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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-17
(45)【発行日】2025-06-25
(54)【発明の名称】収容装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250618BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20250618BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20250618BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20250618BHJP
   H01M 50/251 20210101ALI20250618BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20250618BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20250618BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20250618BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H05K5/02 H
H01M50/296
H01M50/244 Z
H01M50/251
H01M50/249
H01M50/202 101
H01M10/46 101
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023570655
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2022034373
(87)【国際公開番号】W WO2023127205
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2024-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2021214518
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】山本 和裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 信行
【審査官】村上 優斗
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209535022(CN,U)
【文献】特開2021-068670(JP,A)
【文献】特開2019-068552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/667
50/20-50/298
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気端子(28)を有する電気機器(12)を収容する収容装置(10)であって、
前記電気機器を挿抜可能に収容する収容部(14)を備え、
前記収容部は、開口(286)と、前記開口が形成された筒部(29b)と、前記筒部に連なる底部(29a)とによって、有底筒状に形成され、
前記収容部に、前記第1電気端子が着脱可能に接続される第2電気端子(56)が設けられるか、又は、前記収容部に、前記第2電気端子が進退可能に通過する貫通孔(80)が形成され、
前記収容部に収容された前記電気機器の外面と、前記収容部の内面との間に配置され、前記電気機器の前記外面に対して交差する第1方向(Y)に延在するように設けられる延在部(90、414)を備え、
前記延在部は、前記第2電気端子又は前記貫通孔と前記開口との距離よりも、該延在部と前記開口との距離が小さくなる位置に配置され、且つ前記電気機器の前記外面に接する、収容装置。
【請求項2】
請求項1記載の収容装置において、前記第2電気端子又は前記貫通孔が前記底部に設けられ、且つ前記延在部が、前記筒部に設けられ、又は、前記電気機器の挿抜方向(Z)において前記筒部と対応する位置に設けられている収容装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の収容装置において、前記延在部は、前記第1方向に対して交差し且つ前記電気機器の挿抜方向に対して交差する第2方向(X)にさらに延在するように設けられる、収容装置。
【請求項4】
請求項3記載の収容装置において、前記延在部における前記第2方向に沿った長さは、前記電気機器における前記第2方向に沿った長さの半分よりも長い収容装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の収容装置において、前記収容部は、前記開口が鉛直方向に対して交差する方向を向く傾斜姿勢である収容装置。
【請求項6】
請求項5記載の収容装置において、前記第2電気端子又は前記貫通孔が前記底部に設けられ、且つ前記延在部が前記筒部に設けられ、又は、前記電気機器の挿抜方向(Z)において前記筒部と対応する位置に設けられ、
前記延在部は、前記第2電気端子又は前記貫通孔よりも高位置に設けられている収容装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載の収容装置において、前記延在部は、前記収容部に収容された前記電気機器の前記外面のうち鉛直上方を向く面と、前記収容部の前記内面のうち鉛直下方を向く面との間に配置される、収容装置。
【請求項8】
請求項1又は2記載の収容装置において、前記延在部は、前記底部において前記筒部の内部を向く底内面のうちで前記電気機器よりも高位置に位置する箇所(412a、412b)から、鉛直方向下方に向かって延在する収容装置。
【請求項9】
請求項1又は2記載の収容装置において、前記第2電気端子又は前記貫通孔は、前記底部において、該底部の鉛直方向の中間位置よりも高位置に設けられている収容装置。
【請求項10】
請求項1又は2記載の収容装置において、前記収容部は、前記開口が前記底部よりも高い位置となるように上昇する傾斜姿勢である収容装置。
【請求項11】
請求項1又は2記載の収容装置において、前記延在部は、少なくとも前記第1方向の端部に可撓部(96、420)を有し、前記可撓部が、前記収容部に収容された前記電気機器と当接するよう配置される収容装置。
【請求項12】
請求項1又は2記載の収容装置において、前記電気機器が前記収容部に収容されたときの該電気機器の前記外面は、該外面の外方に向かって凸状に湾曲した第1曲面部(12d)を有する収容装置。
【請求項13】
請求項12記載の収容装置において、前記延在部の前記第1方向の端部が、前記電気機器の前記第1曲面部に対応して、前記外面に向かって凹状に湾曲した第2曲面部(92、415)を有する収容装置。
【請求項14】
請求項1又は2記載の収容装置において、前記延在部は、前記第1方向に対して交差し且つ前記電気機器の挿抜方向に対して交差する第2方向(X)にさらに延在するように設けられ、
前記延在部における前記第2方向に沿った長さは、前記電気機器における前記第2方向に沿った長さよりも短い、収容装置。
【請求項15】
請求項1記載の収容装置において、前記収容部の前記開口よりも前記底部側寄りに配置される扉部(38)を備え、前記扉部は、前記収容部に対して相対移動可能に設けられる収容装置。
【請求項16】
請求項15記載の収容装置において、前記扉部は、少なくとも、前記開口の閉塞量が最も多い第1位置と、前記開口の閉塞量が最も少ない第2位置とに位置するように、前記収容部に対して相対移動可能に設けられ、
前記延在部は、前記第2位置に位置する前記扉部における前記底部に最近接する端部よりも前記底部側寄りに配置される収容装置。
【請求項17】
請求項16記載の収容装置において、前記扉部が前記第1位置に位置するときに、前記扉部の少なくとも一部が、前記収容部に対して前記電気機器が挿抜される軌跡上に配置され、
前記扉部は、前記電気機器が前記収容部に挿入されるときに、前記電気機器により前記扉部が前記第2位置に向かって押し開かれるように設けられる収容装置。
【請求項18】
請求項16又は17記載の収容装置において、前記収容部は、前記扉部が前記第2位置に位置するときに、前記扉部を収容する収容凹部(57)を有し、
前記延在部は、前記収容凹部に設けられるか、又は、前記収容凹部に連設された他の収容凹部(88)に設けられる収容装置。
【請求項19】
請求項16又は17記載の収容装置において、前記扉部を回動可能に支持する回動シャフト(381)を有し、前記扉部は、前記回動シャフトを回動中心として前記第1位置と前記第2位置との間で回動可能であり、
前記回動シャフトは、前記電気機器の挿抜方向に対して交差する方向に延びて配置され、
前記回動シャフトは、前記収容部に収容された前記電気機器よりも上方に配置される収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を保持する収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2020/262630号には、電気機器を保持する保持装置が開示されている。この保持装置では、スロット(収容部)の開口が、水平方向よりも鉛直上方を向いている。このため、スロットでは、開口の上端が底部の上端よりも高位置となっている。すなわち、スロットは、底部から開口に向かうにつれて上昇する傾斜姿勢である。国際公開第2020/262630号では、スロットに対して着脱可能に収容される電気機器として、蓄電装置(モバイルバッテリ)を例示している。
【発明の概要】
【0003】
収容装置が屋外に設置される場合、国際公開第2020/262630号の図1及び図2に示される蓋部材が収容装置に設けられる。蓋部材は、スロットの開口を閉塞する。その結果、スロット内に雨水等が浸入することが防止される。
【0004】
ユーザが電気機器を交換するときには、降雨の最中であっても、蓋部材が開けられる。このときにおいても、スロット内に雨水等が浸入する可能性を可及的に小さくする必要がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、第1電気端子を有する電気機器を収容する収容装置であって、前記電気機器を挿抜可能に収容する収容部を備え、前記収容部は、開口と、前記開口が形成された筒部と、前記筒部に連なる底部とによって、有底筒状に形成され、前記収容部に、前記第1電気端子が着脱可能に接続される第2電気端子が設けられるか、又は、前記収容部に、前記第2電気端子が進退可能に通過する貫通孔が形成され、前記収容部に収容された前記電気機器の外面と、前記収容部の内面との間に配置され、前記電気機器の前記外面に対して交差する第1方向に延在するように設けられる延在部を備え、前記延在部は、前記第2電気端子又は前記貫通孔と前記開口との距離よりも、該延在部と前記開口との距離が小さくなる位置に配置される、収容装置が提供される。
【0007】
本発明において、「収容」は、電気機器の全体が収容される場合に限定されない。例えば、電気機器の一部が収容部に収容され、且つ電気機器の一部が収容部から露出する場合も「収容部に収容された」状態に含まれる。
【0008】
収容部の開口から浸入した雨水等は、前記収容部の内面を伝って該収容部の内部に流動する。又は、雨水等は、収容部に収容された電気機器の外面を伝って収容部の内部に流動する。ここで、本発明においては、収容部に設けられた第2電気端子から前記収容部の開口に寄った位置に、延在部が配置される。延在部は、収容部に形成された貫通孔から前記収容部の開口に寄った位置に配置されることもある。延在部は、該延在部が設けられた前記収容部の内面と、電気機器の外面との間を狭める。従って、延在部によって雨水等が堰き止められる。
【0009】
その結果、雨水等が第2電気端子に到達することが抑制される。これにより、第2電気端子を雨水等から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係るバッテリ交換機の外観模式図である。
図2図2は、バッテリ交換機の断面模式図である。
図3図3は、モバイルバッテリの斜視図である。
図4図4は、モバイルバッテリの底面図である。
図5図5は、スロットの斜視図である。
図6図6は、スロットの断面図である。
図7図7は、スロットの下面図である。
図8図8は、スロットの要部断面図である。
図9図9は、スロットの要部拡大図である。
図10図10は、スロットガイドの正面図である。
図11図11は、スロットの斜視図である。
図12図12は、図11とは別角度からのスロットの斜視図である。
図13図13A図13B及び図13Cは、ボトムカバーアセンブリ及びモバイルバッテリの断面図である。
図14図14は、第2実施形態に係るバッテリ交換機を構成するスロットの断面図である。
図15図15は、図14に示すスロットの要部拡大図である。
図16図16は、別態様のバッテリ交換機の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明における「高位置」と「低位置」とは、2個の構成要素の高さ位置を比較したときの相対的な上下を表す。従って、相対的に上方に位置する構成要素を「高位置の構成要素」と表記することがある。相対的に下方に位置する構成要素を「低位置の構成要素」と表記することがある。ただし、「高位置」と「低位置」とは、必ずしも鉛直方向に沿って上下に並んでいることを意味しない。
【0012】
図1は、第1実施形態に係るバッテリ交換機10(収容装置)の外観模式図である。バッテリ交換機10の内部には、モバイルバッテリ12(電気機器)が挿抜可能に収容される。バッテリ交換機10は、内部に収容されたモバイルバッテリ12に対して充電を行う装置である。ユーザは、充電率(SOC: State of Charge)が低くなったモバイルバッテリ12をバッテリ交換機10に押し入れる。ユーザは、充電が完了した別のモバイルバッテリ12をバッテリ交換機10から引き出す。
【0013】
バッテリ交換機10は、8つのスロット14(収容部)と、1つの操作パネル16とを有する。8つのスロット14には、モバイルバッテリ12がそれぞれ収容される。ユーザが1個のスロット14にモバイルバッテリ12を収容すると、バッテリ交換機10は、該スロット14に収容されたモバイルバッテリ12の充電を開始する。
【0014】
スロット14は、バッテリ交換機10の前面101で開口する。バッテリ交換機10の前面101は、鉛直方向(重力方向)に対して傾斜する。ユーザが前面101に向かって直立したとき、前面101の上部は、前面101の下部よりもユーザに対して遠くに位置する。これにより、ユーザがモバイルバッテリ12をスロット14に挿入するとき、ユーザが前傾姿勢となる。そのため、ユーザがモバイルバッテリ12をスロット14に挿入することが容易である。
【0015】
操作パネル16は、ユーザにより操作される装置である。ユーザは、操作パネル16を操作することにより、例えば、料金の支払い等を行う。
【0016】
図2は、バッテリ交換機10の断面模式図である。バッテリ交換機10は、スロット14の上方に制御装置18を有する。制御装置18は、バッテリ交換機10の制御を行う。バッテリ交換機10は、スロット14の下方にユーティリティスペース20を有する。ユーティリティスペース20には、オプションとして冷却装置等が設置される。冷却装置は、バッテリ交換機10の内部を冷却する。
【0017】
以下では、次のように規定されたX軸、Y軸及びZ軸に基づいてバッテリ交換機10について説明する。スロット14に対してモバイルバッテリ12が挿抜される方向をZ軸方向とする。すなわち、Z軸方向は、本発明の挿抜方向に相当する。Z軸方向において、スロット14の最奥部から開口部に向かう方向を+Z軸方向とする。+Z軸方向は、スロット14からモバイルバッテリ12が離脱する引抜方向である。-Z軸方向は、+Z軸方向の反対方向である。-Z軸方向は、スロット14へのモバイルバッテリ12の挿入方向である。
【0018】
バッテリ交換機10の幅方向と平行な方向をX軸方向とする。ユーザがバッテリ交換機10の前面101に向かって立ったときに、X軸方向において右手側を+X軸方向とする。-X軸方向は、+X軸方向の反対方向でありX軸方向において左手側である。Z軸及びX軸に直交する方向をY軸方向とする。Y軸方向において、上側を+Y軸方向とする。Y軸方向において、下側を-Y軸方向とする。Y軸方向は、本発明の第1方向に相当する。X軸方向は、本発明の第2方向に相当する。
【0019】
[モバイルバッテリの構成]
第1実施形態では、図3及び図4に示すモバイルバッテリ12を電気機器として用いる態様を例示する。このモバイルバッテリ12の構成について説明する。図3は、モバイルバッテリ12の斜視図である。図4は、モバイルバッテリ12の底面図である。
【0020】
図3及び図4に示すように、モバイルバッテリ12は、ボトムケース121と、メインケース122と、トップケース123とを有する。ボトムケース121は、モバイルバッテリ12の底面12aを構成する。
【0021】
図3に示すように、トップケース123は、モバイルバッテリ12の上面12bを構成する。上面12bにはハンドル24が設けられる。ハンドル24は、第1把持部241と、第2把持部242とを有する。ユーザは、主に第1把持部241を把持して、スロット14に対してモバイルバッテリ12の挿抜を行う。
【0022】
モバイルバッテリ12は、側面12c、側面12d、側面12e及び側面12fを有する。底面12a、上面12b、側面12c、側面12d、側面12e及び側面12fは、モバイルバッテリ12の外面を構成する。
【0023】
外面の1つである側面12dは、外側に凸の曲面状である。すなわち、モバイルバッテリ12の外面は、スロットスリーブ26の上内面221(後述)に向かって突出する凸形状の側面12dを有する。この側面12dは、第1曲面部である。また、側面12c、側面12e及び側面12fは、略平面状である。従って、モバイルバッテリ12の外形は、図3及び図4に示す軸線CEに対して回転非対称な形状である。軸線CEは、モバイルバッテリ12の中心を通り、モバイルバッテリ12の長手方向に沿って延びる線である。軸線CEは、モバイルバッテリ12の挿抜方向に一致する。Z軸方向は、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に挿入される方向であり、且つモバイルバッテリ12がスロットスリーブ26から引き抜かれる方向である。図示例では、側面12dの全体が湾曲しているが、側面12dの一部が局所的に湾曲していてもよい。
【0024】
モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に挿入されるとき、側面12dが鉛直上方を向く。このように、第1実施形態では、第1曲面部は、モバイルバッテリ12の外面において、スロットスリーブ26内で鉛直上方を向く側面12dに設けられる。
【0025】
図3及び図4に示すように、底面12aには、第1電気端子としてのコネクタ28(雌型コネクタ28)が露出する。コネクタ28は、電力を授受するための雌型電気端子と、通信信号を授受するための雌型通信端子とを有する。すなわち、コネクタ28は、電気端子と通信端子とを兼ねる。コネクタ28は、底面12aの凹部12gに設けられる。すなわち、コネクタ28は、底面12aからトップケース123に若干寄った位置に設けられる。コネクタ28は、底面12aの中央から、第2把持部242が設けられた端部に寄っている。雌型であるコネクタ28は、レセプタクルと呼ばれる場合もある。
【0026】
次に、収容装置であるバッテリ交換機10の構成について説明する。
【0027】
[スロットの全体構成]
図1及び図2に示されるように、スロット14は、モバイルバッテリ12を挿抜するための開口が底部よりも高くなる傾斜姿勢として、バッテリ交換機10に設けられる。このスロット14の構成につき説明する。図5は、スロット14の斜視図である。図5は、スロット14にモバイルバッテリ12が挿入されていない状態を示す。図6は、スロット14の断面図である。図6は、スロット14にモバイルバッテリ12が挿入されている状態を示す。図5図6を用いて、スロット14の全体構成について説明する。
【0028】
図5に示すように、スロット14は、スロットスリーブ26及びバッテリロック機構30を有する。
【0029】
スロットスリーブ26は、モバイルバッテリ12を保持する。スロットスリーブ26は、スロット本体29、スロットフランジ31、スロットステー32及びスロットガイド34を有する。スロット本体29は、ボトムカバー36を含む。
【0030】
スロット本体29は、底部29a及び筒部29bを有する有底筒状である。筒部29bは、モバイルバッテリ12の挿抜方向であるZ軸方向に沿って延在する。従って、筒部29bは、スロットスリーブ26に収容されたモバイルバッテリ12の外周を囲繞する。
【0031】
筒部29bは、下側板26a、上側板26b、左側板26c及び右側板26dの4つの側板を有する。下側板26a、上側板26b、左側板26c及び右側板26dのそれぞれは、例えば、アルミニウムにより形成された板材である。下側板26a、上側板26b、左側板26c及び右側板26dがボルト等により締結されて、スロットスリーブ26の筒部29bを構成する。筒部29bは、略四角柱形状をなす中空体である。従って、スロット本体29をZ軸方向から見たときに、筒部29bの外形は略矩形である。筒部29bは、略円柱形状をなす中空体であってもよい。この場合、スロット本体29をZ軸方向から見たときに、筒部29bの外形は略円形である。
【0032】
筒部29bは、内面を有する。筒部29bの内面は、下側板26a、上側板26b、左側板26c及び右側板26dにおいて、筒部29bの内方を向く4つの面である。以下、下側板26aにおいて、筒部29bの内方を向く面を下内面220と表記する。上側板26bにおいて、筒部29bの内方を向く面を上内面221と表記する。左側板26cにおいて、筒部29bの内方を向く面を左内面222と表記する。右側板26dにおいて、筒部29bの内方を向く面を右内面223と表記する。
【0033】
筒部29bは、外面を有する。外面は、下側板26a、上側板26b、左側板26c及び右側板26dにおいて、筒部29bの外方を向く4つの面である。
【0034】
底部29aは、筒部29bに連なる。底部29aは、内面及び外面を有する。内面は、スロット本体29の内方を向く面である。外面は、スロット本体29の外方を向く面である。以下、底部29aにおける内面を底内面231と表記する。底部29aにおける外面を底外面232と表記する。スロットスリーブ26の内面は、筒部29bの下内面220、上内面221、左内面222及び右内面223と、底部29aの底内面231とを有する。スロットスリーブ26の外面は、筒部29bの外面と、底部29aの底外面232とを有する。
【0035】
底内面231は、スロット本体29に挿入されたモバイルバッテリ12を停止させる。すなわち、底部29aの底内面231は、モバイルバッテリ12の挿入終点である。
【0036】
底部29aには、底内面231から底外面232にわたって貫通する貫通孔80が形成される。貫通孔80には、第2電気端子としてのコネクタ56(後述)が通過する。モバイルバッテリ12がスロット本体29に挿入されたとき、コネクタ56は、-Z軸方向から+Z軸方向に向かうように貫通孔80を通る。この場合、コネクタ56は、スロット本体29の外方からスロット本体29の内方に進入する。これに対し、モバイルバッテリ12がスロット本体29から引き抜かれたとき、コネクタ56は、+Z軸方向から-Z軸方向に向かうように貫通孔80を通る。この場合、コネクタ56は、スロット本体29の内方からスロット本体29の外方に進出する。
【0037】
貫通孔80と上側板26bとの離間距離は、下側板26aと貫通孔80との離間距離よりも小さい。このため、貫通孔80は、下側板26aよりも上側板26bに近接している。換言すれば、貫通孔80は、底部29aにおける鉛直方向の中間位置よりも高位置に設けられている。
【0038】
図7に示すように、スロット本体29の下側板26aには、スロット本体29の内部空間と外部空間とを連通する5つの排水孔69が形成される。下側板26aのZ軸方向における中央よりも-Z軸方向に寄った位置に3つの排水孔69が形成される。また、下側板26aのZ軸方向における中央よりも+Z軸方向に寄った位置に2つの排水孔69が形成される。図2に示すように、スロット14の-Z軸方向側は、スロット14の+Z軸方向側よりも低位置(鉛直下方)に位置する。そのため、スロット14に進入した液体の多くは、下側板26aの中央よりも-Z軸方向に寄った位置に形成された3つの排水孔69から排水される。
【0039】
上記したように、スロット本体29は筒状の部材である。図6に示すように、スロット本体29は、内部に保持スペース281を有する。保持スペース281は、スロット本体29をZ軸方向に貫通する穴である。スロット14にモバイルバッテリ12が保持される場合、モバイルバッテリ12の大部分がこの保持スペース281に保持される。
【0040】
スロット本体29をZ軸方向から見た場合に、スロット本体29の外形は略矩形である。スロット本体29は、+Z軸方向の端部に開口部286を有し、-Z軸方向の端部に開口部287を有する。
【0041】
図5及び図6に示すように、スロット本体29の+Z軸方向の開口部286にスロットフランジ31が取り付けられる。スロットフランジ31の+Z軸方向にスロットステー32が取り付けられる。
【0042】
スロットステー32は、挿入口321を有する。挿入口321は、スロットステー32をZ軸方向に貫通する穴である。スロットステー32をZ軸方向から見た場合に、挿入口321は、略矩形である。挿入口321は、スロット本体29の保持スペース281に接続される。
【0043】
図5及び図6に示すように、スロットステー32には、扉38が取り付けられる。図6に示すように、扉38は、シャフト381を中心に回転可能に設けられる。シャフト381は、スロットステー32の+Y軸方向側に取り付けられる。モバイルバッテリ12がスロット14に挿入されていないとき、扉38は閉じている。このとき、扉38は、スロット本体29の+Z軸方向側の開口部286を閉塞する。モバイルバッテリ12がスロット14に挿入されるときに、モバイルバッテリ12により扉38が-Z軸方向に押される。これにより、扉38は、シャフト381を中心に回転して開く。このとき、扉38は、スロット本体29の+Z軸方向側の開口部286を開放する。
【0044】
すなわち、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に収容されていない場合、扉38が閉じる。これとは逆に、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に収容される最中、扉38はスロット本体29の内側に開く。この状態で、モバイルバッテリ12がスロット本体29内にさらに挿入される。扉38は、本発明の扉部に相当する。
【0045】
図5及び図6に示すように、スロットステー32の+Y軸方向側に、バッテリロック機構30が取り付けられる。バッテリロック機構30がロック状態である場合、バッテリロック機構30は、モバイルバッテリ12の+Z軸方向への移動を規制する。これにより、ユーザは、モバイルバッテリ12をスロット14から引き抜くことができない。バッテリロック機構30がアンロック状態である場合、バッテリロック機構30は、モバイルバッテリ12の+Z軸方向への移動を可能にする。これにより、ユーザは、モバイルバッテリ12をスロット14から引き抜くことができる。
【0046】
図5及び図6に示すように、スロットステー32の+Z軸方向側に、スロットガイド34が取り付けられる。スロットガイド34は、挿入口341を有する。挿入口341は、スロットガイド34をZ軸方向に貫通する穴である。スロットガイド34をZ軸方向から見た場合に、挿入口341は、略矩形である。挿入口341は、スロットステー32の挿入口321に接続される。
【0047】
図5及び図6に示すように、スロット本体29の-Z軸方向側の開口部287に、ボトムカバー36が取り付けられる。ボトムカバー36は、スロット本体29の底部29aを構成する。図6に示すように、ボトムカバー36には、コネクタユニット40、ファン42、電子回路基板44及び検出スイッチ46が取り付けられる。ボトムカバー36にコネクタユニット40、ファン42、電子回路基板44及び検出スイッチ46が取り付けられた状態で、ボトムカバーアセンブリ50を構成する。ボトムカバーアセンブリ50については、後に詳述する。
【0048】
[扉の構成]
図6に示すように、扉38は、シャフト381を中心に回動可能に設けられる。シャフト381は、スロット本体29に取り付けられる。シャフト381は、X軸方向に延びる。すなわち、シャフト381は、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に対して挿抜される方向(Z軸方向)と交差する第2方向に沿って延びる。シャフト381は、スロットスリーブ26に収容されたモバイルバッテリ12よりも+Y軸方向に配置される。すなわち、シャフト381は、スロットスリーブ26に収容されたモバイルバッテリ12よりも高位置に配置される。これにより、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26から引き抜かれると、扉38は自重により閉じる。シャフト381は、本発明の回動シャフトに相当する。
【0049】
シャフト381に設けられた不図示のねじりバネにより、-X軸方向から見た状態で、扉38はシャフト381を中心として反時計回りに回動する方向に付勢される。これにより、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26から引き抜かれると、扉38は、ねじりバネから閉じる方向に押される。モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に収容されていない状態において、扉38は、第1位置に位置する。このときに、扉38によるスロットフランジ31の挿入口31cの閉塞量は最も多い。
【0050】
扉38が第1位置に位置するとき、扉38の少なくとも一部が、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に対して挿抜される軌跡上に配置される。扉38がこのように配置されることにより、モバイルバッテリ12がスロット14に挿入されるときに、モバイルバッテリ12により、扉38が押し開かれる。すなわち、扉38は、ねじりバネの付勢力に抗って、開く方向に回動する。その結果、扉38は、スロットフランジ31の挿入口31cを開放する。モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に収容されている状態において、扉38は、第2位置に位置する。このときに、扉38によるスロットフランジ31の挿入口31cの閉塞量は最も少ない。
【0051】
扉38は、シャフト381を中心に回動することにより開閉する扉に限定されない。扉38は、X軸方向又はY軸方向に平行移動することにより開閉する扉であってもよい。
【0052】
図8に示すように、扉38の-Y軸方向側の辺には、ローラ54が設けられる。ローラ54は、シャフト55を中心に回転可能に設けられる。
【0053】
図8に示すように、扉38が開いているときに、ローラ54の最も+Z軸方向側の部分は、扉38の最も-Z軸方向側の部分よりも-Z軸方向に寄る。すなわち、ローラ54のうちスロット本体29に最も近い部分とスロット本体29との距離は、扉38のうちスロット本体29に最も近い部分とスロット本体29との距離よりも小さい。
【0054】
[スロット本体の構成]
図8は、スロット本体29、扉38及びモバイルバッテリ12の断面図である。図8は、扉38が開いた状態を示す。
【0055】
8に示すように、スロット本体29の+Y軸方向側に位置する上内面221には、扉待避部57が形成される。扉待避部57は、+Y軸方向に向かって凹状に窪んでいる。モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に収容された状態で、扉38が扉待避部57内に退避する。このときの扉38の位置が、第2位置である。扉38が扉待避部57内に待避している状態で、ローラ54は、モバイルバッテリ12の側面12dに当接する。これにより、スロット14に挿抜されるモバイルバッテリ12と、扉38との間の摩擦を小さくできる。扉待避部57は、本発明の収容凹部に相当する。
【0056】
図8及び図9に示すように、扉待避部57にはラバーシール90が設けられている。扉待避部57には別の収容凹部88が連設される。代替的に、ラバーシール90は、この収容凹部88に設けられる。
【0057】
図9に示すように、ラバーシール90は、筒部29bの上内面221に設けられている。上内面221は、筒部29bの内面のうちで鉛直下方を向く面である。且つ上内面221は、筒部29bの内面のうちで最高位置に位置する。従って、上内面221は、本発明の第1面及び最高位置面に相当する。ラバーシール90は、上内面221から-Y軸方向に沿って延在している。なお、-Y軸方向は鉛直下方を向く。すなわち、ラバーシール90の延在方向は、モバイルバッテリ12の側面12d(第1曲面部)に向かう方向である。
【0058】
このことから理解されるように、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に収容されたとき、モバイルバッテリ12の側面12dは、スロットスリーブ26の上内面221に対向する。従って、上内面221は本発明の第1面に相当し、側面12dは本発明の第2面に相当する。
【0059】
ラバーシール90は、モバイルバッテリ12の挿抜方向(Z軸方向)に対して交差する第1方向及び第2方向に沿って延在する。ラバーシール90において、第1方向に沿った延在長さは、第2方向に沿った延在長さよりも小さい。第1実施形態では、第1方向はY軸方向であり、第2方向はX軸方向である。このように、ラバーシール90では、第1方向(Y軸方向)に沿った延在長さが短く、第2方向(X軸方向)に沿った延在長さが長い。ラバーシール90におけるX軸方向に沿った延在長さは、モバイルバッテリ12におけるX軸方向に沿った延在長さの半分よりも長いことが好ましい。ただし、ラバーシール90におけるX軸方向に沿った延在長さは、モバイルバッテリ12におけるX軸方向に沿った延在長さよりも短いことが好ましい。さらに、ラバーシール90におけるX軸方向に沿った延在長さは、コネクタ56又は貫通孔80におけるX軸方向に沿った長さよりも長いことが好ましい。
【0060】
ラバーシール90は、例えば、ゴムからなる。このため、ラバーシール90は全体に亘って可撓性を示す。従って、ラバーシール90の長手方向端部(X軸方向における端部)及び延在方向端部(Y軸方向における端部)は、可撓性を示す可撓部96である。可撓部96のうち長手方向端部は、モバイルバッテリ12の側面12dにおけるX軸方向端部に当接する。可撓部96のうち延在方向端部は、側面12dにおける+Y軸方向端部に当接する。
【0061】
上記したように、ラバーシール90は、上内面221から-Y軸方向に向かって延在する。従って、ラバーシール90の第1方向に沿った延在方向は、-Y軸方向である。ラバーシール90の延在端92は、ラバーシール90における-Y軸方向(第1方向)の端部である。第1実施形態においては、ラバーシール90の下端部が、ラバーシール90における-Y軸方向の端部に相当する。
【0062】
ラバーシール90の延在端92は、モバイルバッテリ12の側面12d(第1曲面部)の湾曲に倣って湾曲している。すなわち、ラバーシール90の延在端92に、+Y軸方向に凹の曲面状をなす湾曲部94が形成されている。このように、ラバーシール90の延在端92は、上内面221(第1面)に向かって凹状に窪んだ第2曲面部として形成されている。換言すれば、ラバーシール90の延在端92は、側面12dの湾曲に対応し、第1面に向かって凹状に湾曲している。ラバーシール90の延在端92の反対側の端部は、第1面である上内面221に最近接する。
【0063】
ラバーシール90の下端部(延在端92)は、モバイルバッテリ12の側面12dのうち、ボトムケース121の側面から構成される部位に当接する。従って、ラバーシール90の可撓部96のうち長手方向端部は、ボトムケース121の側面(側面12d)におけるX軸方向端部に当接する。
【0064】
スロットスリーブ26内にモバイルバッテリ12が挿入されたとき、ラバーシール90の可撓部96は、モバイルバッテリ12に押圧されて-Z軸方向に撓む。このため、ラバーシール90の延在端92と、モバイルバッテリ12の側面12dとの間が十分にシールされる。
【0065】
この場合、ラバーシール90の全体は、貫通孔80よりも高位置である。また、ラバーシール90から挿入口31cまでの距離は、貫通孔80から挿入口31cまでの距離よりも小さい。このため、ラバーシール90の全体は、貫通孔80に比べて挿入口31cに寄っている。
【0066】
図10に示すように、スロットフランジ31の-Y軸方向に位置する側板31aにはインジケータ58が設けられる。インジケータ58は、スロット14に収容されたモバイルバッテリ12の充電状態を示す。例えば、モバイルバッテリ12が充電中であるとき、インジケータ58が点灯又は点滅する。モバイルバッテリ12の充電が終了すると、インジケータ58が消灯する。又は、モバイルバッテリ12が充電中であるときのインジケータ58の表示色と、モバイルバッテリ12の充電が終了したときのインジケータ58の表示色とを相違させてもよい。
【0067】
[ボトムカバーアセンブリの構成]
図11及び図12は、スロット14の斜視図である。図11に示すように、ボトムカバー36には、コネクタユニット40、ファン42、電子回路基板44及び検出スイッチ46(図8参照)が設けられる。これにより、ボトムカバーアセンブリ50が構成される。ボトムカバーアセンブリ50は、スロット本体29に固定される。ファン42により、スロットスリーブ26の内部の空気の流れが促進される。
【0068】
コネクタユニット40は、図12に示すコネクタ56(雄型コネクタ56)と、モータ60とを有する。雄型であるコネクタ56は、電力を授受するための雄型電気端子と、通信信号を授受するための雄型通信端子とを有する。すなわち、コネクタ56は、電気端子と通信端子とを兼ねる。雄型であるコネクタ56は、プラグと呼ばれる場合もある。
【0069】
コネクタ56は、モバイルバッテリ12のコネクタ28に嵌合する。このとき、コネクタ56からモバイルバッテリ12に電力が供給されて、モバイルバッテリ12が充電される。又は、モバイルバッテリ12の電力がコネクタ56を介して取り出され、モバイルバッテリ12が放電する。さらに、コネクタ28とコネクタ56とを介して、モバイルバッテリ12と、バッテリ交換機10の内部に設けられた制御装置18(図2参照)とが通信可能に接続される。すなわち、モバイルバッテリ12と制御装置18との間で通信信号が授受される。
【0070】
コネクタ56は、モータ60によってZ軸方向に沿って前進又は後退する。具体的に、モータ60は、回転シャフト(不図示)を有する。回転シャフトは、モータ60から+Y軸方向に延びる。回転シャフトの先端には、図12に示すピニオン601が取り付けられる。ピニオン601は、ラック602と噛み合う。モータ60は、ピニオン601、ラック602及びベース48を介して、コネクタ56に機械的に接続される。コネクタ56及びモータ60は、ベース48を介してボトムカバー36に取り付けられる。これにより、ボトムカバー36にモータ60が支持される。
【0071】
-Z軸方向からボトムカバー36を見たときに、検出スイッチ46、ファン42、ベース48、コネクタ56、モータ60、ピニオン601、ラック602及び電子回路基板44は、ボトムカバー36の外縁の内側に収まるように配置される。すなわち、検出スイッチ46、ファン42、ベース48、コネクタ56、モータ60、ピニオン601、ラック602及び電子回路基板44は、ボトムカバー36の外縁に平行な投影の範囲内に収まるように配置される。ボトムカバー36の外縁の平行投影は、スロットスリーブ26の延在方向(モバイルバッテリ12の挿抜方向又はZ軸方向)にボトムカバー36の外縁を投影した仮想領域である。
【0072】
これにより、スロット本体29に対してボトムカバー36を取り付けるときに、検出スイッチ46、ファン42、ベース48、コネクタ56、モータ60、ピニオン601、ラック602及び電子回路基板44が、周囲の部材と干渉することを抑制できる。
【0073】
電子回路基板44(図11参照)は、例えば、スロットスリーブ26に収容されたモバイルバッテリ12の充電制御を行う。電子回路基板44の電子回路上には、検出スイッチ46が搭載される。スロットスリーブ26にモバイルバッテリ12が保持されると、検出スイッチ46は、モバイルバッテリ12により押し下げられてオフからオンに切り替わる。
【0074】
[スロットの制御]
モータ60が駆動することにより、コネクタ56はZ軸方向に移動する。検出スイッチ46がオフからオンに切り替わった場合に、検出スイッチ46は、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に保持されたことを検出する。この場合、モータ60は、コネクタ56を+Z軸方向に移動させて、コネクタ56をモバイルバッテリ12のコネクタ28に近づける。
【0075】
検出スイッチ46がオンからオフに切り替わった場合に、検出スイッチ46は、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26から取り外されたことを検出する。この場合、モータ60は、コネクタ56を-Z軸方向に移動させて、コネクタ56をモバイルバッテリ12のコネクタ28から離す。
【0076】
検出スイッチ46がオフである場合に、検出スイッチ46は、モバイルバッテリ12がスロットスリーブ26に保持されたことを検出しない。この場合、モータ60は、コネクタ56を+Z軸方向に移動させず、コネクタ56をモバイルバッテリ12のコネクタ28に近づけない。
【0077】
第1実施形態におけるコネクタユニット40では、モータ60が駆動することにより、コネクタ56を接続解除位置からコネクタ28との接続位置に移動させる。又は、モータ60が駆動することにより、コネクタ56を接続位置から接続解除位置に移動させる。
【0078】
図13Aは、コネクタ56が接続解除位置に位置するときの状態を示す。コネクタ56が接続解除位置に位置する場合、図13Aに示すように、コネクタ56の先端は、ボトムカバー36から-Z軸方向に寄って位置する。
【0079】
図13Bは、コネクタ56が接続解除位置から+Z軸方向に移動した状態を示す。図13Bに示すように、コネクタ56が接続解除位置から+Z軸方向に移動すると、コネクタ56の先端はボトムカバー36の貫通孔80を通過する。貫通孔80を通過したコネクタ56の先端は、モバイルバッテリ12のコネクタ28に挿入される。
【0080】
図13Cは、コネクタ56が接続位置に位置するときの状態を示す。図13Cに示すように、コネクタ56が接続位置に位置する場合、コネクタ56とモバイルバッテリ12のコネクタ28との接続が完了する。
【0081】
第1実施形態に係るバッテリ交換機10は、基本的には以上のように構成される。次に、バッテリ交換機10の作用効果について説明する。
【0082】
ユーザがモバイルバッテリ12を交換するときには、ユーザは、バッテリ交換機10のスロット14に収容されたモバイルバッテリ12のハンドル24(主には第1把持部241)を、一方の手で上記したように握る。このとき、ユーザは、充電済みのモバイルバッテリ12を選定する。ユーザは、モバイルバッテリ12が充電中であるか又は充電済みであるかを、インジケータ58によって確認することができる。
【0083】
なお、モバイルバッテリ12がスロット14に収容されている状態では、扉38は第2位置である(図6参照)。このため、スロット本体29の開口部286が開放されている。従って、ユーザが挿入口31cからハンドル24を視認することができる。
【0084】
また、モバイルバッテリ12がスロット14に収容されている状態では、ラバーシール90の延在端92(下端部)がモバイルバッテリ12のボトムケース121に当接している。この当接により、モバイルバッテリ12の側面12dと、上側板26bの上内面221との間がシールされている。
【0085】
その後、ユーザは、モバイルバッテリ12に引張力を付与する。これに伴い、バッテリロック機構30がアンロック状態となる。また、コネクタユニット40においてモータ60が駆動する。これにより、コネクタ56がコネクタ28との接続位置から接続解除位置に移動する。従って、ユーザは、モバイルバッテリ12をスロット14から容易に引き抜くことができる。なお、コネクタ56は、接続位置から接続解除位置に移動する過程で、貫通孔80を通過する。
【0086】
スロット14からモバイルバッテリ12が引き抜かれることに伴って、ボトムケース121がラバーシール90の延在端92に対して摺接する。上記したように、ラバーシール90において、ボトムケース121に当接している端部は可撓部96である。このため、ボトムケース121がラバーシール90の延在端92に対して摺接するとき、ラバーシール90が容易に撓む。従って、ラバーシール90が破損することが回避される。また、ボトムケース121に傷が入ることも回避される。さらに、ラバーシール90による引き抜き抵抗が小さいので、モバイルバッテリ12に付与する引張力を大きくする必要がない。
【0087】
スロット14からモバイルバッテリ12が引き抜かれることによってモバイルバッテリ12の底面12aが扉38を通過すると、扉38がシャフト381を中心に回動する。その結果、扉38が第2位置から第1位置に移動する。従って、スロット本体29の開口部286が閉塞される。
【0088】
次に、ユーザは、SOCが低下したモバイルバッテリ12のハンドル24を一方の手で握る。その後、ユーザは、モバイルバッテリ12を持ち上げる。さらに、ユーザは、他方の手を、例えば、ボトムケース121に添えてモバイルバッテリ12を傾斜姿勢とする。このとき、モバイルバッテリ12は、ボトムケース121が低位置となり、且つトップケース123が高位置となる。ユーザは、傾斜姿勢となったモバイルバッテリ12のボトムケース121を、スロットフランジ31の挿入口31cに差し込む。
【0089】
この状態で、ユーザは、モバイルバッテリ12を押し込む。これにより、モバイルバッテリ12は、底内面231に向かって移動する。この移動の最中にボトムケース121が扉38を押すと、扉38がシャフト381を中心に回動する。すなわち、扉38が第1位置から第2位置に移動する。
【0090】
また、ボトムケース121がラバーシール90の延在端92に対して摺接し始める。上記と同様に、このときにはラバーシール90が撓む。従って、ラバーシール90が破損することが回避される。また、ボトムケース121に傷が入ることも回避される。さらに、モバイルバッテリ12に付与する押出力を大きくする必要がない。
【0091】
ボトムケース121が底内面231によって停止したことが検出されると、バッテリロック機構30がロック状態となる。また、コネクタユニット40においてモータ60が駆動する。これにより、コネクタ56が接続解除位置からコネクタ28との接続位置に移動する。その結果、コネクタ56がコネクタ28に嵌合する。その後、モバイルバッテリ12の充電が開始される。なお、コネクタ56は、接続解除位置から接続位置に移動する過程で、貫通孔80を通過する。
【0092】
ところで、バッテリ交換機10が屋外に設置されることもある。この場合において、降雨の最中に上記したようにモバイルバッテリ12が交換される可能性がある。スロット14は、挿入口31cが水平方向よりも鉛直上方を向く傾斜姿勢となっている。このため、雨水が挿入口31cからスロット14内に浸入することが起こり得る。このような事態が発生したとき、雨水が、モバイルバッテリ12の側面12dを伝ってコネクタ28及びコネクタ56に向かって移動することが想定される。
【0093】
ここで、第1実施形態では、モバイルバッテリ12の側面12dは、凸状に湾曲した第1曲面部である。従って、図9中に矢印Aで示すように、雨水は、側面12dを伝う最中、重力によって側面12e又は側面12fに向かって流動する。このため、雨水がコネクタ28及びコネクタ56に到達することが抑制される。
【0094】
万一、雨水がコネクタ28及びコネクタ56に向かってさらに流動した場合であっても、雨水は、ラバーシール90によって堰き止められる。この場合、ラバーシール90の延在端92がボトムケース121に当接しているので、上内面221と側面12dとの間がシールされているからである。ラバーシール90によって堰き止められた雨水の進路は、側面12e又は側面12fに向かうように変更される。このため、雨水がコネクタ28及びコネクタ56に到達することが一層抑制される。
【0095】
なお、例えば、モバイルバッテリ12がスロット14に挿入されていない場合、コネクタ56は、貫通孔80よりも-Z軸方向に位置する。すなわち、コネクタ56は、スロット14内に露出していない。この場合、雨水が貫通孔80に到達することが抑制される。
【0096】
以上のように、第1実施形態では、スロット14の内部にラバーシール90を設けている。これにより、雨水がコネクタ28及びコネクタ56に到達することが防止される。換言すれば、スロット14の内部に設けたラバーシール90によって、コネクタ28及びコネクタ56を雨水から保護することができる。モバイルバッテリ12の側面12e又は側面12fを伝って流動した雨水は、例えば、排水孔69を経て、スロット本体29の外部空間に排出される。
【0097】
第1実施形態において、ラバーシール90の設置位置は上内面221に限定されない。すなわち、ラバーシール90の設置位置を、左内面222、右内面223又は下内面220とすることも可能である。
【0098】
次に、第2実施形態につき、図14及び図15を参照して説明する。なお、第1実施形態における構成要素と同一の構成要素には同一の名称を付し、該構成要素の詳細な説明を省略する場合がある。
【0099】
図14に示す第2実施形態において、スロット400はスロット本体402を有する。スロット本体402は、底部404及び筒部406を有する有底筒状である。筒部406の-Z軸方向側の開口部に、ボトムカバー408が取り付けられる。ボトムカバー408は、底部404を構成する。
【0100】
ボトムカバー408は、底内面410を有する。底内面410は、スロット本体402の内面の1つである。スロット本体402にモバイルバッテリ12が挿入されたとき、底内面410は、モバイルバッテリ12の底面12aと向かい合う。
【0101】
図15に示すように、ボトムカバー408の底内面410には、第1突出部412aと、第2突出部412bとが設けられている。第1突出部412a及び第2突出部412bは、底内面410から+Z軸方向に向かって突出する。第1突出部412a及び第2突出部412bのY軸方向における高さ位置は、略同じである。第1突出部412aは-X軸方向に寄り、第2突出部412bは+X軸方向に寄っている。これにより、第1突出部412aと第2突出部412bとの間にクリアランス413が形成されている。
【0102】
この場合、ラバーシール414は、第1突出部412a及び第2突出部412bに対し、例えば、機械的接合又は接着剤を介して接合される。ラバーシール414は、第1方向であるY軸方向において、第1突出部412a及び第2突出部412bの+Y側端部から、-Y軸方向に向かって延在する。ラバーシール414において、-Y軸方向の端部である下端部は、第1実施形態と同様に延在端415である。延在端415は、第1突出部412a及び第2突出部412bの-Y側端部よりも、-Y軸方向に若干突出する。また、ラバーシール414は、第2方向であるX軸方向において、第1突出部412aの-X側端部から、第2突出部412bの+X側端部にわたって延在する。特に図示はしていないが、ラバーシール414に、クリアランス413に挿入されて該クリアランス413を充填する充填部を設けてもよい。
【0103】
このように、第2実施形態においても、ラバーシール414は、モバイルバッテリ12の挿抜方向(Z軸方向)に対して交差するY軸方向(第1方向)及びX軸方向(第2方向)に沿って延在する。ラバーシール414において、第1方向に沿った延在長さは、第2方向に沿った延在長さよりも小さい。ラバーシール414におけるX軸方向に沿った延在長さは、モバイルバッテリ12におけるX軸方向に沿った延在長さの半分よりも長いことが好ましい。ただし、ラバーシール414におけるX軸方向に沿った延在長さは、モバイルバッテリ12におけるX軸方向に沿った延在長さよりも短いことが好ましい。さらに、ラバーシール414におけるX軸方向に沿った延在長さは、コネクタ56又は貫通孔80におけるX軸方向に沿った長さよりも長いことが好ましい。
【0104】
図14において、ラバーシール414の上端面は、スロット本体402の上内面221から離間している。しかしながら、ラバーシール414の上端面は、上内面221に当接してもよい。
【0105】
図14に示すように、スロットステー32には扉416が取り付けられる。扉416は、シャフト381を中心に回転可能に設けられる。モバイルバッテリ12がスロット14に挿入されていないとき、扉416は閉じている。このとき、扉416は、スロット本体402の+Z軸方向側の開口部を閉塞する。モバイルバッテリ12がスロット14に挿入されるときに、モバイルバッテリ12により扉416が-Z軸方向に押される。これにより、扉416は、シャフト381を中心に回転して開く。このとき、扉416は、スロット本体402の+Z軸方向側の開口部を開放する。
【0106】
扉416が開いたとき、該扉416の-Z軸側端部は、ラバーシール414と略向かい合う。この状態において、扉416の-Z軸側端部と、ラバーシール414とは互いに離間する。
【0107】
ラバーシール414の延在端415は、モバイルバッテリ12の側面12d(第1曲面部)の湾曲に倣って湾曲している。すなわち、ラバーシール414の下端部(延在端415)に、+Y軸方向に凹の曲面状である湾曲部418が形成されている。このように、ラバーシール414の延在端415は、スロット本体402の上内面221(第1面)に向かって凹状に窪んだ第2曲面部として形成されている。換言すれば、ラバーシール414の延在端415は、側面12dの湾曲に対応し、第1面である上内面221に向かって凹状に湾曲している。
【0108】
ラバーシール414の延在端415は、モバイルバッテリ12の側面12dのうち、ボトムケース121の側面から構成される部位に当接する。従って、ラバーシール414の可撓部420のうち長手方向端部は、ボトムケース121の側面(側面12d)におけるX軸方向端部に当接する。可撓部420うち延在方向端部は、側面12dにおける+Y軸方向端部に当接する。
【0109】
スロット400にモバイルバッテリ12が挿入されたとき、ラバーシール414の可撓部420は、モバイルバッテリ12に押圧されて-Z軸方向に撓む。このため、ラバーシール414の延在端415と、モバイルバッテリ12の側面12dとの間が十分にシールされる。従って、第2実施形態においても、雨水等がコネクタ28及びコネクタ56に到達することが防止される。換言すれば、スロット400の内部に設けたラバーシール414によって、コネクタ28及びコネクタ56を雨水から保護することができる。コネクタ56が貫通孔80よりも-Z軸方向に位置する場合、雨水が貫通孔80に到達することが抑制される。
【0110】
スロット400からモバイルバッテリ12が引き抜かれることに伴って、ボトムケース121がラバーシール414の延在端415に対して摺接する。第1実施形態と同様に、ラバーシール414において、ボトムケース121に当接している端部は可撓部420である。このため、ボトムケース121がラバーシール414の延在端415に対して摺接するとき、ラバーシール414が容易に撓む。従って、ラバーシール414が破損することが回避される。また、ボトムケース121に傷が入ることも回避される。さらに、ラバーシール414による引き抜き抵抗が小さいので、モバイルバッテリ12に付与する引張力を大きくする必要がない。
【0111】
以上のように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0112】
第2実施形態において、第1突出部412a及び第2突出部412bの位置(ラバーシール414の設置位置)は、底内面410の+Y軸方向に限定されない。すなわち、ラバーシール414の設置位置を、底内面410の-Y軸方向、底内面410の+X軸方向、又は底内面410の-X軸方向とすることも可能である。
【0113】
なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、コネクタ56を進退動作可能に設けている。これに代替し、図16に示すように、コネクタ56を底内面231(又は底内面410)に位置決め固定してもよい。
【0114】
電気機器は、モバイルバッテリ12に限定されない。例えば、モバイルバッテリ12を挿抜可能に収容した給電器をスロット14に収容可能な構造とすることもできる。
【0115】
収容装置は、バッテリ交換機10に限定されない。収容装置の別の例として、モバイルバッテリ12に対して電力を入力する装置が挙げられる。具体的には、充電装置又は充放電装置等である。充電装置又は充放電装置等は、移動可能な可搬式であってもよいし、据置型であってもよい。
【0116】
収容装置は、モバイルバッテリ12から電力を出力する装置であってもよい。このような収容装置の例としては、電動車両、船外機又は飛行体等の移動体が挙げられる。電動車両には、二輪車、三輪車又は四輪車等の乗用車が含まれる。電動車両には、芝刈機、運搬台車、除雪機等の作業車も含まれる。飛行体には、ドローン又は航空機が含まれる。船外機は、船舶に用いられる推進機である。
【0117】
電力を出力する収容装置の別の例としては、モバイルバッテリ12を電力源とする給電器が挙げられる。給電器は、移動可能な可搬式であってもよいし、据置型であってもよい。
【0118】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0119】
10…バッテリ交換機(収容装置)
12…モバイルバッテリ(電気機器)
12c~12f…側面
14、400…スロット(収容部)
18…制御装置 24…ハンドル
26…スロットスリーブ 26a…下側板
26b…上側板 26c…左側板
26d…右側板
28…雌型コネクタ(第1電気端子)
29、402…スロット本体 29a、404…底部
29b、406…筒部 30…バッテリロック機構
31c…挿入口 36、408…ボトムカバー
38、416…扉(扉部) 40…コネクタユニット
44…電子回路基板 46…検出スイッチ
50…ボトムカバーアセンブリ 54…ローラ
55、381…シャフト
56…雄型コネクタ(第2電気端子)
57…扉待避部 58…インジケータ
60…モータ 69…排水孔
80…貫通孔 88…収容凹部
90、414…ラバーシール(延在部) 92、415…延在端
94、418…湾曲部 96、420…可撓部
220…下内面 221…上内面
222…左内面 223…右内面
231、410…底内面 286…開口部
412a…第1突出部 412b…第2突出部
図1
図2
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