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特許7695744製品ライフサイクル評価装置、製品ライフサイクル評価システム、製品ライフサイクル評価方法及び製品ライフサイクル評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-11
(45)【発行日】2025-06-19
(54)【発明の名称】製品ライフサイクル評価装置、製品ライフサイクル評価システム、製品ライフサイクル評価方法及び製品ライフサイクル評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20250612BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024226572
(22)【出願日】2024-12-23
【審査請求日】2024-12-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504381021
【氏名又は名称】株式会社JEMS
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】藤野 直樹
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-251416(JP,A)
【文献】特開2009-032132(JP,A)
【文献】特開2011-204217(JP,A)
【文献】特開平10-057936(JP,A)
【文献】▲高▼田 祥三,ライフサイクルエンジニアリングと生産システム,計測と制御 ,日本,社団法人計測自動制御学会,2004年05月10日,第43巻 第5号,pp.395~400
【文献】パッケージ,クリエイティブ,購買 TOPPANホールディングス,大日本印刷,印刷雑誌,日本,株式会社印刷学会,2024年04月15日,第107巻 第4号,pp.40~41
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の製品のライフサイクル全体における環境負荷情報、環境影響評価指標及びリサイクル率を含む環境パフォーマンス指標並びにトータルコストに影響を及ぼす影響因子の条件を変更して前記環境パフォーマンス指標及びトータルコストを算出するシミュレーション処理を行う第1処理部と、
前記第1処理部のシミュレーション処理結果を出力する出力部と、
を備え
前記第1処理部は、前記トータルコストを算出するコスト算出部と、前記リサイクル率を算出するリサイクル率算出部と、前記環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出部と、前記環境影響評価指標を算出する環境影響評価指標算出部と、前記シミュレーション処理を行うシミュレーション部と、を備え、
前記シミュレーション部は、前記シミュレーション処理において、ユーザが設定した前記環境パフォーマンス指標及び/又は前記トータルコストを達成可能な前記影響因子の組み合わせを取得する最適化処理を行い、
前記出力部は、前記シミュレーション処理結果として、前記シミュレーション部が取得した前記影響因子の組み合わせを出力する製品ライフサイクル評価装置。
【請求項2】
前記トータルコストの内訳には、廃棄コスト及び廃棄に係る輸送コストが含まれ、
廃棄物処理業者に係る情報が記憶された廃棄物処理業者DBを備え、
前記コスト算出部は、前記廃棄物処理業者DBに記憶された廃棄コストデータ並びに位置データに基づいて前記トータルコストを算出する請求項1に記載の製品ライフサイクル評価装置。
【請求項3】
前記リサイクル率算出部は、前記廃棄物処理業者DBに記憶されたリサイクル率データに基づいて前記リサイクル率を算出する請求項に記載の製品ライフサイクル評価装置。
【請求項4】
環境負荷情報算出部は、前記廃棄物処理業者DBに記憶された前記位置データに基づいて前記環境負荷情報を算出する請求項に記載の製品ライフサイクル評価装置。
【請求項5】
マスバランス方式に基づく製品製造工程における原材料の投入量に対するサスティナブル原材料の投入量の割合と、製造された総製品量と、の関係に基づくマスバランス情報を前記出力部に出力させる第2処理部を備える請求項1に記載の製品ライフサイクル評価装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の製品ライフサイクル評価装置と、
前記製品ライフサイクル評価装置にネットワーク接続されたユーザ端末と、を備え、
前記出力部は、前記シミュレーション処理結果を前記ユーザ端末に出力する製品ライフサイクル評価システム。
【請求項7】
製品ライフサイクル評価装置による製品ライフサイクル評価方法であって、
所定の製品のライフサイクル全体における環境負荷情報、環境影響評価指標及びリサイクル率を含む環境パフォーマンス指標並びにトータルコストに影響を及ぼす影響因子の条件を変更して前記環境パフォーマンス指標及びトータルコストを算出するシミュレーション処理を行う第1処理ステップと、
前記第1処理ステップのシミュレーション処理結果を出力する出力ステップと、を備え
前記第1処理ステップは、前記トータルコストを算出するコスト算出ステップと、前記リサイクル率を算出するリサイクル率算出ステップと、前記環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出ステップと、前記環境影響評価指標を算出する環境影響評価指標算出ステップと、前記シミュレーション処理を行うシミュレーションステップと、を備え、
前記シミュレーションステップは、前記シミュレーション処理において、ユーザが設定した前記環境パフォーマンス指標及び/又は前記トータルコストを達成可能な前記影響因子の組み合わせを取得する最適化処理を行い、
前記出力ステップは、前記シミュレーション処理結果として、前記シミュレーションステップで取得した前記影響因子の組み合わせを出力する製品ライフサイクル評価方法。
【請求項8】
製品ライフサイクル評価装置のコンピュータを、
所定の製品のライフサイクル全体における環境負荷情報、環境影響評価指標及びリサイクル率を含む環境パフォーマンス指標並びにトータルコストに影響を及ぼす影響因子の条件を変更して前記環境パフォーマンス指標及びトータルコストを算出するシミュレーション処理を行う第1処理部、
前記第1処理部のシミュレーション処理結果を出力する出力部、
として機能させ
前記第1処理部は、前記トータルコストを算出するコスト算出部、前記リサイクル率を算出するリサイクル率算出部、前記環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出部、前記環境影響評価指標を算出する環境影響評価指標算出部、前記シミュレーション処理を行うシミュレーション部、として機能し、
前記シミュレーション部は、前記シミュレーション処理において、ユーザが設定した前記環境パフォーマンス指標及び/又は前記トータルコストを達成可能な前記影響因子の組み合わせを取得する最適化処理を行い、
前記出力部は、前記シミュレーション処理結果として、前記シミュレーション部が取得した前記影響因子の組み合わせを出力する製品ライフサイクル評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品ライフサイクル評価装置、製品ライフサイクル評価システム、製品ライフサイクル評価方法及び製品ライフサイクル評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源を繰り返し使用することで廃棄物の発生並びに資源の枯渇を抑制して、環境負荷を最小限にしつつ、リサイクル率を高めることで資源循環率を向上させて、資源の利用効率を最大化する循環型社会への移行が国家戦略として推進されている。そこで、例えば特許文献1には、製品の製造に係る種々の情報を取得することで、環境負荷を算出する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2024-035552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明は、製品のライフサイクルのうち製造工程における環境負荷のみを算出するものであり、ライフサイクル全体における環境負荷を算出するものではない。また、企業活動としての製品の製造にあたっては、環境負荷の低減のみならず、従来通りコストの削減を追求する必要があるが、特許文献1に記載の発明では、算出した環境負荷に基づいて、これを低減するための条件変更はできても、環境負荷の低減とコスト削減を両立にまで繋げることはできない。
【0005】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものである。その目的は、製品のライフサイクルの全体を踏まえた環境負荷、リサイクル率並びにコストのバランスを評価可能な製品ライフサイクル評価装置、製品ライフサイクル評価システム、製品ライフサイクル評価方法及び製品ライフサイクル評価プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、製品ライフサイクル評価装置であって、
所定の製品のライフサイクル全体における環境負荷情報、環境影響評価指標及びリサイクル率を含む環境パフォーマンス指標並びにトータルコストに影響を及ぼす影響因子の条件を変更して前記環境パフォーマンス指標及びトータルコストを算出するシミュレーション処理を行う第1処理部と、
前記第1処理部のシミュレーション処理結果を出力する出力部と、
を備え
前記第1処理部は、前記トータルコストを算出するコスト算出部と、前記リサイクル率を算出するリサイクル率算出部と、前記環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出部と、前記環境影響評価指標を算出する環境影響評価指標算出部と、前記シミュレーション処理を行うシミュレーション部と、を備え、
前記シミュレーション部は、前記シミュレーション処理において、ユーザが設定した前記環境パフォーマンス指標及び/又は前記トータルコストを達成可能な前記影響因子の組み合わせを取得する最適化処理を行い、
前記出力部は、前記シミュレーション処理結果として、前記シミュレーション部が取得した前記影響因子の組み合わせを出力する
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の製品ライフサイクル評価装置であって、
前記トータルコストの内訳には、廃棄コスト及び廃棄に係る輸送コストが含まれ、
廃棄物処理業者に係る情報が記憶された廃棄物処理業者DBを備え、
前記コスト算出部は、前記廃棄物処理業者DBに記憶された廃棄コストデータ並びに位置データに基づいて前記トータルコストを算出する。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の製品ライフサイクル評価装置であって、
前記リサイクル率算出部は、前記廃棄物処理業者DBに記憶されたリサイクル率データに基づいて前記リサイクル率を算出する。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の製品ライフサイクル評価装置であって
環境負荷情報算出部は、前記廃棄物処理業者DBに記憶された前記位置データに基づいて前記環境負荷情報を算出する。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の製品ライフサイクル評価装置であって、
マスバランス方式に基づく製品製造工程における原材料の投入量に対するサスティナブル原材料の投入量の割合と、製造された総製品量と、の関係に基づくマスバランス情報を前記出力部に出力させる第2処理部を備える。
【0013】
請求項に記載の発明は、製品ライフサイクル評価システムであって、
請求項1からのいずれか一項に記載の製品ライフサイクル評価装置と、
前記製品ライフサイクル評価装置にネットワーク接続されたユーザ端末と、を備え、
前記出力部は、前記シミュレーション処理結果を前記ユーザ端末に出力する。
【0014】
請求項に記載の発明は、製品ライフサイクル評価装置による製品ライフサイクル評価方法であって、
製品ライフサイクル評価装置による製品ライフサイクル評価方法であって、
所定の製品のライフサイクル全体における環境負荷情報、環境影響評価指標及びリサイクル率を含む環境パフォーマンス指標並びにトータルコストに影響を及ぼす影響因子の条件を変更して前記環境パフォーマンス指標及びトータルコストを算出するシミュレーション処理を行う第1処理ステップと、
前記第1処理ステップのシミュレーション処理結果を出力する出力ステップと、を備え
前記第1処理ステップは、前記トータルコストを算出するコスト算出ステップと、前記リサイクル率を算出するリサイクル率算出ステップと、前記環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出ステップと、前記環境影響評価指標を算出する環境影響評価指標算出ステップと、前記シミュレーション処理を行うシミュレーションステップと、を備え、
前記シミュレーションステップは、前記シミュレーション処理において、ユーザが設定した前記環境パフォーマンス指標及び/又は前記トータルコストを達成可能な前記影響因子の組み合わせを取得する最適化処理を行い、
前記出力ステップは、前記シミュレーション処理結果として、前記シミュレーションステップで取得した前記影響因子の組み合わせを出力する
【0015】
請求項に記載の発明は、製品ライフサイクル評価プログラムであって、
製品ライフサイクル評価装置のコンピュータを、
所定の製品のライフサイクル全体における環境負荷情報、環境影響評価指標及びリサイクル率を含む環境パフォーマンス指標並びにトータルコストに影響を及ぼす影響因子の条件を変更して前記環境パフォーマンス指標及びトータルコストを算出するシミュレーション処理を行う第1処理部、
前記第1処理部のシミュレーション処理結果を出力する出力部、
として機能させ
前記第1処理部は、前記トータルコストを算出するコスト算出部、前記リサイクル率を算出するリサイクル率算出部、前記環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出部、前記環境影響評価指標を算出する環境影響評価指標算出部、前記シミュレーション処理を行うシミュレーション部、として機能し、
前記シミュレーション部は、前記シミュレーション処理において、ユーザが設定した前記環境パフォーマンス指標及び/又は前記トータルコストを達成可能な前記影響因子の組み合わせを取得する最適化処理を行い、
前記出力部は、前記シミュレーション処理結果として、前記シミュレーション部が取得した前記影響因子の組み合わせを出力する
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製品のライフサイクルの全体を踏まえた環境負荷、リサイクル率並びにコストのバランスを評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る製品ライフサイクル評価システムの構成を示すブロック図である。
図2】多目的最適化処理の結果出力するグラフの概略図である。
図3】多目的最適化処理の結果出力する表の概略図である。
図4】マスバランス方式に基づくバランス状況の出力処理の流れを示すフローチャートである。
図5】バランス状況の出力処理で用いられる入荷データの概略図である。
図6】バランス状況の出力処理で用いられる生産出荷データの概略図である。
図7】バランス状況の出力処理で用いられるマスバランス情報データの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1から図7に基づいて、本発明の実施形態である製品ライフサイクル評価システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0019】
[全体構成]
図1は、製品ライフサイクル評価システム(以下、「システム」)100の主要構成を示すブロック図である。図1に示すように、システム100は、端末装置としてのユーザ端末(以下、「端末」)10及び製品ライフサイクル評価装置(以下、「装置」)20を備える。端末10と装置20は、相互にネットワークNによって接続される。なお、図1においては、1つの端末10のみを示しているが、複数の端末10が同時に装置20に接続されてよい。
【0020】
(ネットワーク)
ネットワークNは、電話回線網、光ファイバー、移動体通信網、通信衛星回線、CATV(Community Antenna TeleVision)回線網あるいはその他専用線等の各種通信回線網と、それらを接続するインターネットサービスプロバイダ(インターネット)等を含んでいてもよい。また、ネットワークNは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)あるいはNFC(Near Field Communication)等の様々な通信網が互いに通信可能に接続された集合的な通信網であってもよい。また、接続の形態について、有線、無線及び有線と無線の混在を問わない。
【0021】
(ユーザ端末)
端末10は、システム100を利用する各ユーザが所持して使用する装置である。なお、端末10は、スマートフォンやタブレット端末等の携帯可能な情報端末である。あるいは、端末10は、ラップトップコンピューター(ノートパソコン、ノートブック及びウルトラブック等)や、デスクトップPC等の端末機器である。
【0022】
各端末10は、ネットワークN(端末10の通信回線や無線LAN等)を用いて、装置20に対してデータ通信をする。端末10は、制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び操作入力部15等を備える。
【0023】
{制御部}
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有し、端末10における各部の動作を統括制御するプロセッサ(コンピューター)である。CPUは、記憶部12に記憶されているアプリ(アプリケーションプログラム)等のプログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムを実行することで各種処理を実行する。
【0024】
{記憶部}
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリ等を備え、アプリ等のプログラム及び各種データ等を記憶している。端末10には、後述する各種の処理を実行可能なウェブブラウザ又はプログラムがインストールされており、当該ウェブブラウザ又はプログラムのファイルが記憶部12に記憶されている。なお、本実施形態においては、ウェブブラウザから各種の処理を行うものとして説明する。
【0025】
{通信部}
通信部13は、通信インターフェース等により構成される。通信部13は、所定の通信プロトコルを用いて、ネットワークNを介して装置20との間でデータを送受信する。
【0026】
{表示部}
表示部14は、液晶ディスプレイ等の表示装置を備える。表示部14は、制御部11の制御下で各種の画面を表示する。
【0027】
{操作入力部}
操作入力部15は、例えば各種操作キー等で構成される。操作入力部15は、ユーザの入力操作を操作信号に変換して制御部11に出力する。なお、表示部14と操作入力部15は、タッチパネルとして一体化してもよい。
【0028】
(製品ライフサイクル評価装置)
装置20は、システム100において必要な機能が付与されている。装置20は、制御部21、記憶部22及び通信部23を備える。
装置20は、例えばクラウドコンピューティングによって実現されるクラウドサーバであるが、これに限られない。装置20は、実体を有する機器であってもよく、オンプレミスな運用がなされてもよい。また、装置20が実体を有する機器である場合は、複数の機器によって装置20が構成されてもよい。
【0029】
{制御部}
制御部21は、CPUやRAM等で構成されている。CPUは、記憶部22に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、装置20における各部の動作を集中制御する。特に、制御部21は、CPUがプログラムを実行することで、主に第1処理部211、第2処理部212及び出力部213として機能する。
【0030】
<第1処理部>
第1処理部211は、主として製品ライフサイクルにおける環境パフォーマンス指標及びトータルコストに影響を及ぼす影響因子を変更した場合の環境パフォーマンス指標及びトータルコストを出力するシミュレーション処理を行う。影響因子とは、例えば製品の製造工程における原材料投入量、原材料構成比並びに処分工程における廃棄物処理業者等である。環境パフォーマンス指標及びトータルコストについては後述する。
【0031】
第1処理部211は、例えばコスト算出部2111、リサイクル率算出部2112、環境負荷情報算出部2113、環境影響評価指標算出部2114及びシミュレーション部2115として機能する。
【0032】
〈コスト算出部〉
コスト算出部2111は、製品のライフサイクル全体におけるトータルコストを算出する。コスト算出部2111は、所定の製品につき、製造コスト、輸送コスト、廃棄コスト及びリサイクルコストをそれぞれ算出し、これらを合算することでトータルコストを算出する。
【0033】
〈リサイクル率算出部〉
リサイクル率算出部2112は、製品廃棄時における品目や性状に基づいてリサイクル率を算出する。詳細には、リサイクル率算出部2112は、再利用ないしリサイクルされた資源の量を、生産・消費活動における全体の資源投入量で除算することで、リサイクル率を算出する。
【0034】
〈環境負荷情報算出部〉
環境負荷情報算出部2113は、GHG(Green House Gas)排出量や資源消費量等の環境負荷情報を算出する。例えばGHG排出量は、特定の行動やプロセスにおけるGHG排出源に関するデータである活動量に、活動量あたりのGHGの排出量を示す係数である排出係数を乗算することで算出できる。
【0035】
より詳細には、環境負荷情報算出部2113は、電気使用に伴うGHG排出量を、各工程における活動量である使用電力量に、電力消費の排出係数を乗算することで算出する。また、環境負荷情報算出部2113は、燃料消費に伴うGHG排出量を、各工程における活動量である消費燃料量に、燃料消費の排出係数を乗算することで算出する。また、環境負荷情報算出部2113は、輸送に伴うGHG排出量を、活動量である輸送距離と燃費の乗算結果に、燃料消費の排出係数を乗算することで算出する。特に、環境負荷情報算出部2113は、廃棄処分の輸送に伴うGHG排出量を、記憶部22に記憶された現在位置と、後述する廃棄物処理業者DB224に記憶された廃棄物処理業者の位置データに基づく輸送距離に、燃費及び燃料消費の排出係数を乗算することで算出する。
【0036】
〈環境影響評価指標算出部〉
環境影響評価指標算出部2114は、LIME3(Life-cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling)等による環境影響評価指標を算出する。例えば、環境影響評価指標算出部2114は、温暖化に対する影響を定量化するために使用される指標であるGWP(Global Warming Potential;温暖化ポテンシャル)を、各工程における各GHGの排出量に、各GHGに設定された地球温暖化係数を乗算して合算することで算出する。
【0037】
また、環境影響評価指標算出部2114は、酸性雨の原因となるガスの排出による環境への影響を評価するために使用される指標であるAP(Acidification Potential;酸性化ポテンシャル)を、各工程における各ガスの排出量に、各ガスに設定された酸性化係数を乗算して合算することで算出する。
【0038】
また、環境影響評価指標算出部2114は、栄養塩類が水域に流出することで起こる富栄養化減少に対する影響を評価するために使用される指標であるEP(Eutrophication Potential;富栄養化ポテンシャル)を、各工程における各栄養物質の排出量に、各栄養物質に設定された富栄養化ポテンシャルを乗算して合算することで算出する。
【0039】
また、環境影響評価指標算出部2114は、資源の枯渇に対する影響を評価するために使用される指標であるRDI(Resource Depletion Indicators;資源消費指標)を、各工程における各資源の消費量に、各資源が枯渇することで生じる影響を表す係数である枯渇ポテンシャルを乗算して合算することで算出する。
【0040】
また、環境影響評価指標算出部2114は、生産・使用に関する総エネルギーの消費量を評価するために使用される指標であるCED(Cumulative Energy Demand;エネルギー消費指標)を、各工程における各エネルギーの消費量に、各エネルギー消費に関するポテンシャルを表す係数であるエネルギー係数を乗算して合算することで算出する。
【0041】
また、環境影響評価指標算出部2114は、大気中に放出される汚染物質の影響を評価するために使用される指標であるAPI(Air Pollution Indicators;大気汚染物質排出指標)を、各工程における各汚染物質の排出量に、各汚染物質の汚染ポテンシャルを表す係数である大気汚染係数を乗算して合算することで算出する。
【0042】
なお、本発明においては、便宜上リサイクル率算出部2112が算出するリサイクル率、環境負荷情報算出部2113が算出する環境負荷情報並びに環境影響評価指標算出部2114が算出する環境影響評価指標を総じて環境パフォーマンス指標と称する。
【0043】
〈シミュレーション部〉
シミュレーション部2115は、シミュレーション処理を行うことで、ユーザが設定した環境経営目標項目を達成するための影響因子を出力する最適化処理を行う。
【0044】
例えばユーザがトータルコストの最小化を環境経営目標項目として設定した場合、シミュレーション部2115は、コスト算出部2111が算出するトータルコストを最小化するように最適化処理を行う。また、同様に、GHG排出量の最小化を環境経営目標項目として設定した場合、シミュレーション部2115は、環境負荷情報算出部2113が算出する各工程におけるGHG排出量の和を最小化するように最適化処理を行う。また、リサイクル率の最大化を環境経営目標項目として設定した場合、シミュレーション部2115は、リサイクル率算出部2112が算出するリサイクル率を最大化するように最適化処理を行う。
【0045】
ただし、一般に企業活動として製品製造を行う場合、種々の制約条件が存在する。そのため、制約条件が設定されている場合、シミュレーション部2115は、当該制約条件に則った上で最適化処理を行う。
【0046】
例えば、企業活動としての製品製造には、予算が設定されている。そのため、シミュレーション部2115は、環境経営目標項目としてトータルコストが設定されていない場合であっても、コスト算出部2111が算出するトータルコストが当該予算以下となるように最適化処理を行う。また、GHG排出量は、通常法的規制や企業のサスティナビリティ目標に基づく上限値が設定されている。そのため、シミュレーション部2115は、環境経営目標項目としてGHG排出量が設定されていない場合であっても、環境負荷情報算出部2113が算出するGHG排出量が当該上限値以下となるように最適化処理を行う。また、リサイクル可能な資源の量には限界がある。そのため、シミュレーション部2115は、各資源の使用量を、当該資源の利用可能な最大量以下になるように最適化処理を行う。
【0047】
なお、シミュレーション部2115は、製品強度条件や耐用年数条件などの各工程での前提条件を制約条件として設定してもよい。
【0048】
シミュレーション部2115は、ユーザが設定した環境経営目標項目が1つである場合は、最適化処理として単目的最適化処理を行い、環境経営目標項目が複数である場合は、最適化処理として多目的最適化処理を行う。
【0049】
具体的には、シミュレーション部2115は、各環境経営目標項目の重要度をwi、取得した情報(使用電力量、使用燃料量、単価、輸送距離、廃棄量、原単位、リサイクル率及び処理業者情報等)をx、各環境経営目標項目の計算式をfi(x)とした場合、以下の式(1)によって単目的最適化処理を行う。
【0050】
【数1】
【0051】
ただし、式(1)の場合、fi(x)の数値スケールの違いにより、算出結果に偏りが生じることがある。そのような場合は、fi(x)を標準化したf’i(x)(=fi(x)-μi/σi(μiはfi(x)の平均値、σiはfi(x)の標準偏差))を式1に用いるのが好ましい。
【0052】
また、シミュレーション部2115は、以下の式(2)によって多目的最適化処理を行う。
【0053】
【数2】
【0054】
シミュレーション部2115が最適化処理を行うと、出力部213はその結果を出力する。特に、シミュレーション部2115が多目的最適化処理を行った場合、出力部213は、図2に示すように、その結果である複数のパレート最適解(図2中の白丸)を含むパレートフロントのグラフを端末10の表示部14に出力する。また、出力部213は、図3に示すように、複数のパレート最適解を、影響因子を現在の設定とした上で出力した現状のトータルコスト及び環境パフォーマンス指標と併せた表を表示部14に出力する。ユーザは、出力された現状の環境パフォーマンス指標及びトータルコストと複数のパレート最適解を比較した上で好ましいものを選択して、選択内容に応じて当該製品のライフサイクルにおける影響因子を適宜確認できる。
【0055】
また、第1処理部211は、シミュレーション部2115による各多目的最適化処理の計算過程及び結果を記憶部22の後述する計算結果DB225に記憶する。当該構成とすることで、ユーザが任意のタイミングで記憶内容を呼び出して、再検討できる。
【0056】
なお、図2及び図3は、あくまでトータルコストとリサイクル率を環境経営目標項目と設定して多目的最適化処理を行った場合のグラフ及び表の一例であり、環境経営目標項目のうち、環境パフォーマンス指標として設定する対象はリサイクル率に限られない。また、図2においては、設定する環境経営目標項目がトータルコストとリサイクル率の2つであるため、2次元グラフを出力する構成を例示したが、設定する環境経営目標項目は3つ以上であってもよく、設定した環境経営目標項目の数に応じて出力方法を適宜変更してもよい。
【0057】
また、上記においては、最適化処理に用いる原単位並びに処理業者情報は、後述する原単位DB222並びに廃棄物処理業者DB224からそれぞれ取得する構成としてもよい。特に、処理業者情報を廃棄物処理業者DB224から取得すると、処理可能品目の条件を満たす処理業者をそれぞれ利用した場合の輸送距離、リサイクル率及びコスト等をシミュレーション部2115に算出させた上で、出力部213によって図3に示すように比較可能に表示することで、より好ましい処理業者の選定が可能になるため好ましい。
【0058】
<第2処理部>
第2処理部212は、入力情報として、製品製造工程における原材料中の投入量に対するサスティナブル原材料の投入量の割合及び製造された総製品量を取得すると、これらに基づいて、製品におけるサスティナブル原材料の割合を算出して、マスバランス情報を出力する。
【0059】
バランス管理並びにバランス管理情報の出力処理の大まかな流れを図4のフローチャートに示す。原材料が入荷されると、第2処理部212は、例えば端末10から当該原材料の入荷データを取得すると、これを整形することで入荷情報を作成する(ステップS1)。入荷情報の一例を図5に示す。図5に示すように、入荷情報には、入荷日、原材料名、サスティナブル量(持続可能性が確保された状態で調達された量)及び非サスティナブル量が少なくとも含まれる。なお、本ステップにおけるデータの受け付けは、手入力に限られず、例えば納品書やSD(Sustainability Declaration;サスティナビリティ宣言書)を公知のAI-OCR等によってデータ読み込みすることで行われてもよい。
【0060】
そして、当該原材料を用いて製品の生産が行われると、第2処理部212は、例えば端末10から、当該製品の製造量及びサスティナブルシェア(当該製品におけるサスティナブル原材料の比率)に係るデータの入力を受け付ける(ステップS2)。そして、第2処理部212は、これらのデータの入力を受け付けると、製造量とサステナビリティシェアを乗算することで、割当サスティナブル量を算出する(ステップS3)。算出した割当サスティナブル量を含む生産出荷情報の一例を図6に示す。
【0061】
割当サスティナブル量を算出すると、第2処理部212は、入荷データとして入力を受け付けた原材料のうち、例えばISCC(International Sustainability & Carbon Certification)認証を受けた原材料の入荷量に、製造過程におけるロスを踏まえたCF(Conversion Factor;収率・換算係数)を乗算することで、利用可能なサスティナブル量を算出する(ステップS4)。そして、第2処理部212は、ステップS4で算出した利用可能なサスティナブル量から、ステップS3で算出した割当サスティナブル量を減算することで、期間クレジットを算出する(ステップS5)。
【0062】
算出した期間クレジットを含むマスバランス管理情報の一例を図7に示す。例えば図5に示したように2024年10月に入荷した原材料のうち、ISCC認証を受けたPPの入荷量であるサスティナブル量(入荷量)である500kgに、CFの0.9を乗算した450kgが利用可能なサスティナブル量となる。ここで、2024年10月における割当サスティナブル量は、製造量300kgにサスティナブルシェア0.5を乗算した150kgであるため、450kg-150kg=300kgが2024年10月における期間クレジットとなる。
【0063】
マスバランス期間中においては(ステップS6;No)、第2処理部212は、上記ステップS1からS5を繰り返す。なお、図7に示すように、マスバランス期間において、前月分の期間クレジットが正であった場合は、翌月に繰り越してよい。
【0064】
マスバランス期間が経過したら(ステップS6;Yes)、第2処理部212は、出力部213に、図7に示したバランス管理情報を含む各種の情報を出力させる(ステップS7)。最終的な期間クレジットが正であった場合は、バランス管理が問題無く行われている。なお、マスバランス期間中においても、図5から図7に示した各種のデータは出力部213の出力によって逐次確認可能であるのは勿論である。
【0065】
このような第2処理部212を備えることで、マスバランス方式に基づく持続可能性の証明がより容易にできるようになるため、製品がISCC認証を受けやすくなる。
【0066】
なお、上記においては、製品の製造工程に第2処理部212を用いた場合を例示したが、これに限られず、原材料の生産工程においても同様に用いてよい。
【0067】
<出力部>
図1に戻って、出力部213は、第1処理部211及び第2処理部212の処理結果を端末10の表示部14に出力する。出力部213による出力の形式としては、図2図3並びに図5から図7に示したような表ないしグラフのみでも構わないが、レポート形式であってもよい。より詳細には、表ないしグラフに加えて、製品情報、算定基準及び使用した記憶部22のDB等の前提条件、算定結果に対する解釈に係る文章、環境影響評価指標の内訳、製品ライフサイクルにおける各工程のコストあるいは環境パフォーマンス指標及びマスバランス情報に係る図等を含むレポート形式であってもよい。
{記憶部}
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリ等を備える。記憶部22は、制御部21が実行する各種プログラム等や各種データ等を記憶する。なお、各種プログラムの少なくとも一部は、制御部21のROM等に記憶されていてもよい。
【0068】
記憶部22には、Webサーバープログラムや、アプリケーションプログラム等が記憶されている。Webサーバープログラムは、端末10に搭載されたWebブラウザ又はプログラムとHTTPプロトコルによる通信を行って、システム100を利用するためのWebサイトを提供して、Webサーバーとしての機能を実現させる。アプリケーションプログラムは、Webサーバー上で動作して、各種の処理を実現する。
【0069】
また、記憶部22は、価格情報DB221、原単位DB222、環境影響評価指標用係数リスト223、廃棄物処理業者DB224及び計算結果DB225等が記憶されている。
【0070】
<価格情報DB>
価格情報DB221には、製品の製造にあたって要する各原材料等の価格が記憶されている。なお、例えば製品の製造時点における所定の原材料の価格が価格情報DB221に記憶されていても、当該製品を廃棄・リサイクルする時点では当該価格が市況状況等によって変動することがある。そのため、上記した最適化処理においては、AI(Artificial Intelligence)に市況状況や経済アナリストレポートを解析させることで予測させた予測データを価格情報DB221中のデータの代わりに用いてもよい。
【0071】
<原単位DB>
原単位DB222は、製品の単位当たりに必要な資源やエネルギーの量、また、排出されるGHGの量等を示す原単位表が記憶されている。
【0072】
<環境影響評価指標用係数リスト>
環境影響評価指標用係数リスト223は、製品の特定の環境負荷(例えばCO排出量や資源消費量等)を定量的に評価するために用いられる係数がそれぞれ記憶されている。
【0073】
<廃棄物処理業者DB>
廃棄物処理業者DB224には、各廃棄物処理業者に係るデータが記憶されている。廃棄物処理業者DB224には、例えば業者名、中間処理場の所在地(位置データ)、取り扱う廃棄品目、処理方法、処理単価(廃棄コストデータ)、リサイクル率(リサイクル率データ)、GHG排出量及び最終処分場情報(名称、所在地(位置データ)、品目等)(中間処理業者の場合のみ)等の情報がそれぞれ記憶されている。
【0074】
廃棄物処理業者DB224の構築に際してのデータ入力は、日本における産業廃棄物処理の進捗状況を電子マニフェスト情報として一元管理するJWNETに、EDI(Electronic Data Interchange)あるいはAPI(Application Programming Interface)によってデータ連携することで行えばよい。あるいは、各自治体の廃棄物処理業許可証発行システムからデータ取得すればよい。
【0075】
また、廃棄物処理業者DB224の構築に際して、各廃棄物処理業者との契約書や廃棄物処理業許可証に基づいてデータ入力を行う場合は、これらの書類をОCR(Optical Character Recognition)によって読み取り、AIによって解析することで、効率化を図ってもよい。
【0076】
なお、上記したように、廃棄物処理業者DB224はデータ項目が多く、かつ、廃棄物処理業者の数も膨大であるため、上記した最適化処理において、シミュレーション部2115の計算負荷や使用メモリも非常に大きくなり得る。また、廃棄物の収集運搬業者と中間処理業者及び最終処理業者は、地域特性や処理可能品目等の制約により、業者間の繋がりが強い。そのため、廃棄物処理業者DB224は、グラフデータベースとして構築してもよい。この場合、各ノード及びリレーションに、コストやGHG排出量等の値を持たせることで、最適化処理において、各値が最小となるようなルートを出力させる。
【0077】
〈計算結果DB〉
計算結果DB225には、最適化処理における計算結果が記憶される。
【0078】
{通信部}
通信部23は、通信モジュール等で構成されている。通信部23は、ネットワークNを介して接続された端末10や他の装置との間で各種信号や各種データを送受信する。
【0079】
なお、装置20が実体を有する機器である場合は、端末10の表示部14や操作入力部15に相当する構成を装置20に設けて、直接装置20に操作入力を行うことができるような構成としてもよい。
【0080】
[実施形態の効果]
以上に示すように、本実施形態に係る装置20は、所定の製品のライフサイクル全体における環境負荷情報及びリサイクル率を含む環境パフォーマンス指標並びにトータルコストに影響を及ぼす影響因子の条件を変更して環境パフォーマンス指標及びトータルコストを算出するシミュレーション処理を行う第1処理部211と、第1処理部211のシミュレーション処理結果を出力する出力部213と、を備える。当該構成によれば、例えば現在の影響因子の条件に基づいてシミュレーション処理を行った上で、影響因子の条件を変更した結果と比較することで、製品のライフサイクルの全体を踏まえた環境負荷、リサイクル率並びにコストのバランスを評価できる。
【0081】
また、出力部213は、ユーザが設定した環境パフォーマンス指標及びトータルコストを達成するための影響因子の条件を出力する。当該構成によれば、設定した環境経営目標項目を達成可能な影響因子の条件の中から、好ましい条件をユーザが選択できる。
【0082】
また、装置20は、廃棄物処理業者に係る情報が記憶された廃棄物処理業者DB224を備え、第2処理部212は、廃棄物処理業者DB224に記憶されたデータに基づいて、最適化処理を実行する。具体的には例えば、トータルコストの内訳には、廃棄コスト及び廃棄に係る輸送コストが含まれ、第1処理部211は、廃棄物処理業者DB224に記憶された廃棄コストデータ並びに位置データに基づいてトータルコストを算出する。あるいは、第1処理部211は、廃棄物処理業者DB224に記憶されたリサイクル率データに基づいてリサイクル率を算出する。あるいは、環境パフォーマンス指標には、環境影響評価指標が含まれ、第1処理部211は、廃棄物処理業者DB224に記憶された位置データに基づいて環境負荷情報及び/又は環境影響評価指標を算出する。当該構成によれば、現在取引を行っている廃棄物処理業者のみならず、処理可能品目の条件を満たす他の廃棄物処理業者をシミュレーション処理の対象とすることができ、より好適な廃棄物処理業者と取引できるようになる可能性が生まれる。
【0083】
また、装置20は、マスバランス方式に基づくサスティナブル原材料の投入量と、製造に消費したサスティナブル原材料の量と、の関係に基づくバランス管理情報を出力部213に出力させる第2処理部212を備える。当該構成によれば、製品のバランス管理ができるようになり、ISCC認証を受けやすくなる。
【0084】
また、第1処理部211は、シミュレーション処理において、ユーザが設定した環境経営目標項目に応じた異なる最適化処理を行う。当該構成によれば、所望する環境経営目標項目を実現するための最も適した環境因子を明らかにすることができる。
【0085】
以上においては、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0086】
100 製品ライフサイクル評価システム
10 ユーザ端末
20 製品ライフサイクル評価装置
211 第1処理部
212 第2処理部
213 出力部
224 廃棄物処理業者DB
【要約】
【課題】製品のライフサイクルの全体を踏まえた環境負荷、リサイクル率並びにコストのバランスを評価可能な製品ライフサイクル評価装置、製品ライフサイクル評価システム、製品ライフサイクル評価方法及び製品ライフサイクル評価プログラムを提供する。
【解決手段】製品ライフサイクル評価装置20は、所定の製品のライフサイクル全体における環境負荷情報及びリサイクル率を含む環境パフォーマンス指標並びにトータルコストに影響を及ぼす影響因子の条件を変更して環境パフォーマンス指標及びトータルコストを算出するシミュレーション処理を行う第1処理部211と、第1処理部211のシミュレーション処理結果を出力する出力部213と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7