(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20250522BHJP
【FI】
B62D25/08 D
(21)【出願番号】P 2024057050
(22)【出願日】2024-03-29
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】大倉 康平
(72)【発明者】
【氏名】河原 駿也
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-037016(JP,U)
【文献】特開平07-108900(JP,A)
【文献】特開2016-199129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外側の意匠面を構成すると共に車両の車体構造体に支持されるアウタパネルと、
前記アウタパネルを当該アウタパネルの裏面側から補強する補強部材と、
前記補強部材に取り付けられ車両の外部環境を検出するセンサ装置と、
を備えた車両構造であって、
前記車体構造体の剛性よりも低い剛性を有すると共に、前記補強部材に隣接して配置される低剛性部材を備え、
前記補強部材のうちの前記センサ装置の周辺部位であるセンサ周辺部が前記低剛性部材と連結されていることを特徴とする車両構造。
【請求項2】
前記センサ周辺部は、互いに対向する一対の対向部を有し、
前記低剛性部材は、前記一対の対向部同士を連結する連結部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両構造。
【請求項3】
前記センサ周辺部は、前記一対の対向部として、上下方向に対向して配置される上壁及び下壁を有し、
前記センサ装置は、前記上壁と前記下壁との間に配置されており、
前記連結部は、上下方向に延びる連結面部を有し、
前記連結面部は、上下方向に延びる段差部を有することを特徴とする請求項2に記載の車両構造。
【請求項4】
前記センサ周辺部は、前記アウタパネルと対向する側に、前記センサ装置が取り付けられるセンサ取付壁を有し、
前記センサ周辺部は、前記一対の対向部として、上下方向に対向して配置される上壁及び下壁を有し、
前記センサ装置は、前記上壁と前記下壁との間に配置されており、
前記連結部は、前記センサ周辺部の前記アウタパネルと対向する側とは反対側に配置され、
前記センサ取付壁と、前記上壁と、前記下壁と、前記連結部とによって前記センサ装置が収容されるセンサ収容空間が形成され、
前記センサ収容空間の少なくとも一部は、側面視で、前記センサ取付壁と、前記上壁と、前記下壁と、前記連結部とによって囲われていることを特徴とする請求項2に記載の車両構造。
【請求項5】
前記センサ周辺部は、前記アウタパネルと対向する側に、前記センサ装置のセンサブラケットが取り付けられるセンサ取付壁を有し、
前記センサ周辺部は、前記一対の対向部として、車幅方向に対向して配置される第1側部及び第2側部を有し、
前記センサ装置は、前記第1側部と前記第2側部との間に配置されており、
前記連結部は、前記センサ周辺部の前記アウタパネルと対向する側とは反対側に配置され、
前記センサ取付壁と、前記第1側部と、前記第2側部と、前記連結部とによって前記センサ装置が収容されるセンサ収容空間が形成され、
前記センサ収容空間の少なくとも一部は、上面視で、前記センサ取付壁もしくは前記センサブラケットと、前記第1側部と、前記第2側部と、前記連結部とによって囲われていることを特徴とする請求項2に記載の車両構造。
【請求項6】
前記センサ周辺部は、前記アウタパネルと対向する側に、前記センサ装置が取り付けられるセンサ取付壁を有し、
前記センサ取付壁の裏面には、前記センサ装置が固定されるセンサ固定部が設けられ、
前記センサ周辺部は、前記センサ固定部に隣接し前記センサ取付壁の前記裏面から前後方向に延びる隣接部を有し、
前記隣接部に前記低剛性部材が連結されることを特徴とする請求項1に記載の車両構造。
【請求項7】
前記隣接部は、筒状の周壁部と当該周壁部の前記アウタパネルの側の端とは反対側の端に位置する端壁部とを有することを特徴とする請求項6に記載の車両構造。
【請求項8】
前記隣接部は、前記センサ装置の左右のそれぞれに配置され、
左右の前記隣接部のそれぞれに前記低剛性部材が連結されることを特徴とする請求項6または7に記載の車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両構造に関し、詳しくは、車両の前部または後部の車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の前部や後部には、車両外側の意匠面を形成するバンパやグリルといったアウタパネル(外装部材とも言う)が設けられている。そして、アウタパネルの裏面側には、車両の外部環境をカメラ、レーダ、超音波などを用いて検出するセンサ装置が配置されることがある。
【0003】
車両の前部にセンサ装置を配置するための構造を有する、車両構造の一例として特許文献1に記載された車両構造が知られている。特許文献1に記載された車両構造では、レーダアンテナがフロントグリルのパネル材を裏面側から補強するフレーム材に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された車両構造のように、パネル材を裏面側からフレーム材といった補強部材によって補強する場合には、補強部材は、衝突時における衝撃を吸収するために、金属製薄板材や樹脂成形品などの部材により形成される。その結果、補強部材に対する剛性付与について、制約がある。
【0006】
そして、レーダアンテナが上述の制約を受けるフレーム材に取り付けられる場合、フレーム材におけるレーダアンテナ周辺部が走行時の振動や軽衝突等の衝撃に起因して弾性変形し、レーダアンテナ周辺部の弾性変形によってレーダアンテナの位置が変位する可能性がある。その結果、レーダアンテナの検出精度が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、アウタパネルを補強する補強部材におけるセンサ周辺部の変位を抑制することができる車両構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、車両外側の意匠面を構成すると共に車両の車体構造体に支持されるアウタパネルと、アウタパネルを当該アウタパネルの裏面側から補強する補強部材と、補強部材に取り付けられ車両の外部環境を検出するセンサ装置と、を備えた車両構造であって、車体構造体の剛性よりも低い剛性を有すると共に、補強部材に隣接して配置される低剛性部材を備え、補強部材のうちのセンサ装置の周辺部位であるセンサ周辺部が低剛性部材と連結されている、車両構造が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、アウタパネルを補強する補強部材におけるセンサ周辺部の変位を抑制することのできる車両構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態による車両構造を前方側から視た斜視図である。
【
図2A】車両構造からアウタパネル及びバンパフェイスを除いた状態を前方側から視た斜視図である。
【
図2B】車両構造からアウタパネル及びバンパフェイスを除いた状態の側面図である。
【
図3】車両構造からアウタパネル及びバンパフェイスを除いた状態を示す正面図である。
【
図4】車両構造の補強部材を背面側から視た拡大斜視図である。
【
図6】車両構造の低剛性部材を前方側から視た斜視図である。
【
図7】車両構造を背面側から視た車幅方向中央の拡大斜視図である。
【
図10】
図5におけるC-C位置での断面図である。
【
図11】
図5におけるD-D位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る車両1の車両構造2を前方側から視た斜視図であり、
図2Aは車両構造2からアウタパネル4及びバンパフェイス8を除いた状態を前方側から視た斜視図であり、
図2Bは車両構造2からアウタパネル4及びバンパフェイス8を除いた状態の側面図である。尚、本実施形態では、車両構造2は、車両1の前部の構造として適用されている。また、図において、矢印Fr方向は車両1の前後方向(以降において、前後方向という。)の前方を示し、矢印L方向は車両1の後方から前方に向かって視た状態での、車両1の車幅方向(以降において、車幅方向という。)の左方を示し、矢印U方向は車両1の上下方向(以降において、上下方向という。)の上方を示している。また、以下の説明では、車両1の前部の車両構造2において、前後方向について、「外側」は前側を示し、「裏側」は後側を示し、「外面」は前面を示し、「裏面」は後面を示す。「外側」を「表側」と表し、「外面」を「表側面」と表し、「裏側」を「内側」と表し、「裏面」を「内面」と表す場合がある。また、断面を示す場合に、水平方向の面で切断した場合の断面を「横断面」とし、水平方向に垂直な面で切断した場合の断面を「縦断面」とする。
【0012】
図1、
図2A及び
図2Bを参照して、車両構造2について説明する。車両構造2は、車両1の前部の車体構造の一部を構成する車体構造体3と、車両1の前部において車両外側の意匠面を構成すると共に車体構造体3に支持されるアウタパネル4と、アウタパネル4を当該アウタパネル4の裏面側から補強する補強部材5と、補強部材5に取り付けられるセンサ装置9と、補強部材5に隣接して配置される低剛性部材6とを含む。
【0013】
車体構造体3は、アウタパネル4を当該アウタパネル4の裏面側から支持している。車体構造体3は、鋼製であって剛性の高い部材である。車体構造体3は、車幅方向に延びて上部側に配置される第1車体骨格部材3aと、第1車体骨格部材3aよりも下方に配置され車幅方向に延びる第2車体骨格部材3bとを有する。第2車体骨格部材3bは、車両前後方向について第1車体骨格部材3aよりも前方に位置するように、第1車体骨格部材3aと並んで配置されている。
【0014】
車体構造体3は、アウタパネル4の上部と下部とをそれぞれ支持している。図示例では、アウタパネル4の上部は第1車体骨格部材3aに支持され、アウタパネル4の下部は第2車体骨格部材3bに支持されている。
【0015】
具体的には、第1車体骨格部材3aは、概ねハット形断面を有して車幅方向に延びている。第1車体骨格部材3aの前側フランジ3a1の上面に、補強部材5の後述するサイド補強部上壁21aが連結されている。そして、アウタパネル4の上部がサイド補強部上壁21aの前部に連結されることによって、アウタパネル4の上部が補強部材5を介して第1車体骨格部材3aに支持されている。
【0016】
第2車体骨格部材3bの車幅方向の中央の上部には、支持ブラケット12(後述の
図5参照)が取り付けられており、補強部材5の中央の下部(図示例では、後述する下側支持部22)は支持ブラケット12に連結され下方から支持ブラケット12により支持されている。そして、補強部材5の下部の前部(図示例では、後述する突出端壁232)にアウタパネル4の下部が連結されることによって、アウタパネル4の下部が補強部材5及び支持ブラケット12を介して第2車体骨格部材3bに支持されている。
【0017】
第2車体骨格部材3bの車幅方向両端部のアウタパネル4と対向する側の面である表側面には、縦断面が後方に開放された概ね溝形状に形成された衝撃吸収部材7(
図2A参照)が取り付けられている。衝撃吸収部材7は、鋼製の薄板で形成されている。衝撃吸収部材7の剛性は車体構造体3(詳しくは、第2車体骨格部材3b)の剛性よりも低い。衝撃吸収部材7は、車両1の前側から衝突対象物が衝突した場合に、衝突による衝撃を吸収する部材である。尚、車両1の前側の車両構造2において、低剛性部材6は、走行時による走行風を所定の場所に導くためのエアガイドである。
【0018】
センサ装置9は、センサ10と、当該センサ10を支持し薄板状に形成されたセンサブラケット11とを有する(
図10参照)。センサ10は、車両の外部環境を検出するセンサ本体であり、車両の外部環境を検出する検出波を照射(送信)または受信する。センサ10としては、ミリ波帯域の電磁波を検出波として用いるミリ波レーダ、音波を検出波として用いる音波センサ(超音波センサ/ソナー)、可視光帯域の電磁波や赤外線帯域の電磁波を検出波として用いるカメラ(撮像装置)などが用いられる。尚、検出波はセンサ10から送信される場合に限らない。太陽光が検出波として用いられてもよいし、検出波はセンサ10とは別に設けられる検出波送信装置から送信されてもよい。
【0019】
アウタパネル4は、車両1の前部にて外側の意匠面を構成し、車幅方向に延びる部材である。アウタパネル4は、樹脂製射出成形品であり、薄く且つ車幅方向に広範囲に広がる大型パネルである。そのため、アウタパネル4の剛性は車体構造体3の剛性よりも低い。アウタパネル4の車幅方向中央にはフロントグリル4aが設けられ、フロントグリル4aには複数の通気孔が設けられている。アウタパネル4の上部側は、補強部材5を介して第1車体骨格部材3aに支持され、アウタパネル4の下部側は、衝撃吸収部材7を介して第2車体骨格部材3bに支持される。アウタパネル4の車幅方向両端部側のそれぞれには、バンパフェイス8が配置されている。バンパフェイス8には、車両1の前方の領域を照明する図示されないフロントランプが設けられている。なお、バンパフェイス8はアウタパネル4と一体に形成されてもよいし、アウタパネル4とは別体に形成されてもよい。また、バンパフェイス8も車両の前部にて外側の意匠面を構成しており、バンパフェイス8はアウタパネル4の要素に含まれてもよい。つまり、バンパフェイス8はアウタパネル4の一部であってもよい。
【0020】
次に、
図2A、
図2B及び
図3を参照して、補強部材5について説明する。
図3は、車両構造2からアウタパネル4及びバンパフェイス8を除いた状態であって、補強部材5と低剛性部材6の配置を示す正面図である。
【0021】
アウタパネル4の裏側には、車幅方向に延びる補強部材5が設けられている。補強部材5は、アウタパネル4をアウタパネル4の裏面側から補強する。補強部材5は樹脂製射出成形品であり、補強部材5の剛性は車体構造体3の剛性よりも低い。補強部材5の中央には、センサ装置9が取り付けられるセンサ周辺部20が設けられている。換言すると、センサ周辺部20は、補強部材5のうちのセンサ装置9の周辺部位である。センサ周辺部20の車幅方向の左右両側には、車幅方向に延びるサイド補強部21が設けられている。
【0022】
補強部材5は、サイド補強部21にてアウタパネル4を下方から支持すると共に、補強部材5の前面側(正面側)にてアウタパネル4を後方から支持することで、アウタパネル4を裏面側から補強している。
【0023】
さらに、補強部材5は、下側支持部22と、突出部23とを有する。下側支持部22は、センサ周辺部20の下方に設けられセンサ周辺部20を下方から支持する部位である。下側支持部22は、センサ周辺部20の下部に連続している。突出部23は、下側支持部22の下端から前方に突出している。突出部23は、下側支持部22の下端から前方に延びる前後壁231と、前後壁231の前端から下方に延び当該突出部23の前端部を構成する突出端壁232と、を有する。突出端壁232の前面は、突出部23の突出前端面23aを構成している。補強部材5は、
図3に示されるように正面視でT字状に形成され、センサ周辺部20、下側支持部22及び突出部23は、補強部材5において車幅方向の中央に配置されている。
【0024】
図2Bに示されるように、下側支持部22のアウタパネル4と対向する側の面となる表側面22a(前面)は、前後方向において、センサ周辺部20のアウタパネル4と対向する側の面となる表側面20a(前面)よりも内側(後側)に配置されている。突出部23のアウタパネル4と対向する側の面となる表側面(前面)であり且つ突出部23の突出前端面23aは、前後方向において、センサ周辺部20の表側面20aよりもアウタパネル4と対向する側となる外側(前側)に突出しており、突出部23の突出端壁232は、補強部材5のうちで前後方向において前側に最も突出している部分である。そのため、突出部23の突出前端面23aと下側支持部22の表側面22aとの間の前後方向における離隔寸法Δaは、突出部23の突出前端面23aとセンサ周辺部20の表側面20aとの間の前後方向における離隔寸法Δbよりも長くなる。すなわち、突出部23は、センサ周辺部20の表側面20aよりも内側(後側)となる位置から突出している。尚、突出部23の突出端壁232には、突出部23をアウタパネル4に連結して固定するためのパネル固定孔233が設けられている。
【0025】
従って、車両1の外部側となる前側から衝突対象物が衝突した場合に、突出部23は、補強部材5のうちの突出部23とは別の部位よりも先に、衝突による衝撃を受け易い。その結果、センサ周辺部20に衝撃荷重が加わる前に、突出部23が変形する。従って、衝突による衝撃が吸収され、センサ周辺部20の変位が抑制され得る。
【0026】
また、離隔寸法Δaは、離隔寸法Δbよりも長くなっている。その結果、車両1の外部側となる前側から衝突対象物が衝突した場合に、突出部23の変形範囲(変形ストローク)の増加が図られ、センサ周辺部20に衝撃荷重が加わる前に、突出部23が変形する。その結果、衝突による衝撃が吸収され、センサ周辺部20の変位が効果的に抑制される。
【0027】
前後壁231は、図示例では、下側支持部22から突出端壁232に向かうに従って、下方に向かって傾斜している。尚、前後壁231の傾斜方向は、これに限定されない。前後壁231は、下側支持部22から突出端壁232に向かうに従って、上方に向かって傾斜していてもよい。
【0028】
前後壁231が、下側支持部22から突出部23に向かうに従って、下方または上方に向かって傾斜しているので、車両1の外部側となる前側から衝突対象物が衝突した場合に、センサ周辺部20に衝撃荷重が加わる前に、突出部23の変形が容易に促進される。その結果、衝突による衝撃が吸収され、センサ周辺部20の変位がさらに抑制される。
【0029】
サイド補強部21は、第1車体骨格部材3aに支持されるサイド補強部上壁21aと、サイド補強部上壁21aのアウタパネル4と対向する側の端縁となる外部側端縁(前端縁)から下方に延びるサイド補強部前壁21bとを有する。サイド補強部21は、L字状の縦断面形状を有している。また、図示例では、サイド補強部前壁21bには、互いに車幅方向に離隔する複数(図示例では、3個)の貫通孔21b1が開口されている。複数の貫通孔21b1によって、衝突時におけるサイド補強部21の変形の促進が図られている。
【0030】
次に、
図2A、
図2B、
図3及び
図4を参照して、センサ周辺部20について説明する。
図4は、補強部材5の車幅方向中央を背面側から視た拡大斜視図である。
【0031】
センサ周辺部20は、互いに対向する一対の対向部(図示例では、上壁30及び下壁31、第1側部32A及び第2側部32B)と、センサ取付壁33と、を有する。図示例では、センサ周辺部20は、前記一対の対向部として、上下方向に対向して配置される上壁30及び下壁31と、車幅方向に対向して配置される第1側部32A及び第2側部32Bと、を有する。つまり、センサ周辺部20は、互いに対向する一対の対向部を、2セット有している。さらに言うと、センサ周辺部20は、上壁30と、下壁31と、第1側部32Aと、第2側部32Bと、センサ取付壁33と、を有している。
【0032】
補強部材5のセンサ周辺部20の内部には、センサ装置9が収容されるセンサ収容空間24が形成されている。上壁30はセンサ収容空間24の上方に配置され、下壁31はセンサ収容空間24の下方に配置され、第1側部32Aはセンサ収容空間24の左方に配置され、第2側部32Bはセンサ収容空間24の右方に配置され、センサ取付壁33はセンサ収容空間24のアウタパネル4と対向する側である外部側(前側)に配置されている。そして、センサ周辺部20は、後方に開放されている。
【0033】
センサ取付壁33のアウタパネル4と対向する側の面とは反対側の面である裏面に、センサ装置9(詳しくは、センサブラケット11)が取り付けられている(後述する
図10参照)。センサ装置9は、上下方向については上壁30と下壁31との間に配置されており、車幅方向については第1側部32Aと第2側部32Bとの間に配置されている。
【0034】
上壁30のアウタパネル4と対向する側の端面とは反対側の端面である裏側端面には、車幅方向に離れた一対の上側接続部30aと、車幅方向に離れた一対の上側接続部30aの間に位置する位置決めガイド30bとが設けられている。下壁31のアウタパネル4と対向する側の端面とは反対側の端面である裏側端面には、車幅方向に離れた一対の下側接続部31aが設けられている。一対の上側接続部30a及び一対の下側接続部31aのそれぞれにはネジ締結するための孔が形成されている。一対の上側接続部30a及び一対の下側接続部31aは、低剛性部材6に設けられた後述する連結部53との連結のための部位であり、位置決めガイド30bは連結部53のセンサ周辺部20に対する位置を決めるためのガイドである。
【0035】
センサ取付壁33には、車幅方向の左右側および上側にセンサ取付壁33の一部が残るように開口部34が形成されている。センサ取付壁33の裏面における開口部34の左右両側のそれぞれには、センサ装置9(センサブラケット11)が固定されるセンサ固定部35が設けられている。センサ取付壁33の裏面には、センサ固定部35を介してセンサブラケット11が取り付けられ、開口部34の全部または一部はセンサブラケット11によって覆われる。センサ装置9のセンサ10は、開口部34を通じて、車両の外部環境を検出する検出波を照射し、または、検出波を受信する。
【0036】
センサ周辺部20は、センサ固定部35に隣接しセンサ取付壁33の裏面から前後方向に延びる隣接部32を有する。図示例では、センサ周辺部20は、左側に設けられるセンサ固定部35に隣接し後方に延びる左側の隣接部32と、右側に設けられるセンサ固定部35に隣接し後方に延びる右側の隣接部32と、を有する。図示例では、左側の第1側部32Aが左側の隣接部32を構成し、右側の第2側部32Bが右側の隣接部32を構成している。図示例では、隣接部32は、センサ装置の左右のそれぞれに配置されている。
【0037】
隣接部32(32A、32B)は、前後方向に膨らんでいる。隣接部32は、筒状の周壁部32aと周壁部32aのアウタパネル4の側の端とは反対側の端である後端に位置する端壁部32bとを有している。隣接部32は、センサ取付壁33のアウタパネル4と対向する側の面である外部面では、凹状に形成されている。端壁部32bには、水平方向に延びる板状の連結片32cが設けられている。周壁部32aは、上部の上周壁部32dと、下部の下周壁部32eと、上周壁部32dと下周壁部32eの間に位置する左右の縦周壁部32fとを有する。上周壁部32dは、センサ取付壁33の裏面から端壁部32bに向かうに従って下方に傾斜し、下周壁部32eは、センサ取付壁33の裏面から端壁部32bに向かうに従って上方に傾斜する。隣接部32は前後方向に膨らむ膨出構造を有しているため、隣接部32の剛性の向上が図られ、センサ周辺部20の変位がより効果的に抑制される。
【0038】
センサ周辺部20は、下壁31と隣接部32とセンサ取付壁33とを接続する接続壁36を有する。具体的には、接続壁36は、下壁31と隣接部32(第1側部32A、第2側部32B)とセンサ取付壁33とが交わる角部に位置し、当該角部において、各要素(31、32、33)を連結している。その結果、センサ周辺部20の下側の両角部の周辺の剛性の向上が図られている。
【0039】
図2A及び
図3に示されるように、下側支持部22には、アウタパネル4側に開放された凹状に形成される凹部25が設けられている。凹部25の上部側壁は、センサ周辺部20の下壁31により構成されている。換言すると、
図4を参照すると、凹部25は、後方に膨らむ膨出形状に形成されており、膨出部であるとも言える。
【0040】
図3を参照すると、凹部25は、センサ周辺部20の下壁31と、凹部25の奥側の壁である奥側壁25aと、凹部25の左右の壁である側壁25bと、凹部25の下側の壁である凹形状形成下壁25cと、により形成されている。凹部25には、互いに車幅方向に離隔し且つ上下方向に延びる複数(図示例では2個)の縦リブ26が設けられている。縦リブ26は、奥側壁25aに沿って下壁31から下方に延びている。2つの縦リブ26は、下壁31を下方から支持している。凹部25の奥側壁25aは下壁31の後端から下方に延びており、一対の下側接続部31aは奥側壁25aに連続している。そして、2つの縦リブ26の少なくとも一方は、車幅方向及び上下方向について、下側接続部31aと重なるように配置されている。つまり、2つの縦リブ26の少なくとも一方は、下側接続部31aを後方から支持している。そして、2つの縦リブ26は下壁31を下方から支持しているので、センサ10が前傾又は後傾するようなセンサ周辺部20の変形を抑制できる。
【0041】
図4を参照すると、下側支持部22のうち凹部25に対して下方に位置する部分も後方に膨出し、下側膨出部27を構成している。つまり、下側支持部22は後方に2段階に膨出している。そして、凹部25の左右の側壁25bは、下側膨出部27により連結されているので、凹部25の剛性の向上が図られる。また、縦リブ26の下部は、下側膨出部27の上部まで延びているので、凹部25と下側膨出部27との接続部分の剛性の向上が図られる。
【0042】
次に、
図2A、
図2B、
図3、
図5及び
図6を参照して、低剛性部材6について説明する。
図5は、車両構造2の背面図である。
図6は、低剛性部材6を前方側から視た斜視図である。
図3、
図5、
図6に示されるように、低剛性部材6は車幅方向に延び、補強部材5を補強部材5の裏面側から補強する。低剛性部材6は、樹脂製射出成形品である。低剛性部材6は、車体構造体3の剛性よりも低い剛性を有する。そして、低剛性部材6は、補強部材5のセンサ周辺部20と連結される。換言すると、センサ周辺部20は低剛性部材6と連結されている。
【0043】
図6に示されるように、低剛性部材6は、車幅方向に延びて上部に位置する上横延伸部50と、上横延伸部50よりも下側に位置し車幅方向に延びる下横延伸部51と、上横延伸部50と下横延伸部51との車幅方向の両端同士を連結する左右の縦延伸部52とを備える。低剛性部材6は、正面視において、中央が開口した形状に形成されている。
【0044】
上横延伸部50の車幅方向中央には、補強部材5に設けられたセンサ周辺部20に接続(連結)される連結部53が設けられている。また、上横延伸部50には、上横延伸部50の前後方向におけるアウタパネル4と対向する側とは反対側の端縁から上下方向に起立する縦壁部55が、連結部53の車幅方向におけるそれぞれの両端から上横延伸部50の車幅方向におけるそれぞれの両端にかけて延びるように設けられている。上横延伸部50は、車幅方向中央でアウタパネル4と対向する側となる外部側である前端側が切り欠かれた切欠き部57と、切欠き部57の車幅方向両端側のそれぞれに配置された上側部58とを有している。尚、連結部53と下横延伸部51とは、上下に離隔しており、互いに連結されていない。
図2Bに示されるように、縦壁部55は、補強部材5のサイド補強部上壁21aの下側で、且つ、補強部材5のサイド補強部前壁21bの裏側に配置される。
図2A、
図3に示されるように、上横延伸部50の上側部58は、補強部材5のサイド補強部21の下方に配置される。これにより、オフセット衝突時の衝撃荷重の上側の荷重はサイド補強部21で受けて、オフセット衝突時の衝撃荷重の下側の荷重は上側部58で受け止めることができ、荷重の分散と衝撃の吸収ができる。また、低剛性部材6の一部である上側部58は、補強部材5の車幅方向中央に設けられたセンサ周辺部20に対して上下方向で重ならないように配置されている。これにより、衝突時の衝撃荷重の上側の荷重はセンサ周辺部20で受けて、衝突時の衝撃荷重の下側の荷重は上側部58で受け止めることができ、荷重の分散と衝撃の吸収ができる。また、上側部58は、車幅方向において、補強部材5のセンサ周辺部20と衝撃吸収部材7との間に配置されている。これにより、衝突時の衝撃荷重を、センサ周辺部20、上側部58、衝撃吸収部材7によって、車幅方向に分散して受け止めることができる。
【0045】
上横延伸部50における連結部53の車幅方向外側には、スロット孔54が設けられている。すなわち、連結部53は、2つのスロット孔54の間に配置されている。スロット孔54は水平方向に延びるスロット状の貫通孔である。低剛性部材6のスロット孔54に、センサ周辺部20の隣接部32(第1側部32A、第2側部32B)の端壁部32bに形成された連結片32cが連結される。換言すると、補強部材5のセンサ周辺部20の隣接部32に、低剛性部材6が連結されている。
【0046】
低剛性部材6の車幅方向両側のそれぞれには、3つのパネル固定部6aが設けられている。図示例では、パネル固定部6aは、上側部58の切欠き部57の近傍と、下横延伸部51の車幅方向端部と、縦延伸部52の下端部とに、それぞれ設けられている。パネル固定部6aには、アウタパネル4に低剛性部材6をネジなどの締結部材によって固定するための貫通孔が形成され、低剛性部材6の車幅方向両側のそれぞれはアウタパネル4に接続されている。上側部58の切欠き部57の近傍に設けられたパネル固定部6aには、
図2Bに示されるように、低剛性部材6とアウタパネル4との間に設けられて低剛性部材6をアウタパネル4に接続するための台座部4bが設けられている。センサ周辺部20の表側面20aと、台座部4bが低剛性部材6に接続された状態での台座部4bのアウタパネル4の側の端縁とは、前後方向で近接する。ここで、「前後方向で近接する」とは、少なくとも、センサ周辺部20の表側面20aと、台座部4bのアウタパネル4の側の端縁との間の前後方向における離隔寸法が、センサ周辺部20の表側面20aと突出部23の突出前端面23aとの間の前後方向における離隔寸法Δa以下となることである。これにより、車両1の外部側となる前側から衝突対象物が衝突した場合に、補強部材5と低剛性部材6との両方で、衝突対象物が衝突した場合の衝撃荷重を受けることができる。また、他の態様として、センサ周辺部20の表側面20aと、低剛性部材6のアウタパネル4と対向する側の面とは前後方向で近接する。ここで、「前後方向で近接する」とは、少なくとも、センサ周辺部20の表側面20aと低剛性部材6のアウタパネル4と対向する側の面との間の前後方向における離隔寸法が、センサ周辺部20の表側面20aと突出部23の突出前端面23aとの間の前後方向における離隔寸法Δa以下となることである。これにより、車両1の外部側となる前側から衝突対象物が衝突した場合に、補強部材5と低剛性部材6との両方で、衝突対象物が衝突した場合の衝撃荷重を受けることができる。
【0047】
次に、
図7を参照して、上横延伸部50の車幅方向中央に設けられ連結部53について説明する。
図7は、補強部材5のセンサ周辺部20と連結部53との位置関係を背面側から視た拡大斜視図である。連結部53は、センサ周辺部20のアウタパネル4と対向する側とは反対側である裏側に配置され、センサ周辺部20の互いに対向する一対の対向部としての上壁30及び下壁31同士を連結する。
【0048】
連結部53は、上下方向に延びる連結面部60と、連結面部60の車幅方向の両端から裏面側に向けて折れ曲がる側壁面部61とを有する。連結面部60は、アウタパネル4の側である外側(前側)に凸となるハット状の横断面を有して上下方向に延びている。連結面部60は、車幅方向の中央に位置する第1面部60aと、第1面部60aの車幅方向両端のそれぞれから裏面側に向かって折れ曲がる第1接続面部60bと、第1接続面部60bの後端の上部側から車幅方向外側に向かって折れ曲がる第2面部60cと、第1接続面部60bの後端の下部側から車幅方向外側に向かって折れ曲がる第3面部60dとを有する。第2面部60cは第3面部60dよりもアウタパネル4の側である外側(前側)に位置し、第2面部60cと第3面部60dとは、第2接続面部60eによって接続されている。すなわち、連結面部60は、第1面部60aと、第1接続面部60bと、第2面部60c及び第3面部60dとで前後方向に段差状に形成され上下方向に延びる段差部である、第1段差部62を有する。第1面部60aの車幅方向の幅は、上下方向で同一ではなく、第1面部60aの下部の車幅方向の幅は、第1面部60aの上部の車幅方向の幅よりも狭い。また、連結面部60は、第2面部60cと、第2接続面部60eと、第3面部60dとで前後方向に段差状に形成され車幅方向に延びる段差部である、第2段差部63を有する。連結面部60の下部もアウタパネル4の側である外側(前側)に凸となるハット状の横断面を有して上下方向に延びている。そして、連結面部60の下部のハット状の断面の後方への突出部である凸部64の車幅方向の寸法は、他の部分よりも狭くなっている(
図6及び
図7参照)。
【0049】
第2面部60cの上部には、連結部53をセンサ周辺部20の上壁30に接続するための上側接続孔53aが設けられている。第1面部60aの上部には、センサ周辺部20に対する連結部53の位置を決めるための位置決め孔53cが設けられている。位置決め孔53cは、2つの上側接続孔53aの間に配置されている。第3面部60dの下部には、連結部53をセンサ周辺部20の下壁31に接続するための下側接続孔53bが設けられている。
【0050】
第2面部60cの上部に設けられた上側接続孔53aは、センサ周辺部20の上壁30の裏側端面に設けられた上側接続部30aに対応する。第1面部60aの上部に設けられた位置決め孔53cは、センサ周辺部20の上壁30の裏側端面に設けられた位置決めガイド30bに対応する。第3面部60dの下部に設けられた下側接続孔53bは、センサ周辺部20の下壁31の裏側端面に設けられた下側接続部31aに対応する。
【0051】
連結部53が、上側接続孔53aを介してセンサ周辺部20の上側接続部30aにネジで接続され、下側接続孔53bを介してセンサ周辺部20の下側接続部31aにネジで接続される。その結果、センサ周辺部20の上壁30の裏側端面と、センサ周辺部20の下壁31の裏側端面とが、連結部53によって連結される。すなわち、連結部53は、センサ周辺部20の上下方向に対向して配置される上壁30及び下壁31同士を連結する。
【0052】
低剛性部材6の連結部53は、補強部材5のセンサ周辺部20の上壁30及び下壁31同士を連結するので、センサ周辺部20の剛性が高まる。尚、本実施形態では、連結部53は、上下方向に対向して配置される上壁30及び下壁31同士を連結するが、必ずしもこれに限定されない。例えば、連結部53は、センサ周辺部20の車幅方向に対向して配置される第1側部32A及び第2側部32B同士を連結しても構わない。この場合でも、第1側部32A及び第2側部32B同士が連結部53によって連結されるので、センサ周辺部20の剛性が高まる。
【0053】
また、連結面部60は、上下方向に延びる第1段差部62を有し、センサ周辺部20の上下方向に対向して配置される上壁30及び下壁31同士を連結する。そのため、連結部53の上下方向に対する剛性が高まり、連結部53の上下方向の変形を抑制できるので、センサ周辺部20に取り付けられるセンサ装置9が上下方向に位置ずれするようなセンサ周辺部20の変位を抑制できる。車両1は、走行時に上下方向に振動するため、特に効果的である。尚、低剛性部材6の下部に配置された下横延伸部51は、連結部53には連結されておらず、下横延伸部51の車幅方向端部に設けられパネル固定部6aを介してアウタパネル4に接続されている。その結果、衝突時において下横延伸部51を容易に変形させることができるので、衝突による衝撃が吸収される。
【0054】
次に、
図3、
図5及び
図8を参照して、補強部材5と低剛性部材6と支持ブラケット12との位置関係について説明する。
図8は、
図3におけるA-A位置での断面図(縦断面図)である。
図3、
図5及び
図8に示されるように、下横延伸部51の車幅方向中央は、前後方向において、第2車体骨格部材3bの車幅方向の中央に取り付けられた支持ブラケット12と、補強部材5の車幅方向中央に設けられたセンサ周辺部20の下部に設けられた下側支持部22との間に配置されている。すなわち、低剛性部材6の下部である下横延伸部51の車幅方向中央は、支持ブラケット12よりも前後方向においてアウタパネル4と対向する側に配置され、且つ、車幅方向及び上下方向において、支持ブラケット12に重なるように配置されている。下横延伸部51の車幅方向両側の部分は、支持ブラケット12に重ならないように配置されている。また、下横延伸部51は、連結部53とは連結されていない。そのため、オフセット衝突時に低剛性部材6の変形が促進される。尚、本実施形態では、下横延伸部51の車幅方向中央は、前後方向において、支持ブラケット12と下側支持部22との間に配置されているが、これに限らず、第2車体骨格部材3bと下側支持部22との間に配置されてもよい。
【0055】
次に、
図8から
図11を参照して、センサ収容空間24について説明する。
図9は、
図5におけるB-B位置での断面図(縦断面図)であり、
図10は、
図5におけるC-C位置での断面図(横断面図)であり、
図11は、
図5におけるD-D位置での断面図(横断面図)である。
図10及び
図11では、アウタパネル4及び第2車体骨格部材3bは図示を省略されている。
【0056】
センサ収容空間24は、上壁30と、下壁31と、第1側部32Aと、第2側部32Bと、センサ取付壁33とによって囲われており、上壁30の裏側端面と下壁31の裏側端面とは連結部53によって連結されている。つまり、センサ収容空間24は縦断面視ではセンサ取付壁33と上壁30と下壁31と連結部53とによって形成されており、センサ収容空間24は横断面視ではセンサ取付壁33と第1側部32Aと第2側部32Bと連結部53とによって形成されている。また、センサ取付壁33に開口された開口部34の全部または一部はセンサブラケット11によって覆われている。
【0057】
従って、
図8に破線で示されるように、センサ収容空間24の少なくとも一部は、側面視で、センサ取付壁33もしくはセンサブラケット11と、上壁30と、下壁31と、連結部53とによって囲われている。そのため、センサ装置9が取り付けられるセンサ周辺部20の剛性の向上が効果的に図られ、センサ周辺部20の変位が効果的に抑制される。
【0058】
また、
図9に破線で示されるように、センサ収容空間24の少なくとも一部は、側面視で、第2側部32B(又は第1側部32A)の上周壁部32dと、上壁30と、連結部53とによって囲われている。また、センサ収容空間24の少なくとも一部は、側面視で、第2側部32B(又は第1側部32A)の下周壁部32eと、下壁31と、連結部53とによって囲われている。そのため、センサ周辺部20の剛性の向上がより効果的に図られ、センサ周辺部20の変位がより効果的に抑制される。
【0059】
また、
図10に破線で示されるように、センサ収容空間24の少なくとも一部は、上面視で、センサ取付壁33もしくはセンサブラケット11と、第1側部32Aと、第2側部32Bと、連結部53とによって囲われている。そのため、センサ装置9が取り付けられるセンサ周辺部20の剛性の向上がさらに効果的に図られ、センサ周辺部20の変位がさらに効果的に抑制される。
【0060】
また、
図10に示されるように、補強部材5においてセンサ周辺部20の車幅方向両側に設けられた連結片32cは、低剛性部材6に設けられた一対のスロット孔54に差し込まれているだけである。補強部材5の左右両側のサイド補強部21は、第1車体骨格部材3aに支持されている(
図2A参照)。低剛性部材6の車幅方向両側の上側部58はパネル固定部6aを介してアウタパネル4に接続されている。そのため、オフセット衝突時に、車幅方向両側に設けられた連結片32cは低剛性部材6に設けられた一対のスロット孔54から容易に外れ得る。従って、オフセット衝突時において、低剛性部材6の車幅方向両側の変形が容易に促進され、低剛性部材6の変形によって、衝突時の衝撃が吸収される。また、低剛性部材6の連結部53がセンサ周辺部20の上下方向に対向して配置される上壁30及び下壁31同士を連結するので、低剛性部材6で受けた衝突時の衝撃荷重が補強部材5を介して第1車体骨格部材3aで受け止められる。
【0061】
また、
図5に示されるように、連結部53の連結面部60は、上下方向に延びる段差部である一対の第1段差部62を有し、一対の第1段差部62は、連結面部60の車幅方向の中心よりも車幅方向の外側に位置している。そのため、オフセット衝突時に、車幅方向両側に設けられた連結片32cが低剛性部材6に設けられた一対のスロット孔54から外れた際に、連結面部60の車幅方向での変形が促進される。
【0062】
図11は、補強部材5及び低剛性部材6の車幅方向中央の下部の横断面を示しているが、凹部25には、上下方向に延びる2つの縦リブ26が車幅方向に離間して設けられている。2つの縦リブ26の少なくとも一方は、車幅方向及び上下方向について、下側接続部31aと重なるように配置されている。そのため、センサ周辺部20の剛性が高まり、センサ周辺部20の変形が抑制される。また、連結面部60の下部の凸部64は、車幅方向において、下壁31の下側接続部31aの間に配置され、前後方向について重なるように配置されている。そのため、連結部53を上壁30及び下壁31に接続する際に、連結部53の位置決めが容易になされると共に、連結部53の位置ずれが抑制される。
【0063】
以上のように、本実施形態では、車両構造2は、車両外側の意匠面を構成すると共に車両1の車体構造体3に支持されるアウタパネル4と、アウタパネル4をアウタパネル4の裏面側から補強する補強部材5と、補強部材5に取り付けられ車両の外部環境を検出するセンサ装置9と、車体構造体3の剛性よりも低い剛性を有すると共に補強部材5に隣接して配置される低剛性部材6と、を備えている。そして、補強部材5のうちのセンサ装置9の周辺部位であるセンサ周辺部20が低剛性部材6と連結されている。
【0064】
この構成により、センサ周辺部20の支持剛性の向上が図られることになり、走行時の振動等によるセンサ周辺部20の変位が抑制される。したがって、本実施形態の車両構造2は、アウタパネル4を補強する補強部材5におけるセンサ周辺部20の変位を抑制してセンサの検出精度の低下を抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、センサ周辺部20は、互いに対向する一対の対向部(上壁30及び下壁31、第1側部32A及び第2側部32B)を有し、低剛性部材6は、前記一対の対向部同士を連結する連結部53を有する。
【0066】
この構成により、センサ周辺部20の前記一対の対向部同士が連結部53で連結されるので、センサ周辺部20の剛性の向上が図られる。
【0067】
また、本実施形態では、センサ周辺部20は一対の対向部として上下方向に対向して配置される上壁30及び下壁31を有し、センサ装置9は上壁30と下壁31との間に配置されており、連結部53は上下方向に延びる連結面部60を有し、連結面部60は上下方向に延びる段差部としての第1段差部62を有する。
【0068】
この構成により、連結部53の上下方向に対する剛性が高まり、連結部53の上下方向の変形が抑制されるので、センサ周辺部20に取り付けられるセンサ装置9が上下方向に位置ずれするようなセンサ周辺部20の変位が抑制される。車両1は、走行時に上下方向に振動するため、特に効果的である。
【0069】
また、本実施形態では、センサ周辺部20は、アウタパネル4と対向する側に、センサ装置9(ここではセンサブラケット11)が取り付けられるセンサ取付壁33を有すると共に、前記一対の対向部として、上下方向に対向して配置される上壁30及び下壁31を有し、連結部53はセンサ周辺部20のアウタパネル4と対向する側とは反対側に配置され、縦断面視では、センサ取付壁33と上壁30と下壁31と連結部53とによってセンサ収容空間24が形成され、センサ収容空間24の少なくとも一部は、側面視で、センサ取付壁33と上壁30と下壁31と連結部53とによって囲われている。
【0070】
この構成により、センサ周辺部20の縦断面についての剛性の向上が図られ、センサ周辺部20の変位が効果的に抑制される。
【0071】
また、本実施形態では、センサ周辺部20は、前記一対の対向部として、車幅方向に対向して配置される第1側部32A及び第2側部32Bを有し、センサ装置9は第1側部32Aと第2側部32Bとの間に配置されており、横断面視では、センサ取付壁33と第1側部32Aと第2側部32Bと連結部53とによってセンサ収容空間24が形成され、センサ収容空間24の少なくとも一部は、上面視で、センサ取付壁33もしくはセンサブラケット11と第1側部32Aと第2側部32Bと連結部53とによって囲われている。
【0072】
この構成により、センサ周辺部20の横断面についての剛性の向上が図られ、センサ周辺部20の変位がより効果的に抑制される。
【0073】
また、本実施形態では、センサ取付壁33の裏面には、センサ装置9(ここではセンサブラケット11)が固定されるセンサ固定部35が設けられ、センサ周辺部20は、センサ固定部35に隣接しセンサ取付壁33の裏面から前後方向に延びる隣接部32(第1側部32A、第2側部32B)を有し、隣接部32に低剛性部材6が連結される。
【0074】
この構成により、センサ周辺部20におけるセンサ固定部35及びセンサ固定部35の周辺の剛性の向上が図られ、センサ周辺部20の変位がさらに効果的に抑制される。
【0075】
また、本実施形態では、隣接部32は、筒状の周壁部32aと周壁部32aのアウタパネル4の側の端とは反対側の端に位置する端壁部32bとを有している。
【0076】
この構成により、隣接部32の剛性の向上が図られることになり、センサ周辺部20の変位がさらに抑制される。
【0077】
また、本実施形態では、隣接部32は、センサ装置9(ここではセンサブラケット11)の左右のそれぞれに配置され、左右の隣接部32のそれぞれに低剛性部材6が連結される。
【0078】
この構成により、センサ周辺部20の剛性がさらに向上し、センサ周辺部20の変位が効果的に抑制される。
【0079】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について述べたが、本発明は上記実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本発明の範囲内においてさらに各種の変形および変更が可能であることを付言する。
【0080】
例えば、上記実施形態では、車両構造2は、車両1の前部の構造として適用されているが、これに限らず、車両1の後部の構造として適用されてもよい。この場合、上記した説明において、「前側」は、「後側」と置き換え、前後方向における「外側」は後側を示し、「裏側」は前側を示し、「外面」は後面を示し、「裏面」は前面を示す。
【0081】
また、センサ周辺部20は互いに対向する前記一対の対向部を2セット有しているが、これに限らず、前記一対の対向部を1セットだけ有していてもよい。つまり、センサ周辺部20は、前記一対の対向部として上壁30及び下壁31だけを有してもよいし、前記一対の対向部として第1側部32A及び第2側部32Bだけを有してもよい。つまり、センサ周辺部20は、互いに対向する一対の対向部を、少なくとも1セット有していればよい。また、前記一対の対向部の対向は、上下方向又は車幅方向に限らず、上下方向及び車幅方向と交差する斜め方向でもよい。この場合、各対向部は、図示を省略するが、例えば、水平方向に延びる水平部と鉛直方向に鉛直部とからなり車両前後方向の一方から視て、L字状に形成される。また、連結部53が前記水平部と前記鉛直部との間を連結することで、センサ周辺部20における所望の剛性が確保される場合には、センサ周辺部20は、前記一対の対向部に替えて、例えば、水平部と鉛直部とからなる部位であって、前記水平部と前記垂直部とが連結部53に連結される前記部位を有してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 車両
2 車両構造
3 車体構造体
3a 第1車体骨格部材
3a1 前側フランジ
3b 第2車体骨格部材
4 アウタパネル
4a フロントグリル
4b 台座部
5 補強部材
6 低剛性部材
6a パネル固定部
7 衝撃吸収部材
8 バンパフェイス
9 センサ装置
10 センサ
11 センサブラケット
12 支持ブラケット
20 センサ周辺部
20a 表側面
21 サイド補強部
21a サイド補強部上壁
21b サイド補強部前壁
21b1 貫通孔
22 下側支持部
22a 表側面
23 突出部
23a 突出前端面
231 前後壁
232 突出端壁
233 パネル固定孔
24 センサ収容空間
25 凹部
25a 奥側壁
25b 側壁
25c 凹形状形成下壁
26 縦リブ
27 下側膨出部
30,31 上壁及び下壁(一対の対向部)
30 上壁
30a 上側接続部
30b 上側位置決めガイド
31 下壁
31a 下側接続部
32A,32B 第1側部及び第2側部(一対の対向部)
32A 第1側部
32B 第2側部
32 隣接部
32a 周壁部
32b 端壁部
32c 連結片
32d 上周壁部
32e 下周壁部
32f 縦周壁部
33 センサ取付壁
34 開口部
35 センサ固定部
36 接続壁
50 上横延伸部
51 下横延伸部
52 縦延伸部
53 連結部
53a 上側接続孔
53b 下側接続孔
53c 位置決め孔
54 スロット孔
55 縦壁部
57 切欠き部
58 上側部
60 連結面部
60a 第1面部
60b 第1接続面部
60c 第2面部
60d 第3面部
60e 第2接続面部
61 側壁面部
62 第1段差部(段差部)
63 第2段差部
64 凸部
Δa 離隔寸法
Δb 離隔寸法
【要約】
【課題】センサ周辺部の変位を抑制する。
【解決手段】車両構造2は、車両外側の意匠面を構成すると共に車両1の車体構造体3に支持されるアウタパネル4と、アウタパネル4をアウタパネル4の裏面側から補強する補強部材5と、補強部材5に取り付けられ車両の外部環境を検出するセンサ装置9と、車体構造体3の剛性よりも低い剛性を有すると共に補強部材5に隣接して配置される低剛性部材6と、を備え、補強部材5のうちのセンサ装置9の周辺部位であるセンサ周辺部20が低剛性部材6と連結されている。
【選択図】
図9