6はオンからオフに切り変わる。
一方で出力電圧Voの設定が駆動電圧Vdrvより高い場合は、第1駆動手段の電源電圧には駆動電圧Vdrvが供給され、第2駆動手段10の電源電圧には駆動電圧切替部15のスイッチ手段17を介して出力電圧Voが供給される。
T1bのタイミングで第1駆動信号がHighからLowに切り替わりNチャネルMOSFET3のしきい値Vth_Nchを下回るためにNチャネルMOSFET3はオンからオフに切り変わる。また、第2駆動信号がHighからLowに切り替わりPチャネルMOSFET6のしきい値Vth_Pch(GND基準)を下回るためにPチャネルMOSFET6はオフからオンに切り変わる。
T2bのタイミングで第1駆動信号がLowからHighに切り替わりNチャネルMOSFET2のしきい値Vth_Nchを上回るためにNチャネルMOSFET2はオフからオンに切り変わる。また、第2駆動信号がLowからHighに切り替わりPチャネルMOSFET6のしきい値Vth_Pch(GND基準)を上回るためにPチャネルMOSFET6はオンからオフに切り変わる。
このように、先行技術1に対しては、出力電圧値に依らず最適な電源電圧を第2駆動手段に供給できるために広い出力電圧範囲で高効率な電源回路を構成できる。
また、先行技術2に対しては、第2駆動手段に出力段回路がPチャネルMOSFETとNチャネルMOSFETの組み合わせで構成されたプッシュプル出力の一般的なドライバICを用いることができるために高速な動作に対応でき、車載用途で求められる2MHz以上のスイッチング動作にも対応することができる。
また、第2駆動手段10と駆動電圧切替手段15を同一の半導体基板上に集積化することでコストダウンを実現することも可能である。さらに、インダクタ2とインダクタ5が一つのコア材で構成された素子を用いれば実装の集積化とコストダウンの効果をより得ることができる。
【0012】
(実施形態2)
図3に示す実施形態2は、図1の実施形態1に対して駆動電圧切替手段15から15aに変更になっているところが相違点である。駆動電圧切替手段15aはダイオード16aとダイオード17aとのカソードコモン接続で構成されている。
駆動電圧切替手段15aは、ダイオード16aとダイオード17aとのオア回路から構成され、出力電圧Voと駆動電圧Vdrvを比較し、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvを下回っている場合にはダイオード16aから第2駆動手段10の電源端子に対し駆動電圧Vdrvが供給される。これによって、PチャネルMOSFET6を駆動電圧Vdrvで駆動する。
また、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvを上回っている場合にはダイオード17aから第2駆動手段10の電源端子に対し出力電圧Voが供給される。これによって、PチャネルMOSFET6を出力電圧Voで駆動する。
実施形態2はダイオード16aまたは17aを介してPチャネルMOSFET6を駆動する構成であり、ダイオードの順方向電圧VFによる電圧降下が発生するため、低順方向電圧のショットキーダイオードなどを使用することが好ましい。
【0013】
(実施形態3)
図4に示す実施形態3は、図3の実施形態2に対して駆動電圧切替手段15aから15bに変更であり、駆動電圧切替手段15bに構成されているダイオード17bのアノード接続箇所の変更になっているところが相違点である。
実施形態3は、PチャネルMOSFET6のドレインとインダクタンス5、コンデンサ4の接続点にダイオード17bのアノードを接続し、カソードを駆動電圧Vdrvとオア接続にすることで、実施形態2よりも高い駆動電圧を生成できる。
PチャネルMOSFET6がオン動作している時のドレイン~ソース間の電圧降下が出力電圧Voに加算されるため、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvを上回っている場合には、実施形態2よりもダイオード17bから第2駆動手段10の電源端子に対し供給される電圧が、PチャネルMOSFET6のドレイン~ソース間のオン電圧分だけ高く供給できる効果がある。このため、オフ時のPチャネルMOSFET6のゲート端子電圧が、実施形態3よりも高くなり、ゲート端子容量をよりすばやく充電できるのでPチャネルMOSFET6を高速にオフすることが可能となる。
【0014】
(実施形態4)
図5に示す実施形態4は、図4の実施形態3に対して駆動電圧切替手段15bから15cに変更になり、インダクタンス5、コンデンサ4、ダイオード17cアノードとの接続点とPチャネルMOSFET6のドレイン端子間に、第3インダクタ20cを追加しているところが相違点である。ここで、第3インダクタ20cはフェライトビーズなどのインダクタンス値の小さいインダクタでよく、基板配線のインダクタンスなどで代替えしてもよい。
実施形態4では、PチャネルMOSFET6と直列にインダクタ20cを接続することで、第2駆動手段10の駆動出力のHigh側電圧を出力電圧Voより高く設定できるため、実施例3より高速なスイッチングが実現でき、より高効率な電源が構成できる。
図6は、出力電圧Voが駆動電圧Vdrvより高い場合の第1駆動信号と第2駆動信号を示す。図7は、同条件でのNチャネルMOSFET3、PチャネルMOSFET6、ダイオードD17cの動作波形図である。
図7に示す時刻T1cにてPチャネルMOSFET6がターンオフ、PチャネルMOSFET6がターンオンするとインダクタ20cに起電力が生じ、時刻T1´cの期間までダイオード17cを介してコンデンサ19に充電電流が流れる。これにより、図6に示すように、PチャネルMOSFET6の第2駆動信号のHigh側電圧を第3インダクタ20cによる充電電圧分だけ高く供給できる効果がある。このため、PチャネルMOSFET6のゲート端子容量をすばやく充電でき、PチャネルMOSFET6を高速にオフすることが可能となる。
【0015】
(実施形態5)
図8に示す実施形態5は、図5の実施形態4に対して駆動電圧切替手段15cから15dに変更になり、第3インダクタ20dの挿入個所をコンデンサ4と、第2インダクタ5とPチャネルMOSFET6のドレイン端子接続点の間に挿入したところが相違点である。また、駆動電圧切替手段15dのダイオード17dのアノードは、コンデンサ4と第2インダクタ5との接続点に接続される。ここで、実施形態4と同様に、第3インダクタ20dはフェライトビーズなどのインダクタンス値の小さいインダクタでもよく、基板配線のインダクタンスなどで代替えしてもよい。
実施形態5では、PチャネルMOSFET6と直列にインダクタ20dを接続することで、第2駆動手段10の駆動出力のHigh側電圧を出力電圧Voより高く設定できるため、実施例4と同等の効果を得られる。
【0016】
(実施形態6)
図9に示す実施形態6は、図3の実施形態2に対して駆動電圧切替手段15から15eに変更になり、駆動電圧切替手段15eのダイオード17eのアノード端子を出力電圧Vo接続から、インダクタンス3、コンデンサ4、NチャネルMOSFET3のドレイン端子との接続点に変更しているところが相違点である。
ここで、ダイオード17eのアノード端子電圧のパルス電圧値は入力電圧Viと出力電圧Voの和になり、PチャネルMOSFET6の第2駆動信号の電圧を入力電圧Vi分だけ高く供給できる。このため、オフ時のPチャネルMOSFET6のゲート端子電圧を出力電圧VOよりも高くでき、すばやくゲート端子容量を充電できるためにPチャネルMOSFET6を高速にオフすることが可能となる。
【0017】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための例示であって、個々の構成、組合せ等を上記のものに特定するものではない。本発明は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上のように、本発明に係る駆動用電源は、SEPICコンバータの同期整流素子の駆動用電源などに用いるのに好適である。従って、これを用いた車載装置の電源などに利用可能である。
【符号の説明】
【0019】
1、1a、1b、1c、1d、1e SEPICコンバータ
2 第1インダクタ
3 NチャネルMOSFET
4 コンデンサ
5 第2インダクタ
6 PチャネルMOSFET
7 出力コンデンサ
8 負荷
9 第1駆動手段
10 第2駆動手段
11 ADコンバータ
12 減算器
13 フィルタ演算手段
14 PWM信号生成手段
15、15a、15b、15c、15d、15e 駆動電圧切替部
16、16a、16b、16c、16d、16e ダイオード
17、17a、17b、17c、17d、17e ダイオード
18 電圧切替制御手段
19 コンデンサ
20c、20d 第3インダクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11