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特許7662111アンモニア混焼バーナ、並びにこれを用いたアンモニア混焼システムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】アンモニア混焼バーナ、並びにこれを用いたアンモニア混焼システムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F23D 17/00 20060101AFI20250408BHJP
   F23C 99/00 20060101ALI20250408BHJP
   F23C 1/00 20060101ALN20250408BHJP
   F23C 1/08 20060101ALN20250408BHJP
   F23C 1/12 20060101ALN20250408BHJP
【FI】
F23D17/00 103
F23C99/00 309
F23C1/00 301
F23C1/08
F23C1/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024564475
(86)(22)【出願日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2024020614
【審査請求日】2024-11-12
(31)【優先権主張番号】P 2023132239
(32)【優先日】2023-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】張 聚偉
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/120701(WO,A1)
【文献】特開2020-041748(JP,A)
【文献】特開2018-200144(JP,A)
【文献】国際公開第2023/127678(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 17/00
F23C 1/12
F23C 1/00
F23C 1/08
F23C 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室に設置されると共に、前記燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナであって、
炭素含有燃料及び空気を混合して前記燃焼室内に供給する炭素含有燃料供給流路と、
アンモニア及び空気を混合して前記燃焼室内に供給するアンモニア供給流路と、
を備え、
空気供給流路が、同心円状に設けられた二重筒形状の噴射ノズルの噴出口の外側を直接囲うように配設され、
前記炭素含有燃料供給流路が、炭素含有燃料及び空気を混合して前記燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルであり、
前記アンモニア供給流路が、アンモニア及び空気を混合して前記燃焼室内に噴射する第2噴射ノズルであり、
前記噴射ノズルは、第2噴射ノズルが第1噴射ノズルを囲むように形成され、前記第1噴射ノズルと前記第2噴射ノズルとは同心円状に設けられた二重筒形状であり、
前記第1噴射ノズルの噴射方向及び前記第2噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていて、
前記空気供給流路は、前記燃焼室内にスワラを通して空気を供給する、アンモニア混焼バーナ。
【請求項2】
前記燃焼室と、
請求項に記載のアンモニア混焼バーナと、を有するアンモニア混焼システムの製造方法であって、
前記第1噴射ノズルを備えたバーナの、前記第1噴射ノズルの外側に前記第2噴射ノズルを設置することによって改造する、アンモニア混焼システムの製造方法。
【請求項3】
前記第1噴射ノズルの噴射方向及び前記第2噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていて、前記燃焼室内にスワラを通して空気を供給する空気供給流路を設置する、請求項に記載のアンモニア混焼システムの製造方法。
【請求項4】
燃焼室と、
前記燃焼室に設置されると共に、前記燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナと、を有するアンモニア混焼システムの製造方法であって、
前記アンモニア混焼バーナは、炭素含有燃料及び空気を混合して前記燃焼室内に供給する炭素含有燃料供給流路と、アンモニア及び空気を混合して前記燃焼室内に供給するアンモニア供給流路と、を備え、
空気供給流路が、同心円状に設けられた二重筒形状の噴射ノズルの噴出口の外側を直接囲うように配設され、
前記炭素含有燃料供給流路が、炭素含有燃料及び空気を混合して前記燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルであり、
前記噴射ノズルは、前記燃焼室内に空気を噴射する空気噴射ノズルが、第1噴射ノズルを囲むように形成され、前記空気噴射ノズルと前記第1噴射ノズルとは同心円状に設けられた二重筒形状であり、
前記空気噴射ノズルの噴射方向及び前記第1噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていて、
前記燃焼室内に空気を供給する前記空気供給流路に連結経路を接続することによって改造して、アンモニア及び空気を混合して前記燃焼室内に供給する前記アンモニア供給流路と、前記アンモニア供給流路にはスワラと、を設置する、アンモニア混焼システムの製造方法。
【請求項5】
燃焼室と、
前記燃焼室に設置されると共に、前記燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナと、を有するアンモニア混焼システムの製造方法であって、
前記アンモニア混焼バーナは、炭素含有燃料及び空気を混合して前記燃焼室内に供給する炭素含有燃料供給流路と、アンモニア及び空気を混合して前記燃焼室内に供給するアンモニア供給流路と、を備え、
空気供給流路が、同心円状に設けられた二重筒形状の噴射ノズルの噴出口の外側を直接囲うように配設され、
前記炭素含有燃料供給流路が、炭素含有燃料及び空気を混合して前記燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルであり、
前記噴射ノズルは、第1噴射ノズルが、前記燃焼室内にアンモニアを噴射するアンモニア噴射ノズルを囲むように形成され、前記第1噴射ノズルと前記アンモニア噴射ノズルとは同心円状に設けられた二重筒形状であり、
前記第1噴射ノズルの噴射方向及び前記アンモニア噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていて、
前記燃焼室内に空気を供給する前記空気供給流路に連結経路を接続することによって改造して、アンモニア及び空気を混合して前記燃焼室内に供給する前記アンモニア供給流路と、前記アンモニア供給流路にはスワラと、を設置する、アンモニア混焼システムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンモニア混焼バーナ、並びにこれを用いたアンモニア混焼システムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電から排出されるCOを削減するために、アンモニアと微粉炭の混合燃焼(以下、混焼)技術の開発が進められている。アンモニア(NH)は、水素原子(H)と窒素原子(N)との化合物であり、構成原子として炭素(C)を含まないことから、燃焼してもCOを排出しない燃料として活用が期待される。
【0003】
一方で、アンモニアを燃料の一部として混焼させるボイラは、燃料の一部が石炭からアンモニアに置き換わることによって、アンモニアの燃焼に伴う窒素酸化物(NOx)の増加が懸念される。特許文献1には、アンモニアバーナと微粉炭バーナとが異なる位置に設けられたアンモニア混焼システムにおいて、アンモニア燃料、微粉炭及び燃焼用空気の供給量を制御する制御装置を備えることでNOxの発生を抑制できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2023-39881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、混焼の際、アンモニアと炭素含有燃料が同じ空間で燃焼することで、アンモニア及び炭素含有燃料による燃焼が競合する。そのため、それぞれの燃焼に最適な量の酸素が供給されず、NO排出量及び灰中未燃分の増加につながるという課題がある。
【0006】
そこで本開示は、アンモニア及び炭素含有燃料をそれぞれ空気と燃焼前に予混合して燃焼室に供給し、別々の空間で燃焼させてNO排出量を低減させた、アンモニア混焼バーナ、並びにこれを用いたアンモニア混焼システムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るアンモニア混焼バーナは、燃焼室に設置されると共に、燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナであって、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に供給する炭素含有燃料供給流路と、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路と、を備える。
【0008】
炭素含有燃料供給流路が、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルであってもよく、アンモニア供給流路が、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第2噴射ノズルであってもよい。
【0009】
第1噴射ノズルは、第2噴射ノズルを囲むように形成され、第2噴射ノズルと同心円状に設けられた二重筒形状であり、第1噴射ノズルの噴射方向及び第2噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていて、燃焼室内にスワラを通して空気を供給する空気供給流路を備えていてもよい。
【0010】
第2噴射ノズルは、第1噴射ノズルを囲むように形成され、第1噴射ノズルと同心円状に設けられた二重筒形状であり、第1噴射ノズルの噴射方向及び第2噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていて、燃焼室内にスワラを通して空気を供給する空気供給流路を備えていてもよい。
【0011】
アンモニア供給流路でアンモニア及び空気を混合するときの、アンモニアと空気との当量比は1.0以上であってもよい。
【0012】
本開示に係るアンモニア混焼システムの製造方法は、燃焼室と、燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナと、を有するアンモニア混焼システムの製造方法であって、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルを備えたバーナの、燃焼室内に空気を供給する空気流路に連結経路を接続することによって改造して、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路と、アンモニア供給流路にはスワラと、を設置する。
【0013】
本開示に係るアンモニア混焼システムの製造方法は、燃焼室と、燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナと、を有するアンモニア混焼システムの製造方法であって、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルが、燃焼室内にアンモニアを噴射するアンモニア噴射ノズルを囲むように形成され、アンモニア噴射ノズルと同心円状に設けられた二重筒形状であるバーナの、燃焼室内に空気を供給する空気供給流路に連結経路を接続することによって改造して、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路と、アンモニア供給流路にはスワラと、を設置する。
【0014】
空気供給流路は複数の空気供給流路に区画され、複数の空気供給流路の少なくとも一部に連結経路を接続することによって改造して、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路を設置してもよい。
【0015】
本開示に係るアンモニア混焼システムの製造方法は、燃焼室と、燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナと、を有するアンモニア混焼システムの製造方法であって、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルが、燃焼室内にアンモニアを噴射するアンモニア噴射ノズルを囲むように形成され、アンモニア噴射ノズルと同心円状に設けられた二重筒形状であるバーナの、アンモニア噴射ノズルに連結経路を接続することによって改造して、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給する第2噴射ノズルを設置する。
【0016】
第1噴射ノズルの噴射方向及び第2噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていて、燃焼室内にスワラを通して空気を供給する空気供給流路を設置してもよい。
【0017】
本開示に係るアンモニア混焼システムの製造方法は、燃焼室と、燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナと、を有するアンモニア混焼システムの製造方法であって、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルを備えたバーナの、第1噴射ノズルの外側に、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第2噴射ノズルを設置することによって改造する。
【0018】
第2噴射ノズルは、第1噴射ノズルを囲むように形成され、第1噴射ノズルと同心円状に設けられた二重筒形状であってもよく、第1噴射ノズルの噴射方向及び第2噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていて、燃焼室内にスワラを通して空気を供給する空気供給流路を設置してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、アンモニア及び炭素含有燃料をそれぞれ空気と燃焼前に予混合して燃焼室に供給し、別々の空間で燃焼させてNO排出量を低減させた、アンモニア混焼バーナ、並びにこれを用いたアンモニア混焼システムの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1実施形態に係るアンモニア混焼システムが備えるボイラの要部構成を示す概略図である。
図2図2は、第1実施形態に係るアンモニア混焼バーナの概要を示す断面図である。
図3図3は、第2実施形態に係るアンモニア混焼バーナの概要を示す断面図である。
図4図4は、第3実施形態に係るアンモニア混焼バーナの概要を示す断面図である。
図5図5は、第4実施形態に係るアンモニア混焼バーナの概要を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、いくつかの例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のアンモニア混焼システムが備えるボイラ1を示す。図1に示すように、ボイラ1は、燃焼室2と、煙道3と、アンモニア混焼バーナ4と、二段燃焼空気供給部5と、アンモニア供給部6と、炭素含有燃料供給部7と、空気供給部8と、を備えている。
【0023】
燃焼室2は、垂直かつ筒状に設けられた炉壁によって構成され、燃料であるアンモニア及び炭素含有燃料を燃焼させて燃焼熱を発生させる炉体である。この燃焼室2では、燃料が燃焼することによって高温の燃焼ガスが発生する。また、燃焼室2の底部には、燃料の燃焼によって発生する灰分を外部に排出する排出口2aが設けられている。
【0024】
煙道3は、燃焼室2の上部と接続され、燃焼室2で発生した燃焼ガスを排ガスとして外部に案内する。このような煙道3は、燃焼室2の上部から水平に延出する水平煙道3aと、水平煙道3aの端部から下方に延出する後部煙道3bとを備えている。
【0025】
ボイラ1は、燃焼室2の上部等に設置される過熱器(不図示)を備えている。過熱器は、燃焼室2で発生した燃焼熱と水とを熱交換することによって水蒸気を生成する。また、ボイラ1は、必要に応じて再熱器、節炭器、空気予熱器等を備える(いずれも不図示)。
【0026】
アンモニア混焼バーナ4は、燃焼室2の下部の壁部に配置されている。このアンモニア混焼バーナ4は、燃焼室2の周方向に複数設置されていてもよく、燃焼室2の高さ方向に複数設置されていてもよい。これらのアンモニア混焼バーナ4は、燃焼室2の下部に二次元状かつ対向配置されており、燃料を噴射して燃焼させる。これらのアンモニア混焼バーナ4は、いずれもアンモニア及び炭素含有燃料を燃料として燃焼室2内に噴射可能な複合バーナである。なお、燃焼室2にはアンモニア混焼バーナ4から噴射されたアンモニア及び炭素含有燃料を着火させる着火装置(不図示)が設けられている。また、ボイラ1は、アンモニア混焼バーナ4に対して燃焼空気を供給する空気供給部8を有している。アンモニア混焼バーナ4から燃焼室2内に燃焼空気と共に噴射されたアンモニア及び炭素含有燃料は、上述の着火装置の働きによって着火して燃焼する。
【0027】
なお、ボイラ1に設置されるバーナの全てがアンモニア混焼バーナ4である必要はない。例えばボイラ1に、アンモニア混焼バーナ4の他に、石炭専焼のバーナ又はアンモニア専焼のバーナを備えていてもよい。
【0028】
二段燃焼空気供給部5は、アンモニア混焼バーナ4の上方にて燃焼室2と接続されており、燃焼室2の内部に二段燃焼用の空気を供給する。このような二段燃焼空気供給部5によって二段燃焼用の空気を供給することで、アンモニア混焼バーナ4で燃焼された燃料の未燃分が二段燃焼空気によって燃焼され、ボイラ1の収熱性能を高めると共に、排ガスに含まれる燃料の未燃分を減少させることができる。そして、燃料が燃焼されることで生成された燃焼ガスは、燃焼室2の下部から上部に移動し、煙道3を通じて外部に案内される。
【0029】
アンモニア混焼バーナ4に供給される炭素含有燃料は、化石燃料、バイオマス燃料及び合成燃料などを含む。化石燃料としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、液化天然ガス、灯油、重油、軽油、ガソリン、もしくは微粉炭などの石炭が挙げられる。微粉炭は、石炭を数マイクロメートル程度の大きさまで粉砕処理したものであり、ボイラ用の燃料として一般的に使用されている。
【0030】
一方、バイオマス燃料としては、例えば、間伐材、製材端材、剪定枝等の木質バイオマスを原料として破砕機で破砕処理して製造した破砕物、おが粉、木質バイオマスより製造したペレットなどが挙げられる。合成燃料は、メタネーション又はフィッシャートロプシュ反応などによって生成された炭化水素であってもよい。炭素含有燃料は組み合わせて使用することも可能であり、例えば、微粉炭にバイオマス燃料の粉体を混合した混合粉体を空気搬送によりアンモニア混焼バーナ4に供給することも可能である。
【0031】
アンモニア(NH)は、水素原子(H)と窒素原子(N)との化合物であり、構成原子として炭素(C)を含まないことから、燃焼してもCOを排出しない燃料として活用が期待される。そして、CO排出量の削減のために、石炭火力発電所などの既存設備の一部を改造し、アンモニアと石炭を混ぜて燃焼させるアンモニア混焼システムの導入に関する技術開発が進められている。その一方で、燃料の一部が石炭からアンモニアに置き換わることによって、アンモニアの燃焼に伴う窒素酸化物(NOx)の増加が懸念される。そのため、本実施形態においては、NO排出量を低減させたアンモニア混焼バーナを提供する。
【0032】
アンモニア供給部6は、アンモニア供給源6aと、燃料アンモニア供給部6bと、アンモニア供給制御装置6cとを備えている。アンモニア供給源6aは、アンモニアを貯蔵するタンク等からなる。なお、アンモニア供給源6aは、必ずしもアンモニア供給部6の構成要素である必要はない。つまり、アンモニア供給部6は、外部に設置されたアンモニア供給源6aからアンモニアを取り込むようにしてもよい。
【0033】
燃料アンモニア供給部6bは、アンモニア供給源6aとアンモニア混焼バーナ4とを接続する燃料アンモニア供給配管6b1と、燃料アンモニア供給配管6b1の途中に設置される流量調節弁6b2とを備えている。燃料アンモニア供給配管6b1は、アンモニア供給源6aから供給されたアンモニアをアンモニア混焼バーナ4に案内する配管であり、アンモニア供給流路42を経由して、燃焼室2の内部にアンモニアを供給する。流量調節弁6b2は、アンモニア供給源6aから燃料アンモニア供給配管6b1に供給されるアンモニアの流量を調節するバルブである。
【0034】
アンモニア供給制御装置6cは、流量調節弁6b2を制御し、流量調節弁6b2の開度を調節する。アンモニア供給制御装置6cは、外部の指令等に基づいて、流量調節弁6b2の開度を調節することによってアンモニア供給源6aから取り込まれるアンモニアの流量を調節する。
【0035】
炭素含有燃料供給部7は、アンモニア混焼バーナ4と接続されており、炭素含有燃料供給流路41を経由して、燃焼室2の内部に炭素含有燃料を供給する。
【0036】
炭素含有燃料が微粉炭である場合は、石炭を粉砕して微粉炭とすると共に微粉炭をアンモニア混焼バーナ4に対して供給する。この炭素含有燃料供給部7は、例えば石炭を数マイクロメートル程度の粒径まで粉砕して微粉炭とするミルと、ミルによって生成された微粉炭をアンモニア混焼バーナ4に供給する給炭機とを備えている。なお、炭素含有燃料供給部7は、給炭機を備えずにミルから直接的に微粉炭をアンモニア混焼バーナ4に供給する構成とすることもできる。
【0037】
空気供給部8は、炭素含有燃料供給部7とアンモニア混焼バーナ4とを接続する配管の途中に接続され、炭素含有燃料に燃焼用の空気を供給する。炭素含有燃料に供給される空気は、空気供給部8の上流に設けられた加熱装置(不図示)によって加熱されており、常温よりも高い温度となっている。そして、アンモニア混焼バーナ4の炭素含有燃料供給流路41は、炭素含有燃料及び空気を燃焼前に予混合して燃焼室内2に供給する。
【0038】
また、空気供給部8は、燃料アンモニア供給配管6b1の途中に接続され、アンモニアに燃焼用の空気を供給する。アンモニアに供給される空気は、空気供給部8の上流に設けられた加熱装置(不図示)によって加熱されており、常温よりも高い温度となっている。そして、アンモニア混焼バーナ4のアンモニア供給流路42は、アンモニア及び空気を燃焼前に予混合して燃焼室2内に供給する。
【0039】
上記のように、アンモニア及び炭素含有燃料をそれぞれ空気と燃焼前に予混合して、最適な条件を調整し燃焼させることで、それぞれの燃焼に最適な量の酸素が供給され、NO排出量及び灰中未燃分の増加を抑えることが可能である。アンモニア供給流路42でアンモニア及び空気を混合するときの、アンモニアと空気との当量比は1.0以上であることが好ましく、1.1以上2.0以下であることがより好ましい。当量比とは、燃焼を行う際の混合気において、理論混合気時の燃料量に対する実際に投入された燃料量の比率を示す。当量比が1.0より大きい場合は燃料過濃状態であることを示す。
【0040】
アンモニア混焼バーナ4は、燃焼室2に設置されると共に、燃焼室2内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナである。そして、アンモニア混焼バーナ4は、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室2内に供給する炭素含有燃料供給流路41と、アンモニア及び空気を混合して燃焼室2内に供給するアンモニア供給流路42と、を備える。
【0041】
第1実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4aについて、図2を用いて説明する。アンモニア混焼バーナ4aにおける炭素含有燃料供給流路41は、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第1噴射ノズル41aである。また、アンモニア混焼バーナ4aにおけるアンモニア供給流路42は、アンモニア及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第2噴射ノズル42aである。すなわち、第1実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4aは、第1噴射ノズル41aと、第2噴射ノズル42aとを備えている。
【0042】
第1噴射ノズル41aは、第2噴射ノズル42aを囲むように形成され、第2噴射ノズル42aと同心円状に設けられた二重筒形状であってもよい。すなわち、第1噴射ノズル41aを外筒部、第2噴射ノズル42aを内筒部とした、第2噴射ノズル42aのノズル軸線Lを中心とした、二重筒形状であってもよい。また、第1噴射ノズル41aの噴射方向及び第2噴射ノズル42aの噴射方向がノズル軸線Lと同方向を向いていてもよい。
【0043】
一方、アンモニア混焼バーナ4aは、燃焼室2内にスワラ45aを通して空気を供給する2次空気供給流路43aを備える。そして、2次空気供給流路43aは、第1噴射ノズル41aの噴出口の外側を囲うように配設されている。
【0044】
上述の空気供給部8は、2次空気供給流路43aに接続され、火炎に対して径方向外側から燃焼用の2次空気を供給する。燃焼室2内に2次空気供給流路43aを経由して供給される2次空気は、空気供給部8の上流に設けられた加熱装置(不図示)によって加熱されており、常温よりも高い温度となっている。
【0045】
スワラ45aは、2次空気供給流路43aの上流側に設けられている。また、スワラ45aは、放射状に設けられた複数の羽根と、複数の羽根を回動させるモータ等の駆動装置を有しておいる。スワラ45aの複数の羽根が回転することによって2次空気供給流路43aへと流れる2次空気の旋回力を微調節する。そして、2次空気の旋回力により、燃焼室2内において、燃料及び空気の内部循環流が形成される。内部循環流とは、図2の点線及び矢印で示すように、燃焼室2内を、外側からノズル軸線Lに向かう循環流を示す。
【0046】
アンモニア混焼バーナ4aでは、第2噴射ノズル42aからアンモニア及び空気が噴射され、第1噴射ノズル41aから炭素含有燃料及び空気が噴射される。さらに、アンモニア混焼バーナ4aでは、燃焼用の2次空気が供給されて燃焼することによって、図2に示すように、アンモニア混焼バーナ4aの前方に対して火炎F1及びF2が形成される。
【0047】
火炎F1は、第1噴射ノズル41aから炭素含有燃料及び空気が噴射されることによって燃焼された、炭素含有燃料火炎である。上記のように、2次空気の旋回力によって発生する、燃焼室2内における内部循環流により、火炎F1は、ノズル軸線Lの径方向外側に向かって形成される。
【0048】
一方、火炎F2は、第2噴射ノズル42aからアンモニア及び空気が噴射されることによって燃焼された、アンモニア火炎である。火炎F2は、ノズル軸線Lに沿って直線方向に形成される。このように火炎F1及びF2が形成されると、火炎F1の外縁領域(ノズル軸線Lの径方向外側の領域)と、火炎F2の先端領域は、酸素濃度が低い酸素濃度低下領域となる。
【0049】
アンモニア混焼バーナ4aの第2噴射ノズル42aから、アンモニア及び空気が混合して燃焼室2内に供給されるが、アンモニアは、酸素濃度が低い酸素濃度低下領域に噴射される。酸素が豊富な領域でアンモニアが燃焼すると、アンモニアに含まれる窒素が酸素と結びついてNOxが生成されやすいが、酸素濃度低下領域にてアンモニアが燃焼されると、アンモニアに含まれる窒素同士が結びついて窒素ガス(N)となる。そのため、アンモニア混焼バーナ4aによれば、NOxの増加を抑制することが可能となる。
【0050】
このように、第1実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4aは、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第1噴射ノズル41aと、アンモニア及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第2噴射ノズル42aとを備える。そのため、混焼の際、アンモニアと炭素含有燃料が別々の空間で燃焼され、アンモニアおよび炭素含有燃料による燃焼が競合することはない。さらに、一部の空気をアンモニアと燃焼前に予混合して、最適な条件を調整し燃焼させることで、それぞれの燃焼に最適な量の酸素が供給され、NO排出量及び灰中未燃分の増加を抑えることが可能である。
【0051】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るアンモニア混焼バーナについて説明する。図1で示した、アンモニア混焼システムが備えるボイラ1については、アンモニア混焼バーナ4以外は上記第1実施形態と共通しているので、その説明を省略する。その他、第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0052】
第2実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4bについて、図3を用いて説明する。アンモニア混焼バーナ4bにおける炭素含有燃料供給流路41は、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第1噴射ノズル41bである。また、アンモニア混焼バーナ4bにおけるアンモニア供給流路42は、アンモニア及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第2噴射ノズル42bである。すなわち、第2実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4bは、第1噴射ノズル41bと、第2噴射ノズル42bとを備えている。
【0053】
第2噴射ノズル42bは、第1噴射ノズル41bを囲むように形成され、第1噴射ノズル41bと同心円状に設けられた二重筒形状であってもよい。すなわち、第2噴射ノズル42bを外筒部、第1噴射ノズル41bを内筒部とした、第1噴射ノズル41bのノズル軸線Lを中心とした、二重筒形状であってもよい。また、第1噴射ノズル41bの噴射方向及び第2噴射ノズル42bの噴射方向がノズル軸線Lと同方向を向いていてもよい。
【0054】
一方、アンモニア混焼バーナ4bは、燃焼室2内にスワラ45bを通して空気を供給する2次空気供給流路43bを備える。そして、2次空気供給流路43bは、第2噴射ノズル42bの噴出口の外側を囲うように配設されている。
【0055】
上述の空気供給部8は、2次空気供給流路43bに接続され、火炎に対して径方向外側から燃焼用の2次空気を供給する。燃焼室2内に2次空気供給流路43bを経由して供給される2次空気は、空気供給部8の上流に設けられた加熱装置(不図示)によって加熱されており、常温よりも高い温度となっている。
【0056】
スワラ45bは、第1実施形態のスワラ45aと同様の機能を持ち、2次空気供給流路43bの上流側に設けられ、2次空気供給流路43bへと流れる2次空気の旋回力を微調節する。アンモニア混焼バーナ4bでは、第1噴射ノズル41bから炭素含有燃料及び空気が噴射され、第2噴射ノズル42bからアンモニア及び空気が噴射される。さらに、アンモニア混焼バーナ4bでは、燃焼用の2次空気が供給されて燃焼することによって、図3に示すように、アンモニア混焼バーナ4bの前方に対して火炎F1及びF2が形成される。
【0057】
火炎F2は、第2噴射ノズル42bからアンモニア及び空気が噴射されることによって燃焼された、アンモニア火炎である。2次空気の旋回力によって発生する、燃焼室2内における内部循環流(図3の点線及び矢印)により、火炎F2は、ノズル軸線Lの径方向外側に向かって形成される。一方、火炎F1は、第1噴射ノズル41bから炭素含有燃料及び空気が噴射されることによって燃焼された、炭素含有燃料火炎であり、ノズル軸線Lに沿って直線方向に形成される。このように火炎F1及びF2が形成されると、火炎F2の外縁領域(ノズル軸線Lの径方向外側の領域)と、火炎F1の先端領域は、酸素濃度が低い酸素濃度低下領域となる。
【0058】
アンモニア混焼バーナ4bの第2噴射ノズル42bから、アンモニア及び空気が混合して燃焼室2内に供給されるが、アンモニアは、酸素濃度が低い酸素濃度低下領域に噴射される。そのため、第1実施形態と同様に、アンモニア混焼バーナ4bによれば、窒素酸化物NOxの増加を抑制することが可能となる。
【0059】
このように、第2実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4bは、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第1噴射ノズル41bと、アンモニア及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第2噴射ノズル42bとを備える。そのため、混焼の際、アンモニアと炭素含有燃料が別々の空間で燃焼され、アンモニアおよび炭素含有燃料による燃焼が競合することはない。さらに、一部の空気をアンモニアと燃焼前に予混合して、最適な条件を調整し燃焼させることで、それぞれの燃焼に最適な量の酸素が供給され、NO排出量及び灰中未燃分の増加を抑えることが可能である。
【0060】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るアンモニア混焼バーナについて説明する。図1で示した、アンモニア混焼システムが備えるボイラ1については、アンモニア混焼バーナ4以外は上記第1実施形態と共通しているので、その説明を省略する。その他、第3実施形態の説明において、上記の実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0061】
第3実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4cについて、図4を用いて説明する。アンモニア混焼バーナ4cにおける炭素含有燃料供給流路41は、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第1噴射ノズル41cである。また、アンモニア混焼バーナ4cにおけるアンモニア供給流路42は、アンモニア及び2次空気を混合して燃焼室2内に供給するアンモニア供給流路42cである。すなわち、第3実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4cは、第1噴射ノズル41cと、アンモニア供給流路42cとを備えている。
【0062】
アンモニア混焼バーナ4cは、燃焼室2内に燃焼用の空気を噴射する空気噴射ノズル46cを備える。上述の空気供給部8は、空気噴射ノズル46cに接続されている。燃焼室2内に空気噴射ノズル46cを経由して噴射される空気は、空気供給部8の上流に設けられた加熱装置(不図示)によって加熱されており、常温よりも高い温度となっている。空気噴射ノズル46cは、第1噴射ノズル41cを囲むように形成され、第1噴射ノズル41cと同心円状に設けられた二重筒形状であってもよい。すなわち、空気噴射ノズル46cを外筒部、第1噴射ノズル41cを内筒部とした、第1噴射ノズル41cのノズル軸線Lを中心とした、二重筒形状であってもよい。また、第1噴射ノズル41cの噴射方向及び空気噴射ノズル46cの噴射方向がノズル軸線Lと同方向を向いていてもよい。
【0063】
一方、アンモニア混焼バーナ4cは、燃焼室2内にスワラ45cを通してアンモニア及び2次空気を混合して供給するアンモニア供給流路42cを備える。そして、アンモニア供給流路42cは、空気噴射ノズル46cの噴出口の外側を囲うように配設されている。
【0064】
上述の空気供給部8は、アンモニア供給流路42cに接続され、火炎に対して径方向外側から燃焼用の2次空気を供給する。燃焼室2内にアンモニア供給流路42cを経由して供給される2次空気は、空気供給部8の上流に設けられた加熱装置(不図示)によって加熱されており、常温よりも高い温度となっている。
【0065】
スワラ45cは、第1実施形態のスワラ45aと同様の機能を持ち、アンモニア供給流路42cの上流側に設けられ、アンモニア供給流路42cへと流れる2次空気の旋回力を微調節する。アンモニア混焼バーナ4cでは、第1噴射ノズル41cから炭素含有燃料及び空気が噴射され、燃焼用の空気が噴射される。さらに、アンモニア混焼バーナ4cでは、アンモニア供給流路42cからアンモニア及び2次空気が供給されることによって、図4に示すように、アンモニア混焼バーナ4cの前方に対して火炎F1及びF2が形成される。
【0066】
火炎F2は、アンモニア供給流路42cからアンモニア及び2次空気が供給されることによって燃焼された、アンモニア火炎である。2次空気の旋回力によって発生する、燃焼室2内における内部循環流(図4の点線及び矢印)により、火炎F2は、ノズル軸線Lの径方向外側に向かって形成される。一方、火炎F1は、第1噴射ノズル41cから炭素含有燃料及び空気が噴射されることによって燃焼された、炭素含有燃料火炎であり、ノズル軸線Lに沿って直線方向に形成される。このように火炎F1及びF2が形成されると、火炎F2の外縁領域(ノズル軸線Lの径方向外側の領域)と、火炎F1の先端領域は、酸素濃度が低い酸素濃度低下領域となる。
【0067】
アンモニア混焼バーナ4cのアンモニア供給流路42cから、アンモニア及び2次空気が混合して燃焼室2内に供給されるが、アンモニアは、酸素濃度が低い酸素濃度低下領域に噴射される。そのため、第1実施形態と同様に、アンモニア混焼バーナ4cによれば、NOxの増加を抑制することが可能となる。
【0068】
このように、第3実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4cは、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第1噴射ノズル41cと、アンモニア及び空気を混合して燃焼室2内に供給するアンモニア供給流路42cとを備える。そのため、混焼の際、アンモニアと炭素含有燃料が別々の空間で燃焼され、アンモニアおよび炭素含有燃料による燃焼が競合することはない。さらに、一部の空気をアンモニアと燃焼前に予混合して、最適な条件を調整し燃焼させることで、それぞれの燃焼に最適な量の酸素が供給され、NO排出量及び灰中未燃分の増加を抑えることが可能である。
【0069】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係るアンモニア混焼バーナについて説明する。図1で示した、アンモニア混焼システムが備えるボイラ1については、アンモニア混焼バーナ4以外は上記第1実施形態と共通しているので、その説明を省略する。その他、第4実施形態の説明において、上記の実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0070】
第4実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4dについて、図5を用いて説明する。アンモニア混焼バーナ4dにおける炭素含有燃料供給流路41は、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第1噴射ノズル41dである。また、アンモニア混焼バーナ4dにおけるアンモニア供給流路42は、アンモニア及び空気を混合して燃焼室2内に供給するアンモニア供給流路42dである。すなわち、第4実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4dは、第1噴射ノズル41dと、アンモニア供給流路42dとを備えている。
【0071】
アンモニア混焼バーナ4dは、燃焼室2内にアンモニアを噴射するアンモニア噴射ノズル47dを備える。上述の燃料アンモニア供給配管6b1は、アンモニア噴射ノズル47dに接続されている。第1噴射ノズル41dは、アンモニア噴射ノズル47dを囲むように形成され、アンモニア噴射ノズル47dと同心円状に設けられた二重筒形状であってもよい。すなわち、第1噴射ノズル41dを外筒部、アンモニア噴射ノズル47dを内筒部とした、アンモニア噴射ノズル47dのノズル軸線Lを中心とした、二重筒形状であってもよい。また、第1噴射ノズル41dの噴射方向及びアンモニア噴射ノズル47dの噴射方向がノズル軸線Lと同方向を向いていてもよい。
【0072】
一方、アンモニア混焼バーナ4dは、燃焼室2内にスワラ45dを通してアンモニア及び2次空気を混合して供給するアンモニア供給流路42dを備える。そして、アンモニア供給流路42dは、第1噴射ノズル41dの噴出口の外側を囲うように配設されている。
【0073】
上述の空気供給部8は、アンモニア供給流路42dに接続され、火炎に対して径方向外側から燃焼用の2次空気を供給する。燃焼室2内にアンモニア供給流路42dを経由して供給される2次空気は、空気供給部8の上流に設けられた加熱装置(不図示)によって加熱されており、常温よりも高い温度となっている。
【0074】
スワラ45dは、第1実施形態のスワラ45aと同様の機能を持ち、アンモニア供給流路42dの上流側に設けられ、アンモニア供給流路42dへと流れる2次空気の旋回力を微調節する。
【0075】
さらに、アンモニア混焼バーナ4dは、アンモニア供給流路42dを囲うように配設される3次空気供給流路44dを備えている。3次空気供給流路44dは、火炎に対して径方向外側から燃焼用の3次空気を供給する。そして、アンモニア供給流路42d及び3次空気供給流路44dの上流側には、スワラ45eを備える。スワラ45eは、アンモニア供給流路42dへと流れる2次空気、及び3次空気供給流路44dへと流れる3次空気の旋回力を微調節する。
【0076】
アンモニア混焼バーナ4dでは、アンモニア噴射ノズル47dからアンモニアが噴射され、第1噴射ノズル41dから炭素含有燃料及び空気が噴射される。さらに、アンモニア混焼バーナ4dでは、アンモニア供給流路42dからアンモニア及び2次空気が供給され、燃焼用の3次空気が供給されることによって、図5に示すように、アンモニア混焼バーナ4dの前方に対して火炎F1及びF2が形成される。
【0077】
火炎F2は、アンモニア噴射ノズル47dからアンモニアが噴射される、又はアンモニア供給流路42dからアンモニア及び2次空気が噴射されることによって燃焼された、アンモニア火炎である。アンモニア噴射ノズル47dからアンモニアが噴射されて燃焼された火炎F2は、ノズル軸線Lに沿って直線方向に形成される。一方、アンモニア供給流路42dからの噴射によって燃焼された火炎F2は、2次空気及び3次空気の旋回力によって発生する、燃焼室2内における内部循環流(図5の点線及び矢印)により、ノズル軸線Lの径方向外側に向かって形成される。
【0078】
一方、火炎F1は、第1噴射ノズル41dから炭素含有燃料及び空気が噴射されることによって燃焼された、炭素含有燃料火炎である。火炎F1は、燃焼室2内における内部循環流により、ノズル軸線Lの径方向外側に向かって、火炎F2の間に挟まれるような位置に形成される。
【0079】
このように火炎F1及びF2が形成されると、火炎F2の外縁領域(ノズル軸線Lの径方向外側の領域)と、火炎F1及び火炎F2の先端領域は、酸素濃度が低い酸素濃度低下領域となる。
【0080】
アンモニア混焼バーナ4dのアンモニア噴射ノズル47d及びアンモニア供給流路42dから、アンモニアが燃焼室2内に供給されるが、アンモニアは、酸素濃度が低い酸素濃度低下領域に噴射される。そのため、第1実施形態と同様に、アンモニア混焼バーナ4dによれば、NOxの増加を抑制することが可能となる。
【0081】
このように、第4実施形態に係るアンモニア混焼バーナ4dは、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室2内に噴射する第1噴射ノズル41dと、アンモニア及び空気を混合して燃焼室2内に供給するアンモニア供給流路42dとを備える。そのため、混焼の際、アンモニアと炭素含有燃料が別々の空間で燃焼され、アンモニアおよび炭素含有燃料による燃焼が競合することはない。さらに、一部の空気をアンモニアと燃焼前に予混合して、最適な条件を調整し燃焼させることで、それぞれの燃焼に最適な量の酸素が供給され、NO排出量及び灰中未燃分の増加を抑えることが可能である。
【0082】
上記のように、アンモニア混焼バーナは、燃焼室に設置されると共に、燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させる。そして、アンモニア混焼バーナは、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に供給する炭素含有燃料供給流路又は第1噴射ノズルと、アンモニア及び空気を混合して燃焼室2内に供給するアンモニア供給流路又は第2噴射ノズルと、を備える。そのため、混焼の際、アンモニアと炭素含有燃料が別々の空間で燃焼され、アンモニアおよび炭素含有燃料による燃焼が競合することはない。さらに、一部の空気をアンモニアと燃焼前に予混合して、最適な条件を調整し燃焼させることで、それぞれの燃焼に最適な量の酸素が供給され、NO排出量及び灰中未燃分の増加を抑えることが可能である。
【0083】
アンモニア混焼システムは、燃焼室と、燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナと、を有している。このようなアンモニア混焼システムの製造方法としては、必ずしも各設備を新しく建設する必要はなく、微粉炭バーナのような既存設備を改造することで製造コストを削減することができる。例えば、既存の微粉炭バーナに、燃焼室内に2次空気を供給する2次空気供給流路に連結経路を接続することによって改造して、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路を設置することが可能である。また、既存の微粉炭バーナの、燃料室内に燃料又は空気を噴射する噴射ノズルを、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第2噴射ノズルに置換することも可能である。
【0084】
[アンモニア混焼システムの製造方法1]
製造方法としては、例えば、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルを備えたバーナを改造する。具体的には、燃焼室内に空気を供給する2次空気供給流路に連結経路を接続することによって改造して、2次空気供給流路にアンモニアを供給する。そして、2次空気流路は、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路に置換されることになる。このようにして、アンモニア混焼バーナに、アンモニア供給流路を設置する。さらに、アンモニア供給流路にスワラを設置する。改造されたアンモニア混焼バーナは、第1噴射ノズルと、アンモニア供給流路と、を備えることになる。なお、空気噴射ノズルが、第1噴射ノズルを囲むように形成され、第1噴射ノズルと同心円状に設けられた二重筒形状であってもよい。このようにして、上記第3実施形態(図4)に係るアンモニア混焼バーナ4cを製造することができる。
【0085】
空気供給流路は複数の空気供給流路に区画され、複数の空気供給流路の少なくとも一部に連結経路を接続することによって改造して、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路を設置してもよい。例えば、燃焼室内に空気を供給する2次空気供給流路を、2次空気供給流路及び3次空気供給流路に区画したうえで、2次空気供給流路に連結経路を接続することによって改造して、2次空気供給流路にアンモニアを供給する。このようにして、2次空気供給流路は、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路に置換される。一方、3次空気供給流路は3次空気を燃焼室内に供給する。さらに、アンモニア供給流路及び3次空気供給流路の上流側にスワラを設置することにより、上記第4実施形態(図5)のアンモニア供給流路42d及び3次空気供給流路44dと同様に、アンモニア供給流路及び3次空気供給流路を設置することができる。
【0086】
[アンモニア混焼システムの製造方法2]
製造方法としては、例えば、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルが、燃焼室内にアンモニアを噴射するアンモニア噴射ノズルを囲むように形成され、アンモニア噴射ノズルと同心円状に設けられた二重筒形状であるバーナを改造する。具体的には、燃焼室内に空気を供給する2次空気供給流路に連結経路を接続することによって改造して、2次空気供給流路にアンモニアを供給する。そして、2次空気供給流路は、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路に置換されることになる。このようにして、アンモニア混焼バーナに、アンモニア供給流路を設置する。さらに、アンモニア供給流路にスワラを設置する。改造されたアンモニア混焼バーナは、第1噴射ノズルと、アンモニア供給流路と、を備えることになる。
【0087】
空気供給流路は複数の空気供給流路に区画され、複数の空気供給流路の少なくとも一部に連結経路を接続することによって改造して、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路を設置してもよい。例えば、2次空気供給流路はアンモニア供給流路に置換される一方で、3次空気供給流路は3次空気を燃焼室内に供給する。さらに、アンモニア供給流路及び3次空気供給流路の上流側にスワラを設置することにより、上記第4実施形態(図5)に係るアンモニア混焼バーナ4dを製造することができる。
【0088】
[アンモニア混焼システムの製造方法3]
製造方法としては、例えば、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルが、燃焼室内にアンモニアを噴射するアンモニア噴射ノズルを囲むように形成され、アンモニア噴射ノズルと同心円状に設けられた二重筒形状であるバーナを改造する。具体的には、アンモニア噴射ノズルに連結経路を接続することによって改造して、アンモニア供給流路に空気を供給する。そして、アンモニア噴射ノズルは、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給する第2噴射ノズルに置換されることになる。このようにして、アンモニア混焼バーナに、第2噴射ノズルを設置する。改造されたアンモニア混焼バーナは、第1噴射ノズルと、第2噴射ノズルと、を備えることになる。
【0089】
第1噴射ノズルの噴射方向及び第2噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていてもよい。また、2次空気供給流路にスワラを設置して、燃焼室内にスワラを通して空気を供給する2次空気供給流路を設置してもよい。このことにより、上記第1実施形態(図2)に係るアンモニア混焼バーナ4aを製造することができる。
【0090】
[アンモニア混焼システムの製造方法4]
製造方法としては、例えば、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第1噴射ノズルを備えたバーナを改造する。具体的には、第1噴射ノズルの外側に、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に噴射する第2噴射ノズルを設置することによって改造する。改造されたアンモニア混焼バーナは、第1噴射ノズルと、第2噴射ノズルと、を備えることになる。
【0091】
第2噴射ノズルは、第1噴射ノズルを囲むように形成され、第1噴射ノズルと同心円状に設けられた二重筒形状であってもよい。また、第1噴射ノズルの噴射方向及び第2噴射ノズルの噴射方向がノズル軸線と同方向を向いていてもよい。2次空気供給流路にスワラを設置して、燃焼室内にスワラを通して空気を供給する2次空気供給流路を設置してもよい。このことにより、上記第2実施形態(図3)に係るアンモニア混焼バーナ4bを製造することができる。
【0092】
以上説明した通り、本実施形態に係るアンモニア混焼バーナは、燃焼室に設置されると共に、燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させる。そして、アンモニア混焼バーナは、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室内に供給する炭素含有燃料供給流路と、アンモニア及び空気を混合して燃焼室内に供給するアンモニア供給流路と、を備える。また、アンモニア混焼システムは、燃焼室と、燃焼室内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナと、を有している。そのため、アンモニア混焼システムの製造方法としては、微粉炭バーナのような既存設備を改造することで製造コストを削減することができる。
【0093】
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【0094】
本開示は、例えば、国際連合が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7『すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する』及び目標13『気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる』に貢献することができる。
【0095】
特願2023-132239号(出願日:2023年8月15日)の全内容は、ここに援用される。
【符号の説明】
【0096】
1 ボイラ
2 燃焼室
4,4a,4b,4c,4d アンモニア混焼バーナ
41 炭素含有燃料供給流路
41a,41b,41c,41d 第1噴射ノズル(炭素含有燃料供給流路)
42,42c,42d アンモニア供給流路
42a,42b 第2噴射ノズル(アンモニア供給流路)
43a,43b 2次空気供給流路(空気供給流路)
45a,45b,45c,45d,45e スワラ
【要約】
アンモニア混焼バーナ(4)は、燃焼室(2)に設置されると共に、燃焼室(2)内にアンモニア及び炭素含有燃料を供給して燃焼させるアンモニア混焼バーナ(4)であって、炭素含有燃料及び空気を混合して燃焼室(2)内に供給する炭素含有燃料供給流路(41)と、アンモニア及び空気を混合して燃焼室(2)内に供給するアンモニア供給流路(42)と、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5