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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-13
(45)【発行日】2025-03-24
(54)【発明の名称】グアユール樹脂の抽出
(51)【国際特許分類】
   C08C 2/06 20060101AFI20250314BHJP
   B01D 11/02 20060101ALI20250314BHJP
   C07B 63/00 20060101ALI20250314BHJP
   C08H 8/00 20100101ALI20250314BHJP
【FI】
C08C2/06
B01D11/02 A
C07B63/00 B
C08H8/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023536814
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2021072970
(87)【国際公開番号】W WO2022133476
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】63/126,773
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デデッカー,マーク エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュース、クリスチャン
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-058831(JP,A)
【文献】特表2018-522890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C,B01D,C07B,C08H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂成分を抽出する方法であって、前記方法が、
(a)非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、非極性樹脂溶液及び第1の沈殿物を得る工程と、
(b)前記非極性樹脂溶液から前記第1の沈殿物を分離する工程と、
(c)極性溶媒を前記非極性樹脂溶液に添加して、混合極性樹脂溶液及び第2の沈殿物を得る工程と、
(d)前記混合極性樹脂溶液から前記第2の沈殿物を分離して、混合溶媒溶液を得る工程と、
(e)前記混合溶媒溶液に水を添加して、水性極性液体画分及び非極性液体画分を含む二相系を得る工程と、
(f)前記水性極性液体画分と前記非極性液体画分とを分離する工程と、
(g)前記極性液体画分を脱溶媒することによって、第1の固形分混合物を回収する工程と、
(h)前記非極性液体画分を脱溶媒することによって、第2の固形分混合物を回収する工程と、を含み、
前記工程(c)~(e)が、連続向流抽出法を更に含み、前記非極性樹脂溶液が、水と前記極性溶媒との混合物を含む極性溶液流に対して向流の非極性溶液流として流れ、前記非極性溶液流は、グアユリンが次第に富化され、前記極性溶液流は、アルゲンタチンが次第に富化され、前記第2の沈殿物が、遠心分離によって連続的に除去される、方法。
【請求項2】
前記非極性溶媒が、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非極性溶媒が、トルエン及びシクロヘキサンのうちの少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記極性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記極性溶媒がメタノールを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の沈殿物がリグノセルロース物質を含み、前記第2の沈殿物が凝固した低分子量イソプレンゴム粒子を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の固形分混合物がアルゲンタチンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の固形分混合物がグアユリンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解する前記工程が、1:1~1:2のw/w比のパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂対非極性溶媒を混合することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解する前記工程が、溶解を加速するために、前記非極性溶媒の沸点未満の温度まで加熱することを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記極性溶媒を前記非極性樹脂溶液に添加する前記工程が、0.5:1~2:1のw/w比で前記極性溶媒と前記非極性樹脂溶液とを混合することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、天然物の分離に関し、特に、グアユール樹脂中に見出される成分を抽出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グアユール樹脂は、天然ポリイソプレンゴム用のグアユール(パルセニウム属アルゲンタトゥム(Parthenium argentatum))の低木の加工から生成される生成物である。グアユール樹脂は、グアユールゴムを脱樹脂化するプロセス中にアセトン中で得られてもよい、又は樹脂は、ソックスレー抽出においてアセトンを使用して粉砕された低木材料から直接抽出され得る。グアユール樹脂を分離して広範囲に精製するのではなく、この低コストの粘着性ガムを最小限に加工して木材防腐剤又は接着剤を製造してもよい。グアユール樹脂を含む天然物のいくつかは、複合樹脂混合物からグアユール樹脂を分離するための費用効果の高い技術が利用可能である場合に、商業的に興味深いものとなり得る。
【0003】
グアユール樹脂は、テルペン、セスキテルペン、テルペノイド、セスキテルペノイド及びトリテルペンを含む多くのイソプレン系化合物を含む。商業的に興味深いのは、例えば、グアユリンA及びグアユリンB(両方とも、香料及び昆虫フェロモン産生において用途が見出されているセスキテルペンエステルである)、並びにアルゲンタチンA、B、C及びD(それぞれ、潜在的な抗酸化活性及び抗腫瘍活性を有する四環系型トリテルペンである)である。特に、アルゲンタチンは、医薬活性物質として有望な種々の化合物へと変換され得る。例えば、G.Flores-Roseteらの「Anti-inflammatory and Cytotoxic Cycloartanes from Guayule(Parthenium argentatum)」、Natural Products Communications、2008、3(3)、413~422を参照されたい。本論文は、グアユール中に見出される天然に存在するアルゲンタチンのそれぞれの化学構造を詳述している。
【0004】
これらの潜在的に価値のあるイソプレン化合物の分離を複雑にするのは、脂肪酸トリグリセリド、ワックス、低分子量(MW)イソプレンゴム、カロテノイド、及び残留リグノセルロース物質を含むイソプレン材料と共に、無関係な材料の複雑な混合物もまた樹脂中に存在することである。
【0005】
したがって、依然として必要とされているのは、グアユール樹脂からこれらの潜在的に高価値の天然物を抽出するための効率的かつ費用効果の高い方法である。
【発明の概要】
【0006】
トルエン又はその他の非極性溶媒又は溶媒の混合物中に溶解されたグアユール樹脂を含む溶液などの非極性グアユール樹脂溶液から始めることによって、一連の溶媒操作が、それぞれが特定の樹脂成分又は樹脂成分の群に富む固体画分及び液体画分の簡単な分離をもたらすことが、現在まで発見されている。
【0007】
本開示の様々な実施形態によれば、グアユール樹脂を抽出するための方法が記載される。本方法は、特定の樹脂成分又は樹脂成分の群に富む樹脂画分を得るための溶媒極性の変化、濾過及び相分離を含む。
【0008】
各種実施形態では、抽出方法は、非極性グアユール樹脂溶液から開始して、リグノセルロース物質、低MWイソプレンゴム、アルゲンタチン及びグアユリンを提供する。
【0009】
各種実施形態では、本明細書の抽出方法は、連続向流抽出器-遠心分離機における自動化に適している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
主題は、本明細書の結論部分において詳細に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、より完全な理解は、以下の図面に関連して考慮される場合に、詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって最も良好に得ることができる。
図1図1は、非極性溶媒中の樹脂溶液から始まる、リグノセルロース固形分、凝固した低MWイソプレン固形分、アルゲンタチン及びグアユリンの単離をもたらすグアユール樹脂抽出のための方法を示す。
図2図2は、非極性溶媒中の樹脂溶液から始まる、リグノセルロース固形分、アルゲンタチン及びグアユリンの単離をもたらすグアユール樹脂抽出のための方法を示す。
図3図3は、グアユール樹脂成分を回収するための連続操作を示す。
図4A図4Aは、実施例2に例示されるグアユール樹脂抽出及び溶媒回収操作のフローチャートの概要を示す。
図4B図4Bは、実施例2に例示されるグアユール樹脂抽出及び溶媒回収操作のフローチャートの概要を示す。
図4C図4Cは、実施例2に例示されるグアユール樹脂抽出及び溶媒回収操作のフローチャートの概要を示す。
図4D図4Dは、実施例2に例示されるグアユール樹脂抽出及び溶媒回収操作のフローチャートの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
代表的実施形態の詳細な説明は、例示として代表的実施形態及びそれらの最良の形態を示す添付の図面を参照する。これらの代表的実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分詳細に説明されているが、その他の実施形態が実現されてもよく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、論理的、化学的、及び機械的変更が行われてもよいことを理解されたい。したがって、詳細な説明は、限定ではなく例示のみを目的として提示されている。例えば、別段の記載がない限り、方法又はプロセスの説明のいずれかに記載された工程は、任意の順序で実行されてもよく、必ずしも提示された順序に限定されない。更に、単数形への任意の言及は複数形の実施形態を含み、2つ以上の構成要素又は工程への任意の言及は、単数形の実施形態又は工程を含んでもよい。また、取り付けられた、固定された、接続された等への任意の言及は、永久的な、取り外し可能な、一時的な、部分的な、完全な、及び/又は任意のその他の可能な取り付けオプションを含んでもよい。なお、接触なし(又は類似の語句)への任意の言及はまた、低減された接触又は最小限の接触を含んでもよい。
【0012】
本開示の様々な実施形態によれば、グアユール樹脂を抽出するための方法が記載される。本方法は、特定の樹脂成分又は樹脂成分の群に富む樹脂画分を得るために利用される、溶媒極性の変化及び相分離を含む。本方法は、連続向流抽出器-遠心分離機における自動化に容易に適合可能である。
【0013】
定義及び解釈:
本明細書で使用される場合、複数の「s」は、炭化水素、例えば、ペンタン又はヘキサンと併せて使用される場合、炭化水素の異性体の混合物を推論し、いくつかの工業グレードの低沸点炭化水素が異性体の混合物であることを認識する。したがって、例えば、「ペンタン」という用語は、n-ペンタン、イソ-ペンタン及びネオ-ペンタンを含む炭化水素の混合物を示し、「ヘキサン」という用語は、一般に、n-ヘキサン、イソ-ヘキサン、3-メチルペンタン、2,3-ジメチルブタン及びネオ-ヘキサンを含む炭化水素の混合物を示す。使用される場合、シクロヘキサンなどの炭化水素の単数形の記載は、異性体の混合物ではなく、少なくとも95.5%以上がシクロヘキサンである工業グレード溶媒、又は99%以上がシクロヘキサンである試薬グレード溶媒を指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「芳香族炭化水素」という用語は、化学におけるその通常の意味を有し、主に、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、メシチレン、2-エチルトルエン、3-エチルトルエン、及び4-エチルトルエンなどの低沸点液体溶媒に関する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「石油エーテル」という用語は、化学におけるその通常の意味を有し、低沸点脂肪族炭化水素の混合物を指す。
【0016】
溶媒に関して本明細書で使用される「極性」という用語は、部分電荷又は双極子モーメントを有する溶媒を示すために、化学におけるその通常の意味を有する。水に加えて、極性溶媒の古典的な例としては、アルコール及びケトンが挙げられる。
【0017】
溶媒に関して本明細書で使用される「非極性」という用語は、部分電荷又は双極子モーメントを有さない溶媒を示すために、化学におけるその通常の意味を有する。化学における非極性溶媒の古典的な例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンのような炭化水素、並びにベンゼン及びトルエンなどの芳香族溶媒が挙げられる。
【0018】
一般的な実施形態
1.抽出方法100
第1の方法の実施形態では、非極性溶媒、極性溶媒、及び水の配合を使用して、グアユール樹脂を、リグノセルロース物質、低MWイソプレンゴム、様々なアルゲンタチン、及び様々なグアユリンを更に含む商業的に利用可能な生成物流へと分離する。
【0019】
ここで図1を参照すると、抽出方法100の工程110は、グアユール樹脂を非極性溶媒に溶解して、非極性樹脂溶液及び第1の沈殿物を得ることを含む。非極性溶媒に溶解する前に、樹脂は、いかなる溶媒をも実質的に含まない状態で開始してもよく、グアユール低木から得られたイソプレンゴムの脱樹脂化から回収された生成物を含んでもよい。
【0020】
各種実施形態では、グアユール樹脂と非極性溶媒との比は、非極性溶媒の性質、及びいくつかの樹脂成分を選択的に溶解し、その他の樹脂成分を溶解しないその能力に依存する。
【0021】
各種実施形態では、非極性樹脂溶液の調製におけるグアユール樹脂対非極性溶媒のw/w比は、約1:1の樹脂対非極性溶媒~約1:2の樹脂対非極性溶媒である。すなわち、重量基準で、100部のグアユール樹脂を約100~200部の非極性溶媒に溶解する。本溶解工程は、周囲温度より高い温度から非極性溶媒の沸点より低い温度までの加熱などの、プロセスを加速させるための外部加熱を更に含んでもよい。各種実施形態では、非極性樹脂溶液を形成するための外部加熱は、およそ周囲温度のすぐ上から最大約100℃まで、かつ非極性溶媒の沸点未満であってもよい。より具体的な実施例では、本溶解工程で使用される非極性溶媒がトルエン(大気圧でBP=111℃)を含む場合、トルエンは、トルエン中のグアユール樹脂の溶解を加速して非極性樹脂溶液を形成するために、約50℃まで加熱されてもよい。
【0022】
各種実施形態では、非極性溶媒は、C-C脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施形態では、非極性溶媒は、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施形態では、非極性溶媒は、トルエン、シクロヘキサン、又はこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施例では、非極性溶媒はトルエンを含む。各種実施形態では、非極性溶媒はシクロヘキサンを含む。各種実施形態及び実施例は、1種の非極性溶媒、例えば、トルエンの使用と共に説明されるが、本開示による方法の範囲は、「少なくとも1種の非極性溶媒」の使用を含み、自動化を含む本明細書のプロセスの改良は、初期の非極性樹脂溶液の形成のために非極性溶媒の混合物を必要とする場合がある。
【0023】
抽出方法100の工程110で得られた非極性樹脂溶液は、デカンテーション、重力濾過、真空濾過、遠心分離又はその他の方法と、例えば、バッチで又は適切に構成された連続抽出-遠心分離機で行われる遠心分離との任意の組み合わせによって除去され得る第1の沈殿物をもたらす。遠心分離は、そうでなければ濾紙又は濾過媒体を詰まらせ得るコロイド状材料の分離を容易にする。このようにして固体塊として得られた第1の沈殿物、又は固形分の混合したバッチを、適切な溶媒ですすいで、残留樹脂成分を除去し得る。最初の沈殿物の更なる洗浄からのこれらの濾液は、本方法の次の工程で使用するために、沈殿物を含まない非極性樹脂溶液と混合され得る。
【0024】
各種実施形態では、非極性樹脂溶液からの第1の沈殿物は、固体粒子の形態のリグノセルロース物質を含む。このようにして得られたリグノセルロース物質は、第1の可能な市販の生成物流を構成する。
【0025】
工程110から得られる非極性樹脂溶液(第1の沈殿物の洗浄からの溶媒アリコートが、所望により添加される)は、非極性溶媒中の樹脂のその他の残りの成分の全てを運搬する低粘度流体を含む。
【0026】
引き続き図1を参照すると、抽出方法100の工程120は、極性溶媒を非極性樹脂溶液と混合して混合極性樹脂溶液を生成することを含む。非極性樹脂溶液対極性溶媒のw/w比は、約1:0.5~約1:2である。すなわち、極性溶媒は、非極性樹脂溶液100重量部当たり約50~200重量部で添加される。
【0027】
各種実施形態では、極性溶媒は、低分子量アルコール、アセトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施形態では、極性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施形態では、極性溶媒はメタノールである。
【0028】
抽出方法100の工程120は、低分子量(MW)イソプレンゴムを含む凝固した固体形態の第2の沈殿物を生成する。ゴム凝固剤は、デカンテーション、重力濾過、真空濾過及び遠心分離の任意の組み合わせによって除去され得、遠心分離は、例えば、バッチで、又は連続抽出器-遠心分離機で行われる。遠心分離は、そうでなければ濾紙又は濾過媒体を詰まらせ得るコロイド状材料の分離を容易にする。ゴムを、極性溶媒の追加のアリコートですすいで、残留樹脂成分を除去し得るが、これらの洗浄は、得られた混合極性樹脂溶液へと組み合わされ得る。低MWイソプレンゴムは、第2の可能な市販の生成物流を構成する。
【0029】
引き続き図1を参照すると、抽出方法100の工程130は、混合極性樹脂溶液に水を添加して、水性極性相及び非極性相を含む二相系を形成することを含む。混合極性樹脂溶液に対する水のw/w比に依存して、水性極性溶媒相は、図1に示されるように、この二相系において上層又は下層のいずれかであり得る。工程130は、この二相系における非極性液体画分からの水性極性液体画分の分離を更に含む。
【0030】
各種実施形態では、混合極性樹脂溶液に対する水のw/w比は、上記の工程120において使用される極性溶媒に対する水のw/w比として表される。各種実施形態では、水と極性溶媒とのw/w比は、約1:20~約1:2である。別の言い方をすれば、添加される水の量は、約5部の水/100部の極性溶媒~約50部の水/100部の極性溶媒である。各種実施形態では、約1:20~約1:5のw/w比(5~20部の水/100部の極性溶媒)を使用することが好ましく、それによって、上層は、極性溶媒及び極性樹脂成分を有する水を含む水性極性液体画分であり、下層は、非極性液体画分である。
【0031】
工程130では、工程110で先に沈殿しなかった任意の残留イソプレンゴムが、工程110で使用された非極性溶媒もまた含む非極性液体画分層中に見出される。所望により、分離された水性極性液体画分は、ペンタン又はヘキサンのようなC-C炭化水素などの非極性溶媒の追加のアリコートで抽出され得るが、これは廃棄することができる。これらの抽出は、水性極性液体画分の色を減少させ得る。
【0032】
引き続き図1を参照すると、工程140及び150はそれぞれ、脱溶媒プロセスを含む。脱溶媒は、揮発性物質を蒸発させて固形分残留物を残留させることを含み、熱(又は周囲温度)及び真空の任意の組み合わせを含んでもよい。各種実施形態では、脱溶媒工程140及び150は、真空内での全ての揮発性物質の除去を含む。確かに、これらの2つの脱溶媒工程は、いずれかの順序で実施され得る、又は特定の層中の物質が何らかの理由で所望されない場合、層の1つを廃棄してもよい選択肢がある。
【0033】
工程140では、水性極性液体画分を脱溶媒して、約50℃の融点を有する、アルゲンタチンに富む第1の固形物混合物を回収する。これらの固形分は、低MWイソプレンゴムを実質的に含まない。アルゲンタチンの混合物は、第3の可能な市販の生成物流を構成する。このアルゲンタチン混合物中の個々のアルゲンタチンは、クロマトグラフィ法によって単離及び精製されてもよい。
【0034】
工程150では、非極性液体画分を脱溶媒して、グアユリンに富む第2の固形分混合物を得ることができる。グアユリンの混合物は、第4の可能な市販の生成物流を構成する。このグアユリン混合物中に存在する個々のグアユリンは、クロマトグラフィ法によって単離及び精製されてもよい。
【0035】
所望により、非極性液体画分は、水性極性溶媒、例えば、水と工程120で使用される極性溶媒との混合物のアリコートで1回以上抽出されて、より多くのアルゲンタチンに富む固形分を回収し得る。
【0036】
向流液体/液体抽出
上記工程120及び130は、連続液体/液体向流抽出器を使用することによって、完全に自動化され得る。各種実施形態では、連続液体/液体向流抽出法は、適切な抽出器-遠心分離機を使用することによって達成される。方法100は、最初の樹脂溶解工程110並びに2つの脱溶媒工程140及び150を除いて、水性生成物流が非極性樹脂溶液からアルゲンタチンを除去し、グアユリンに富む非極性樹脂溶液流を残留させるような様式で、非極性樹脂溶液流を水性極性溶媒流に向流で通すことによる自動化プロセスを含み得る。自動化プロセスでは、低MWイソプレンゴム粒子は、向流の流れの連続的な混合の間に沈殿され、抽出器-遠心分離機において、コレクタスクリーンへと連続的に遠心分離され得る。
【0037】
自動化された方法の変形形態では、向流液体/液体抽出は、連続的又は半連続的であってもよい。半連続バージョンでは、低MWイソプレンゴム粒子を沈殿させる工程のために、一連の混合タンク/沈降タンクが使用され得る。
【0038】
自動化向流プロセスの各種実施形態では、極性溶媒流は、経時的に組成的に変化する組成を含む。例えば、極性溶媒向流の流れは、方法100における工程120のために選択される極性溶媒(例えば、メタノール)などの無水極性溶媒として開始してもよい。このようにして自動化プロセスを開始すると、沈殿した低MWゴム粒子は、極性溶媒流の組成を変化させる前に連続的に遠心分離され得る。プロセスが継続するにつれて、そしておそらくゴム粒子沈殿の停止によって合図されるにつれて、向流極性溶媒流中へと水を供給して、流れが経時的より水性になるようにし得る。その間に、向流の流れは、各流れにおいてより可溶性の化合物がより豊富になる。すなわち、方法100における単一工程130のように、水性極性流は、アルゲンタチンがより豊富になる一方で、非極性溶媒流は、グアユリンがより豊富になる。
【0039】
その他の実施形態では、一定の水性極性溶媒組成物が、非極性樹脂溶液流に対する向流の流れとして使用される。本組成物は、方法100からの水と極性溶媒との組み合わせであり得、場合によっては、図示された方法で使用される水/極性溶媒の同じw/w比であり得る。したがって、例えば、向流極性流は、重量基準で1:20~約1:2の水/極性溶媒の混合物を含んでもよい。ある種の実施形態では、向流極性流は、1:20~約1:5のw/w比の水/極性溶媒を含んでもよい。各種実施形態では、2つの向流流動流は、非極性樹脂溶液流及び水性メタノール流を含む。
【0040】
本明細書で使用するための代表的な抽出器-遠心分離機は、Podbielniak抽出器遠心分離機である。この種類の抽出器は、遠心力を供給して、液/液相及び固-液相の両方の分離効率を改善する。Podbielniak抽出器遠心分離機は、Siebtechnik Tema,Inc.,Cincinnati,Ohio,USAから入手可能である。
【0041】
2.抽出方法200
第2の方法では、非極性溶媒と水性極性溶媒の組み合わせを使用して、リグノセルロース物質、低MWイソプレンゴム、様々なアルゲンタチン、及び様々なグアユリンを含む商業的に利用可能な生成物流を分離する。各種実施形態では、抽出方法200は、上記で詳述した抽出方法100のより合理化されたより単純なバージョンであり、低MWイソプレンゴムは、遠心分離され得る凝集粒子としてではなく、最終的に液相になる。
【0042】
ここで図2を参照すると、抽出方法200の工程210は、抽出方法100(図1)の工程110と同一であり、グアユール樹脂をトルエン及び/又はシクロヘキサンなどの非極性溶媒に溶解して、非極性樹脂溶液とリグノセルロース粒子を含む沈殿物とを得ることを含む。簡潔にするために、詳細は上記を参照することができ、ここでは繰り返さない。
【0043】
引き続き図2を参照すると、抽出方法200の工程220は、非極性樹脂溶液を水性極性溶媒混合物で抽出して、樹脂の極性成分を抽出することを含む。抽出方法200は、無水極性溶媒ではなく水性極性溶媒が非極性樹脂溶液と混合されるという点で、この段階において抽出方法100と異なる。その結果、低MWイソプレンゴムは溶液から析出されず、代わりに最終的に得られる二相系となる。
【0044】
各種実施形態では、工程220は、水性極性溶媒を非極性樹脂溶液と特定のw/w比で混合して、液体画分へと分離し得る二相系を促進することを含む。各種実施形態では、水性極性溶媒混合物は、重量に基づいて約5~25部の水及び100部の極性溶媒を含む。望ましくない量の低分子量ゴムを抽出することなく、極性成分をできるだけ多く回収するために、抽出を複数回行い得る。あるいは、混合された水性極性溶媒抽出物を非極性溶媒で洗浄して、任意のゴム並びにテルペン及びセスキテルペンの大部分を除去し得る。
【0045】
工程230では、混合された水性極性液体画分を脱溶媒して、アルゼンタチンに富み、グアユリン含有量が低く、いかなるゴムをも含有しない固形分を回収し得る。
【0046】
水性極性溶媒混合物で複数回抽出した後、非極性溶媒中のゴムに富んだ溶液が残留する。ゴム溶液は、残留する非ゴム樹脂成分を除去するために、極性溶媒の添加によって精製され得る。これにより、不純物がほとんどない濃縮低MWゴム生成物が得られる。
【0047】
工程240では、非極性液体画分は脱溶媒される。天然ゴムを含む本液体画分は、ゴム塊に脱溶媒され得るか、又はイソプレンラテックス製造などのその他のプロセスのためにそのまま使用され得る。
【0048】
向流液体/液体抽出
方法100の自動化に従って、上記工程220は、連続液体/液体向流抽出器を使用することによって完全に自動化され得る。方法200は、最初の樹脂溶解工程210並びに2つの脱溶媒工程230及び240を除いて、水性生成物流が非極性樹脂溶液からアルゲンタチンを除去し、グアユリンに富む非極性樹脂溶液流を残留させるような様式で、非極性樹脂溶液流を水性極性溶媒流に向流で通すことによる自動化プロセスを含み得る。方法200の抽出の自動化では、ゴムは非極性液体画分中に残留するので、沈殿したゴムはない。したがって、方法200を自動化するために、分離すべき固体粒子はないが、遠心分離能力も液相の分離を手助けするので、抽出器-遠心分離機は必ずしも必要とされない。
【0049】
各種実施形態では、一定の水性極性溶媒組成物が、非極性樹脂溶液流に対する向流の流れとして使用される。本組成物は、方法200からの水と極性溶媒との組み合わせであり得、場合によっては、図2に図示された方法で使用される水/極性溶媒の同じw/w比であり得る。したがって、例えば、向流極性流は、重量基準で1:20~約1:2の水/極性溶媒の混合物を含んでもよい。ある種の実施形態では、向流極性流は、1:20~約1:5のw/w比の水/極性溶媒を含んでもよい。各種実施形態では、2つの向流流動流は、非極性樹脂溶液流及び水性メタノール流を含む。
【0050】
自動連続液体/液体向流抽出器が作動するにつれて、水性極性溶媒流はアルゲンタチンに富むようになるが、一方で、非極性樹脂溶液流は低MWイソプレンゴムに富むようになる。
【0051】
図3は、グアユール樹脂中の樹脂成分の回収に使用され得る連続操作の一実施形態を示す。様々な態様では、図3に示される代表的な連続操作は、図2に示される方法200の自動化を表す(以下の実施例2で使用されるヘキサンに従って、ペンタン洗浄の追加を伴う)。図3に示されたプロセスは一実施例に過ぎず、材料の相対量(「部」として示されている)は変更され得、場合によっては、生産量(同様に「部」として示されている)はこの実施例から変更してもよいことに、留意することが重要である。
【0052】
図3の自動化プロセスは、例えば、トルエンなどの非極性溶媒及びグアユール樹脂を含む樹脂溶液310から始まる。メタノールと水とを320において混合して水性極性溶媒系を形成し、これを330において樹脂カラム中の非極性系と混合する。第2の箇所335は、二相系が分離される箇所であり、フローチャートの右上部分は非極性相を含むプロセスを示し、フローチャートの右下部分は水性極性相を含むプロセスを示す。例示されるように、非極性相はテルペン及びセスキテルペンを提供するが、水性極性相は、アルゼンタチンを提供することに加えて、モノテルペンエレモール及びモノテルペノイドβ-オイデスモールもまた提供し得る。
【実施例
【0053】
実施例1:
1.約100mLのトルエンを、先にグアユール加工から得られた約55.8グラムの樹脂に添加することによって、非極性溶媒に溶解したグアユール樹脂の非極性樹脂溶液を調製した。出発樹脂は室温で固体であり、約50℃の軟化点を有していた。非極性樹脂溶液を、ブフナー漏斗を通して重力濾過又は吸引濾過して、沈殿したリグノセルロース材料を除去した。得られた濾液約5mLをメタノール35mLに添加して、溶液中のイソプレンゴムを凝固させた。凝固したゴムを収集し、乾燥させ、メタノールを回収し、真空乾燥して、0.448gのイソプレンゴム及び1.123gの樹脂を得た。トルエン溶液中の55.8グラムの樹脂から濾過した固形分を乾燥させ、秤量し、1.95gの固形分、又は元の樹脂重量の3.5%を得た。
【0054】
2.工程1に従った20mLのトルエン濾液を、四(4)本の遠心分離管のそれぞれへと測定した。25mLのメタノールを、各管に添加した。管を手で撹拌し、次に、8,000rpmで20分間遠心分離した。各管からの暗色の液体層をデカントして、新しい遠心分離管に収集し、以下の工程3で処理した。管内に残留したゴムを、20mLのアセトンの第1のすすぎ液で、次に20mLのアセトンの第2のすすぎ液ですすいだ。アセトンアリコートを混合させ、脱溶媒して、合計1.98gの固形分を得た。ヘキサン中に再溶解し、予め秤量したパン中に溶液を収集して真空オーブン中で脱溶媒することによって、ゴムを収集した。すすいで脱溶媒したゴムの重量は、4.64g又は処理した樹脂の14%であった。
【0055】
3.工程2からのデカントされた溶液を、2.5mLの水を各管に添加することによって処理した(遠心分離管あたり25mL又は19.8gのメタノールの、添加されたメタノールに基づいて、約12.5部)。4本の管を、8,000rpmで20分間遠心分離した。約7~10mLの容量の暗色層が各管に生じた。暗色層を混合し、真空オーブン中で脱溶媒した。得られた固形分の重量は、10.05g又は樹脂の30.3%であった。
【0056】
4.上記工程3からの混合されたより軽い層を、2.5mLの水(添加されたメタノールに基づいて、約12.5部の水)の添加によって、更に処理した。管を撹拌し、遠心分離して、各管において別の7~10mL容量の暗色層を得た。暗色層を混合させ、真空オーブン中で乾燥させて、9.94gの固形分を得た。
【0057】
5.工程4から残留したより軽い層を混合させ、5mLの水及び5mLのヘキサンを各管に添加することによって、更に処理した。管を撹拌し、遠心分離して、最上層として非極性相を有する二相系を生成した。この層を回収し、真空オーブン中で脱溶媒して、3.36gの固形分を得た。
【0058】
6.工程5からの残留する極性層を混合し、脱溶媒して、約2.12gの固形分を得た。
【0059】
以下の表1は、実施例1、工程1~6で得られた樹脂画分を要約する。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例2:
実施例2で使用される工程はまた、図4A図4B図4C及び図4Dのフローチャートとして概略的に記載される。試料番号及び工程番号は、以下に書かれた工程と図示されたフローチャートとの間で相関する。図示された方法は、4枚の図面にわたって進行する。フローチャートにおいて、台形の記号は、液-液分離(例えば、分液漏斗で実施される相分離)を示す。その他の分離は、回収された溶媒及び残留固形分を得るために、溶液から溶媒を除去(「脱溶媒」)するためのロータリーエバポレータ(rotary evaporator、「rotovap」)の使用を含む。以下に記載され、図4A図4Dに示される実施例2は、更なる抽出のための溶媒の回収及び再利用を示す。
1.486グラムの注入可能な樹脂(先のグアユールプロセスから存在する若干の残留溶媒を有する樹脂)の試料を、300グラムのトルエンで希釈した。
2.樹脂を溶解し、非極性樹脂溶液を形成するためには、手による簡単な混合で十分であった。
3.非極性樹脂溶液の2つの45mLアリコートを2つの遠心分離管に移し、これを回転させて固形分を除去した。48.7gの樹脂を得た。
4.2種の上清溶液のそれぞれを、分液漏斗中で200mLのメタノール及び40mLの水と混合させた。
5.遠心分離管からの固形分をヘキサンで2回すすぎ、固形分を試料#20として収集した。
6.分液漏斗を数日間放置して、相を分離させた。47.5mLの非極性相を分離した。
7.100mLのヘキサンを極性相に添加し、沈降させた。
8.水性メタノール相を濃縮のために収集した。フラスコの風袋重量=174.69gであり、メタノール/水=395.99g、又は濃縮のための溶液は約220.3gであった。
9.ロータリーエバポレータを使用して、固形分/溶媒を濃縮/回収した。
10.濃縮後の重量は185.72gであった。材料を試料バイアルの試料#2に移し、水性メタノールの収集試料をGC/FIDのために試料#1として回収した。196mLの水性メタノールを回収し、ヘキサンを除去した後、分離器に戻した。
11.ヘキサンは、フラスコの風袋重量=203.47gを有するロータリーエバポレータへと収集され、ヘキサンは298.18gであった。濃縮後=209.86gであり、これを試料#4としてバイアルに移した。
12.回収したヘキサンの試料-試料#3、及び残留ヘキサン抽出物の溶液である試料#4を、GC/FIDのために収集した。
13.続いて、遠心分離後の原料樹脂溶液の四(4)つの更なる45mLアリコートを、分液漏斗中の回収されたメタノール/水に添加した。本質的に固形分は存在しなかった。(97.94gの樹脂)。
14.非極性画分を遠心分離管へと注ぎ、180mLのうち170mLを回収した。次に、ヘキサンを分液漏斗に添加した。
15.回収された極性画分をロータリーエバポレータに移したが、フラスコの風袋重量=175.04g、ロータリーエバポレータ濃縮後は195.56gであった。140mLのメタノール/水を回収した(試料#5)。20.5gの極性固形分を回収した(試料#6)。
16.ヘキサン層をロータリーエバポレータに通した:204.06gのフラッシュ重量。約8gの抽出物であると思われた(GCで試験しなかった)。
17.60mLのヘキサン+20mLの水を回収した。ヘキサンを試料#7として処理し、水をトルエンで抽出した(トルエン試料#8)。(注:水相は極性濃縮からのものであり、凝縮器上に固形分として収集される)。
18.メタノールを添加し、メタノール/水を140mLから240mLまで回収し、分液漏斗へと戻した。
19.工程14からの非極性管5本を、工程18からのメタノール/水で再抽出した。80mLの非極性溶液を(添加された170mLから)回収した。
20.120mLのヘキサンをメタノール/水に添加した。
21.202.3gの回転蒸発後、極性溶液を溶液449と共にフラスコ174.78gに移した(試料#10)。フラスコに残留した約4gを22mLのアセトンに溶解し、保存した。
22.2mLの低密度流体(ヘキサン又はトルエン)を含む250mLの溶媒を回収し、低密度流体を試料#9にサンプリングした。
23.メタノール/水相をフラスコに移したが、風袋=174.79g、流体が375.13gであり、乾燥後が179.80gであった。乾燥極性固形分5.03g(試料#12)。
24.184mLの溶媒を回収した。
25.分液漏斗からヘキサン層を回収し、フラスコに移したが、風袋=203.48g、流体が307.91gであり、218.92gを乾燥させた。黒色液体を試料#11として収集した。15.4gの非極性固形分を回収した(試料#13)。
26.工程24からの極性メタノール/水+工程19からの非極性相は、60mLの非極性相を収集した。140mLの新鮮なヘキサンを添加した。
27.メタノール/水を分液漏斗へと回収したが、フラスコの風袋=174.77g、溶媒が339.58gであり、179.19gを乾燥させた(乾燥試料#14)。回収したメタノール試料#15。
28.ヘキサンを分液漏斗へと回収し、フラスコに移したが、風袋=203.51、合計が317.50gであり、濃縮が211.53gである、乾燥試料#16-黒色液体。
29.残留非極性溶液(60mL)を遠心分離管へと分けて、2×の容量のメタノールで抽出した。次に、1×の容量のメタノールで再度すすいだ。
30.メタノールを分離漏斗に加えて、30mLの水を添加した。黒色の下層をロータリーエバポレータに移したが、風袋=203.5g、合計が209.55gであり、濃縮が207.3gであった(試料#17)。
31.メタノール層を回収し、ロータリーエバポレータで濃縮したが、風袋=174.8g、合計が338.7gであり、177.4gを乾燥させ(試料#18)、乾燥完了前に試料から約20mLの水を液体として除去した。水を試料#19として収集した。
32.溶媒メタノールを回収した(試料#20)。
33.ゴム残留物をヘキサン中に溶解し、次に、管をより多くのヘキサンですすいでゴムの全てを風袋重量12.94gのパンへと収集することによってゴムを収集し、45.04gを空気乾燥させ、38.91gを真空オーブン乾燥させた(試料#21)。
34.真空オーブン後に、冷却トラップから液体を回収した(試料#22)。
【0062】
表2は、実施例2において特定され、図4A図4Dのフローチャートにも示される番号付けされた試料についての示差走査熱量測定(DSC)データを示す。試料番号(1~21)は、より大きな実験番号20190812にハイフンでつないだ接尾辞として、左端の列に見られる。使用したDSC機器は、TA Instruments Q2000 DSCであり、約10℃/分の速度で、-120℃~200℃まで稼働させた。
【0063】
【表2】
【0064】
表2では、Tgはガラス転移温度を示す。ガラス転移温度は、例えば、試料中にポリイソプレンが存在する場合を示す(例えば、-50℃のTgはこのようなことを示す)。測定可能なガラス転移温度がないことは、イソプレンゴムが除去されたことを示す。
【0065】
表2では、Tmは溶解温度であり、J/gは試料のジュール/グラムを示す。Tmは、50℃付近のトリグリセリド又は>70℃のトリテルペン(例えば、アルゲンタチン)などの高融点成分と相関する。
【0066】
表2では、試料ID20190812-5及び20190812-12についてのTmデータエントリは、これらの試料が高濃度のアルゲンタチンを示すことを指し示すために、アスタリスクが付けられている。
【0067】
表3は、実施例2において番号付けされ、図4A図4Dのフローチャートに示された試料の分画重量を示す。試料番号は、より大きな実験番号20190812にハイフンでつないだ接尾辞として、左端の列にある。データを、水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフィ(GC/FID)が可能な機器によって得た。
【0068】
【表3】
【0069】
表3では、略語「ゴム領域(Rub.Area)」、「ピーク2(Peak2)」、「ピーク3(Peak3)」、「ピーク4(Peak4)」、「ピーク5(Peak5)」、及び「ピーク6(Peak6)」は、低分子量(低MW)カラムGPCデータを表す(ピーク下の面積を重量パーセントに変換)。「ゴム領域」は低MWイソプレンゴムを指し、「ピーク2」及び「ピーク3」はトリアシルグリセリドであると予想され、「ピーク5」はアルゲンタチンであり、「ピーク6」はグアユリンである。表2の一番上の行に列挙された数は、これらのピークについて測定された典型的なMWである。
【0070】
表3に示すように、ほとんどの試料は、アルゲンタチンが高かった。試料20190812-11、-16及び-17、特に試料-21は、有意なイソプレンゴム含量を示した。試料20190812-11及び-17は、より高いトリグリセリド含量を示す。
【0071】
したがって、グアユール樹脂の極性制御抽出法を使用して、樹脂からイソプレンゴム、アルゲンタチン及びグアユリンを単離し得ることが実証された。
【0072】
追加の態様
様々な実施形態では、パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂成分を抽出する方法は、
(a)少なくとも1種の非極性溶媒中にパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、非極性樹脂溶液及び第1の沈殿物を得ることと、
(b)非極性樹脂溶液から第1の沈殿物を分離する工程と、
(c)極性溶媒を非極性樹脂溶液に添加して、混合極性樹脂溶液及び第2の沈殿物を得る工程と、
(d)混合極性樹脂溶液から第2の沈殿物を分離して、混合溶媒濾液を得る工程と、
(e)混合溶媒濾液に水を添加して、水性極性液体画分及び非極性液体画分を含む二相系を得る工程と、
(f)水性極性液体画分と非極性液体画分とを分離する工程と、
(g)極性液体画分を脱溶媒することによって、第1の固形分混合物を回収する工程と、
(h)非極性液体画分を脱溶媒することによって、第2の固形分混合物を回収する工程と、を含む。
【0073】
各種実施形態では、非極性溶媒は、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施形態では、非極性溶媒はトルエンを含み、極性溶媒はメタノールを含む。
【0074】
上記方法の各種実施形態では、工程(g)及び/又は工程(h)は、これらの生成物流が商業的に利用可能でないか、又は何らかの理由で望ましくない場合など、任意であってもよい。
【0075】
上記方法の種々の実施形態では、工程は、連続向流液体/液体抽出器の使用によって完全に自動化されており、ここで、非極性樹脂溶液は、水と極性溶媒との混合物を含む極性溶液流に対して向流の非極性溶液流として流れ、また非極性溶液流は、グアユリンが次第に富化され、極性溶液流は、アルゲンタチンが次第に富化され、第2の沈殿物は、遠心分離によって連続的に除去される。
【0076】
様々な実施形態では、パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂成分を抽出する方法は、
(a)少なくとも1種の非極性溶媒中にパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、非極性樹脂溶液及び沈殿物を得る工程と、
(b)非極性樹脂溶液から沈殿物を分離する工程と、
(c)非極性樹脂溶液に水性極性溶媒を添加して、水性極性液体画分及び非極性液体画分を含む二相系を得る工程と、
(d)水性極性液体画分と非極性液体画分とを分離する工程と、
(e)極性液体画分を脱溶媒することによって、第1の固形分混合物を回収する工程と、
(f)非極性液体画分を脱溶媒することによって、第2の固形分混合物を回収する工程と、を含む。
【0077】
各種実施形態では、非極性溶媒は、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施形態では、非極性溶媒はトルエンを含み、極性溶媒はメタノールを含む。
【0078】
各種実施形態では、工程(e)及び/又は工程(f)は、これらの生成物流が商業的に利用可能でないか、又は何らかの理由で望ましくない場合など、任意であってもよい。
【0079】
種々の実施形態では、抽出工程は、連続向流液体/液体抽出器の使用によって完全に自動化されており、ここで、非極性樹脂溶液は、水と極性溶媒との混合物を含む極性溶液流に対して向流の非極性溶液流として流れ、非極性溶液流は、低MWイソプレンゴムが次第に富化され、極性溶液流は、アルゼンタチンが次第に富化される。
【0080】
各種実施形態では、パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からリグノセルロース物質を分離する方法は、
(a)少なくとも1種の非極性溶媒中にパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、沈殿したリグノセルロース物質を更に含む非極性樹脂溶液を形成する工程と、
(b)沈殿したリグノセルロース物質を非極性樹脂溶液から分離する工程と、
(c)所望により、沈殿したリグノセルロース物質を非極性溶媒のアリコートで洗浄する工程と、を含む。
【0081】
各種実施形態では、非極性溶媒は、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0082】
各種実施形態では、パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂から低MWイソプレンゴムを分離する方法は、
(a)非極性溶媒中にパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、第1の沈殿物を更に含む非極性樹脂溶液を形成する工程と、
(b)非極性樹脂溶液から第1の沈殿物を分離する工程と、
(c)極性溶媒を非極性樹脂溶液に添加して、低MW天然ポリイソプレンゴムを凝集粒子の形態で沈殿させる工程と、
(d)非極性樹脂溶液から沈殿した低MW天然ポリイソプレンゴムを回収する工程と、を含む。
【0083】
各種実施形態では、非極性溶媒は、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施形態では、非極性溶媒はトルエンを含み、極性溶媒はメタノールを含む。
【0084】
各種実施形態では、パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からトリテルペンの混合物を分離する方法は、
(a)少なくとも1種の非極性溶媒中にパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、第1の沈殿物を更に含む非極性樹脂溶液を形成する工程と、
(b)非極性樹脂溶液から第1の沈殿物を分離する工程と、
(c)極性溶媒を非極性樹脂溶液に添加して、第2の沈殿物を更に含む混合極性樹脂溶液を形成する工程と、
(d)混合極性樹脂溶液から第2の沈殿物を分離する工程と、
(e)混合極性樹脂溶液に水を添加して、分離可能な水性極性液体画分及び非極性液体画分を形成する工程と、
(f)非極性液体画分から水性極性液体画分を分離する工程と、
(g)水性極性液体画分を脱溶媒することによって、トリテルペンの混合物を回収する工程と、を含む。
【0085】
各種実施形態では、非極性溶媒は、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施形態では、非極性溶媒はトルエンを含み、極性溶媒はメタノールを含む。
【0086】
各種実施形態では、パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からテルペン及びセスキテルペンを含む混合物を単離する方法は、
(a)少なくとも1種の非極性溶媒中にパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、第1の沈殿物を更に含む非極性樹脂溶液を形成する工程と、
(b)非極性樹脂溶液から第1の沈殿物を分離する工程と、
(c)極性溶媒を非極性樹脂溶液に添加して、第2の沈殿物を更に含む混合極性樹脂溶液を提供する工程と、
(d)混合極性樹脂溶液から第2の沈殿物を分離する工程と、
(e)混合極性樹脂溶液に水を添加して、分離可能な水性極性液体画分及び非極性液体画分を形成する工程と、
(f)非極性液体画分を水性極性液体画分から分離する工程と、
(g)非極性液体画分を蒸発させることによって、テルペン及びセスキテルペンを含む混合物を回収する工程と、を含む。
【0087】
各種実施形態では、非極性溶媒は、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。各種実施形態では、非極性溶媒はトルエンを含み、極性溶媒はメタノールを含む。
【0088】
詳細な説明では、「各種実施形態」、「一実施形態」、「実施形態」、「代表的実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含むとは限らないことを示す。更に、このような語句は、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、その他の実施形態に関連してこのような特徴、構造、又は特性に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。説明を読んだ後、代替実施形態において本開示をどのように実施するかが、当該技術分野(複数可)の当業者には明らかになるであろう。
【0089】
方法又はプロセスの説明のいずれかに記載された工程は、任意の順序で実行されてもよく、必ずしも提示された順序に限定されない。更に、単数形への任意の言及は複数形の実施形態を含み、2つ以上の構成要素又は工程への任意の言及は、単数形の実施形態又は工程を含んでもよい。また、取り付けられた、固定された、接続された、連結された等への任意の言及は、永久的な(例えば、一体型)、取り外し可能な、一時的な、部分的な、完全な、及び/又は任意のその他の可能な取り付けオプションを含んでもよい。構成要素のいずれも、摩擦、スナップ、スリーブ、ブラケット、クリップ、又は当技術分野で現在周知の若しくは今後開発されるその他の手段を介して、互いに連結されてもよい。なお、接触なし(又は類似の語句)への任意の言及はまた、低減された接触又は最小限の接触を含んでもよい。
【0090】
利益、その他の利点、及び問題に対する解決策を、特定の実施形態に関して本明細書で説明してきた。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策を生じさせ得るか、又はより顕著にし得る任意の要素は、本開示の重要な、必要な、又は本質的な特徴若しくは要素として解釈されるべきではない。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲以外のものによって限定されるものではなく、単数形の要素への言及は、明示的にそのように述べられていない限り、「1つ及び1つのみ」を意味するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものである。更に、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」に類似する語句が特許請求の範囲又は明細書において使用される場合、この語句は、Aのみが一実施形態において存在し得ること、Bのみが一実施形態において存在し得ること、Cのみが一実施形態において存在し得ること、又は要素A、B、及びCの任意の組み合わせが単一の実施形態において存在し得ることを意味するように解釈されることが意図される。例えば、A及びB、A及びC、B及びC、又はA及びB及びCである。
【0091】
当業者に周知の上述の様々な実施形態の要素に対する全ての構造的、化学的、及び機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、本発明の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。更に、装置若しくは装置の構成要素、又は装置を使用する方法が、本開示によって解決しようとするありとあらゆる問題に対処することは、本発明の特許請求の範囲によって包含されるために必要ではない。更に、本開示における要素、構成要素、又は方法工程は、その要素、構成要素、又は方法工程が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。特許請求の範囲の要素は、その要素が「~のための手段(means for)」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)を行使するものではない。本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」という用語、又はこれらの任意のその他の変形形態は、要素のリストを含む化学物質、化学組成物、プロセス、方法、物品、又は装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないその他の要素、又はこのような化学物質、化学組成物、プロセス、方法、物品、又は装置に固有のその他の要素を含み得るように、非排他的な包含を網羅することが意図されている。
[付記]
本開示は以下の態様<1>~<31>も含む。
<1>
パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂成分を抽出する方法であって、前記方法が、
(a)非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、非極性樹脂溶液及び第1の沈殿物を得る工程と、
(b)前記非極性樹脂溶液から前記第1の沈殿物を分離する工程と、
(c)極性溶媒を前記非極性樹脂溶液に添加して、混合極性樹脂溶液及び第2の沈殿物を得る工程と、
(d)前記混合極性樹脂溶液から前記第2の沈殿物を分離して、混合溶媒濾液を得る工程と、
(e)前記混合溶媒濾液に水を添加して、水性極性液体画分及び非極性液体画分を含む二相系を得る工程と、
(f)前記水性極性液体画分と前記非極性液体画分とを分離する工程と、
(g)前記極性液体画分を脱溶媒することによって、第1の固形分混合物を回収する工程と、
(h)前記非極性液体画分を脱溶媒することによって、第2の固形分混合物を回収する工程と、を含む、方法。
<2>
前記非極性溶媒が、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、<1>に記載の方法。
<3>
前記非極性溶媒が、トルエン及びシクロヘキサンのうちの少なくとも1種である、<1>に記載の方法。
<4>
前記極性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、<1>~<3>のいずれか一つに記載の方法。
<5>
前記極性溶媒がメタノールを含む、<1>~<4>のいずれか一つに記載の方法。
<6>
前記第1の沈殿物がリグノセルロース物質を含み、前記第2の沈殿物が凝固した低分子量イソプレンゴム粒子を含む、<1>~<5>のいずれか一つに記載の方法。
<7>
前記第1の固形分混合物がアルゲンタチンを含む、<1>~<6>のいずれか一つに記載の方法。
<8>
前記第2の固形分混合物がグアユリンを含む、<1>~<7>のいずれか一つに記載の方法。
<9>
非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解する前記工程が、約1:1~約1:2のw/w比のパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂対非極性溶媒を混合することを含む、<1>~<8>のいずれか一つに記載の方法。
<10>
非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解する前記工程が、溶解を加速するために、前記非極性溶媒の沸点未満の温度まで加熱することを更に含む、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<11>
前記極性溶媒を前記非極性樹脂溶液に添加する前記工程が、約0.5:1~約2:1のw/w比で前記極性溶媒と前記非極性樹脂溶液とを混合することを含む、<1>~<10>のいずれか一つに記載の方法。
<12>
連続向流抽出法を更に含み、前記非極性樹脂溶液が、水と前記極性溶媒との混合物を含む極性溶液流に対して向流の非極性溶液流として流れ、前記非極性溶液流は、グアユリンが次第に富化され、前記極性溶液流は、アルゲンタチンが次第に富化され、前記第2の沈殿物が、遠心分離によって連続的に除去される、<1>~<11>のいずれか一つに記載の方法。
<13>
パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からパルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂成分を抽出する方法であって、前記方法が、
(a)非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、非極性樹脂溶液及び沈殿物を得る工程と、
(b)前記非極性樹脂溶液から前記沈殿物を分離する工程と、
(c)前記非極性樹脂溶液に水又は水性極性溶媒を添加して、水性極性液体画分及び非極性液体画分を含む二相系を得る工程と、
(d)前記水性極性液体画分と前記非極性液体画分とを分離する工程と、
(e)前記極性液体画分を脱溶媒することによって、第1の固形分混合物を回収する工程と、
(f)前記非極性液体画分を脱溶媒することによって、第2の固形分混合物を回収する工程と、を含む、方法。
<14>
前記非極性溶媒が、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、<13>に記載の方法。
<15>
前記非極性溶媒が、トルエン及びシクロヘキサンのうちの少なくとも1種を含む、<13>~<14>のいずれか一つに記載の方法。
<16>
前記水性極性溶媒が、水と、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される極性溶媒と、の混合物を含む、<13>~<15>のいずれか一つに記載の方法。
<17>
前記沈殿物が、固体粒子の形態のリグノセルロース物質を含む、<13>~<16>のいずれか一つに記載の方法。
<18>
前記第1の固形分混合物がアルゲンタチンを含む、<13>~<17>のいずれか一つに記載の方法。
<19>
前記第2の固形分混合物が低MWイソプレンゴムを含む、<13>~<18>のいずれか一つに記載の方法。
<20>
連続向流抽出法を更に含み、前記非極性樹脂溶液が、水と前記極性溶媒との混合物を含む極性溶液流に対して向流の非極性溶液流として流れ、前記非極性溶液流は、低MWイソプレンゴムが次第に富化され、前記極性溶液流は、アルゲンタチンが次第に富化される、<13>~<19>のいずれか一つに記載の方法。
<21>
パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からリグノセルロース物質を分離する方法であって、前記方法が、
(a)少なくとも1種の非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、沈殿したリグノセルロース物質を更に含む非極性樹脂溶液を形成する工程と、
(b)前記沈殿したリグノセルロース物質を前記非極性樹脂溶液から分離する工程と、
(c)所望により、前記沈殿したリグノセルロース物質を前記非極性溶媒のアリコートで洗浄する工程と、を含む、方法。
<22>
前記非極性溶媒が、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される、<21>に記載の方法。
<23>
パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂から低分子量イソプレンゴムを分離する方法であって、前記方法が、
(a)非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、第1の沈殿物を更に含む非極性樹脂溶液を形成する工程と、
(b)前記非極性樹脂溶液から前記第1の沈殿物を分離する工程と、
(c)極性溶媒を前記非極性樹脂溶液に添加して、低MW天然ポリイソプレンゴムを凝集粒子の形態で沈殿させる工程と、
(d)前記非極性樹脂溶液から前記沈殿した低MW天然ポリイソプレンゴムを回収する工程と、を含む、方法。
<24>
前記非極性溶媒が、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、<23>に記載の方法。
<25>
前記極性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、<23>~<24>のいずれか一つに記載の方法。
<26>
パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂からトリテルペンの混合物を分離する方法であって、前記方法が、
(a)非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、第1の沈殿物を更に含む非極性樹脂溶液を形成する工程と、
(b)前記非極性樹脂溶液から前記第1の沈殿物を分離する工程と、
(c)極性溶媒を前記非極性樹脂溶液に添加して、第2の沈殿物を更に含む混合極性樹脂溶液を形成する工程と、
(d)前記混合極性樹脂溶液から前記第2の沈殿物を分離する工程と、
(e)前記混合極性樹脂溶液に水を添加して、分離可能な水性極性液体画分及び非極性液体画分を形成する工程と、
(f)前記非極性液体画分から前記水性極性液体画分を分離する工程と、
(g)前記水性極性液体画分を脱溶媒することによって、トリテルペンの前記混合物を回収する工程と、を含む、方法。
<27>
前記非極性溶媒が、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、<26>に記載の方法。
<28>
前記極性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、<26>~<27>のいずれか一つに記載の方法。
<29>
パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂から、テルペンとセスキテルペンとの混合物を単離する方法であって、前記方法が、
(a)非極性溶媒中に前記パルセニウム属アルゲンタトゥム樹脂を溶解して、第1の沈殿物を更に含む非極性樹脂溶液を形成する工程と、
(b)前記非極性樹脂溶液から前記第1の沈殿物を分離する工程と、
(c)極性溶媒を前記非極性樹脂溶液に添加して、第2の沈殿物を更に含む混合極性樹脂溶液を提供する工程と、
(d)前記混合極性樹脂溶液から前記第2の沈殿物を分離する工程と、
(e)前記混合極性樹脂溶液に水を添加して、分離可能な水性極性液体画分及び非極性液体画分を形成する工程と、
(f)前記非極性液体画分を前記水性極性液体画分から分離する工程と、
(g)前記非極性液体画分を蒸発させることによって、テルペン及びセスキテルペンを含む前記混合物を回収する工程と、を含む、方法。
<30>
前記非極性溶媒が、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、トルエン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、<29>に記載の方法。
<31>
前記極性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、<29>~<30>のいずれか一つに記載の方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D