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7690079目部材の製造方法、立体造形物の製造方法、目部材、立体造形物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-30
(45)【発行日】2025-06-09
(54)【発明の名称】目部材の製造方法、立体造形物の製造方法、目部材、立体造形物
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/42 20060101AFI20250602BHJP
   A63H 3/38 20060101ALI20250602BHJP
   A63H 9/00 20060101ALI20250602BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20250602BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20250602BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20250602BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20250602BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20250602BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20250602BHJP
【FI】
A63H3/42
A63H3/38 Z
A63H9/00 S
B33Y10/00
B33Y80/00
B29C64/336
B29C64/106
B33Y50/00
B29C64/386
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024031484
(22)【出願日】2024-03-01
【審査請求日】2025-04-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504440133
【氏名又は名称】株式会社ポケモン
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 順一
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 和紀
(72)【発明者】
【氏名】嶋邑 理恵
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-058817(JP,A)
【文献】実開昭60-195095(JP,U)
【文献】特開2021-078590(JP,A)
【文献】特開2022-074525(JP,A)
【文献】特開2012-024382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球を模した眼球部と、
前記眼球部に接する、眼球の周囲部分を模した本体領域と、
を有する目部材であって、
前記眼球部と、前記本体領域とは、それぞれ外観が異なる材料で形成されており、
前記眼球部と、前記本体領域とが一体に形成されており、
前記眼球部は、
ベース部と、
ベース部の一方側に位置し、かつ前記ベース部を被覆するように位置する被覆部と、
を有し、
前記ベース部は、
前記ベース部の前記一方側の面に設けられた瞳孔部と、
前記瞳孔部の周縁に位置し、かつ前記瞳孔部から前記一方側に所定の角度で傾斜する周縁部と、
を有し、
前記ベース部と、前記被覆部とは、それぞれ外観が異なる材料で形成されており、
前記ベース部と、前記被覆部とが一体に形成されている、目部材。
【請求項2】
請求項記載の目部材を有する立体造形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、目部材の製造方法および立体造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャラクターを模した立体造形物の目が、立体造形物を見る人を追視するように見える目部材を製造する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-074525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、眼部品の前面を被覆する虹彩部を成形する虹彩部成形工程と、前面が凸形状で形成されるとともに、虹彩部の後面から突出して該虹彩部の内部に突出する突出部分を有する瞳孔部を成形する瞳孔部成形工程と、瞳孔部が形成されていない部分で虹彩部の後面と接するように下地部を成形する下地部成形工程とを含むことを特徴とする、人形体の顔面部品に組み付けられる眼部品の製造方法が記載されている。
【0005】
目部材の追視の程度は、目部材を構成する各部分の設計(位置、色、形状、寸法等)により異なる。そのため、自然な追視を表現するためには、各部分の設計を変更しつつ、試作を繰り返す必要があった。一方で、追視する目部材は、複数の部品を組み合わせたり、色または材質が異なる複数の材料の成形を繰り返したりすることで製造していたため、試作に多大な工数を必要としていた。
【0006】
また、人をモチーフとした立体造形物において、追視する目部材を採用することは、以前から数多く行われている。そのため、人をモチーフとして追視する目部材を製造するための知見は数多く蓄積されている。したがって、人をモチーフとして、追視する目部材を新たに設計する場合は、従来の設計を参考にすることが可能であるため、設計・試作に係る工数を削減することができる。一方で、立体造形物のモチーフとするキャラクターが架空の生物の場合は、目のデザインが独特なことがある。また、キャラクターの目と、顔と、体全体との位置および大きさの関係によって、見る人が自然に感じるような追視の程度は異なる。一方で、立体造形物のモチーフとするキャラクターが架空の生物の場合は、キャラクターの目と、顔と、体全体との位置および大きさの関係が、そのキャラクター独特なものであることがある。以上の理由から、追視する目部材を設計する際に、従来の知見を参考にできない場合が多い。また、立体造形物のモチーフとするキャラクターが架空の生物の場合は、デザインごとに目の形がさまざまである。したがって、追視する目部材を設計する際に、以前に製造した、他のキャラクターをモチーフとした目部材の設計を参考にすることが難しい。また、デザインが独特であることから、製造した目部材の強度および安全性を慎重に検証する必要もある。以上の理由から、架空の生物のキャラクターをモチーフとした目部材を製造する際は、適切な設計を確立するために設計・試作を多く繰り返す必要があり、人をモチーフとした立体造形物の場合と比較して、多大な工数を要していた。
【0007】
以上の理由から、立体造形物に取り付ける目部材を効率的に製造する方法が求められていた。
【0008】
本開示の目的は、立体造形物に取り付ける目部材を効率的に製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
立体造形物に取り付けられる目部材の製造方法であって、ベース部と、ベース部の一方側に位置し、かつベース部を被覆するように位置する被覆部と、を含む眼球部であって、ベース部は、ベース部の一方側の面に設けられた瞳孔部と、瞳孔部の周縁に位置し、かつ瞳孔部から一方側に所定の角度で傾斜する周縁部と、を含む眼球部を含む目部材の3Dデータを取得するステップと、3Dデータに基づいて、目部材の造形を3Dプリンタに指示するための指示データを生成するステップと、3Dプリンタに、指示データに基づいて造形材料を吐出させることにより、目部材を造形するステップと、を含む、目部材の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、追視する目部材を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態における立体造形物5の製造工程を示す模式図である。
図2】本実施形態において製造される目部材7の正面図である。
図3】本実施形態において製造される目部材7のA-A断面図である。
図4】目部材7のA-A断面図の他の例である。
図5】目部材7のA-A断面図の他の例である。
図6】システム1の機能構成を示すブロック図である。
図7】端末装置10の機能構成を示すブロック図である。
図8】オブジェクト情報1831のデータ構造を示す図である。
図9】本実施形態の指示データ生成処理のフローチャートである。
図10】本実施形態の造形処理のフローチャートである。
図11】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
<0 立体造形物の概要>
図1は、本実施形態における立体造形物5の製造工程を示す模式図である。本実施形態では、立体造形物5は、特定の架空の生物のキャラクターを模した立体造形物である。なお、立体造形物5の製造対象は架空の生物に限られない。立体造形物5は、架空の人工物、実在の生物、実在の人工物等を模したものであってもよい。なお、本実施形態では、立体造形物5は、人間を模したものを含むことは想定されていない。
【0014】
また、特に、本実施形態において製造される立体造形物5は、テーマパークや遊園地等の観光施設において設置される、特定のキャラクターを模したオブジェである。立体造形物5は、例えば、想定されるサイズを再現するように製造されている。観光施設において立体造形物5が設置されることで、キャラクターが登場する物語の世界観が、施設において演出される。また、施設の利用客は、立体造形物5を様々な角度から鑑賞したり、立体造形物5に対して動画・写真撮影等を行ったりすることで、ユーザ体験が向上する。なお、立体造形物5の設置場所は観光施設に限られず、目的に応じて様々な場所に設置してもよい。
【0015】
図1に示すように、立体造形物5は、キャラクターの本体部分を模した本体部6と、キャラクターの目部分を模した目部材7とを有する。
【0016】
本体部6は、目部材7を取り付けるための取付領域61を有する。取付領域61は、例えば、目部材7の形状に沿った窪みを有する。例えば、目部材7が、キャラクターの眼球部分を模したものである場合、取付領域61は、キャラクターの眼球の輪郭に沿った形状の窪みを有する。また、例えば、目部材7が、キャラクターの眼球部分および眼球の周囲の皮膚部分を模したものである場合、取付領域61は、目部材7により模られた皮膚部分の輪郭に沿った形状の窪みを有する。目部材7は、取付領域61の窪みに埋め込まれることで、取付領域61に取り付けられる。目部材7を窪みに埋め込む際、目部材7は、例えば、嵌め込みによる固定、ボルトおよびナットによる固定、溶接、接着剤による接着、等の手法により、取付領域61に固定されてもよい。
【0017】
図1を用いて、立体造形物5の製造工程を説明する。まず、任意の造形手法により本体部6を製造する。また、3Dプリンタを用いて目部材7を製造する。そして、本体部6の取付領域61に、目部材7を取り付けることによって、立体造形物5を製造する。取付領域61に目部材7を取り付ける際、取付領域61と目部材7との境目に対して、研磨、塗装、または充填剤の埋め込み等の表面加工を行ってもよい。これにより、取付領域61と目部材7との境目が目立たなくなる。
【0018】
本実施形態では、本体部6は、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック))を用いて製造される。しかしながら、本体部6の材料は、FRPに限られない。本体部6の材料は、鉄や鋼等の金属、ポリウレタンやアクリル等の樹脂、木材等であってもよい。また、本実施形態では、目部材7は、例えば、アクリル樹脂を用いて製造される。しかしながら、目部材7の材料は、これに限られない。目部材7の材料は、天然樹脂、合成樹脂、石膏、金属粉末等であってもよい。
【0019】
<0.1 目部材の詳細>
図2は、本実施形態において製造される目部材7の正面図である。図3は、本実施形態において製造される目部材7のA-A断面図である。図4は、目部材7のA-A断面図の他の例である。図5は、目部材7のA-A断面図の他の例である。図2に示すように、目部材7は、眼球部71と、本体領域72を有する。なお、目部材7は、本体領域72を有しなくてもよい。
【0020】
眼球部71は、キャラクターの眼球を模した部分である。図3に示すように、眼球部71は、ベース部711と、被覆部712とを有する。
【0021】
ベース部711は、眼球部71の土台となる部分である。図3に示すように、ベース部711は、瞳孔部7111と、周縁部7112とを有する。
【0022】
瞳孔部7111は、キャラクターの眼球の瞳孔を模した部分である。図3に示すように、瞳孔部7111は、ベース部711の一方側の面において、ベース部711の中央に設けられる。なお、瞳孔部7111は、ベース部711の中央に設けられなくてもよい。図3に示すように、瞳孔部7111は、例えば平面形状を有する。なお、図4に示すように、瞳孔部7111は、曲面形状を有してもよい。瞳孔部7111が有する曲面形状は、例えば、図4に示すような凸面形状であってもよく、凹面形状その他の形状であってもよい。また、図5に示すように、瞳孔部7111は、ベース部711において周縁部7112がなす角の頂点部分を指すものであってもよい。目部材7の追視の程度は、瞳孔部7111の位置(特に、周縁部7112および被覆部712の第1面7121に対する位置)、色、形状、寸法等のパラメータに応じて変化する。そのため、目部材7の設計者は、造形対象のキャラクターにとって適切な追視を実現するために、瞳孔部7111の位置(特に、周縁部7112および被覆部712の第1面7121に対する位置)、色、形状、寸法等のパラメータを調整する。
【0023】
周縁部7112は、キャラクターの瞳孔の周縁部分を模した部分である。例えば、周縁部7112は、キャラクターの眼球の黒目部分を表現してもよい。周縁部7112は、瞳孔部7111の周縁に位置し、かつ瞳孔部7111から一方側に所定の角度で傾斜するように設けられる。目部材7の追視の程度は、周縁部7112の位置、色、形状、寸法(特に、瞳孔部7111からの傾斜角度)等のパラメータに応じて変化する。そのため、目部材7の設計者は、造形対象のキャラクターにとって適切な追視を実現するために、周縁部7112の色、形状、寸法(特に、瞳孔部7111からの傾斜角度)を調整する。
【0024】
瞳孔部7111と周縁部7112とは、外観が異なる材料で製造される。ここで、「外観が異なる」とは、例えば、材質、色、透明度の少なくともいずれかが異なることにより、外観に差異が生じることをいう。これにより、キャラクターの眼球の瞳孔部分と、瞳孔の周縁部分との外観の差が表現される。
【0025】
また、ベース部711は、周縁部7112のさらに周縁に、周縁部7112と外観が異なる部分を有していてもよい。当該部分は、例えば、キャラクターの白目部分を表現していてもよい。
【0026】
被覆部712は、キャラクターの眼球の表面(角膜部分)を模した部分である。図3に示すように、被覆部712は、ベース部711の一方側に位置し、かつベース部711を被覆するように位置する。被覆部712は、光を透過する材料で製造される。これにより、図2に示すように、被覆部712の一方側から目部材7を見た場合に、瞳孔部7111および周縁部7112の外観も、被覆部712を透過して視認することができる。
【0027】
また、図3に示すように、被覆部712は、外部へ露出し、瞳孔部7111に接しない第1面7121と、外部へ露出せず、瞳孔部7111に接する第2面7122とを有する。第1面7121は、曲面形状を有する。目部材7の追視の程度は、被覆部712の位置、色、形状(特に、第1面7121と瞳孔部7111との距離)、寸法(特に、第1面7121の大きさおよび曲率)等のパラメータに応じて変化する。そのため、目部材7の設計者は、造形対象のキャラクターにとって適切な追視を実現するために、被覆部712の位置、色、形状(特に、第1面7121と瞳孔部7111との距離)、寸法(特に、第1面7121の大きさおよび曲率)等のパラメータを調整する。
【0028】
なお、第2面7122は、瞳孔部7111と接していなくてもよい。この場合、第2面7122と瞳孔部7111との間の領域は、光を透過する所定の材料が充填されていてもよいし、空洞であってもよい。
【0029】
図3図5に示すように、瞳孔部7111が、被覆部712の第1面7121に対して他方側に所定の距離を有するように設けられることで、瞳孔部7111が、目部材7を見る人を追従するかのように(追視するように)見せることができる。上述したように、目部材7の追視の程度は、瞳孔部7111、周縁部7112、および被覆部712(第1面7121、第2面7122を含む)の位置、色、形状、寸法等のパラメータに応じて変化するため、造形対象のキャラクターにとって適切な追視を実現するためには、これらのパラメータを調整する必要がある。したがって、造形対象のキャラクターにとって適切な追視を実現するためには、これらのパラメータの調整を行いつつ、目部材7の設計および試作を繰り返す必要がある。
【0030】
本体領域72は、キャラクターの眼球の周囲の皮膚部分を模した部分である。図2および図3に示すように、本体領域72は、眼球部71に接するように設けられる。また、図2に示すように、本体領域72は、眼球部71を取り囲むように設けられる。本体領域72は、本体部6の取付領域61付近と外観が類似するような材料で製造される。これにより、目部材7が取付領域61に取り付けられた際に、本体部6と目部材7との境目が目立たず、立体造形物5が自然な外観を呈するようになる。
【0031】
<1 システム全体の構成図>
図6は、システム1の全体構成の例を示すブロック図である。図6に示すシステム1は、例えば、端末装置10、3Dプリンタ30を含む。端末装置10と、3Dプリンタ30とは、例えば、ネットワーク80を介して接続される。
【0032】
図6に示す端末装置10は、例えば、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCにより実現される。この他に、端末装置10は、例えば、移動体通信システムに対応したスマートフォン、タブレット等の携帯端末等により実現されてもよい。また、端末装置10は、例えば、HMD(Head Mount Display)等のウェアラブル端末により実現されてもよい。
【0033】
端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、ストレージ16と、プロセッサ19とを備える。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための装置(例えば、マウス、キーボード等)である。出力装置14は、ユーザに対して情報を提示するための装置(ディスプレイ、スピーカー等)である。
【0034】
端末装置10は演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにより構成されている。コンピュータの基本ハードウェア構成及び、当該ハードウェア構成により実現されるコンピュータの基本機能構成は後述する。端末装置10について、後述するコンピュータの基本ハードウェア構成及びコンピュータの基本機能構成と重複する説明は省略する。
【0035】
3Dプリンタ30は、端末装置10から送信される情報に応じて目部材7を造形する造形装置である。3Dプリンタ30は、材料押出方式、光造形方式、インクジェット方式等の任意の方式により、各方式に応じた造形材料を用いて、目部材7を造形する。3Dプリンタ30は、例えば、造形材料を吐出する吐出部、吐出された造形材料が積層されるプラットフォームを備える。また、本実施形態において、3Dプリンタ30の吐出部は、複数の異なる造形材料を切り替えて吐出することが可能である。なお、3Dプリンタ30は、任意の方式により、本体部6を造形してもよい。
【0036】
<端末装置の構成>
図7は、図6に示す端末装置10の構成例を表すブロック図である。図7に示すように、端末装置10は、通信部120と、入力装置13と、出力装置14と、音声処理部17と、マイク171と、スピーカー172と、位置情報センサ150と、カメラ160と、モーションセンサ170と、記憶部180と、制御部190とを備える。端末装置10に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。
【0037】
通信部120は、端末装置10が他の装置と通信するための変復調処理等の処理を行う。通信部120は、制御部190で生成された信号に送信処理を施し、外部(例えば、サーバ)へ送信する。通信部120は、外部から受信した信号に受信処理を施し、制御部190へ出力する。
【0038】
入力装置13は、端末装置10を操作するユーザが指示、又は情報を入力するための装置である。入力装置13は、例えば、リーダー、キーボード131、マウス132等により実現される。端末装置10がスマートフォンである場合には、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチ・センシティブ・デバイス等により実現されてもよい。入力装置13は、ユーザから入力される指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御部190へ出力する。なお、入力装置13には、例えば、外部の入力機器から入力される電気信号を受け付ける受信ポートが含まれてもよい。
【0039】
出力装置14は、端末装置10を操作するユーザへ情報を提示するための装置である。出力装置14は、例えば、ディスプレイ141等により実現される。ディスプレイ141は、制御部190の制御に応じたデータを表示する。ディスプレイ141は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。
【0040】
音声処理部17は、例えば、音声信号のデジタル-アナログ変換処理を行う。音声処理部17は、マイク171から与えられる信号をデジタル信号に変換して、変換後の信号を制御部190へ与える。また、音声処理部17は、音声信号をスピーカー172へ与える。音声処理部17は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク171は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部17へ与える。スピーカー172は、音声処理部17から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。
【0041】
位置情報センサ150は、端末装置10の位置を検出するセンサであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。衛星測位システムでは、少なくとも3個または4個の衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、GPSモジュールが搭載される端末装置10の現在位置を検出する。位置情報センサ150は、端末装置10が接続する無線基地局の位置から、端末装置10の現在の位置を検出してもよい。
【0042】
記憶部180は、例えば、メモリ15、及びストレージ16等により実現され、端末装置10が使用するデータ、及びプログラムを記憶する。記憶部180は、例えば、3Dデータ183、指示データ184を記憶する。
【0043】
3Dデータ183は、目部材7の形状を3Dで表現した3Dオブジェクトに関するデータである。3Dデータ183は、例えば、objファイルなど、任意の形式で記憶部180に記憶される。3Dデータ183は、本体部6の3Dオブジェクトに関するデータを含んでもよい。
【0044】
3Dデータ183において、目部材7の3Dオブジェクトは、目部材7に含まれる各部の3Dオブジェクトが、それぞれ区別可能な態様で形成されている。例えば、目部材7の3Dオブジェクトは、眼球部71の3Dオブジェクトと本体領域72の3Dオブジェクトとが区別可能な態様で形成されている。また、例えば、眼球部71の3Dオブジェクトは、ベース部711の3Dオブジェクトと被覆部712の3Dオブジェクトとが区別可能な態様で形成されている。また、例えば、ベース部711の3Dオブジェクトは、瞳孔部7111の3Dオブジェクトと周縁部7112の3Dオブジェクトとが区別可能な態様で形成されている。
【0045】
3Dデータ183は、3Dデータ183に係る3Dオブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報1831を含む。なお、3Dデータ183は、オブジェクト情報1831に含まれる一部または全部の情報を含まなくてもよく、オブジェクト情報1831に含まれる一部または全部の情報が、3Dデータ183に関連付けられて記憶部180に記憶されていてもよい。
【0046】
図8は、オブジェクト情報1831のデータ構造の例を示す図である。なお、図8は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。オブジェクト情報1831は、項目「オブジェクトID」と、項目「オブジェクト名」と、項目「座標」と、項目「テクスチャ情報」と、を含む。
【0047】
項目「オブジェクトID」は、オブジェクトを識別するオブジェクトIDを記憶する項目である。オブジェクトIDは、例えば、目部材7の3Dオブジェクト、および、目部材7の各部(眼球部71、本体領域72、ベース部711、被覆部712、瞳孔部7111、周縁部7112)の3Dオブジェクトを識別するIDである。3Dデータ183において、所定の3Dオブジェクト(親オブジェクト)に他の3Dオブジェクト(子オブジェクト)が含まれる場合、親オブジェクトのオブジェクトIDと子オブジェクトのオブジェクトIDとは、グループ構造、階層構造等により、互いに関連付けられていてもよい。例えば、本実施形態では、目部材7の3DオブジェクトのオブジェクトIDと、眼球部71の3DオブジェクトのオブジェクトIDおよび本体領域72の3DオブジェクトのオブジェクトIDとは、互いに関連付けられていてもよい。
【0048】
項目「オブジェクト名」は、オブジェクトの名称を記憶する項目である。
具体的には、項目「オブジェクト名」は、オブジェクトIDにより識別される3Dオブジェクトに対応する、造形対象物の所定の部分の名称を記憶する。例えば、項目「オブジェクト名」は、目部材7に含まれる、ベース部711、被覆部712、等を示す名称を記憶する。
【0049】
項目「座標」は、3Dオブジェクトの位置を示す座標の値を記憶する項目である。
具体的には、項目「座標」は、3Dオブジェクトのx座標,y座標,z座標のそれぞれの値を記憶する。例えば、項目「座標」は、3Dオブジェクトの中心の座標の値を記憶する。
【0050】
項目「テクスチャ情報」は、3Dオブジェクトのテクスチャに関するテクスチャ情報を記憶する項目である。
具体的には、項目「テクスチャ情報」は、3Dオブジェクトの表面に適用される視覚的な効果に関する情報を記憶する。例えば、項目「テクスチャ情報」は、3Dオブジェクトの表面の色、光沢、粗さ、透明度等に関する情報を記憶する。
【0051】
指示データ184は、3Dプリンタ30へ目部材7の造形を指示するための動作命令の内容が記述されたデータである。具体的には、指示データ184は、3Dプリンタ30の造形方式に応じた任意の設定項目に関する情報を含む。例えば、指示データ184は、3Dプリンタ30の吐出部の移動経路の設定に関する情報、吐出部の制御設定に関する情報、吐出された造形材料を固化させるための設定(温度設定、光の照射設定等)に関する情報等を含む。指示データ184は、例えば、Gコードによって表される。
【0052】
制御部190は、プロセッサ19が記憶部180に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部190は、端末装置10の動作を制御する。制御部190は、プログラムに従って動作することにより、操作受付部191、送受信部192、提示制御部193、指示データ生成部194としての機能を発揮する。
【0053】
操作受付部191は、入力装置13から入力される指示、又は情報を受け付けるための処理を行う。例えば、操作受付部191は、キーボード131、マウス132等から入力される指示、又は情報を受け付ける。
【0054】
また、操作受付部191は、マイク171から入力される音声情報を受け付ける。具体的には、例えば、操作受付部191は、マイク171から入力され、音声処理部17でデジタルデータに変換された音声データを受信する。
【0055】
送受信部192は、端末装置10が、外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0056】
提示制御部193は、記憶部180に記憶されるプログラムの実行によりユーザに提供される情報、3Dプリンタ30からユーザに提供される情報等の情報を提示するため、出力装置14等を制御する。
【0057】
指示データ生成部194は、3Dデータ183に基づいて、指示データ184を生成する。具体的には、指示データ生成部194は、3Dデータ183に係る目部材7の3Dオブジェクトを、所定の平面(例えば、3Dデータ183において定義されるxy平面)に沿って、当該所定の平面に対して垂直方向(例えば、3Dデータ183において定義されるz軸方向)に重なる複数の層にスライスし、当該複数の層を造形するための3Dプリンタ30の動作命令の内容が記述された指示データ184を出力する。
【0058】
<2 動作>
(指示データ生成処理)
本実施形態の指示データ生成処理について説明する。指示データ生成処理は、3Dデータ183に基づいて指示データ184を生成する処理である。図9は、本実施形態の指示データ生成処理のフローチャートである。
【0059】
事前に、ユーザは、所定のモデリングソフトを用いて目部材7のモデリングを行い、3Dデータ183を作成する。この際、瞳孔部7111が立体造形物5を見る人を追従するように表現させるために、目部材7に含まれる、瞳孔部7111の位置、形状および寸法と、周縁部7112の傾斜角度と、被覆部712の形状とを設計している。これにより、目部材7を有する立体造形物5が、立体造形物5を見る人を追視するように見えるようになる。ユーザは、端末装置10の記憶部180に、作成した3Dデータ183を記憶させておく。
【0060】
ステップS101において、端末装置10は、3Dデータ183を記憶部180から取得する。
具体的には、端末装置10は、ユーザによる操作を受け付けることで、記憶部180から3Dデータ183を取得する。端末装置10は、所定のアプリケーションプログラム(例えば、任意のスライサーソフト)を起動して、3Dデータ183を読み込む。
【0061】
ステップS102において、端末装置10は、指示データ184の生成に関する設定UIをユーザに提示する。具体的には、端末装置10は、ステップS101において読み込んだ3Dデータ183に基づいて設定UIを生成し、ディスプレイ141を介してユーザに提示する。
【0062】
設定UIは、例えば、目部材7の3Dオブジェクトおよび目部材7に含まれる各部の3Dオブジェクトを表示する領域を含む。
【0063】
また、設定UIは、オブジェクト情報1831のオブジェクトIDごとに造形の設定項目を表示する領域を含む。端末装置10は、例えば、オブジェクト情報1831の各レコードを参照して、オブジェクトIDごとに、設定項目を入力するための領域を表示する。設定項目としては、例えば下記の項目が挙げられる。
(3Dデータのスライスに関する設定)
・スライスする層の数
・スライスの間隔
(3Dプリンタ30のプラットフォーム上における造形物の配置に関する設定)
・プラットフォーム上の造形物の位置
・プラットフォーム上の造形物の大きさ
・プラットフォーム上の造形物の向き
(造形材料に関する設定)
・造形材料の指定(色、透明度、材質、種類、等)
(3Dプリンタ30の動作に関する設定)
・吐出部の動作速度
・吐出部の動作経路
・造形材料の供給量
・造形材料の吐出温度
・造形材料の固化に関する設定(造形材料の冷却温度、造形材料に照射する光の設定(照射時間、照射波長等)等)
【0064】
ユーザは、設定UIに表示される各設定項目に対して情報を入力することで、目部材7の造形に関する設定を行う。なお、設定UIにおいて、所定の設定項目に対してオブジェクトIDごとに情報が入力されてもよいし、任意の複数のオブジェクトIDごとに情報が入力されてもよいし、すべてのオブジェクトIDについて一括で情報が入力されてもよい。特に、目部材7に含まれる各部(眼球部71、本体領域72、眼球部71に含まれるベース部711と被覆部712、ベース部711に含まれる瞳孔部7111と周縁部7112)は、造形に用いられる造形材料の色、材質がそれぞれ異なる場合がある。その場合、端末装置10は、目部材7に含まれる各部に対応するオブジェクトIDのそれぞれについて、個別に設定項目の入力を受け付ける。例えば、端末装置10は、被覆部712と、周縁部7112と、瞳孔部7111とにそれぞれ対応するオブジェクトIDについて、設定項目への情報入力をそれぞれ受け付けることにより、3Dデータ183における、被覆部712に対応する部分と、周縁部7112に対応する部分と、瞳孔部7111に対応する部分とに、それぞれ異なる設定を割り当ててもよい。また、端末装置10は、被覆部712と、本体領域72とにそれぞれ対応するオブジェクトIDについて、設定項目への情報入力をそれぞれ受け付けることにより、3Dデータ183における、被覆部712に対応する部分と、本体領域72に対応する部分とに、それぞれ異なる設定を割り当ててもよい。
【0065】
また、設定UIは、指示データ184の生成の指示を入力するための操作を受け付けるためのボタンを表示する領域を含む。当該ボタンがユーザからの入力操作を受け付けると、端末装置10は、ステップS103の処理に進む。
【0066】
ステップS103において、端末装置10は、目部材7の造形に関する設定を受け付ける。
具体的には、端末装置10は、ステップS102において提示した設定UIの各設定項目に対してユーザから入力された情報を受け付ける。なお、端末装置10は、オブジェクト情報1831の各項目に記憶される情報に基づいて、ユーザからの情報の入力を受け付けることなく、自動的に造形の設定を行ってもよい。例えば、端末装置10は、オブジェクト情報1831の所定のレコードにおける項目「テクスチャ情報」に記憶されるテクスチャ情報(例えば、色に関する情報)に基づいて、当該レコードに係る3Dオブジェクトを造形する際の造形材料の設定(例えば、造形材料の色に関する設定)を割り当ててもよい。
【0067】
端末装置10は、ユーザから受け付けた各設定項目に関する情報に基づいて、目部材7の3Dオブジェクトのスライシングを行う。具体的には、端末装置10は、ユーザから受け付けたスライスの間隔に応じて、ユーザから受け付けた位置、大きさ、および向きに設定された目部材7の3Dオブジェクトを、複数の層にスライスする。また、端末装置10は、ユーザから受け付けた各設定項目に関する情報に基づいて、スライスされた各層を造形するための3Dプリンタ30の動作内容(吐出部の移動経路の設定、吐出部の制御設定、吐出された造形材料を固化させるための設定等)を決定する。
【0068】
ステップS104において、端末装置10は、スライシングの結果に基づいて指示データ184を生成する。具体的には、端末装置10は、ステップS103において決定した3Dプリンタ30の動作内容を、3Dプリンタ30が実行可能な指示データ184に変換する。例えば、端末装置10は、ステップS103において決定した、3Dプリンタ30の吐出部の移動経路、吐出部の制御設定、温度設定等の情報を、Gコードの形式に変換することで、指示データ184を生成する。端末装置10は、生成した指示データ184を、記憶部180に記憶する。
【0069】
(造形処理)
本実施形態の造形処理について説明する。造形処理は、指示データ184に基づいて目部材7の造形を行う処理である。図10は、本実施形態の造形処理のフローチャートである。
【0070】
まず、端末装置10は、ユーザによる操作に基づいて、3Dプリンタ30を制御するためのアプリケーションを実行する。
【0071】
ステップS201において、端末装置10は、目部材7に係る指示データ184を3Dプリンタ30へ送信することで、3Dプリンタ30に目部材7の造形を指示する。
具体的には、端末装置10は、ユーザによる操作に基づいて、目部材7に係る指示データ184を記憶部180から取得し、3Dプリンタ30へ送信する。
【0072】
ステップS202において、3Dプリンタ30は、端末装置10から受け付けた指示データ184に基づいて、目部材7を造形する。
具体的には、3Dプリンタ30は、端末装置10から受け付けた指示データ184を読み込み、指示データ184に記述された命令にしたがって吐出部から造形材料を吐出させ、造形材料をプラットフォーム上に積層する。その後、3Dプリンタ30は、指示データ184に記述された命令にしたがって、プラットフォーム上に積層した造形材料を固化させ、目部材7を造形する。造形に用いられる造形材料は、例えばアクリル樹脂であるが、指示データ184に応じて任意の造形材料を用いることができる。
【0073】
また、ステップS202では、3Dプリンタ30は、指示データ生成処理のステップS102において設定した設定に応じて、目部材7の各部分に割り当てられた造形材料を切り替えつつ吐出することで、目部材7の各部分をそれぞれ異なる造形材料により造形する。例えば、目部材7の被覆部712と、ベース部711とは、それぞれ外観が異なる造形材料によって造形される。また、例えば、ベース部711のうち、瞳孔部7111と、周縁部7112とは、それぞれ外観が異なる造形材料によって造形される。また、例えば、眼球部71と、本体領域72とは、それぞれ外観が異なる造形材料によって造形される。これにより、造形対象であるキャラクターの外観の特徴を良好に再現することができる。
【0074】
また、本実施形態では、材料が異なる部分をそれぞれ異なる工程で個別に製造する必要がなく、1つの工程で一括に目部材を製造することが可能である。したがって、目部材を効率的に作製することが可能である。
【0075】
また、本実施形態では、材料が異なる部分を複数含む目部材を一括で効率的に製造することができるため、目部材に含まれる各部分の設計変更を迅速に行うことができる。これにより、多数の設計案の試作を迅速に行うことができる。したがって、目部材における適切な追視を実現するための設計の検討を効率的に行うことができる。
【0076】
以上のように、指示データ生成処理および造形処理により、目部材7が製造される。製造された目部材7において、ベース部711と、被覆部712とは、外観が異なる材料で形成されている。一方で、造形処理のステップS202のとおり、ベース部711と、被覆部712とは、一体に、一つの工程で形成される。また、製造された目部材7において、眼球部71と、本体領域72とは、外観が異なる材料で形成されている。一方で、造形処理のステップS202のとおり、眼球部71と、本体領域72とは、一体に、一つの工程で形成される。
【0077】
さらに、指示データ生成処理および造形処理により製造された目部材7が、任意の造形手法により造形された本体部6の取付領域61に取り付けられることで、追視する目部材を備える立体造形物5が製造される。
【0078】
<小括>
以上説明した製造方法では、ベース部711と、ベース部711の一方側に位置し、かつベース部711を被覆するように位置する被覆部712と、を含む眼球部71であって、ベース部711は、ベース部711の一方側の面に設けられた瞳孔部7111と、瞳孔部7111の周縁に位置し、かつ瞳孔部7111から一方側に所定の角度で傾斜する周縁部7112と、を含む眼球部71を含む目部材7の3Dデータを取得する。また、以上説明した製造方法では、3Dデータに基づいて、目部材7の造形を3Dプリンタに指示するための指示データを生成する。また、以上説明した製造方法では、3Dプリンタに、指示データに基づいて造形材料を吐出させることにより、目部材7を造形する。これにより、立体造形物5に取り付ける目部材7を効率的に製造することができる。
【0079】
以上説明した製造方法では、3Dデータにおける、被覆部712に対応する部分と、瞳孔部7111に対応する部分と、周縁部7112に対応する部分とに、それぞれ異なる設定を割り当て、指示データを生成するステップにおいて割り当てた設定に基づいて、造形材料を吐出させてもよい。これにより、造形の設定が異なる部分を複数含む目部材7を、一括で効率的に製造することができる。
【0080】
以上説明した製造方法では、瞳孔部7111が立体造形物5を見る人を追従するように表現させるために、目部材7に含まれる、瞳孔部7111の位置、形状および寸法と、周縁部7112の傾斜角度と、被覆部712の形状とを設計してもよい。これにより、追視する目部材7を効率的に製造することができる。
【0081】
以上説明した製造方法では、目部材7は、眼球部71に接する本体領域72を含み、3Dデータにおける、被覆部712に対応する部分と、本体領域72に対応する部分とに、それぞれ異なる設定を割り当て、割り当てた設定に基づいて、造形材料を吐出させてもよい。これにより、造形の設定が異なる部分を複数含む目部材7を、一括で効率的に製造することができる。
【0082】
また、以上説明したように、製造された目部材7を、対応する取付領域61に取り付けることで、立体造形物5を製造してもよい。これにより、目部材7を備える立体造形物5を効率的に製造することができる。
【0083】
また、以上説明したように、目部材7は、ベース部711と、ベース部711の一方側に位置し、かつベース部711を被覆するように位置する被覆部712と、を含む眼球部71であって、ベース部711は、ベース部711の一方側の面に設けられた瞳孔部7111と、瞳孔部7111の周縁に位置し、かつ瞳孔部7111から一方側に所定の角度で傾斜する周縁部7112と、を含む眼球部71を含む目部材7の3Dデータを取得するステップと、3Dデータに基づいて、目部材7の造形を3Dプリンタに指示するための指示データを生成するステップと、3Dプリンタに、指示データに基づいて造形材料を吐出させることにより、目部材7を造形するステップと、を含む工程により製造されてもよい。これにより、立体造形物5に取り付ける目部材7を効率的に製造することができる。
【0084】
また、以上説明したように、立体造形物5は、目部材7を有してもよい。これにより、目部材7を備える立体造形物5を効率的に製造することができる。
【0085】
また、以上説明したように、目部材7は、眼球を模した眼球を有し、眼球部71は、ベース部711と、ベース部711の一方側に位置し、かつベース部711を被覆するように位置する被覆部712と、を有し、ベース部711は、ベース部711の一方側の面に設けられた瞳孔部7111と、瞳孔部7111の周縁に位置し、かつ瞳孔部7111から一方側に所定の角度で傾斜する周縁部7112と、を有し、ベース部711と、被覆部712とは、それぞれ外観が異なる材料で形成されており、ベース部711と、被覆部712とが一体に形成されていてもよい。これにより、個別のパーツを組み合わせることなく、目部材7が一体に形成されているため、個別のパーツに分かれている場合に比べて目部材7の取り扱いが容易になるほか、目部材7の強度が増加する。
【0086】
また、以上説明したように、目部材7は、眼球部71に接する、眼球の周囲部分を模した本体領域72を有し、眼球部71と、本体領域72とは、それぞれ外観が異なる材料で形成されており、眼球部71と、本体領域72とが一体に形成されていてもよい。これにより、個別のパーツを組み合わせることなく、目部材7が一体に形成されているため、個別のパーツに分かれている場合に比べて目部材7の取り扱いが容易になるほか、目部材7の強度が増加する。
【0087】
また、以上説明したように、立体造形物5は、目部材7を有してもよい。これにより、個別のパーツを組み合わせることなく、目部材7が一体に形成されているため、個別のパーツに分かれている場合に比べて目部材7の取り扱いが容易になるほか、目部材7の強度が増加する。
【0088】
<3 コンピュータの基本ハードウェア構成>
図11は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ94、主記憶装置95、補助記憶装置96、通信IF99(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらはバスにより相互に電気的に接続される。
【0089】
プロセッサ94とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ94は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0090】
主記憶装置95とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0091】
補助記憶装置96とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0092】
通信IF99とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
【0093】
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0094】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0095】
<コンピュータ90の基本機能構成>
図11に示すコンピュータ90の基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0096】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0097】
制御部は、プロセッサ94が補助記憶装置96に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置95に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0098】
記憶部は、主記憶装置95、補助記憶装置96により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ94は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置95または補助記憶装置96に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ94に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0099】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
【0100】
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するためのキーとなるカラムが設定されるが、カラムへのキーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ94に、記憶部に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0101】
通信部は、通信IF99により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ94に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0102】
本明細書中に記載されている構成要素により実現される機能は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、集積回路、ASICs (Application Specific Integrated Circuits)、CPU (a Central Processing Unit)、従来型の回路、および/又はそれらの組合せを含む、circuitry又はprocessing circuitryにおいて実装されてもよい。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含み、 circuitry又はprocessing circuitryとみなされる。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する、programmed processorであってもよい。
本明細書において、circuitry、ユニット、手段は、記載された機能を実現するようにプログラムされたハードウェア、又は実行するハードウェアである。当該ハードウェアは、本明細書に開示されているあらゆるハードウェア、又は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、又は、実行するものとして知られているあらゆるハードウェアであってもよい。
当該ハードウェアがcircuitryのタイプであるとみなされるプロセッサである場合、当該circuitry、手段、又はユニットは、ハードウェアと、当該ハードウェア及び又はプロセッサを構成する為に用いられるソフトウェアの組合せである。
【0103】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0104】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
立体造形物に取り付けられる目部材の製造方法であって、ベース部と、ベース部の一方側に位置し、かつベース部を被覆するように位置する被覆部と、を含む眼球部であって、ベース部は、ベース部の一方側の面に設けられた瞳孔部と、瞳孔部の周縁に位置し、かつ瞳孔部から一方側に所定の角度で傾斜する周縁部と、を含む眼球部を含む目部材の3Dデータを取得するステップと、3Dデータに基づいて、目部材の造形を3Dプリンタに指示するための指示データを生成するステップと、3Dプリンタに、指示データに基づいて造形材料を吐出させることにより、目部材を造形するステップと、を含む、目部材の製造方法。
(付記2)
指示データを生成するステップにおいて、3Dデータにおける、被覆部に対応する部分と、瞳孔部に対応する部分と、周縁部に対応する部分とに、それぞれ異なる設定を割り当て、造形するステップにおいて、指示データを生成するステップにおいて割り当てた設定に基づいて、造形材料を吐出させる、付記1記載の製造方法。
(付記3)
瞳孔部が立体造形物を見る人を追従するように表現させるために、目部材に含まれる、瞳孔部の位置、形状および寸法と、周縁部の傾斜角度と、被覆部の形状とを設計している、付記1記載の製造方法。
(付記4)
目部材は、眼球部に接する本体領域を含み、指示データを生成するステップにおいて、3Dデータにおける、被覆部に対応する部分と、本体領域に対応する部分とに、それぞれ異なる設定を割り当て、造形するステップにおいて、指示データを生成するステップにおいて割り当てた設定に基づいて、造形材料を吐出させる、付記1記載の製造方法。
(付記5)
付記1~4のいずれかに記載の製造方法により製造された目部材を、対応する取付領域に取り付けることを含む、立体造形物の製造方法。
(付記6)
立体造形物に取り付けられる目部材であって、ベース部と、ベース部の一方側に位置し、かつベース部を被覆するように位置する被覆部と、を含む眼球部であって、ベース部は、ベース部の一方側の面に設けられた瞳孔部と、瞳孔部の周縁に位置し、かつ瞳孔部から一方側に所定の角度で傾斜する周縁部と、を含む眼球部を含む目部材の3Dデータを取得するステップと、3Dデータに基づいて、目部材の造形を3Dプリンタに指示するための指示データを生成するステップと、3Dプリンタに、指示データに基づいて造形材料を吐出させることにより、目部材を造形するステップと、を含む工程により製造された目部材。
(付記7)
付記6記載の目部材を有する立体造形物。
(付記8)
眼球を模した眼球部を有する目部材であって、眼球部は、ベース部と、ベース部の一方側に位置し、かつベース部を被覆するように位置する被覆部と、を有し、ベース部は、ベース部の一方側の面に設けられた瞳孔部と、瞳孔部の周縁に位置し、かつ瞳孔部から一方側に所定の角度で傾斜する周縁部と、を有し、ベース部と、被覆部とは、それぞれ外観が異なる材料で形成されており、ベース部と、被覆部とが一体に形成されている、目部材。
(付記9)
眼球部に接する、眼球の周囲部分を模した本体領域を有し、眼球部と、本体領域とは、それぞれ外観が異なる材料で形成されており、眼球部と、本体領域とが一体に形成されている、付記8記載の目部材。
(付記10)
付記8または付記9記載の目部材を有する立体造形物。
【符号の説明】
【0105】
1…システム
10…端末装置
12…通信IF
120…通信部
13…入力装置
131…ボタン
14…出力装置
141…ディスプレイ
15…メモリ
16…ストレージ
17…音声処理部
171…マイク
172…スピーカー
180…記憶部
19…プロセッサ
190…制御部
30…3Dプリンタ
【要約】
【課題】立体造形物に取り付ける目部材を効率的に製造する。
【解決手段】立体造形物に取り付けられる目部材の製造方法であって、ベース部と、ベース部の一方側に位置し、かつベース部を被覆するように位置する被覆部と、を含む眼球部であって、ベース部は、ベース部の一方側の面に設けられた瞳孔部と、瞳孔部の周縁に位置し、かつ瞳孔部から一方側に所定の角度で傾斜する周縁部と、を含む眼球部を含む目部材の3Dデータを取得するステップと、3Dデータに基づいて、目部材の造形を3Dプリンタに指示するための指示データを生成するステップと、3Dプリンタに、指示データに基づいて造形材料を吐出させることにより、目部材を造形するステップと、を含む、目部材の製造方法。
【選択図】 図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11