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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-30
(45)【発行日】2025-05-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20250501BHJP
【FI】
A63F7/02 309
A63F7/02 308G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021121189
(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公開番号】P2023017156
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2024-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】上田 貴博
【審査官】冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-119167(JP,A)
【文献】特開2016-104343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤と、第1操作手段と、第2操作手段と、第1制御部と、第2制御部と、を備える遊技機であって、
前記遊技盤には、第1遊技領域及び第2遊技領域を有する遊技領域が形成されており、
前記第1操作手段は、
所定の操作が可能であり、
前記第2操作手段は、初期位置から最大位置までの範囲内において回転可能であり、
前記第1制御部は、
前記第1操作手段の操作情報を取得可能であり、
取得した前記操作情報を累積し、累積した前記操作情報を一定時間ごとに前記第2制御部に通知し、
前記第2制御部は、
前記第1制御部から累積した前記操作情報を受け取り、累積した前記操作情報に基づいて演出の内容を決定可能であり、
前記第2操作手段が所定基準位置に回転されている場合、前記第1遊技領域に対して遊技媒体が発射され、前記第2操作手段が前記最大位置に回転されている場合、前記第2遊技領域に対して前記遊技媒体が発射され、
前記第2操作手段を前記初期位置から回転を開始するために必要な操作トルクを第1操作トルクとし、
前記第2操作手段を前記初期位置から前記所定基準位置まで回転するために必要な操作トルクを第2操作トルクとし、
前記第2操作手段を前記初期位置から前記最大位置まで回転するために必要な操作トルクを第3操作トルクとすると、
前記第2操作トルクは、前記第1操作トルクよりも大きく、
前記第3操作トルクは、前記第2操作トルクよりも大きく、前記第2操作トルクの2倍以下となっており、前記第1操作トルクの2倍以上となっており、
前記第2操作手段は、前記初期位置から前記所定基準位置まで回転するために第2操作角を必要とし、
前記第2操作手段は、前記初期位置から前記最大位置まで回転するために第3操作角を必要とし、
前記第3操作角は、前記第2操作角の2倍以上となっている
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を実行する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数種類の制御手段(スピーカを制御する音声制御手段とランプを制御するランプ制御手段と可変表示装置を制御する可変表示装制御手段)の各々に1つの制御内容を指令する場合、複数種類の制御手段の各々が読取可能な態様で指令情報(コマンド)を4ms間だけ出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-38027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、いずれも似通った遊技性を有する遊技機ばかりが提案されており、斬新な遊技機が望まれている。この点は、パチンコ機でもスロット機でも同様である。
【0005】
そこで、本発明は、斬新な遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の解決手段を採用する。なお、以下の解決手段及び括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明は、以下の解決手段に示す各発明特定事項を少なくとも1つ含む発明とすることができる。さらに、以下の解決手段に示す各発明特定事項には、発明特定事項を限定する要素を追加して下位概念化することができ、発明特定事項を限定する要素を削除して上位概念化することもできる。
【0007】
解決手段1:本解決手段の遊技機は、操作手段と、第1制御部と、第2制御部と、を備える遊技機であって、前記操作手段は、所定の操作が可能であり、前記第1制御部は、前記操作手段の操作情報を取得可能であり、取得した前記操作情報を累積し、累積した前記操作情報を一定時間ごとに前記第2制御部に通知し、前記第2制御部は、前記第1制御部から累積した前記操作情報を受け取り、累積した前記操作情報に基づいて演出の内容を決定可能であることを特徴とする遊技機である。
【0008】
本解決手段の遊技機は、以下の構成を備えている。
(1)操作手段(プッシュボタン、方向キー、音量調整スイッチ、光量調整スイッチ等)と、第1制御部(入力制御部)と、第2制御部(演出制御部)と、を備える遊技機である。
(2)操作手段は、所定の操作(1回押し、長押し等)が可能である。
(3)第1制御部は、操作手段の操作情報(例えば、プッシュボタンが押下されたという情報等)を取得可能である。第1制御部は、取得した操作情報を累積し、累積した操作情報を一定時間(一定期間、一定周期、例えば、16ms)ごとに第2制御部に通知する。
(4)第2制御部は、第1制御部から累積した操作情報を受け取り、累積した操作情報(第1制御部から受け取った情報)に基づいて演出の内容を決定可能である(演出を構築可能である)。
【0009】
本解決手段によれば、第1制御部は、累積した操作情報を一定時間ごとに第2制御部に通知するため、通知に関する処理の発生頻度を低下させて処理負担を低下させることができる。
【0010】
解決手段2:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記第1制御部が前記第2制御部に対して通知する累積した前記操作情報には、前記操作手段の操作の開始回数を示す開始回数情報、前記操作手段の操作の終了回数を示す終了回数情報、及び、前記操作手段が操作中であるか非操作中であるかの状態を示す状態情報のうち少なくとも1つの情報が含まれていることを特徴とする遊技機である。
【0011】
本解決手段では、第1制御部が第2制御部に対して通知する累積した操作情報には、操作手段の操作の開始回数を示す開始回数情報(例えば、プッシュボタンのON回数)、前記操作手段の操作の終了回数を示す終了回数情報(例えば、プッシュボタンのOFF回数)、及び、前記操作手段が操作中であるか非操作中であるかの状態を示す状態情報(例えば、プッシュボタンがONであるかOFFであるかの情報)のうち少なくとも1つの情報が含まれている。
【0012】
本解決手段によれば、累積した操作情報に、開始回数情報、終了回数情報、状態情報等を含ませることができるので、演出の内容を決定する第2制御部側では、これらの多様な情報に基づいて多彩な演出の内容を決定することができる。
【0013】
解決手段3:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記操作手段は、複数あり、前記第1制御部は、複数の前記操作手段ごとに取得した前記操作情報を個別に累積し、個別に累積した前記操作情報を、複数の前記操作手段で共通している前記一定時間ごとに前記第2制御部に通知することを特徴とする遊技機である。
【0014】
本解決手段では、以下の特徴が追加される。
(1)操作手段は、複数ある。操作手段は、例えば、プッシュボタン、方向キー、音量調整スイッチ、光量調整スイッチ等である。
(2)第1制御部は、複数の操作手段ごとに取得した操作情報を個別に累積し、個別に累積した操作情報を、複数の操作手段で共通している一定時間ごとに第2制御部に通知する。例えば、プッシュボタンの操作情報と、音量調整スイッチの操作情報とは個別に累積するが、個別に累積した操作情報は、共通している一定時間ごとに同時期に通知する。
【0015】
本解決手段によれば、操作手段が複数あっても、個別に累積した操作情報を複数の操作手段で共通している一定時間ごとに第2制御部に通知するため、通知に関する処理の発生頻度をより一層低下させて処理負担を低下させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、斬新な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】パチンコ機の正面図である。
図2】パチンコ機の背面図である。
図3】遊技盤ユニットを単独で示す正面図である。
図4】遊技盤ユニットの一部を拡大して示す正面図である。
図5】パチンコ機に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
図6】演出制御装置内の機能構成を示すブロック図である。
図7】CPU初期化処理の手順例を示すフローチャート(1/2)である。
図8】CPU初期化処理の手順例を示すフローチャート(2/2)である。
図9】タイマ割込処理の手順例を示すフローチャートである。
図10】特別図柄の変動表示及び停止表示に対応させた演出画像の例を示す連続図である。
図11】特別図柄の変動表示中に実行されるスーパーリーチ演出の流れを示す連続図である。
図12】音量調整演出の演出例を示す図である。
図13】音量調整演出の演出例を示す図である。
図14】バトル演出の演出例を示す図である。
図15】バトル演出の演出例を示す図である。
図16】宝箱開放演出の演出例を示す図である。
図17】宝箱開放演出の演出例を示す図である。
図18】操作情報管理処理の手順例を示すフローチャートである。
図19】演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。
図20】音量調整演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。
図21】バトル演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。
図22】宝箱開放演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。
図23】操作情報の詳細を示す図である。
図24】他の実施形態のパチンコ機の正面図である。
図25】他の実施形態のパチンコ機の背面図である。
図26】他の実施形態の遊技盤ユニットを単独で示す正面図である。
図27図24のA-A断面図を示す概略図である。
図28】外レールを示す図である。
図29】遊技板、外レール及びレールベースを示す図である。
図30】外レールに遊技球が接触する様子を示す図である。
図31】外レール及び遊技板を示す図である。
図32】操作角が0度(最小角度)のハンドルの周辺を示す図である。
図33】操作角が100度(最大角度)のハンドルの周辺を示す図である。
図34】ハンドルのトルクとハンドルの可動位置との関係を示す図である(実施例1)。
図35】ハンドルのトルクとハンドルの可動位置との関係を示す図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また、図2は、パチンコ機1の背面図である。
【0019】
パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照しつつパチンコ機1の全体構成について説明する。
【0020】
ここで、本明細書では、パチンコ機1に相対するようにして着席した遊技者から見て左側を左とし、遊技者から見て右側を右とし、遊技者から見て上側を上とし、遊技者から見て下側を下とし、遊技者から見て手前側を前とし、遊技者から見て奥側を後として説明している。
【0021】
〔全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7(プラ枠、遊技機枠)を備えている。遊技者に相対する正面からみて、その最も前面側には一体扉ユニット4が位置している。一体扉ユニット4の背面側(奥側)には内枠アセンブリ7が位置しており、内枠アセンブリ7の外側を囲むようにして外枠ユニット2が配置されている。
【0022】
外枠ユニット2は、木材及び金属材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。なお、縦長矩形状の外枠ユニット2において、上下の短辺に相当する部位には木材が用いられており、左右の長辺に相当する部位には金属材が用いられている。
【0023】
一体扉ユニット4は、その下部位置に受皿ユニット6が一体化された構造である。一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7は、外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0024】
図1中の正面からみて内枠アセンブリ7の右側縁部(図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応して一体扉ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠ユニット2に対して一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともに一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
【0025】
また、受皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動して内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
【0026】
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、内枠アセンブリ7は施錠されたままで一体扉ユニット4の施錠だけが解除され、一体扉ユニット4が開放可能となる。一体扉ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤ユニット8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。また、一体扉ユニット4を開放すると、受皿ユニット6も一緒に前面側へ開放される。
【0027】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域8a(遊技球が流下する遊技領域、盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0028】
〔球皿の構成〕
受皿ユニット6は、全体的に一体扉ユニット4から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また、受皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお、本実施形態のパチンコ機1はカードユニットに接続する機種であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
【0029】
受皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないカードユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、カードユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお、遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではカードユニットに接続する機種の例で説明しているが、パチンコ機1は現金機(カードユニットに接続しない機種)であってもよい。
【0030】
また、受皿ユニット6の上面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きボタン6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きレバー6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きボタン6dを例えば押し込み操作することで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また、遊技者は、下皿球抜きレバー6eを後方へ押し込むことで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
【0031】
受皿ユニット6の右下部には、ハンドルユニット16が設置されている。遊技者はこのハンドルユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤ユニット8の下縁部から左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。なお、遊技領域8a内の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0032】
〔枠前面の構成〕
一体扉ユニット4には、演出用の構成要素として左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49が設置されている。このうち左トップレンズユニット47にはガラス枠トップランプ46及び左側のガラス枠装飾ランプ48が組み込まれており、右上電飾ユニット49には右側のガラス枠装飾ランプ50が組み込まれている。その他にも一体扉ユニット4には、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49の下方にそれぞれ連なるようにして左右のガラス枠装飾ランプ52が設置されており、これらガラス枠装飾ランプ52は、一体扉ユニット4の左右縁部から受皿ユニット6の上側位置にまで回り込むようにして延びている。一体扉ユニット4においてガラス枠トップランプ46や左右のガラス枠装飾ランプ48,50,52等は、ガラスユニットを取り巻くようにして配置されている。
【0033】
上述した各種ランプ46,48,50,52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。また、一体扉ユニット4の上部において、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49にはそれぞれガラス枠上スピーカ54が組み込まれており、左右のガラス枠装飾ランプ52にはそれぞれガラス枠内スピーカ55が組み込まれている。一方、内枠アセンブリ7の右下位置(パチンコ機1の正面からみてハンドルユニット16の左上位置)には内枠スピーカ56が組み込まれており、また外枠ユニット2の左下位置には外枠スピーカ58が組み込まれている。これらスピーカ54,55,56,58は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0034】
また、受皿ユニット6の中央には、上皿6bから前面側上方へ突出するようにして操作ユニット60が設置されている。操作ユニット60は、その中央部に大きなプッシュボタン64を有しており、プッシュボタン64の左側にはハンドルレバー62を有している。操作ユニット60は、演出上で示される様々な場面で操作を受け付けることが可能である。演出上のある場面ではハンドルレバー62が遊技者によって手前側に引き込み操作されたり、別の場面ではプッシュボタン64が押し込み操作されたりする。遊技者は、各種の態様で操作ユニット60を操作することにより、演出内容(例えば液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出、大役中の昇格演出等)を発生させたりすることができる。
【0035】
また、プッシュボタン64の周囲には、リング状部65がプッシュボタン64を取り囲むようにして設置されている。リング状部65は、ハンドルレバー62やプッシュボタン64とは異なり、装飾用として設けられた部材であり、ハンドルレバー62の引き込み操作に連動して反時計回りに回転動作する。また、リング状部65は、周方向に一定の間隔で区切られてなる複数のセルを有している。これらのセルは、遊技者による操作を受け付けることはできないが、遊技者に対し操作方法を知らせる場面で有効活用される。
【0036】
遊技者に何らかの操作を要求する場合、操作ユニット60の操作方法を表す縮小版画像が液晶表示器42の画面に表示される。このとき、指定した操作を行うことが可能な時間(操作有効時間)を併せて遊技者に知らせるために、縮小版画像におけるリング状部65は各セルがあたかもランプであるかのように表現される。より具体的には、縮小版画像中のリング状部65は、操作可能な状態になると全てのセルが点灯しているように表され、残り時間の減少に伴いセルが1つずつ消灯していくように表され、残り時間がなくなると全てのセルが消灯したように表される。実際のリング状部65は光源を有しておらず、画面に表示された縮小版画像に表されたリング状部65のように点灯/消灯することはないが、縮小版画像中のリング状部65の点灯/消灯をこのようにして切り替えることにより、遊技者に対して操作の残り時間を感覚的に把握させることができる。
【0037】
さらに、プッシュボタン64は、遊技の進行過程で所定の契機が発生すると、上方に大きく突出する構造に構成されている。プッシュボタン64の突出時には、通常時の約3倍の高さまで飛び出す。プッシュボタン64はその内部に光源を有している。プッシュボタン64は、通常時は1色(例えば青色)又は多色に発光するが、突出時にはさらにカラフルに発光して非常な存在感を発揮することができる。このようなプッシュボタン64の動作により、この場面で要求されているボタンの押し込み操作が特別に重要なものであることを遊技者に認識させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、ハンドルレバー62及びプッシュボタン64は同じ操作ユニット60に搭載されているが、ハンドルレバー62とプッシュボタン64とがそれぞれ独立した部材として設けられていてもよい。
【0039】
その他に、受皿ユニット6の上面には、貸出操作部14に隣接して方向キー66が設置されている。方向キー66は上下左右の方向を示す4つのキースイッチを十字形状に配列したものであり、各方向別のキースイッチは独立して押し込み操作可能である。遊技者は演出上の様々な場面で方向キー66を押し込み操作することで、液晶表示器の画面上に表示されるカーソル等を任意に移動させることができる。なお、特に図示はしていないが、貸出操作部14の近傍には、音量を上げる上ボタン及び音量を下げる下ボタンを有する音量調整スイッチと、輝度を上げる上ボタン及び輝度を下げる下ボタンを有する輝度調整スイッチが配置されている。
【0040】
〔装飾ユニット〕
パチンコ機1の前方上部には、装飾ユニット400が取り付けられている。装飾ユニット400は、所定の取り付け部材(ネジやフック等の機械的な機構)によってパチンコ機1に着脱可能である。なお、装飾ユニット400は、パチンコ機1から取り外し不能なものであってもよい。
装飾ユニット400(装飾物)は、箱型の部材であり、光を透過する透明又は半透明の部材により構成されている。
【0041】
装飾ユニット400は、上部に配置された本体部ユニット410と、本体部ユニット410の下部に配置された前ランプユニット420とを含んでいる。
【0042】
本体部ユニット410は、所定の文字情報が表示された立方体形状の部材であり、後方の一体扉ユニット4に配置されたLED(ガラス枠トップランプ46)が発光することにより発光する。
【0043】
また、前ランプユニット420は、円柱形状の部材に半球形状の部材が結合された部材であり、後方の遊技盤ユニット8に配置されたLED(盤面ランプ53)が発光することにより発光する。
【0044】
円柱形状の部材は、上部球通路500の視認性を向上させるために、無色透明であることが好ましく、半球形状の部材は、演出効果を向上させるために、有色透明であることが好ましい。
【0045】
〔裏側の構成〕
図2に示すように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図5及び図6)を参照しながらさらに後述する。
【0046】
主制御基板ユニット170には、主制御装置が内蔵されており、主制御装置には、性能表示モニタ200が接続されている。性能表示モニタ200は、パチンコ機1を裏側から見て、主制御基板ユニット170の左上の領域に視認可能な態様で主制御装置に配置されており、4つの7セグメントLEDを備えている。4個の7セグメントLEDは左右方向に並べて配置されており、それぞれの7セグメントLEDは、10進数のアラビア数字を表示することができる7つのセグメントと、その右下に位置するドットセグメントとによって構成されている。性能表示モニタ200は、主制御基板ユニット170を覆っている透明ケースを通じて視認可能である。
【0047】
また、主制御装置には、RAMクリアスイッチ304及び設定キー用鍵穴306が設けられている。RAMクリアスイッチ304は、RAMクリア、すなわち主制御装置内に装備されているRAM(RWM)の初期化を行う際に用いられるスイッチであり、本実施形態においては、設定変更用のスイッチとしても兼用される。設定キー用鍵穴306は、パチンコ機1の遊技に関する設定を変更又は参照する上で必要とされる設定キーを差し込むための鍵穴である。
【0048】
RAMクリアスイッチ304は、主制御基板ユニット170を覆っている透明ケースに形成された貫通孔を通じて押下可能に設けられている。なお、RAMクリアスイッチ304は、透明ケース外に配置されていてもよい。また、設定キー用鍵穴306は、キーシリンダが透明ケースを貫通した状態(透明ケースがキーシリンダの周囲を囲んだ状態)で設けられている。したがって、透明ケースが封止されたままの状態で設定キーを差し込み、回転させることが可能である。
【0049】
なお、性能表示モニタ200やRAMクリアスイッチ304、設定キー用鍵穴306の配設位置は、あくまで一例であり、任意の位置に配置することができる。また、性能表示モニタ200やRAMクリアスイッチ304、設定キー用鍵穴306は、主制御装置の外側に設けられて主制御装置に接続される構成としてもよい。
【0050】
払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aは内枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受皿ユニット6に向けて案内する。
【0051】
また、外部端子板160は、パチンコ機1を外部の電子機器(例えばデータ表示装置、ホールコンピュータ等)に接続するためのものであり、この外部端子板160からは、パチンコ機1の遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)が外部の電子機器に向けて出力されるものとなっている。
【0052】
電源コード164は、例えば遊技場の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続されることで、パチンコ機1の動作に必要な電源(電力)を確保するものである。また、アース線166は、同じく島設備に設置されたアース端子に接続されることで、パチンコ機1のアース(接地)を確保するものである。
【0053】
図3は、遊技盤ユニット8を単独で示す正面図である。遊技盤ユニット8は、ベースとなる遊技板8bを備えており、この遊技板8bの前面側に遊技領域8aが形成されている。遊技板8bは、例えば透明樹脂板で構成されており、遊技盤ユニット8が内枠アセンブリ7に固定された状態で、遊技板8bの前面はガラスユニットに平行となる。遊技板8bの前面には、略円形状に設置された発射レール(参照符号なし)の内側に遊技領域8aが形成されている。なお、発射レールは遊技板8bの左下隅位置から遊技板8bの右上隅位置まで時計回り方向に延びている。
【0054】
遊技領域8a内には、その中央位置に比較的大型の演出ユニット40が配置されており、この演出ユニット40を中心として遊技領域8aが左側部分、右側部分及び下部分に大きく分かれている。遊技領域8aの左側部分は、通常遊技状態(低確率非時間短縮状態)で使用される第1遊技領域(左打ち領域)であり、遊技領域8aの右側部分は、特殊遊技状態(大当り遊技状態、小当り遊技状態、低確率時間短縮状態、高確率時間短縮状態等)で使用される第2遊技領域(右打ち領域、特定の領域)である。なお、遊技領域8aの左側部分は、高確率非時間短縮状態(有利遊技状態)においても使用される。また、遊技領域8a内には、演出ユニット40の周辺に中始動入賞口26、始動ゲート20、普通入賞口22,24、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31等が分布して設置されている。
【0055】
このうち、中始動入賞口26は、遊技領域8aの下部分の中央に配置されている。始動ゲート20、可変始動入賞装置28、第2可変入賞装置31及び第1可変入賞装置30は、遊技領域8aの右側部分に上からこの順番で配置されている。ここで、第1可変入賞装置30は、中始動入賞口26の右側に配置されており、第2可変入賞装置31は、第1可変入賞装置30の右上に配置されている。さらに、左側の3つの普通入賞口22は遊技領域8aの左側部分に配置されており、右側の1つの普通入賞口24(所定の入賞口)は第1可変入賞装置30の左下に配置されている。
【0056】
遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で中始動入賞口26、普通入賞口22,24に入球したり、始動ゲート20を通過したり、作動時の可変始動入賞装置28や開放動作時の第1可変入賞装置30、開放動作時の第2可変入賞装置31に入球したりする。ここで、遊技領域8aの左側領域を流下する遊技球は、主に中始動入賞口26に入球するか、普通入賞口22に入球する可能性がある。一方、遊技領域8aの右側領域を流下する遊技球は、主に始動ゲート20を通過するか、作動時の可変始動入賞装置28に入球するか、開放動作時の第1可変入賞装置30に入球するか、開放動作時の第2可変入賞装置31に入球するか、普通入賞口24に入球する可能性がある。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、中始動入賞口26、普通入賞口22,24、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31に入球した遊技球は遊技板(遊技盤ユニット8を構成する合板材、透明板等)に形成された貫通孔を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。
【0057】
ここで、本実施形態では、遊技領域8a(盤面)の構成上、中始動入賞口26や普通入賞口22に遊技球を入球させる場合は、遊技領域8a内の左側部分の領域(左打ち領域)に遊技球を打ち込む(いわゆる「左打ち」を実行する)必要がある。
【0058】
一方、可変始動入賞装置28や、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31、普通入賞口24に遊技球を入球させる場合は、遊技領域8a内の右側部分の領域(右打ち領域)に遊技球を打ち込む(いわゆる「右打ち」を実行する)必要がある。
【0059】
本実施形態において、可変始動入賞装置28は、所定の作動条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で所定の停止表示時間にわたり停止表示された場合)に作動し、それに伴って右始動入賞口28a(所定の入球口)への入球を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28には、舌片型(ベロタイプ)の開閉部材28bが設けられている。図示の状態にて、開閉部材28bは、盤面より奥に引っ込んだ位置(待避位置)にあり、遊技球が右始動入賞口28aに入球することを不能又は困難にしている。一方、開閉部材28bが盤面より手前側へ突出した位置(駆動位置)に移動すると、開閉部材28bは上方から流下してくる遊技球を受け止め、右始動入賞口28aに遊技球を案内する(右始動入賞口28aへの入球が可能又は容易となる)。なお、可変始動入賞装置28は、開閉部材がその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むように変位して、右始動入賞口を開放する装置であってもよい。
【0060】
第1可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が大当り又は小当りの態様で停止表示された場合)であって所定の第1条件(例えば大当り遊技の1ラウンド目から5ラウンド目、又は、7ラウンド目から10ラウンド目であるという条件、小当り遊技の開放状態であるという条件)が満たされた場合に作動し、第1大入賞口30bへの入球を可能にする(特別電動役物、第1特別入球事象発生手段)。
【0061】
第1可変入賞装置30は、中始動入賞口26の右側に配置された装置であり(いわゆる下アタッカ)、例えば1つの開閉部材30aを有している。第1可変入賞装置30は、開閉部材30aが盤面の内部にスライドするタイプの装置である(スライド式のアタッカ)。そして、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。開閉部材30aは、盤面から遊技者側に突出した状態で閉位置(閉鎖状態)にあり、このとき遊技球は開閉部材30aの上面を転動することになるため、第1大入賞口30bへの入球は不能又は困難(第1大入賞口30bは閉塞中)である。そして、第1可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aが盤面の内部に引き込まれ、第1大入賞口30bを開放する(開放状態)。この間に第1可変入賞装置30は遊技球の流入が不能ではない(可能又は容易な)状態となり、第1大入賞口30bへの入球という事象を発生させることができる。
【0062】
第2可変入賞装置31は、第1可変入賞装置30と同様に規定の条件が満たされた場合(特別図柄が大当りの態様で停止表示された場合)であって、所定の第2条件(例えば大当り遊技の6ラウンド目であるという条件)が満たされた場合に作動し、第2大入賞口31b(特定の入賞口)への入球を可能にする(特別電動役物、第2特別入球事象発生手段)。
【0063】
第2可変入賞装置31は、第1可変入賞装置30の右上に配置された装置であり(いわゆる上アタッカ)、例えば1つの開閉部材31aを有している。第2可変入賞装置31は、開閉部材31aが盤面の内部にスライドするタイプの装置である(スライド式のアタッカ)。そして、この開閉部材31aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。開閉部材31aは、盤面から遊技者側に突出した状態で閉位置(閉鎖状態)にあり、このとき遊技球は開閉部材31aの上面を転動することになるため、第2大入賞口31bへの入球は不能又は困難(第2大入賞口31bは閉塞中)である。そして、第2可変入賞装置31が作動すると、開閉部材31aが盤面の内部に引き込まれ、第2大入賞口31bを開放する(開放状態)。この間に第2可変入賞装置31は遊技球の流入が不能ではない(可能又は容易な)状態となり、第2大入賞口31bへの入球という事象を発生させることができる。
【0064】
また、第2可変入賞装置31の内部には、第2可変入賞装置31に入球した遊技球を誘導するための誘導通路31cが配置されている。誘導通路31cは、第2大入賞口31bから下方に延び、そこから左に曲がって左下方に延びた後、再び下方に延びている。
【0065】
そして、誘導通路31cの上流には、第2カウントスイッチ85が配置されており、誘導通路31cの中流には、確変領域用羽根部材31d及び確変領域用孔31eが配置されており、誘導通路31cの下流には、排出口31f(排出領域)が配置されている。
【0066】
第2可変入賞装置31に入球した遊技球は、最初に第2カウントスイッチ85にて入球したことが検出される。ここで、確変領域用羽根部材31dを作動させる確変領域ソレノイドがONとなっている場合には、確変領域用羽根部材31dが起き上がって遊技球を確変領域用孔31eに導く。一方、確変領域用羽根部材31dを作動させる確変領域ソレノイドがOFFとなっている場合には、確変領域用羽根部材31dが起き上がらないため、遊技球は確変領域用羽根部材31dの上部を通り抜けて、排出口31fに導かれる。
【0067】
〔確変領域(特定領域)〕
また、確変領域用孔31eの内部には、確変領域(参照符号なし)が設けられている。確変領域は、第2可変入賞装置31が閉鎖状態である場合は遊技球が通過不能な領域であり、第2可変入賞装置31が開放状態である場合であって確変領域用羽根部材31dが作動している場合は遊技球が通過可能な領域である。
【0068】
確変領域用羽根部材31dは、大当り遊技中に作動する可能性がある。確変領域用羽根部材31dの動作パターンは、ラウンドの開始と同時に短期間(例えば0.1秒)にわたり確変領域を開放し、その後に数秒(2~3秒程度)閉鎖した後に確変領域を長期間(例えば20秒程度)にわたってロング開放するロング開放パターンと、ラウンドの開始と同時に短期間(例えば0.1秒)にわたり確変領域を開放するだけのショート開放するショート開放パターンとのいずれかを適用する。いずれの動作パターンにより確変領域用羽根部材31dを動作させるかについては、当選図柄によって選択することができる。具体的には、確変図柄での当選時には確変領域をロング開放するロング開放パターンが選択され、通常図柄での当選時には確変領域をショート開放するショート開放パターンが選択される。
【0069】
なお、確変領域用羽根部材31dの動作パターンは、確変領域用羽根部材31dがロング開放するパターンのみを適用し、第1可変入賞装置30がショート開放してラウンドが終了する際には、確変領域用羽根部材31dがロング開放する機会を消滅させるようにしてもよい。また、ラウンドの開始と同時に実行される短期開放では遊技球は確変領域用羽根部材31dまで到達しないので、この作動によって遊技球が確変領域に導かれることは困難である。
【0070】
そして、大当り遊技中に遊技球が確変領域を通過した場合、大当り遊技の終了後に低確率状態から高確率状態に移行される。なお、この際、非時間短縮状態から時間短縮状態に合わせて移行させてもよい(高確率時間短縮状態)。一方、大当り遊技中に遊技球が確変領域を通過しなかった場合、大当り遊技の終了後に低確率状態に移行する。なお、この際、非時間短縮状態から時間短縮状態に合わせて移行させてもよい(低確率時間短縮状態)。
【0071】
遊技盤ユニット8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤ユニット8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また、演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤ユニット8は、その盤面の構成や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。また、本実施形態のように遊技板8bが透明樹脂板(例えばアクリル板)である場合、前面側だけでなく遊技板8bの背後に配置された各種の装飾体(可動体や発光体を含む)による装飾性を付加することができる。
【0072】
その他に演出ユニット40の内部には、演出用の可動体40f(例えば蝶々を模した装飾物)とともに駆動源(例えばモータ、ソレノイド等)が付属している。演出用の可動体40fは、液晶表示器42による画像を用いた演出や発光器による演出に加えて、有形物の動作を伴う演出を実行することができる。これら可動体40fを用いた演出により、二次元の画像を用いた演出とは別の訴求力を発揮することができる。
【0073】
また、演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40kが形成されており、転動ステージ40eから球放出路40kに案内された遊技球は、その真下にある中始動入賞口26に流入しやすくなる。
【0074】
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、各種入賞口に入球(入賞)しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。また、普通入賞口22,24や中始動入賞口26、右始動入賞口28a、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31に入球した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示しないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
【0075】
遊技盤ユニット8の上部には、後ランプユニット430が配置されている。そして、この後ランプユニット430は、前ランプユニット420と重なる位置に配置されている。
後ランプユニット430には、盤面ランプとしてのLED(不図示)が配置されており、このLEDが点灯することにより、前ランプユニット420が発光する。
【0076】
図4は、遊技盤ユニット8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。遊技盤ユニット8には、窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33及び普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35及び遊技状態表示装置38が設けられている。
【0077】
このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0~4個の記憶数を表示する。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。なお、ここでは2つのランプ(LED)を使用することとしているが、4つのランプ(LED)を使用して普通図柄作動記憶ランプ33aを構成してもよい。この場合、点灯するランプの個数で作動記憶数を表示することができる。
【0078】
普通図柄作動記憶ランプ33aは、始動ゲート20を遊技球が通過すると、その都度、作動抽選の契機となる通過が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その通過を契機として普通図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。なお、本実施形態では、普通図柄作動記憶ランプ33aが未点灯(記憶数が0個)の場合、普通図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で始動ゲート20を遊技球が通過しても表示態様は変化しない。すなわち、普通図柄作動記憶ランプ33aの表示態様によって表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ普通図柄の変動が開始されていない通過の回数を表している。
【0079】
また、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により、対応する第1特別図柄又は第2特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。なお、第1特別図柄表示装置34や第2特別図柄表示装置35は、複数のドットLEDを幾何学的(例えば円形状)に配列した形態であってもよい。
【0080】
また、第1特別図柄作動記憶ランプ34a及び第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、例えばそれぞれ2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせで構成される表示態様により、それぞれ0~4個の記憶数を表示する(記憶数表示手段)。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして、2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。
【0081】
第1特別図柄作動記憶ランプ34aは、中始動入賞口26に遊技球が入球するごとに、中始動入賞口26に遊技球が入球したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その入球を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。また、第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、可変始動入賞装置28に遊技球が入球するごとに、右始動入賞口28aに遊技球が入球したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化し(最大4個まで)、その入球を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化する。なお、本実施形態では、第1特別図柄作動記憶ランプ34aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第1特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で中始動入賞口26に遊技球が入球しても表示態様は変化しない。また、第2特別図柄作動記憶ランプ35aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第2特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で可変始動入賞装置28に遊技球が入球しても表示態様は変化しない。すなわち、各特別図柄作動記憶ランプ34a,35aの表示態様により表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ第1特別図柄又は第2特別図柄の変動が開始されていない入球の回数を表している。
【0082】
また、遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ38a,38b,38c、確率変動状態表示ランプ38d、時短状態表示ランプ38e、発射位置指定ランプ38fにそれぞれ対応するLEDが含まれている。なお、本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤ユニット8に取り付けられている。
【0083】
統合表示基板89に実装されたこれらのLEDランプは、その点灯又は消灯の切り替えを制御する目的で、異なる4つの制御領域(以下、「コモン」と称する)に区分けされている。見方を変えると、統合表示基板89には4つのコモンが存在し、個々のランプはいずれか1つのコモンに属している。本実施形態においてはダイナミック点灯方式が採用されており、ランプの駆動は割込周期(例えば4ms)の間隔をおいてコモン単位で順に行われる。したがって、統合表示基板89に実装された全てのランプが同時に駆動されることはない。
【0084】
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図5は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70(主制御用コンピュータ)を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお、主制御装置70は、主制御基板ユニット170に内蔵されている。
【0085】
また、主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また、主制御装置70には、乱数回路75や割込コントローラ(割込CTR)192、パラレルI/Oポート79、タイマ回路(PTC)194、シリアル通信回路(SCU)196が装備されている。このうち乱数回路75は、特別図柄抽選の大当り判定用や普通図柄抽選の当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0~65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は主制御CPU72に入力される。また、割込コントローラ192は、パラレルI/Oポート79、タイマ回路194、シリアル通信回路196から各割込要求(XINT割込、PTC割込、SCU割込)を受け付け、これらの割込要求を優先順位に基づき制御する。その他にも主制御装置70には、図示しないクロック発生回路、様々な状態を監視し必要に応じてリセットを発生させるリセットコントローラ等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお、回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。なお、主制御装置70のI/Oポートはシリアル形式としてもよい。
【0086】
さらに、主制御装置70には、設定変更装置300、設定キースイッチ302、RAMクリアスイッチ304が設けられている。主制御装置70(主制御CPU72)は、設定変更装置300を動作させることにより設定を変更する。設定変更装置300は、設定(少なくとも特別図柄抽選の当選確率に関する複数段階の設定値)を切り替える装置であり(設定変更手段)、RAMクリアスイッチ304等の操作により作動する。また、設定とは、作動確率の組み合わせをいう。さらに、作動確率とは、条件装置が作動することとなる(大当り遊技が実行されることとなる)特別図柄の組み合わせが表示される確率をいう。設定キースイッチ302は、設定を切り替える上で必須となる設定キーの回転に伴い、その回転状態を示す信号(ON/OFF)を入力する入力装置である。設定の変更の手順は、様々な手法を採用することができるが、例えば、以下の手順で行うことができる。
【0087】
(1)まず、パチンコ機1の電源をOFFにする。
(2)次いで、専用キー(ドアキー)でパチンコ機1の扉を開ける。具体的には、専用キーをシリンダ錠6aの鍵穴に差し込んで右方向に回転し、内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4を開放する。
(3)パチンコ機1の裏側には、設定キーを挿入するための設定キー用鍵穴306と、RAMクリアスイッチ304とが設けられているため、設定キー用鍵穴306に設定キーを挿入し、設定キーを右方向に回転する。
(4)そして、パチンコ機1の電源をONにする。
【0088】
(5)これにより、設定キーが変更位置に回転されたことを示す信号(ON)が設定キースイッチ302により入力され、この入力信号に基づいて設定の変更が可能な状態となる。このとき、図示しないロック機構により安全ロックが掛けられる。したがって、設定キーは、元の位置に戻されない限りは抜き取ることが不可能となる。
【0089】
ここで、設定キーを右方向に回転した状態で、RAMクリアスイッチ304をONにしながら、電源をONにすると、設定の変更が可能な状態となる。一方、設定キーを右方向に回転した状態で、RAMクリアスイッチ304をONにせずに、電源をONにすると、設定の参照が可能な状態となる。
【0090】
(6)設定の変更が可能な状態において、RAMクリアスイッチ304を任意の回数だけ押下することにより、予め設けられた複数段階のうちいずれかの段階に設定を変更することができる。
設定値は、例えば、専用の7セグメントLED、遊技状態表示装置38(特別図柄表示装置等)、性能表示モニタ200に表示することができる。
【0091】
(7)スロット機の場合、目的の設定に達したら、レバーON処理が必要になるが、パチンコ機1にはレバーが存在しないため、レバーON処理の代わりの代替処理(例えば、設定キーを左方向に回転する処理、不図示の設定変更確定ボタンをONにする処理等)を実行したり、レバーON処理を省略したりしてもよい。本実施形態では、目的の設定に達したら、設定キーを反時計回りに回転させて元の位置に戻す。この操作により、設定キーが元の位置に戻されたことを示す信号(OFF)が設定キースイッチ302により入力され、この入力信号に基づいて設定の変更が確定する。
【0092】
(8)そして、設定の変更が確定すると、設定キー用鍵穴306から設定キーを抜き取ることができる状態となる。また、設定の変更が確定したことに伴い、専用の7セグメントLED、遊技状態表示装置38、性能表示モニタ200に設定値を表示している場合には、その表示が消える。
(9)最後に、パチンコ機1の扉を閉める。これにより、設定の変更が完了する。設定の変更が完了すると、通常の遊技が開始される。
【0093】
設定が変更された場合、主制御CPU72は、変更後の設定値をRAM76の設定値バッファに記憶する。設定値バッファは、バックアップの対象となるメモリ領域とすることができる。
【0094】
〔設定変更状態〕
「設定キーON」、「内枠開放状態」、かつ、「RAMクリアスイッチ押下状態」で電源が投入されると、RAMクリア後、設定変更中の状態(設定変更状態、設定変更モード)に移行する。
【0095】
設定変更中の状態では、メイン表示器(遊技状態表示装置38に含まれる各種ランプ)への表示はなされず、遊技球の発射や遊技球の賞球等は一切できない状態となる。また、性能表示モニタ200において、左側2つの7セグメントLED(識別セグ)に「rn.」が表示されるとともに、右側2つの7セグメントLED(比率セグ)に「-1」のように設定値が表示される。また、RAMクリアスイッチ304が押下されると、設定値が1~6の範囲で変化する。そして、「設定キーOFF」となると、設定が確定され、比率セグの表示は「空欄(非表示)1」のように「-」のセグが消灯する(非表示となる)。
【0096】
この状態で、「内枠閉鎖状態」となった場合(実際には閉鎖状態が100ms継続した場合)には、設定変更中の状態が終了し、一旦、電源断前の状態に移行してから、遊技可能状態に移行する。
【0097】
なお、本実施形態では、RAMクリアスイッチ304が設定変更スイッチを兼ねる構成としているが、RAMクリアスイッチ304を兼用せずに設定変更スイッチを別途設ける構成としてもよい。
【0098】
〔設定確認状態〕
一方、「設定キーON」、「内枠開放状態」、かつ、「RAMクリアスイッチ押下でない状態」で電源が投入されると、設定確認中の状態(設定確認状態、設定確認モード)に移行する。
【0099】
設定変更中の状態と同様に、設定確認中の状態では、メイン表示器への表示はなされず、遊技球の発射や遊技球の賞球等は一切できない状態となる。また、性能表示モニタにおいて、左側2つの7セグメントLED(識別セグ)に「rn.」が表示されるとともに、右側2つの7セグメントLED(比率セグ)に「空欄(非表示)1」のように設定値が表示される。なお、設定確認中の状態では、RAMクリアスイッチ304が押下されても設定値は変化しない。
【0100】
この状態で、「設定キーOFF」、かつ、「内枠閉鎖状態」となった場合(実際には閉鎖状態が100ms継続した場合)には、設定確認中の状態が終了し、一旦、電源断前の状態に移行してから、遊技可能状態に移行する。
【0101】
なお、本実施形態では、遊技可能状態で設定確認を行うことはできないが、遊技可能状態で設定確認を実行可能にしてもよい。
【0102】
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また、遊技盤ユニット8には、中始動入賞口26、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30及び第2可変入賞装置31にそれぞれ対応して中始動入賞口スイッチ80、右始動入賞口スイッチ82、第1カウントスイッチ84及び第2カウントスイッチ85が装備されている。各始動入賞口スイッチ80,82は、中始動入賞口26、可変始動入賞装置28(右始動入賞口28a)への遊技球の入球を検出するためのものである。また、第1カウントスイッチ84は、第1可変入賞装置30(第1大入賞口)への遊技球の入球を検出し、その数をカウントするためのものである。さらに、第2カウントスイッチ85は、第2可変入賞装置31(第2大入賞口31b)への遊技球の入球を検出し、その数をカウントするためのものである。さらに、確変領域スイッチ95は、第2可変入賞装置31の内部に配置された確変領域を遊技球が通過したことを検出するためのスイッチである(検出手段)。
【0103】
同様に遊技盤ユニット8には、普通入賞口22への遊技球の入球を検出する第1入賞口スイッチ86と、普通入賞口24への遊技球の入球を検出する第2入賞口スイッチ81とが装備されている。なお、左側の3つの普通入賞口22については、共通の入賞口スイッチ86を用いる構成を例に挙げているが、例えば3つの入賞口スイッチを設置して、各普通入賞口22に対する遊技球の入球を個別に検出してもよい。
【0104】
いずれにしても、これらスイッチ類の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお、遊技盤ユニット8の構成上、本実施形態ではゲートスイッチ78、第1カウントスイッチ84、第2カウントスイッチ85、第1入賞口スイッチ86、第2入賞口スイッチ81、確変領域スイッチ95からの入賞検出信号は、パネル中継端子板87を経由して送信され、パネル中継端子板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
【0105】
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aは、上述したように1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤ユニット8に設置されており、この統合表示基板89にはパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0106】
また、主制御装置70には、パネル中継端子板87を介して、性能表示モニタ200が接続されている。性能表示モニタ200は、遊技球が各入賞口(始動入賞口、普通入賞口)に入球することによって払い出される賞球数を、遊技領域に発射した遊技球の数を示すアウト数(アウトスイッチで検出された遊技球の数)で除算して算出されるベースを表示するためのモニタである。ベースは、遊技を進行させる制御に用いられる使用領域とは別の領域(使用外領域)を用いて予め設定された区間ごとに算出され、現在の区間のベースと、前回の区間のベースとが、予め設定された間隔ごとに切り替わって表示される。性能表示モニタ200は、主制御CPU72からの制御信号に基づいてその表示動作が制御される。主制御CPU72は、ベースの算出状況に応じて性能表示モニタ200に対する制御信号を出力し、各7セグメントの点灯状態を制御する。
【0107】
遊技盤ユニット8には、全ての入賞口及びアウト口を通過した遊技球を合流させる合流通路が形成されており、この合流通路にアウトスイッチを設けることができる。アウトスイッチは、合流通路を通過する遊技球を検出するものであり、遊技球を検出するたびに検出信号が主制御装置70に入力される。主制御装置70は、アウトスイッチから入力される検出信号に基づいて、アウト球の数を計数することができる。遊技領域8aに発射された遊技球は、必ず、合流通路を通過してパチンコ機1の外部に排出されることから、アウトスイッチは、遊技領域8aに発射された発射球数、つまり、遊技領域8aから排出される排出数(アウト球数)を計数することができる。
【0108】
なお、性能表示モニタ200は、パネル中継端子板87を介して主制御装置70に接続する例で説明しているが、パネル中継端子板87を介さずに主制御装置70に接続してもよく、主制御装置70の内部の構成として性能表示モニタ200を配置してもよい。
【0109】
また、遊技盤ユニット8には、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31及び確変領域の上流にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88、第1大入賞口ソレノイド90、第2大入賞口ソレノイド97及び確変領域用ソレノイド99が設けられている。これらソレノイド88,90,97,99は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30及び第2可変入賞装置31を開閉動作(作動)させたり、確変領域用羽根部材31dを可動させたりする。なお、これらソレノイド88,90,97,99についてもパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0110】
その他に一体扉ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また、内枠アセンブリ7にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。一体扉ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また、外枠ユニット2から内枠アセンブリ7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号から一体扉ユニット4や内枠アセンブリ7の開放状態を検出することができる。なお、主制御CPU72は、一体扉ユニット4や内枠アセンブリ7の開放状態を検出すると、外部情報信号として扉開放情報信号を生成する。
【0111】
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。なお、主制御CPU72は賞球指示コマンドとともに、外部情報信号として賞球情報信号を生成する。
【0112】
払出装置ユニット172の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(例えばステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、流路ユニット173内の払出流路を通って受皿ユニット6に送られる。
【0113】
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また、賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。払出計数スイッチ106の近傍には、払出検知スイッチを配置することができる。
【0114】
また、パチンコ機1には、例えば下皿6cの内部(パチンコ機1の正面からみて奧の位置)に満タンスイッチ161が設置されている。実際に払い出された賞球(遊技球)は流路ユニット173を通じて上皿6bに放出されるが、上皿6bが遊技球で満杯になると、それ以上に払い出された遊技球は上述したように下皿6cへ流れ込む。さらに、下皿6cが遊技球で満杯になると、それによって満タンスイッチ161がONになり、満タン検出信号が払出制御装置92(払出制御CPU94)に入力される。これを受けて払出制御CPU94は、主制御CPU72から賞球指示コマンドを受信してもそれ以上の賞球動作を一旦保留とし、未払出の賞球残数をRAM98に記憶させておく。なお、RAM98の記憶は電源断時にもバックアップが可能であり、遊技中に停電(瞬間的な停電を含む)が発生しても、未払出の賞球残数情報が消失してしまうことはない。
【0115】
また、パチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている(球発射手段)。また、受皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、受皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また、発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上述したように遊技領域8aに向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお、遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
【0116】
一方、パチンコ機1の表側に位置するハンドルユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。また、タッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がハンドルユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして、発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
【0117】
受皿ユニット6には発射中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、発射中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、発射中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号(エンコードされたデジタル信号でもよい)が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお、発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、発射中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120にカードユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
【0118】
また、受皿ユニット6には度数表示基板122及び貸出及び返却スイッチ基板123が内蔵されている。このうち度数表示基板122には、度数表示部の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。また、貸出及び返却スイッチ基板123には球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチモジュールが実装されており、球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号が貸出及び返却スイッチ基板123から遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してカードユニットに送信される。また、カードユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120を経由して度数表示基板122に送信される。度数表示基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。また、カードユニットに有価媒体が投入されていなかったり、あるいは投入された有価媒体の残り度数が0になったりした場合、度数表示基板122の表示回路は表示器を駆動してデモ表示(有価媒体の投入を促す表示)を行うこともできる。
【0119】
また、パチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124(演出制御用コンピュータ)を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126が回路基板(複合サブ制御基板、演出制御基板、サブ制御基板)上に装備されている。演出制御CPU126は、図示しないCPUコアとともにRAM(RWM)130やeDRAM131等の半導体メモリを内蔵したLSIとして構成されている。なお、演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
【0120】
その他にも演出制御装置124には、VDP152やドライバIC132、音声IC134等の演出を実現する上で必要となる様々な機能部品が搭載されている。このうちVDP152は、液晶表示器42の画面上で再生される演出画面を描画するためのプロセッサである。ドライバIC132は、ランプ46~52や盤面ランプ53、可動体モータ57等のデバイスを制御するICを搭載している。また、音声IC134は、スピーカ54,55,56,58の駆動を制御する。このような演出制御装置124の内部の機能構成については、次の図を参照しながら詳しく後述する。
【0121】
演出制御装置124と主制御装置70とは、例えば図示しない通信用ハーネスを介して相互に接続されている。ただし、これらの間の通信は、主制御装置70から演出制御装置124への一方向のみで行われ、逆方向への通信は行われない。なお、通信用ハーネスには、主制御装置70から演出制御装置124に対して送信される各種演出用のコマンド(以下、「演出コマンド」と称する。)のバス幅に応じてパラレル形式を採用してもよいし、それぞれのドライバ(I/O)のハード構成に合わせてシリアル形式を採用してもよい。
【0122】
本実施形態では一体扉ユニット4の内面にサブ接続基板136が設置されており、ドライバIC132や音声IC134からの駆動信号はサブ接続基板136を経由して各種ランプ46~52やスピーカ54,55,56,58に印加されている。また、サブ接続基板136には、ハンドルレバー62、ボタンモータ63、プッシュボタン64、方向キー66の他に音量調整スイッチ67及び輝度調整スイッチ68が接続されており、遊技者が音量調整スイッチ67及び輝度調整スイッチ68を操作すると、これらの操作情報がサブ接続基板136を通じて演出制御装置124に通知される。
【0123】
ボタンモータ63は、プッシュボタン64に対応したステッピングモータであり、操作ユニット60を制御する不図示の操作ユニット制御装置によって駆動される(切替手段)。操作ユニット制御装置は、演出制御装置124から送信される駆動信号に基づいてボタンモータ63を駆動することにより、プッシュボタン64を通常の状態(初期位置)又は突出した状態(最大可動位置)のいずれかに切り替える(変位させる)。
【0124】
その他、遊技盤ユニット8にはドライバ基板138が設置されており、このドライバ基板138には盤面ランプ53の他に可動体モータ57が接続されている。可動体モータ57は、例えば図示しないリンク機構を介して可動体40fを駆動する。ドライバIC132からの駆動信号は、ドライバ基板138を経由して盤面ランプ53及び可動体モータ57にそれぞれ印加される。
【0125】
液晶表示器42は遊技盤ユニット8の裏側に設置されており、遊技盤ユニット8に形成された略矩形の開口を通じてその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤ユニット8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライト(例えば冷陰極管)に印加される交流電源を生成している。
【0126】
その他、内枠アセンブリ7の裏側には電源制御ユニット162(電源制御手段)が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してカードユニットに電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。また、上述したように電源制御ユニット162は、アース線166を通じて島設備にアース(接地)されている。
【0127】
外部端子板160は払出制御装置92に接続されており、主制御装置70(主制御CPU72)にて生成された各種の外部情報信号は、払出制御装置92を経由して外部端子板160から外部に出力されるものとなっている。主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は、外部端子板160を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報信号を出力することができる。外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータ(図示していない)で集計される。なお、ここでは払出制御装置92を経由する構成を例に挙げているが、主制御装置70からそのまま外部情報信号が外部端子板160に出力される構成であってもよい。
【0128】
〔演出制御装置の内部構成〕
図6は、演出制御装置124の内部の機能構成を示すブロック図である。
上述したように、演出制御装置124は遊技の進行に伴い演出を制御する演出制御プロセッサとしての役割を有している。そのため演出制御装置124には、演出制御CPU126に加え、演出制御装置124が演出制御プロセッサとして機能する上で必要となる制御ROM180及びウォッチドッグタイマIC(WDTIC)188が装備されている。制御ROM180には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されている。演出制御CPU126は、図示しないCPUバスを介して制御ROM180にアクセスし、制御ROM180に格納されたプログラムを実行することにより演出を制御する。ウォッチドッグタイマIC188は、演出制御装置124で実行される制御が正常になされているか(想定時間内に処理が完了しているか)を監視するタイマであり、演出制御CPU126のリセット端子に接続されている。ウォッチドッグタイマIC188の監視タイマをクリアするための信号(クリアパルス)が所定時間内に入力されなかった場合、ウォッチドッグタイマIC188は演出制御CPU126に対しリセット起動させるための信号(リセットパルス)を出力する。これにより、演出制御装置124が強制的にリセット起動されることとなる。
【0129】
演出制御装置124にはこれらの他にも、演出に関わる機能として、バックアップデータ用の記憶領域であるSRAM182、所定周波数のクロック信号を生成する水晶発振器181、時刻管理を行うリアルタイムクロック(RTC)184、SRAM182及びリアルタイムクロック184に対しバックアップ電源を供給するリチウム電池186、図示しない入出力ドライバやカウンタ/タイマ回路等の周辺IC等が装備されている。リチウム電池186は、電源制御ユニット162から演出制御装置124に対し駆動電力が供給されている間に、この電力を蓄えて自身を充電する。SRAM182及びリアルタイムクロック184は、リチウム電池186に接続されており、電源制御ユニット162からの演出制御装置124への駆動電力の供給が断たれた場合にはリチウム電池186により駆動可能となる。したがって、SRAM182及びリアルタイムクロック184は、電源制御ユニット162からの電力供給が断たれた場合でも、リチウム電池186の充電が切れるまでの期間(例えば、約1か月半)は動作を継続するため、SRAM182は、電源断の状況下においても暫くは格納されている情報を保持することができる。
【0130】
なお、演出制御プログラムは、容易に消去されるべきではないセキュリティや監視、不具合等に関する情報をSRAM182に保存する構成となっている。これにより、例えば、演出制御装置124で何らかの不具合が発生した場合に、パチンコ機1を回収(又は設置状態で点検)し、SRAM182に保持されている情報を解析することにより不具合の要因調査を進めることが可能となる。
【0131】
通常、演出制御CPU126が制御ROM180に格納されたプログラムに沿って実行する演出の制御には、上述したように液晶表示器42、各種ランプ46~53、スピーカ54,55,56,58等のデバイスを用いた演出の制御が含まれる。この演出制御の流れは、大きくみると「全体制御(再生指示)」と「個別制御(再生制御)」の2つの段階に分けられる。演出制御CPU126は、先ず主制御装置70から送信される演出コマンドを受信し、演出コマンドの内容に応じた演出の再生を各デバイスに対して間接的に指示する(全体制御)。次に、演出制御CPU126は指示内容を各デバイスに適したより具体的な表現に変換した指示データを生成し、演出制御CPU126と各デバイスとの間を中継する各制御デバイス134,152,198,199に送信する(個別制御)。その結果として、各制御デバイス134,152,198,199により指示データに基づく各デバイスの制御がなされ、パチンコ機1における各デバイスを用いた演出再生(画面表示、音声出力、ランプ発光、可動体変位等)が実現される。
【0132】
このように、演出制御CPU126は、演出制御の段階に応じて異なる機能を有しており、これらの機能は演出制御CPU126のリソースを使い分けることにより実現されている。図5では、演出制御CPU126の内部リソースをいくつかの機能ブロックに分けたものが演出制御部210、表示制御部220、音声制御部222、ランプ制御部224、モータ制御部226、入力制御部228等として示されている。以下の説明では、個々の機能ブロックを制御処理の動作主体として扱うものとする。
【0133】
先ず、全体制御の段階では、演出制御CPU126内の演出制御部210が動作主体となる。また、個別制御の段階では、制御対象とされるデバイスに応じて演出制御CPU126内の表示制御部220、音声制御部222、ランプ制御部224、モータ制御部226又は入力制御部228が各動作主体となる。なお、演出制御部210が各制御デバイス134,152,198,199等を直接的に制御する構成としてもよい。
【0134】
演出制御装置124は、全体制御の段階では演出制御プロセッサとして機能するのに対し、個別制御の段階では演出再生プロセッサとして機能する。そのため、演出制御装置124にはさらに、VDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)やCGROM(画像・音声ROM)190の他、演出の再生に用いられる各種デバイスを制御するための音声IC134、LEDドライバ198、SMC(シリアル制御コントローラ)199及びドライバIC132が装備されている。
【0135】
CGROM190は、演出画面を構成する描画素材(動画像データ)や演出の進行とともに出力される音声素材(音声データ)を所定の圧縮アルゴリズムにより圧縮された状態で格納している。CGROM190は、図示しないCGバスを介してVDP152や音声IC134に接続されている。
【0136】
VDP152は、演出画像の描画専用のプロセッサであり、演出制御CPU126とともにワンチップに統合されている。また、VDP152はVRAM156及び描画素材デコーダ157を内蔵する。このうちVRAM156は、主に描画素材を展開する際に用いられ、描画素材デコーダ157は、圧縮された状態の描画素材を解凍(復号)する際に用いられる。VDP152は、先ず表示制御部220から送信された指示内容を解析し、CGバスを介してCGROM190から必要な描画素材を読み出してVRAM156に転送する。そして、読み出した描画素材を描画素材デコーダ157で復号してVRAM156上で演出画像の描画を行い、演出画像を1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開する。ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動することにより、演出画面の再生が実現される。
【0137】
音声IC134は、演出の実行中に再生される効果音やBGM等の音声を生成するサウンドジェネレータであり、VDP152と同様に演出制御CPU126とワンチップに統合されている。音声IC134は、図示しないアンプや外部DRAM、CGバスに接続されている。また、音声IC134には、圧縮された状態の音声素材を解凍(復号)する音声素材デコーダ135が内蔵されている。音声IC134は、先ず音声制御部222から送信された指示内容を解析し、CGバスを介してCGROM190から必要な音声素材を読み出す。そして、読み出した音声素材を外部DRAM上で音声素材デコーダ135を用いて復号する。アンプを経由してガラス枠上スピーカ54、ガラス枠内スピーカ55、内枠スピーカ56及び外枠スピーカ58に復号した音声を出力することにより、ステレオ2ch又はモノラル2chの音声再生(より大きなチャンネル数としてもよい)を実現する。また、音声IC134は、音量調整スイッチ67が操作された場合に入力される接点信号に基づいて、各スピーカ54,55,56,58の出力音量を調整する。
【0138】
LEDドライバ198は、パチンコ機1の前面側に設けられた各種ランプ46~53の点灯パターン及び輝度パターンを制御する。LEDドライバ198においては、アドレス指定同期シリアル方式が採用されている。LEDドライバ198は、先ずランプ制御部224から送信された指示内容に基づいて点灯パターン及び輝度パターンの制御を行い、これに応じた駆動データをドライバIC132に転送する。また、LEDドライバ198は、輝度調整スイッチ68が操作された場合に入力される操作情報に基づいて、各種ランプ(LED)の輝度を調整する。
【0139】
SMC199は、演出ユニット40の内部に設けられた演出用の可動体40f等の駆動源となる可動体モータ57の駆動パターンを制御する。SMC199もまた、演出制御CPU126とワンチップに統合されている。SMC199においては、クロック同期式シリアル方式が採用されている。SMC199は、先ずモータ制御部226から送信された指示内容に基づいて駆動パターンを生成し、これをドライバIC132に転送する。なお、ここではSMC199をモータの駆動パターン生成にのみ用いているが、SMC199はモータだけでなくランプの点灯パターンや輝度パターンを生成することもできるため、上述したLEDドライバ198に代えてSMC199を適用し、SMC199がランプ及びモータの両方のデータパターンを生成する構成とすることも可能である。
【0140】
ドライバIC132は、LEDドライバ198やSMC199から転送された駆動データに基づいてランプやモータに対し印加する駆動電圧の制御を行う。ドライバIC132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、各種ランプ46~53、可動体モータ57に印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その動作を管理することにより、ランプや可動体を用いた演出再生を実現する。なお、各種ランプには、ガラス枠トップランプ46やガラス枠装飾ランプ48,50,52の他に、操作ユニット60の各部位に内蔵された光源や遊技盤ユニット8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53等が含まれる。盤面ランプ53は、演出ユニット40に内蔵されるLEDや、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31等に内蔵されるLEDに相当するものである。また、ここではガラス枠装飾ランプ52がサブ接続基板136に接続されている例を挙げているが、受皿ユニット6に受皿電飾基板を設置し、ガラス枠装飾ランプ52については受皿電飾基板を介してドライバIC132に接続される構成であってもよい。
【0141】
この他にドライバIC132は、ハンドルレバー62やプッシュボタン64、方向キー66、音量調整スイッチ67、輝度調整スイッチ68等の操作部材(操作手段)が遊技者により操作された場合に入力される操作情報を、入力制御部228を経由して演出制御部210に通知する。演出制御部210は、通知される操作情報の内容に基づいて、演出の内容を決定可能である(演出を構築可能である)。
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。
【0142】
続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
【0143】
〔主制御装置におけるCPU初期化(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はCPU初期化処理を開始する。CPU初期化処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。また、CPU初期化処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
【0144】
図7及び図8は、CPU初期化処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
【0145】
ステップS100:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
【0146】
ステップS102:続いて主制御CPU72は、割込ベクタテーブルの設定を行う。この処理では、主制御CPU72は割込ベクタテーブルのアドレスを割込制御に使用するIレジスタ(割込ベクタレジスタ)にセットする。割込ベクタテーブルにはCPU初期化処理の実行中に発生した割込要求を制御する上で必要となる優先順位が定義されており、主制御CPU72は割込ベクタテーブルに定義された優先順位に基づき複数の割込要求を順番に実行することとなる。割込処理の制御については、詳しく後述する。
【0147】
ステップS104:主制御CPU72は、RAMクリア信号(RAMクリアスイッチ304からの入力信号)を退避させる。より具体的には、RAMクリア信号が入力される入力ポートの値を2回連続して取得し、これらの値による論理和を入力ポート値として退避させておく。
【0148】
ステップS106:主制御CPU72は、ここで待機処理を実行する。この処理は、電源投入後にある程度の待機時間(例えば数千ms程度)を確保しておき、その間に電源断予告信号(電源の遮断が発生しつつあることを示す信号)のチェックを行うためのものである。具体的には、主制御CPU72は待機時間分のループカウンタをセットすると、ループカウンタの値をデクリメントしながら電源断予告信号の入力ポートをビットチェックする。電源断予告信号は、駆動電圧の電圧レベルを監視するICにより入力される。そして、ループカウンタが0になる前に電源断予告信号の入力を確認すると、主制御CPU72は先頭から処理を再開する。これにより、例えば図示しない主電源スイッチの投入と切断の操作が短時間(1~2秒程度)内に繰り返し行われた場合のシステム保護を図ることができる。
【0149】
ステップS108:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域に対するアクセスを許可する。具体的には、ワーク領域のRAMプロテクト設定値をリセット(00H)する。これにより、以後はRAM76のワーク領域に対するアクセスが許可された状態となる。
【0150】
ステップS110:主制御CPU72は、先のステップS104で退避させた入力ポート値の特定ビットをチェックすることによりRAMクリア信号を参照し、RAMクリアスイッチ304が操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチ304が操作されていなければ(No)、次にステップS112を実行する。
【0151】
ステップS112:次に主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断時に実行された処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A5H」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS114を実行する。なお、電源遮断時に実行される処理については、別のフローチャートを用いて後述する。
【0152】
ステップS114:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。具体的には、主制御CPU72はRAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含むユーザワーク領域)のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全ての領域をサムチェックする。サムチェックの結果が正常であれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS116を実行する。
【0153】
ステップS116:主制御CPU72は、RAM76の一部領域の記憶内容をクリアする。RAM76の一部領域とは、電源復帰時にクリア対象とするバックアップ有効判定フラグのアドレスを基準とした連続する所定範囲内のワーク領域のことである。この領域の記憶内容をアドレス毎に(バイト単位で)クリアしつつ、保存されている有効なバックアップ情報はそのまま保持しておくことにより、主制御CPU72は電源遮断時の状態を復旧させることが可能となる(記憶復帰手段)。
【0154】
ステップS118:主制御CPU72は、電源遮断から復帰して起動したことを示す電源復帰指定の演出コマンド(演出制御装置124に対し送信するべきコマンド)及び払出コマンド(払出制御装置92に対し送信するべきコマンド)をセットする。
【0155】
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチ304が操作されていた場合(ステップS110:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS112:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS114:No)、主制御CPU72はステップS120に移行する。
【0156】
ステップS120:主制御CPU72は、RAM76の使用禁止領域以外の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76のワーク領域及びスタック領域は全て初期化され、有効なバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS122:また、主制御CPU72は、RAM76の初期設定を行う。
【0157】
ステップS124:主制御CPUは、RAMクリア起動したことを示すRAMクリア指定の演出コマンド(演出制御装置124に対するコマンド)及び払出コマンド(払出制御装置92に対するコマンド)をセットする。
【0158】
ステップS126:次に主制御CPU72は、払出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、ステップS118でセットされた払出コマンド(電源復帰指定)又はステップS124でセットされた払出コマンド(RAMクリア指定)を、払出コマンドバッファに出力する。
【0159】
ステップS128:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先ず、ステップS118でセットされた演出コマンド(電源復帰指定)又はステップS124でセットされた演出コマンド(RAMクリア指定)を演出コマンドバッファに出力する。主制御CPU72はさらに、演出制御に必要となるその他の各種演出コマンドをセットし、これらを演出コマンドバッファに出力する。このとき、主制御CPU72はこれらの演出コマンドに対し、電源復帰時とRAMクリア時とで異なる値をセットする。
【0160】
例えば、電源復帰時には、バックアップ情報に基づいて各演出コマンドの値をセットする。これらの演出コマンドが後の演出コマンド送信処理(ステップS142)において演出制御装置124に対し送信されることにより、演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、内部確率状態、演出図柄の表示態様、作動記憶数の演出表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させることができる。
【0161】
ステップS130:主制御CPU72は、入力ポート処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は各入力ポートの内容を取得し、その値に対して所定の演算を行った結果を各入力ポートの状態フラグに格納する。この処理を終えると、主制御CPU72は次にステップS131に進む(接続記号A→A)。
【0162】
ステップS131:主制御CPU72は、主コマンド許可信号を出力ポートの特定ビットにセットする。主コマンド許可信号とは、主制御装置70が自身へのコマンド送信を許可する旨を払出制御装置92に対し表明する信号である。主コマンド許可信号が払出制御装置92に入力されると、これを受けて払出制御装置92は、主制御装置70に対し払出コマンドの送信を許可する旨を表明する払出コマンド許可信号を入力することとなる。
【0163】
ステップS132:主制御CPU72は、出力ポートの特定ビットをリセット(OFF)して発射許可信号をクリアする(特定出力情報クリア手段)。発射許可信号は電源遮断時におけるバックアップの対象に含まれる。したがって、主制御装置70(パチンコ機1)が電源復帰した場合、主制御CPU72はCPU初期化処理において電源復帰時のフローを実行し、バックアップ情報に基づいて主制御装置70を電源遮断時の状態に復帰させるが(ステップS116)、その一環で、発射許可信号も電源遮断時の状態に戻される。
【0164】
発射許可信号は、RAM76に記憶されている特定の出力ポートバッファ(例えば、出力ポート3用のバッファ)のうち、特定のビット(例えば、ビット0)にセットされている。ただし、ここで対象とする出力ポートバッファのアドレスは、RAM76のアドレス空間のうち、ステップS116でクリア対象とした連続領域からは外れた場所に位置している。このため仮に、ステップS116の処理の一環で、クリア対象領域に加えて発射許可信号がセットされている特定アドレスの特定ビットの値をもクリアしようとすると、その具体的なアドレスを特定した上で、そのアドレスに記憶されている8ビットのデータのうちの特定ビットのデータのみをクリアしつつ残りの7ビット分のデータは維持するという例外的な処理を行わなければならず、RAM76の一部領域をクリアする処理の効率が非常に悪くなる。このような事情から、主制御CPU72は、先のステップS116では発射許可信号をクリアせずに他のバックアップ対象データと区別せず同様に取扱い、一旦は電源遮断時の状態に戻すこととしている。
【0165】
しかしながら、主制御装置70においてバックアップ情報が戻された段階(ステップS116)では、払出制御装置92との通信が未だ確立しておらず、払出制御装置92が正常に起動しているか(主制御装置70からのコマンドによる指示を受け付けられるか)否かを確認できていない。発射許可信号がONの状態で電源が遮断された場合には、発射許可信号がONに戻されるため、結果として払出制御装置92の正常性が不明であるにもかかわらず遊技球を発射できるという状態が発生することとなる。ここで仮に、電源の遮断中に払出制御装置92が本来の検査適合していない改造品(例えば、賞球数が改変されたもの等)と交換され、その後の電源復帰により主制御装置70が起動した場合、発射許可信号がONに戻されることより遊技球の発射が可能となってしまう。このような状態は、セキュリティの観点から好ましくない。
【0166】
そこで、本実施形態においては、電源復帰による起動であるかRAMクリア指定の起動であるかに関わらず、主制御CPU72がメインループに遷移する前の段階で発射許可信号を一度明示的にクリア(OFFにリセット)している。その後、払出制御装置92から主制御装置70に対し払出コマンド許可信号が入力されたことを主制御CPU72が確認し、その上で払出制御装置92に対して払出コマンドを送信したことを契機として、発射許可信号をONにセットする制御を採用している。このような制御を行うことにより、メインループの処理により遊技が開始(再開)しても主制御装置70と払出制御装置92との間の通信が確立しない限りは遊技球の発射が許可されないため、上述したような不正がなされた場合に遊技球の不正な発射を回避することができる。
【0167】
ステップS133:主制御CPU72は、タイマ割込周期を設定する。より具体的には、主制御CPU72はタイマ割込周期(例えば、4ms)に相当する値をタイマ回路194のカウンタ設定レジスタに設定する。
ステップS134:主制御CPU72は、割込デイジーチェーンをリセットする。より具体的には、主制御CPU72は、割込処理の事前準備として、この後で説明するメインループの先頭アドレスをバックアップした上でRETI命令を実行する。この処理を行うことにより、これ以降に発生する割込処理を正常に開始させ、さらに割込処理の実行後にはメインループから処理を続行することが可能となる。
【0168】
CPU初期化処理において以上の手順を実行すると、主制御CPU72はメインループ(以下に説明するステップS136~S146)に遷移する。電源制御ユニット162からの電力供給が保たれている限り、主制御CPU72はメインループを終始繰り返して実行する。
【0169】
ステップS136,ステップS138:主制御CPU72は割込を禁止した上で、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数(ハードウェア乱数)、及び普通図柄に対応する当り決定乱数(ハードウェア乱数)を除く各種の乱数(例えば、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別のタイマ割込処理(図9中のステップS212)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が一巡する毎にループカウンタの初期値(全ての乱数が対象でなくてもよい)を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS138では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS136で割込を禁止した後にステップS138を実行しているのは、別のタイマ割込処理(図9中のステップS210)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。なお、本実施形態において大当り決定乱数及び当り決定乱数は乱数回路75により発生されるハードウェア乱数であり、その更新周期はタイマ割込周期(例えば数ms)よりもさらに高速(例えば数μs)であるため、大当り決定乱数及び当り決定乱数の初期値を更新する必要はない。なお、タイマ割込処理については別の図面を用いて後述する。
【0170】
ステップS140:主制御CPU72は、受信コマンド管理処理を実行する。この処理では、払出制御装置92から受信したデータを解析し、その結果に応じた処理を行う。主制御CPU72は、受信したコマンドが払出起動指定コマンドである場合には払出起動確認指定コマンドを払出コマンドバッファに出力する一方、そうでない場合は受信データが所定範囲内の値であるか(受信コマンドとして適切な値であるか)を確認した上で範囲外ならば払出エラー指定コマンドを演出コマンドバッファに出力し、さらに状況に応じて払出電波エラーフラグのセットを行う。
【0171】
ステップS142:主制御CPU72は、演出コマンド送信処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、演出コマンドバッファに出力されている各演出コマンドの送信を行う。
【0172】
ステップS144,ステップS146:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中に割込要求が発生し、主制御CPU72が各種割込処理を実行した場合の残り時間で行われる。
【0173】
〔タイマ割込処理〕
次に、タイマ割込処理について説明する。図9は、タイマ割込処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、タイマ回路194により出力される割込要求(PTC割込)に基づき、所定時間(例えば、数ms)毎にタイマ割込処理(PTC割込処理)を実行する。以下、タイマ割込処理の各手順を追って説明する。
【0174】
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたAFレジスタ(アキュムレータとフラグレジスタのペア)、BC,DE,HLレジスタ(汎用レジスタのペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後の各レジスタには、タイマ割込処理の過程で別の値を書き込むことができる。
【0175】
ステップS202:次に主制御CPU72は、割込を許可する。ここで割込が許可されることにより、タイマ割込処理の次ステップ以降を実行している間に他の割込が発生することが可能となる。このように、タイマ割込処理は多重割込が許可されている。なお、割込要求信号の受付や多重割込の優先制御等は、割込コントローラ192により実行される。割込コントローラ192による割込管理については、改めて後述する。
【0176】
ステップS204:主制御CPU72は、ダイナミックポート出力処理を実行する。この処理では、統合表示基板89に実装された各ランプの点灯をダイナミック点灯方式で制御するために、コモン単位でのポート出力を行う。より具体的には、主制御CPU72は、出力ポートをクリアした後に、選択されたコモンに対応するコモン出力要求バッファに出力された内容を出力ポートに格納する。
【0177】
ステップS206:主制御CPU72は、ポート入力処理を実行する。この処理では、入力ポート情報に基づき最新のスイッチ状態を正確に取得するために、主制御CPU72はパラレルI/Oポート79から各種スイッチ信号の入力値と前回入力値の反転結果値との論理積を入力ポートオン検出フラグに格納する。この結果、入力ポートオン検出フラグの値(ON/OFF)により、各種スイッチ信号の前回からの変化を踏まえた正確な入力状態を把握することが可能となる。各種スイッチ信号には、具体的には、ゲートスイッチ78及び確変領域スイッチ95からの通過検出信号や、中始動入賞口スイッチ80、右始動入賞口スイッチ82、第1カウントスイッチ84、第2カウントスイッチ85、第1入賞口スイッチ86、第2入賞口スイッチ81からの入賞検出信号等が含まれる。
【0178】
ステップS208:主制御CPU72は、タイマ更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、遊技時間や普通電動役物の閉鎖時間を管理するタイマの他、外部情報用の各種タイマ、セキュリティ信号用タイマ等のカウンタを1減算して更新する。
【0179】
ステップS210:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、CPU初期化処理の過程(図8のステップS138)で述べたものと同じである。
【0180】
ステップS212:主制御CPU72は、当り図柄乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は特別図柄及び普通図柄の抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数等が含まれる。
【0181】
ステップS214:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先のポート入力処理(ステップS206)で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、中始動入賞口スイッチ80、右始動入賞口スイッチ82、第1カウントスイッチ84、第2カウントスイッチ85、第1入賞口スイッチ86、第2入賞口スイッチ81、確変領域スイッチ95からの検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、普通図柄記憶更新処理、第1特別図柄記憶更新処理、第2特別図柄記憶更新処理、第1大入賞口カウント処理、第2大入賞口カウント処理、第1入賞口カウント処理、第2入賞口カウント処理、確変領域通過時処理等を実行する。
【0182】
普通図柄記憶更新処理は、普通図柄作動記憶数が上限数(例えば4個)未満である場合に、普通図柄当り乱数を取得してRAM76の乱数記憶領域に記憶させ、普通図柄作動記憶数を1個増加させる処理である。
【0183】
第1特別図柄記憶更新処理は、第1特別図柄作動記憶数が上限数(例えば4個)未満である場合に、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数、第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数、第1特別図柄に対応するリーチ判定乱数、第1特別図柄に対応する変動パターン決定乱数を取得してRAM76の乱数記憶領域に記憶させ、第1特別図柄作動記憶数を1個増加させる処理である。なお、第1特別図柄記憶更新処理では、第1特別図柄の大当り決定乱数及び大当り図柄乱数に基づいて、事前(変動開始前)に内部抽選の結果を判定し、それによって演出内容を判定する(いわゆる「先読み」により変動パターン先判定コマンドを生成する)取得時演出判定処理を実行することができる。
【0184】
第2特別図柄記憶更新処理は、第2特別図柄作動記憶数が上限数(例えば4個)未満である場合に、第2特別図柄に対応する大当り決定乱数、第2特別図柄に対応する大当り図柄乱数、第2特別図柄に対応するリーチ判定乱数、第2特別図柄に対応する変動パターン決定乱数を取得してRAM76の乱数記憶領域に記憶させ、第2特別図柄作動記憶数を1個増加させる処理である。なお、第2特別図柄記憶更新処理では、第2特別図柄の大当り決定乱数及び大当り図柄乱数に基づいて、事前(変動開始前)に内部抽選の結果を判定し、それによって演出内容を判定する(いわゆる「先読み」により変動パターン先判定コマンドを生成する)取得時演出判定処理を実行することができる。
【0185】
第1大入賞口カウント処理、第2大入賞口カウント処理、第1入賞口カウント処理、第2入賞口カウント処理は、それぞれの入賞口に対するカウント処理である。
【0186】
確変領域通過時処理は、遊技状態フラグとして確率変動機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする処理である。この確率変動機能作動フラグは、大当り遊技の終了後、当選の結果が得られずに特別図柄が所定回数変動するとリセットされる。また、確変領域通過時処理では、確変領域通過コマンドを生成することができる。
【0187】
本実施形態では、中始動入賞口スイッチ80又は右始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72はそれぞれ第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定する。また、ゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。
【0188】
ステップS215:主制御CPU72は、設定変更処理(設定関連処理)を実行する。この処理では、設定値の変更や確認に伴う処理を実行する。なお、設定変更状態や設定確認状態でない場合、すなわち遊技可能状態である場合には、主制御CPU72は、本ステップをスキップして(設定変更処理を実行せずに)、代わりに、ベースを算出して性能表示モニタ200に表示する処理を実行することができる。主制御CPU72は、遊技球が各入賞口(始動入賞口、普通入賞口、大入賞口)に入球することによって払い出される賞球数を、遊技領域に発射した遊技球の数を示すアウト数(アウトスイッチで検出された遊技球の数)で除算することによりベースの算出が可能である。
【0189】
また、本ステップにて設定変更処理(設定関連処理)を実行した場合には、主制御CPU72は、設定関連終了指定コマンドを生成する。ここで、「設定関連終了指定コマンド」とは、設定の変更又は確認に関連する処理が終了したことを伝える演出コマンドのことであり、設定関連終了指定コマンドには、この他に設定値の情報を含ませることができる。生成された設定関連終了指定コマンドは、メインループ内で実行される演出コマンド送信処理(図8中のステップS142)において演出制御装置124に送信される。
【0190】
ステップS216,ステップS218:主制御CPU72は、特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これらの処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理(ステップS216)では、主制御CPU72は第1特別図柄又は第2特別図柄に対応する内部抽選の実行を制御したり、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35による変動表示や停止表示を決定したり、その表示結果に応じて第1可変入賞装置30及び第2可変入賞装置31の作動を制御したりする。
【0191】
特別図柄遊技処理は、実行選択処理、特別図柄変動前処理、特別図柄変動中処理、特別図柄停止表示中処理、大当り時可変入賞装置管理処理、小当り時可変入賞装置管理処理のサブルーチン(プログラムモジュール)群を含む。
【0192】
実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理のジャンプ先を「ジャンプテーブル」から選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また、戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾をスタックポインタにセットする。
【0193】
いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況(特別図柄遊技管理ステータス)によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば(特別図柄遊技管理ステータス:00H)、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば(特別図柄遊技管理ステータス:02H)、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理を選択するといった具合である。
【0194】
特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。具体的には、主制御CPU72は、変動の対象となる第1特別図柄又は第2特別図柄の作動記憶数を1減少させ、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている第1特別図柄又は第2特別図柄の抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を読み出し、内部状態に基づいて大当り判定処理(内部抽選)や小当り判定処理を実行し、大当り時の停止図柄、小当り時の停止図柄、はずれ時の停止図柄等を決定し、リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数に基づいて、大当り時の変動パターン、小当り時の変動パターン、はずれ時の変動パターン等を決定する処理を実行する。主制御CPU72は、決定内容に基づいて、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、確定コマンド、状態指定コマンド等を生成し、演出制御装置124に対して送信する。
【0195】
特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番~7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
【0196】
特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。
【0197】
大当り時可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において大当りの態様で特別図柄が停止表示された場合に選択される。特別図柄が大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する契機が発生する。大当り時可変入賞装置管理処理においては、第1大入賞口ソレノイド90又は第2大入賞口ソレノイド97が一定時間(例えば29秒間若しくは0.1秒間又は10個の遊技球の入球をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば10回等)にわたって励磁され、これにより第1可変入賞装置30及び第2可変入賞装置31が決まったパターンで開閉動作する。この間に第1可変入賞装置30や第2可変入賞装置31に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる(特別遊技実行手段)。なお、このように大当り時に第1可変入賞装置30や第2可変入賞装置31が開閉動作することを「ラウンド」と称し、連続作動回数が全部で10回あれば、これらを「10ラウンド」と総称することがある。
【0198】
そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(確率変動機能作動フラグ、時間短縮機能作動フラグ)に基づいて大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を変化させる(高確率時間短縮状態移行手段、有利遊技状態移行手段、特別状態移行手段)。「高確率状態」では確率変動機能が作動し、内部抽選での当選確率が通常よりも例えば10倍程度高くなる(特定遊技状態移行手段、高確率状態移行手段、高確率状態設定手段)。また、「時間短縮状態」では時間短縮機能が作動し、普通図柄の作動抽選が高確率になり、また、普通図柄の変動時間が短縮されるとともに可変始動入賞装置28の開放時間が延長されて開放回数が増加する(いわゆる電チューサポートが行われる)。なお、「高確率状態」及び「時間短縮状態」については、制御上でいずれか一方だけに移行する場合もあれば、これら両方に合わせて移行する場合もある。
【0199】
小当り時可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において小当りの態様で特別図柄が停止表示された場合に選択される。例えば、特別図柄が小当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から小当り遊技状態に移行する契機が発生する。小当り遊技においては、第1可変入賞装置30が所定の開放時間(例えば、0.1秒)で所定回数(例えば2回)だけ開閉動作するものの、第1大入賞口への入賞はほとんど発生しない。
【0200】
また、普通図柄遊技処理(ステップS218)では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を決定したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は先のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄当り決定乱数)を記憶しておき、この普通図柄遊技処理の中で記憶から乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(作動抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる(可動片作動手段)。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。
【0201】
ステップS220:次に主制御CPU72は、状態管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、入賞頻度の異常(中始動入賞口26、普通入賞口22,24への入球数が異常に多い状態)やベース異常(遊技盤ユニット8の裏側へ回収された遊技球数、すなわち遊技領域8a内に打ち込まれた遊技球数よりも各入賞口22,24,26,28a,30b,31bへの入賞球数の合計の方が多い状態)等の危険度の高い状態が発生していないかのチェックを行う。異常状態を検知した場合、主制御CPU72は、遊技場のホールコンピュータに対してはセキュリティ信号の出力により、また、演出制御装置124に対しては所定の演出制御コマンドの送信により、異常が発生したことを報知する。
【0202】
ステップS222:主制御CPU72は、入賞口スイッチ処理を実行する。この処理では、先のポート入力処理(ステップS206)において各種スイッチ80,81,82,84,85,86から入力された入賞検出信号に基づき格納した各入力ポートオン検出フラグがONの場合に、それぞれの対象となる賞球制御カウンタを1加算して更新する。
【0203】
ステップS224:主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。詳細なフローは図示していないが、この処理では、主制御CPU72はまず払出コマンドバッファが空でないか(送信すべき払出コマンドがセットされているか)否かを確認し、空でない(払出コマンドがセットされている)場合は、払出コマンドバッファに出力された各種払出コマンドを払出制御装置92に対して送信する。例えば、電源投入時の起動モードを示す払出コマンドは、CPU初期化処理の過程でセットされ(図7中のステップS118、ステップS124)、払出コマンドバッファに出力される(図7中のステップS126)が、この起動モードを示す払出コマンドがここで送信される。一方、払出コマンドバッファが空である場合は、賞球の払い出しを指示するための処理に進む。主制御CPU72は賞球制御カウンタが0でないか否かを確認し、賞球制御カウンタが0でない場合は、このカウンタに対応する賞球個数を指示する賞球指定の払出コマンドを払出制御装置92に対して送信する。より具体的には、前ステップS222において更新された各賞球制御カウンタに対応する賞球指定の払出コマンドがここで送信される。なお、払出コマンドの送信は、払出制御装置92から主制御装置70に対し払出コマンド許可信号が入力されており、かつ、送信データレジスタ(送信FIFO)にセットされている払出コマンドの数が所定数未満である場合(より具体的には、前回以前に実行されたステップS224において送信FIFOにセットされた払出コマンドが送信済みであるか、又は、現在送信中であって送信FIFOに空きがある場合)にのみ実行される。
【0204】
また、特に電源投入時のステップS224においては、CPU初期化処理の過程でセットされた払出コマンドが正常に送信された場合、主制御CPU72はこれを契機として発射許可信号をオンにする。具体的には、主制御CPU72は電源投入時に出力した払出コマンドバッファをクリアするとともに、出力ポートの特定ビットをセットすることで発射許可信号をオンにする(特定出力情報セット手段)。これにより電源投入後の正常動作を確認した上で遊技球の発射が許可され、この発射許可信号が払出制御装置92を介して発射制御基板108に送られることにより、遊技球の発射が可能な状態となる。
【0205】
また、主制御CPU72は、賞球払出処理において、演出制御装置124に対して賞球個数の内容を伝達する賞球内容コマンドを出力する。第1可変入賞装置30又は第2可変入賞装置31に対応する第1カウントスイッチ84又は第2カウントスイッチ85から入賞検出信号が入力された場合、第1利益(遊技球15個分)に対応する賞球内容コマンドを生成する。また、普通入賞口24に対応する第2入賞口スイッチ81から入賞検出信号が入力された場合、第2利益(遊技球10個分)に対応する賞球内容コマンドを生成する。賞球内容コマンドは、演出コマンド送信処理において演出制御装置124に送信される。
【0206】
〔賞球数及び獲得遊技球数について〕
第1特別図柄の始動口の賞球数及び第2特別図柄の始動口の賞球数は、それぞれ1個以上の規定数に設定されている。また、第1特別図柄の始動口と第2特別図柄の始動口とでは、賞球数を異ならせてもよい。さらに、特別図柄の当選確率や、総獲得遊技球数の期待値(初当りから時間短縮状態が終了するまでの一連の期間に得られる平均出球数)に基づいて、最低賞球数を設定してもよい。さらにまた、特別図柄の当選確率、総獲得遊技球数の期待値、大入賞口の開放回数、大入賞口の開放時間、大入賞口の最大入賞数、大入賞口の賞球数が所定の条件を満たした場合、1回の大当りによる獲得遊技球数が最大の獲得遊技球数の1/4未満となる大当りを設定してもよい。
【0207】
ステップS226:主制御CPU72は、発射位置指定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、先ず発射位置指定フラグを前回発射位置指定フラグにセットしてから発射位置指定フラグをクリアする。その上で、主制御CPU72は、可変入賞装置が作動中であるか又は時間短縮機能が作動中であれば発射位置指定フラグをONにし、さらに発射位置指定フラグと前回発射位置指定フラグが一致しなければ発射位置指定コマンドを生成する。生成された発射位置指定コマンドは、メインループ内で実行される演出コマンド送信処理(図8中のステップS142)において演出制御装置124に送信される。
【0208】
ステップS227:主制御CPU72は、セキュリティ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種の入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)に基づいて、不正な入賞が発生したか否かの判定や、過度な入賞が発生しているか否かの判定を行う。また、主制御CPU72は、図示しない磁気検出センサや振動検出センサ、電波検出センサ等からの入力信号に基づいて不正行為の監視を行う。そして、主制御CPU72は、このようなエラーが発生していると判定した場合、エラーコマンドを生成する。なお、主制御CPU72は、エラーに対応した対応処理を実行することができる。対応処理は、例えば、不正入賞による入賞検出信号のビットをONからOFFに書き換える処理や、警告音を発生させる処理、遊技停止等の処理である。主制御CPU72は、エラーを検出した場合、各種エラーに対応するエラーコマンドを演出制御装置に送信する。エラーには、不正等のエラーだけでなく、遊技機の状態(設定変更等の状態)が含まれることもある。
【0209】
ステップS228:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに対して外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)をポート出力要求バッファに格納する。
【0210】
なお、本実施形態では、各種の外部情報信号のうち、例えば大当り情報として「大当り1」~「大当り5」を外部に出力することで、パチンコ機1に接続された外部の電子機器(データ表示器やホールコンピュータ)に対して多様な大当り情報を提供することができる(外部情報信号出力手段)。すなわち、大当り情報を複数の「大当り1」~「大当り5」に分けて出力することで、これらの組み合わせから大当りの種別(当選種類)を図示しないホールコンピュータで集計・管理したり、内部的な確率状態(低確率状態又は高確率状態)や図柄変動時間の短縮状態の変化を認識したり、非当選以外であっても「大当り」に分類されない小当り(条件装置が作動しない当り)の発生を集計・管理したりすることが可能となる。また、大当り情報に基づき、例えば図示しないデータ表示装置によりパチンコ機1の台ごとに過去数営業日以内の大当り発生回数を計数及び表示したり、台ごとに現在大当り中であるか否かを認識したり、あるいは台ごとに現在図柄変動時間の短縮状態であるか否かを認識したりすることができる。この外部情報処理において、主制御CPU72は「大当り1」~「大当り5」のそれぞれの出力状態(ON又はOFFのセット)を詳細に制御する。
【0211】
ステップS230:また、主制御CPU72は、試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、普通図柄遊技管理状態、特別図柄遊技管理状態、発射位置指定、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中)を表す各種の試験信号を生成し、これらをポート出力要求バッファに格納する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
【0212】
ステップS232:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を管理する上で必要となる処理を行う。具体的には、先の特別図柄遊技処理(ステップS216)や普通図柄遊技処理(ステップS218)において決定された図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等に対応する態様で各ランプを点灯させるための駆動信号を、バイトデータとして各コモン用のポート出力要求バッファに格納する。
【0213】
なお、ここで各コモン用のポート出力要求バッファに格納されたバイトデータは、タイマ割込処理が発生する毎にダイナミックポート出力処理(ステップS204)において1コモンずつ順繰りに出力ポートに格納されてポート出力される。例えば、次回に実行されるタイマ割込処理ではコモン1用として格納されたバイトデータがポート出力され、次々回に実行されるタイマ割込処理ではコモン2用として格納されたバイトデータがポート出力される、という具合に各コモン用のポート出力要求バッファに格納されたバイトデータが1つずつ順番に処理されていく。これにより、所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)を構成する各ランプがコモン単位で順繰りに駆動され、ダイナミック点灯方式により点灯制御されることになる。
【0214】
ステップS234:また、主制御CPU72は、ソレノイド出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、ポート出力要求バッファに格納されている普通電動役物ソレノイド88、第1大入賞口ソレノイド90、第2大入賞口ソレノイド97及び確変領域用ソレノイド99の各駆動信号、試験信号等を合わせてポート出力要求バッファに格納する。
【0215】
ステップS236:主制御CPU72は、ポート出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は各出力バッファ(ポート出力要求バッファ)に値が格納されているかを確認し、値が格納されている場合はポート出力する。例えば、前ステップS234でポート出力要求バッファに格納された各ソレノイド88,90,97,99の各駆動信号をポート出力する。この場合、各駆動信号が対応する各ソレノイド88,90,97,99に送信され、各ソレノイドに駆動信号に応じた動作をさせることが可能となる。
【0216】
ステップS238:制御CPU72は、ステップS200で退避させたHL,DE,BC,AFレジスタの値を各レジスタに復帰させ、タイマ割込処理を終了してCPU初期化処理のメインループ(図8)に復帰する。
【0217】
〔演出画像の例〕
次に、パチンコ機1において実際に液晶表示器42に表示される演出画像について、いくつかの例を挙げて説明する。以上のように、パチンコ機1において大当りの内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(変動時間)を決定し、第1特別図柄や第2特別図柄による変動表示が行われる(図柄表示手段)。ただし、第1特別図柄や第2特別図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
【0218】
演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは液晶表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示される(図1参照)。各演出図柄は、例えば数字の「1」~「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている。ここで、左演出図柄、中演出図柄、及び右演出図柄は、いずれも数字が「9」~「1」の降順に並んだ図柄列を構成している。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。
【0219】
図10は、特別図柄の変動表示及び停止表示に対応させた演出画像の例を示す連続図である。なお、ここでは非当選(はずれ)時の特別図柄の変動について、演出図柄を用いて行われる変動表示演出と停止表示演出(結果表示演出)の一例を表している。この変動表示演出は、特別図柄(ここでは第1特別図柄とするが、第2特別図柄でもよい。)が変動表示を開始してから、停止表示するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また、停止表示演出は、特別図柄が停止表示されたことと、そのときの内部抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動1回ごとの変動表示演出と停止表示演出の基本的な流れについて説明する。
【0220】
〔変動表示前〕
図10中(A):例えば、第1特別図柄が変動を開始する前の状態(デモ演出中でない状態)で、液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が大きく表示されている。このとき第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示に合わせて、演出図柄も停止表示された状態にある。
【0221】
〔記憶表示演出〕
また、液晶表示器42の画面下部の変動前表示領域X1には、第1特別図柄及び第2特別図柄それぞれの作動記憶数を表すマーカ(図中に参照符号M1,M2を付す)が表示されている。これらマーカM1,M2は、それぞれの表示個数が第1特別図柄、第2特別図柄の作動記憶数(第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35aの表示数)を表しており、遊技中の作動記憶数の変化に連動して表示個数も増減する。
【0222】
また、マーカM1,M2は、視覚的な判別を容易にするため第1特別図柄に対応するマーカM1が例えば円(○)の図形で表示され、第2特別図柄に対応するマーカM2が例えばハートの図形で表示されている。図示の例では、マーカM1が4つとも点灯表示されることで第1特別図柄の作動記憶数が4個であることを表し、マーカM2が全て非表示(破線で示す)となっていることで第2特別図柄の作動記憶数が0個であることを表している(記憶表示演出)。
【0223】
また、演出図柄の変動表示中、例えば液晶表示器42の画面右上には第4図柄(図中に参照符号Z1,Z2を付す)が表示されている。この第4図柄Z1,Z2は、左・中・右演出図柄に続く「第4の演出図柄」であり、演出図柄の変動表示中はこれに同期して変動表示されている。なお、第4図柄Z1,Z2は、単純なマーク(例えば「□」の図形)に色彩を付しただけのものであり、例えばその表示色を変化させることで変動表示を表現することができる。第4図柄Z1は、第1特別図柄に対応しており、第4図柄Z2は、第2特別図柄に対応している。
【0224】
また、第4図柄Z1,Z2については、はずれに対応する態様(例えば白表示色)で停止表示されている。これは、停止表示演出が正しく行われており、パチンコ機1が正常に動作しているということを客観的に明らかにするためのものである。したがって、「はずれ」ではなく、実際に内部抽選の結果が「6ラウンド大当り」や「8ラウンド大当り」、「10ラウンド大当り」であれば、それらに対応する態様(例えば青表示色や赤表示色等)で第4図柄Z1,Z2は停止表示される。
【0225】
〔変動表示演出開始〕
図10中(B):例えば第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。すなわち、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールする(流れる)ようにして変動表示演出が開始される。また、マーカM1,M2は、変動開始前は、液晶表示器42の下方部分における帯状部分の変動前表示領域X1に表示されているが、変動開始後は、液晶表示器42の左下部分に表示されている台座画像による変動中表示領域X2に移動して、特別図柄(演出図柄)の変動が停止表示されるまで表示され続ける(記憶画像表示維持演出)。なお、図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また、変動表示中、個々の演出図柄が透けた状態で表示(透過表示)されることにより、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる画像(背景画像)が視認しやすい状態で表示されている。
【0226】
この場合の背景画像は、例えば浴衣を着こなした女性キャラクターが長椅子に腰掛け、夕涼みでもするかのようにリラックスしている風景を表現したものである。このような背景画像は、演出上での滞在モードが例えば「通常モード」であることを表現している。本実施形態において「通常モード」は、時間短縮機能が非作動であり、また、確率変動機能も非作動である通常状態に対応するものとする。この他にも演出上で各種のモードが設けられており、モードごとに風景や情景の異なる背景画像が用意されている(状態表示演出実行手段)。これらモードの違いは、内部的な「時間短縮状態」に対応するものであったり、「高確率状態」に対応するものであったりする。ここでは特に図示していないが、この後、例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる態様であってもよい。
【0227】
また、演出図柄の変動表示中、液晶表示器42の画面右上では第4図柄Z1が変動表示されており、第4図柄Z1は、その表示色を変化させることで変動表示を表現している。
【0228】
〔左図柄停止〕
図10中(C):例えば、ある程度の時間(変動時間の半分程度)が経過すると、最初に左演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の左側位置に数字の「8」を表す演出図柄が停止したことを表している。なお、ここでは背景画像の図示を省略している(これ以降も同様)。
【0229】
〔作動記憶数減少時の演出例〕
ここで、先の図10中(B)に示されているように、変動開始に伴って第1特別図柄の作動記憶数が1個分減少するため、それに連動してマーカM1の表示個数が1個分減少されている。例えば、それまでに作動記憶数が4個あったとすると、マーカM1において最も以前(古い)の記憶数表示が1個だけ変動中表示領域X2に移動され、内部抽選によって消費される演出が合わせて行われる。これにより、第1特別図柄に関して作動記憶数が消費されたということを演出上でも遊技者に教示することができる。
【0230】
そして、図10中(C)の例においては、記憶順で先頭にあったマーカM1が変動中表示領域X2に移動することにより、変動前表示領域X1での表示が残り3個になったため、画面上に残った3つのマーカM1がそれぞれ1個分ずつ一方向(ここでは左方向)へずれていく演出が行われている。これにより、作動記憶数の変化の前後関係を正確に演出上で表現するとともに、遊技者に対して「作動記憶が消費されて1つ減った」ということや「作動記憶が消費されて特別図柄が変動中である」ということを直感的に分かりやすく教示することができる。
【0231】
〔右演出図柄停止〕
図10中(D):左演出図柄に続いて、その後に右演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中側位置に数字の「3」を表す演出図柄が停止したことを表している。この時点で既にリーチ状態が発生しないことは確定しているので、今回の変動が非リーチ(通常)変動であるということが見た目上でほとんど明らかとなっている。なお、ここではすべりパターン等によるリーチ変動を除くものとする。「すべりパターン」とは、例えば一旦は数字の「7」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するというものである。あるいは、一旦は数字の「9」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が逆向きに1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するパターンもある。また、その他にも例えば「5」等の全くかけ離れた数字を表す演出図柄が一旦停止した後、画面上にキャラクターが出現して右演出図柄列を再変動させると、数字の「8」を表す演出図柄が停止してリーチに発展するといったパターンもある。
【0232】
〔停止表示演出〕
図10中(E):第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。今回の内部抽選の結果が非当選であって、第1特別図柄が非当選(はずれ)の態様で停止表示される場合、演出図柄も同様に非当選(はずれ)の態様で停止表示演出が行われる。すなわち、図示の例では、画面の中段位置に数字の「1」を表す演出図柄が停止したことを表しており、この場合、演出図柄の組み合わせは「8」-「1」-「3」のはずれ目であるため、今回の変動は通常の「はずれ」に該当したことが演出上で表現されている。このとき、第4図柄Z1は、はずれに対応する態様(例えば白表示色)で停止表示される。
【0233】
また、停止表示演出が行われると、変動中表示領域X2に移動して表示を継続していたマーカM1も非表示となる。したがって、遊技者に対して「特別図柄の変動が終了した」ということを直感的に分かりやすく教示することができる。
【0234】
以上は、1回の変動ごとに演出図柄を用いて行われる変動表示演出と停止表示演出(非当選時)の一例である。このような演出を通じて、遊技者に当選に対する期待感を抱かせるとともに、最終的に内部抽選の結果を演出上で明確に教示することができる。
【0235】
また、上述した例は非当選時についてのものであるが、大当り(当選)時には変動表示演出中にリーチ演出が実行された後、停止表示演出において演出図柄が大当りの態様で停止表示される。このとき演出図柄の停止表示態様は、基本的には主制御CPU72によって内部的に選択された当選図柄(第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の停止表示態様)に対応させて選択される。
【0236】
〔大当り時の演出例〕
次に、大当り(当選)時の演出例を説明する。
図11は、特別図柄の変動表示中に実行されるスーパーリーチ演出の流れを示す連続図である。スーパーリーチ演出は、中程度の変動時間(例えば50~100秒)が選択された変動表示に伴い実行されるリーチ演出である。
【0237】
なお、ここでは大当り時に実行されるスーパーリーチ演出の流れを説明するが、スーパーリーチ演出は大当り時だけでなくはずれ時においても割合は低いが実行される。また、ここではリーチ演出の他に、変動表示演出や停止表示演出及び予告演出が含まれるものとする。その他にも、変動表示演出中に実行される予告演出(リーチ発生前予告演出、リーチ発生後予告演出)の一例を説明する。
【0238】
以下のリーチ演出は、例えば第1特別図柄表示装置34において大当り時の変動パターンによる変動表示が行われた後、第1特別図柄が大当りの態様(例えば7セグメントLEDの「己」,「ヨ」,「口」,「巳」,「F」,「E」,「L」,「Γ」等)で停止表示されるまでに実行される(リーチ演出実行手段)。なお、図11中、各演出図柄を数字のみに簡略化して示している。また、マーカM1,M2、第4図柄Z1,Z2、変動前表示領域X1及び変動中表示領域X2については図示を省略している(以下の図面でも同様)。以下、演出の流れに沿って説明する。
【0239】
〔変動表示演出〕
図11中(A):例えば、第1特別図柄の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(例えば上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。
【0240】
〔リーチ発生前予告演出(1段階目)〕
図11中(B):次に、変動表示演出の比較的初期において、キャラクターの絵柄画像(絵札)を用いた1段階目のリーチ発生前予告演出が行われる。このリーチ発生前予告演出は、予め定められた順序にしたがって1段階目から複数段階目(例えば2~5段階目)まで、段階的に態様の変化が進行していく予告演出である。このリーチ発生前予告演出で用いられる絵柄画像は、画面上で変動表示されている演出図柄の手前に位置し、例えば画面の左端からひょっこりと出現するようにして表示される(その他の出現の態様でもよい。)。なお、ここでいう「リーチ発生前予告」とは、いずれかの演出図柄が停止表示される前にリーチの可能性や大当りの可能性を予告するという意味である。このような「リーチ発生前予告演出」を実行することで、遊技者に対して「リーチに発展するかも知れない=大当りの可能性が高まる」という期待感を抱かせる効果が得られる。
【0241】
〔リーチ発生前予告演出(2段階目)〕
図11中(C):リーチ発生前予告演出の1段階目の態様が実行された後、続いてリーチ発生前予告演出の態様の変化が2段階目に進行する。ここでは2段階目のリーチ発生前予告演出として、先とは違うキャラクターの絵柄画像を用いた演出が行われている。具体的には、画面の右端から別の絵柄画像が追加で出現し、先に表示されていた絵柄画像の前面に重なって表示される。また、このとき表示される絵柄画像は、先に表示されていた絵柄画像よりもサイズが大きい。そして、絵柄画像で表現されたキャラクターが台詞(例えば「リーチになるよ」等)を発するという、音響出力による演出もあわせて行われる。
【0242】
このような2つ目の絵柄画像を用いたリーチ発生前予告演出(2段階目)は、先の図11中(B)で行われたリーチ発生前予告演出(1段階目)からさらに一歩進んだ発展型である。このように発展していく「リーチ発生前予告演出」の態様を称して、一般的に「ステップアップ予告」等と表現することがある。ここではリーチ発生前予告演出で2段階目の絵柄画像が出現する例を挙げているが、3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示される演出態様であってもよい。また、例えば3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示されるごとに、そのサイズが拡大されるものとしてもよい。なお、この段階でも演出図柄の変動表示は継続されている。いずれにしても、リーチ発生前予告演出の態様の変化をより多くの段階まで進行させることにより、今回の変動で大当りになる可能性(期待度)が高いことを遊技者に示唆することができる(例えば、5段階目まで進行すると最大の期待度を示唆する等。)。
【0243】
〔左演出図柄の停止〕
図11中(D):変動表示演出の中期にさしかかり、やがて左演出図柄の変動表示が停止される。なお、この時点で画面の左側位置に数字の「5」を表す演出図柄が停止している。
【0244】
〔リーチ状態の発生〕
図11中(E):そして左演出図柄に続き、例えば右演出図柄の変動表示が停止される。この時点で、画面の右側位置に数字の「5」を表す演出図柄が停止していることから、「5」-「変動中」-「5」のリーチ状態が発生している。そして画面上には、リーチ状態となる1本のラインを強調する画像が合わせて表示される。また、合わせて「リーチ!」等の音声を出力する演出が行われる。
【0245】
リーチ状態の発生後、当選時のリーチ演出が実行される(ただし、この時点では未だ当選の結果は表出されていない。)。リーチ演出では、テンパイした数字(ここでは「5」)に対応する演出図柄だけが画面上に表示され、それ以外は表示されなくなる。なお、このとき演出図柄が画面の四隅にそれぞれ縮小された状態で表示される場合もある。
【0246】
〔リーチ発生後予告演出(1回目)〕
図11中(F):リーチ状態が発生して暫くすると、例えばハートの図形を表す画像が群をなして画面上を斜めに通り過ぎていくリーチ発生後予告演出(1回目)が行われる。この場合、突然、画面上にハート群の画像が流れていくように表示されるため、これによって遊技者に対する視覚的な訴求力を高めることができる。このような視覚的に賑やかなリーチ予告発生後予告演出を実行することで、遊技者に対してさらに大きな期待感を抱かせる効果が得られる。
【0247】
〔リーチ演出の進行〕
図11中(G):1回目のリーチ発生後予告演出に続いて、例えば数字の「2」~「6」を表す画像が画面上で立体的な列を構成した状態で表示され、列の先頭(手前)から「2」、「3」、「4」・・・という順番に画面から数字の画像が消去されていく演出が行われる。このような演出もまた、数字の「5」が最後まで消去されずに残ると「大当り」であることを遊技者に示唆(暗示)したり、想起させたりする目的で行われる。また、数字の「4」まで消去されて「5」が画面手前に残ると「大当り」であり、そして数字の「5」も消去されてしまうと「はずれ」であることを意味する。なお、はずれの場合、数字の「5」が消去された後の画面上に例えば数字の「6」が表示される。したがって、この間、数字の「2」、「3」、「4」と順番に画像が消去されていくに連れて、遊技者の緊張感や期待感も高まっていくことになる。そして、実際に画面上で数字の「4」まで消去され、数字の「5」が画面上に残った状態で演出が進行すると、「大当り」の可能性が高まるため、そこで遊技者の緊張感も一気に高まる。
【0248】
〔リーチ発生後予告演出(2回目)〕
図11中(H):リーチ演出が終盤に近付いたところで、突然、画面上にキャラクターの画像が大写しに割って入るようにして表示され、そのキャラクターが何らかの台詞を発するという内容(又は、無言で微笑むという内容でもよい)のリーチ発生後予告演出(2回目)が行われる。この時点で例えばリーチ演出の内容は、「数字の「5」が消去されずに残れば、そのまま「5」-「5」-「5」の大当りの可能性が高まる」という展開である。したがって、このタイミングで大きくキャラクターの画像を出現させることにより、遊技者に対して「大当りになるかもしれない」という期待感を抱かせる効果が得られる。
【0249】
上記とは別のリーチ演出として、例えば「数字の「2」~「4」までが消去されてしまい、最後に数字の「5」が消去されずに残れば大当りになる」という展開もある。このようなタイミングでキャラクターの画像を出現させると、遊技者に対して「いよいよ大当りが近いかもしれない」という期待感を抱かせる効果が得られる。
【0250】
〔停止表示演出〕
図11中(I):そして、最後の中演出図柄が停止する。この例では、「5」を表す演出図柄を画面の中央に停止表示させることにより、遊技者に対して大当りであるということを伝達することができる。
【0251】
図11中(J):そして、例えば第1特別図柄の停止表示に略同期して、演出図柄としての停止表示演出が行われる。演出図柄の停止表示演出は、例えば左・中・右演出図柄をそれぞれ初期の大きさに復元した状態で行われる。このような停止表示演出を行うことで、最終的な当選種類が演出上で確定したことを遊技者に対して教示することができる。逆に言えば、演出上で不明確な停止表示演出を行うことにより、いずれの当選図柄で当選したのかということを遊技者に対して非開示としておくことができる。
【0252】
なお、内部抽選の結果が非当選であれば、今回の変動対象である第1特別図柄がはずれ図柄で停止表示されるため、演出図柄も同様にはずれの態様で停止表示演出が行われる。この場合、画面の中央には「5」以外の数字「4」や「6」を表示することで、残念ながら今回の変動では大当りにならなかったことを知らせる演出が行われる。なお、このような演出は「はずれリーチ演出」として実行されるものである。
【0253】
次に、操作情報を用いた演出例について3つの例を挙げて説明する。1つ目の演出例は、操作情報を蓄積し、蓄積した操作情報を演算して演出構築を行う(演出の内容を決定する)例である。2つ目の演出例は、操作情報を蓄積し、蓄積した操作情報を全て使用して演出構築を行う例である。3つ目の演出例は、操作情報を蓄積し、蓄積した操作情報の一部を使用して演出構築を行う例である。以下、順番に説明する。
【0254】
〔1つ目の演出例〕
図12及び図13は、音量調整演出の演出例を示す図である。音量調整演出は、デモ演出中(変動表示演出が実行されていない待機中)や変動表示演出中に実行される。
図12中(A):音量調整は、音量調整スイッチ67を利用して行うことができる。現在の音量は、7つのマスを有する音量メータE1により表示され、0段階目(最小音量)から7段階目(最大音量)まで調整可能である。図示の例では、音量メータE1の全てのマスが無色であるため、音量は0段階目である。音量メータE1は、液晶表示器42の表示画面の右下の領域に表示される。
【0255】
図12中(B):ここで、遊技者が音量調整スイッチ67の上ボタン67aを1回押下したものとする。本来であれば、音量は1段階目に移行するが、本実施形態では、ボタンの押下に関する操作情報を一定時間経過後に通知するため、音量は1段階目に移行していない。
【0256】
図12中(C):ここで、再び、遊技者が音量調整スイッチ67の上ボタン67aを1回押下したものとする。本来であれば、音量は2段階目に移行するが、本実施形態では、ボタンの押下に関する操作情報を一定時間経過後に通知するため、音量は2段階目に移行していない。
【0257】
図13中(D):さらに、遊技者が音量調整スイッチ67の下ボタン67bを1回押下したものとする。本来であれば、音量は1段階目に移行するが、本実施形態では、ボタンの押下に関する操作情報を一定時間経過後に通知するため、音量は1段階目に移行していない。
【0258】
図13中(E):ここで、一定時間が経過したものとする。この場合、ボタンの押下に関する操作情報が、入力制御部228から演出制御部210に通知される。演出制御部210では、上ボタン67aの2回分の押下と、下ボタン67bの1回分の押下に関する演算が実行され、結果として、上ボタン67aの1回分の押下が行われたと判断する。これにより、音量メータE1の一番下のマスが有色となり、音量が1段階目に移行したことが遊技者に伝達される。
なお、特に図示していないが、液晶画面の表示だけでなく、実際の音量も1段階目に移行する。また、音量調整と同様に、輝度調整に関しても輝度調整スイッチ68を用いて調整することができる。
【0259】
図12中(B)~図13中(D)については、ボタンを押下しても演出上の反応がないようにも見えるが、一定時間に関しては液晶表示器42の画像更新周期に応じた時間(例えば、16ms=60FPSの場合の1フレームの表示時間(1/60秒))に設定しているため、演出が遅延する問題は生じない。また、一定時間が16msに設定されていると、一定時間内のボタンの押下回数の限界は2、3回となるが、一定時間については遊技の仕様に応じて自由に変更可能であることから、一定時間内に3回以上の押下が可能になることもある。
【0260】
〔2つ目の演出例〕
図14及び図15は、バトル演出の演出例を示す図である。バトル演出は、変動表示演出中の予告演出として実行することができ、敵キャラクターを倒すことができるか否かによって当選の期待度を示唆することができる。
図14中(A):バトル演出は、プッシュボタン64を利用して実行される。図示の例では、敵キャラクターE2が表示されている。敵キャラクターE2は、液晶表示器42の表示画面の中央に表示される。
【0261】
図14中(B):ここで、遊技者がプッシュボタン64を1回押下したものとする。本来であれば、敵キャラクターE2の周囲にエフェクト(攻撃の残像)が表示されるが、本実施形態では、ボタンの押下に関する操作情報を一定時間経過後に通知するため、エフェクトは表示されない。
【0262】
図14中(C):ここで、再び、遊技者がプッシュボタン64を1回押下したものとする。本来であれば、敵キャラクターE2の周囲にエフェクトが表示されるが、本実施形態では、ボタンの押下に関する操作情報を一定時間経過後に通知するため、エフェクトは表示されない。
【0263】
図15中(D):さらに、遊技者がプッシュボタン64を1回押下したものとする。本来であれば、敵キャラクターE2の周囲にエフェクトが表示されるが、本実施形態では、ボタンの押下に関する操作情報を一定時間経過後に通知するため、エフェクトは表示されない。
【0264】
図15中(E):ここで、一定時間が経過したものとする。この場合、ボタンの押下に関する情報が、入力制御部228から演出制御部210に通知され、演出制御部210では、3回分のボタンの押下が行われたと判断する。これにより、3回分の押下に対応する3個のエフェクトE3が、敵キャラクターE2の周囲に表示される。
【0265】
図14中(B)~図15中(D)については、ボタンを押下しても演出上の反応がないようにも見えるが、一定時間に関しては液晶表示器42の画像更新周期に応じた時間に設定しているため、演出が遅延する問題は生じない。
【0266】
〔3つ目の演出例〕
図16及び図17は、宝箱開放演出の演出例を示す図である。宝箱開放演出は、変動表示演出中の予告演出として実行することができ、宝箱の中身によって当選の期待度を示唆することができる。
図16中(A):宝箱開放演出は、プッシュボタン64を利用して実行される。図示の例では、宝箱E4が表示されている。宝箱E4は、液晶表示器42の表示画面の中央に表示される。
【0267】
図16中(B):ここで、遊技者がプッシュボタン64を1回押下したものとする。本来であれば、宝箱E4が開放する演出が実行されるが、本実施形態では、ボタンの押下に関する操作情報を一定時間経過後に通知するため、宝箱E4は開放しない。
【0268】
図16中(C):ここで、再び、遊技者がプッシュボタン64を1回押下したものとする。本来であれば、宝箱E4が開放する演出が実行されるが、本実施形態では、ボタンの押下に関する操作情報を一定時間経過後に通知するため、宝箱E4は開放しない。
【0269】
図17中(D):さらに、遊技者がプッシュボタン64を1回押下したものとする。本来であれば、宝箱E4が開放する演出が実行されるが、本実施形態では、ボタンの押下に関する操作情報を一定時間経過後に通知するため、宝箱E4は開放しない。
【0270】
図17中(E):ここで、一定時間が経過したものとする。この場合、ボタンの押下に関する操作情報が、入力制御部228から演出制御部210に通知される。ここでは、3回分のボタンの押下が行われたが、演出制御部210では、ボタンの押下が少なくとも1回行われたと判断する。これにより、3回分の押下に関する情報が通知されるが、宝箱E4は1回だけ開放する。
【0271】
図16中(B)~図17中(D)については、ボタンを押下しても演出上の反応がないようにも見えるが、一定時間に関しては液晶表示器42の画像更新周期に応じた時間に設定しているため、演出が遅延する問題は生じない。
【0272】
次に、以上の演出を具体的に実現するための制御手法の例について説明する。上述した各演出は、以下の制御処理を通じて制御されている。
【0273】
図18は、操作情報管理処理の手順例を示すフローチャートである。
この操作情報管理処理は、入力制御部228が実行するメインループの処理内に組み込まれており、所定の周期(例えば数十μs~数ms周期)ごとに1回呼び出される。
【0274】
ステップS900:入力制御部228は、いずれかの操作部材のオン信号(オンエッジ)が検出されたか否かを確認する処理を実行する。いずれかの操作部材とは、ハンドルレバー62やプッシュボタン64、方向キー66(上下左右のいずれかのキースイッチ)、音量調整スイッチ67(上ボタン又は下ボタン)、輝度調整スイッチ68(上ボタン又は下ボタン)のいずれかである。
【0275】
その結果、いずれかの操作部材のオン信号が検出されたことを確認した場合(Yes)、入力制御部228は、ステップS901を実行する。一方、いずれかの操作部材のオン信号が検出されたことを確認できない場合(No)、入力制御部228は、ステップS902を実行する。
【0276】
ステップS901:入力制御部228は、オン信号を検出した操作部材のオン回数情報をインクリメント(+1)する処理を実行する。例えば、プッシュボタン64のオン信号を検出した場合、プッシュボタン64のオン回数情報をインクリメントする。
【0277】
ステップS902:入力制御部228は、いずれかの操作部材のオフ信号(オフエッジ)が検出されたか否かを確認する処理を実行する。
その結果、いずれかの操作部材のオフ信号が検出されたことを確認した場合(Yes)、入力制御部228は、ステップS903を実行する。一方、いずれかの操作部材のオフ信号が検出されたことを確認できない場合(No)、入力制御部228は、ステップS904を実行する。
【0278】
ステップS903:入力制御部228は、オフ信号を検出した入力装置のオフ回数情報をインクリメント(+1)する処理を実行する。例えば、プッシュボタン64のオフ信号を検出した場合、プッシュボタン64のオフ回数情報をインクリメントする。
【0279】
ステップS904:入力制御部228は、一定時間が経過したか否かを確認する処理を実行する。一定時間は、液晶表示器の仕様に応じた数値とすることが好ましい。一定時間は、例えば、4ms(16msの4分の1;240FPSに対応)~32ms(16msの2倍;60FPSの2フレーム分の表示時間)の範囲とすることが好ましく、16ms(≒16.666;60FPSの1フレーム分の表示時間)とすることがより好ましい。液晶表示器は任意のフレームレート(30FPS~240FPS)で画像表示が可能である。
【0280】
その結果、一定時間が経過したことを確認した場合(Yes)、入力制御部228は、ステップS905を実行する。一方、一定時間が経過したことを確認できない場合(No)、入力制御部228は、呼び出し元に復帰する。
【0281】
ステップS905:入力制御部228は、オン回数情報又はオフ回数情報が1以上であるか否かを確認する処理を実行する。具体的には、入力制御部228は、いずれかの操作部材のオン回数情報が1以上であるか、いずれかの操作部材のオフ回数情報が1以上である場合、オン回数情報又はオフ回数情報が1以上であると判断することができる。
【0282】
その結果、オン回数情報又はオフ回数情報が1以上であることを確認した場合(Yes)、入力制御部228は、ステップS906を実行する。一方、オン回数情報又はオフ回数情報が1以上であることを確認できない場合(No)、入力制御部228は、呼び出し元に復帰する。
【0283】
ステップS906:入力制御部228は、現在情報を取得する処理を実行する。現在情報(状態情報)は、オン回数情報又はオフ回数情報が1以上である操作部材が操作中(オン)であるか非操作中(オフ)であるかの状態を示す情報である。現在情報は、オン回数情報又はオフ回数情報が1以上である操作部材の現在情報である。
【0284】
ステップS907:入力制御部228は、演出制御部210に通知するための操作情報を生成する処理を実行する。この操作情報は、オン回数情報、オフ回数情報、現在情報に基づいて生成される。
ステップS908:入力制御部228は、演出制御部210に対して操作情報を通知する処理を実行する。
ステップS909:入力制御部228は、オン回数情報、オフ回数情報、現在情報をリセットする処理を実行する。
以上の処理を終えると、入力制御部228は、呼び出し元に復帰する。
【0285】
〔演出制御処理〕
演出制御装置124は、上述したように演出制御プロセッサとしての機能と演出再生プロセッサとしての機能を有しており、各々に演出制御CPU126の異なるリソースを割り当てることによりこれら2つの機能を実現している。演出制御プロセッサとしての演出制御CPU126は、主制御装置70から送信される演出コマンドを受信し、この内容に応じて演出の再生を指示する各種の制御テーブルを設定する。また、演出再生プロセッサとしての演出制御CPU126は、演出制御プロセッサにより設定された制御テーブルを解析し、その内容に基づき各デバイスに向けてより具体的な指示を行うことにより各デバイスの動作(液晶表示器42による画面表示、スピーカ54,55,56,58による音声出力、各種ランプ46~52、盤面ランプ53等による発光、可動体モータ57による各種可動体の変位等)を制御し、パチンコ機1での演出再生を実現させる。
【0286】
そこで、説明の便宜のため、これ以降の説明においては、演出制御CPU126が演出制御プロセッサとして機能する場合の動作主体を「演出制御部210」と表現し、演出制御CPU126が演出表示プロセッサとして機能する場合の動作主体を内容に応じて適宜「表示制御部220」、「音声制御部222」、「ランプ制御部224」又は「モータ制御部226」と表現することとする。
【0287】
図19は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば数十μs~数ms周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
【0288】
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、操作情報取得処理(ステップS401)、演出構築処理(ステップS402)、表示出力処理(ステップS404)、入力制御処理(ステップS405)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
【0289】
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御部210は主制御CPU72から送信される演出コマンドを受信する。また、演出制御部210は受信した演出コマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出コマンドには、例えば、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、確定コマンド、状態指定コマンド、各種のエラーコマンド、変動パターン先判定コマンド、確変領域通過コマンド、賞球内容コマンド、設定関連終了指定コマンド等がある。
【0290】
ステップS401:操作情報取得処理において、演出制御部210は、入力制御部228から通知された操作情報を取得する処理を実行する。
【0291】
ステップS402:演出構築処理(演出内容決定処理)において、演出制御部210は、エラー演出管理処理、作動記憶演出管理処理、演出図柄管理処理等を実行する。また、演出構築処理には、後述する音量調整演出管理処理、バトル演出管理処理、宝箱開放演出管理処理が組み込まれている。
【0292】
エラー演出管理処理では、演出制御CPU126は各種のエラーコマンドに基づいて、エラー演出を実行する演出パターンを選択する処理を実行する(エラー演出実行手段)。
【0293】
作動記憶演出管理処理では、演出制御部210はマーカM1,M2を用いた記憶表示演出や、マーカM1,M2を用いた先読み予告演出の実行を制御する。
【0294】
演出図柄管理処理では、演出制御部210は演出図柄を用いた変動表示演出やリーチ演出、停止表示演出の内容を制御したり、第1可変入賞装置30又は第2可変入賞装置31の開閉動作時の演出内容を制御したりする(演出実行手段)。また、この処理において、演出制御部210は各種予告演出(リーチ発生前予告演出、リーチ発生後予告演出等)の演出パターンを選択する。さらに、この処理において、演出制御部210は、遊技の進行状況や変動パターン、変動表示演出、リーチ演出、予告演出の選択状況等に応じて音量調整演出、バトル演出、宝箱開放演出等の演出パターンを選択する。
【0295】
ステップS404:表示出力処理では、先ず演出制御部210が、表示制御部220に対して演出内容(例えば、第1特別図柄及び第2特別図柄それぞれの作動記憶数、作動記憶演出パターン番号、先読み予告演出パターン番号、変動演出パターン番号、変動時予告演出番号、背景パターン番号、当該保留消去等)を指示するメッセージや制御テーブルを設定する。これを受けて表示制御部220は、設定されたメッセージや制御テーブルの内容に基づいてVDP152に対し具体的な描画の指示を行い、液晶表示器42による表示動作を制御する。
【0296】
ステップS405:入力制御処理では、先ず演出制御部210が、演出の進行に伴い遊技者による操作を要求する場面に同期させて、入力制御部228に対して、いずれかの操作部材が遊技者により指定した態様で操作されるか否かの検出を指示する。より具体的には、演出制御部210は、制御ROM180に予め定義されているいずれかの入力制御テーブルを設定する。これを受けて入力制御部228は、設定された入力制御テーブルの内容を解析し、これに基づいて、いずれかの操作部材に対する操作の受付を可能とする期間を設定する。なお、入力制御部228は、操作部材の操作情報を取得可能であり、操作情報を演出制御部210に通知する。演出制御部210に通知された操作情報は、演出構築処理において用いられる。
【0297】
ステップS406:ランプ駆動処理では、先ず演出制御部210が、ランプ制御部224に対して演出内容を指示する制御テーブルを設定する。これを受けてランプ制御部224は、設定された制御テーブルの内容に基づいてLEDドライバ198を中継しドライバIC132に対して具体的な駆動信号を出力し、各種ランプ46~52、盤面ランプ53、操作ユニット60の各部位に内蔵された光源等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)させる。
【0298】
ステップS408:音響駆動処理では、先ず演出制御部210が、音声制御部222に対して演出内容を指示する制御テーブルを設定する。これを受けて音声制御部222は、設定された制御テーブルの内容に基づいて音声IC134に対し具体的な出力内容の指示を行い、スピーカ54,55,56,58から演出内容に応じた音(効果音、BGM等)を出力させる。
【0299】
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御部210はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数や通常の背景チェンジ抽選(演出抽選)に用いられる乱数等がある。
【0300】
ステップS412:その他の処理では、例えば、先ず演出制御部210が、モータ制御部226に対して演出内容を指示する制御テーブルを設定する。これを受けてモータ制御部226は、設定された制御テーブルの内容に基づいてSMC199に対し具体的な制御内容の指示を行う。さらにSMC199は、モータ制御部226からの指示に基づいて可動体40fの作動パターンを作成し、これに応じた制御信号をドライバICに出力し、可動体40fを駆動させる。可動体40fは可動体モータ57を駆動源として動作し、液晶表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行う。
【0301】
以上の演出制御処理を通じて、演出制御部210はパチンコ機1における演出内容を統括的に制御することができる。
【0302】
図20は、音量調整演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。音量調整演出管理処理は、演出構築処理に含まれており、音量調整演出の実行中に呼び出される。
ステップS920:演出制御部210は、音量調整スイッチの上ボタン又は下ボタンの操作情報を取得したか否かを確認する処理を実行する。
その結果、音量調整スイッチの上ボタン又は下ボタンの操作情報を取得したことを確認した場合(Yes)、演出制御部210は、ステップS921を実行する。一方、音量調整スイッチの上ボタン又は下ボタンの操作情報を取得したことを確認できない場合(No)、演出制御部210は、呼び出し元に復帰する。
【0303】
ステップS921:演出制御部210は、「新音量=旧音量+上ボタンのオン回数情報-下ボタンのオン回数情報」の演算式に基づいて、新音量を算出する処理を実行する。例えば、旧音量が0であり、上ボタンのオン回数情報が2であり、下ボタンのオン回数情報が1である場合、新音量は1(=0+2-1)となる。
【0304】
ステップS922:演出制御部210は、新音量表示処理を実行する。例えば、演出制御部210は、新音量が0である場合には音量メータE1の全てのマスを無色で表示する処理を実行し、新音量が1である場合には音量メータE1の一番下のマスを有色で表示する処理を実行し、新音量が2である場合には音量メータE1の下2つのマスを有色で表示する処理を実行する。なお、実際の音量の調整は、音響駆動処理において実行される。
以上の処理を終えると、演出制御部210は、呼び出し元に復帰する。
【0305】
図21は、バトル演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。バトル演出管理処理は、演出構築処理に含まれており、バトル演出の実行中に呼び出される。
ステップS930:演出制御部210は、プッシュボタンの操作情報を取得したか否かを確認する処理を実行する。
その結果、プッシュボタンの操作情報を取得したことを確認した場合(Yes)、演出制御部210は、ステップS931を実行する。一方、プッシュボタンの操作情報を取得したことを確認できない場合(No)、演出制御部210は、呼び出し元に復帰する。
【0306】
ステップS931:演出制御部210は、「エフェクト個数」に「プッシュボタンのオン回数情報」を格納する処理を実行する。
【0307】
ステップS932:演出制御部210は、エフェクト個数に基づくエフェクト表示処理を実行する。例えば、演出制御部210は、エフェクト個数が1である場合にはエフェクトE3を1個表示する処理を実行し、エフェクト個数が2である場合にはエフェクトE3を2個表示する処理を実行し、エフェクト個数が3である場合にはエフェクトE3を3個表示する処理を実行する。
以上の処理を終えると、演出制御部210は、呼び出し元に復帰する。
【0308】
図22は、宝箱開放演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。宝箱開放演出管理処理は、演出構築処理に含まれており、宝箱開放演出の実行中に呼び出される。
ステップS940:演出制御部210は、プッシュボタンの操作情報を取得したか否かを確認する処理を実行する。
その結果、プッシュボタンの操作情報を取得したことを確認した場合(Yes)、演出制御部210は、ステップS941を実行する。一方、プッシュボタンの操作情報を取得したことを確認できない場合(No)、演出制御部210は、呼び出し元に復帰する。
【0309】
ステップS941:演出制御部210は、プッシュボタンのオン回数情報が1以上であるか否かを確認する処理を実行する。
その結果、プッシュボタンのオン回数情報が1以上であることを確認した場合(Yes)、演出制御部210は、ステップS942を実行する。一方、プッシュボタンのオン回数情報が1以上であることを確認できない場合(No)、演出制御部210は、呼び出し元に復帰する。
【0310】
ステップS942:演出制御部210は、宝箱開放演出表示処理を実行する。具体的には、宝箱を開けて、その中にアイテムや文字情報を表示させる処理を実行する。このように、プッシュボタンが少なくとも1回押下されると、宝箱開放演出が1回実行されることになる。
以上の処理を終えると、演出制御部210は、呼び出し元に復帰する。
【0311】
図23は、操作情報の詳細を示す図である。
入力制御部228が演出制御部210に対して通知する累積した操作情報は、Bit0~Bit8までの9ビットの情報により構成されている。
Bit0~Bit3は、オン回数情報を示しており、0~15はオン回数を示している。
Bit4~Bit7は、オフ回数情報を示しており、0~15はオフ回数を示している。
Bit8は、現在情報を示しており、0が操作中を示しており、1が非操作中を示している。
【0312】
オン回数情報は、例えば、操作部材の操作開始に対応する演出に用いることができる。オフ回数情報は、例えば、操作部材の操作終了に対応する演出に用いることができる。現在情報は、例えば、操作部材の操作継続に対応する演出に用いることができる。
【0313】
このように、本実施形態の遊技機は、以下の構成を備えている。
(1)プッシュボタン64、方向キー66、音量調整スイッチ67、光量調整スイッチ68等の操作部材(操作手段)と、入力制御部228(第1制御部)と、演出制御部210(第2制御部)と、を備える遊技機である。
(2)操作部材は、所定の操作(1回押し、連打、長押し等)が可能である。
(3)入力制御部228は、操作部材の操作情報(オン信号やオフ信号)を取得可能である。入力制御部228は、取得した操作情報を累積し、累積した操作情報を一定時間(例えば、16ms)ごとに演出制御部210に通知する。すなわち、ハードウェア構成側の入力制御部228が、アプリケーション構成側の演出制御部210に対して、累積した操作情報を一定時間ごとに通知する(図18のステップS908)。
(4)演出制御部210は、入力制御部228から累積した操作情報を受け取り、累積した操作情報に基づいて演出の内容を決定可能である(図20のステップS922、図21のステップS932、図22のステップS942)。
【0314】
(5)入力制御部228が演出制御部210に対して通知する累積した操作情報には、操作部材の操作の開始回数を示すオン回数情報(開始回数情報)、操作部材の操作の終了回数を示すオフ回数情報(終了回数情報)、及び、操作部材が操作中であるか非操作中であるかの状態を示す現在情報(状態情報)が含まれている(図23)。
【0315】
(6)プッシュボタン64、方向キー66、音量調整スイッチ67、光量調整スイッチ68等といったように、操作部材は、複数ある。なお、操作部材には、ハンドルレバー62を含めるようにしてもよい。
(7)入力制御部228は、複数の操作部材ごとに取得した操作情報を個別に累積し、個別に累積した操作情報を、複数の操作部材で共通している一定時間ごとに演出制御部210に通知する(図18のステップS908)。例えば、プッシュボタンの操作情報と、音量調整スイッチの操作情報とは個別に累積するが、個別に累積した操作情報は、プッシュボタンと音量調整スイッチとで共通している一定時間ごとに同時期に通知する。
【0316】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)本実施形態によれば、入力制御部228は、累積した操作情報を一定時間ごとに演出制御部210に通知するため、通知に関する処理の発生頻度を低下させて処理負担を低下させることができる。
【0317】
(2)本実施形態によれば、累積した操作情報に、オン回数情報、オフ回数情報、現在情報を含ませることができるので、演出の内容を決定する演出制御部210側では、これらの多様な情報に基づいて多彩な演出の内容を決定することができる。
【0318】
(3)本実施形態によれば、操作部材が複数あっても、個別に累積した操作情報を複数の操作部材で共通している一定時間ごとに演出制御部210に通知するため、通知に関する処理の発生頻度をより一層低下させて処理負担を低下させることができる。
【0319】
(4)〔例示的な課題〕遊技機では演出ボタン(プッシュボタンなどの操作部材)の操作情報を基に各種演出の契機とする場合がある。ここで演出ボタンの操作毎に操作情報を演出構築処理へ通知すると、処理が頻繁に発生するので、処理が煩雑となってしまうという問題がある。
【0320】
〔例示的な課題解決のための具体的構成〕(i)演出ボタン(プッシュボタンなどの操作部材)と、演出ボタンが操作されたことを検出するためのサブ制御基板(演出制御装置)とを備える遊技機である。(ii)サブ制御基板内のプログラムでは、演出ボタンの操作毎に演出構築処理に対して操作情報を通知するのではなく、一定時間(例:16ms)内の演出ボタン操作回数を累積し、その一定時間経過毎に演出ボタンがn回操作されたという情報として演出構築処理に対して通知する(n=1以上)。(iii)一定時間の間、演出ボタンの操作が無かった(操作が検出されなかった)場合は、演出構築処理に対して通知を行わない。
【0321】
〔例示的な効果〕演出ボタンの操作からの反応は、ある程度遅延があっても問題にならないため、演出ボタンの操作情報は一定時間(例:16ms)毎に演出構築処理へ通知するようにしたことで、処理の発生頻度を低下させて処理負荷を低下させることができる。
【0322】
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。一実施形態で挙げた演出の態様や各種数値はあくまで例示であり、上述した内容に限定されるものではない。
【0323】
上述した実施形態では、確変領域を有する遊技機に本発明を適用する例で説明したが、確変領域を有しない遊技機に本発明を適用してもよい。また、いわゆる同時回し機に本発明を適用することも可能である。
【0324】
その他の演出例であげた画像はあくまで一例であり、これらは適宜に変形することができる。また、パチンコ機1の構造や盤面構成、具体的な数値等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能である。
【0325】
図24は、他の実施形態のパチンコ機の正面図である。また、図25は、他の実施形態のパチンコ機の背面図である。なお、以下の説明では、基本的には、上述した実施形態と同様の説明は省略しているが、重複して説明している箇所もある。また、図中の符号については、上述した実施形態と同一の符号を付している部分もあれば、異なる符号を付している部分もある。上述した実施形態と他の実施形態との大きな相違点は、他の実施形態のパチンコ機の前方上部に、異なる形状の装飾ユニットが取り付けられている点である。以下、他の実施形態のパチンコ機について説明する。
【0326】
パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、パチンコ機1の全体構成について説明する。
【0327】
〔全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7(プラ枠、遊技機枠)を備えている。遊技者に相対する正面からみて、その最も前面側には一体扉ユニット4が位置している。一体扉ユニット4の背面側(奥側)には内枠アセンブリ7が位置しており、内枠アセンブリ7の外側を囲むようにして外枠ユニット2が配置されている。
【0328】
外枠ユニット2は、木材及び金属材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。なお、縦長矩形状の外枠ユニット2において、上下の短辺に相当する部位には木材が用いられており、左右の長辺に相当する部位には金属材が用いられている。
【0329】
一体扉ユニット4は、その下部位置に受皿ユニット6が一体化された構造である。一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7は、外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0330】
パチンコ機1の正面からみて内枠アセンブリ7の右側縁部には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応して一体扉ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。外枠ユニット2に対して一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともに一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
【0331】
また、受皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動して内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
【0332】
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、内枠アセンブリ7は施錠されたままで一体扉ユニット4の施錠だけが解除され、一体扉ユニット4が開放可能となる。一体扉ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤ユニット8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。また、一体扉ユニット4を開放すると、受皿ユニット6も一緒に前面側へ開放される。
【0333】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域8a(遊技球が流下する遊技領域、盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0334】
〔球皿の構成〕
受皿ユニット6は、全体的に一体扉ユニット4から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また、受皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお、本実施形態のパチンコ機1はカードユニットに接続する機種であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
【0335】
受皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないカードユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、カードユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお、遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではカードユニットに接続する機種の例で説明しているが、パチンコ機1は現金機(カードユニットに接続しない機種)であってもよい。
【0336】
また、受皿ユニット6の上面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きボタン6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きレバー6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きボタン6dを例えば押し込み操作することで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また、遊技者は、下皿球抜きレバー6eを後方へ押し込むことで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
【0337】
受皿ユニット6の右下部には、ハンドルユニット16が設置されている。遊技者はこのハンドルユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤ユニット8の下縁部から左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。なお、遊技領域8a内の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0338】
〔枠前面の構成〕
一体扉ユニット4には、演出用の構成要素として左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49が設置されている。このうち左トップレンズユニット47にはガラス枠トップランプ46及び左側のガラス枠装飾ランプ48が組み込まれており、右上電飾ユニット49には右側のガラス枠装飾ランプ50が組み込まれている。その他にも一体扉ユニット4には、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49の下方にそれぞれ連なるようにして左右のガラス枠装飾ランプ52が設置されており、これらガラス枠装飾ランプ52は、一体扉ユニット4の左右縁部から受皿ユニット6の上側位置にまで回り込むようにして延びている。一体扉ユニット4においてガラス枠トップランプ46や左右のガラス枠装飾ランプ48,50,52等は、ガラスユニットを取り巻くようにして配置されている。
【0339】
上述した各種ランプ46,48,50,52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。また、一体扉ユニット4の上部において、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49にはそれぞれガラス枠上スピーカ54が組み込まれており、左右のガラス枠装飾ランプ52にはそれぞれガラス枠内スピーカ55が組み込まれている。一方、内枠アセンブリ7の右下位置(パチンコ機1の正面からみてハンドルユニット16の左上位置)には内枠スピーカ56が組み込まれており、また外枠ユニット2の左下位置には外枠スピーカ58が組み込まれている。これらスピーカ54,55,56,58は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0340】
また、受皿ユニット6の中央には、上皿6bから前面側上方へ突出するようにして操作ユニット60が設置されている。操作ユニット60は、その中央部に大きなプッシュボタン64を有しており、プッシュボタン64の左側にはハンドルレバー62を有している。操作ユニット60は、演出上で示される様々な場面で操作を受け付けることが可能である。演出上のある場面ではハンドルレバー62が遊技者によって手前側に引き込み操作されたり、別の場面ではプッシュボタン64が押し込み操作されたりする。遊技者は、各種の態様で操作ユニット60を操作することにより、演出内容(例えば液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出、大役中の昇格演出等)を発生させたりすることができる。
【0341】
また、プッシュボタン64の周囲には、リング状部65がプッシュボタン64を取り囲むようにして設置されている。リング状部65は、ハンドルレバー62やプッシュボタン64とは異なり、装飾用として設けられた部材であり、ハンドルレバー62の引き込み操作に連動して反時計回りに回転動作する。また、リング状部65は、周方向に一定の間隔で区切られてなる複数のセルを有している。これらのセルは、遊技者による操作を受け付けることはできないが、遊技者に対し操作方法を知らせる場面で有効活用される。
【0342】
遊技者に何らかの操作を要求する場合、操作ユニット60の操作方法を表す縮小版画像が液晶表示器42の画面に表示される。このとき、指定した操作を行うことが可能な時間(操作有効時間)を併せて遊技者に知らせるために、縮小版画像におけるリング状部65は各セルがあたかもランプであるかのように表現される。より具体的には、縮小版画像中のリング状部65は、操作可能な状態になると全てのセルが点灯しているように表され、残り時間の減少に伴いセルが1つずつ消灯していくように表され、残り時間がなくなると全てのセルが消灯したように表される。実際のリング状部65は光源を有しておらず、画面に表示された縮小版画像に表されたリング状部65のように点灯/消灯することはないが、縮小版画像中のリング状部65の点灯/消灯をこのようにして切り替えることにより、遊技者に対して操作の残り時間を感覚的に把握させることができる。
【0343】
さらに、プッシュボタン64は、遊技の進行過程で所定の契機が発生すると、上方に大きく突出する構造に構成されている。プッシュボタン64の突出時には、通常時の約3倍の高さまで飛び出す。プッシュボタン64はその内部に光源を有している。プッシュボタン64は、通常時は1色(例えば青色)又は多色に発光するが、突出時にはさらにカラフルに発光して非常な存在感を発揮することができる。このようなプッシュボタン64の動作により、この場面で要求されているボタンの押し込み操作が特別に重要なものであることを遊技者に認識させることができる。
【0344】
なお、本実施形態では、ハンドルレバー62及びプッシュボタン64は同じ操作ユニット60に搭載されているが、ハンドルレバー62とプッシュボタン64とがそれぞれ独立した部材として設けられていてもよい。
【0345】
その他に、受皿ユニット6の上面には、貸出操作部14に隣接して方向キー66が設置されている。方向キー66は上下左右の方向を示す4つのキースイッチを十字形状に配列したものであり、各方向別のキースイッチは独立して押し込み操作可能である。遊技者は演出上の様々な場面で方向キー66を押し込み操作することで、液晶表示器の画面上に表示されるカーソル等を任意に移動させることができる。
【0346】
〔装飾ユニット〕
パチンコ機1の前方上部には、装飾ユニット800が取り付けられている。装飾ユニット800は、所定の取り付け部材(ネジやフック等の機械的な機構)によってパチンコ機1に着脱可能である。なお、装飾ユニット800は、パチンコ機1から取り外し不能なものであってもよい。
装飾ユニット800(装飾物)は、箱型の部材であり、光を透過する透明又は半透明の部材により構成されている。装飾ユニット800は、所定の文字情報が表示された立方体形状の部材であり、後方の一体扉ユニット4に配置されたLED(例えば左トップレンズユニット47やガラス枠トップランプ46)が発光することにより発光する。
【0347】
〔裏側の構成〕
図25に示すように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。
【0348】
主制御基板ユニット170には、主制御装置が内蔵されており、主制御装置には、性能表示モニタ200が接続されている。性能表示モニタ200は、パチンコ機1を裏側から見て、主制御基板ユニット170の左上の領域に視認可能な態様で主制御装置に配置されており、4つの7セグメントLEDを備えている。4個の7セグメントLEDは左右方向に並べて配置されており、それぞれの7セグメントLEDは、10進数のアラビア数字を表示することができる7つのセグメントと、その右下に位置するドットセグメントとによって構成されている。性能表示モニタ200は、主制御基板ユニット170を覆っている透明ケースを通じて視認可能である。
【0349】
また、主制御装置には、RAMクリアスイッチ304及び設定キー用鍵穴306が設けられている。RAMクリアスイッチ304は、RAMクリア、すなわち主制御装置内に装備されているRAM(RWM)の初期化を行う際に用いられるスイッチであり、本実施形態においては、設定変更用のスイッチとしても兼用される。設定キー用鍵穴306は、パチンコ機1の遊技に関する設定を変更又は参照する上で必要とされる設定キーを差し込むための鍵穴である。
【0350】
RAMクリアスイッチ304は、主制御基板ユニット170を覆っている透明ケースに形成された貫通孔を通じて押下可能に設けられている。なお、RAMクリアスイッチ304は、透明ケース外に配置されていてもよい。また、設定キー用鍵穴306は、キーシリンダが透明ケースを貫通した状態(透明ケースがキーシリンダの周囲を囲んだ状態)で設けられている。したがって、透明ケースが封止されたままの状態で設定キーを差し込み、回転させることが可能である。
【0351】
なお、性能表示モニタ200やRAMクリアスイッチ304、設定キー用鍵穴306の配設位置は、あくまで一例であり、任意の位置に配置することができる。また、性能表示モニタ200やRAMクリアスイッチ304、設定キー用鍵穴306は、主制御装置の外側に設けられて主制御装置に接続される構成としてもよい。
【0352】
払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aは内枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受皿ユニット6に向けて案内する。
【0353】
また、外部端子板160は、パチンコ機1を外部の電子機器(例えばデータ表示装置、ホールコンピュータ等)に接続するためのものであり、この外部端子板160からは、パチンコ機1の遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)が外部の電子機器に向けて出力されるものとなっている。
【0354】
電源コード164は、例えば遊技場の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続されることで、パチンコ機1の動作に必要な電源(電力)を確保するものである。また、アース線166は、同じく島設備に設置されたアース端子に接続されることで、パチンコ機1のアース(接地)を確保するものである。
【0355】
図26は、他の実施形態の遊技盤ユニット8を単独で示す正面図である。遊技盤ユニット8は、ベースとなる遊技板8bを備えており、この遊技板8bの前面側に遊技領域8aが形成されている。遊技板8bは、例えば透明樹脂板で構成されており、遊技盤ユニット8が内枠アセンブリ7に固定された状態で、遊技板8bの前面はガラスユニットに平行となる。遊技板8bの前面には、略円形状に設置された発射レール(参照符号なし)の内側に遊技領域8aが形成されている。なお、発射レールは遊技板8bの左下隅位置から遊技板8bの右上隅位置まで時計回り方向に延びている。
【0356】
遊技領域8a内には、その中央位置に比較的大型の演出ユニット40が配置されており、この演出ユニット40を中心として遊技領域8aが左側部分、右側部分及び下部分に大きく分かれている。遊技領域8aの左側部分は、通常遊技状態(低確率非時間短縮状態)で使用される第1遊技領域(左打ち領域L)であり、遊技領域8aの右側部分は、特殊遊技状態(大当り遊技状態、小当り遊技状態、低確率時間短縮状態、高確率時間短縮状態等)で使用される第2遊技領域(右打ち領域R、特定の領域)である。なお、遊技領域8aの左側部分は、高確率非時間短縮状態(有利遊技状態)においても使用される。また、遊技領域8a内には、演出ユニット40の周辺に中始動入賞口26、始動ゲート20、普通入賞口22,24、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31等が分布して設置されている。
【0357】
このうち、中始動入賞口26は、遊技領域8aの下部分の中央に配置されている。始動ゲート20、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30及び第2可変入賞装置31は、遊技領域8aの右側部分に上からこの順番で配置されている。ここで、第2可変入賞装置31は、中始動入賞口26の右側(右上)に配置されており、第1可変入賞装置30は、第2可変入賞装置31の上側に配置されている。さらに、左側の3つの普通入賞口22は遊技領域8aの左側部分に配置されており、右側の1つの普通入賞口24(所定の入賞口)は第1可変入賞装置30の左下に配置されている。
【0358】
遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で中始動入賞口26、普通入賞口22,24に入球したり、始動ゲート20を通過したり、作動時の可変始動入賞装置28や開放動作時の第1可変入賞装置30、開放動作時の第2可変入賞装置31に入球したりする。ここで、遊技領域8aの左側領域を流下する遊技球は、主に中始動入賞口26に入球するか、普通入賞口22に入球する可能性がある。一方、遊技領域8aの右側領域を流下する遊技球は、主に始動ゲート20を通過するか、作動時の可変始動入賞装置28に入球するか、開放動作時の第1可変入賞装置30に入球するか、開放動作時の第2可変入賞装置31に入球するか、普通入賞口24に入球する可能性がある。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、中始動入賞口26、普通入賞口22,24、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31に入球した遊技球は遊技板(遊技盤ユニット8を構成する合板材、透明板等)に形成された貫通孔を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。
【0359】
ここで、本実施形態では、遊技領域8a(盤面)の構成上、中始動入賞口26や普通入賞口22に遊技球を入球させる場合は、遊技領域8a内の左側部分の領域(左打ち領域)に遊技球を打ち込む(いわゆる「左打ち」を実行する)必要がある。
【0360】
一方、可変始動入賞装置28や、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31、普通入賞口24に遊技球を入球させる場合は、遊技領域8a内の右側部分の領域(右打ち領域)に遊技球を打ち込む(いわゆる「右打ち」を実行する)必要がある。
【0361】
本実施形態において、可変始動入賞装置28は、所定の作動条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で所定の停止表示時間にわたり停止表示された場合)に作動し、それに伴って右始動入賞口28a(所定の入球口)への入球を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28には、舌片型(ベロタイプ)の開閉部材28bが設けられている。図示の状態にて、開閉部材28bは、盤面より奥に引っ込んだ位置(待避位置)にあり、遊技球が右始動入賞口28aに入球することを不能又は困難にしている。一方、開閉部材28bが盤面より手前側へ突出した位置(駆動位置)に移動すると、開閉部材28bは上方から流下してくる遊技球を受け止め、右始動入賞口28aに遊技球を案内する(右始動入賞口28aへの入球が可能又は容易となる)。なお、可変始動入賞装置28は、開閉部材がその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むように変位して、右始動入賞口を開放する装置であってもよい。
【0362】
第1可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が大当り又は小当りの態様で停止表示された場合)であって所定の第1条件(例えば大当り遊技の1ラウンド目から5ラウンド目、又は、7ラウンド目から10ラウンド目であるという条件、小当り遊技の開放状態であるという条件)が満たされた場合に作動し、第1大入賞口30bへの入球を可能にする(特別電動役物、第1特別入球事象発生手段)。
【0363】
第1可変入賞装置30は、可変始動入賞装置28の下方に配置された装置であり(上アタッカ)、例えば1つの開閉部材30aを有している。この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、閉位置から開放位置に向けて変位する。図示のように先端が上を向いた状態で開閉部材30aは閉位置(閉止状態)にあり、このとき第1大入賞口30bへの入賞は不能(第1大入賞口30bは閉塞中)である。第1可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして右側へ倒れ込むようにして変位し、第1大入賞口30bを開放する(開放状態)。この間に第1可変入賞装置30は遊技球の流入が不能ではない状態となり、第1大入賞口30bへの入賞という事象を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは第1大入賞口30bへの遊技球の流入を案内する部材としても機能する。第1大入賞口30bに入賞した遊技球は、第1カウントスイッチ84を通過して入賞を検出された後、回収通路(参照符号なし)を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。
【0364】
第2可変入賞装置31は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が大当りの態様で停止表示された場合)であって、所定の第2条件(例えば大当り遊技の6ラウンド目であるという条件)が満たされた場合に作動し、第2大入賞口31b(特定の入賞口)への入球を可能にする(特別電動役物、第2特別入球事象発生手段)。
【0365】
第2可変入賞装置31は、第1可変入賞装置30の下方に配置された装置であり(下アタッカ)、例えば1つの開閉部材31aを有している。第2可変入賞装置31は、開閉部材31aが盤面の内部にスライドするタイプの装置である(スライド式のアタッカ)。そして、この開閉部材31aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。開閉部材31aは、盤面から遊技者側に突出した状態で閉位置(閉鎖状態)にあり、このとき遊技球は開閉部材31aの上面を転動することになるため、第2大入賞口31bへの入球は不能又は困難(第2大入賞口31bは閉塞中)である。そして、第2可変入賞装置31が作動すると、開閉部材31aが盤面の内部に引き込まれ、第2大入賞口31bを開放する(開放状態)。この間に第2可変入賞装置31は遊技球の流入が不能ではない(可能又は容易な)状態となり、第2大入賞口31bへの入球という事象を発生させることができる。
【0366】
また、第2可変入賞装置31の内部には、第2可変入賞装置31に入球した遊技球を誘導するための誘導通路31cが配置されている。誘導通路31cは、第2大入賞口31bから左下方に延び、その先で2又に分岐している。
【0367】
そして、誘導通路31cの上流には、第2カウントスイッチ85が配置されており、誘導通路31cの下方右側には、確変領域用羽根部材31d及び確変領域用孔31eが配置されており、誘導通路31cの下方左側には、排出口31f(排出領域)が配置されている。
【0368】
第2可変入賞装置31に入球した遊技球は、最初に第2カウントスイッチ85にて入球したことが検出される。ここで、確変領域用羽根部材31dを作動させる確変領域ソレノイドがONとなっている場合には、確変領域用羽根部材31dが、盤面より奥に引っ込んだ位置(開放位置)に移動し、遊技球を確変領域用孔31eに導く。一方、確変領域用羽根部材31dを作動させる確変領域ソレノイドがOFFとなっている場合には、確変領域用羽根部材31dが、盤面より手前側へ突出した位置(閉鎖位置)に移動するため、遊技球は確変領域用羽根部材31dの上部を通り抜けて、排出口31fに導かれる。
【0369】
〔確変領域(特定領域)〕
また、確変領域用孔31eの内部には、確変領域(参照符号なし)が設けられている。確変領域は、第2可変入賞装置31が閉鎖状態である場合は遊技球が通過不能な領域であり、第2可変入賞装置31が開放状態である場合であって確変領域用羽根部材31dが作動している場合は遊技球が通過可能な領域である。
【0370】
確変領域用羽根部材31dは、大当り遊技中に作動する可能性がある。確変領域用羽根部材31dの動作パターンは、ラウンドの開始と同時に短期間(例えば0.1秒)にわたり確変領域を開放し、その後に数秒(2~3秒程度)閉鎖した後に確変領域を長期間(例えば20秒程度)にわたってロング開放するロング開放パターンと、ラウンドの開始と同時に短期間(例えば0.1秒)にわたり確変領域を開放するだけのショート開放するショート開放パターンとのいずれかを適用する。いずれの動作パターンにより確変領域用羽根部材31dを動作させるかについては、当選図柄によって選択することができる。具体的には、確変図柄での当選時には確変領域をロング開放するロング開放パターンが選択され、通常図柄での当選時には確変領域をショート開放するショート開放パターンが選択される。
【0371】
なお、確変領域用羽根部材31dの動作パターンは、確変領域用羽根部材31dがロング開放するパターンのみを適用し、第1可変入賞装置30がショート開放してラウンドが終了する際には、確変領域用羽根部材31dがロング開放する機会を消滅させるようにしてもよい。また、ラウンドの開始と同時に実行される短期開放では遊技球は確変領域用羽根部材31dまで到達しないので、この作動によって遊技球が確変領域に導かれることは困難である。
【0372】
そして、大当り遊技中に遊技球が確変領域を通過した場合、大当り遊技の終了後に低確率状態から高確率状態に移行される。なお、この際、非時間短縮状態から時間短縮状態に合わせて移行させてもよい(高確率時間短縮状態)。一方、大当り遊技中に遊技球が確変領域を通過しなかった場合、大当り遊技の終了後に低確率状態に移行する。なお、この際、非時間短縮状態から時間短縮状態に合わせて移行させてもよい(低確率時間短縮状態)。
【0373】
遊技盤ユニット8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤ユニット8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また、演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤ユニット8は、その盤面の構成や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。また、本実施形態のように遊技板8bが透明樹脂板(例えばアクリル板)である場合、前面側だけでなく遊技板8bの背後に配置された各種の装飾体(可動体や発光体を含む)による装飾性を付加することができる。液晶表示器42の前方には、リング状のロゴLEDユニット900が配置されている。
【0374】
その他に演出ユニット40の内部には、演出用の可動体40f(例えばスペードの形状を模した装飾物)とともに駆動源(例えばモータ、ソレノイド等)が付属している。演出用の可動体40fは、液晶表示器42による画像を用いた演出や発光器による演出に加えて、有形物の動作を伴う演出を実行することができる。これら可動体40fを用いた演出により、二次元の画像を用いた演出とは別の訴求力を発揮することができる。
【0375】
また、演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40kが形成されており、転動ステージ40eから球放出路40kに案内された遊技球は、その真下にある中始動入賞口26に流入しやすくなる。なお、球案内通路40dの入口に、図示しないソレノイドで常時可動する羽根部材を配置し、球案内通路40dの出口に、図示しないソレノイドで常時可動する振分装置(中始動入賞口26に遊技球を誘導するか否かの振り分けを行う装置)を配置してもよい。
【0376】
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、各種入賞口に入球(入賞)しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。また、普通入賞口22,24や中始動入賞口26、右始動入賞口28a、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31に入球した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示しないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
【0377】
〔外レールの上端部の視認性〕
図27は、図24のA-A断面図を示す概略図である。図27は、遊技領域8aの上端(頂部、外周面502(外レール)の上端)を通る上下方向及び前後方向に平行な面で切った断面を示すものである。図27に示す断面は、内周面504(内レール)の上端(頂部)及び装飾ユニット800(意匠部材)の下面852の後端の上端(頂部)も通っている。
【0378】
装飾ユニット800の下面852の後端は、遊技領域8aの上端に対応する部分(遊技領域8a上端の前方部分)において、遊技領域8aの上端よりも下方に位置している。つまり、装飾ユニット800の下面852の後端は、誘導通路500の上面840aの上端よりも下方に位置している。また、装飾ユニット800の下面852の後端は、誘導通路500の下面840bの上端よりも上方に位置している。また、装飾ユニット800の下面852の後端は、遊技領域8aの上端に位置した状態の遊技球X(誘導通路500の上面840aの上端に接した状態の遊技球)の下端よりも上方に位置している。より具体的には、当該状態の遊技球Xの中心(図27に一点鎖線Yで図示している位置)よりも上方に位置している。
【0379】
また、突出部856は、遊技領域8aの上端に位置した状態の遊技球Xの中心よりも下方に突出している。つまり、突出部856の下端は、当該状態の遊技球Xの中心よりも下方に位置している。より具体的には、突出部856の下端は、当該状態の遊技球Xの下端よりも下方に位置している。また、突出部856は、誘導通路500の下面840bの上端よりも下方に突出している。
【0380】
以上から明らかなように、装飾ユニット800は、前後方向(遊技盤ユニット8及びガラスユニットGに垂直な方向)において、遊技領域8aの上端に位置した状態の遊技球Xと重なり合うようになっており、当該状態の遊技球X全体を覆うようになっている。また、装飾ユニット800は、下面852の後端における遊技領域8aの上端に対応する部分(遊技領域8a上端の前方部分)が、前後方向(遊技盤ユニット8及びガラスユニットGに垂直な方向)において、遊技領域8aの上端に位置した状態の遊技球Xの少なくとも下半分と重ならないようになっており、当該状態の遊技球の少なくとも下半分を覆わないようになっている。また、下面852の後側部分は、傾斜面854となっている。このため、遊技球が遊技領域8aの上端に位置する場合であっても、遊技領域8aを転がる遊技球を遊技者が容易に視認できるようになっている。ここで、所定の位置、具体的には遊技者のアイポイントからは、遊技者が顔を上下左右に動かすことなく当該状態の遊技球の少なくとも下半分が見えるようになっていることが好ましい。遊技者のアイポイントとは、椅子に座って遊技をするときの遊技者の目の位置を意味する。具体的には、例えば、前後方向におけるガラスユニットGと遊技者の目との距離が50~90cm未満の場合に、遊技者が顔を上下左右に動かすことなく当該状態の遊技球の少なくとも一部(下半分)を視認することができるようになっているとよい。つまり、ガラスユニットGからの距離が50~90cm未満である所定点から遊技領域8aの上端に位置する遊技球X(遊技球Xの中心よりも下側の部分)までの直線上に装飾ユニット800がかからないようになっているとよい。
【0381】
図27の構成からは、以下の特徴を導き出すことができる。括弧書きで示す以下の構成のうち、少なくとも1つの構成を備える遊技機とすることができる。
(1)上部に意匠部(トップレンズ部、装飾ユニット800)がある前枠(一体扉ユニット4)と、遊技盤(遊技盤ユニット8)がある内枠(内枠アセンブリ7)と、を備えている遊技機である。
(2)遊技盤には、遊技領域8aが形成されている。
(3)遊技領域8aの上部には、遊技球を右打ち領域に案内する誘導通路500がある。
(4)誘導通路500には、外周面(外周面502、誘導通路500の上面840a)と内周面(内周面504、誘導通路500の下面840b)がある。
(5)遊技盤面に対して垂直方向に延びる線のうち、外周面の頂上を通る線を第1基準線L1とする。
(6)第1基準線L1と交わる鉛直線のうち(第1基準線L1に対する鉛直線が交わり得る部分のうち、第1基準線L1と交わる鉛直線が意匠部と交わる部分のうち)、意匠部の下面における最も後側の部分を第1意匠部D1とする。
(7)第1基準線L1と交わる鉛直線のうち(第1基準線L1に対する鉛直線が交わり得る部分のうち、第1基準線L1と交わる鉛直線が意匠部と交わる部分のうち)、意匠部の下面における最も下側の部分を第2意匠部D2とする。
(8)第1意匠部D1は、第1基準線L1よりも下方に位置するとともに、第1基準線L1からの距離(寸法A)が遊技球の直径以下(4mm)となっている。なお、遊技球の直径は約11mmである。
(9)第2意匠部D2は、第1基準線L1よりも下方に位置するとともに、第1基準線L1からの距離(寸法B)が遊技球の直径以上(40mm)となっている。
第2意匠部D2は、第1基準線L1よりも下方に位置するとともに、第1基準線L1からの距離(寸法B)が遊技球の直径以上となるので、意匠部を大型化することができる。
また、このように意匠部を大型化しつつも、第1基準線L1と第1意匠部D1との間隔を遊技球の直径以下としたことにより、遊技球が強く打ち出された場合(遊技球通路の上面に沿って遊技球が転がる場合)において、遊技球の視認性を確保することができる。
【0382】
(10)遊技盤面に対して垂直方向に延びる線のうち、内周面における外周面の頂上の直下に位置する部分(B地点より右側の部分、B地点より左側の部分、B地点となる部分)を通る線を第2基準線L2とする。
(11)第2基準線L2と交わる鉛直線のうち(第2基準線L2に対する鉛直線が交わり得る部分のうち、第2基準線L2と交わる鉛直線が意匠部と交わる部分のうち)、意匠部の下面における最も後側の部分を第1意匠部D1とする。
(12)第2基準線L2と交わる鉛直線のうち(第2基準線L2に対する鉛直線が交わり得る部分のうち、第2基準線L2と交わる鉛直線が意匠部と交わる部分のうち)、意匠部の下面における最も下側の部分を第2意匠部D2とする。
(13)第1意匠部D1は、第2基準線L2よりも上方に位置するとともに、第2基準線L2からの距離(寸法C)が遊技球の半径以上(14mm)となっている。
(14)第2意匠部D2は、第2基準線L2よりも下方に位置するとともに、第2基準線L2からの距離(寸法D)が遊技球の直径以上(22mm)となっている。
第2意匠部D2は、第2基準線L2よりも下方に位置するとともに、第2基準線L2からの距離(寸法D)が遊技球の直径以上となるので、意匠部を大型化することができる。また、このように意匠部を大型化しつつも、第2基準線L2と第1意匠部D1との間隔を遊技球の半径以上としたことにより、遊技球が弱く打ち出された場合(遊技球通路の下面に沿って遊技球が転がる場合)において、遊技球の視認性を確保することができる。
そして、このような構成を採用することにより、遊技盤面の視認性を構造により確保することができる。
【0383】
〔外レールの位置決め孔の配置〕
図28は、外レールを示す図である。図29は、遊技板、外レール及びレールベースを示す図である。図30は、外レールに遊技球が接触する様子を示す図である。図31は、外レール及び遊技板を示す図である。
図28に示すように、外レール600は、湾曲可能な薄板状の横長の部材である。外レール600には、遊技盤(レールベース700)への取り付け位置を案内する所定の案内部601(孔)が複数形成されている。また、外レール600には、外レール600の加工の際に使用される孔602が複数形成されている。孔602は、案内部601よりもサイズが小さい。
【0384】
所定の案内部601(孔)の中心から外レール600の端(図中下端)までの距離Wcは、2.7mmに設定されている。つまり、所定の案内部601は、外レール600の内側の案内面を転がる遊技球が当たることのない位置に配置されている。より具体的には、外レール600の内側の案内面を転がる遊技球が当たることのない位置に、全ての所定の案内部601が配置されている。
【0385】
図29に示すように、遊技板8bの前方には、レールベース700が配置され、レールベース700の内側の湾曲したガイド面702には、湾曲した外レール600が配置される。ガイド面702には、所定の案内部601に対応する位置に、複数の突出部701が形成されている。
【0386】
図30に示すように、レールベース700のガイド面702には、外レール600が配置される。外レール600の所定の案内部601には、レールベース700の突出部701が挿入され、これにより、外レール600がレールベース700に位置決めされる。ここで、突出部701は遊技球Xに接触しない位置に配置されている。
【0387】
図31に示すように、外レール600は、遊技板8bの前方に配置されており、左下の外レール600の始端(PS)から、左側の外レール600の左端(PL)を通り、上側の外レール600の上端(PU)を通り、右上の外レール600の終端(PE)に到達するように湾曲して配置される。
【0388】
これらの図に示す構成からは、以下の特徴を導き出すことができる。括弧書きで示す以下の構成のうち、少なくとも1つの構成を備える遊技機とすることができる。
(1)遊技領域を形成する遊技盤(遊技盤ユニット8、遊技板8b、レールベース700)と、遊技盤に設けられた外レール600とを備えた遊技機である。
(2)外レール600には、遊技盤への取り付け位置を案内する所定の案内部601(突出部701を挿入する孔(多数)、位置決めピンを取り付ける孔、突出部701を嵌め合わせる切り欠き)が複数形成されている。また、外レール600には、外レール600の加工の際に使用される孔602が形成されている。
(3)外レール600が遊技盤に設けられた状態において、外レール600の始端(PS)から左端(PL)までの範囲を第1の範囲(H1)とし、外レール600の左端(PL)から上端(PU)までの範囲を第2の範囲(H2)とし、外レール600の上端(PU)から終端(PE)までの範囲を第3の範囲(H3)とする。
(4)所定の案内部601の数は、第1の範囲(H1)(例えば3個)の方が第2の範囲(H2)(例えば2個)より多く、第2の範囲(H2)の方が第3の範囲(H3)(例えば0個)よりも多くなっている。
【0389】
これにより、遊技球から受ける衝撃が大きく、かつ、外レール600の配置について特に正確さが求められる球発射装置側に所定の案内部601を多く配置し、球発射装置側の外レール600のずれや振動を確実に防止することができる。
また、遊技球から受ける衝撃が小さく、かつ、遊技に与える影響が少ない外レール600の終端側は所定の案内部601を少なく配置し、外レール600の加工やレールベース700への取り付けを容易にすることができる。
【0390】
(5)上記(4)に代えて、所定の案内部601の数は、第1の範囲(H1)には第2の範囲(H2)以上あり、第2の範囲(H2)には第3の範囲(H3)以上ある。
(6)上記(4)に代えて、所定の案内部601の数は、第1の範囲(H1)には第3の範囲(H3)以上あり、第2の範囲(H2)には第3の範囲(H3)以上ある。
(7)上記(4)に代えて、所定の案内部601の数は、第1の範囲(H1)には第2の範囲(H2)以上あり、第1の範囲(H1)には第3の範囲(H3)以上ある。
(8)所定の案内部601は、外レール600の上頂点(PU)及び左頂点(PL)には形成されていない。
【0391】
(9)所定の案内部601は、第3の範囲(H3)には形成されていない。
(10)所定の案内部601は、遊技球が接触しない位置(例えば遊技球が接する軌道を避けた位置)に形成されている。
(11)外レール600は、レールベース700のガイド面702に沿うように支持されており、レールベース700のガイド面702は、遊技球が前方向に流れにくくなるように傾斜している。
(12)所定の案内部601は、それぞれの配置間隔が均等ではない。
【0392】
(13)上記(3)(4)に代えて、外レール600が遊技盤に設けられた状態において、外レール600の始端(PS)から左端(PL)までの範囲を第4の範囲(H4)とし、外レール600の左端(PL)から終端(PE)までの範囲を第5の範囲(H5)とすると、所定の案内部601の数は、第4の範囲(H4)(例えば、3個)の方が第5の範囲(H5)(例えば、2個)より多い。
(14)上記(3)(4)に代えて、外レール600が遊技盤に設けられた状態において、外レール600の始端(PS)から上端(PU)までの範囲を第6の範囲(H6)とし、外レール600の上端(PU)から終端(PE)までの範囲を第7の範囲(H7)とすると、所定の案内部601の数は、第6の範囲(H6)(例えば5個)の方が第7の範囲(H7)(例えば0個)より多い。
(15)上記(3)(4)に代えて、外レール600が遊技盤に設けられた状態において、外レール600の始端(PS)から中間(PM)までの範囲を第8の範囲(H8)とし、外レール600の中間(PM)から終端(PE)までの範囲を第9の範囲(H9)とすると、所定の案内部601の数は、第8の範囲(H8)(例えば、4個)の方が第9の範囲(H9)(例えば、1個)より多い。
そして、このような構成を採用することにより、遊技球の軌道を安定させ、設計値通りの遊技を行うことができる。
【0393】
〔外レールの上端部の視認性〕において説明した構成を備える発明と、〔外レールの位置決め孔の配置〕において説明した構成を備える発明とを組み合わせた発明としてもよく、上記実施形態において説明した構成を備える発明と、〔外レールの上端部の視認性〕において説明した構成を備える発明と、〔外レールの位置決め孔の配置〕において説明した構成を備える発明とを組み合わせた発明としてもよい。これにより、遊技球の軌道を安定させ、設計通りの遊技が可能な遊技機を提供することができる。また、遊技球の軌道が安定することにより、装飾ユニットの下面側からの遊技球の視認性を確実に確保することができる。
【0394】
〔ハンドルの指掛部の寸法〕
図32は、操作角が0度(最小角度)のハンドルの周辺を示す図であり、図33は、操作角が100度(最大角度)のハンドルの周辺を示す図である。
ハンドル950(発射ハンドル)は、ドーム状に形成された円形の部材である。ハンドル950は、中心に配置された円形の部材の周囲に、径方向に突出する3つの指掛部952(952a、952b、952c)を備えている。
図32に示すように、ハンドル950を操作していない状態において、ハンドル950の左側に位置する第1指掛部952aは、主に遊技者の右手の親指の右側面と接触する。また、ハンドル950を操作していない状態において、ハンドル950の上側に位置する第2指掛部952bは、主に遊技者の右手の人差し指の右側面と接触する。さらに、ハンドル950を操作していない状態において、ハンドル950の右斜め上側に位置する第3指掛部952cは、主に遊技者の右手の中指の右側面と接触する。
ハンドル950(球発射手段)は、初期位置(図32に示す位置)から最大回転位置(図33に示す位置)まで回転可能(初期位置から最大位置までの範囲内において回転可能)である。ハンドル950は、遊技領域に遊技球を発射するために遊技者が操作する部材であって、初期位置から、左打ち領域の所定位置に対応する左打ち基準位置を経由して、右打ち領域の所定位置に対応する右打ち基準位置まで回転可能である。ハンドル950が左打ち基準位置(所定基準位置)に回転されている場合、左打ち領域(第1遊技領域)に対して遊技球(遊技媒体)が発射され、ハンドル950が右打ち基準位置(最大位置)に回転されている場合、右打ち領域(第2遊技領域)に対して遊技球が発射される。
【0395】
ハンドル950の中心から第1指掛部952aの先端までの距離D1は、例えば、53.4mmである。
ハンドル950の中心から第2指掛部952bの先端までの距離D2は、例えば、45.6mmである。
ハンドル950の中心から第3指掛部952cの先端までの距離D3は、例えば、39.3mmである。
ハンドル950の中心からハンドル950の下端部までの距離Eは、例えば、34.6mmである。
ハンドル950の中心から一体扉ユニット4の下端部までの距離Fは、例えば、40.0mmである。なお、ハンドル950の中心から内枠アセンブリ7の下端部までの距離は、例えば、45.0mmである。
ハンドル950の中心から一体扉ユニット4の右端部までの距離Gは、例えば、49.1mmである。なお、ハンドル950の中心から内枠アセンブリ7の右端部までの距離は、例えば、51.1mmである。
これらの数値は、あくまで例示であり、遊技の仕様等に応じて適宜変更することができる。
【0396】
これらの図に示す構成からは、以下の特徴を導き出すことができる。括弧書きで示す以下の構成のうち、少なくとも1つの構成を備える遊技機とすることができる。
(1)前枠(前扉、一体扉ユニット4)と内枠(中扉、内枠アセンブリ7)とを有する本体枠(前扉及び中扉)と、本体枠を取り付け可能な外枠(外枠ユニット2)と、を備えた遊技機である。
(2)本体枠には、ハンドル950(発射ハンドル、ハンドルユニット16)がある。
(3)ハンドル950には、指掛部952がある。
(4)ハンドル950は、初期位置から最大回転位置まで回転可能である。
(5)ハンドル950が初期位置にある場合において、指掛部952が本体枠の下側の縁(前枠又は内枠のいずれか一方の下側の縁)よりも下に突出していない。
(6)ハンドル950が最大回転位置にある場合において、指掛部952が本体枠の下側の縁よりも下に突出していない。
【0397】
これにより、本体枠を床等に置いた場合であっても、指掛部952が床等に接触せず、ハンドル950が破損することはない。このため、部品が破損するリスクを低減することができる。
【0398】
(7)ハンドル950が如何なる回転位置であっても、指掛部952が本体枠の下側の縁よりも下に突出していないようにしてもよい。
(8)ハンドル950が初期位置にある場合において、指掛部952が本体枠の右側の縁(前枠又は内枠のいずれか一方の右側の縁)よりも右に突出していない。
(9)ハンドル950が最大回転位置にある場合において、指掛部952が本体枠の右側の縁よりも右に突出していない。
(10)ハンドル950が如何なる回転位置であっても、指掛部952が本体枠の右側の縁よりも右に突出していないようにしてもよい。
(11)突出量が最も大きい指掛部を最大指掛部(第1指掛部952a)とすると、最大回転位置において、最大指掛部の先端部(PT)が回転軌道の最下点(PB)に位置していないようにしてもよい。
【0399】
〔ハンドルのトルク〕
図34は、ハンドルのトルクとハンドルの可動位置との関係を示す図である(実施例1)。
実施例1のハンドルのトルク(操作トルク)は、初動に必要なトルクが6.8N・mmであり、左打ち基準位置までハンドルを回転させるのに必要なトルクが13.6N・mmであり、右打ち基準位置までハンドルを回転させるのに必要なトルクが23.8N・mmである。なお、右打ち基準位置まで変位したハンドルは、スプリングの反力で原点復帰する。
【0400】
また、実施例1のハンドルにおいては、初期位置(初動)から左打ち基準位置までの変位量(以下、「変位量A」と称する。)が6.8であり、左打ち基準位置から右打ち基準位置までの変位量(以下、「変位量B」と称する。)が10.2である。また、図示されていないが、左打ち基準位置までの操作角が49.0度であり、右打ち基準位置までの操作角が100.0度である。変位量に関しては、A<B(6.8<10.2)であり、かつ、2A>B(13.6>10.2)である。
【0401】
このように、実施例1のハンドルは、初動に要する操作トルクを下げつつ、変位量を最小限に抑えてトルクカーブも寝かせているため、長時間遊技を行っても疲れ難い。
【0402】
比較例のハンドルのトルクは、初動に必要なトルクが31N・mmであり、左打ち基準位置までハンドルを回転させるのに必要なトルクが69N・mmであり、右打ち基準位置までハンドルを回転させるのに必要なトルクが152N・mmである。
【0403】
また、比較例のハンドルにおいては、変位量Aが38であり、変位量Bが83である。すなわち、A<Bであるが(38<83)、2A>Bではない(76<83)。
【0404】
このように、比較例のハンドルは、初動トルクが高い上に、トルク移動も急激なために、非常に疲れ易い。
【0405】
図35は、ハンドルのトルクとハンドルの可動位置との関係を示す図である(実施例2)。
実施例2のハンドルのトルクは、初動に必要なトルクが27.2N・mmであり、左打ち基準位置までハンドルを回転させるのに必要なトルクが54.4N・mmであり、右打ち基準位置までハンドルを回転させるのに必要なトルクが95.2N・mmである。
【0406】
また、実施例2のハンドルにおいては、変位量Aが27.2であり、変位量Bが40.8である。すなわち、A<B(27.2<40.8)であり、かつ、2A>B(54.4>40.8)である。
【0407】
このように、実施例2のハンドルは、初動に要する操作トルクが実施例1と比較するとやや大きいものの比較例よりは小さく、変位量を最小限に抑えてトルクカーブも寝かせているため、長時間遊技を行っても疲れ難い。
【0408】
比較例のハンドルのトルクは、図34と同様である。
【0409】
これらの図に示す構成からは、以下の特徴を導き出すことができる。括弧書きで示す以下の構成のうち、少なくとも1つの構成を備える遊技機とすることができる。
(1)ハンドルの初期位置からの回転に必要な(初動に必要な、ハンドルを初期位置から回転を開始するために必要な)操作トルクを第1操作トルク(6.8N・mm)とする。
(2)ハンドルの初期位置から左打ち基準位置(ぶっこみ位置、所定基準位置)までの回転に必要な(ハンドルを初期位置から左打ち基準位置まで回転するために必要な)操作トルクを第2操作トルク(13.6N・mm)とする。
(3)ハンドルの初期位置から最大回転位置(右打ち基準位置、フルストローク位置、最大位置)までの回転に必要な(ハンドルを初期位置から最大回転位置まで回転するために必要な)操作トルクを第3操作トルク(23.8N・mm)とする。
(4)第2操作トルクが、第1操作トルクよりも大きい。
(5)第3操作トルクが、第2操作トルクよりも大きい。
(6)第3操作トルクが、第2操作トルクの2倍以下となっている。
【0410】
このように、第2操作トルクと第3操作トルクの差が小さくなっているため、左打ち基準位置から最大回転位置までの間に操作トルクが急激に増大せず、遊技者は第2操作トルクと第3操作トルクとの差が小さいと感じる。このため、遊技者が疲れにくくなり、遊技者の負担を軽減することができる。
【0411】
(7)さらに、第2操作トルクが、第1操作トルクの2倍以下となっている。
このように、第1操作トルクと第2操作トルクとの差が小さくなっているため、初期位置から左打ち基準位置までの間に操作トルクが急激に増大せず、遊技者は第1操作トルクと第2操作トルクとの差を小さいと感じる。このため、遊技者が疲れにくく、遊技者の負担を軽減することができる。
【0412】
(8)ハンドルの初期位置から左打ち基準位置までの操作角度を第1操作角度(45~60度)とする。
(9)ハンドルの初期位置から最大回転位置までの操作角度を第2操作角度(100~120度)とする。
(10)第1操作角度(例えば、45度)が、第2操作角度(例えば、100度)の半分以下となっている。
【0413】
〔ハンドルのトルク〕において説明した構成を採用することにより、長時間の右打ち遊技でも疲れ難い操作トルク及びその移動(変位)を最小限に抑えたハンドルユニットを提供することができる。発射ハンドル(ハンドル操作部)は、バネにより原点復帰させる構造となっているが、遊技者は常にこのバネ反力に対して逆方向に操作して遊技をしている。この反力の初動時のトルクを下げることと、移動量(変位量)を最小限に抑えることで疲れ難いハンドルユニットを提供することができる。具体的に、上記の実施例1や実施例2では、初動トルクは原点復帰できる最小限の力に抑え、さらにトルクカーブを寝かせることで疲れ難いハンドルユニットを実現している。
なお、上述した実施形態の遊技機と他の実施形態の遊技機とは組み合わせることができる。また、比較例は従来技術を構成するものではない。
【0414】
〔スロットマシン(回胴式遊技機、スロット機、パチスロ機)〕
上述した各実施形態では、遊技球を用いるパチンコ機に本発明を適用する例について説明したが、遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数を設定し、スタートレバーの操作によりリールを回転させ、回転するリールをストップボタンによる停止操作により停止させ、リールが停止したときの図柄の種類や図柄の組み合わせにより入賞が発生可能なスロットマシンに適用してもよい。
【0415】
スロットマシンは、各々が識別可能な複数種類の識別情報(例えば、図柄)を変動表示可能な可変表示部(例えば、リール)を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、表示結果に応じて入賞が発生可能な遊技機(例えば、スロットマシン)である。
【0416】
また、スロットマシンとは、レバー状のスタートスイッチと、ボタン状のストップスイッチと、スタートスイッチの操作に基づいて回転を開始するとともに遊技者のストップスイッチの操作に基づいて回転を停止する複数の回転リールと、を備え、遊技媒体としてのメダル又は遊技球が遊技の開始に十分な数投入された状態において、スタートスイッチの操作に基づいて所定の当選役に当選するか否かを決定する当選役抽選を行うとともに複数の回転リールを回転し、ストップスイッチの操作に基づいて、操作されたストップスイッチに対応した回転している回転リールを停止し、停止した各回転リールの所定の図柄位置を結ぶ有効ライン上に表示された図柄の組み合わせに基づいて、当選役抽選によって当選した当選役に入賞したか否かの入賞判定を行い、入賞判定の結果に基づいて、遊技者に対して遊技媒体、再遊技、役物や役物連続作動装置等の特典を付与する遊技機である。
【符号の説明】
【0417】
1 パチンコ機
8 遊技盤ユニット
8a 遊技領域
16 ハンドルユニット
20 始動ゲート
28 可変始動入賞装置
33 普通図柄表示装置
33a 普通図柄作動記憶ランプ
34 第1特別図柄表示装置
35 第2特別図柄表示装置
34a 第1特別図柄作動記憶ランプ
35a 第2特別図柄作動記憶ランプ
38 遊技状態表示装置
42 液晶表示器
70 主制御装置
72 主制御CPU
76 RAM
124 演出制御装置
126 演出制御CPU
130 RAM
210 演出制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図33
図34
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