(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-10
(45)【発行日】2025-07-18
(54)【発明の名称】光無線通信システム及び光無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/114 20130101AFI20250711BHJP
【FI】
H04B10/114
(21)【出願番号】P 2024524512
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 JP2022021876
(87)【国際公開番号】W WO2023233445
(87)【国際公開日】2023-12-07
【審査請求日】2024-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】NTT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩國 辰彦
(72)【発明者】
【氏名】新井 拓人
(72)【発明者】
【氏名】中平 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】椎名 亮太
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-083438(JP,A)
【文献】特開2004-328205(JP,A)
【文献】実開平05-020437(JP,U)
【文献】特開2001-177477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/114
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有し、前記第1の光無線通信装置と前記第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する光無線通信システムであって、
前記第1の光無線通信装置は、
第1の偏光フィルタを介して前記第2の光無線通信装置へ光信号を送信する送信部
と、
互いに近接する複数の前記第2の光無線通信装置が備える第2の偏光フィルタの透過軸の向きが一致しないように制御する制御部と、
を備え、
前記第2の光無線通信装置は、
前記第2の偏光フィルタを介して前記光信号を受信する受信部と、
前記光信号の信号強度を測定する測定部と、
前記信号強度がより強くなるように前記第2の偏光フィルタ又は前記第1の偏光フィルタの向きを変化させる制御部と、
を備える光無線通信システム。
【請求項2】
複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有し、前記第1の光無線通信装置と前記第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する光無線通信システムであって、
前記第1の光無線通信装置は、
第1の偏光フィルタを介して前記第2の光無線通信装置へ、第2の偏光フィルタの向きを指定する指示情報
であって、複数の前記第2の光無線通信装置が互いに近接している場合、複数の前記第2の光無線通信装置の前記第2の偏光フィルタの向きが一致しないように指定する前記指示情報を含む光信号を送信する送信部
を備え、
前記第2の光無線通信装置は、
前記第2の偏光フィルタを介して前記光信号を受信する受信部と、
前記光信号から前記指示情報を取得する取得部と、
前記指示情報によって指定される向きとなるように前記第2の偏光フィルタの向きを変化させる制御部と、
を備える光無線通信システム。
【請求項3】
前記第2の光無線通信装置は、
前記第2の偏光フィルタを回転可能にする回転機構
をさらに備え、
前記制御部は、前記回転機構を用いて前記第2の偏光フィルタの向きを変化させる
請求項1又は2に記載の光無線通信システム。
【請求項4】
一方の前記第1の光無線通信装置が備える前記第1の偏光フィルタの向きと、他方の前記第1の光無線通信装置が備える前記第1の偏光フィルタの向きとは、互いに直交する方向である
請求項1又は2に記載の光無線通信システム。
【請求項5】
複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有し、前記第1の光無線通信装置と前記第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する光無線通信システムによる光無線通信方法であって、
前記第1の光無線通信装置が、第1の偏光フィルタを介して前記第2の光無線通信装置へ光信号を送信する送信ステップと、
前記第1の光無線通信装置が、互いに近接する複数の前記第2の光無線通信装置が備える第2の偏光フィルタの透過軸の向きが一致しないように制御する第1制御ステップと、
前記第2の光無線通信装置が、
前記第2の偏光フィルタを介して前記光信号を受信する受信ステップと、
前記第2の光無線通信装置が、前記光信号の信号強度を測定する測定ステップと、
前記第2の光無線通信装置が、前記信号強度がより強くなるように前記第2の偏光フィルタ又は前記第1の偏光フィルタの向きを変化させる
第2制御ステップと、
を有する光無線通信方法。
【請求項6】
複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有し、前記第1の光無線通信装置と前記第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する光無線通信システムによる光無線通信方法であって、
前記第1の光無線通信装置が、第1の偏光フィルタを介して前記第2の光無線通信装置へ、第2の偏光フィルタの向きを指定する指示情報
であって、複数の前記第2の光無線通信装置が互いに近接している場合、複数の前記第2の光無線通信装置の前記第2の偏光フィルタの向きが一致しないように指定する前記指示情報を含む光信号を送信する送信ステップと、
前記第2の光無線通信装置が、前記第2の偏光フィルタを介して前記光信号を受信する受信ステップと、
前記第2の光無線通信装置が、前記光信号から前記指示情報を取得する取得ステップと、
前記第2の光無線通信装置が、前記指示情報によって指定される向きとなるように前記第2の偏光フィルタの向きを変化させる制御ステップと、
を有する光無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光無線通信システム及び光無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数の資源の枯渇に伴い、従来の電波を利用した無線通信とは異なる方法で無線通信を実現する光無線通信システムが検討されている。光無線通信システムとは、赤外線から可視光までの間の波長の電磁波(光)を利用して無線通信を行う通信システムである。光無線通信システムによれば、所定の周波数帯を使用する従来の無線通信とは干渉しない無線通信を実現することができる。また、光無線通信システムは、例えば建物の壁等の遮蔽物において光の透過が生じないことから、耐傍受性を有しており、セキュリティの高さの観点からも注目されている(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
以下、下り信号の伝送に可視光を用いる場合の、一般的な光無線通信システムの構成について説明する。
図11は、一般的な光無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図11に示される光無線通信システム8は、光無線通信装置810と、光無線通信装置820とを含んで構成される。光無線通信装置810は、例えば屋内の天井等に設置された通信機器であり、光無線通信装置820を収容する無線基地局として機能する。また、光無線通信装置820は、例えば小型の端末装置であり、光無線通信装置810と通信を行う。
【0004】
図11に示されるように、光無線通信装置810は、光源811と、赤外線受光部812と、光信号処理部813とを含んで構成される。光源811は、例えばLED(Light Emitting Diode)を含んで構成され、可視光VLを送出する。なお、光源811は、一般的な照明器具等に備えられたものであってもよい。光源811は、光信号処理部813と接続されている。光信号処理部813は、光源811を制御し、光源811から送出される可視光VLの点灯周期及び点灯強度等を変化させることができる。光信号処理部813は、光無線通信装置820へ送信する所望の情報を、可視光VLの変化によって表される光信号に変換する。これにより、光無線通信装置810から光無線通信装置820へ、可視光VLを用いた光信号(下り信号)が送信される。なお、光信号処理部813は、例えばインターネット又はイントラネット等の上位の通信ネットワークと接続されてもよい。
【0005】
図11に示されるように、光無線通信装置820は、可視光受光部821と、赤外線送信部822とを含んで構成される。可視光受光部821は、光源811から送出された可視光VLを受光する。可視光受光部821は、可視光VLに含まれる光信号(下り信号)を読み出す。光無線通信装置820は、可視光受光部821によって読み出した光信号に対して受信処理及びデータ変換等の各種の処理を行う。また、光無線通信装置820から光無線通信装置810へ送信される光信号(上り信号)には、赤外線が用いられる。赤外線送信部822は、光無線通信装置810へ、赤外線を用いた光信号を送信する。
【0006】
赤外線送信部822から送出された赤外線は、光無線通信装置810の赤外線受光部812によって受光される。赤外線受光部812は、赤外線に含まれる光信号(上り信号)を読み出す。赤外線受光部812は、光信号処理部813と接続されている。光信号処理部813は、赤外線受光部812によって読み出された光信号に対して受信処理及びデータ変換等の各種の処理を行う。なお、光信号処理部813は、各種の処理を行った光信号を、上位の通信ネットワークに転送するようにしてもよい。このようにして、可視光及び赤外線を用いた一般的な光無線通信システムが実現される。
【0007】
なお、
図11に示される光無線通信システム8は、例えば屋内に設置されるLED照明等の既存の照明設備を利用して下り信号の伝送を行うことを想定したシステム構成であるが、下り信号の伝送にも赤外線が用いられる構成であっても構わない。
図12は、上り信号の伝送及び下り信号の伝送ともに赤外線を用いる光無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図12に示される光無線通信システム9は、光無線通信装置910と、光無線通信装置920とを含んで構成される。光無線通信装置910は、赤外線送信部911と、赤外線受光部912と、光信号処理部913とを含んで構成される。赤外線送信部911は、光信号処理部913と接続されている。光信号処理部913は、赤外線送信部911を制御し、赤外線送信部911から送出される赤外線を点滅させることができる。光信号処理部913は、光無線通信装置920へ送信する所望の情報を、例えば赤外線のオンとオフとによって表される光信号に変換する。これにより、光無線通信装置910から光無線通信装置820へ、赤外線を用いた光信号(下り信号)が送信される。
【0008】
図12に示されるように、光無線通信装置920は、赤外線受光部921と、赤外線送信部922とを含んで構成される。赤外線受光部921は、赤外線送信部911から送出された赤外線を受光する。赤外線受光部921は、赤外線に含まれる光信号(下り信号)を読み出す。光無線通信装置920は、赤外線受光部921によって読み出した光信号に対して受信処理及びデータ変換等の各種の処理を行う。また、光無線通信装置920から光無線通信装置910送信される光信号(上り信号)には、前述の
図11に示される光無線通信システム8と同様に赤外線が用いられる。赤外線送信部922及び赤外線受光部912の構成は、前述の
図11に示される赤外線送信部822及び赤外線受光部812の構成と同様である。
【0009】
光無線通信装置910の赤外線受光部912は、光信号処理部913と接続されている。光信号処理部913は、赤外線受光部912によって読み出された光信号に対して受信処理及びデータ変換等の各種の処理を行う。このようにして、上り信号の伝送及び下り信号の伝送ともに赤外線を用いた一般的な光無線通信システムが実現される。
【0010】
なお、
図11に例示される光無線通信システム8は無線基地局である光無線通信装置810と無線通信端末である光無線通信装置820との間で無線通信を行う構成であり、
図12に例示される光無線通信システム9は無線基地局である光無線通信装置910と無線通信端末である光無線通信装置920との間で無線通信を行う構成であるが、このような構成に限られるものではない。例えば、中継無線における複数の無線中継局のように、同一の構成を有する複数の光無線通信装置の間において可視光や赤外線等を用いた無線通信を行うための通信システムであってもよい。このように、光無線通信システムは、目的に応じて任意のシステム構成にすることが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】S. Wu, H. Wang and C. Youn, "Visible Light Communications for 5G Wireless Networking Systems: From Fixed to Mobile Communications," IEEE Network, vol. 28, no. 6, pp. 41-45, November-December, 2014
【文献】依田 功, “偏光板の光学と応用,” 照明学会雑誌, 第42巻, 第1号, pp.7-14,1958年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
光無線通信システムにおける信号光の伝送周波数(伝送波長及び等価)は、LED等の光源に用いられる素子によって規定される。ここで、互いに近接して設置された同一種類の複数の光源を用いて、複数の光信号の伝送が同時に行われる場合、これら光信号の間で干渉が発生し、伝送特性が劣化することがある。
【0013】
図13は、同一種類の複数の光源を用いて複数の光信号の伝送を同時に行う光無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図13に示される光無線通信システム8’は、前述の
図11に示される光無線通信システム8の光無線通信装置810と光無線通信装置820とが、近接して2組設置された構成になっている。
図13に示されるように、光無線通信装置810-1と光無線通信装置820-1とが互いに通信を行う光無線通信装置の組であり、光無線通信装置810-2と光無線通信装置820-2とが互いに通信を行う光無線通信装置の組である。
【0014】
図13に示される、同一種類の複数の光源811が近接して複数設置された光無線通信システム8’では、これら複数の光源811から複数の光無線通信装置820へそれぞれ下り信号が伝送される。このような場合に、2つの下り信号の間で干渉が発生し、伝送特性が劣化することがあるという課題があった。また、下り信号の伝送だけでなく、上り信号の伝送においても同様の課題があった。
【0015】
上記事情に鑑み、本発明は、同一種類の複数の光源を用いて光信号の伝送をそれぞれ行う場合であっても、光信号間の干渉を生じさせることなく光無線通信を行うことができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有し、前記第1の光無線通信装置と前記第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する光無線通信システムであって、前記第1の光無線通信装置は、第1の偏光フィルタを介して前記第2の光無線通信装置へ光信号を送信する送信部を備え、前記第2の光無線通信装置は、第2の偏光フィルタを介して前記光信号を受信する受信部と、前記光信号の信号強度を測定する測定部と、前記信号強度がより強くなるように前記第2の偏光フィルタ又は前記第1の偏光フィルタの向きを変化させる制御部と、を備える光無線通信システムである。
【0017】
また、本発明の一態様は、複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有し、前記第1の光無線通信装置と前記第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する光無線通信システムであって、前記第1の光無線通信装置は、第1の偏光フィルタを介して前記第2の光無線通信装置へ、第2の偏光フィルタの向きを指定する指示情報を含む光信号を送信する送信部を備え、前記第2の光無線通信装置は、前記第2の偏光フィルタを介して前記光信号を受信する受信部と、前記光信号から前記指示情報を取得する取得部と、前記指示情報によって指定される向きとなるように前記第2の偏光フィルタの向きを変化させる制御部と、を備える光無線通信システムである。
【0018】
また、本発明の一態様は、他の光無線通信装置から第1の偏光フィルタを介して送信された光信号を、第2の偏光フィルタを介して受信する受信部と、前記光信号の信号強度を測定する測定部と、前記信号強度がより強くなるように前記第2の偏光フィルタ又は前記第1の偏光フィルタの向きを変化させる制御部と、を備える光無線通信装置である。
【0019】
また、本発明の一態様は、他の無線通信装置から第1の偏光フィルタを介して送信された、第2の偏光フィルタの向きを指定する指示情報を含む光信号を、前記第2の偏光フィルタを介して受信する受信部と、前記光信号から前記指示情報を取得する取得部と、前記指示情報によって指定される向きとなるように前記第2の偏光フィルタの向きを変化させる制御部と、を備える光無線通信装置である。
【0020】
また、本発明の一態様は、複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有し、前記第1の光無線通信装置と前記第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する光無線通信システムによる光無線通信方法であって、前記第1の光無線通信装置が、第1の偏光フィルタを介して前記第2の光無線通信装置へ光信号を送信する送信ステップと、前記第2の光無線通信装置が、第2の偏光フィルタを介して前記光信号を受信する受信ステップと、前記第2の光無線通信装置が、前記光信号の信号強度を測定する測定ステップと、前記第2の光無線通信装置が、前記信号強度がより強くなるように前記第2の偏光フィルタ又は前記第1の偏光フィルタの向きを変化させる制御ステップと、を有する光無線通信方法ある。
【0021】
また、本発明の一態様は、複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有し、前記第1の光無線通信装置と前記第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する光無線通信システムによる光無線通信方法であって、前記第1の光無線通信装置が、第1の偏光フィルタを介して前記第2の光無線通信装置へ、第2の偏光フィルタの向きを指定する指示情報を含む光信号を送信する送信ステップと、前記第2の光無線通信装置が、前記第2の偏光フィルタを介して前記光信号を受信する受信ステップと、前記第2の光無線通信装置が、前記光信号から前記指示情報を取得する取得ステップと、前記第2の光無線通信装置が、前記指示情報によって指定される向きとなるように前記第2の偏光フィルタの向きを変化させる制御ステップと、を有する光無線通信方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、同一種類の複数の光源を用いて光信号の伝送をそれぞれ行う場合であっても、光信号間の干渉を生じさせることなく光無線通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態における光無線通信システム1の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における偏光フィルタ115の構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態における偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125による光の遮蔽を説明するための図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態における偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125による光の透過を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態における光無線通信装置120が備える偏光フィルタ125の回転機構127の構成を説明するための図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態における光無線通信装置120が備える偏光フィルタ125の回転機構127の構成を説明するための図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態における光無線通信装置120の構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態における光無線通信装置120の動作を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第2の実施形態における光無線通信装置120aの構成を示すブロック図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態における光無線通信装置120aの動作を示すフローチャートである。
【
図11】一般的な光無線通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図12】上り信号の伝送及び下り信号の伝送ともに赤外線を用いる光無線通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図13】同一種類の複数の光源を用いて複数の光信号の伝送を同時に行う光無線通信システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の光無線通信システム及び光無線通信方法を、図面を参照しながら説明する。本発明は、可視光や赤外線等を用いた光無線通信を実現する光無線通信システム及び光無線通信方法に関するものである。なお、以下に説明する実施の形態は一形態に過ぎず、本発明が適用されうる実施形態は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0025】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0026】
[光無線通信システムの構成]
以下、第1の実施形態における光無線通信システム1の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における光無線通信システム1の構成を示す図である。
図1に示されるように、光無線通信システム1は、光無線通信装置110-1と、光無線通信装置110-2と、光無線通信装置120-1と、光無線通信装置120-2とを含んで構成される。
【0027】
なお、以下の説明において、光無線通信装置110-1と光無線通信装置110-2とを互いに区別して説明する必要がない場合には、単に「光無線通信装置110」ということがある。また、以下の説明において、光無線通信装置120-1と光無線通信装置120-2とを互いに区別して説明する必要がない場合には、単に「光無線通信装置120」ということがある。
【0028】
光無線通信装置110-1は、例えば屋内の天井等に設置された通信機器であり、光無線通信装置120-1を収容する無線基地局として機能する。同様に、光無線通信装置110-2は、例えば屋内の天井等に設置された通信機器であり、光無線通信装置120-2を収容する無線基地局として機能する。
【0029】
光無線通信装置120-1は、例えば小型の端末装置であり、光無線通信装置110-1と通信を行う。同様に、光無線通信装置120-2は、例えば小型の端末装置であり、光無線通信装置110-2と通信を行う。
【0030】
図1に示されるように、光無線通信装置110-1は、光源111と、赤外線受光部112と、光信号処理部113と、2つの偏光フィルタ115とを含んで構成される。光源111は、例えばLEDを含んで構成され、可視光VLを送出する。なお、光源111は、一般的な照明器具等に備えられたものであってもよい。光源111は、光信号処理部113と接続されている。
【0031】
光信号処理部113は、光源111を制御し、光源111から送出される可視光VLの点灯周期及び点灯強度等を変化させることができる。光信号処理部113は、光無線通信装置120-1へ送信する所望の情報を、可視光VLの変化によって表される光信号に変換する。これにより、光無線通信装置110-1から光無線通信装置120-1へ、可視光VLを用いた光信号(下り信号)が送信される。
【0032】
光源111から送出される可視光VLは、偏光フィルタ115を通して送出される。なお、偏光フィルタ115の構成については後述される。
【0033】
なお、光信号処理部113は、例えばインターネット又はイントラネット等の上位の通信ネットワークと接続されてもよい。
【0034】
図1に示されるように、光無線通信装置120-1は、可視光受光部121と、赤外線送信部122と、2つの偏光フィルタ125とを含んで構成される。可視光受光部121は、光源111から送出された可視光VLを受光する。可視光受光部121は、偏光フィルタ125を通して可視光VLを受光する。なお、偏光フィルタ125の構成については後述される。
【0035】
可視光受光部121は、可視光VLに含まれる光信号(下り信号)を読み出す。光無線通信装置120-1は、可視光受光部121によって読み出した光信号に対して受信処理及びデータ変換等の各種の処理を行う。例えば、可視光受光部121は、下り信号を、光信号から電気信号へ変換する。
【0036】
また、光無線通信装置120-1から光無線通信装置110-1へ送信される光信号(上り信号)には、赤外線が用いられる。光無線通信装置110-1へ送信される所望の情報は、例えば赤外線のオンとオフとによって表される光信号に変換される。赤外線送信部122は、赤外線を点滅させて送出することにより、光信号を含む赤外線を光無線通信装置110-1へ向けて送出する。これにより、光無線通信装置120-1から光無線通信装置110-1へ、赤外線を用いた光信号(上り信号)が送信される。
【0037】
赤外線送信部122は、赤外線を、偏光フィルタ125を通して送出する。なお、偏光フィルタ125の構成については後述される。
【0038】
赤外線送信部122から偏光フィルタ125を通して送出された赤外線は、光無線通信装置110-1の赤外線受光部112によって受光される。赤外線受光部112は、赤外線を、偏光フィルタ115を通して受光する。なお、偏光フィルタ115の構成については後述される。
【0039】
赤外線受光部112は、赤外線に含まれる光信号(上り信号)を読み出す。赤外線受光部112は、光信号処理部113と接続されている。光信号処理部113は、赤外線受光部112によって読み出された光信号に対して受信処理及びデータ変換等の各種の処理を行う。なお、光信号処理部113は、各種の処理を行った光信号を上位の通信ネットワークに転送するようにしてもよい。このようにして、可視光及び赤外線を用いた光無線通信が実現される。
【0040】
なお、光無線通信装置110-2の構成は上記の光無線通信装置110-1の構成と同様であり、光無線通信装置120-2の構成は上記の光無線通信装置120-1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
[偏光フィルタの構成]
以下、偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125の構成について説明する。なお、偏光フィルタ125の機能は、偏光フィルタ115の機能と基本的に同等であるため、ここでは、偏光フィルタ115を例として説明する。
【0042】
偏光フィルタ115は、例えば、ポリビニル・アルコール又はその誘導体で作られた厚さ約0.1[mm]の無色透明なフィルムが、熱弾性又は膨潤弾性を利用して3倍から5倍に延伸されて固定されることによって、高分子のミセルが定方向に配列された状態のフィルムである。
【0043】
図2は、本発明の第1の実施形態における偏光フィルタ115の構成を示す模式図である。なお、前述の通り、偏光フィルタ125の構成は、偏光フィルタ115の構成と同様である。偏光フィルタ115は、特定の透過軸の光のみを透過させるフィルタであり、例えば、直線偏光フィルタである。なお、偏光フィルタ115は、例えば円偏光フィルタ等の、直線偏光フィルタ以外のフィルタであってもよい。
【0044】
図2に示されるように、偏光フィルタ115は、繊維方向の軸である透過軸と、透過軸と直交する方向の軸である吸収軸とを有する直線偏光フィルタである。例えば、360度ランダムに振動する光が偏光フィルタ115を通過する場合、偏光フィルタ115の極めて細かいスリット状構造により、透過軸に沿った波は透過し、吸収軸に沿った波は吸収されて透過しない。また、斜めに振動する波のうち、透過軸に相当する成分は透過し、吸収軸に相当する成分は吸収される。
【0045】
偏光フィルタ115と偏光フィルタ125とが、それぞれ所定の方向に向けて設置されることにより、光無線通信装置110と光無線通信装置120との間で伝送される光を、受信側の偏光フィルタにおいて、遮蔽したり、透過させたりすることができる。
【0046】
図3は、本発明の第1の実施形態における偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125による光の遮蔽を説明するための図である。偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125が直線偏光フィルタである場合、互いの透過軸が直交する向きで偏光フィルタ115と偏光フィルタ125とが設置されることで、光が遮蔽される。
図3においては、偏光フィルタ115は透過軸が垂直方向となるように設置され、偏光フィルタ125は透過軸が水平方向となるように設置されており、互いの透過軸が直交している。したがって、
図3においては、偏光フィルタ115と偏光フィルタ125とが重なった範囲が、光を遮蔽する範囲である。
【0047】
図4は、本発明の第1の実施形態における偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125による光の透過を説明するための図である。偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125が直線偏光フィルタである場合、互いの透過軸が並行になる向きで偏光フィルタ115と偏光フィルタ125とが設置されることで、光が透過する。
図4においては、偏光フィルタ115は透過軸が垂直方向となるように設置され、偏光フィルタ125も同様に透過軸が垂直方向となるように設置されており、互いの透過軸が平行になっている。したがって、
図4において、偏光フィルタ115と偏光フィルタ125とが重なった範囲も含む全ての範囲において、光が透過する。
【0048】
図1に示される第1の実施形態の光無線通信システム1は、上記のような偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125の性質を利用することにより、同一種類の複数の光源111を近接させて光信号の伝送を同時に行う場合であっても、それぞれの光源111から送信される光信号の間で互いに干渉を生じさせることなく光無線通信を行うことができる。
【0049】
図1に示されるように、光無線通信装置110-1及び光無線通信装置110-2は、光源111の外側及び赤外線受光部112の外側に、特定方向の透過軸を持つ偏光フィルタ115をそれぞれ備えている。また、光無線通信装置120-1及び光無線通信装置120-2は、可視光受光部121の外側及び赤外線送信部122の外側に、特定方向の透過軸を持つ偏光フィルタ115をそれぞれ備えている。
【0050】
図1に示されるように、偏光フィルタ115の透過軸と偏光フィルタ125の透過軸とが合致するような光無線通信装置110と光無線通信装置120との組み合わせである場合、光無線通信が可能になる。なぜならば、偏光フィルタ115の透過軸の向きと偏光フィルタ125の透過軸の向きとが同一であるため、偏光フィルタ115を透過する光は、偏光フィルタ125も透過するからである。同様に、偏光フィルタ125を透過する光は、偏光フィルタ125も透過するからである。
【0051】
図1では、光無線通信装置110-1の偏光フィルタ115の透過軸の向きと、光無線通信装置120-1の偏光フィルタ125の透過軸の向きとが合致している(
図1において、いずれも透過軸の向きが垂直方向である)。そのため、光無線通信装置110-1と光無線通信装置120-1とは、光無線通信を行うことができる。また、
図1では、光無線通信装置110-2の偏光フィルタ115の透過軸の向きと、光無線通信装置120-2の偏光フィルタ125の透過軸の向きとが合致している(
図1において、いずれも透過軸の向きが水平方向である)。そのため、光無線通信装置110-2と光無線通信装置120-2とは、光無線通信を行うことができる。
【0052】
これに対し、
図1では、光無線通信装置110-1の偏光フィルタ115の透過軸の向きは垂直方向であり、光無線通信装置120-2の偏光フィルタ125の透過軸の向きは水平方向であり、双方の透過軸の向きは互いに直交している。そのため、光無線通信装置110-1と光無線通信装置120-2とは、光無線通信を行うことができない。また、
図1では、光無線通信装置110-2の偏光フィルタ115の透過軸の向きは水平方向であり、光無線通信装置120-1の偏光フィルタ125の透過軸の向きは垂直方向であり、双方の透過軸の向きは互いに直交している。そのため、光無線通信装置110-2と光無線通信装置120-1とは、光無線通信を行うことができない。
【0053】
なぜならば、偏光フィルタ115の透過軸の向きと偏光フィルタ125の透過軸の向きとが直交しているため、偏光フィルタ115を透過する光は、偏光フィルタ125を透過しないからである。同様に、偏光フィルタ125を透過する光は、偏光フィルタ115を透過しないからである。
【0054】
このような構成を備えることにより、第1の実施形態における光無線通信システム1によれば、近接する複数の光源111からそれぞれ送出され、偏光フィルタ115又は偏光フィルタ125を通して伝送される可視光VLが、受信側において互いに干渉することがない。これにより、光無線通信システム1は、干渉による伝送品質の悪化を防ぐことができる。
【0055】
具体的には、
図1に示されるように、互いに光無線通信を行う光無線通信装置の偏光フィルタ(偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125)の透過軸の向きが同一方向になるように設置され、互いに光無線通信を行わない光無線通信装置の偏光フィルタの透過軸の向きが互いに異なる方向(例えば、直交する方向)になるように設置されることによって、複数の光無線通信における光信号間の干渉を防ぐことが可能になる。
【0056】
なお、前述の通り、偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125は、必ずしも直線偏光に対応したものである必要はなく、例えば円偏光等であっても構わない。互いに異なる(例えば、直交する)透過軸を有する偏光フィルタの組み合わせによって同時に空間多重伝送を行うことができる光無線通信システムであるならば、上記説明した光無線通信システム1の構成に限られるものではない。
【0057】
なお、偏光フィルタ115が光無線通信装置110の光源111のみに備えられ、かつ、偏光フィルタ125が光無線通信装置120の可視光受光部121のみに備えられている構成であってもよい。すなわち、下り信号のみに対して偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125が用いられ、下り信号の伝送における光信号間の干渉のみを防ぐような構成であってもよい。また、その逆に、偏光フィルタ115が光無線通信装置110の赤外線受光部112のみに備えられ偏光フィルタ125が光無線通信装置120の赤外線送信部122のみに備えられている構成であってもよい。すなわち、上り信号のみに対して偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125が用いられ、上り信号の伝送における光信号間の干渉のみを防ぐような構成であってもよい。
【0058】
なお、
図1に例示される光無線通信システム1では、光無線通信装置110は、光源111及び赤外線受光部112をそれぞれ一つずつ備える構成であるが、複数の光源111及び複数の赤外線受光部112を備えていてもよい。例えば1つの光無線通信装置110が、光無線通信装置120-1及び光無線通信装置120-2の双方と、互いに異なる向きに設置された偏光フィルタ115をそれぞれ用いて光無線通信を行うような構成であってもよい。
【0059】
なお、光源111及び赤外線受光部112に備えられる偏光フィルタ115の種類や透過軸の向きは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、可視光受光部121及び赤外線送信部122に備えられる偏光フィルタ125の種類や透過軸の向きは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、互いに光無線通信を行う光無線通信装置(例えば、光無線通信装置110-1と光無線通信装置120-1、及び光無線通信装置110-2と光無線通信装置120-2)の間では同一の光が透過し、互いに光無線通信を行わない光無線通信装置(例えば、光無線通信装置110-1と光無線通信装置120-2、及び光無線通信装置110-2と光無線通信装置120-1)の間では同一の光が透過しないように構成されていれば、偏光フィルタ115及び偏光フィルタ125の種類や透過軸の向きは任意に選択することができる。
【0060】
[偏光フィルタの透過軸の向きの補正処理]
以下、第1の実施形態における光無線通信システム1の光無線通信装置120による偏光フィルタ125の透過軸の向きの補正処理について説明する。
【0061】
光無線通信装置110及び光無線通信装置120のうち少なくとも一方が、例えば回転等を伴う動作をすることがある装置である場合、当該動作に応じて偏光フィルタの透過軸の向きが変化する。すなわち、光無線通信装置110と光無線通信装置120との間の位置関係や、光無線通信装置110及び光無線通信装置120のうち少なくとも一方の向きが変化する場合、光無線通信装置110の偏光フィルタ115の透過軸の向きと、光無線通信装置120の偏光フィルタ125の透過軸の向きとの間にズレ(偏差)が生じうる。光無線通信装置110と光無線通信装置120との間で偏光フィルタの透過軸の向きにズレが生じた場合、光信号は受信側の光無線通信装置の偏光フィルタによって遮蔽されるため、伝送特性が劣化する。
【0062】
第1の実施形態における光無線通信システムの光無線通信装置120は、光無線通信装置110の偏光フィルタ115の透過軸の向きと、光無線通信装置120の偏光フィルタ125の透過軸の向きとの間に生じたズレを補正することができるように、偏光フィルタ125を回転させる回転機構を備えている。なお、本実施形態では、一例として、上記の回転機構が光無線通信装置120のみに備えられている場合について説明するが、この構成に限られるものではない。上記の回転機構が、光無線通信装置110及び光無線通信装置120の双方に備えられていてもよいし、光無線通信装置110のみに備えられていてもよい。
【0063】
図5及び
図6は、本発明の第1の実施形態における光無線通信装置120が備える偏光フィルタ125の回転機構127の構成を説明するための図である。
図5は、光無線通信装置120の回転機構127周辺の側面図であり、
図6は、光無線通信装置120の回転機構127周辺の平面図である。
【0064】
図5に示されるように、回転機構127は、可視光受光部121及び赤外線送信部122と、偏光フィルタ125との間にそれぞれ備えられる。なお、下り信号の送信に赤外線が用いられる場合には、回転機構127は、赤外線受光部(不図示)と、偏光フィルタ125との間に備えられる。偏光フィルタ125は、回転機構127に対して固定して設置される。回転機構127は、可視光受光部121及び赤外線送信部122に対して可動に(すなわち、回転機構が127が回転動作できるように)設置される。
【0065】
また、
図6に示されるように、偏光フィルタ回転機構駆動部126が、回転機構127に接するように備えられる。偏光フィルタ回転機構駆動部126は、後述される偏光フィルタ制御部124による制御の下で、回転機構127を回転させる。例えば、偏光フィルタ回転機構駆動部126がモータ等の動力源(不図示)からの動力によって回転することにより、当該偏光フィルタ回転機構駆動部126に接する回転機構127が連動して逆方向に回転するような構成であってもよい。これにより、回転機構127に固定して設置された偏光フィルタ125の設置方向も変化することになり、偏光フィルタ125の透過軸の方向が変化する。
【0066】
[光無線通信装置の構成]
以下、光無線通信装置120の構成の詳細について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態における光無線通信装置120の構成を示すブロック図である。光無線通信装置120は、例えば回転等により自装置の向きが変化することがある小型の端末装置である。光無線通信装置120は、対向する光無線通信装置110に収容される無線通信端末として機能する。
【0067】
図7に示されるように、光無線通信装置120は、可視光受光部121と、赤外線送信部122と、データ処理部123と、偏光フィルタ制御部124と、2つの偏光フィルタ125と、偏光フィルタ回転機構駆動部126と、受光電力測定部128とを含んで構成される。
【0068】
なお、
図7に示される光無線通信装置120は、一例として、可視光VLを用いて下り信号を伝送し、赤外線を用いて上り信号を伝送する光無線通信システムが有する端末装置であるものとする。但し、このような構成に限られるものではなく、例えば、下り信号の伝送及び上り信号の伝送ともに、赤外線が用いられる構成であってもよい。
【0069】
可視光受光部121は、対向する光無線通信装置110から送出された可視光VLを受光する。可視光受光部121は、偏光フィルタ125を通して可視光VLを受光する。なお、偏光フィルタ125の構成は、
図2~4を参照しながら説明した前述の説明の通りである。
【0070】
可視光受光部121は、可視光VLに含まれる光信号(下り信号)を読み出す。可視光受光部121は、読み出された光信号に対して受信処理及びデータ変換等の各種の処理を行う。例えば、可視光受光部121は、下り信号を、光信号から電気信号へ変換する。可視光受光部121は、データ処理部123に接続されている。可視光受光部121は、各種の処理がなされた信号をデータ処理部123へ出力する。
【0071】
また、光無線通信装置120から光無線通信装置110へ送信される光信号(上り信号)には、赤外線が用いられる。光無線通信装置110へ送信される所望の情報を示す電気信号は、赤外線送信部122によって、例えば赤外線のオンとオフとによって表される光信号に変換される。赤外線送信部122は、赤外線を点滅させて送出することにより、光信号を含む赤外線を光無線通信装置110へ向けて送出する。これにより、光無線通信装置120から光無線通信装置110へ、赤外線を用いた光信号(上り信号)が送信される。
【0072】
赤外線送信部122は、赤外線を、偏光フィルタ125を通して送出する。なお、偏光フィルタ125の構成は、
図2~4を参照しながら説明した前述の偏光フィルタ125の構成と同様である。
【0073】
受光電力測定部128は、可視光受光部121が受光する可視光VLの信号強度を測定する。受光電力測定部128は、信号強度の測定結果を示す情報を偏光フィルタ制御部124へ出力する。
【0074】
偏光フィルタ制御部124は、受光電力測定部128から出力された信号強度の測定結果を示す情報を取得する。偏光フィルタ制御部124は、信号強度の測定結果を示す情報に基づいて、可視光受光部121が受光する可視光VLの信号強度がより強くなる方向に偏光フィルタ125を回転させるよう、偏光フィルタ回転機構駆動部126に指示する。
【0075】
具体的には、例えば、偏光フィルタ制御部124は、偏光フィルタ125を特定の方向に(例えば右回りに)所定の角度だけ回転させ、回転前の信号強度と回転後の信号強度とを比較する。比較の結果、回転前の信号強度より回転後の信号強度の方がより強い場合、又は、回転前の信号強度と回転後の信号強度とが同一である場合、偏光フィルタ制御部124は、偏光フィルタ125を再び同一の方向に(例えば右回りに)所定の角度だけ回転させる。また、比較の結果、回転後の信号強度より回転前の信号強度の方がより強い場合、偏光フィルタ制御部124は、偏光フィルタ125を逆の方向に(例えば左回りに)所定の角度だけ回転させる。
【0076】
上記のような処理を繰り返すことで、偏光フィルタ制御部124は、可視光受光部121が受光する可視光VLの信号強度がより強く(あるいは、最も強く)なるように、偏光フィルタ125の透過軸の向きを制御する。上記のような制御が行われることによって、結果的に、光無線通信装置110の偏光フィルタ115の透過軸の向きと、光無線通信装置120の偏光フィルタ125の透過軸の向きとの間のズレ(偏差)が補正される。
【0077】
[光無線通信装置の動作]
以下、光無線通信装置120の動作の一例について説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態における光無線通信装置120の動作を示すフローチャートである。
図8のフローチャートが示す光無線通信装置120の動作は、光無線通信装置110から光無線通信装置120へ光信号(下り信号)を含む可視光VLが送出された際に開始される。
【0078】
可視光受光部121は、対向する光無線通信装置110から送出された、光信号(下り信号)を含む可視光VLを受光する(ステップS01)。受光電力測定部128は、可視光受光部121が受光する可視光VLの信号強度を測定する(ステップS02)。受光電力測定部128は、信号強度の測定結果を示す情報を偏光フィルタ制御部124へ出力する。
【0079】
偏光フィルタ制御部124は、受光電力測定部128から出力された信号強度の測定結果を示す情報を取得する。偏光フィルタ制御部124は、信号強度の測定結果を示す情報に基づいて、可視光受光部121が受光する可視光VLの信号強度がより強くなるように、偏光フィルタ125の透過軸の向きを制御する(ステップS03)。以上で、
図8のフローチャートが示す光無線通信装置120の動作が終了する。
【0080】
以上のような構成を備えることで、第1の実施形態における光無線通信システム1は、互いに近接して設置された同一種類の複数の光源を用いて光信号の伝送をそれぞれ行う場合であっても、光信号間の干渉を生じさせることなく光無線通信を行うことができる。
【0081】
さらに、第1の実施形態における光無線通信システム1では、光無線通信装置120が、偏光フィルタ125の透過軸の向きを変化させる回転機構127を備える。そして、偏光フィルタ制御部124は、可視光受光部121が受光する可視光VLの信号強度がより強くなるように、偏光フィルタ125の透過軸の向きを制御する構成を備える。このような構成を備えることで、結果的に、光無線通信システム1は、光無線通信装置110の偏光フィルタ115の透過軸の向きと、光無線通信装置120の偏光フィルタ125の透過軸の向きとの間のズレを補正することができる。これにより、第1の実施形態における光無線通信システム1は、光無線通信装置120aが回転等を伴う動作することがある場合であっても、光信号間の干渉を生じさせることなく光無線通信を行うことができる。
【0082】
なお、本実施形態では、光無線通信装置120が、自装置の回転に伴う偏光フィルタ125の透過軸の向きの変化に対応するため、自装置の回転に合わせて偏光フィルタ125を回転させる回転機構を備える構成であるものとした。但し、このような構成に限られるものではなく、例えば、光無線通信装置120は、自装置の回転に合わせて、偏光フィルタ125のみではなく、自装置の一部又は全部を回転させる回転機構を備える構成であってもよい。
【0083】
なお、偏光フィルタ制御部124は、信号強度の測定結果を示す情報に基づいて、可視光受光部121が受光する可視光VLの信号強度がより強くなる方向に光無線通信装置110の偏光フィルタ115を回転させるように指示するようにしてもよい。この場合、偏光フィルタ制御部124は、光無線通信装置110へ、光信号(上り信号)を用いて指示情報を送信してもよいし、その他の通信方式での信号を用いて指示情報を送信してもよい。この場合、指示情報には、例えば、信号強度の測定結果を示す情報、又は、偏光フィルタ115の透過軸の向きを指定するための情報等が含まれていてもよい。また、この場合、光無線通信装置110は、偏光フィルタ115の透過軸の向きを変化させるための回転機構を備える。
【0084】
なお、複数の光無線通信装置120の偏光フィルタ125の回転制御をまとめて実行する制御局(不図示)を、光無線通信システム1が有している構成であってもよい。また、複数の光無線通信装置120の間で、このような制御に関する情報を互いにやり取りすることで、複数の光無線通信装置120の各々が、適切な偏光フィルタの透過軸の向きを互いに認識できるような構成であってもよい。
【0085】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。前述の第1の実施形態における光無線通信システム1は、光無線通信装置110と光無線通信装置120との間の位置関係や、光無線通信装置110及び光無線通信装置120のうち少なくとも一方の向きが変化することによって生じる、光無線通信装置110の偏光フィルタ115の透過軸の向きと、光無線通信装置120の偏光フィルタ125の透過軸の向きとの間のズレ(偏差)を補正することができる構成であった。
【0086】
このような本来意図しないズレを補正するために偏光フィルタを回転制御する場合の他に、意図的に偏光フィルタを回転制御したい場合もある。例えば、通信トラフィックの発生状況等に応じて、互いに通信を行わせる光無線通信装置110と光無線通信装置120との組み合わせを動的に変更させたいような場合等である。このような場合、偏光フィルタの透過軸の向きを動的に変化させることで、上記の変更処理の実現が可能である。
【0087】
なお、第2の実施形態における光通信システムの全体構成は、前述の
図1に示される第1の実施形態における光無線通信システム1の全体構成と基本的に同様であるため、説明を省略する。
【0088】
[光無線通信装置の構成]
以下、第2の実施形態における光無線通信システムの光無線通信装置120aの構成について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態における光無線通信装置120aの構成を示すブロック図である。光無線通信装置120aは、例えば小型の端末装置である。光無線通信装置120aは、対向する光無線通信装置110(不図示)に収容される無線通信端末として機能する。
【0089】
図9に示されるように、光無線通信装置120aは、可視光受光部121と、赤外線送信部122と、データ処理部123と、偏光フィルタ制御部124と、2つの偏光フィルタ125と、偏光フィルタ回転機構駆動部126とを含んで構成される。
【0090】
なお、
図9に示される光無線通信装置120aは、前述の第1の実施形態における光無線通信システム1と同様に、可視光VLを用いて下り信号を伝送し、赤外線を用いて上り信号を伝送する光無線通信システムが有する端末装置であるものとする。但し、このような構成に限られるものではなく、例えば、下り信号の伝送及び上り信号の伝送ともに、赤外線が用いられる構成であってもよい。
【0091】
可視光受光部121は、対向する光無線通信装置110(不図示)から送出された可視光VLを受光する。可視光受光部121は、偏光フィルタ125を通して可視光VLを受光する。なお、偏光フィルタ125の構成は、前述の
図2~4に示される偏光フィルタ115の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
可視光受光部121は、可視光VLに含まれる光信号(下り信号)を読み出す。可視光受光部121は、読み出された光信号に対して受信処理及びデータ変換等の各種の処理を行う。例えば、可視光受光部121は、下り信号を、光信号から電気信号へ変換する。可視光受光部121は、データ処理部123に接続されている。可視光受光部121は、各種の処理がなされた信号をデータ処理部123へ出力する。
【0093】
また、光無線通信装置120aから光無線通信装置110(不図示)へ送信される光信号(上り信号)には、赤外線が用いられる。光無線通信装置110(不図示)へ送信される所望の情報は、例えば赤外線のオンとオフとによって表される光信号に変換される。赤外線送信部122は、赤外線を点滅させて送出することにより、光信号を含む赤外線を。光無線通信装置110(不図示)へむけて送出する。これにより、光無線通信装置120aから光無線通信装置110(不図示)へ、赤外線を用いた光信号(上り信号)が送信される。
【0094】
赤外線送信部122は、赤外線を、偏光フィルタ125を通して送出する。なお、偏光フィルタ125の構成は、前述の
図2~4に示される偏光フィルタ115の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
図9に示されるように、データ処理部123は、指示情報取得部1231を含んで構成される。指示情報取得部1231は、可視光受光部121から取得した信号から、指示情報を読み出す。指示情報取得部1231は、読み出された指示情報を偏光フィルタ制御部124へ出力する。ここでいう指示情報とは、光無線通信装置120aに備えられた偏光フィルタ125の透過軸の向きを指定する情報である。光無線通信装置110は、指示情報を示す光信号(下り信号)を含む可視光VLを、光無線通信装置120aへ送出する。
【0096】
なお、光無線通信装置120aに対して指定される偏光フィルタ125の透過軸の向きを示す情報(すなわち、指示情報の元となる情報)は、例えば、上位のネットワークから光無線通信装置110へ伝達される。例えば、上位のネットワークは、トラフィックの発生状況等に応じて、互いに通信を行わせる光無線通信装置110と光無線通信装置120aとの組み合わせを動的に変更させるため、光無線通信装置120aの各々に対して指定する偏光フィルタ125の透過軸の向きをそれぞれ決定する。
【0097】
なお、指示情報は、必ずしも可視光VLを用いた光信号によって、光無線通信装置110から光無線通信装置120aへ送信される構成である必要はない。例えば、指示情報は、例えば5G(5th Generation Mobile Communication System)等のセルラーシステム、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、又は、その他の任意の通信方式を用いた通信によって、光無線通信装置110又は上位のネットワーク等から光無線通信装置120aへ送信される構成であってもよい。
【0098】
偏光フィルタ制御部124は、2つの偏光フィルタ125の透過軸の向きが指示情報取得部1231から取得された指示情報によって指定された向きとなるように、2つの偏光フィルタ125をそれぞれ回転させる。これにより、互いに通信を行う光無線通信装置110と光無線通信装置120aとの組み合わせを動的に変更させることが可能になる。
【0099】
なお、対向する光無線通信装置110(不図示)の構成は、前述の第1の実施形態における光無線通信システム1の光無線通信装置110の構成と基本的に同様であるため、説明を省略する。
【0100】
[光無線通信装置の動作]
以下、光無線通信装置120aの動作の一例について説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態における光無線通信装置120aの動作を示すフローチャートである。
図10のフローチャートが示す光無線通信装置120aの動作は、可視光受光部121が、対向する光無線通信装置110(不図示)から送出された可視光VLに含まれる、指示情報を含む光信号(下り信号)を読み出し、各種の処理がなされた信号をデータ処理部123へ出力した際に開始される。
【0101】
データ処理部123の指示情報取得部1231は、可視光受光部121から取得した信号から、指示情報を読み出す(ステップS11)。なお、ここでいう指示情報とは、前述の通り、光無線通信装置120aに備えられた偏光フィルタ125の透過軸の向きを指定する情報である。指示情報取得部1231は、読み出された指示情報を偏光フィルタ制御部124へ出力する。
【0102】
次に、偏光フィルタ制御部124は、2つの偏光フィルタ125の透過軸の向きが指示情報取得部1231から取得された指示情報によって指定された向きとなるように、2つの偏光フィルタ125をそれぞれ回転制御する(ステップS12)。以上で、
図10のフローチャートが示す光無線通信装置120aの動作が終了する。
【0103】
以上のような構成を備えることで、第2の実施形態における光無線通信システムは、前述の第1の実施形態における光無線通信システム1と同様に、同一種類の複数の光源を用いて光信号の伝送をそれぞれ行う場合であっても、光信号間の干渉を生じさせることなく光無線通信を行うことができる。
【0104】
なお、光無線通信装置120aへ送信される、指定された偏光フィルタ125の透過軸の向きを示す指示情報は、複数の光無線通信装置110の間で共有されるような構成にしてもよい。この場合、近接する複数の光無線通信装置120aの間で偏光フィルタ125の透過軸の向きが一致しないように制御することができるため、光信号間の干渉を生じさせることなく光無線通信を行うことが可能になる。このように、近接して形成される通信リンク間で、偏光フィルタの透過軸の向きが互いに異なるように調整することができる。
【0105】
なお、前述の第1の実施形態における光無線通信システム1の構成と、第2の実施形態における光無線通信システムの構成とが組み合わされた構成であってもよい。すなわち、光無線通信システムは、互いに通信を行わせる光無線通信装置110と光無線通信装置120(120a)との組み合わせを指示情報の伝送によって動的に変更させつつ、光無線通信によって伝送される光信号の信号強度がより強くなるように偏光フィルタの透過軸の向きを変化させる制御を同時に行うようにしてもよい。
【0106】
なお、前述の第1の実施形態及び第2の実施形態では、光無線通信装置110及び光無線通信装置120の、送信用の偏光フィルタ115又は偏光フィルタ125の透過軸の向きと、受信用の偏光フィルタ115又は偏光フィルタ125の透過軸の向きとが同一である場合について説明したが、この構成に限られるものではなく、互いに異なっていてもよい。
【0107】
なお、前述の第1の実施形態及び第2の実施形態では、可視光及び赤外線を用いる光無線通信システムについて説明したが、この構成に限られるものではない。本発明は、偏光フィルタを用いる光無線通信システムであるならば、いわゆる自由空間光通信(FSO:Free-space Optical Communication)に属する、例えばレーザ等も含めた任意の光無線通信を行う場合に適用することができる。
【0108】
以上説明した第1の実施形態における光無線通信システム1及び第2の実施形態における光無線通信システムによれば、近接して設置された同一種類の光源を用いてそれぞれ光無線伝送を行う場合であっても、それぞれの通信リンク間に干渉を生じさせることなく光無線通信を行うことが可能となる。これにより、通信容量及びスループットの増加が期待できる。
【0109】
また、以上説明した第1の実施形態における光無線通信システム1及び第2の実施形態における無線通信システムでは、対向する2つの光無線通信装置が、同一の透過軸の向きとなるように設置された偏光フィルタ、あるいは、同一の透過軸の向きとなるように制御される偏光フィルタをそれぞれ備える。これにより、同一の透過軸の向きである偏光フィルタを介して形成される通信リンク間でのみ光無線通信を成立させるようにすることができるため、通信リンク間の干渉の発生を防ぐことができる。
【0110】
上述した実施形態によれば、光無線通信システムは、複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有する。例えば、光通信システムは、実施形態における光無線通信システム1であり、第1の光無線通信装置は、実施形態における光無線通信装置110であり、第2の光無線通信装置は、実施形態における光無線通信装置120aである。光無線通信システムは、第1の光無線通信装置と第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する。
【0111】
上記の第1の光無線通信装置は、送信部を備える。例えば、送信部は、実施形態における光源111である。送信部は、第1の偏光フィルタを介して第2の光無線通信装置へ光信号を送信する。例えば、第1の偏光フィルタは、実施形態における偏光フィルタ115であり、光信号は、実施形態における可視光VLを用いて送信される光信号(下り信号)である。上記の第2の光無線通信装置は、受信部と、測定部と、制御部とを備える。例えば、受信部は、実施形態における可視光受光部121であり、測定部は、実施形態における受光電力測定部128であり、制御部は、実施形態における偏光フィルタ制御部124である。受信部は、第2の偏光フィルタを介して光信号を受信する。例えば、第2の偏光フィルタは、実施形態における偏光フィルタ125である。測定部は、光信号の信号強度を測定する。制御部は、信号強度がより強くなるように第2の偏光フィルタ又は第1の偏光フィルタの向きを変化させる。例えば、第2の偏光フィルタの向きとは、実施形態における偏光フィルタ125の透過軸の向きである。
【0112】
また、上述した実施形態によれば、光無線通信システムは、複数の第1の光無線通信装置と複数の第2の光無線通信装置とを有する。例えば、第1の光無線通信装置は、実施形態における光無線通信装置110であり、第2の光無線通信装置は、実施形態における光無線通信装置120aである。光無線通信システムは、第1の光無線通信装置と第2の光無線通信装置との組み合わせごとに通信リンクをそれぞれ形成する。
【0113】
上記の第1の光無線通信装置は、送信部を備える。例えば、送信部は、実施形態における光源111である。送信部は、第1の偏光フィルタを介して第2の光無線通信装置へ、第2の偏光フィルタの向きを指定する指示情報を含む光信号を送信する。例えば、第1の偏光フィルタは、実施形態における偏光フィルタ115であり、第2の偏光フィルタは、実施形態における偏光フィルタ125であり、光信号は、実施形態における可視光VLを用いて送信される光信号(下り信号)である。上記の第2の光無線通信装置は、受信部と、取得部と、制御部とを備える。例えば、受信部は、実施形態における可視光受光部121であり、取得部は、実施形態における指示情報取得部1231であり、制御部は、実施形態における偏光フィルタ制御部124である。受信部は、第2の偏光フィルタを介して光信号を受信する。取得部は、光信号から指示情報を取得する。制御部は、指示情報によって指定される向きとなるように第2の偏光フィルタの向きを変化させる。例えば、第2の偏光フィルタの向きとは、実施形態における偏光フィルタ125の透過軸の向きであり、第1の偏光フィルタの向きとは、実施形態における偏光フィルタ115の透過軸の向きである。
【0114】
なお、上記の光無線通信システムにおいて、第2の光無線通信装置は、回転機構をさらに備えていてもよい。例えば、回転機構は、実施形態における回転機構127である。この場合、回転機構は、第2の偏光フィルタを回転可能にする。制御部は、回転機構を用いて第2の偏光フィルタの向きを変化させる。
【0115】
なお、上記の光無線通信システムにおいて、一方の第1の光無線通信装置が備える第1の偏光フィルタの向きと、他方の第1の光無線通信装置が備える第1の偏光フィルタの向きとは、互いに直交する方向であってもよい。例えば、一方の第1の光無線通信装置は、実施形態における光無線通信装置110-1であり、他方の第1の光無線通信装置は、実施形態における光無線通信装置110-2である。
【0116】
また、上述した実施形態によれば、光無線通信装置は、受信部と、測定部と、制御部とを備える。例えば、受信部は、実施形態における可視光受光部121であり、測定部は、実施形態における受光電力測定部128であり、制御部は、実施形態における偏光フィルタ制御部124である。受信部は、他の光無線通信装置から第1の偏光フィルタを介して送信された光信号を、第2の偏光フィルタを介して受信する。例えば、第2の偏光フィルタは、実施形態における偏光フィルタ125である。測定部は、光信号の信号強度を測定する。制御部は、信号強度がより強くなるように第2の偏光フィルタ又は第1の偏光フィルタの向きを変化させる。例えば、第2の偏光フィルタの向きとは、実施形態における偏光フィルタ125の透過軸の向きであり、第1の偏光フィルタの向きとは、実施形態における偏光フィルタ115の透過軸の向きである。
【0117】
また、上述した実施形態によれば、光無線通信装置は、受信部と、取得部と、制御部とを備える。例えば、受信部は、実施形態における可視光受光部121であり、取得部は、実施形態における指示情報取得部1231であり、制御部は、実施形態における偏光フィルタ制御部124である。受信部は、他の無線通信装置から第1の偏光フィルタを介して送信された、第2の偏光フィルタの向きを指定する指示情報を含む光信号を、第2の偏光フィルタを介して受信する。例えば、他の無線通信装置は、実施形態における光無線通信装置110であり、第1の偏光フィルタは、実施形態における偏光フィルタ115であり、第2の偏光フィルタは、実施形態における偏光フィルタ125であり、光信号は、実施形態における可視光VLを用いて送信される光信号(下り信号)である。取得部は、光信号から指示情報を取得する。制御部は、指示情報によって指定される向きとなるように第2の偏光フィルタの向きを変化させる。例えば、第2の偏光フィルタの向きとは、実施形態における偏光フィルタ125の透過軸の向きである。
【0118】
上述した実施形態における光無線通信装置110の一部、光無線通信装置120及び光無線通信装置120aの一部を、コンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0119】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0120】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1,8,8’,9…光無線通信システム,110,110-1,110-2…光無線通信装置,111…光源,112…赤外線受光部,113…光信号処理部,115…偏光フィルタ,120,120-1,120-2,120a…光無線通信装置,121…可視光受光部,122…赤外線送信部,123…データ処理部,124…偏光フィルタ制御部,125…偏光フィルタ,126…偏光フィルタ回転機構駆動部,127…回転機構,128…受光電力測定部,810,810-1,810-2…光無線通信装置,811…光源,812…赤外線受光部,813…光信号処理部,820,820-1,820-2…光無線通信装置,821…可視光受光部,822…赤外線送信部,910…光無線通信装置,911…赤外線送信部,912…赤外線受光部,913…光信号処理部,920…光無線通信装置,921…赤外線受光部,922…赤外線送信部,1231…指示情報取得部