(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20250701BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
G01N21/956 A
H01L21/78 B
(21)【出願番号】P 2021128754
(22)【出願日】2021-08-05
【審査請求日】2024-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】木村 展之
【審査官】貝沼 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036162(JP,A)
【文献】特開2005-274155(JP,A)
【文献】特開2020-170089(JP,A)
【文献】特開2010-271133(JP,A)
【文献】特開2018-049913(JP,A)
【文献】特開2017-220480(JP,A)
【文献】特開平07-229708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84ーG01N21/958
H01L21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を検査する検査装置であって、
被検査物を支持するテーブルと、該テーブルに支持された被検査物に光を照射する光照射手段と、被検査物から反射した反射光を受光する受光手段と、を含み、
該受光手段は、カメラと、該被検査物と該カメラとの間に配設される拡散板と、を備え、
該被検査物は、内部に形成された改質層に起因し表面に微小な凹凸が形成されるウエーハであり、
該光照射手段によって照射される光は、該ウエーハに形成される改質層に起因して表面に形成される凹凸の形状、及び凹凸の寸法に応じた波長の光が選択され、
該拡散板を介して該カメラによって撮像される該被検査物の表面に形成された該改質層に起因する凹凸形状に基づいて、該ウエーハの内部に形成された改質層の有無を検査する検査装置。
【請求項2】
該光照射手段は、白色光源と、該白色光源が発した白色光を分光する回折格子と、該回折格子によって分光された複数の波長の光から特定の波長の光を選別する光選別手段と、を含み構成され、被検査物に選別した特定の波長の光を照射する請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
該光選別手段は、該回折格子によって分光された複数の波長の光をピンホールマスクによって選別する請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
該光選別手段は、該回折格子によって分光された複数の波長の光を反射する第一の集光ミラーと、該第一の集光ミラーと同じ焦点距離を有し焦点を対称の中心として点対称の位置に配設される第二の集光ミラーと、該第二の集光ミラーの焦点に位置付けられた光路を変換する光路変換ミラーと、該光路変換ミラーで光路が変換された複数の波長の光を選別する該ピンホールマスクと、を含み構成される請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
該光路変換ミラーと該ピンホールマスクとの間に、第三の集光ミラーを備え、該第三の集光ミラーの焦点が、該ピンホールマスクに位置付けられる請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
該白色光源は、SLD光源、ASE光源、LED光源、スーパーコンティニウム光源、ハロゲン光源、キセノン光源、水銀光源、メタルハライド光源のいずれかである請求項2から5のいずれかに記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画された表面に形成されたウエーハは、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点をウエーハの裏面から分割予定ラインに対応する内部に位置付けて照射し、分割予定ラインに沿って改質層が形成され、その後、例えば、ウエーハの裏面が研削されて薄化すると共に外力を付与して個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される(例えば特許文献1、2を参照)。
【0003】
ところで、上記の改質層が分割予定ラインの内部に適正に形成されていないと、ウエーハを個々のデバイスチップに分割することができず、ウエーハを損傷させる問題があることから、改質層に起因してウエーハの裏面側に凹凸が生じる現象を利用して、ウエーハの裏面に光を照射して反射させて投影し、いわゆる魔鏡の原理によって改質層の有無を検出する方法及びこれに好適な検査装置が、本出願人によって提案されている(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3408805号公報
【文献】特許第4358762号公報
【文献】特開2017-220480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した特許文献3に記載の技術によって改質層の有無を検出する方法では、ウエーハの大径化に伴って、ウエーハから反射した光を結像レンズに集光する集光レンズを大径化する必要があり、コストが高くなるという問題がある。さらに、投影される改質層のコントラストが鮮明でないことから、ウエーハに形成されるデバイスが小さくなって分割予定ラインに形成される改質層が微細になるに従い、改質層の有無を的確に判定することが困難であるという問題も生じる。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、使用する集光レンズの大径化を回避して、安価な装置構成により、ウエーハに形成された改質層の有無を検出することができる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被検査物を検査する検査装置であって、被検査物を支持するテーブルと、該テーブルに支持された被検査物に光を照射する光照射手段と、被検査物から反射した反射光を受光する受光手段と、を含み、該受光手段は、カメラと、該被検査物と該カメラとの間に配設される拡散板と、を備え、該被検査物は、内部に形成された改質層に起因し表面に微小な凹凸が形成されるウエーハであり、該光照射手段によって照射される光は、該ウエーハに形成される改質層に起因して表面に形成される凹凸の形状、及び凹凸の寸法に応じた波長の光が選択され、該拡散板を介して該カメラによって撮像される該被検査物の表面に形成された該改質層に起因する凹凸形状に基づいて、該ウエーハの内部に形成された改質層の有無を検査する検査装置が提供される。
【0008】
該光照射手段は、白色光源と、該白色光源が発した白色光を分光する回折格子と、該回折格子によって分光された複数の波長の光から特定の波長の光を選別する光選別手段と、を含み構成され、被検査物に選別した特定の波長の光を照射することが好ましい。また、該光選別手段は、該回折格子によって分光された複数の波長の光をピンホールマスクによって選別することができる。
【0009】
該光選別手段は、該回折格子によって分光された複数の波長の光を反射する第一の集光ミラーと、該第一の集光ミラーと同じ焦点距離を有し焦点を対称の中心として点対称の位置に配設される第二の集光ミラーと、該第二の集光ミラーの焦点に位置付けられた光路を変換する光路変換ミラーと、該光路変換ミラーで光路が変換された複数の波長の光を選別する該ピンホールマスクと、を含み構成されることが好ましい。さらに、該光路変換ミラーと該ピンホールマスクとの間に、第三の集光ミラーを備え、該第三の集光ミラーの焦点が、該ピンホールマスクに位置付けられるようにすることが好ましい。また、該白色光源は、SLD光源、ASE光源、LED光源、スーパーコンティニウム光源、ハロゲン光源、キセノン光源、水銀光源、メタルハライド光源のいずれかから選択することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の検査装置は、被検査物を検査する検査装置であって、被検査物を支持するテーブルと、該テーブルに支持された被検査物に光を照射する光照射手段と、被検査物から反射した反射光を受光する受光手段と、を含み、該受光手段は、カメラと、該被検査物と該カメラとの間に配設される拡散板と、を備え、該被検査物は、内部に形成された改質層に起因し表面に微小な凹凸が形成されるウエーハであり、該光照射手段によって照射される光は、該ウエーハに形成される改質層に起因して表面に形成される凹凸の形状、及び凹凸の寸法に応じた波長の光が選択され、該拡散板を介して該カメラによって撮像される該被検査物の表面に形成された該改質層に起因する凹凸形状に基づいて、該ウエーハの内部に形成された改質層の有無を検査することから、該反射光を拡散板において適度に拡散することで、被加工物の内部に形成された改質層に起因し表面に形成される微小な凹凸をカメラによって捉えることができ、集光レンズの大径化を回避して安価に検査装置を構成することができる。また、白色光を回折格子で分光し、特定の波長の光を被検査物に照射することで、被検査物に適合する波長の光によってコントラストを明確にして改質層等を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1に示す検査装置の光照射手段及び受光手段の構成を示す概念図である。
【
図3】
図1に示す検査装置の光照射手段の第一の実施形態の光学系を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示す検査装置の光照射手段の第二の実施形態の光学系を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示す検査装置の光照射手段の第三の実施形態の光学系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に基づいて構成される検査装置に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0013】
図1には、本実施形態の検査装置1の全体斜視図が示されている。検査装置1は、被検査物を支持するテーブル35と、該テーブル35に支持された被検査物に光を照射する光照射手段6と、被検査物から反射した反射光を受光する受光手段7と、を少なくとも含み構成される。
【0014】
本実施形態の検査装置1のテーブル35は、保持手段3の一部を構成する。検査装置1は、基台2を備え、保持手段3は、基台2上にX軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール2a、2a上を移動自在に搭載された矩形状のX軸方向可動板31と、Y軸方向において案内レール36、36に沿って移動自在にX軸方向可動板31に搭載された矩形状のY軸方向可動板32と、Y軸方向可動板32の上面に固定された円筒状の支柱33と、支柱33の上端に固定された矩形状のカバー板34とを含む。該保持手段3におけるテーブル35は、カバー板34上に形成された長穴を通って上方に延びる円形状の部材であって図示しない回転駆動手段により回転可能に構成されている。テーブル35は、通気性を有する多孔質材料から形成されX軸方向及びY軸方向で規定される保持面35aを備えている。保持面35aは、支柱33を通る流路によって図示しない吸引手段に接続されている。なお、X軸方向は
図1に矢印Xで示す方向であり、Y軸方向は矢印Yで示す方向であってX軸方向に直交する方向である。X軸方向及びY軸方向で規定される平面は実質上水平である。
【0015】
基台2上の保持手段3の奥側には、基台2の上面から上方に延びる垂直壁部5aと、実質上水平に延びる水平壁部5bとを備える枠体5が立設されている。水平壁部5bには、光照射手段6及び受光手段7の光学系が収容されている。枠体5の水平壁部5bの先端下面には光照射手段6の光照射部6aと、受光手段7の受光部7aとがX軸方向に並んで配設されている。
図2に示すように、該光照射部6aと該受光部7aとは、X軸方向に傾斜して対向するように配設されている。なお、
図2では、説明の都合上、受光手段7の内部を透過して示している。光照射部6aから照射される光Lは、所定の高さに位置付けられた被検査物、例えば、予め、分割予定ラインに沿って内部に改質層が形成されたウエーハWの裏面の垂直軸Pに対する入射角度がθ1となるように照射され、受光部7aは、光Lが該ウエーハWに照射され反射する反射角度θ2(=θ1)の反射光を受光するように配設されている。受光手段7は、図に示すように、被検査物のウエーハW上で反射した反射光を受光するカメラ71と、テーブル35上の被加工物(ウエーハW)とカメラ71との間に配設される拡散板72とを備えている。拡散板72は、例えば、曇りガラス、又は曇りシート等が採用される。曇りガラスとしては、例えば、サンドブラスト等によりガラスの表面に微細な凹凸を形成し光を拡散させる磨りガラスが好ましく、曇りシートとしては、表面に該磨りガラスに準じた加工が施された樹脂製のシートであることが好ましい。
【0016】
上記したテーブル35は、移動手段4によって移動される。移動手段4は、保持手段3のテーブル35と光照射手段6及び受光手段7とを相対的にX軸方向に移動させるX軸移動手段42と、保持手段3のテーブル35と光照射手段6及び受光手段7とを相対的にY軸方向に移動させるY軸移動手段44と、を備えている。
【0017】
X軸移動手段42は、基台2上に配設されるモータ42aと、モータ42aに連結されX軸方向に延びるボールねじ42bと、を有する。ボールねじ42bのナット部(図示は省略する)は、X軸方向可動板31の下面に固定されている。そしてX軸移動手段42は、ボールねじ42bによりモータ42aの回転運動を直線運動に変換してX軸方向可動板31に伝達し、基台2上の案内レール2a、2aに沿ってX軸方向可動板31をX軸方向に進退させる。
【0018】
Y軸移動手段44は、X軸方向可動板31上においてY軸方向に延びるボールねじ44bと、ボールねじ44bの片端部に連結されたモータ44aとを有する。ボールねじ44bのナット部は、Y軸方向可動板32の下面に形成されている(図示は省略している)。そしてY軸移動手段44は、ボールねじ44bによりモータ44aの回転運動を直線運動に変換してY軸方向可動板32に伝達し、X軸方向可動板31上の案内レール36、36に沿ってY軸方向可動板32をY軸方向に進退させる。
【0019】
検査装置1のX軸移動手段42、Y軸移動手段44等を含む各作動部、及び上記のカメラ71は、検査装置1の制御手段10に接続されている。また、該制御手段10には、表示手段8が接続されている。カメラ71によって撮像された画像は、制御手段10を介して表示手段8に送られて表示される。
【0020】
ところで、本発明に好適な光照射手段6は、種々の形態を採用することが可能であり、
図3を参照しながら、第一の実施形態として採用される光照射手段6Aについて説明する。
【0021】
光照射手段6Aは、白色光源61と、ステップモータ62と、該ステップモータにより駆動される回折格子63と、ピンホールHを備えたピンホールマスク64と、ピンホールマスク64のピンホールHを通過した光を反射し光路を変更する反射ミラー65とを備え、反射ミラー65によって反射された光は、光照射部6aから照射される。白色光源61は、可視光と称される波長(例えば400nm~800nm)の光が略均等に混じった光L0を照射する光源であり、例えば、SLD光源、ASE光源、LED光源、スーパーコンティニウム光源、ハロゲン光源、キセノン光源、水銀光源、メタルハライド光源のいずれかであることが好ましい。該白色光源61から照射される白色光L0は、平行光に調整されて照射される。
【0022】
回折格子63は、照射された白色光L0を回折して波長毎に角度を付けて分光する。より具体的には、
図3に示すように、白色光源61から照射された白色光L0は、回折格子63によって、短波長の青色光Lb、青色光Lbよりも長い波長の緑色光Lg、緑色光Lgよりもさらに長い波長の赤色光Lrに分光して照射する。なお、
図3では、説明の都合上、白色光L0を、青色光Lb、緑色光Lg、赤色光Lrの3つの光に分光するように示しているが、白色光L0には、上記したように、可視光線に含まれる全ての波長の光が均等に混じっており、実際には、さらに細かく複数の色(紫、水色、黄色、橙色等)に分光される。
【0023】
上記のステップモータ62は、回折格子63を回動させる回動手段として機能し、ステップモータ62を作動させることにより、回折格子63の角度を、図中R1で示す方向で調整することができ、回折格子63によって分光される青色光Lb、緑色光Lg、赤色光Lrの光路が矢印R2で示す方向に変更され、特定の波長の光(
図3では青色光Lb)のみを、選択的にピンホールマスク64のピンホールHを通過させることができる。すなわち、この第一の実施形態においては、ステップモータ62と、ピンホールマスク64とが、回折格子63によって分光された複数の波長の光(青色光Lb、緑色光Lg、赤色光Lr)から特定の波長の光を選別する光選別手段として機能する。なお、
図3では、青色光Lbが、選択的にピンホールマスク64のピンホールHを通過させられ、光照射部6aから照射されているが、上記の制御手段10からの指示信号に基づいて、ステップモータ62を作動することで、回折格子63を回動させて、光照射部6aから、種々の波長の光を選択して照射することができる。
【0024】
上記した第一の実施形態によって実現される光照射手段6Aを、
図1に示す検査装置1の光照射手段6として採用した場合の作用効果について説明する。テーブル35に被検査物であるウエーハWを吸引保持し、移動手段4を作動して、光照射手段6及び受光手段7の直下に移動させる。次いで、
図3に示す光照射手段6Aを作動して、白色光源61から白色光L0を照射する。白色光L0は、回折格子63によって回折され分光されて、光選別手段として機能するステップモータ62及びピンホールマスク64によって特定波長の光が選別されて、ウエーハWの裏面に照射される。光照射手段6Aから照射された光がウエーハWの裏面で反射し、該反射光を、受光手段7のカメラ71によって撮像する。ここで、上記したように、ウエーハWと、カメラ71との間には、拡散板72が配設されている。ウエーハWの表面で反射した光は、該拡散板72において適度に拡散することで、ウエーハWの内部に形成された改質層に起因し表面に形成される微小な凹凸をカメラ71によって捉えることができる。さらに、上記のステップモータ62を作動して、ピンホールマスク64によって選別される光の波長を変化させて、光照射手段6Aの光照射部6aから照射される光の波長を調整することで、被検査物であるウエーハWの状態、例えば、ウエーハWの材質、改質層に起因する凹凸の形状、及び凹凸の寸法に応じた適切な波長の光を選択することが可能であり、カメラ71によって撮像される画像のコントラストをより明確化し、ウエーハWの内部に形成された改質層の有無等をより確実に検査することができる。
【0025】
本発明の光照射手段6は、上記の第一の実施形態に限定されない。
図4に基づいて、光照射手段6の第二の実施形態として採用可能な、光照射手段6Bについて説明する。
【0026】
光照射手段6Bは、
図3に基づき説明した光照射手段6Aと同様の白色光源61、回折格子63、及び複数の波長の光(青色光Lb、緑色光Lg、赤色光Lr等)を、ピンホールHによって選別するピンホールマスク64を備え、さらに、これに加えて、回折格子63によって分光された複数の波長の光を反射する第一の集光ミラー66と、第一の集光ミラー66と同じ焦点距離を有し図中点Cで示す焦点を中心として点対称の位置に配設される第二の集光ミラー67と、第二の集光ミラー67の焦点に位置付けられた光路を変換する光路変換ミラー65と、光路変換ミラー65の反射角度を調整するステップモータ62と、を備えている。なお、この光照射手段6Bの回折格子63は固定されている。この第二の実施形態として示す光照射手段6Bによれば、回折格子63によって回折され分光された複数の波長の光(青色光Lb、緑色光Lg、赤色光Lr)は、第一の集光ミラー66の集光面66aによって集光されて、第二の集光ミラー67に導かれ、さらに、第二の集光ミラーの集光面67aによって集光された光が、上記のピンホールマスク64に導かれる。この第二の実施形態における光選別手段は、第一の集光ミラー66と、第二の集光ミラー67と、光路変換ミラー65と、ステップモータ62と、ピンホールマスク64とを含み構成される。
【0027】
図1に示す検査装置1の光照射手段6として、
図4に示す上記の光照射手段6Bを使用し、ステップモータ62を作動して矢印R3で示す方向に光路変換ミラー65の角度を調整することにより、該光路変換ミラー65によって反射される光の角度が矢印R4で示す方向に調整され、上記の第一の実施形態と同様に、ピンホールマスク64によって選別される光の波長を変化させて、光照射手段6Bの光照射部6aから照射される光の波長を調整することができ、被検査物であるウエーハWの状態、例えば、ウエーハWの材質、改質層に起因する凹凸の形状、及び凹凸の寸法に応じた適切な波長の光を選択して照射することが可能であり、拡散板72の作用により、カメラ71によって撮像される画像のコントラストをより明確化し、ウエーハWの内部に形成された改質層の有無等をより確実に検査することができる。
【0028】
さらに、本発明の光照射手段6は、上記の第一、第二の実施形態に限定されない。
図5に基づいて、光照射手段6の第三の実施形態として採用可能な、光照射手段6Cについて説明する。
【0029】
図5から理解されるように、光照射手段6Cは、
図4に基づき説明した光照射手段6Bに配設された構成を備えているのに加え、光路変換ミラー65とピンホールマスク64との間に、第三の集光ミラー68を備え、第三の集光ミラー68の集光面68aによって集光される光の焦点が、ピンホールマスク64のピンホールHに位置付けられるように設定され、さらに、ピンホールマスク64のピンホールHを通過して光を反射する反射ミラー69を備えている。なお、該反射ミラー69は必須の構成ではなく、ピンホールマスク64のピンホールHを通過した光を、そのまま光照射部6aから照射してもよい。
【0030】
この第三の実施形態として示す光照射手段6Cにおいても、光路変換ミラー65に対して、ステップモータ62が配設され、制御手段10の指示信号に基づいて、ステップモータ62を作動して矢印R5で示す方向に光路変換ミラー65の角度を調整することにより、該光路変換ミラー65によって反射される光の角度が矢印R6で示す方向に調整される。この第三の実施形態における光選別手段は、上記の第一の集光ミラー66と、第二の集光ミラー67と、光路変換ミラー65と、ステップモータ62と、ピンホールマスク64に加え、第三の集光ミラー68が含まれる。
【0031】
上記の光照射手段6Cにおいては、第三の集光ミラー68によって、ピンホールマスク64のピンホールHに導かれる光(青色光Lb、緑色光Lg、赤色光Lr等)が集光されるため、上記の第一、第二の実施形態を構成する光照射手段6A,光照射手段6Bと比して、ピンホールマスク64のピンホールHを通過する光の波長をより限定して選別することが可能になり、カメラ71によって撮像される画像のコントラストをさらに明確化し、ウエーハWの内部に形成された改質層の有無等を、より確実に検査することができる
【符号の説明】
【0032】
1:検査装置
2:基台
2a:案内レール
3:保持手段
35:テーブル
31:X軸方向可動板
32:Y軸方向可動板
34:カバー板
35:テーブル
35a:保持面
4:移動手段
42:X軸移動手段
44:Y軸移動手段
5:枠体
5a:垂直壁部
5b:水平壁部
6、6A、6B、6C:光照射手段
6a:光照射部
61:白色光源
62:ステップモータ
63:回折格子
64:ピンホールマスク
65:反射ミラー
66:第一の集光ミラー
66a:集光面
67:第二の集光ミラー
67a:集光面
68:第三の集光ミラー
68a:集光面
69:反射ミラー
7:受光手段
71:カメラ
72:拡散板
8:表示手段
10:制御手段