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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-16
(45)【発行日】2025-05-26
(54)【発明の名称】決済装置及びそのプログラム、決済方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20250519BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021105887
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023004289
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】鹿埜 和生
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-186418(JP,A)
【文献】特開2019-128781(JP,A)
【文献】特開2011-107790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の媒体が有する情報から決済者の識別情報と当該決済者との取引の決済に使用される第1の決済用情報とを取得する第1取得手段と、
前記第1の媒体とは異なる第2の媒体が有する情報から前記決済者との取引の決済に使用される第2の決済用情報を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段で前記識別情報と前記第1の決済用情報とを取得した後に前記取引の決済が指示されると、前記第1取得手段で取得した前記第1の決済用情報の使用が指令されるか、前記第2取得手段で前記第2の決済用情報を取得するのを待ち受ける待ち受け手段と、
前記第1の決済用情報の使用が指令された場合には、前記第1取得手段で取得した前記第1の決済用情報で前記決済者との取引を決済し、前記第2取得手段で前記第2の決済用情報を取得した場合には、当該第2取得手段で取得した前記第2の決済用情報を使用して前記決済者との取引を決済する決済手段と、
を具備する決済装置。
【請求項2】
前記取引の決済に基づくサービスを前記第1取得手段で取得した前記識別情報で識別される決済者に供与する供与手段、
をさらに具備する請求項1記載の決済装置。
【請求項3】
媒体から情報を読み取る読取手段、
をさらに具備し、
前記第1取得手段は、前記取引の決済が指示される前に前記読取手段で読み取った前記第1の媒体の情報から前記決済者の識別情報と前記第1の決済用情報とを取得し、
前記第2取得手段は、前記取引の決済が指示された後に前記読取手段で読み取った前記第2の媒体の情報から前記第2の決済用情報を取得する、請求項1又は2記載の決済装置。
【請求項4】
前記待ち受け手段は、前記第1取得手段で取得した前記第1の決済用情報の使用を指令するための操作ボタンを表示部に表示し、前記操作ボタンが操作された場合には、前記第1の決済用情報の使用が指令されたと判定し、前記読取手段で前記第2の媒体の情報が読み取られると前記第2取得手段で取得した前記第2の決済用情報を使用すると判定する、請求項3記載の決済装置。
【請求項5】
決済装置のコンピュータを、
第1の媒体が有する情報から決済者の識別情報と当該決済者との取引の決済に使用される第1の決済用情報とを取得する第1取得手段、
前記第1の媒体とは異なる第2の媒体が有する情報から前記決済者との取引の決済に使用される第2の決済用情報を取得する第2取得手段、
前記第1取得手段で前記識別情報と前記第1の決済用情報とを取得した後に前記取引の決済が指示されると、前記第1取得手段で取得した前記第1の決済用情報の使用が指令されるか、前記第2取得手段で前記第2の決済用情報を取得するのを待ち受ける待ち受け手段、及び、
前記第1の決済用情報の使用が指令された場合には、前記第1取得手段で取得した前記第1の決済用情報で前記決済者との取引を決済し、前記第2取得手段で前記第2の決済用情報を取得した場合には、当該第2取得手段で取得した前記第2の決済用情報を使用して前記決済者との取引を決済する決済手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
第1の媒体が有する情報から決済者の識別情報と当該決済者との取引の決済に使用される第1の決済用情報とを取得する第1取得手段と、前記第1の媒体とは異なる第2の媒体が有する情報から前記決済者との取引の決済に使用される第2の決済用情報を取得する第2取得手段とを備えた決済装置が、
前記第1取得手段で前記識別情報と前記第1の決済用情報とを取得した後に前記取引の決済が指示されると、前記第1取得手段で取得した前記第1の決済用情報の使用が指令されるか、前記第2取得手段で前記第2の決済用情報を取得するのを待ち受け、
前記第1の決済用情報の使用が指令された場合には、前記第1取得手段で取得した前記第1の決済用情報で前記決済者との取引を決済し、
前記第2取得手段で前記第2の決済用情報を取得した場合には、当該第2取得手段で取得した前記第2の決済用情報を使用して前記決済者との取引を決済する、決済方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、決済装置及びそのプログラム、並びに、決済装置の決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子マネーの機能を有したポイントカード、いわゆる電子マネー付ポイントカードが広く普及している。電子マネー付ポイントカードは、ポイントカード加盟店での取引の決済によって溜まったサービスポイントをその加盟店で使用できるハウス型の電子マネーにチャージできるので、客を囲い込むことができる。
【0003】
電子マネー付ポイントカードには、連動型と非連動型とがある。連動型の電子マネー付ポイントカードは、そのカードデータの読み取りによりサービスポイントを付与する取引として設定された取引の代金を、そのカードに付された電子マネーで自動的に支払うようにしたカードである。このため、支払方法が電子マネーに限られた店舗では使い勝手が良い。しかし、電子マネー以外の支払方法で取引を決済したい客の要望に応えることはできない。
【0004】
これに対し、非連動型の電子マネー付ポイントカードは、支払方法がそのカードに付された電子マネーに制限されない。このため、現金またはクレジットカード等の電子マネー以外の支払方法で、サービスポイントが付与される取引の代金を支払うことができる。また、別のポイントカードに付された電子マネーで取引の代金を支払うことも可能である。しかし、客がポイントカードに付された電子マネーで取引の代金を支払う場合にも、支払いの前に同じポイントカードのデータを再度読み取らなければならないので、煩雑感がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平07-037147号公報
【文献】特開2012-048694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、支払方法の汎用性を損なうことなく、ポイントカード等の媒体が有する電子マネー等の決済用情報による支払いに煩雑感なく対処できる決済装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、決済装置は、第1取得手段と、第2取得手段と、待ち受け手段と、決済手段とを備える。第1取得手段は、第1の媒体が有する情報から決済者の識別情報と当該決済者との取引の決済に使用される決済用情報とを取得する。第2取得手段は、第1の媒体とは異なる第2の媒体が有する情報から決済用情報を取得する。待ち受け手段は、第1取得手段で識別情報と決済用情報とを取得した後に取引の決済が指示されると、第1取得手段で取得した決済用情報の使用が指令されるか、第2取得手段で決済用情報を取得するのを待ち受ける。決済手段は、決済用情報の使用が指令された場合には、第1取得手段で取得した決済用情報で決済者との取引を決済する。決済手段は、第2取得手段で決済用情報を取得した場合には、当該第2取得手段で取得した決済用情報を使用して決済者との取引を決済する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態である決済装置の機能構成を示すブロック図。
図2】一実施形態において使用される媒体が保有する主要なデータ構成を示す模式図。
図3】決済装置の一例であるPOS端末の要部回路構成を示すブロック図。
図4】POS端末のプロセッサが実行する取引決済処理の要部手順を示す流れ図。
図5】POS端末のプロセッサが実行する取引決済処理の要部手順を示す流れ図。
図6】問合せ画面の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、決済装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、決済装置10の機能構成を示すブロック図である。決済装置10は、店舗において決済者との取引を決済する装置である。決済者は、例えば量販店、専門店等の小売店舗で販売される商品を購入する客である。決済者は、例えば温浴施設、スポーツジム、エステサロン等の施設店舗から提供されるサービスを利用する利用者である。決済装置10は、読取部11、記憶部12、入力部13、表示部14、登録部15、会計部16及び通信部17としての機能を有する。
【0010】
読取部11は、媒体20に記録されたデータを読み取る。媒体20は、ICカード、磁気カード、無線タグ、バーコード、二次元データコード等のデータ保有媒体の総称である。媒体20がICカードの場合、読取部11は、ICカードリーダとなる。媒体20が磁気カードの場合、読取部11は、磁気カードリーダとなる。媒体20が無線タグの場合、読取部11は、無線タグリーダとなる。媒体20がバーコード又は二次元データコードの場合、読取部11は、コードスキャナとなる。なお、バーコード又は二次元データコードは、ラベルとして基材に貼り付けられ若しくは印刷されたものであってもよいし、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型情報端末のディスプレイに表示されるものであってもよい。読取部11は、読取手段と言い換えることができる。
【0011】
媒体20は、店舗の会員となった決済者が所有する。媒体20は、会員となった店舗で決済者が取引を決済する際に使用する。店舗は、独立した店舗であってもよいし、チェーン展開された店舗であってもよい。会員は、例えば取引の決済によってポイントが付与されるポイントサービス会員である。会員は、例えば来店によってポイント若しくはそれに類する特典が付与される優待会員であってもよい。媒体20は、その所有者である決済者が会員であることを識別するための識別情報を保有する。以下では、この識別情報を会員IDと称する。
【0012】
また媒体20は、店舗での取引の決済に使用される決済用情報を保有する。決済用情報は、例えば電子マネーに係る情報である。電子マネーに係る情報とは、電子マネーの残高に対応した識別情報、いわゆる電子マネーIDである。電子マネーIDは、会員IDと共通であっていてもよいし、異なっていてもよい。決済用情報は、電子マネーIDに限らない。例えば電子マネーの残高を、電子マネーに係る情報つまりは決済用情報として媒体20が記録してもよい。また決済用情報は、クレジットカードに係る情報、例えばクレジットカードのカード番号等であってもよい。
【0013】
なお、以下では、会員はポイントサービス会員とする。決済用情報は電子マネーIDとする。媒体20はICカード又は磁気カードとする。つまり本実施形態は、電子マネー付ポイントカードを媒体20の一例とする。そして媒体20については、適宜、第1の所有者が所有する電子マネー付ポイントカードを第1の媒体201と表し、第2の所有者が所有する電子マネー付ポイントカードを第2の媒体202と表す。
【0014】
記憶部12は、読取部11によって読み取られた媒体20のデータを記憶する。記憶部12は、少なくとも、媒体20から読み取った会員IDの記憶エリア121と、電子マネーIDの記憶エリア122と、を有する。記憶部12は、記憶手段と言い換えることができる。
【0015】
入力部13は、決済者との取引に係るデータの入力を受け付ける。例えば入力部13は、決済者の商品購入に係るデータの入力を受け付ける。例えば入力部13は、決済者の施設利用状況に係るデータの入力を受け付ける。入力部13は、入力手段と言い換えることができる。
【0016】
表示部14は、店員又は決済者に対し、取引に係るデータを表示する。例えば表示部14は、決済者が購入する商品の価格、合計金額等を表示する。例えば表示部14は、決済者の利用状況に応じた施設利用料金等を表示する。表示部14は、表示手段と言い換えることができる。
【0017】
登録部15は、入力部13を介して入力されたデータを基に、取引の売上データを登録する。例えば登録部15は、決済者が購入した商品の売上データを登録する。例えば登録部15は、決済者の利用に伴う施設の売上データを登録する。登録部15は、登録手段と言い換えることができる。
【0018】
会計部16は、登録部15により登録された売上データを基に算出される決済金額の会計を処理する。決済金額は、例えば決済者が購入する商品の合計金額である。決済金額は、例えば決済者が利用した施設の利用料金である。会計部16は、少なくとも電子マネー支払いに対応する。会計部16は、好ましくは現金支払い、クレジットカード支払い等、電子マネー以外の支払方法にも対応する。会計部16は、会計手段と言い換えることができる。
【0019】
通信部17は、通信ネットワーク30を接続する。通信部17は、ポイントサーバ40及び電子マネーサーバ50と通信ネットワーク30を介してデータ通信を行う。通信ネットワークは、典型的にはイントラネットである。通信ネットワークは、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、インターネット等であってもよい。通信部17は、通信手段と言い換えることができる。
【0020】
ポイントサーバ40は、ポイントデータベース41を管理する。ポイントデータベース41は、会員毎に生成されるポイントレコードの集合体である。ポイントレコードは、会員の会員IDとその会員が所有するポイントとを記録したデータレコードである。
【0021】
電子マネーサーバ50は、電子マネーデータベース51を管理する。電子マネーデータベース51は、会員毎に生成される電子マネーレコードの集合体である。電子マネーレコードは、会員の電子マネーIDとその会員が所有する電子マネーの残高とを記録したデータレコードである。因みに会員は、自らの会員IDを含むポイントレコードのポイントを電子マネーに換算し、自らの電子マネーIDを含む電子マネーレコードの電子マネーにチャージすることができる。
【0022】
図2は、媒体20が保有する主要なデータ構造21を示す模式図である。図示するように媒体20は、種別コード、会員ID、電子マネーID及び連携フラグを含むデータ構造21を保有する。種別コードは、当該媒体20が電子マネー付ポイントカードであることを示すデータである。会員ID及び電子マネーIDは、前述したとおりである。
【0023】
連携フラグは、ポイントカードに電子マネーの機能を連携させるか否かを識別するための1ビットデータである。ポイントサービス会員となって電子マネー付ポイントカードを入手した会員は、必ずしもそのポイントカードと連携した電子マネーを取引の決済に使用しなくてもよい。ポイントカードと連携した電子マネーは、ポイントカード加盟店でのみ使用できるハウス型の電子マネーである。ハウス型電子マネーを取引の決済に使用しないポイント会員は、電子マネーの機能を無効にする。その場合、連携フラグは、非連携を示す1ビットデータ、例えば“0”となる。ハウス型電子マネーを加盟店での取引の決済に使用するポイント会員は、電子マネーの機能を有効にする。その場合、連携フラグは、連携を示す1ビットデータ、例えば“1”となる。
【0024】
次に、決済装置10の一態様として、小売店舗又は施設店舗の会計場に設置されるPOS端末60を例示する。
【0025】
図3は、POS端末60の要部回路構成を示すブロック図である。POS端末60は、プロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、時計64、通信インターフェース65、キーボード66、スキャナ67、ディスプレイ68、プリンタ69、カードリーダ70、釣銭機インターフェース71及びシステム伝送路72等を備える。システム伝送路72は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路72は、プロセッサ61と他の各部とを直接又は信号入出力回路を介して接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0026】
POS端末60は、プロセッサ61と、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、時計64及び通信インターフェース65とをシステム伝送路72で接続することにより、コンピュータを構成する。そしてPOS端末60は、そのコンピュータに、システム伝送路72を介してキーボード66、スキャナ67、ディスプレイ68、プリンタ69、カードリーダ70等のデバイス、及び、釣銭機インターフェース71を接続する。
【0027】
プロセッサ61は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ61は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、POS端末60としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ61は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0028】
メインメモリ62は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ62は、プロセッサ61が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ62は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ61によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0029】
補助記憶デバイス63は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス63となり得る。補助記憶デバイス63は、プロセッサ61が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ61での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス63は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0030】
時計64は、日付と時刻を計時する。プロセッサ61は、時計64によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0031】
通信インターフェース65は、通信ネットワーク30を接続する。POS端末60は、通信インターフェース65を介して、通信ネットワーク30に接続されたポイントサーバ40、電子マネーサーバ50等とデータ通信を行う。
【0032】
キーボード66は、数値を入力するためのテンキーの他、小計キー、取消キー、締めキー等のPOS端末60として必要な種々のファンクションキーを備えた入力デバイスである。
【0033】
スキャナ67は、例えば商品に付されたバーコードをスキャンして読み取る入力デバイスである。スキャナ67は、レーザ光の走査によりバーコードを読み取るタイプであってもよいし、撮像デバイスで撮像した画像からバーコードを読み取るタイプであってもよい。
【0034】
ディスプレイ68は、後述する初期画面、商品登録画面、小計画面、問合せ画面等の種々の画面情報を表示可能な画面を有する出力デバイスである。ディスプレイ68には、オペレータ用のディスプレイと客用のディスプレイとがある。ディスプレイ68は、画面上にタッチセンサを配置したタッチパネルであってもよい。
【0035】
プリンタ69は、取引レシート、クレジット伝票等の印刷に供する出力デバイスである。
【0036】
カードリーダ70は、媒体20である電子マネー付ポイントカードからデータを読み取る入力デバイスである。つまりカードリーダ70は、ICカードリーダ又は磁気カードリーダである。カードリーダ70がデータを読み取ることができる媒体は、電子マネー付ポイントカードに限定されない。例えばカードリーダがICカードリーダの場合、ICカードからなるクレジットカード、共通電子マネーカード等のデータも読み取ることができる。共通電子マネーカードとは、例えば交通系電子マネーに対応したカードである。例えばカードリーダが磁気カードリーダの場合、磁気カードからなるクレジットカード、プリペイドカード等のデータも読み取ることができる。
【0037】
釣銭機インターフェース71は、自動釣銭機(不図示)を接続する。釣銭機インターフェース71は、自動釣銭機から当該自動釣銭機に投入された貨幣の金額データを入力する。釣銭機インターフェース71は、自動釣銭機へと釣銭データを出力する。釣銭データを入力した自動釣銭機は、その釣銭データ相当の貨幣を釣銭として自動的に払い出す。
【0038】
かかる構成のPOS端末60は、カードリーダ70が読取部11として機能し、メインメモリ62が記憶部12として機能する。したがってメインメモリ62は、会員IDの記憶エリア121と、電子マネーIDの記憶エリア122とを有する。またPOS端末60は、キーボード66及びスキャナ67が入力部13として機能し、ディスプレイ68が表示部14として機能し、プロセッサ61が登録部15及び会計部16として機能し、通信インターフェース65が通信部17として機能する。
【0039】
そしてPOS端末60は、第1取得手段611、第2取得手段612、待ち受け手段613、決済手段614及び供与手段615として動作するようにプロセッサ61を制御する制御プログラムを実装している。制御プログラムは、メインメモリ62又は補助記憶デバイス63が記憶するアプリケーションプログラムの一つである。制御プログラムをメインメモリ62又は補助記憶デバイス63にインストールする方法は特に限定されない。リムーバブルな記録媒体に制御プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により制御プログラムを配信して、メインメモリ62又は補助記憶デバイス63にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM、メモリカード等のようにプログラムを非一時的に記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0040】
第1取得手段611は、第1の媒体201が有する情報から決済者の識別情報と当該決済者との取引の決済に使用される決済用情報とを取得する手段である。本実施形態において、第1の媒体201は電子マネー付ポイントカードである。決済者の識別情報は会員IDである。決済用情報は電子マネーIDである。
【0041】
第2取得手段612は、第1の媒体201とは異なる第2の媒体202が有する情報から決済用情報を取得する手段である。本実施形態において、第2の媒体202は、第1の媒体201である電子マネー付ポイントカードとは別の電子マネー付ポイントカードである。決済用情報は電子マネーIDである。
【0042】
待ち受け手段613は、第1取得手段611で識別情報(会員ID)と決済用情報(電子マネーID)とを取得した後に取引の決済が指示されると、第1取得手段611で取得した決済用情報(第1の媒体201の電子マネーID)の使用が指令されるか、第2取得手段612で決済用情報(第2の媒体202の電子マネーID)を取得するのを待ち受ける手段である。
【0043】
決済手段614は、決済用情報の使用が指令された場合には、第1取得手段611で取得した決済用情報(第1の媒体201の電子マネーID)で決済者との取引を決済する手段である。また決済手段614は、第2取得手段で決済用情報(第2の媒体202の電子マネーID)を取得した場合には、当該決済用情報を使用して決済者との取引を決済する手段である。
【0044】
供与手段615は、取引の決済に基づくサービスを第1取得手段611で取得した識別情報(会員ID)で識別される決済者に供与する手段である。サービスは、ポイントサービスである。
【0045】
図4及び図5は、POS端末60のプロセッサ61が実行する取引決済処理の要部手順を示す流れ図である。取引決済処理は、小売店舗の場合、決済者が購入する商品の売上データを登録し、その合計金額の会計を終えるまでの処理である。取引決済処理は、施設店舗の場合、決済者の利用に伴う施設の売上データを登録し、施設利用料金の会計を終えるまでの処理である。
【0046】
以下、図4及び図5に示される取引決済処理の手順に従い、POS端末60が有する第1取得手段611、第2取得手段612、待ち受け手段613、決済手段614及び供与手段615に係る動作について説明する。なお、以下に説明する動作の手順及び内容は一例である。同様な効果を得られるのであれば、動作の手順又は内容は適宜変更することができる。
【0047】
図4に示すように、プロセッサ61は、取引決済処理が開始されると先ず、ACT1としてディスプレイ68に初期画面を表示する。初期画面は、取引決済処理の開始をオペレータに通知する画面である。例えば初期画面は、決済者がポイントサービス会員である場合に電子マネー付ポイントカードのデータをカードリーダ70で読み取らせることをオペレータに指示する画面である。オペレータは、典型的には店員である。決済者がオペレータとなってもよい。初期画面を確認したオペレータは、決済者がポイントサービス会員の場合、その決済者が所有する電子マネー付ポイントカードのデータをカードリーダ70で読み取らせる。決済者がポイントサービス会員でない場合には、オペレータは、例えばキーボード66の取消キーを入力する。
【0048】
プロセッサ61は、ACT2としてポイントサービス会員の取引であるか否かを確認する。例えばキーボード66の取消キーが入力された場合、プロセッサ61は、ポイントサービス会員の取引でないと認識する。プロセッサ61は、ACT2においてNOと判定し、非会員との取引を処理する。この処理は、既存のPOS端末において周知の処理であるので、ここでの説明は省略する。
【0049】
カードリーダ70により電子マネー付ポイントカードが読み取られた場合、すなわち、データ構造21の種別コードが電子マネー付ポイントカードを示す場合、プロセッサ61は、ポイントサービス会員の取引であると認識する。プロセッサ61は、ACT2においてYESと判定し、ACT3へと進む。
【0050】
プロセッサ61は、ACT3として電子マネーの機能を連携させたポイントカードであるか否かを確認する。データ構造21の連携フラグが“0”の場合、電子マネー付ポイントカードは電子マネーの機能が無効である。プロセッサ61は、ACT3においてNOと判定し、ACT4へと進む。プロセッサ61は、ACT4としてデータ構造21の会員IDを記憶エリア121に書き込む。
【0051】
これに対し、データ構造21の連携フラグが“1”の場合には、電子マネー付ポイントカードは電子マネーの機能が有効である。プロセッサ61は、ACT3においてYESと判定し、ACT5へと進む。プロセッサ61は、ACT5としてデータ構造21の会員IDを記憶エリア121に書き込み、電子マネーIDを記憶エリア122に書き込む。
ここにプロセッサ61は、ACT4及びACT5の処理により、第1取得手段611として動作する。
【0052】
ACT4又はACT5の処理を終えると、プロセッサ61は、ACT6として会員情報を取得する。具体的にはプロセッサ61は、記憶エリア121に記憶した会員IDを含む会員情報の問合せコマンドを生成し、ポイントサーバ40に送信するように通信インターフェース65を制御する。この制御により、通信インターフェース65から通信ネットワーク30を介してポイントサーバ40へと問合せコマンドが送信される。問合せコマンドを受信したポイントサーバ40は、ポイントデータベース41を検索し、問合せコマンド中の会員IDを含むポイントレコードからポイントデータを含む会員情報を取得する。ポイントサーバ40は、その会員情報を含む応答コマンドを、問合せコマンド送信元のPOS端末60へと返信する。かくしてプロセッサ61は、ポイントサーバ40から会員情報を取得することができる。プロセッサ61は、会員情報をメインメモリ62に記憶する。
【0053】
プロセッサ61は、ACT7としてディスプレイ68に登録画面を表示する。小売店舗の場合、登録画面は、決済者が購入する商品に係るデータの入力を受け付ける画面である。施設店舗の場合、登録画面は、決済者の施設利用状況に係るデータの入力を受け付ける画面である。
【0054】
プロセッサ61は、ACT8として登録操作が行われたか否かを確認する。登録操作とは、小売店舗の場合、キーボード66又はスキャナ67等を介して決済者が購入する商品に係るデータを入力する操作である。登録操作とは、施設店舗の場合、キーボード66又はスキャナ67等を介して決済者の施設利用状況に係るデータの入力が行われることである。登録操作が行われていない場合、プロセッサ61は、ACT8においてNOと判定し、ACT9へと進む。プロセッサ61は、ACT9として小計操作が行われたか否かを確認する。小計操作とは、例えばキーボード66の小計キーを入力する操作である。小計操作が行われていない場合、プロセッサ61は、ACT9においてNOと判定し、ACT8へと戻る。このようにプロセッサ61は、ACT8及びACT9として登録操作が行われるか小計操作が行われるのを待ち受ける。
【0055】
ACT8及びACT9の待ち受け状態において、登録操作が行われると、プロセッサ61は、ACT8においてYESと判定し、ACT10へと進む。プロセッサ61は、ACT10として登録処理を実行する。具体的にはプロセッサ61は、登録操作によって入力されたデータを基に決済者が購入した商品の売上データ又は決済者が利用した施設の売上データを登録処理する。またプロセッサ61は、登録処理の結果を基に登録画面を更新する。その後、プロセッサ61は、ACT8及びACT9の待ち受け状態に戻る。
【0056】
ACT8及びACT9の待ち受け状態において、小計操作が行われると、プロセッサ61は、ACT9においてYESと判定し、ACT11へと進む。なお、少なくとも1回の登録操作が行われていることが前提である。登録操作なしに小計操作が行われた場合には、プロセッサ61は、小計操作を無効とする。
【0057】
少なくとも1回の登録操作が行われた後で小計操作が行われると、プロセッサ61は、ACT9においてYESと判定し、ACT11へと進む。プロセッサ61は、ACT11としてディスプレイ68に小計画面を表示する。小計画面は、小計額を表示する画面である。小計額は、小売店舗の場合、決済者が購入する商品の合計金額である。小計額は、施設店舗の場合、決済者の施設利用状況に応じて算出される施設利用料金である。小計画面を確認したオペレータは、締め操作を行う。締め操作は、例えばキーボード66の締めキーを入力する操作である。
【0058】
小計画面の表示を制御したプロセッサ61は、ACT12として締め操作が行われたか否かを確認する。締め操作が行われていない場合、プロセッサ61は、ACT12においてNOと判定し、ACT8へと戻る。プロセッサ61は、ACT8及びACT9の待ち受け状態に戻る。このとき、ディスプレイの画面は、小計画面から直前の登録画面に戻る。したがってオペレータは、小計操作の後でも再び登録操作を行うことができる。
【0059】
締め操作が行われると、プロセッサ61は、ACT12においてYESと判定し、ACT13へと進む。プロセッサ61は、ACT13としてディスプレイ68に支払方法選択画面を表示する。支払方法選択画面は、支払方法の選択入力を受け付ける画面である。支払方法としては、現金、クレジットカード、電子マネーカード等がある。オペレータは、決済者が現金支払いを希望する場合、支払方法選択画面から現金を選択する。オペレータは、決済者がクレジットカード支払いを希望する場合、支払方法選択画面からクレジットカードを選択する。オペレータは、決済者が電子マネー支払いを希望する場合、支払方法選択画面から電子マネーを選択する。
【0060】
支払方法選択画面を表示したプロセッサ61は、図5のACT21として支払方法が選択されるのを待ち受ける。そして、支払方法選択画面に対するキー操作又はタッチ操作によりいずれかの支払方法が選択されると、プロセッサ61は、ACT21においてYESと判定し、ACT22へと進む。プロセッサ61は、ACT22として電子マネー支払いが選択されたか否かを確認する。
【0061】
電子マネー以外の支払方法が選択された場合、プロセッサ61は、ACT22においてNOと判定し、第1の他の処理[他の処理1]を実行する。第1の他の処理とは、選択された支払方法に応じた決済処理である。例えば現金支払いが選択された場合、プロセッサ61は、預り金額から合計金額または施設利用料金を引き去る現金取引の決済処理を実行する。例えばクレジットカード支払いが選択された場合、プロセッサ61は、カードリーダ70で読み取られるクレジットカードの信用取引に基づく決済処理を実行する。例えば、バーコード又は二次元コード等を用いたコード決済の場合には、プロセッサ61は、スキャナ67で読み取ったコードに基づく決済処理を実行する。これらの決済処理は、既存のPOS端末において周知の処理であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0062】
一方、電子マネー支払いが選択された場合には、プロセッサ61は、ACT22においてYESと判定し、ACT23へと進む。プロセッサ61は、ACT23として記憶エリア122に電子マネーIDが書き込まれているか否かを確認する。
【0063】
記憶エリア122に電子マネーIDが書き込まれていない場合、初期画面の表示中にカードリーダ70が読み取った電子マネー付ポイントカードは、ハウス型電子マネーを連携しない設定、つまりは連携フラグが“0”のカードである。プロセッサ61は、ACT23においてNOと判定し、第2の他の処理[他の処理2]を実行する。第2の他の処理は、例えば交通系電子マネーによる決済処理である。この決済処理は、既存のPOS端末において周知の処理であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0064】
記憶エリア122に電子マネーIDが書き込まれている場合、初期画面の表示中にカードリーダ70が読み取った電子マネー付ポイントカードは、ハウス型電子マネーを連携する設定、つまりは連携フラグが“1”のカードである。プロセッサ61は、ACT23においてYESと判定し、ACT24へと進む。プロセッサ61は、ACT24としてディスプレイ68に問合せ画面80(図6を参照)を表示する。
【0065】
図6は、問合せ画面80の一例を示す模式図である。問合せ画面80は、OKボタン81とともに、オペレータへのメッセージ82を表示した画面である。メッセージ82は、決済者が、初期画面の表示中に読み取った電子マネー付ポイントカードの電子マネーで取引の代金を支払う場合にはOKボタン81を入力すること、及び、別の電子マネー付ポイントカードの電子マネーで取引の代金を支払う場合にはそのポイントカードを読み取らせること、をオペレータに通知する内容である。
【0066】
メッセージ82を確認したオペレータは、決済者が、初期画面の表示中に読み取ったポイントカードの電子マネーで取引の代金を支払う場合にはOKボタン81を入力する。決済者が、別の電子マネー付ポイントカードの電子マネーで取引の代金を支払う場合には、オペレータは、その電子マネー付ポイントカードのデータをカードリーダ70で読み取らせる。
【0067】
問合せ画面80を表示したプロセッサ61は、ACT25としてOKボタン81が入力されたか否かを確認する。OKボタン81が入力されていない場合、プロセッサ61は、ACT25においてNOと判定し、ACT26へと進む。プロセッサ61は、ACT26としてカードリーダ70でカードデータが読み取られたか否かを確認する。カードデータが読み取られていない場合、プロセッサ61は、ACT26においてNOと判定し、ACT25へと戻る。カードデータが読み取られた場合には、プロセッサ61は、ACT26においてYESと判定し、ACT27へと進む。プロセッサ61は、ACT27としてカードデータが電子マネー付ポイントカードのデータであるか否かを確認する。カードデータが電子マネー付ポイントカードのデータでない場合、プロセッサ61は、ACT27においてNOと判定し、ACT25へと戻る。このように、問合せ画面80を表示したプロセッサ61は、ACT25乃至ACT27において、OKボタン81が入力されるか、電子マネー付ポイントカードのデータが読み取られるのを待ち受ける。
ここに、プロセッサ61は、ACT25乃至ACT27の処理により、待ち受け手段613として動作する。
【0068】
ACT25乃至ACT27の待ち受け状態において、OKボタン81が入力されると、プロセッサ61は、ACT25においてYESと判定し、ACT28へと進む。プロセッサ61は、ACT28としてメインメモリ62の記憶エリア122から電子マネーIDを取得する。そしてプロセッサ61は、ACT30へと進む。
ここに、プロセッサ61は、ACT28の処理により、第2取得手段612として動作する。
【0069】
ACT25乃至ACT27の待ち受け状態において、電子マネー付ポイントカードのデータが読み取られた場合、すなわち、データ構造21の種別コードが電子マネー付ポイントカードを示す場合には、プロセッサ61は、ACT27においてYESと判定し、ACT29へと進む。プロセッサ61は、ACT29としてそのデータ構造21の電子マネーIDを取得する。そしてプロセッサ61は、ACT30へと進む。
【0070】
このように、問合せ画面80の表示中にOKボタン81が入力された場合には、プロセッサ61は、メインメモリ62の記憶エリア122から電子マネーIDを取得する。問合せ画面80の表示中に電子マネー付ポイントカードのデータが読み取られた場合には、プロセッサ61は、そのポイントカードから電子マネーIDを取得する。
【0071】
電子マネーIDを取得したプロセッサ61は、ACT30として電子マネーの残高を取得する。具体的にはプロセッサ61は、電子マネーIDを含む残高問合せコマンドを生成し、電子マネーサーバ50に送信するように通信インターフェース65を制御する。この制御により、通信インターフェース65から通信ネットワーク30を介して電子マネーサーバ50へと残高問合せコマンドが送信される。残高問合せコマンドを受信した電子マネーサーバ50は、電子マネーデータベース51を検索し、問合せコマンド中の電子マネーIDを含む電子マネーレコードから電子マネーの残高を取得する。電子マネーサーバ50は、その残高を含む応答コマンドを、問合せコマンド送信元のPOS端末60へと返信する。かくしてプロセッサ61は、電子マネーサーバ50から電子マネーの残高を取得することができる。プロセッサ61は、電子マネーの残高をメインメモリ62に記憶する。
【0072】
電子マネーの残高を取得したプロセッサ61は、ACT31として電子マネーの決済処理を実行する。すなわちプロセッサ61は、電子マネーの残高から決済金額を引き去る。そしてプロセッサ61は、電子マネーIDと決済金額を引き去った後の電子マネーの残高とを含む残高更新コマンドを生成し、電子マネーサーバ50に送信するように通信インターフェース65を制御する。この制御により、通信インターフェース65から通信ネットワーク30を介して電子マネーサーバ50へと残高更新コマンドが送信される。残高更新コマンドを受信した電子マネーサーバ50は、電子マネーデータベース51を検索し、更新コマンド中の電子マネーIDを含む電子マネーレコードの残高を、更新コマンド中の残高に変更する。
ここに、プロセッサ61は、ACT30及びACT31の処理により、決済手段614として動作する。
【0073】
なお、決済金額に対して電子マネーの残高が不足している場合には、プロセッサ61は、電子マネーによる代金の支払いをエラーとする。その場合、決済者は、電子マネー以外の支払方法で代金を支払うこととなる。
【0074】
電子マネーの決済処理を終えたプロセッサ61は、ACT32としてポイント加算処理を実行する。具体的にはプロセッサ61は、決済金額に基づいてサービスポイントを算出する。そしてプロセッサ61は、記憶エリア121に記憶したポイントIDとサービスポイントとを含むポイント更新コマンドを生成し、ポイントサーバ40に送信するように通信インターフェース65を制御する。この制御により、通信インターフェース65から通信ネットワーク30を介してポイントサーバ40へとポイント更新コマンドが送信される。ポイント更新コマンドを受信したポイントサーバ40は、ポイントデータベース41を検索し、更新コマンド中のポイントIDを含むポイントレコードのポイントに、更新コマンド中のサービスポイントを加算する。
ここに、プロセッサ61は、ACT32の処理により、供与手段615として動作する。
【0075】
ポイント加算処理を終えたプロセッサ61は、ACT33としてプリンタ69を制御してレシート印刷を行う。また、プロセッサ61は、ACT34としてディスプレイ68に取引完了画面を表示する。取引完了画面は、取引が終了したことをオペレータに通知する画面である。以上で、プロセッサ61は、取引決済処理を終了する。
【0076】
プロセッサ61が第1取得手段611、第2取得手段612、待ち受け手段613及び決済手段614として動作するPOS端末60によれば、以下の作用効果を奏し得る。
【0077】
例えば、それぞれ電子マネー付ポイントカードを所有する二人連れの決済者が、ポイントは一方の電子マネー付ポイントカードに加算したいが、支払いは他方の電子マネー付ポイントカードで支払いたいという場合がある。この場合、オペレータは先ず、一方の電子マネー付ポイントカード(第1の媒体201)のデータをカードリーダ70で読み取らせる。これによりプロセッサ61は、第1取得手段611として動作する。
【0078】
次いでオペレータは、登録操作を行い、小計操作を行い、締め操作を行う。締め操作に応じてディスプレイ68に支払方法選択画面が表示されるので、オペレータは、支払方法として電子マネーを選択する。そうすると、ディスプレイ68に問合せ画面80が表示される。すなわちプロセッサ61は、待ち受け手段613として動作する。
【0079】
オペレータは、問合せ画面80のメッセージに従い、他方の電子マネー付ポイントカード(第2の媒体202)のデータをカードリーダ70で読み取らせる。これによりプロセッサ61は、第2取得手段612として動作する。
【0080】
プロセッサ61は、他方の電子マネー付ポイントカードの電子マネーIDで特定される電子マネーの残高から決済金額を引き去る。すなわちプロセッサ61は、決済手段614として動作する。
【0081】
このように本実施形態のPOS端末60によれば、問合せ画面80のメッセージに従い、他方の電子マネー付ポイントカードのデータをカードリーダ70で読み取らせるだけで、最初にデータを読み取らせた電子マネー付ポイントカードではない別の電子マネー付ポイントカードの電子マネーで取引を決済することができる。
【0082】
その上、プロセッサ61は、供与手段615として動作する。すなわちプロセッサ61は、一方の電子マネー付ポイントカードの会員IDで特定されるポイントサービス会員の累積ポイントに、今回の取引で付与されるサービスポイントを加算する。したがって、ポイントは一方の電子マネー付ポイントカードに付与したいが、決済は他方の電子マネー付ポイントカードの電子マネーで行いたいという決済者の要望を、POS端末60は、簡単な操作で満足させることができる。
【0083】
一方、ポイントの付与も決済も一方の電子マネー付ポイントカードで行いたいという決済者の要望に対しては、オペレータは、問合せ画面80のメッセージに従い、OKボタン81を入力する。そうすると、プロセッサ61は、一方の電子マネー付ポイントカードの電子マネーIDで特定される電子マネーの残高から決済金額を引き去る。すなわちプロセッサ61は、決済手段614として動作する。またプロセッサ61は、一方の電子マネー付ポイントカードの会員IDで特定されるポイントサービス会員の累積ポイントに、今回の取引で付与されるサービスポイントを加算する。すなわちプロセッサ61は、供与手段615として動作する。
【0084】
このように、ポイントの付与も決済も一方の電子マネー付ポイントカードで行いたいという決済者の要望に対しては、POS端末60は、OKボタン81を入力するだけの簡単な操作で満足させることができる。一方の電子マネー付ポイントカードを再度読み取らせる必要はない。したがって、POS端末60によれば、支払方法の汎用性を損なうことなく、電子マネー付ポイントカードによる支払いに煩雑感なく対処できる効果を奏し得る。
【0085】
ところでPOS端末60は、電子マネー付ポイントカードから情報を読み取る読取手段としてカードリーダ70を備えている。そして、プロセッサ61が実行する第1取得手段611は、取引の決済が指示される前にカードリーダ70で読み取った電子マネー付ポイントカードから会員IDと電子マネーIDとを取得する。第2取得手段612は、取引の決済が指示された後にカードリーダ70で読み取った電子マネー付ポイントカードから電子マネーIDを取得する。このようにPOS端末60は、第1取得手段611及び第2取得手段としての動作を、1つのカードリーダ70で兼用することができる。したがって、オペレータにとって電子マネー付ポイントカードの取り扱いが容易であり、POS端末60は使い勝手の良いものとなる。
【0086】
また、待ち受け手段613は、第1取得手段611で取得した電子マネーの使用を指令するための操作ボタンとしてOKボタン81を表示部であるディスプレイ68に表示する。そして、OKボタン81が操作された場合には、POS端末60は、第1取得手段611で取得した電子マネーIDの使用が指令されたと判定する。一方、カードリーダ70で別の電子マネー付ポイントカードが読み取られた場合には、POS端末60は、その電子マネー付ポイントカードから取得した電子マネーIDを使用すると判定する。したがってオペレータは、ディスプレイ68にOKボタン81が表示されたタイミングで、OKボタン81を操作すればよい。あるいはオペレータは、別の電子マネー付ポイントカードをカードリーダ70で読み取らせればよい。このように、オペレータに対して煩雑差な操作が要求されないので、この点からもPOS端末60は使い勝手の良いものとなる。
【0087】
以上、決済装置の実施形態について説明したが、かかる実施形態はこれに限定されるものではない。
例えば前記実施形態では、決済装置10の一態様として、小売店舗又は施設店舗の会計場に設置されるPOS端末60を例示した。決済装置は、この種のPOS端末60に限定されない。例えば、登録部15としての機能を備えた登録装置と、会計部16としての機能を備えた会計装置とを備え、登録装置は店員が操作し、会計装置は客が自身で操作するようにしたセミセルフ式の決済装置に対しても、本発明を適用することができる。この場合、会計装置のタッチパネルに問合せ画面80が表示される。店員に提示した電子マネー付ポイントカードの電子マネーで決済する客は、問合せ画面80のOKボタン81にタッチすればよい。また、別の電子マネー付ポイントカードの電子マネーで決済する客は、会計装置のカードリーダでその電子マネー付ポイントカードを読み取らせればよい。
【0088】
また、登録装置をタブレット端末で構成し、ショッピングカードに取り付けて、客が売場で商品を購入する際にその商品のバーコード等をタブレット端末のスキャナで読み取るようにしたセミセルフ式又はフルセルフ式の決済装置がある。同様に、登録装置をスマートフォンで構成して客が携帯して、客が売場で商品を購入する際にその商品のバーコード等をスマートフォンのカメラで撮影するようにしたセミセルフ式又はフルセルフ式の決済装置決済もある。このような決済装置に対しても、本発明を適用することは可能である。
【0089】
前記実施形態では、供与手段615が供与するサービスをポイントサービスとした。サービスの種類は、ポイントサービスに限定されない。例えば取引の実績に応じた値割引のサービスであってもよい。また、必ずしもサービスが供与されなくてもよい。
【0090】
前記実施形態では、媒体20を電子マネー付ポイントカードとした。媒体20は、必ずしもカードでなくてもよい。媒体20は、会員IDと電子マネーIDとを含むバーコード又は二次元データコードを表示可能なアプリケーションプログラムを実装した情報端末であってもよい。
【0091】
問合せ画面80に表示されるOKボタン81及びメッセージ82のテキストデータは、図示するものに限定されない。また、OKボタン81の代わりに、キーボード66の所定のキーを入力するようなメッセージを表示してもよい。
【0092】
図2に示すデータ構造21から連携フラグを削除してもよい。すなわち、電子マネー付ポイントカードを受け取ったポイント会員は、電子マネー支払いは必ずハウス型電子マネーで行うように制限を設けてもよい。
【0093】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]第1の媒体が有する情報から決済者の識別情報と当該決済者との取引の決済に使用される決済用情報とを取得する第1取得手段と、前記第1の媒体とは異なる第2の媒体が有する情報から前記決済用情報を取得する第2取得手段と、前記第1取得手段で前記識別情報と前記決済用情報とを取得した後に前記取引の決済が指示されると、前記第1取得手段で取得した前記決済用情報の使用が指令されるか、前記第2取得手段で前記決済用情報を取得するのを待ち受ける待ち受け手段と、前記決済用情報の使用が指令された場合には、前記第1取得手段で取得した前記決済用情報で前記決済者との取引を決済し、前記第2取得手段で前記決済用情報を取得した場合には、当該第2取得手段で取得した決済用情報を使用して前記決済者との取引を決済する決済手段と、を具備する決済装置。
[2]前記取引の決済に基づくサービスを前記第1取得手段で取得した前記識別情報で識別される決済者に供与する供与手段、をさらに具備する付記[1]記載の決済装置。
[3]媒体から情報を読み取る読取手段、をさらに具備し、前記第1取得手段は、前記取引の決済が指示される前に前記読取手段で読み取った前記第1の媒体の情報から前記決済者の識別情報と前記決済用情報とを取得し、前記第2取得手段は、前記取引の決済が指示された後に前記読取手段で読み取った前記第2の媒体の情報から前記決済用情報を取得する、付記[1]又は[2]記載の決済装置。
[4]前記待ち受け手段は、前記第1取得手段で取得した前記決済用情報の使用を指令するための操作ボタンを表示部に表示し、前記操作ボタンが操作された場合には、前記決済用情報の使用が指令されたと判定し、前記読取手段で前記第2の媒体の情報が読み取られると前記第2取得手段で取得した決済用情報を使用すると判定する、付記[3]記載の決済装置。
[5]決済装置のコンピュータを、第1の媒体が有する情報から決済者の識別情報と当該決済者との取引の決済に使用される決済用情報とを取得する第1取得手段、前記第1の媒体とは異なる第2の媒体が有する情報から前記決済用情報を取得する第2取得手段、前記第1取得手段で前記識別情報と前記決済用情報とを取得した後に前記取引の決済が指示されると、前記第1取得手段で取得した前記決済用情報の使用が指令されるか、前記第2取得手段で前記決済用情報を取得するのを待ち受ける待ち受け手段、及び、前記決済用情報の使用が指令された場合には、前記第1取得手段で取得した前記決済用情報で前記決済者との取引を決済し、前記第2取得手段で前記決済用情報を取得した場合には、当該第2取得手段で取得した決済用情報を使用して前記決済者との取引を決済する決済手段、として機能させるためのプログラム。
[6]第1の媒体が有する情報から決済者の識別情報と当該決済者との取引の決済に使用される決済用情報とを取得する第1取得手段と、前記第1の媒体とは異なる第2の媒体が有する情報から前記決済用情報を取得する第2取得手段とを備えた決済装置が、前記第1取得手段で前記識別情報と前記決済用情報とを取得した後に前記取引の決済が指示されると、前記第1取得手段で取得した前記決済用情報の使用が指令されるか、前記第2取得手段で前記決済用情報を取得するのを待ち受け、前記決済用情報の使用が指令された場合には、前記第1取得手段で取得した前記決済用情報で前記決済者との取引を決済し、前記第2取得手段で前記決済用情報を取得した場合には、当該第2取得手段で取得した決済用情報を使用して前記決済者との取引を決済する、決済方法。
【符号の説明】
【0094】
10…決済装置、11…読取部、12…記憶部、13…入力部、14…表示部、15…登録部、16…会計部、17…通信部、20…媒体、30…通信ネットワーク、40…ポイントサーバ、41…ポイントデータベース、50…電子マネーサーバ、51…電子マネーデータベース、60…POS端末、61…プロセッサ、62…メインメモリ、63…補助記憶デバイス、64…時計、65…通信インターフェース、66…キーボード、67…スキャナ、68…ディスプレイ、69…プリンタ、70…カードリーダ、80…問合せ画面、81…OKボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6