(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-23
(45)【発行日】2025-07-01
(54)【発明の名称】DC/DCコンバータ及びハイサイドレギュレータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20250624BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20250624BHJP
【FI】
H02M3/155 X
H02M1/08 C
(21)【出願番号】P 2021175695
(22)【出願日】2021-10-27
【審査請求日】2024-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】三添 公義
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-229011(JP,A)
【文献】特開2004-096866(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0229983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
入力電圧源と前記コイルとの間に設けられ、前記コイルに前記入力電圧源の入力電圧を供給するハイサイド側のMOSトランジスタと、
前記ハイサイド側のMOSトランジスタのオンオフを制御して、前記入力電圧を変換する制御回路とを備え、
前記制御回路が、前記ハイサイド側のMOSトランジスタをオンオフ駆動するための電源回路であるハイサイドレギュレータを有するDC/DCコンバータにおいて、
前記ハイサイドレギュレータは、
出力コンデンサと、
前記出力コンデンサに並列接続された第1のツェナーダイオードと、
前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードのローサイド側に設けられ、前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに電流を供給する電流供給回路と、
前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出する電流検出回路と、
前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出したとき、前記電流供給回路から前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに供給される電流を遮断する遮断回路とを有する、
DC/DCコンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載のDC/DCコンバータにおいて、
前記遮断回路は、前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出したタイミングから一定期間の間だけ前記電流を遮断する、
DC/DCコンバータ。
【請求項3】
請求項1に記載のDC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路が、
クロックを出力する発振器と、
前記クロックに同期したスロープ信号と前記DC/DCコンバータの出力電圧または出力電流及び基準値の差分を示す誤差信号との比較に基づいたデューティのPWM信号を出力するPWM制御部と、を備え、
前記PWM信号に従って前記ハイサイド側のMOSトランジスタのオンオフが制御され、
前記遮断回路は、前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出してから前記クロックが立ち上がる又は立ち下がるまでの間だけ前記電流を遮断する、
DC/DCコンバータ。
【請求項4】
請求項1に記載のDC/DCコンバータにおいて、
前記遮断回路は、前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出してから前記ハイサイド側のMOSトランジスがオフからオンに切り替わるまでの間だけ前記電流を遮断する、
DC/DCコンバータ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のDC/DCコンバータにおいて、
前記電流検出回路が、前記第1のツェナーダイオードのカソードにカソードが接続された第2のツェナーダイオードと、
前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに流れる電流をコピーして、前記第2のツェナーダイオードに流すカレントミラー回路と、
前記第2のツェナーダイオードが導通して前記カレントミラー回路により前記第2のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出する電流検出部と、を有する、
DC/DCコンバータ。
【請求項6】
DC/DCコンバータの入力電圧源とコイルとの間に設けたハイサイド側のMOSトランジスタをオンオフ駆動するための電源回路であるハイサイドレギュレータであって、
出力コンデンサと、
前記出力コンデンサに並列接続された第1のツェナーダイオードと、
前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードのローサイド側に設けられ、前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに電流を供給する電流供給回路と、
前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出する電流検出回路と、
前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出したとき、前記電流供給回路から前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに供給される電流を遮断する遮断回路とを備えた、
ハイサイドレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DCコンバータ及びハイサイドレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DC/DCコンバータに用いられるハイサイドレギュレータとして
図10に示す回路が提案されている。
図10に示すハイサイドレギュレータ100は、DC/DCコンバータの入力電圧源とコイルとの間に設けられたハイサイド側のMOSトランジスタをオンオフ駆動するための電源回路である。ハイサイドレギュレータ100は、ツェナーダイオードD
Z1と、出力コンデンサC
1と、トランジスタMn
1及びMn
2から構成されるカレントミラー回路16とを備えている。
【0003】
カレントミラー回路16によりバイアス電流IBIASが出力コンデンサC1に供給されると、出力コンデンサC1の両端電圧、即ち電圧VHREGが上昇する。電圧VHREGが、ツェナーダイオードDZ1のツェナー電圧VDZを超えると、ツェナーダイオードDZ1が導通し、電圧VHREGがツェナー電圧VDZにクランプされ、一定電圧を生成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したハイサイドレギュレータ100は、電圧安定化のため常にツェナーダイオードDZ1及び出力コンデンサC1にカレントミラー回路16から電流供給されるため、消費電流が多いという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハイサイド側のMOSトランジスタのドライブ能力を低下させずに消費電流を削減することができるDC/DCコンバータ及びハイサイドレギュレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るDC/DCコンバータ及びハイサイドレギュレータは、下記[1]~[6]を特徴としている。
[1]
コイルと、
入力電圧源と前記コイルとの間に設けられ、前記コイルに前記入力電圧源の入力電圧を供給するハイサイド側のMOSトランジスタと、
前記ハイサイド側のMOSトランジスタのオンオフを制御して、前記入力電圧を変換する制御回路とを備え、
前記制御回路が、前記ハイサイド側のMOSトランジスタをオンオフ駆動するための電源回路であるハイサイドレギュレータを有するDC/DCコンバータにおいて、
前記ハイサイドレギュレータは、
出力コンデンサと、
前記出力コンデンサに並列接続された第1のツェナーダイオードと、
前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードのローサイド側に設けられ、前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに電流を供給する電流供給回路と、
前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出する電流検出回路と、
前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出したとき、前記電流供給回路から前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに供給される電流を遮断する遮断回路とを有する、
DC/DCコンバータであること。
[2]
[1]に記載のDC/DCコンバータにおいて、
前記遮断回路は、前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出したタイミングから一定期間の間だけ前記電流を遮断する、
DC/DCコンバータであること。
[3]
[1]に記載のDC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路が、
クロックを出力する発振器と、
前記クロックに同期したスロープ信号と前記DC/DCコンバータの出力電圧または出力電流及び基準値の差分を示す誤差信号との比較に基づいたデューティのPWM信号を出力するPWM制御部と、を備え、
前記PWM信号に従って前記ハイサイド側のMOSトランジスタのオンオフが制御され、
前記遮断回路は、前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出してから前記クロックが立ち上がる又は立ち下がるまでの間だけ前記電流を遮断する、
DC/DCコンバータであること。
[4]
[1]に記載のDC/DCコンバータにおいて、
前記遮断回路は、前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出してから前記ハイサイド側のMOSトランジスがオフからオンに切り替わるまでの間だけ前記電流を遮断する、
DC/DCコンバータであること。
[5]
[1]~[4]の何れか1項に記載のDC/DCコンバータにおいて、
前記電流検出回路が、前記第1のツェナーダイオードのカソードにカソードが接続された第2のツェナーダイオードと、
前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに流れる電流をコピーして、前記第2のツェナーダイオードに流すカレントミラー回路と、
前記第2のツェナーダイオードが導通して前記カレントミラー回路により前記第2のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出する電流検出部と、を有する、
DC/DCコンバータであること。
[6]
DC/DCコンバータの入力電圧源とコイルとの間に設けたハイサイド側のMOSトランジスタをオンオフ駆動するための電源回路であるハイサイドレギュレータであって、
出力コンデンサと、
前記出力コンデンサに並列接続された第1のツェナーダイオードと、
前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードのローサイド側に設けられ、前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに電流を供給する電流供給回路と、
前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出する電流検出回路と、
前記電流検出回路が前記第1のツェナーダイオードに電流が流れたことを検出したとき、前記電流供給回路から前記出力コンデンサ及び前記第1のツェナーダイオードに供給される電流を遮断する遮断回路とを備えた、
ハイサイドレギュレータであること。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハイサイド側のMOSトランジスタのドライブ能力の低下を抑えつつ消費電流を削減することができるDC/DCコンバータ及びハイサイドレギュレータを提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態におけるDC/DCコンバータを示す回路図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すハイサイドレギュレータを示す回路図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す電圧V
HREG、トランジスタMp
1のドレイン電流、トランジスタMp
2のドレイン電流、トランジスタMn
3のゲート電圧のタイムチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態におけるDC/DCコンバータを示す回路図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すハイサイドレギュレータを示す回路図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す電圧V
HREG、トランジスタMp
1のドレイン電流、トランジスタMp
2のドレイン電流、発振器のクロック、トランジスタMn
3のゲート電圧のタイムチャートである。
【
図7】
図7は、第3実施形態におけるDC/DCコンバータを示す回路図である。
【
図8】
図8は、
図7に示すハイサイドレギュレータを示す回路図である。
【
図9】
図9は、
図7に示す電圧V
HREG、トランジスタMp
1のドレイン電流、トランジスタMp
2のドレイン電流、PWM信号、トランジスタMn
3のゲート電圧のタイムチャートである。
【
図10】
図10は、従来のハイサイドレギュレータの一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本発明に関する具体的な第1実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0012】
図1に示すDC/DCコンバータ1は、パワーMOSトランジスタM
PWH、M
PWLのオンオフにより入力電圧源から供給される直流の入力電圧V
INを降圧して出力端OUTから出力電圧V
OUTとして出力する。DC/DCコンバータ1は、パワーMOSトランジスタM
PWH、M
PWLと、コイルL
OUT1と、コンデンサC
OUT1と、電圧検出用抵抗R
B1、R
B2と、パワーMOSトランジスタM
PWH、M
PWLのオンオフを制御する制御IC2(制御回路)とを備えている。
【0013】
ハイサイド側のMOSトランジスタとしてのパワーMOSトランジスタMPWHは、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。パワーMOSトランジスタMPWHは、ソースが入力電圧源の正極に接続され、ドレインが後述するコイルLOUT1の一端及びパワーMOSトランジスタMPWLのドレインに接続され、ゲートが抵抗RHを介して後述する制御IC2に接続される。
【0014】
パワーMOSトランジスタMPWLは、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。パワーMOSトランジスタMPWLは、ドレインがパワーMOSトランジスタMPWHのドレイン及びコイルLOUT1の一端に接続され、ソースがグランドに接続され、ゲートが抵抗RLを介して後述する制御IC2に接続される。
【0015】
コイルLOUT1は、一端がパワーMOSトランジスタMPWH、MPWLのドレインに接続され、他端が出力端OUTの正極側に接続される。コンデンサCOUT1及び電圧検出用抵抗RB1、RB2は、一対の出力端OUTの間に互いに並列に接続される。詳しくは、コンデンサCOUT1は、その一端がコイルLOUT1の他端及び出力端OUTの正極側に接続され、他端がグランドに接続される。
【0016】
電圧検出用抵抗RB1、RB2は、互いに直列接続される。電圧検出用抵抗RB1は、一端がコイルLOUT1の他端及び出力端OUTの正極側に接続され、他端が電圧検出用抵抗RB2に接続される。電圧検出用抵抗RB2は、一端が電圧検出用抵抗RB1に接続され、他端がグランドに接続されている。出力電圧VOUTを電圧検出用抵抗RB1、RB2で分圧した検出電圧VOUTSが制御IC2に供給される。
【0017】
上述したパワーMOSトランジスタMPWHをオン、パワーMOSトランジスタMPWLをオフしたときにコイルLOUT1に入力電圧VINからのエネルギーが蓄積される。一方、パワーMOSトランジスタMPWHをオフ、パワーMOSトランジスタMPWLをオンしたときにコイルLOUT1に蓄積したエネルギーに対応する電流がグランドからコイルLOUT1に送られ、コンデンサCOUT1により平滑化された出力電圧VOUTが出力される。
【0018】
制御IC2は、検出電圧VOUTSが基準値となるようにパワーMOSトランジスタMPWH、MPWLをオンオフする。制御IC2は、PWM制御部3と、発振器4と、デッドタイム制御部5と、ハイサイド駆動部6と、ローサイド駆動部7と、レギュレータ8とを有している。
【0019】
PWM制御部3は、検出電圧VOUTSと基準値との差分である誤差信号と、発振器4から出力されるクロックに同期したスロープ信号との比較に応じたデューティのPWM信号をデッドタイム制御部5に対して出力する。デッドタイム制御部5は、パワーMOSトランジスタMPWH、MPWLが同時にオンしないようにデッドタイムを設けたPWM信号をそれぞれハイサイド駆動部6及びローサイド駆動部7に出力する。
【0020】
ハイサイド駆動部6は、デッドタイム制御部5から出力されるPWM信号に応じて、ハイサイド側のパワーMOSトランジスタMPWHのゲートに駆動電圧を出力する。
【0021】
ハイサイド駆動部6は、トランジスタM1H、M2Hと、ハイサイドレギュレータ9と、レベルシフタ10と、プリドライバ11とを有している。トランジスタM1Hは、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM1Hは、ソースが入力電圧源の正極に接続され、ドレインが抵抗RHを介してパワーMOSトランジスタMPWHのゲートに接続され、ゲートが後述するプリドライバ11に接続される。トランジスタM2Hは、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM2Hは、ソースがハイサイドレギュレータ9の出力端に接続され、ドレインが抵抗RHを介してパワーMOSトランジスタMPWHのゲートに接続され、ゲートが後述するプリドライバ11に接続される。
【0022】
ハイサイドレギュレータ9は、出力電圧(VIN-VHREG)を生成する。ハイサイドレギュレータ9については後述する。レベルシフタ10は、デッドタイム制御部5から出力されるPWM信号についてHレベルをVIN、LレベルをVIN-VHREGとなるようにレベルシフトしてプリドライバ11に供給する。プリドライバ11は、レベルシフトされたPWM信号をトランジスタM1H、M2Hのゲートに出力する。
【0023】
これにより、HレベルのPWM信号が出力されると、トランジスタM1Hがオン、トランジスタM2Hがオフして、パワーMOSトランジスタMPWHのゲートに入力電圧VINが供給され、パワーMOSトランジスタMPWHがオフする。一方、LレベルのPWM信号が出力されると、トランジスタM1Hがオフ、トランジスタM2Hがオンして、パワーMOSトランジスタMPWHのゲートに出力電圧(VIN-VHREG)が供給され、パワーMOSトランジスタMPWHがオンする。
【0024】
ローサイド駆動部7は、デッドタイム制御部5から出力されるPWM信号に応じて、ローサイド側のパワーMOSトランジスタMPWLのゲートに駆動電圧を出力する。
【0025】
ローサイド駆動部7は、トランジスタM1L、M2Lと、ローサイドレギュレータ12と、レベルシフタ13と、プリドライバ14とを有している。トランジスタM1Lは、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM1Lは、ソースがローサイドレギュレータ12の出力端に接続され、ドレインがパワーMOSトランジスタMPWLのゲートに抵抗RLを介して接続され、ゲートが後述するプリドライバ14に接続される。トランジスタM2Lは、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM2Lは、ソースがグランドに接続され、ドレインがパワーMOSトランジスタMPWLのゲートに抵抗RLを介して接続され、ゲートが後述するプリドライバ14に接続される。
【0026】
ローサイドレギュレータ12は、出力電圧VLREGを生成する。レベルシフタ13は、デッドタイム制御部5から出力されるPWM信号についてHレベルをVLREG、Lレベルをグランド(0V)となるようにレベルシフトしてプリドライバ14に供給する。プリドライバ14は、レベルシフトされたPWM信号をトランジスタM1L、M2Lのゲートに出力する。
【0027】
これにより、LレベルのPWM信号が出力されると、トランジスタM1Lがオン、トランジスタM2Lがオフして、パワーMOSトランジスタMPWLのゲートに電圧VLREGが供給され、パワーMOSトランジスタMPWLがオンする。一方、HレベルのPWM信号が出力されると、トランジスタM1Lがオフ、トランジスタM2Lがオンして、パワーMOSトランジスタMPWLのゲートに0Vが供給され、パワーMOSトランジスタMPWLがオフする。
【0028】
レギュレータ8は、上述したPWM制御部3、発振器4、デッドタイム制御部5、ハイサイドレギュレータ9、レベルシフタ13に供給する出力電圧VREGを生成する。
【0029】
次に、上述したハイサイドレギュレータ9の詳細について
図2を参照して説明する。ハイサイドレギュレータ9は、第1のツェナーダイオードとしてのツェナーダイオードD
Z1と、出力コンデンサC
1と、バイアス電流源15と、電流供給回路としてのカレントミラー回路16と、電流検出回路17と、遮断回路18とを備えている。
【0030】
ツェナーダイオードDZ1及び出力コンデンサC1は、出力端VH、VL間に互いに並列接続されている。バイアス電流源15は、バイアス電流IBIASを出力する。バイアス電流源15は、レギュレータ8の出力電圧VREGと後述するカレントミラー回路16との間に接続されている。
【0031】
カレントミラー回路16は、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1のローサイド側(出力端VLとグランドとの間)に設けられ、バイアス電流IBIASをコピーして、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1に供給する回路である。カレントミラー回路16は、トランジスタMn1及びMn2を有している。トランジスタMn1及びMn2は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタMn1は、ドレインがバイアス電流源15に接続され、ソースがグランドに接続され、ゲートがドレインに接続されている。
【0032】
トランジスタMn2は、ドレインが後述するトランジスタMp1を介してツェナーダイオードDZ1のアノード、出力コンデンサC1の一端に接続されている。トランジスタMn2は、ソースがトランジスタMn1のソースに接続され、ゲートがトランジスタMn1のゲートに接続されている。
【0033】
カレントミラー回路16によりバイアス電流IBIASが出力コンデンサC1に供給されると、出力コンデンサC1の両端電圧、即ち電圧VHREGが上昇する。電圧VHREGが、ツェナーダイオードDZ1のツェナー電圧VDZを超えると、ツェナーダイオードDZ1が導通し、電圧VHREGがツェナー電圧VDZにクランプされ、一定電圧を生成できる。ハイサイドレギュレータ9は、出力端VHに入力電圧VINを供給することにより、出力端VLから出力電圧(VIN-VHREG)を出力する。
【0034】
電流検出回路17は、ツェナーダイオードDZ1に電流が流れたことを検出する回路である。電流検出回路17は、第2のツェナーダイオードとしてのツェナーダイオードDZ2と、カレントミラー回路171と、電流検出部172とを有している。ツェナーダイオードDZ2は、ツェナーダイオードDZ1と同じ種類であり、同じ特性(ツェナー電圧VDZが同じ)を持つ。ツェナーダイオードDZ2は、カソードがツェナーダイオードDZ1のカソードに接続され、アノードが後述するトランジスタMp2のソースに接続されている。
【0035】
カレントミラー回路171は、ツェナーダイオードDZ1が導通すると出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1に流れるバイアス電流IBIASをコピーして、ツェナーダイオードDZ2に流す。このカレントミラー回路171によりツェナーダイオードDZ1に電流が流れると、ツェナーダイオードDZ2にも電流が流れるようになる。カレントミラー回路171は、トランジスタMp1、Mp2から構成されている。トランジスタMp1及びMp2は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタMp1は、ドレインがトランジスタMn2のドレインに接続され、ソースが出力コンデンサC1の一端及びツェナーダイオードDZ1のアノードに接続され、ゲートがドレインに接続されている。
【0036】
トランジスタMp2は、ドレインが後述する電流検出部172を介してグランドに接続され、ソースがツェナーダイオードDZ2のアノードに接続され、ゲートがトランジスタMp1のゲートに接続されている。電流検出部172は、トランジスタMp2のドレインとグランドとの間に設けられ、ツェナーダイオードDZ2及びトランジスタMp2のドレインに電流が流れたことを検出すると、その旨を示す検出信号を遅延回路181に出力する。
【0037】
遮断回路18は、電流検出回路17がツェナーダイオードDZ2及びトランジスタMp2に電流が流れたことを検出したとき、カレントミラー回路16から出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1に供給されるバイアス電流IBIASを遮断する。遮断回路18は、遅延回路181と、トランジスタMn3とを有している。遅延回路181は、電流検出部172の出力端とトランジスタMn3のゲートとの間に設けられている。遅延回路181は、電流検出部172から検出信号が入力されると、検出信号を入力したタイミングから所定の遅延時間(一定期間)経過するまでの間、トランジスタMn3のゲートにHレベルの信号を出力して、トランジスタMn3をオンにする。
【0038】
トランジスタMn3は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタMn3は、ドレインがトランジスタMn1のドレインに接続され、ソースがトランジスタMn1のソースに接続され、ゲートが遅延回路181の出力端に接続されている。
【0039】
次に、上述したハイサイドレギュレータ9の動作について
図3のタイムチャートを参照して説明する。カレントミラー回路16によりバイアス電流I
BIASが出力コンデンサC
1に供給されると、出力コンデンサC
1の両端電圧、即ち電圧V
HREGが増加する(
図3(A))。出力コンデンサC
1にバイアス電流I
BIASが供給されている間は、トランジスタMp
1にドレイン電流が流れる(
図3(B))。電圧V
HREGが、ツェナーダイオードD
Z1のツェナー電圧V
DZを超えると、ツェナーダイオードD
Z1が導通し、電圧V
HREGがツェナー電圧V
DZにクランプされる。このとき、ツェナーダイオードD
Z2の両端にもツェナー電圧V
DZにクランプされた電圧V
HREGが印加されるため、ツェナーダイオードD
Z2が導通して、トランジスタMp
2にドレイン電流が流れる(
図3(C))。
【0040】
電流検出部172が、ツェナーダイオードD
Z2、トランジスタMp
2に電流が流れたことを検出すると、遅延回路181に対して検出信号を出力する。遅延回路181は、電流検出部172から検出信号が入力されると、検出信号を入力したタイミングから所定の遅延時間経過するまでHレベルのゲート信号をトランジスタMn
3のゲートに出力する(
図3(D))。トランジスタMn
3は、遅延回路181からHレベルのゲート信号を供給されるとオンして、トランジスタMn
1のゲート・ソース間を短絡させる。これにより、出力コンデンサC
1に供給されるバイアス電流I
BIASが遮断され、トランジスタMp
1、Mp
2のドレイン電流が0Aとなる(
図3(B)、(C))。
【0041】
出力コンデンサC1に供給されるバイアス電流IBIASが遮断されても、出力コンデンサC1に蓄えられた電荷により電圧VHREGは一定(=ツェナー電圧VDZ)に維持される。遅延時間が経過して、遅延回路181から出力されるHレベルのゲート信号が遮断されてLレベルの信号がトランジスタMn3に出力されると、トランジスタMn3がオフして、カレントミラー回路16により出力コンデンサC1に再びバイアス電流IBIASが供給され、トランジスタMp1にドレイン電流が流れる。このとき、電圧VHREGがツェナー電圧VDZに保たれていれば、トランジスタMn3をオフにすると再びツェナーダイオードDZ1、DZ2に電流が流れ、電流検出部172から検出信号が出力され、遅延回路181からHレベルのゲート信号が供給され、再び出力コンデンサC1に供給されるバイアス電流IBIASが遮断される。
【0042】
上述した第1実施形態によれば、出力コンデンサC1の両端電圧がツェナー電圧VDZに達して、ツェナーダイオードDZ1に電流が流れると、カレントミラー回路16から出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1に供給されるバイアス電流IBIASが遮断される。このため、常時、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1にバイアス電流IBIASが供給されることがないため、消費電流の低減を図ることができる。また、出力コンデンサC1の両端電圧がツェナー電圧VDZに達していないときには、バイアス電流IBIASが遮断されることがないため、ハイサイド側のパワーMOSトランジスタMPW1のドライブ能力の低下を抑えることができる。
【0043】
上述した第1実施形態によれば、遅延回路181が、ツェナーダイオードDZ1に電流が流れてから遅延時間が経過するまでの間だけ、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1に供給されるバイアス電流IBIASが遮断するゲート信号をトランジスタMn3に出力する。これにより、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1へのバイアス電流IBIASの遮断、供給が高速に繰り返されることがなく、より消費電流の低下を図ることができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図4及び
図5を参照して説明する。なお、
図4及び
図5において、第1実施形態で既に説明した
図1及び
図2に示すDC/DCコンバータ1及びハイサイドレギュレータ9と同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0045】
第1実施形態のDC/DCコンバータ1と第2実施形態のDC/DCコンバータ1Bとで大きく異なる点は、
図4に示すように、ハイサイドレギュレータ9Bに発振器4が出力するクロックが入力されている点である。
【0046】
第1実施形態のハイサイドレギュレータ9と第2実施形態のハイサイドレギュレータ9Bとで大きく異なる点は、
図5に示すように、遮断回路18Bの構成である。第2実施形態の遮断回路18Bは、遅延回路181に代えてフリップフロップ回路182を設けている点である。
【0047】
フリップフロップ回路182は、電流検出部172の出力端とトランジスタMn3のゲートとの間に設けられている。また、フリップフロップ回路182には、発振器4から出力されるクロックが入力される。フリップフロップ回路182は、電流検出部172から検出信号が入力されてからクロックが立ち上がるまでの間、トランジスタMn3のゲートにHレベルの信号を出力する。
【0048】
次に、上述したハイサイドレギュレータ9Bの動作について
図6のタイムチャートを参照して以下説明する。第1実施形態と同様に、カレントミラー回路16によりバイアス電流I
BIASが出力コンデンサC
1に供給されると、出力コンデンサC
1の両端電圧、即ち電圧V
HREGが増加する(
図6(A))。出力コンデンサC
1にバイアス電流I
BIASが供給されている間は、トランジスタMp
1にドレイン電流が流れる(
図6(B))。電圧V
HREGが、ツェナーダイオードD
Z1のツェナー電圧V
DZを超えると、ツェナーダイオードD
Z1が導通し、電圧V
HREGがツェナー電圧V
DZにクランプされる。このとき、ツェナーダイオードD
Z2の両端にもツェナー電圧V
DZにクランプされた電圧V
HREGが印加されるため、ツェナーダイオードD
Z2が導通して、トランジスタMp
2にドレイン電流が流れる(
図6(C))。
【0049】
電流検出部172が、ツェナーダイオードD
Z2、トランジスタMp
2に電流が流れたことを検出すると、フリップフロップ回路182に対して検出信号を出力する。フリップフロップ回路182は、電流検出部172から検出信号が入力されると、Hレベルのゲート信号をトランジスタMn
3に出力して(
図6(C)、(E))、トランジスタMn
3をオンする。これにより、出力コンデンサC
1に供給されるバイアス電流I
BIASが遮断され、トランジスタMp
1、Mp
2のドレイン電流が0Aとなる(
図6(B)、(C))。
【0050】
フリップフロップ回路182は、Hレベルのゲート信号を出力してからクロックがHレベルに立ち上がるタイミングでHレベルのゲート信号を遮断して、Lレベルの信号をトランジスタMn
3に出力する(
図6(D)、(E))。これにより、トランジスタMn
3がオフして、カレントミラー回路16により出力コンデンサC
1に再びバイアス電流I
BIASが供給される。
【0051】
このとき、電圧VHREGがツェナー電圧VDZに保たれていれば、トランジスタMn3をオフにすると再びツェナーダイオードDZ1、DZ2に電流が流れ、電流検出部172から検出信号が出力され、フリップフロップ回路182からHレベルのゲート信号が供給され、トランジスタMn3により再び出力コンデンサC1に供給されるバイアス電流IBIASが遮断される。
【0052】
上述した第2実施形態によれば、フリップフロップ回路182が、ツェナーダイオードDZ1に電流が流れてからクロックが立ち上がるまでの間だけ、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1に供給されるバイアス電流IBIASが遮断される。クロックの周期は、パワーMOSトランジスタMPWHのオンオフ周期となるため、パワーMOSトランジスタMPW1のオンオフ周期に合わせて、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1へのバイアス電流IBIASの遮断を行うことができる。これにより、より一層、ハイサイド側のパワーMOSトランジスタMPWHのドライブ能力の低下を抑えつつ消費電流を削減することができる。
【0053】
なお、上述した第2実施形態によれば、フリップフロップ回路182は、検出信号を入力してからクロックが立ち上がるまでの間、トランジスタMn3をオンして、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1に供給するバイアス電流IBIASを遮断していたが、これに限ったものではない。フリップフロップ回路182は、検出信号を入力してからクロックが立ち下がるまでの間、トランジスタMn3をオンする構成とすることも可能であり、パワーMOSトランジスタMPW1のオンオフ周期に合わせることで同様の効果を得ることができる。
【0054】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、
図7及び
図8を参照して説明する。なお、
図7及び
図8において、第1実施形態で既に説明した
図1及び
図2に示すDC/DCコンバータ1及びハイサイドレギュレータ9と同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
第1実施形態のDC/DCコンバータ1と第3実施形態のDC/DCコンバータ1Cとで大きく異なる点は、
図7に示すように、ハイサイドレギュレータ9CにPWM制御部3が出力するPWM信号が入力されている点である。
【0056】
第1実施形態のハイサイドレギュレータ9と第3実施形態のハイサイドレギュレータ9Cとで大きく異なる点は、
図8に示すように、遮断回路18Cの構成である。遮断回路18Cは、遅延回路181に代えてフリップフロップ回路183を設けている点である。
【0057】
フリップフロップ回路183は、電流検出部172の出力端とトランジスタMn3のゲートとの間に設けられている。また、フリップフロップ回路183には、PWM制御部3から出力されるPWM信号が入力される。フリップフロップ回路183は、電流検出部172から検出信号が入力されてからPWM信号が立ち上がるまでの間、トランジスタM3のゲートにHレベルの信号を出力する。
【0058】
次に、上述したハイサイドレギュレータ9Cの動作について
図9のタイムチャートを参照して以下説明する。第1実施形態と同様に、カレントミラー回路16によりバイアス電流I
BIASが出力コンデンサC
1に供給されると、出力コンデンサC
1の両端電圧、即ち電圧V
HREGが増加する(
図9(A))。出力コンデンサC
1にバイアス電流I
BIASが供給されている間は、トランジスタMp
1にドレイン電流が流れる(
図9(B))。電圧V
HREGが、ツェナーダイオードD
Z1のツェナー電圧V
DZを超えると、ツェナーダイオードD
Z1が導通し、電圧V
HREGがツェナー電圧V
DZにクランプされる。このとき、ツェナーダイオードD
Z2の両端にもツェナー電圧V
DZにクランプされた電圧V
HREGが印加されるため、ツェナーダイオードD
Z2が導通して、トランジスタMp
2にドレイン電流が流れる(
図9(C))。
【0059】
電流検出部172が、ツェナーダイオードD
Z2、トランジスタMp
2に電流が流れたことを検出すると、フリップフロップ回路183に対して検出信号を出力する。フリップフロップ回路183は、電流検出部172から検出信号が入力されると、検出信号を入力したタイミングでHレベルのゲート信号をトランジスタMn
3に出力して(
図9(C)、(E))、トランジスタMn
3をオンする。これにより、出力コンデンサC
1に供給されるバイアス電流I
BIASが遮断され、トランジスタMp
1、Mp
2のドレイン電流が0Aとなる(
図9(B)、(C))。
【0060】
フリップフロップ回路183は、Hレベルのゲート信号を出力してからPWM信号がLレベルに立ち下がるタイミングでHレベルのゲート信号を遮断して、Lレベルの信号をトランジスタMn
3に出力する(
図9(D)、(E))。これにより、トランジスタMn
3がオフして、カレントミラー回路16により出力コンデンサC
1に再びバイアス電流I
BIASが供給され、トランジスタMp
1にドレイン電流が流れる。
【0061】
PWM信号がLレベルの間は、パワーMOSトランジスタMPWHがオンして、コイルLOUT1に電流を供給するため、電圧VHREGが低下する。このとき、電圧VHREGがツェナー電圧VDZ未満となるとPWM信号がLレベルの間はツェナーダイオードDZ1、DZ2に電流が流れることはなく、出力コンデンサC1に供給されるバイアス電流IBIASが遮断されることがない。一方、PWM信号がHレベルの間は、パワーMOSトランジスタMPWHがオフして、パワーMOSトランジスタMPWLがオンするため、電圧VHREGが増加する。その後、電圧VHREGがツェナー電圧VDZに達すると、ツェナーダイオードDZ1、DZ2に電流が流れて、再び、トランジスタMn3がオンして、出力コンデンサC1に供給されるバイアス電流IBIASが遮断され、これを繰り返す。
【0062】
上述した第3実施形態によれば、フリップフロップ回路183が、ツェナーダイオードDZ1に電流が流れてからパワーMOSトランジスタMPWHがオフからオンに切り替わるまでの間だけ、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1に供給するバイアス電流IBIASを遮断するゲート信号をトランジスタMn3に出力する。このため、パワーMOSトランジスタMPWHがオンとなりコイルLOUT1に電流を供給するときは、バイアス電流IBIASが遮断されず、パワートMOSトランジスタMPWHがオフとなるときは、バイアス電流IBIASを遮断できる。これにより、より一層、ハイサイド側のパワーMOSトランジスタMPWHのドライブ能力の低下を抑えることができる。
また、DC/DCコンバータにおいて、出力端OUTに接続される負荷が軽負荷である場合、PWM制御部3が出力するPWM信号は、パワーMOSトランジスタMPWHがオンする時間がPWM信号の周期に対して短くなり、オフする時間が長くなる。そのため、第3実施形態のDC/DCコンバータ1Cにおいては、出力端OUTに接続される負荷が軽負荷である場合に、バイアス電流IBIASが遮断される時間が長くなり、PWM信号1周期あたりのハイサイドレギュレータ9Cの消費電流を小さく抑えることが可能である。つまり、パワーMOSトランジスタMPWHが駆動能力に対して、ハイサイドレギュレータ9Cは、適切な消費電流で動作することができる。
【0063】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0064】
上述した実施形態によれば、電流検出部とトランジスタMn3との間に遅延回路181やフリップフロップ回路182、183を設けていたが、これに限ったものではない。電流検出部172とトランジスタMn3を直接接続して、ツェナーダイオードDZ1に電流が流れたときにトランジスタMn3をオンして、出力コンデンサC1及びツェナーダイオードDZ1に供給されるバイアス電流IBIASを遮断するようにしてもよい。
【0065】
上述した実施形態によれば、PWM制御部3で用いられる誤差信号は、出力電圧VOUTに応じた検出電圧VOUTSと基準値との差分であったが、これに限ったものではない。誤差信号としては、出力端OUTから負荷に流れる出力電流と基準値との差分であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1、1B、1C DC/DCコンバータ
2 制御IC(制御回路)
3 PWM制御部
4 発振器
9、9B、9C ハイサイドレギュレータ
16 カレントミラー回路(電流供給回路)
17 電流検出回路
18 遮断回路
171 カレントミラー回路
172 電流検出部
C1 出力コンデンサ
DZ1 ツェナーダイオード(第1のツェナーダイオード)
DZ2 ツェナーダイオード(第2のツェナーダイオード)
LOUT1 コイル
MPWH ハイサイド側のパワーMOSトランジスタ
VIN 入力電圧