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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】光学式プローブ及び形状測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20250414BHJP
【FI】
G01B11/25 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021103903
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2023003002
(43)【公開日】2023-01-11
【審査請求日】2024-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小野 林季
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-505601(JP,A)
【文献】特開2019-128355(JP,A)
【文献】特開2016-099615(JP,A)
【文献】国際公開第2021/083641(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G02B 26/10-26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物にライン光を照射する照射部と、
前記測定対象物にて反射されたライン光を受光して、所定の露光時間で前記測定対象物の画像を撮像する撮像部と、
を備え、
前記照射部は、
前記ライン光を生成する光生成部と、
前記露光時間中に、前記光生成部が生成した前記ライン光を長さ方向に振動させながら前記測定対象物に照射させる光振動部と、
を有し、
前記光振動部は、前記長さ方向において所定の周期を有する前記ライン光を前記周期の1/2以上ずらすように振動させながら前記測定対象物に照射させる、光学式プローブ。
【請求項2】
前記光振動部は、前記露光時間中に、前記ライン光を前記長さ方向に少なくとも一往復移動させながら前記測定対象物に照射させる、
請求項1に記載の光学式プローブ。
【請求項3】
前記光振動部は、前記長さ方向と直交する方向の軸を中心に揺動する揺動ミラーを有し、前記揺動ミラーを揺動させることで前記ライン光を前記長さ方向に振動させる、
請求項1又は2に記載の光学式プローブ。
【請求項4】
前記揺動ミラーは、前記露光時間中に所定の角度範囲で少なくとも1回揺動する、
請求項に記載の光学式プローブ。
【請求項5】
前記照射部は、レーザ光を出射する光源を更に備え、
前記光生成部は、前記レーザ光を前記ライン光に変形させ、
前記光振動部は、前記光源を前記長さ方向に往復移動させるアクチュエータを有し、前記光源を往復移動させることで前記ライン光を前記長さ方向に振動させる、
請求項1又は2に記載の光学式プローブ。
【請求項6】
前記光振動部は、前記光生成部としてのレンズを前記長さ方向に往復移動させるアクチュエータを有し、前記レンズを往復移動させることで前記ライン光を前記長さ方向に振動させる、
請求項1又は2に記載の光学式プローブ。
【請求項7】
前記光振動部は、前記ライン光を反射可能な複数の反射面を含む回転ミラーを有し、前記回転ミラーを回転させることで前記ライン光を前記長さ方向に振動させる、
請求項1又は2に記載の光学式プローブ。
【請求項8】
前記撮像部の露光と前記光振動部による前記ライン光の前記長さ方向の振動とを、同期するように制御する制御部を更に備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の光学式プローブ。
【請求項9】
測定対象物にライン光を照射する照射部と、前記測定対象物にて反射されたライン光を受光して、所定の露光時間で前記測定対象物の画像を撮像する撮像部と、を備える光学式プローブと、
前記撮像部の出力に基づいて、前記測定対象物の形状を演算する演算部と、
を含み、
前記照射部は、
前記ライン光を生成する光生成部と、
前記露光時間中に、前記光生成部が生成した前記ライン光を長さ方向に振動させながら前記測定対象物に照射させる光振動部と、
を有し、
前記光振動部は、前記長さ方向において所定の周期を有する前記ライン光を前記周期の1/2以上ずらすように振動させながら前記測定対象物に照射させる、形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式プローブ及び形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
形状測定装置において、三角測量原理に基づいた光切断方式により測定対象物の断面形状を測定する非接触型の光学式プローブが利用されている。光学式プローブは、測定対象物にライン光を照射し、測定対象物の表面から反射した光に基づいて測定対象物の画像を撮像する(下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5869281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学式プローブにおいては、直線のライン光を測定対象物に照射しているが、光学式プローブに含まれるレンズ部品に起因する誤差等によって、測定対象物の表面におけるライン光の分布が直線ではなくうねっている事象が発生しうる。この場合には、撮像部がうねった像を撮像してしまい、測定対象物の形状の測定誤差が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ライン光を照射して測定対象物を測定する際の測定誤差を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、測定対象物にライン光を照射する照射部と、前記測定対象物にて反射されたライン光を受光して、所定の露光時間で前記測定対象物の画像を撮像する撮像部と、を備え、前記照射部は、前記ライン光を生成する光生成部と、前記露光時間中に、前記光生成部が生成した前記ライン光を長さ方向に振動させながら前記測定対象物に照射させる光振動部と、を有する、光学式プローブを提供する。
【0007】
また、前記光振動部は、前記露光時間中に、前記ライン光を前記長さ方向に少なくとも一往復移動させながら前記測定対象物に照射させることとしてもよい。
【0008】
また、前記光振動部は、前記長さ方向において所定の周期を有する前記ライン光を前記周期の1/2以上ずらすように振動させながら前記測定対象物に照射させることとしてもよい。
【0009】
また、前記光振動部は、前記長さ方向と直交する方向の軸を中心に揺動する揺動ミラーを有し、前記揺動ミラーを揺動させることで前記ライン光を前記長さ方向に振動させることとしてもよい。
【0010】
また、前記揺動ミラーは、前記露光時間中に所定の角度範囲で少なくとも1回揺動することとしてもよい。
【0011】
また、前記照射部は、レーザ光を出射する光源を更に備え、前記光生成部は、前記レーザ光を前記ライン光に変形させ、前記光振動部は、前記光源を前記長さ方向に往復移動させるアクチュエータを有し、前記光源を往復移動させることで前記ライン光を前記長さ方向に振動させることとしてもよい。
【0012】
また、前記光振動部は、前記光生成部としてのレンズを前記長さ方向に往復移動させるアクチュエータを有し、前記レンズを往復移動させることで前記ライン光を前記長さ方向に振動させることとしてもよい。
【0013】
また、前記光振動部は、前記ライン光を反射可能な複数の反射面を含む回転ミラーを有し、前記回転ミラーを回転させることで前記ライン光を前記長さ方向に振動させることとしてもよい。
【0014】
また、前記撮像部の露光と前記光振動部による前記ライン光の前記長さ方向の振動とを、同期するように制御する制御部を更に備えることとしてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、測定対象物にライン光を照射する照射部と、前記測定対象物にて反射されたライン光を受光して、所定の露光時間で前記測定対象物の画像を撮像する撮像部と、を備える光学式プローブと、前記撮像部の出力に基づいて、前記測定対象物の形状を演算する演算部と、を含み、前記照射部は、前記ライン光を生成する光生成部と、前記露光時間中に、前記光生成部が生成した前記ライン光を長さ方向に振動させながら前記測定対象物に照射させる光振動部と、を有する、形状測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ライン光を照射して測定対象物を測定する際の測定誤差を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る光学式プローブ10の構成を説明するための模式図である。
図2】光学式プローブ10の構成を説明するためのブロック図である。
図3】光学式プローブ10の構成を説明するための模式図である。
図4】比較例に係る光学式プローブ110の構成を説明するための模式図である。
図5】比較例において撮像部40に結像される像を説明するための模式図である。
図6】本実施形態において撮像部40に結像される像を説明するための模式図である。
図7】揺動ミラー54の揺動を説明するための模式図である。
図8】形状測定装置1の構成を説明するための模式図である。
図9】第2の実施形態に係る光学式プローブ10の構成を説明するための模式図である。
図10】第3の実施形態に係る光学式プローブ10の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
(光学式プローブの構成)
第1の実施形態に係る光学式プローブの構成について、図1図3を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、第1の実施形態に係る光学式プローブ10の構成を説明するための模式図である。図2は、光学式プローブ10の構成を説明するためのブロック図である。図3(a)には、図1の光学式プローブ10をライン光Lの長さ方向(図1参照)から見た図が示され、図3(b)には、光学式プローブ10を光切断面(図1)の法線方向(図1参照)から見た図が示されている。
【0020】
光学式プローブ10は、測定対象物Wの光切断面での断面形状(図1では、測定対象物Wの段差部の形状)の測定に利用される。具体的には、光学式プローブ10は、測定対象物Wにライン光Lを照射し、測定対象物Wの表面から反射した光に基づいて測定対象物Wの画像を撮像する。光学式プローブ10は、図1及び図2に示すように、照射部20と、結像レンズ30と、撮像部40と、光振動部50と、プローブ制御部70を有する。
【0021】
照射部20は、測定対象物Wにライン光Lを照射する。具体的には、照射部20は、レーザ光をライン光Lに変形して、測定対象物Wに照射する。照射部20は、図1に示すように、光源22と、コリメータレンズ24と、シリンドリカルレンズ26を有する。
【0022】
光源22は、例えばLD(Laser Diode)等で構成されており、レーザ光を発生させて出射する。光源22は、所定波長のレーザ光を出射する。
コリメータレンズ24は、光源22から出射されたレーザ光を平行光にする。コリメータレンズ24は、ここでは凸レンズである。
シリンドリカルレンズ26は、コリメータレンズ24からの平行光(レーザ光)をライン形状のライン光Lに変形させる。本実施形態では、シリンドリカルレンズ26が、ライン光Lを生成する光生成部に該当する。
【0023】
結像レンズ30は、測定対象物Wで反射された反射光であるライン光Lを、撮像部40の撮像面に結像させる。結像レンズ30は、ここでは凸レンズである。
【0024】
撮像部40は、例えばCMOS等のイメージセンサであり、測定対象物Wの画像を撮像する。撮像部40は、測定対象物Wにて反射されたライン光Lを受光して、所定の露光時間で測定対象物Wの画像を撮像する。すなわち、撮像部40は、測定対象物Wの光切断面での断面形状を示す光分布を撮像する。撮像部40は、図1に示すように、照射部20から測定対象物Wに対して照射された照射方向に対して、所定の角度を成す方向に配置されており、測定対象物Wの表面形状に沿って反射された光を前記所定の角度から受光する。
【0025】
ところで、直線のライン光Lを測定対象物Wに照射しているが、光学式プローブ10に含まれるレンズ部品に起因する誤差等によって、測定対象物Wの表面におけるライン光Lの分布が直線ではなくうねっている事象が発生しうる。具体的には、ライン光Lの分布が、光切断面の法線方向においてうねる。この場合には、撮像部40がうねった像を撮像してしまい、測定対象物Wの形状の測定誤差が生じてしまう。
【0026】
図4は、比較例に係る光学式プローブ110の構成を説明するための模式図である。比較例に係る光学式プローブ110は、上述した光学式プローブ10と同様に、照射部20、結像レンズ30及び撮像部40を有する。一方で、光学式プローブ110は、光学式プローブ10の光振動部50が設けられていない。比較例においては、図4に示すように、ライン光Lの分布Aが、法線方向において誤差eだけうねっている。
【0027】
図5は、比較例において撮像部40に結像される像を説明するための模式図である。図5の横軸は、撮像部40であるイメージセンサの横方向を示し、図5の縦軸は、イメージセンサの縦方向を示す。ここでは、破線で囲まれた部分が、撮像部40に結像された所定幅の像120であるものとする。また、像120の光分布のピーク部分122は、測定対象物Wの断面形状を示すものであり、ここでは一点鎖線で示されている。図5(a)には、レンズ部品に起因する誤差が無い理想的な場合の像120が示されている。理想的な場合には、ピーク部分122は直線となっている。一方で、比較例に係る光学式プローブ110においてレンズ部品に起因する誤差等が発生して図4に示すようにライン光Lの分布が法線方向においてうねっていると、撮像部40が撮像した像120は、図5(b)に示すように、うねった形状となる。これに伴い、ピーク部分122もうねった形状となってしまい、測定対象物Wの測定誤差が大きくなってしまう。
【0028】
これに対して、本実施形態の光学式プローブ10においては、測定誤差を抑制するために、照射部20に光振動部50が設けられている。光振動部50は、測定対象物Wに照射するライン光Lを振動させる。具体的には、光振動部50は、撮像部40の露光時間中に、ライン光Lを長さ方向に振動させながら測定対象物Wに照射させる。これにより、撮像部40は、露光時間中に振動しているライン光Lを撮像することになり、撮像部40の撮像面に結像される像は、法線方向のうねりが平均化されたものとなる。
【0029】
図6は、本実施形態において撮像部40に結像される像を説明するための模式図である。図6に示す撮像部40に結像される像130は、図5(b)に示す像120に比べて、うねりが平均化されたものとなる。また、ピーク部分132のうねりも小さくなるので、測定対象物Wの測定誤差を抑制できる。
【0030】
光振動部50は、撮像部40の露光時間中に、ライン光Lを長さ方向に一往復移動させながら測定対象物Wに照射させる。なお、これに限定されず、光振動部50は、撮像部40の露光時間中に、ライン光Lを長さ方向に複数回往復移動させながら測定対象物Wに照射してもよい。すなわち、光振動部50は、露光時間中にライン光を長さ方向に少なくとも一往復移動させる。これにより、ライン光Lの第2方向のランダムなうねりを平均化しやすくなる。
【0031】
光振動部50は、長さ方向において所定の周期を有するライン光Lを周期の1/2以上ずらすように振動させながら測定対象物Wに照射させる。例えば、光振動部50は、ライン光Lを図5(b)に示す周期Tの1/2だけずらすように振動させる。このように周期の1/2以上ずらすことで、ライン光Lの第2方向のうねりが平均化させやすくなる。なお、上記の所定の周期は、予め実験等で求めて設定してもよい。
【0032】
光振動部50は、図1に示すように、平板ミラー52と、揺動ミラー54とを有する。
平板ミラー52は、シリンドリカルレンズ26からのライン光Lを、揺動ミラー54へ向けて反射させる。平板ミラー52は、ここではライン光Lを90°反射させる。平板ミラー52は、固定されたミラーである。
【0033】
揺動ミラー54は、平板ミラー52から反射されたライン光Lを、測定対象物Wへ向かわせるミラーである。揺動ミラー54は、ここでは鉛直下方へライン光Lを反射させる。揺動ミラー54は、揺動することで、測定対象物Wへ向かうライン光Lを振動させる。揺動ミラー54は、ライン光Lの長さ方向と直交する法線方向の軸C(図1参照)を中心に揺動する。例えば、揺動ミラー54は、露光時間中に所定の角度範囲(例えば、数度)で1回揺動する。ただし、これに限定されず、揺動ミラー54は、露光時間中に所定の角度範囲で複数回揺動してもよい。すなわち、揺動ミラー54は、露光時間中に少なくとも1回揺動する。
【0034】
図7は、揺動ミラー54の揺動を説明するための模式図である。揺動ミラー54は、図7(a)に示す第1位置と図7(b)に示す第2位置との間で回動することで、揺動する。揺動ミラー54が第1位置と第2位置の間で揺動することで、ライン光Lが長さ方向に振動する。なお、揺動ミラー54としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナ、ガルバノスキャナ、レゾナントスキャナ等が利用される。
【0035】
プローブ制御部70は、光学式プローブ10の動作を制御する。プローブ制御部70は、照射部20によるレーザ光の照射と、撮像部40による測定対象物Wの画像の撮像とを制御する。
【0036】
プローブ制御部70は、光振動部50によるライン光Lの振動を制御する。例えば、プローブ制御部70は、光振動部50の揺動ミラー54を高速に揺動させることで、ライン光Lの分布を長さ方向に高速に振動させる。また、プローブ制御部70は、撮像部40の露光と光振動部50によるライン光Lの長さ方向の振動とを、同期するように制御する。例えば、プローブ制御部70は、撮像部40の露光時間と光振動部50の揺動ミラー54の揺動角との条件が一定になるように、撮像部40及び光振動部50の動作を制御する。これにより、撮像部40は、測定対象物Wの画像を、ライン光Lが振動する際に撮像することができる。
【0037】
(形状測定装置の構成)
上述した構成の光学式プローブ10を含む形状測定装置1の構成について、図8を参照しながら説明する。
【0038】
図8は、形状測定装置1の構成を説明するための模式図である。形状測定装置1は、光学式プローブ10の撮像部40の検出結果に基づいて、測定対象物Wであるワークの形状を測定する。形状測定装置1は、例えば、ワークの3次元形状を測定する3次元形状測定装置である。形状測定装置1は、図8に示すように、光学式プローブ10と、移動機構80と、制御装置90とを含む。
【0039】
光学式プローブ10の構成は、前述した構成であるので、ここでは詳細な説明は省略する。移動機構80は、光学式プローブ10を移動させる。例えば、移動機構80は、互いに直交する3軸方向に光学式プローブ10を移動させる。
【0040】
制御装置90は、光学式プローブ10(具体的には、照射部20、撮像部40及び光振動部50)と、移動機構80の動作を制御する。また、制御装置90は、例えば、移動機構80によって光学式プローブ10を移動させながら、光学式プローブ10によって測定を行う。制御装置90は、記憶部92と、制御部94とを含む。
【0041】
記憶部92は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部92は、制御部94によって実行可能なプログラムや各種データを記憶する。例えば、記憶部92は、光学式プローブ10が測定した結果を記憶する。
【0042】
制御部94は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部94は、記憶部92に記憶されたプログラムを実行することにより、プローブ制御部70を介して光学式プローブ10の動作を制御する。具体的には、制御部94は、照射部20の光源22による測定対象物Wへのレーザ光の照射を制御する。また、制御部94は、撮像部40の出力を取得し、測定対象物Wの形状を演算する。本実施形態においては、制御部94が、撮像部40の出力に基づいて測定対象物Wの形状を演算する演算部として機能する。
【0043】
(第1の実施形態における効果)
第1の実施形態の光学式プローブ10において、照射部20は、撮像部40の露光時間中に、ライン光Lを長さ方向に振動させながら測定対象物Wに照射させる光振動部50を有する。
これにより、仮に光学式プローブ10のレンズ部品に起因する誤差等によって測定対象物Wの表面においてライン光Lが法線方向にうねる事象が発生しても、撮像部40が露光時間中に振動しているライン光Lを撮像することで、撮像部40の撮像面に結像される像は、うねりが平均化されたものとなる。この結果、ライン光Lの法線方向のうねりに起因する測定対象物Wの測定誤差を抑制できる。
【0044】
<第2の実施形態>
第2の実施形態においては、光振動部50の構成が第1の実施形態とは異なり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0045】
図9は、第2の実施形態に係る光学式プローブ10の構成を説明するための模式図である。第2の実施形態の光振動部50は、第1の実施形態の平板ミラー52及び揺動ミラー54の代わりに、光源22の近傍に設けられたアクチュエータ60を有する。
【0046】
アクチュエータ60は、照射部20及び光源22をライン光Lの長さ方向に往復移動させる。光源22は、アクチュエータ60によって、図9(a)に示す第1位置と図9(b)に示す第2位置との間で往復移動する。一方で、照射部20のコリメータレンズ24及びシリンドリカルレンズ26は、移動しない。このため、光源22が第1位置に位置する場合には、図9(a)に示すようにレーザ光が測定対象物Wに照射され、光源22が第2位置に位置する場合には、図9(b)に示すようにレーザ光が測定対象物Wに照射される。図9(a)と図9(b)を対比すると分かるように、光源22の位置が変位すると、ライン光Lの長さ方向における位置も変位する。このため、光源22が往復移動することで、ライン光Lが長さ方向に振動することになる。
【0047】
第2の実施形態でも、光振動部50は、撮像部40の露光時間中に、アクチュエータ60によって光源22をライン光Lの長さ方向に往復移動させて、ライン光Lを長さ方向に振動させる。このため、撮像部40は、ライン光Lが振動する際に測定対象物Wの画像を撮像することになる。これにより、測定対象物Wの表面においてライン光Lが法線方向にうねる事象が発生しても、撮像部40の撮像面に結像される像は、うねりが平均化されたものとなる。この結果、ライン光Lの法線方向のうねりに起因する測定対象物Wの測定誤差を抑制できる。
【0048】
(変形例)
上記では、アクチュエータ60が、光源22を往復移動させてライン光Lを振動させることとしたが、これに限定されない。アクチュエータ60は、光源22の代わりに、コリメータレンズ24及びシリンドリカルレンズ26をライン光Lの長さ方向に往復移動させてもよい。例えば、アクチュエータ60は、図9に示す光源22のように、コリメータレンズ24及びシリンドリカルレンズ26を2つの位置の間で往復移動させる。コリメータレンズ24及びシリンドリカルレンズ26が往復移動することで、ライン光Lが長さ方向に振動することになる。
【0049】
変形例においても、光振動部50は、撮像部40の露光時間中に、アクチュエータ60によってコリメータレンズ24及びシリンドリカルレンズ26を往復移動させて、ライン光Lが長さ方向に振動する。これにより、撮像部40は、ライン光Lが振動する際に測定対象物Wの画像を撮像することになる。
【0050】
<第3の実施形態>
第3の実施形態においては、光振動部50の構成が第1の実施形態とは異なり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0051】
図10は、第3の実施形態に係る光学式プローブ10の構成を説明するための模式図である。第3の実施形態の光振動部50は、第1の実施形態の揺動ミラー54の代わりに、回転ミラー65を有する。
【0052】
回転ミラー65は、図10に示す矢印方向に回転する。回転ミラー65は、平板ミラー52から反射されたライン光Lを、測定対象物Wへ向かわせる。回転ミラー65は、例えばポリゴンミラーであり、ライン光Lを反射可能な複数の反射面67を含む。回転ミラー65が回転しながら反射面67によってライン光Lを反射することで、ライン光Lが長さ方向に振動することになる。
【0053】
第3の実施形態でも、光振動部50は、撮像部40の露光時間中に、回転ミラー65を回転させて、ライン光Lを長さ方向に振動させる。このため、撮像部40は、ライン光Lが振動する際に測定対象物Wの画像を撮像することになる。これにより、測定対象物Wの表面においてライン光Lが法線方向にうねる事象が発生しても、撮像部40の撮像面に結像される像は、うねりが平均化されたものとなる。この結果、ライン光Lの法線方向のうねりに起因する測定対象物Wの測定誤差を抑制できる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0055】
1 形状測定装置
10 光学式プローブ
20 照射部
22 光源
24 コリメータレンズ
26 シリンドリカルレンズ
40 撮像部
50 光振動部
54 揺動ミラー
60 アクチュエータ
65 回転ミラー
66 反射面
70 プローブ制御部
94 制御部
L ライン光
W 測定対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10