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特許7710500制御システム、制御方法、プログラム、および移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-10
(45)【発行日】2025-07-18
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、プログラム、および移動体
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/686 20240101AFI20250711BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20250711BHJP
【FI】
G05D1/686
G05D1/43
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023166449
(22)【出願日】2023-09-27
(65)【公開番号】P2025056916
(43)【公開日】2025-04-09
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 燦心
(72)【発明者】
【氏名】小室 美紗
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-168824(JP,A)
【文献】特開2017-204193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - G05D 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムであって、
前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識する認識部と、
前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定する特定部と、
前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる制御部と、
を備え、
前記特定部は、前記認識部に認識された物体の種別に基づいて前記設定領域の種別を認識する、または前記移動体の位置と地図情報において対応付けられた設定領域の種別とに基づいて前記設定領域の種別を認識する、
制御システム。
【請求項2】
歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムであって、
前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識する認識部と、
前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定する特定部と、
前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる制御部と、
を備え、
前記特定部は、前記設定領域がレジカウンターに関する設定領域であることを示す対象の物体を前記認識部が認識して前記設定領域がレジカウンターに関する設定領域であると認識した場合、前記レジカウンターにおける前記レジカウンターが設置された施設の出口側の位置またはレジカウンターの出口側の位置に前記停止位置を決定し、
前記制御部は、前記停止位置に前記移動体を移動させる、
制御システム。
【請求項3】
前記対象の物体は、レジカウンター、ショッピングカート、またはショッピングカートである、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムであって、
前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識する認識部と、
前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定する特定部と、
前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる制御部と、
を備え、
前記特定部は、前記対象の歩行者または前記移動体が前記設定領域に進入した場合、前記設定領域の施設に前記対象の歩行者または前記移動体が進入したときから、前記対象の歩行者が前記設定領域に進入したときまでの時間に応じて、前記停止位置を決定する、
制御システム。
【請求項5】
歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムであって、
前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識する認識部と、
前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定する特定部と、
前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる制御部と、
を備え、
前記特定部は、前記設定領域が施設のカウンターであり、前記対象の歩行者が前記カウンターに関する設定領域に進入したとき、前記対象の歩行者または前記移動体が、前記カウンターが設置された施設を訪れてから第1所定時間以内の場合、前記施設の入口に対して前記対象の歩行者よりも遠い位置を停止位置に決定する、
制御システム。
【請求項6】
歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムであって、
前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識する認識部と、
前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定する特定部と、
前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる制御部と、
を備え、
前記特定部は、前記設定領域が施設のカウンターであり、前記対象の歩行者が前記カウンターに関する設定領域に進入したとき、前記対象の歩行者または前記移動体が、前記施設を訪れたから第2所定時間以上経過している場合、前記施設の出口に対して前記対象の歩行者よりも近い位置を停止位置に決定する、
制御システム。
【請求項7】
前記設定領域の種別に応じた停止位置は、他の歩行者が前記設定領域へ進入することを妨げないと推定される前記設定領域付近の位置である、
請求項1からのうちいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記特定部は、前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記対象の歩行者の移動方向を基準に前記対象の歩行者よりも前方または後方の位置に前記停止位置を決定する、
請求項1からのうちいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記対象の歩行者が前記設定領域に進入したことに応じて前記移動体を前記停止位置に停止させた後、前記対象の歩行者が設定領域を退出した場合、前記移動体を前記対象の歩行者に追従することを再開させる、
請求項1からのうちいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記移動体を停止位置に停止させた後、前記対象の歩行者が設定領域を退出した場合、前記移動体を前記設定領域に進入させないようにして前記移動体を前記対象の歩行者に追従することを再開させる、
請求項に記載の制御システム。
【請求項11】
歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムのコンピュータが、
前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識し、
前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定し、
前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させ、
前記コンピュータが、認識された物体の種別に基づいて前記設定領域の種別を認識する、または前記移動体の位置と地図情報において対応付けられた設定領域の種別とに基づいて前記設定領域の種別を認識する、
制御方法。
【請求項12】
歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムのコンピュータに、
前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識する処理と、
前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定する処理と、
前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる処理と、
を実行させ、
前記コンピュータに、認識された物体の種別に基づいて前記設定領域の種別を認識する、または前記移動体の位置と地図情報において対応付けられた設定領域の種別とに基づいて前記設定領域の種別を認識する処理を実行させる、
プログラム。
【請求項13】
歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体であって、
前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識し、
前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定し、
前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に移動し、
認識された物体の種別に基づいて前記設定領域の種別を認識する、または前記移動体の位置と地図情報において対応付けられた設定領域の種別とに基づいて前記設定領域の種別を認識する、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御方法、プログラム、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザを所望の場所に案内したり、荷物を搬送したりするロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-111011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のシステムでは、移動体の停止位置については十分に検討されていなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、環境に応じた停止位置を決定することができる制御システム、制御方法、プログラム、および移動体を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る制御システム、制御方法、プログラム、および移動体は、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る制御システムは、歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムであって、前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識する認識部と、前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定する特定部と、前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる制御部とを備える。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記特定部は、前記認識部に認識された物体の種別に基づいて前記設定領域の種別を認識する、または前記移動体の位置と地図情報において対応付けられた設定領域の種別とに基づいて前記設定領域の種別を認識する。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記設定領域の種別に応じた停止位置は、他の歩行者が前記設定領域へ進入することを妨げないと推定される前記設定領域付近の位置である。
【0009】
(4):上記(1)または(2)の態様において、前記特定部は、前記設定領域がレジカウンターに関する設定領域であることを示す対象の物体を前記認識部が認識して前記設定領域がレジカウンターに関する設定領域であると認識した場合、前記レジカウンターにおける前記レジカウンターが設置された施設の出口側の位置またはレジカウンターの出口側の位置に停止位置を決定し、前記制御部は、前記停止位置に前記移動体を移動させる。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、前記対象の物体は、レジカウンター、ショッピングカート、またはショッピングカートである。
【0011】
(6):上記(1)または(2)の態様において、前記特定部は、前記対象の歩行者または前記移動体が前記設定領域に進入した場合、前記設定領域の施設に前記対象の歩行者または前記移動体が進入したときから、前記対象の歩行者が前記設定領域に進入したときまでの時間に応じて、前記停止位置を決定する。
【0012】
(7):上記(1)または(2)の態様において、前記特定部は、前記設定領域が施設のカウンターであり、前記対象の歩行者が前記カウンターに関する設定領域に進入したとき、前記対象の歩行者または前記移動体が、前記カウンターが設置された施設を訪れてから第1所定時間以内の場合、前記施設の入口に対して前記対象の歩行者よりも遠い位置を停止位置に決定する。
【0013】
(8):上記(1)または(2)の態様において、前記特定部は、前記設定領域が施設のカウンターであり、前記対象の歩行者が前記カウンターに関する設定領域に進入したとき、前記対象の歩行者または前記移動体が、前記施設を訪れたから第2所定時間以上経過している場合、前記施設の出口に対して前記対象の歩行者よりも近い位置を停止位置に決定する。
【0014】
(9):上記(1)または(2)の態様において、前記特定部は、前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であり前記設定領域とは異なる停止位置であって、前記対象の歩行者の移動方向を基準に前記対象の歩行者よりも前方の位置に前記停止位置を決定する。
【0015】
(10):上記(1)または(2)の態様において、前記特定部は、前記設定領域がトイレであると認識した場合、前記トイレの手前の所定の領域を停止位置に決定し、前記制御部は、前記停止位置に前記移動体を移動させる。
【0016】
(11):上記(10)の態様において、前記トイレの手前の所定の領域は、前記トイレの外側の領域であって前記トイレの出入口から所定の範囲内の領域である。
【0017】
(12):上記(1)または(2)の態様において、前記制御部は、前記対象の歩行者が前記設定領域に進入したことに応じて前記移動体を前記停止位置に停止させた後、前記対象の歩行者が設定領域を退出した場合、前記移動体を前記対象の歩行者に追従させる。
【0018】
(13):上記(12)の態様において、前記制御部は、前記移動体を停止位置に停止させた後、前記対象の歩行者が設定領域を退出した場合、前記移動体を前記設定領域に進入させないようにして前記移動体を前記対象の歩行者に追従することを再開させる。
【0019】
(14):本発明の他の態様に係る制御方法は、歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムのコンピュータが、前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識し、前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定し、前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる。
【0020】
(15):本発明の他の態様に係るプログラムは、歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御する制御システムのコンピュータに、前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識する処理と、前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定する処理と、前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる処理と、を実行させる。
【0021】
(16):本発明の他の態様に係るプログラムは、歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体であって、前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識し、前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定し、前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に移動する移動体である。
【発明の効果】
【0022】
(1)-(16)の態様によれば、環境に応じた停止位置を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】移動体100を含む移動体システム1の構成の一例を示す図である。
図2】移動体100の利用態様の一例について説明するための図である。
図3】誘導モードについて説明するための図である。
図4】移動体100を示す斜視図である。
図5】移動体100の機能構成の一例を示す図である。
図6】停止位置情報228の内容の一例を示す図である。
図7】場面1について説明するための図(1)である。
図8】場面1について説明するための図(2)である。
図9】場面2-1について説明するための図である。
図10】場面2-2について説明するための図である。
図11】場面3について説明するための図である。
図12】制御装置200により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の制御システム、制御方法、プログラム、および移動体の実施形態について説明する。本発明の制御システムは、移動体の駆動装置を制御して移動体を移動させるものである。本発明における移動体とは、歩行者が歩行する領域を、先導対象者を先導しながら、対象者に追従しながら自律的に移動するものである。移動体は、車両(自動車や自動二輪車、軽車両)が移動できない領域であっても歩行者が移動可能な領域を移動可能である。歩行者が移動する領域とは、歩道、公開空地、建物内のフロアなどであり、車道を含んでもよい。以下の説明では移動体には人が搭乗しないものとするが、移動体に人が搭乗しても構わない。先導対象者は、例えば歩行者の一人であるが、ロボットや動物であってもよい。移動体は、例えば、予め与えられた目的地点に向かいつつ、高齢者であるユーザの少し先を移動することで、ユーザの移動の妨げになる他の歩行者がユーザに近づき過ぎないように動作する(つまり、ユーザに道をつくるように動作する)。ユーザは、高齢者に限らず、歩行が困難な傾向にある人、子供、スーパーで買い物をする人、病院内を移動する患者、散歩をするペットなどであってもよい。また、必ずしもユーザが目的地点を予め決定する必要はなく、ユーザの移動する方向を予測し、ユーザの前方をユーザの移動速度に合わせて自律的に移動してもよい。なお、このような動作は常時行われるのではなく、一時的に行われてもよい。例えば、移動体がユーザと並走、又はユーザを追走し、ユーザの進行方向上に所定の状況(例えば、障害物の存在や交通状況の混雑など)を検知した場合に、移動体が、本発明のアルゴリズムを実行することにより、一時的にユーザを先導してもよい。
【0025】
図1は、移動体100を含む移動体システム1の構成の一例を示す図である。移動体システム(「制御システム」)1は、例えば、一以上の端末装置2と、管理装置10と、情報提供装置30と、一以上の移動体100とを含む。これらは、例えば、ネットワークNWを介して通信を行う。ネットワークNWは、例えば、LAN、WAN、インターネット回線などの任意のネットワークである。情報提供装置30に含まれる機能構成の一部は、移動体100に搭載されてもよいし、移動体100に含まれる機能構成の一部は、情報提供装置30に搭載されてもよい。
【0026】
[端末装置]
端末装置2は、例えば、スマートフォンや、タブレット端末などのコンピュータ装置である。端末装置2は、例えば、利用者の操作に基づいて、管理装置10から移動体100の利用の権限の提供をリクエストしたり、利用の許可がされたことを示す情報を取得したりする。
【0027】
[管理装置]
管理装置10は、端末装置2のリクエストに応じて、移動体100の利用の権限を端末装置2のユーザに付与したり、移動体100の利用の予約を管理したりする。管理装置10は、例えば、予め登録されたユーザの識別情報と、移動体100の利用予約の日時とを対応付けたスケジュール情報を生成し管理する。
【0028】
[情報提供装置]
情報提供装置30は、移動体100が存在する位置や、移動体100が移動する領域、領域周辺の地図情報を移動体100に提供する。情報提供装置30は、移動体100のリクエストに応じて、移動体100の目的地までの経路を生成し、生成した経路を移動体100へ提供してもよい。
【0029】
[移動体]
移動体100は、以下のような利用態様でユーザに利用される。図2は、移動体100の利用態様の一例について説明するための図である。移動体100は、歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能である。移動体100は、例えば、車両が通行できない領域を通行可能である。移動体100は、例えば、施設や街の所定の位置に配置されている。ユーザは、移動体100を利用したいとき、移動体100の操作部(不図示)を操作して利用を開始したり、端末装置2を操作して移動体100の利用を開始したりすることができる。例えば、ユーザが、買い物に出かけて荷物が多くなったとき、移動体100の利用を開始して、移動体100の収納部に荷物を入れる。そして、移動体100は、ユーザに自律的に追従するようにユーザと共に移動する。ユーザは、荷物を移動体100に収納した状態で買い物を続けたり、次の目的地に向かったりすることができる。例えば、移動体100は、ユーザと共に歩道や車道の横断歩道を移動しながら移動する。移動体100は、車道および歩道などの歩行者が通行可能な領域を移動可能である。例えば、移動体100は、ショッピングセンターや空港、公園、テーマパークなど屋内または屋外の施設や私有地内において利用されてもよく、歩行者が通行可能な領域を移動可能である。
【0030】
移動体100は、上記のようにユーザに追従する追従モードに加え(または代えて)、誘導モードや緊急モードなどのモードで自律的に移動可能であってもよい。
【0031】
図3は、誘導モードについて説明するための図である。誘導モードは、ユーザが指定した目的地にユーザを誘導するモードであって、ユーザの前をユーザの移動速度に合わせて自律的に移動してユーザを先導するモードである。図3に示すように、ショッピングセンターにおいて、ユーザが所定の商品を探している時、ユーザが所定の商品の場所に先導することを移動体100にリクエストすると、移動体100は、ユーザを商品の場所まで先導する。これにより、ユーザは、容易に所定の商品を見つけることができる。なお、移動体100がショッピングセンターで利用される場合、移動体100または情報提供装置30は、商品の場所や、店舗の場所、ショッピングセンター内の施設の場所などが地図情報に対応付けられた情報と、ショッピングセンターの地図情報とを保持している。この地図情報には、道路や通路の幅などを含む詳細な地図情報が含まれている。
【0032】
緊急モードは、ユーザと移動中にユーザに異変が生じた場合(例えば倒れた場合)に、ユーザを助けるために、近くの人や近くの施設に救援を求めるために自律的に移動するモードである。移動体100は、上記のように追従や誘導に加え(または代えて)、ユーザとつかず離れずの距離を保ちながら移動してもよい。
【0033】
図4は、移動体100を示す斜視図である。以下の説明では、移動体100の前方方向をプラスx方向、移動体100の後方方向をマイナスx方向、移動体100の幅方向であってプラスx方向を基準に左方向をプラスy方向、右方向をマイナスy方向、x方向およびy方向に直交する方向であって移動体100の高さ方向をプラスz方向として説明する。
【0034】
移動体100は、例えば、基体110と、基体110に設けられた扉部112と、基体110に組み付けられた車輪(第1車輪120、第2車輪130および第3車輪140)とを備える。例えば、ユーザは、扉部112を開放して、基体110に設けられた収納部に荷物を入れたり、収納部から荷物を取り出したりすることができる。第1車輪120および第2車輪130は駆動輪であり、第3車輪140は補助輪(従動輪)である。移動体100は、無限軌道などの車輪以外の構成を用いて移動可能であってもよい。
【0035】
基体110のプラスz方向の面には、プラスz方向に延在する円柱状の支持体150が設けられている。支持体150のプラスz方向の端部には、移動体100の周囲を撮像するカメラ180が設けられている。カメラ180が設けられる位置は、上記とは異なる任意の位置であってもよい。
【0036】
カメラ180は、例えば、移動体100の周辺を広角に(例えば360度で)撮像可能なカメラである。カメラ180は、複数のカメラを含んでもよい。カメラ180は、例えば、複数の120度カメラまたは複数の60度カメラが組み合わされて実現されてもよい。
【0037】
図5は、移動体100の機能構成の一例を示す図である。移動体100は、図4に示した機能構成に加え、更に、第1モータ122、第2モータ132、バッテリ134、ブレーキ装置136、ステアリング装置138、通信部190、および制御装置200を備える。第1モータ122および第2モータ132は、バッテリ134に供給される電力によって稼働する。第1モータ122は第1車輪120を駆動させ、第2モータ132は第2車輪130を駆動させる。第1モータ122は第1車輪120のホイールに設けられるインホイールモータであり、第2モータ132は第2車輪130のホイールに設けられるインホイールモータであってもよい。
【0038】
ブレーキ装置136は、制御装置200の指示に基づいてブレーキトルクを各車輪に出力する。ステアリング装置138は、電動モータを備える。電動モータは、例えば、制御装置200の指示に基づいてラックアンドピニオン機構に力を作用させて第1車輪120または第2車輪130の向きを変更して、移動体100の進路を変更する。
【0039】
通信部190は、端末装置2、管理装置10または情報提供装置30と通信するための通信インターフェースである。
【0040】
[制御装置]
制御装置200は、例えば、位置特定部202と、情報処理部204と、認識部206と、停止位置処理部208と、経路生成部212と、軌道生成部214と、制御部216と、記憶部220とを備える。位置特定部202と、情報処理部204と、認識部206と、経路生成部212と、軌道生成部214と、制御部216とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。記憶部220は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置により実現される。停止位置処理部208は「特定部」の一例である。
【0041】
記憶部220には、制御部216が参照する移動体100の行動を制御するための制御プログラムである制御情報222や、地図情報224、設定領域情報226、停止位置情報228が記憶されている。地図情報224は、例えば、情報提供装置30により提供された移動体100が存在する位置や、移動体100が移動する領域、領域周辺などの地図情報である。
【0042】
設定領域情報226は、予め定められた移動体100が進入すべきでない領域である。進入すべきでない領域とは、進入した場合に歩行者などの交通参加者の行動に干渉するリスクが高い領域である。進入すべきでない領域は、例えば、施設のカウンター(レジカウンター)およびその周辺や、出入口などを含む領域などである。設定領域の位置は、地図情報224に対応付けられていてもよい。
【0043】
停止位置情報228は、設定領域の種別に応じた移動体100の停止位置が規定された情報である。図6は、停止位置情報228の内容の一例を示す図である。停止位置情報228は、例えば、設定領域の種別と、停止位置とが対応付けられた情報である。例えば、設定領域の種別がレジカウンターであれば、停止位置はレジカウンターが設置された施設の出口に近い位置が停止位置である。例えば、設定領域の種別が病院のカウンターであり、ユーザが病院に進入した後、第1所定時間以内の場合、停止位置は病院の入口に近い第1位置である。例えば、設定領域の種別が病院のカウンターであり、ユーザが病院に進入した後、第2所定間経過した場合、停止位置は病院の出口に近い第2位置である。第1位置は、第2位置よりも施設の入口に近い位置であり、第2位置は、第1位置よりも施設の出口に近い位置であってもよい。停止位置は、設定領域を基準に定められた位置である。例えば、停止位置は、設定領域に対して、X方向に所定距離の位置などのように定められていてもよいし、設定領域に対して基準地点(例えば施設の出入口)方向所定距離の位置のように定められていてもよい。移動体100は、停止位置に障害物が存在する場合、障害物から所定距離の位置を停止位置に修正してもよい。
【0044】
位置特定部202は、移動体100の位置を特定する。位置特定部202は、移動体100に内蔵されたGPS(Global Positioning System)装置(不図示)により移動体100の位置情報を取得する。位置情報とは、例えば、二次元の地図座標でもよく、緯度経度情報でもよい。また、位置特定部202は、カメラ180により撮像されたカメラ画像や、Lidarなどのセンサを用いたいわゆるSLAMなどの手法によって、環境地図作成と同時に移動体100の位置を推定しても良い。
【0045】
情報処理部204は、例えば、端末装置2、管理装置10、または情報提供装置30から取得した情報を管理する。
【0046】
認識部206は、例えば、カメラ180が撮像した画像に基づいて、移動体100の周辺にある物体の位置(移動体100からの距離と移動体100に対する方向)、および速度、加速度等の状態を認識する。物体とは、交通参加者や、施設内や道路に存在する障害物などを含む。認識部206は、移動体100のユーザを認識し、トラッキングする。例えば、ユーザが移動体100を利用する際に登録したユーザが撮像された画像(例えばユーザの顔画像)や、端末装置2または管理装置10により提供されたユーザの顔画像(またはユーザ顔画像から得られた特徴量)に基づいて、認識部206は、ユーザをトラッキングする。認識部206は、ユーザが行ったジェスチャを認識する。なお、移動体100にはレーダ装置やLIDARなどカメラとは異なる検出部が設けられていてもよい。この場合、認識部206は、画像に代えて(または加えて)、レーダ装置やLIDARの検出結果を用いて移動体Mの周辺の状況を認識する。
【0047】
停止位置処理部208は、移動体100が進入すべきでない設定領域に対象の歩行者が進入した場合に、設定領域の種別に応じた停止位置であって設定領域とは異なる停止位置を決定する。この処理の詳細については後述する。
【0048】
経路生成部212は、ユーザが指定した目的地までの経路を生成する。目的地とは、商品の場所や、施設の場所であってもよい。この場合、ユーザは、商品や施設を指定することで、移動体100は、指定された商品や施設の場所を目的地として設定する。経路は、目的地に合理的に到達することができる経路である。例えば、目的地までの距離や、目的地に到達するまでの時間、経路の通行のしやすさなどをスコア化して、各スコアおよび各スコアを統合したスコアが閾値以上である経路が導出される。
【0049】
軌道生成部214は、例えば、ユーザのジェスチャや、ユーザにより設定された目的地、周辺の物体、ユーザの位置等に基づいて、移動体100が将来走行すべき軌道を生成する。軌道生成部214は、目標地点まで移動体100が滑らかに移動できるような軌道を生成する。軌道生成部214は、例えば、予め定められたジェスチャと行動との対応関係に基づいて移動体100の行動に応じた軌道を生成したり、周辺の物体を避けながら目的地に向かうための軌道を生成したりする。軌道生成部214は、例えば、トラッキングしているユーザに追従するための軌道またはユーザを先導するための軌道を生成する。軌道生成部214は、例えば、予め設定されたモードに基づく行動に応じた軌道を生成する。軌道生成部214は、移動体100の行動に応じた複数の軌道を生成し、軌道ごとのリスクを求め、求めたリスクの合計値や、各軌道点のリスクが、予め設定された基準を満たす場合(例えば合計値が閾値Th1以下であり、且つ各軌道点のリスクが閾値Th2以下である場合)、基準を満たす軌道を移動体100が移動する軌道として採用する。リスクは、例えば、軌道(軌道の軌道点)に対して障害物との距離が小さければ小さいほど高く、軌道に対して障害物との距離が大きければ大きいほど小さい傾向である。
【0050】
制御部216は、予め設定された基準を満たす軌道に沿って、移動体100が走行するようにモータ(第1モータ122、第2モータ132)や、ブレーキ装置136、ステアリング装置138を制御する。制御部216は、対象の歩行者を追従することを中断して決定された停止位置に移動体100を移動させる。
【0051】
[設定領域の種別に応じた制御]
制御装置200は、移動体100が進入すべきでない設定領域に歩行者が進入した場合に、設定領域の種別を特定して、特定した設定領域の種別に応じた停止位置を決定し、歩行者を追従することを中断して特定された停止位置に移動体を移動させる。設定領域の種別に応じた停止位置は、他の歩行者が設定領域へ進入することを妨げないと推定される設定領域付近の位置である。停止位置は、例えば、設定領域の出入口の近くや、出入口とは異なる位置、設定領域から所定距離離れた位置である。また、停止位置は、設定領域の広さや、移動体の大きさなどによって定められた所定の範囲であってもよい。
【0052】
停止位置処理部208は、認識部206に認識された物体の種別に基づいて設定領域の種別を認識する。例えば、停止位置処理部208は、物体の種別としてレジカウンターや、ショッピングカート、ショッピングカゴ、病院などの施設のカウンター、トイレなどを認識する。停止位置処理部208は、認識した物体の種別に応じて設定領域の種別を認識し、停止位置情報228を参照して設定領域の種別に応じた停止位置を特定する。設定領域であることを示す物体は、上述した物体とは異なる物体であってもよい。この場合、停止位置情報228には、異なる物体の種別と停止位置とが規定されている。
【0053】
停止位置処理部208は、認識部206の認識の結果に代えて、移動体100の位置と地図情報224とに基づいて、設定領域の種別を特定してもよい。例えば、地図情報224には、設定領域の位置と、設定領域の種別とが対応付けられた情報が格納されている。更に、停止位置処理部208は、認識部206の認識の結果と、位置情報とを用いて設定領域の種別を特定してもよい。停止位置処理部208は、例えば、上記の2つの処理の結果が一致した場合、設定領域の種別を特定し、一致しない場合は、予め設定された優先度の高い処理の結果を用いて設定領域の種別を特定してもよい。
【0054】
[場面1]
制御装置200は、認識部206がレジカウンター、ショッピングカート、ショッピングカゴを認識して設定領域がレジカウンターであると認識した場合、レジカウンターのレジカウンターが設置された施設の出口側の位置に停止位置を決定し、停止位置に移動体を移動させる。
【0055】
図7は、場面1について説明するための図(1)である。移動体100は、地面に対して水平方向に画像を撮像するが、図7の例では説明のため、上方から地面を見た図を示している。以降の図も同様である。移動体100がユーザTAに追従している。ユーザTAがレジカウンターに近づいた。制御装置200が、レジカウンターを認識した場合、レジカウンターに応じた設定領域を設定する。図7に示すように、レジカウンターを含む予め設定された領域が設定領域AR1として設定される。
【0056】
図8は、場面1について説明するための図(2)である。ユーザTAが、図7の位置から設定領域AR1に進入した場合、制御装置200は、移動体100を設定領域AR1に進入させずに、移動体100をユーザTAに追従させることを一時中断して、ユーザTAを追い越す。制御装置200は、ユーザTAよりも施設の出口に近い停止位置に移動体100を移動させ、停止位置に移動体100を停止させる。停止位置は、施設の出口に近い位置に代えて、レジカウンターの出口側の位置であってもよい。その後、ユーザTAが設定領域AR1を出て、出口に近づいた場合、制御装置200は、移動体100をユーザTAに追従させる。例えば、制御装置200は、ユーザTAが設定領域AR1に進入したことに応じて移動体100を停止位置に停止させた後、ユーザTAが設定領域AR1を退出した場合、移動体100をユーザTAに追従させることを再開する。この場合、例えば、移動体100は、設定領域AR1に進入させないようにして追従を再開する。これにより、他のユーザと干渉する可能性が軽減される。
【0057】
上記のように、制御装置200は、ユーザTAの行動に応じた適切な停止位置でユーザを待機させることができる。これにより、移動体100が他の交通参加者や、ユーザTAの移動を干渉することが抑制され、ユーザが設定領域を出た後、移動体100は、スムーズにユーザを追従することができる。
【0058】
[場面2]
制御装置200は、ユーザまたは移動体100が設定領域に進入した場合、設定領域の施設にユーザまたは移動体100が進入したときからユーザが設定領域に進入したときまでの時間に応じて、停止位置を決定してもよい。例えば、設定領域の施設にユーザまたは移動体100が進入したときから第1時間の場合(進入直後の場合)、停止位置は第1停止位置に決定され、設定領域の施設にユーザまたは移動体100が進入したときから第1時間を超えた場合(進入後しばらく経過している場合)、停止位置は第1停止位置とは異なる第2停止位置に決定されてもよい。入口と出口とが同じ場合、第1停止位置は、例えば、第2停止位置よりも出入口から遠い位置である。入口と出口とが異なる場合、第1停止位置は、例えば、入口から離れた位置や、出口から離れた位置、入口および出口から離れた位置、ユーザよりも施設の内側の位置である。第2停止位置は、例えば、第1停止位置よりも出口に近い位置である。
【0059】
制御装置200は、設定領域がカウンターであり、歩行者がカウンターに関する設定領域に進入したとき、ユーザまたは移動体100が、カウンターが設置された施設を訪れてから第1所定時間以内の場合は、施設の入口に対して歩行者よりも遠い位置を停止位置に決定し、停止位置に移動体100を移動させる。制御装置200は、設定領域がカウンターであり、歩行者がカウンターに関する設定領域に進入したとき、ユーザまたは移動体100が、施設を訪れてから第2所定時間以上経過している場合、施設の出口に対して歩行者よりも近い位置を停止位置に決定し、停止位置に移動体100を移動させる。
【0060】
[場面2-1]
図9は、場面2-1について説明するための図(1)である。場面2-1は、病院などの施設にユーザTAおよび移動体100が訪れている場面である。移動体100がユーザTAに追従している。ユーザTAが施設に入り、カウンターに近づいた。制御装置200は、カウンターを認識し、カウンターに応じた設定領域AR2を設定する。図9に示すように、カウンターを含む予め設定された領域が設定領域AR2として設定される。
【0061】
場面2-1では、歩行者が施設を訪れてから第1所定時間以内であるため、制御装置200は、施設の出入口Eに対して歩行者よりも遠い位置に停止位置を決定して、移動体100を停止位置に移動体100を移動させる。図9の例では、停止位置に移動体100が停止している。その後、歩行者がカウンターから離れて移動を開始した場合、制御装置200は、移動体100をユーザTAに追従させる。
【0062】
上記のように、制御装置200は、ユーザTAの行動に応じた適切な停止位置でユーザを待機することができる。更に、ユーザが施設に進入した時間が考慮されるため、移動体100は、ユーザの次の行動に応じた停止位置でユーザを待機する。これにより、移動体100が他のユーザや、ユーザの移動を干渉することが抑制され、更に移動体100はユーザにスムーズに追従することができる。
【0063】
[場面2-2]
図10は、場面2-2について説明するための図(1)である。場面2-1との相違点を中心に説明する。移動体100がユーザTAに追従している。ユーザTAが施設に入った後、第2所定時間以上経過した後、カウンターに近づいた。第2所定時間は、第1所定時間よりも長い時間である。制御装置200は、カウンターを認識し、カウンターに応じた設定領域AR2を設定する。
【0064】
場面2-2では、歩行者が施設を訪れてから第2所定時間以上経過しているため、制御装置200は、施設の出入口Eに対して歩行者よりも近い位置に停止位置を決定して、移動体100を停止位置に移動体100を移動させる。図10の例では、停止位置に移動体100が停止している。その後、歩行者がカウンターから離れて移動を開始した場合、制御装置200は、移動体100をユーザTAに追従させる。
【0065】
上記の例では、制御装置200は、時間に基づいて停止位置を決定したが、これに代えて(または加えて)、ユーザの移動方向に基づいて停止位置を決定してもよい。例えば、制御装置200は、ユーザの移動方向を基準にユーザよりも前方または後方に停止位置を決定してもよい。例えば、設定領域の種別に応じた停止位置は、ユーザの移動方向を基準にユーザよりも前方または後方の停止位置であり、この停止位置は、設定領域の種別ごとに異なる位置である。例えば、停止位置は、ユーザの移動方向の前方または後方において設定領域の種別に応じた位置である。これより、上記同様の効果が得られる。
【0066】
[場面3]
制御装置200は、設定領域がトイレであると認識した場合、トイレの手前の所定の領域を停止位置に決定し、停止位置に前記移動体を移動させる。トイレの手前の所定の領域は、トイレの外側の領域であってトイレの出入口から所定の範囲内の領域である。図11は、場面3について説明するための図である。場面3は、ユーザTAがトイレの入口に近づいた場面である。移動体100がユーザTAに追従している。ユーザTAがトイレの設定領域に近づいた。制御装置200は、トイレの表示などからトイレの入口を認識し、トイレに応じた設定領域AR3を設定する。図11に示すように、トイレおよびトイレの出入口Eを含む予め設定された領域が設定領域AR3として設定される。
【0067】
ユーザが設定領域AR3に進入した。制御装置200は、トイレの出入口Eの手前の領域である停止位置に移動体100を移動させる。図11の例では、停止位置に移動体100が停止している。その後、ユーザTAがトイレの出入口Eから出てきた場合、制御装置200は、ユーザTAを認識して、移動体100をユーザTAに追従させる。
【0068】
上記のように、制御装置200は、ユーザTAの行動に応じた適切な停止位置でユーザを待機することができる。これにより、移動体100が他のユーザや、ユーザの移動を干渉することが抑制される。
【0069】
[フローチャート]
図12は、制御装置200により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、制御装置200は、ユーザが設定領域に進入したか否かを判定する(ステップS100)。ユーザが設定領域に進入した場合、制御装置200は、設定領域の種別を特定する(ステップS102)。次に、制御装置200は、設定領域の種別に応じた停止位置を特定する(ステップS104)。この処理において、設定領域が予め定められたカウンターである場合、施設にユーザが訪れたときから設定領域に進入したときまでの時間(または現在までの時間)が考慮されて停止位置が決定される。更に、物体の位置に基づいて、停止位置は適宜調整される。例えば、物体が停止位置または停止位置付近に存在している場合、制御装置200は、物体から所定距離離れた位置を停止位置に決定する。次に、制御装置200は、停止位置に移動体100を移動させて停止させる(ステップS106)。
【0070】
次に、制御装置200は、ユーザが設定領域を退出したか否かを判定する(ステップS108)。ユーザが設定領域から退出した場合、制御装置200は、移動体100にユーザの追従を再開させる(ステップS110)。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0071】
以上説明した実施形態によれば、制御システムは、移動体100が進入すべきでない設定領域に対象の歩行者が進入した場合に、設定領域の種別に応じた停止位置であって設定領域とは異なる停止位置を決定し、対象の歩行者を追従することを中断して決定された停止位置に移動体100を移動させることにより、環境に応じた停止位置を決定することができる。
【0072】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
歩行者が移動可能な領域を自律して移動可能であり、且つ対象の歩行者に追従して移動する移動体を制御し、
前記歩行者および前記移動体の周辺の物体を認識し、
前記移動体が進入すべきでない設定領域に前記対象の歩行者が進入した場合に、前記設定領域の種別に応じた停止位置であって前記設定領域とは異なる停止位置を決定し、
前記対象の歩行者を追従することを中断して決定された前記停止位置に前記移動体を移動させる、移動体。
【0073】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 移動体システム
2 端末装置
10 管理装置
30 情報提供装置
100 移動体
200 制御装置
204 情報処理部
206 認識部
208 停止位置処理部
210 設定部
216 制御部
220 記憶部
226 設定領域情報
228 停止位置情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12