(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】走行装置
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20250522BHJP
A01D 34/64 20060101ALI20250522BHJP
【FI】
A01B69/00 Z
A01D34/64 M
(21)【出願番号】P 2021163984
(22)【出願日】2021-10-05
【審査請求日】2024-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 圭介
(72)【発明者】
【氏名】栗原 英治
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-160349(JP,A)
【文献】特開2005-210999(JP,A)
【文献】特開2006-149239(JP,A)
【文献】特開2018-130104(JP,A)
【文献】特開平07-327402(JP,A)
【文献】実開昭60-015112(JP,U)
【文献】実開昭54-162067(JP,U)
【文献】実開昭54-035244(JP,U)
【文献】米国特許第04883126(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01D 34/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土が盛られた盛土部上を進行する本体と、
前記本体の左右に設けられ、駆動部からの動力により前記盛土部の上面を走行する少なくとも一対の車輪と、
前記一対の車輪それぞれの外側に設けられ、前記盛土部の法面に当接して前記一対の車輪が前記盛土部に沿って走行するように前記一対の車輪を誘導する走行誘導体と、を備え、
前記走行誘導体は、前記一対の車輪の車軸と同軸の回転軸を有し、前記回転軸に対して放射状に設けられ、前記盛土部の法面に当接するように前記回転軸に対する角度が変化する複数の当接部を備え
、
前記複数の当接部は、前記盛土部の法面に向けて付勢される、走行装置。
【請求項2】
前記走行誘導体は、前記一対の車輪に前記回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記複数の当接部の一端が接続される基部と、前記複数の当接部の前記基部に対する角度が可変となるように前記複数の当接部の前記一端と前記基部とを接続し、前記複数の当接部を前記一対の車輪側に向けて付勢する複数の接続部と、を備え、
前記複数の当接部は、前記接続部の付勢力により前記盛土部の法面に向けて付勢される、請求項
1に記載の走行装置。
【請求項3】
前記走行誘導体は、前記一対の車輪に前記回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記複数の当接部の一端が接続される基部と、前記基部および前記複数の当接部を挟んで前記一対の車輪とは反対側に配置され、前記複数の当接部の他端を押し広げるように前記複数の当接部に力を付与する展開部と、を備え、
前記複数の当接部は、前記展開部によって前記盛土部の法面に付勢される、請求項
1に記載の走行装置。
【請求項4】
前記走行誘導体は、前記一対の車輪に前記回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記複数の当接部の一端が接続される基部と、前記基部および前記複数の当接部を挟んで前記一対の車輪とは反対側に配置され、前記基部よりも外形が大きく、前記複数の当接部に移動可能に接触して前記複数の当接部の前記基部に対する角度を変化させる板状部と、前記板状部を前記基部に向けて付勢する付勢部と、を備え、
前記複数の当接部は、前記板状部が前記付勢部によって前記基部に向けて付勢される力により前記盛土部の法面に向けて付勢される、請求項
1に記載の走行装置。
【請求項5】
前記複数の当接部が前記盛土部の法面から受ける力を検出するセンサと、
前記付勢部の引き寄せ力を調整するアクチュエータと、
前記センサで検出された検出結果に応じて、前記アクチュエータによる前記付勢部の引き寄せ力を制御する引っ張り具合制御部と、を備える、請求項
4に記載の走行装置。
【請求項6】
前記複数の当接部は、前記盛土部の法面に向かって突出した突起部を有する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の走行装置。
【請求項7】
前記複数の当接部は、前記一対の車輪とは独立して回転する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の走行装置。
【請求項8】
前記一対の車輪は、前記盛土部の上面幅に応じて間隔が調整可能に設けられている、請求項1から
7のいずれか一項に記載の走行装置。
【請求項9】
前記盛土部は、畦畔または畝である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の走行装置。
【請求項10】
前記本体は、進行方向の前方および後方の少なくとも一方に草刈作業部を備える、請求項1から
9のいずれか一項に記載の走行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
草刈りまたは収穫等の作業を行うために、畦畔または畝等の土を盛り上げた盛土部に沿って走行する走行装置が知られている。例えば、畝の法面に畝追従用ローラ体を当接させることで、畝に沿って走行するように誘導される走行型苗移植機が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の走行型苗移植機は、本体から延ばしたアーム部の先端に畝の法面に当接する畝追従用ローラ体を設けた構成をしているため、作業機が大型化してしまう。
【0005】
また、盛土部の上面に対する法面の傾斜角度が変化する場合でも、盛土部に沿って安定して走行する走行装置が望まれている。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、盛土部上を安定して走行することが可能な小型の走行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の走行装置は、土が盛られた盛土部上を進行する本体と、前記本体の左右に設けられ、駆動部からの動力により前記盛土部の上面を走行する少なくとも一対の車輪と、前記一対の車輪それぞれの外側に設けられ、前記盛土部の法面に当接して前記一対の車輪が前記盛土部に沿って走行するように前記一対の車輪を誘導する走行誘導体と、を備え、前記走行誘導体は、前記一対の車輪の車軸と同軸の回転軸を有し、前記回転軸に対して放射状に設けられ、前記盛土部の法面に当接するように前記回転軸に対する角度が変化する複数の当接部を備え、前記複数の当接部は、前記盛土部の法面に向けて付勢される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型でかつ盛土部上を安定して走行することが可能な走行装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、第1の実施形態に係る走行装置を+Z方向から見た図であり、
図1(b)は、Y軸方向における断面図である。
【
図2】
図2は、
図1(b)の走行誘導体近傍を拡大した図である。
【
図3】
図3は、
図2の走行誘導体を-Y方向から見た図である。
【
図4】
図4(a)および
図4(b)は、車輪の外側に走行誘導体を設けることの効果を示す図である。
【
図5】
図5(a)および
図5(b)は、車輪の間隔を調整する間隔調整機構を示す図である。
【
図6】
図6(a)および
図6(b)は、第1の実施形態に係る走行装置が畦畔上を走行するときの状態を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の変形例に係る走行装置の走行誘導体近傍の断面図である。
【
図8】
図8(a)は、第2の実施形態における走行誘導体の側面図、
図8(b)は、斜視図である。
【
図9】
図9(a)から
図9(d)は、第2の実施形態における走行誘導体による効果を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態の変形例における走行誘導体を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態に係る走行装置100について、
図1~
図6に基づいて説明する。本第1の実施形態の走行装置100は、例えば畦畔の草刈り作業を行う走行装置であり、モータから動力を得た車輪が回転することで畦畔上を自動走行し、走行中に草刈り作業を行うものである。
【0011】
図1(a)は、第1の実施形態に係る走行装置100を+Z方向から見た図であり、
図1(b)は、Y軸方向における断面図である。+X方向は走行装置100の前進方向、-X方向は後進方向である。Y軸方向はX軸に水平面内で直交する方向(左右方向)であり、Z軸方向は鉛直方向である。
【0012】
図1(a)および
図1(b)に示すように、走行装置100は、本体10と、車輪12、14と、バッテリー18と、モータ20(駆動部)と、刈刃部30(草刈作業部)と、走行誘導体40と、を備える。例えば、走行装置100は、畦畔70上を進行方向DM(+X方向)に自動走行しながら刈刃部30によって草刈りを行う。
【0013】
車輪12は、本体10の前側(+X側端部近傍)に左右一対で設けられている。2つの車輪12各々にはモータ20が設けられている。車輪12は、モータ20がバッテリー18から電流が供給されて駆動することでY軸方向に伸びる車軸22aを中心に畦畔70の上面72上で回転する。一方、車輪14は、本体10の後側(-X側端部近傍)に左右一対で設けられている。2つの車輪14各々にはモータ20が設けられている。車輪14は、モータ20がバッテリー18から電流が供給されて駆動することでY軸方向に伸びる車軸22bを中心に畦畔70の上面72上で回転する。車輪12、14が畦畔70の上面72上で回転することで、走行装置100は畦畔70上を+X方向に四輪駆動で走行する。
【0014】
なお、2つの車輪12および2つの車輪14がそれぞれ1つのモータ20によって回転駆動される場合に限られず、2つの車輪12が1つのモータ20によって回転駆動され、2つの車輪14が1つのモータ20によって回転駆動される場合や、車輪12、14の全てが1つのモータ20によって回転駆動される場合でもよい。なお、走行装置100は、車輪12、14の全てが回転駆動する四輪駆動の場合に限られず、車輪12のみまたは車輪14のみが回転駆動する二輪駆動の場合でもよい。
【0015】
刈刃部30は、本体10の前方で左右に並んで2つ設けられ、雑草等の草を刈る刈刃32を備える。刈刃32は、回転軸34を中心に回転する円形の回転板36に円周方向で等間隔となって取り付けられている。なお、刈刃32は、複数枚設けられている場合に限られず、1枚だけ設けられている場合でもよい。刈刃32は、例えば金属製またはナイロン製である。刈刃部30は、モータ(不図示)がバッテリー18から電流が供給されて駆動することで回転軸34を中心として回転する。この回転により、刈刃32の回転軸34から最も遠い部分の軌跡は円Aとなる。よって、刈刃32によって円A内に存在する草が刈り取られる。
【0016】
なお、刈刃部30は、本体10の前方で左右に並んで2つ設けられる場合に限られず、本体10の前方に1つだけ設けられる場合や3つ以上設けられる場合でもよい。また、刈刃部30は、本体10の前方に設けられる場合に限られず、本体10の後方に設けられる場合でもよいし、本体10の前方と後方の両方に設けられる場合でもよい。
【0017】
走行誘導体40は、2つの車輪12および2つの車輪14各々の外側に設けられている。車輪12の外側に設けられた走行誘導体40は、車軸22aと同軸の回転軸41aを有し、回転軸41aを中心として回転する。すなわち、車輪12と車輪12の外側に設けられた走行誘導体40とは、同じ軸を中心として回転する。同様に、車輪14の外側に設けられた走行誘導体40は、車軸22bと同軸の回転軸41bを有し、回転軸41bを中心として回転する。すなわち、車輪14と車輪14の外側に設けられた走行誘導体40は、同じ軸を中心として回転する。なお、走行誘導体40は、車輪12、14の両方の外側に設けられている場合に限られず、車輪12、14のいずれか一方の外側にのみ設けられている場合でもよい。
【0018】
図2は、
図1(b)の走行誘導体40近傍を拡大した図である。
図3は、
図2の走行誘導体40を-Y方向から見た図である。なお、
図2および
図3では、2つの車輪12のうちの一方の車輪12の外側に設けられた走行誘導体40を例に示すが、他方の車輪12および2つの車輪14の外側に設けられた走行誘導体40についても同じである。
【0019】
図2および
図3に示すように、走行誘導体40は、回転軸41aを中心として放射状に設けられた複数の当接部44を有する。複数の当接部44は、接続部46を介して基部42に固定されている。基部42は、車輪12の外面にベアリング76を介して取り付けられていて、回転軸41aを中心に回転可能となっている。このように、走行誘導体40は、回転軸41aを中心に回転可能な基部42に複数の当接部44が接続されていることで、複数の当接部44が回転軸41aを中心に回転可能となっている。
【0020】
基部42は、例えば車軸22aに中心が位置し、車輪12と略同じ大きさをした円板である。基部42は、ベアリング76を介して車輪12に取り付けられていることから、車輪12とは独立して回転する。したがって、複数の当接部44は、車輪12とは独立して回転する。なお、基部42は、円板の場合に限られず、例えば車軸22aに中心が位置する矩形板等、その他の形状をしていてもよい。
【0021】
接続部46は、例えば蝶番であり、当接部44の基部42に対する角度が可変となるように、当接部44を基部42に接続する。これにより、当接部44は、回転軸41aに対する角度が可変となっている。また、接続部46は、当接部44を車輪12とは反対側から車輪12側に向けて付勢する付勢部62を有する。接続部46が蝶番である場合、付勢部62は蝶番の軸に設けられたねじりコイルばねである。この場合、接続部46はばね付き蝶番(スプリング蝶番)である。当接部44に付勢部62以外の力が加わらない場合、当接部44は付勢部62の付勢力によって基部42に平面上で並んだ状態となる。付勢部62として、ばねを例に示したが、ゴム等のその他の弾性部材でもよい。なお、走行誘導体40は、全体が同一部材により一体成型で形成され、当接部44が接続部を介して基部42に平面上で並んだ状態で固定接続される場合でもよい。この場合、接続部は、当接部44が基部42に対して角度が可変となるように変形可能であるとともに、自身の復元力によって当接部44を車輪12とは反対側から車輪12側に向けて付勢する。また、接続部および当接部44が板ばね等の弾性部材で形成されて、基部42に接続している場合でもよい。
【0022】
当接部44は、回転軸41aに対する角度が可変であることから、畦畔70の法面74に対向する位置では法面74の傾斜角度に対応するように回転軸41aに対する角度が変化して法面74に当接する。当接部44が畦畔70の法面74に当接する面を当接面52とする。法面74の傾斜角度とは、畦畔70の上面72と法面74とのなす角度である。当接部44は例えば矩形板であり、当接面52は例えば平面視にて矩形状をしている。また、当接部44は付勢部62によって車輪12とは反対側から車輪12側に向かって付勢されているため、当接面52が畦畔70の法面74に当接しているとき、当接部44は法面74に向かって付勢されている。なお、当接部44は、円柱や円筒、または断面が半月状の板等、その他の形状をしていてもよい。
【0023】
図4(a)および
図4(b)は、車輪12、14の外側に走行誘導体40を設けることの効果を示す図である。
図4(a)は、横断面が規定の形状(例えば上幅30~50cm、高さ30~40cm、法面勾配1:1程度の台形状)をした畦畔70上を走行装置100が走行する場合を示している。
図4(b)は、経年劣化等によって畦畔70の法面74の傾斜角度が変化した箇所を走行装置100が走行する場合を示している。
図4(a)および
図4(b)に示すように、走行装置100が規定の形状をした畦畔70上を走行中に、畦畔70の法面74の傾斜角度が変化した箇所を走行するようになった場合、当接部44は法面74の傾斜角度の変化に対応して基部42に対する角度(回転軸41aに対する角度)が変化し、当接部44は法面74に当接し続ける。
【0024】
このように、車輪12、14が畦畔70の上面72を走行するときに当接部44が畦畔70の法面74に当接し続けることで、車輪12、14は畦畔70に沿って進むように誘導される。畦畔70の法面74に凹凸があった場合でも、当接部44は当接面52が法面74に当接することから凹凸に嵌る等の影響を受け難く、車輪12、14を安定して誘導することができる。よって、走行装置100は畦畔70上を安定して走行するようになる。また、当接部44は、畦畔70の法面74に当接しているとき、付勢部62の付勢力(言い換えると、接続部46の付勢力)によって法面74に向けて付勢されている。これにより、車輪12、14が畦畔70に沿って進むように誘導される効果が高まり、走行装置100は畦畔70上を安定して走行するようになる。
【0025】
また、本第1の実施形態では、本体10の前側に設けられた2つの車輪12の間隔、および、本体10の後側に設けられた2つの車輪14の間隔は調整可能となっている。すなわち、畦畔70の上面72の幅が変化した場合には、走行中に上面72の幅の変化に追従して2つの車輪12の間隔および2つの車輪14の間隔が調整されるようになっている。
【0026】
図5(a)および
図5(b)は、車輪12の間隔を調整する間隔調整機構80を示す図である。なお、
図5(a)および
図5(b)では、車輪12の間隔が間隔調整機構80によって調整される場合を例に示すが、車輪14についても同様にして間隔が調整される。
図5(a)は、畦畔70の上面72の幅が広い場合を示し、
図5(b)は、畦畔70の上面72の幅が狭い場合を示している。
【0027】
図5(a)および
図5(b)に示すように、車輪12各々のモータ20の間に間隔調整機構80が設けられている。間隔調整機構80は、弾性部材82と、中空部材84と、中空部材84の中にスライド自在に挿入される中実体86と、を備える。中空部材84は、2つの車輪12のうちの一方の車輪12のモータ20に固定されている。中実体86は、2つの車輪12のうちの他方の車輪12のモータ20に固定されている。弾性部材82は、中実体86の先端と中空部材84が固定されたモータ20との間に固定されて中空部材84に内蔵されている。弾性部材82は、例えば引張コイルばねであり、間隔調整機構80の長さを縮める方向に付勢されている。また、車輪12各々のモータ20にスライドフレーム88が固定されている。モータ20は、スライドフレーム88を介して本体10(
図5(a)および
図5(b)では不図示)に支持されている。
【0028】
図5(a)に示すように、走行装置100が畦畔70の上面72の幅が広い箇所を走行する場合は、間隔調整機構80の長さが長くなって、車輪12の間隔は広い上面72の幅に対応した間隔となる。
図5(b)に示すように、走行装置100が畦畔70の上面72の幅が狭い箇所を走行する場合は、間隔調整機構80の長さが弾性部材82の付勢力によって自動的に短くなって、車輪12の間隔は狭い上面72の幅に対応した間隔となる。即ち、走行装置100は、畦畔70上を走行している途中で上面72の幅に変化が生じても、畦畔70上を安定して走行することができる。
【0029】
なお、弾性部材82として、ばねを例に示したが、ゴム等のその他の弾性体でもよい。また、弾性部材82の代わりに、磁石の異なる極を間隔調整機構80の両端に設けて、磁石の引き合う力を利用して間隔調整機構80の長さが変わるようにしてもよいし、アクチュエータを用いて間隔調整機構80の長さを変えるようにしてもよい。アクチュエータを用いる場合、当接部44が畦畔70の法面74から受ける面圧をセンサ等により検出し、一定の面圧となるようにアクチュエータを制御してもよい。
【0030】
図6(a)および
図6(b)は、第1の実施形態に係る走行装置100が畦畔70上を走行するときの状態を示す図である。
図6(a)は、横断面が規定の形状をした畦畔70上を走行装置100が走行する場合を示している。
図6(b)は、経年劣化等によって畦畔70の一部が崩壊等して、畦畔70の上面72の幅および法面74の上面72に対する傾斜角度が変化した箇所を走行装置100が走行する場合を示している。
【0031】
図6(a)および
図6(b)に示すように、走行装置100が規定の形状をした畦畔70上を走行中に、畦畔70の一部が崩壊等して上面72の幅が広くなった箇所を走行するようになった場合、間隔調整機構80の長さが上面72の幅に追従して長くなり、車輪12、14の間隔が上面72の幅に対応した間隔となる。また、畦畔70の上面72に対する法面74の傾斜角度が変化した箇所を走行するようになった場合、当接部44は法面74の傾斜角度の変化に対応して基部42に対する角度(回転軸41aに対する角度)が変化し、当接部44は法面74に当接し続ける。これらにより、畦畔70の一部の横断面の形状が変化した場合でも、当接部44は畦畔70の法面74に当接し続けるため、車輪12、14は畦畔70に沿って進むように誘導され、走行装置100は畦畔70上を安定して進行し続ける。なお、畦畔70の形状に応じて間隔調整機構80の長さが変化しかつ当接部44が畦畔70の法面74に当接し続けるために、接続部46の付勢力は間隔調整機構80が有する弾性部材82の付勢力よりも小さいことが好ましい。
【0032】
[変形例]
図7は、第1の実施形態の変形例に係る走行装置の走行誘導体40近傍の断面図である。なお、
図7では、2つの車輪12のうちの一方の車輪12の外側に設けられた走行誘導体40を例に示すが、他方の車輪12および2つの車輪14の外側に設けられた走行誘導体40においても同じである。
図7に示すように、第1の実施形態の変形例においては、複数の当接部44各々の当接面52に畦畔70の法面74に向かって突出した突起部54が設けられている。突起部54は、例えば半球形状をしているが、円柱形状、円錐形状、三角柱形状、三角錐形状、直方体形状、四角錐形状、またはこれらの組み合わせ等、その他の形状をしていてもよい。その他の構成は第1の実施形態と同じであるため図示および説明を省略する。
【0033】
当接部44に畦畔70の法面74に向かって突出した突起部54が設けられることで、当接部44が法面74上を滑って移動することが抑制され、車輪12を安定して誘導させることができる。また、当接部44が法面74に刺さり難くなるため、畦畔70に崩壊等が生じることも抑制できる。
【0034】
なお、上記第1の実施形態の変形例において、複数の当接部44の全ての当接面52に突起部54が設けられている場合が好ましいが、複数の当接部44のうち1つおきの当接部44の当接面52に突起部54が設けられている場合でもよいし、十字状に位置する当接部44の当接面52に突起部54が設けられている場合でもよい。少なくとも1つの当接部44の当接面52に突起部54が設けられている場合でもよい。また、当接部44の当接面52に設けられている突起部54は少なくとも基部42とは反対側の端部周辺に設けられている場合が好ましいが、当接面52の全体に設けられていてもよい。
【0035】
なお、上記第1の実施形態の変形例において、2つの車輪12および2つの車輪14のいずれか一方の組に設けられた走行誘導体40の当接部44には突起部54が設けられ、他方の組に設けられた走行誘導体40の当接部44には突起部54が設けられていない場合でもよい。走行装置100を左右バランスよく誘導する観点から、2つの車輪12のうちの一方の車輪12に設けられた走行誘導体40の当接部44に突起部54が設けられる場合は、他方の車輪12に設けられた走行誘導体40の当接部44にも突起部54が設けられる場合が好ましい。2つの車輪14においても同じである。
【0036】
以上のように、本第1の実施形態およびその変形例によれば、
図1(a)、
図1(b)、
図2、および
図3のように、一対の車輪12、14それぞれの外側に、畦畔70(盛土部)の法面74に当接して車輪12、14の走行方向が畦畔70に沿うように車輪12、14を誘導する走行誘導体40を備える。走行誘導体40は、車輪12、14の車軸22a、22bと同軸の回転軸41a、41bを有し、回転軸41a、41bに対して放射状に設けられ、畦畔70の法面74に当接するように回転軸41a、41bに対する角度が変化する複数の当接部44を有する。これにより、
図4(a)および
図4(b)に示したように、畦畔70の法面74の傾斜角度が変化した場合でも、当接部44は法面74に当接し続けるため、車輪12、14の走行方向が畦畔70に沿うように車輪12、14を誘導させ続けることができる。よって、走行装置100は畦畔70上を安定して走行し続ける。また、走行誘導体40は、車輪12、14の車軸22a、22bと同軸の回転軸41a、41bに対して複数の当接部44が放射状に設けられた構成をしているため、上記の特許文献1のように、車体に取り付けられたアーム部の先端に追従用ローラ体が設けられた構成に比べて、走行装置100を小型化することができる。
【0037】
また、本第1の実施形態およびその変形例では、走行誘導体40の当接部44は、畦畔70の法面74に向けて付勢されている。これにより、車輪12、14が畦畔70に沿って走行するように車輪12、14を安定して誘導することができる。
【0038】
また、本第1の実施形態およびその変形例では、
図2および
図3のように、走行誘導体40は、基部42と、複数の当接部44と、複数の接続部46と、を有する。基部42は、車輪12、14に回転軸41a、41bを中心に回転可能に取り付けられ、複数の当接部44の一端が接続されている。複数の接続部46は、当接部44の基部42に対する角度が可変となるように当接部44の一端と基部42とを接続するとともに、当接部44を車輪12、14側に向けて付勢する。そして、当接部44は、接続部46の付勢力により法面74に向けて付勢される。これにより、車輪12、14が畦畔70に沿って走行するように車輪12、14を安定して誘導させる効果を、部品種類が少なくかつ簡易な構成で得ることができる。また、複数の当接部44各々が別々の接続部46により基部42に接続されているため、複数の接続部46のうち1つや2つの接続部46の付勢力が弱まった場合でも、車輪12、14が畦畔70に沿って走行するように車輪12、14を安定して誘導させることができる。
【0039】
また、本第1の実施形態およびその変形例では、走行誘導体40はベアリング76を介して車輪12、14に取り付けられている。このため、走行誘導体40の複数の当接部44は、車輪12、14とは独立して回転する。これにより、当接部44は車輪12、14の回転速度の影響を受けずに回転することから、当接部44は法面74を回転するのに適した回転数で回転することができる。よって、車輪12、14が畦畔70に沿って走行するように車輪12、14を安定して誘導させることができる。走行誘導体40は、本第1の実施形態およびその変形例のように自然回転する場合でもよいし、図示は省略するが、モータ等の駆動部により回転駆動する場合でもよい。走行誘導体40を回転駆動させるモータは、車輪12、14を回転させるモータであってもよいし、車輪12、14を回転させるモータとは別のモータであってもよい。走行誘導体40が自然回転する場合、走行誘導体40に必要以上の負荷が掛かり難く、走行誘導体40が破損することを抑制できる。走行誘導体40がモータ等により回転駆動する場合、当接部44が法面74上を滑って移動することが抑制され、車輪12、14を安定して誘導させることができる。また、畦畔70に崩壊等が生じることも抑制できる。
【0040】
また、本第1の実施形態の変形例では、
図7のように、当接部44は畦畔70の法面74に向かって突出した突起部54を有する。これにより、当接部44が法面74上を滑って移動することが抑制されるため、車輪12、14を安定して誘導させることができる。また、当接部44が法面74に刺さり難くなるため、畦畔70に崩壊等が生じることも抑制できる。
【0041】
また、本第1の実施形態およびその変形例では、
図5(a)および
図5(b)のように、一対の車輪12、14は、畦畔70の上面72の幅に応じて間隔が調整可能に設けられている。これにより、畦畔70の上面72の幅が変化した場合でも、一対の車輪12、14は上面72の幅の変化に対応して間隔が調整されて上面72上を走行するようになる。即ち、走行装置100は、畦畔70上を走行している途中で上面72の幅に変化が生じても、畦畔70上を安定して走行することができる。
【0042】
《第2の実施形態》
図8(a)は、第2の実施形態における走行誘導体40aの側面図、
図8(b)は、斜視図である。なお、
図8(a)では、車輪12、14およびベアリング76を点線で図示している。
図8(a)および
図8(b)に示すように、第2の実施形態では、車輪12、14の外側に設けられた走行誘導体40aは、基部42と、複数の当接部44と、複数の接続部46aと、板状部48と、複数の付勢部50と、を備える。基部42は、第1の実施形態と同じく、ベアリング76を介して車輪12、14に取り付けられ、回転軸41a、41bを中心に回転可能となっている。複数の当接部44は、接続部46aを介して基部42に固定され、回転軸41a、41bを中心に放射状に設けられている。接続部46aは、例えば蝶番であり、当接部44の基部42に対する角度が可変となるように、当接部44を基部42に接続する。接続部46aは、第1の実施形態の接続部46とは異なり、付勢部を有していない。したがって、接続部46aは、当接部44に対して付勢力を付与していない。なお、接続部46aは、付勢力を有し、当接部44に板状部48の方向への付勢力を付与してもよい。当接部44が畦畔70の法面74に接地していない場合に、当接部44が板状部48の方向へ付勢されていると、当接部44は板状部48に接触した状態で角度が安定し、当接部44が法面74に刺さり難くなる。
【0043】
板状部48は、例えば基部42よりも大きな外形をした円板であり、基部42および複数の当接部44を挟んで車輪12、14とは反対側に配置されている。板状部48は、中心部に貫通孔を有し、この貫通孔に支持棒55が挿入されることで支持されている。支持棒55の一端は基部42に固定されている。板状部48は、支持棒55に対してスライド自在となっていて、複数の当接部44に移動可能に接触している。
【0044】
複数の付勢部50は、例えば基部42と板状部48の間に配置されている。付勢部50の一端は基部42に固定され、他端は板状部48に固定されている。複数の付勢部50は、例えば支持棒55の周りを囲むように設けられている。付勢部50は、例えば引張ばねまたは引張ゴム等の弾性部材であり、板状部48を基部42に向かって引き寄せる方向に付勢されている。
図8(a)および
図8(b)では、板状部48が付勢部50によって基部42に向かって引き寄せられることで、複数の当接部44の基部42とは反対側の端が広がった状態を示している。第2の実施形態に係る走行装置のその他の構成は第1の実施形態と同じであるため図示および説明を省略する。
【0045】
図9(a)から
図9(d)は、第2の実施形態における走行誘導体40aによる効果を示す図である。
図9(a)は、規定の形状をした畦畔70上を走行装置が走行する場合を示す図であり、
図9(b)は、
図9(a)の走行誘導体40aの斜視図である。
図9(c)は、畦畔70の一部が崩壊等して、上面72に対する法面74の傾斜角度が変化した畦畔70上を走行装置が走行する場合を示す図であり、
図9(d)は、
図9(c)の走行誘導体40aの斜視図である。
【0046】
図9(a)および
図9(b)に示すように、規定の形状をした畦畔70の法面74の傾斜角度は比較的小さい。このような畦畔70上を走行装置が走行する場合、複数の当接部44の基部42とは反対側の端が付勢部50に引っ張られた板状部48によって押し広げられることで、複数の当接部44は法面74の傾斜角度に対応した角度で傾斜する。これにより、複数の当接部44の当接面52は畦畔70の法面74に当接する。また、付勢部50は板状部48を基部42に向かって引き寄せる方向に付勢されていることから、複数の当接部44は、板状部48が付勢部50によって基部42に向かって引き寄せられる力により畦畔70の法面74に向けて付勢されている。
【0047】
図9(c)および
図9(d)に示すように、畦畔70の一部が崩壊等して法面74の傾斜角度が大きくなった畦畔70上を走行装置が走行するようになった場合、複数の当接部44は、法面74によって押されることで、板状部48を基部42から離れる方向に移動させる。これにより、板状部48により押し広げられていた複数の当接部44は互いに近づくように狭まる。このため、畦畔70の法面74の傾斜角度が大きくなった場合でも、複数の当接部44の当接面52は畦畔70の法面74に当接し続ける。また、複数の当接部44は、板状部48が付勢部50によって基部42に向かって引き寄せられる力により畦畔70の法面74に向けて付勢され続ける。
【0048】
走行装置が法面74の傾斜角度が大きい畦畔70上から再び規定の形状をした畦畔70上を走行するようになった場合、板状部48は付勢部50によって基部42に向かって引き寄せられる。これにより、複数の当接部44は、板状部48によって再び押し広げられて、
図9(a)のように、畦畔70の法面74に当接し続ける。また、複数の当接部44は、板状部48が付勢部50によって基部42に向かって引き寄せられる力により畦畔70の法面74に向けて付勢され続ける。
【0049】
なお、図示は省略するが、第2の実施形態に係る走行装置においても、第1の実施形態と同様に、一対の車輪12の間および一対の車輪14の間に間隔調整機構80が設けられている。このため、一対の車輪12、14の間隔が畦畔70の上面72の幅の変化に追従して変化する。
【0050】
本第2の実施形態によれば、車輪12、14の外側に、畦畔70の法面74に当接して車輪12、14の走行方向が畦畔70に沿うように車輪12、14を誘導する走行誘導体40aを備える。走行誘導体40aは、車輪12、14の車軸22a、22bと同軸の回転軸41a、41bを有し、回転軸41a、41bに対して放射状に設けられ、畦畔70の法面74に当接するように回転軸41a、41bに対する角度が変化する複数の当接部44を有する。これにより、第1の実施形態と同じく、畦畔70の法面74の傾斜角度が変化した場合でも、当接部44は法面74に当接し続けるため、車輪12、14の走行方向が畦畔70に沿うように車輪12、14を誘導させ続けることができる。よって、走行装置100は畦畔70上を安定して走行し続ける。また、走行誘導体40aは、車輪12、14の車軸22a、22bと同軸の回転軸41a、41bに対して複数の当接部44が放射状に設けられた構成をしているため、走行装置を小型化することができる。
【0051】
また、本第2の実施形態では、走行誘導体40aは、基部42と、複数の当接部44と、板状部48と、付勢部50と、を有する。基部42は、車輪12、14に回転軸41a、41bを中心に回転可能に取り付けられ、複数の当接部44の一端が接続されている。板状部48は、基部42および複数の当接部44を挟んで車輪12、14とは反対側に配置され、基部42より外形が大きく、複数の当接部44に移動可能に接触している。複数の当接部44は、板状部48の位置が移動することで基部42に対する角度が変化する。付勢部50は、板状部48を基部42に向けて付勢する。そして、複数の当接部44は、板状部48が付勢部50によって基部42に向けて付勢される力により畦畔70の法面74に向けて付勢される。このように、当接部44が法面74に向けて付勢されることで、第1の実施形態と同様に、車輪12、14が畦畔70に沿って走行するように車輪12、14を安定して誘導することができる。また、本第2の実施形態では、回転軸41a、41bに対する複数の当接部44の角度は板状部48によって一括して変化するため、複数の当接部44の全てが畦畔70の法面74の傾斜角度に対応した角度に変化し、複数の当接部44を安定して法面74に当接させ続けることができる。
【0052】
なお、上記第2の実施形態において、板状部48は、基部42および複数の当接部44を挟んで車輪12、14とは反対側に配置され、複数の当接部44の他端を押し広げるように複数の当接部44に力を付与する展開部に対応する。なお、展開部としては、複数の当接部44の他端を押し広げるように複数の当接部44に力を付与することができるものであれば、上記第2の実施形態以外の構成を採用してもよい。
【0053】
[変形例]
図10は、第2の実施形態の変形例における走行誘導体40aを示す図である。なお、
図10では、車輪12、14、ベアリング76、および畦畔70を点線で図示している。
図10に示すように、第2の実施形態の変形例は、板状部48に当接し付勢部50の引き寄せ力を調整するアクチュエータ92と、付勢部50による板状部48の引き寄せ力をアクチュエータ92により制御する引っ張り具合制御部90と、を備える。また、複数の当接部44各々には、当接部44が畦畔70の法面74から受ける面圧を検出するセンサ94(例えばロードセンサ)が設けられている。アクチュエータ92およびセンサ94は引っ張り具合制御部90に電気的に接続されている。引っ張り具合制御部90は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成され、センサ94で検出された検出結果に応じてアクチュエータ92を制御する。例えば、引っ張り具合制御部90は、センサ94で検出される面圧が所定の面圧を維持するようにアクチュエータ92を制御する。その他の構成は第2の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0054】
本第2の実施形態の変形例では、引っ張り具合制御部90が、センサ94の検出結果に応じてアクチュエータ92を制御することにより、当接部44が畦畔70の法面74に向けて付勢される力を制御するため、当接部44を適切な力で畦畔70の法面74に向けて付勢させることができ、車輪12、14を安定して誘導することができる。
【0055】
なお、上記第2の実施形態およびその変形例においても、上記第1の実施形態の変形例と同様に、複数の当接部44の当接面52に突起部54が設けられていてもよい。
【0056】
なお、上記第2の実施形態およびその変形例において、走行誘導体40aは、車輪12、14の両方の外側に設けられている場合に限られず、車輪12、14のいずれか一方の外側にのみ設けられている場合でもよい。
【0057】
なお、上記各実施形態およびその変形例では、車輪12、14がモータ20からの動力によって回転駆動し、刈刃部30がモータ(不図示)からの動力によって回転駆動する場合を例に示したが、車輪12、14および/または刈刃部30は発動機からの動力によって回転駆動する場合でもよい。
【0058】
なお、上記各実施形態およびその変形例において、複数の当接部44が車軸22a、22bに対してほぼ平行になるまで角度の変化が可能であれば、例えば畦畔70上を走行する前後に平地上または法面上を走行することも可能となる。
【0059】
なお、上記各実施形態およびその変形例では、走行装置は畦畔上を自動走行して草刈りを行う場合を例に示したが、この場合に限られる訳ではない。例えば、走行装置は、畦畔上を自動走行して、運搬作業をする場合でもよいし、圃場内に薬剤および/または肥料等の散布作業を行う場合でもよい。また、走行装置は、畦畔上を自動走行する場合に限られず、畝上を自動走行する場合でもよいし、その他の盛土部上を自動走行する場合でもよい。走行装置が畝上を自動走行する場合、走行装置は、収穫、苗植え、および/または種蒔き等の作業を行ってもよい。走行装置が収穫を行う場合は、収穫をする作業部は車体の前方に設けられる場合が好ましく、苗植えおよび/または種蒔きを行う場合は、苗植えおよび種蒔きをする作業部は車体の後方に設けられる場合が好ましい。また、走行装置は、自動走行する場合に限られず、作業者が運転することによって走行する場合でもよい。
【0060】
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 本体
12、14 車輪
18 バッテリー
20 モータ
22a、22b 車軸
30 刈刃部
32 刈刃
34 回転軸
36 回転板
40、40a 走行誘導体
41a、41b 回転軸
42 基部
44 当接部
46 接続部
48 板状部(展開部)
50 付勢部
52 当接面
54 突起部
55 支持棒
62 付勢部
70 畦畔
72 上面
74 法面
76 ベアリング
80 間隔調整機構
82 弾性部材
84 中空部材
86 中実体
90 引っ張り具合制御部
92 アクチュエータ
94 センサ
100 走行装置