(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-22
(45)【発行日】2025-07-30
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォームの製造
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20250723BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20250723BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20250723BHJP
【FI】
C08G18/00 G
C08G18/00 H
C08F220/10
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2021134337
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2024-06-18
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】カーステン シラー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フェレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ザラ オットー
(72)【発明者】
【氏名】ザビーネ ケッメルト
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-033461(JP,A)
【文献】特開平06-336513(JP,A)
【文献】特開2000-080114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリウレタンフォームを製造するための組成物であって、前記組成物は、
少なくとも1つのイソシアネート成分と、
ポリオール成分と、
任意に、ウレタン結合またはイソシアヌレート結合の形成を触媒する触媒と、
を含み、
前記組成物は、発泡剤として、3個、4個または5個の炭素原子を有する炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロハロオレフィン、酸素含有発泡剤、および/またはクロロハイドロカーボンを有し、かつ、フォーム安定剤として、アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーを含
み、
ここで、
前記アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーが、開始剤としてTBPEH(tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート)および/またはAPO(tert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート)を用いて製造されたものであるか、または
前記アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーが、開始剤としてジベンゾイルパーオキシド(BPO)を用いずに製造されたものであるか、または
前記アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーの残留モノマー含有量が、<1%であることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーが、H
2C=CR
1-COOR
2のタイプの少なくとも1つのコモノマーと、H
2C=CR
1-COOR
3のタイプの少なくとも1つのコモノマーとをベースとし、ここで、
R
1は、互いに独立して、-H、または-CH
3であり、その際、互いに異なる置換基R
1を有する異なるコモノマーが、1つの分子内に存在することが可能であり、
R
2は、互いに独立して、1~25個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状、環状または分岐状の、脂肪族または芳香族の炭化水素の群からの基であり
、その際、互いに異なる置換基R
2を有する異なるコモノマーが、1つの分子内に存在することが可能であり、
R
3は、互いに独立して、構造式1をベースとするポリエーテルの群からの基であり、その際、互いに異なる置換基R
3を有する異なるコモノマーが、1つの分子内に存在することが可能であり、
【化1】
ここで、
xは、3~50
0であり、
R
4は、互いに独立して、水素基、または1~12個の炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和の、直鎖状、環状もしくは分岐状の、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素の群からの基であり
、その際、基R
3において、異なる置換基R
4が、任意の順序または配列で存在することが可能であり、
R
5は、-CH
2-O-、-CH
2-CH
2-O-、-CH
2-CH
2-CH
2-O-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-O-、または-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-O-であり、その際、R
5は、存在していなくてもよく、
R
6は、互いに独立して、水素基;1~25個の炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和の、直鎖状、環状もしくは分岐状の、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素の群からの基;アシル基;構造式-CH
2-CH(OH)-CH
2OHの基;または構造式-CH
2-C(CH
2OH)
2-CH
2-CH
3の基であり
、その際、互いに異なる置換基R
6を有する異なるコモノマーが、1つの分子内に存在することが可能である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
発泡剤として、3個、4個もしくは5個の炭素原子を有する炭化水
素;ハイドロフルオロカーボ
ン;パーフルオロ化合
物;ハイドロフルオロオレフィンまたはハイドロハロオレフィ
ン;水;酸素含有化合
物;ならびに/またはクロロハイドロカーボ
ンが使用される、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーが、DIN 55672-1:2016-03に準拠したゲル浸透クロマトグラフィー(溶離液:THF、標準物質:PMMA)によって決定される、500~100,000g/mo
lの範囲の数平均分子量Mnを有する、請求項1
または2記載の組成物。
【請求項5】
ポリオール成分100質量部に対するアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーの総量の質量割合が、0.1~10pph
pである、請求項1
または2記載の組成物。
【請求項6】
Si含有フォーム安定剤が、フォーム安定剤の総量に対して15質量%未
満の量で含まれているか、またはまったく含まれていない、請求項1
または2記載の組成物。
【請求項7】
Si含有フォーム安定剤が、フォーム安定剤の総量に対して10質量%
超の量で含まれている、請求項1
または2記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、スズ含有触媒を実質的に含まない、請求項1
または2記載の組成物。
【請求項9】
前記アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーが、開始剤としてTBPEH(tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート)および/またはAPO(tert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート)を用いて製造されたものである、請求項1
または2記載の組成物。
【請求項10】
前記アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーが、開始剤としてジベンゾイルパーオキシド(BPO)を用いずに製造されたものである、請求項1
または2記載の組成物。
【請求項11】
前記アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーの残留モノマー含有量が、<1%である、請求項1
または2記載の組成物。
【請求項12】
1つ以上のポリオール成分と1つ以上のイソシアネート成分とを反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、前記反応を、請求項1
または2記載の組成物を使用して行う、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法により得られる、硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項14】
改善された断熱特性を有する硬質ポリウレタンフォームを提供するための、請求項1
または2記載の組成物の使用。
【請求項15】
遮断板および/または断熱材としての
、請求項13記載の硬質ポリウレタンフォームの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームの分野に属する。本発明は特に、所定の発泡剤と、フォーム安定剤としてアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーとを使用した硬質ポリウレタンフォームの製造に関する。本発明はさらに、対応する組成物、および本発明により製造されたフォームの使用に関する。前記ポリウレタンフォームは特に、硬質ポリウレタンフォームである。
【0002】
本発明において、ポリウレタン(PU)とは、特にポリイソシアネートと、ポリオールまたはイソシアネート反応性基を有する化合物との反応によって得られる生成物を意味すると理解される。ここで、ポリウレタン以外に、例えばウレトジオン、カルボジイミド、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、尿素および/またはウレトンイミンといった他の官能基も形成され得る。したがって、本発明の趣意において、ポリウレタンだけでなく、ポリイソシアヌレート;ポリ尿素;ならびにウレトジオン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビウレット基およびウレトンイミン基を含むポリイソシアネート反応生成物もPUであると理解される。本発明において、ポリウレタンフォーム(PUフォーム)とは、ポリイソシアネートと、ポリオールまたはイソシアネート反応性基を有する化合物とをベースとする反応生成物として得られるフォームを意味すると理解される。ここで、ポリウレタンと称されるもの以外に、例えばアロファネート、ビウレット、尿素、カルボジイミド、ウレトジオン、イソシアヌレートまたはウレトンイミンといった他の官能基も形成され得る。本発明において最も好ましいフォームは、硬質ポリウレタンフォームである。
【0003】
ポリウレタンおよびポリイソシアヌレートフォーム、特に対応する硬質フォームの製造には、気泡安定化またはフォーム安定化添加剤が使用される。これらの添加剤は、微細な気泡で均一かつ欠陥の少ないフォーム構造の提供を目的としており、その結果、使用特性、例えば特に硬質フォーム材料の断熱性能に大きな好影響を与える。ポリエーテル修飾シロキサンをベースとする界面活性剤が特に効果的であり、したがってこれは好ましいタイプのフォーム安定剤である。
【0004】
シロキサンベースの添加剤の使用に関しては、すでに様々な刊行物が公表されている。この場合、主にポリエーテルシロキサンフォーム安定剤(PES)が使用されている。
【0005】
欧州特許第0570174号明細書には、有機発泡剤、特に例えばCFC-11などのクロロフルオロカーボンを使用した硬質ポリウレタンフォームの製造に適したポリエーテルシロキサンが記載されている。
【0006】
欧州特許出願公開第0533202号明細書には、例えばHCFC-123などのハイドロクロロフルオロカーボンを発泡剤として使用する場合に適している、SiC結合ポリアルキレンオキシド基を有するポリエーテルシロキサンが記載されている。
【0007】
欧州特許第0877045号明細書には、この製造方法のための類似の構造が記載されており、この構造は、比較的高い分子量と、シロキサン鎖上の2つのポリエーテル置換基の組み合わせとの点で、先に挙げたフォーム安定剤とは異なる。
【0008】
欧州特許出願公開第1544235号明細書には、硬質PUフォーム用途の典型的なポリエーテル修飾シロキサンが記載されている。ここでは、60~130個のSi原子と、異なるポリエーテル置換基Rとを有し、混合モル質量が450~1000g/molであり、かつエチレンオキシド割合が70~100mol%であるシロキサンが使用される。
【0009】
中国特許出願公開第103055759号明細書には、気泡開放度を改善するポリエーテル修飾シロキサンが記載されている。このシロキサンには少なくとも18個のSi単位が含まれており、修飾には様々なタイプの側鎖が用いられる。
【0010】
欧州特許出願公開第1873209号明細書には、防火性が改善された硬質PUフォームを製造するためのポリエーテル修飾シロキサンが記載されている。ここでは、シロキサンに10~45個のSi原子が含まれており、ポリエーテル側鎖は、少なくとも90%がエチレンオキシド単位からなる。
【0011】
欧州特許出願公開第2465891号明細書には、ポリエーテル側鎖の一部にOH基を有するポリエーテル修飾シロキサンが記載されている。ここで、シロキサンは少なくとも10個のSi原子を含む。
【0012】
欧州特許出願公開第2465892号明細書には、ポリエーテル側鎖が主に第二級OH末端基を有するポリエーテル修飾シロキサンが記載されており、ここでもシロキサンが少なくとも10個のSi原子を含む。
【0013】
独国特許発明第3234462号明細書には、軟質フォーム、特に軟質成形フォームに使用するためのシロキサンが記載されている。ここでは、ポリエーテル修飾シロキサン(PES)とポリジメチルシロキサンとの組み合わせが記載されており、PESは、4~15個のSi単位を含む。
【0014】
それにもかかわらず、PUフォーム、好ましくは硬質PUフォーム用のさらなるフォーム安定剤が、特に、基本的にシロキサンを用いないフォーム安定化を可能にするフォーム安定剤が、依然として必要とされている。
【0015】
本発明の具体的な課題は、基本的にシロキサンを用いないフォーム安定化を実現できる、硬質PUフォームの提供を可能にすることであった。
【0016】
驚くべきことに、所定の発泡剤と、フォーム安定剤としてのアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーとを併用することで、硬質PUフォームを完全な品質で製造できることが見出された。本発明において使用できる発泡剤としては、3個、4個または5個の炭素原子を有する炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロハロオレフィン、酸素含有発泡剤、および/またはクロロハイドロカーボンが挙げられる。
【0017】
本発明による、発泡剤と、フォーム安定剤としてのアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーとの組み合わせによって、基本的にシロキサンを用いないフォーム安定化が可能となり、つまり、例えば既知のポリエーテルシロキサンフォーム安定剤のようなシロキサンベースの添加剤を完全に排除することができる。しかし、従来技術から知られているシロキサン含有安定剤との併用も可能である。どちらも本発明に包含される。
【0018】
このような背景から、本発明は、硬質ポリウレタンフォームを製造するための組成物であって、該組成物は、少なくとも1つのイソシアネート成分と、ポリオール成分と、任意に、ウレタン結合またはイソシアヌレート結合の形成を触媒する触媒とを含み、該組成物は、発泡剤として、3個、4個または5個の炭素原子を有する炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロハロオレフィン、酸素含有発泡剤、および/またはクロロハイドロカーボンを有し、かつ、フォーム安定剤として、アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーを含む、組成物に関する。
【0019】
本発明による主題によって、既知のシロキサン含有安定剤を使用せずに硬質PUフォームを提供することが可能となる。それにもかかわらず、得られたPUフォームは、既知の要求を満たしている。これらは、有利にも、寸法的に安定しており、耐加水分解性を示し、かつ優れた長期的特性を示す。これらは、有利にも、非常に優れた断熱特性、非常に高い断熱容量、高い機械的強度、高い剛性、および高い圧縮強度を有する。しかしさらに、本発明による主題によって、従来技術から知られているシロキサン含有安定剤を併用して硬質PUフォームを提供することも可能である。
【0020】
アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーは、従来技術からすでに知られている。
【0021】
本発明により使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーが、H
2C=CR
1-COOR
2のタイプの少なくとも1つのコモノマーと、H
2C=CR
1-COOR
3のタイプの少なくとも1つのコモノマーとをベースとすることは、本発明の特に好ましい実施形態であり、ここで、
R
1は、-H、または-CH
3であり、その際、互いに異なる置換基R
1を有する異なるコモノマーが、1つの分子内に存在することが可能であり、
R
2は、互いに独立して、1~25個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状、環状または分岐状の、脂肪族または芳香族の炭化水素の群からの基であり、好ましくは、メチル、エチル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル、イソデシル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニル、イソボルニルまたはアリルであり、その際、互いに異なる置換基R
2を有する異なるコモノマーが、1つの分子内に存在することが可能であり、
R
3は、互いに独立して、構造式1をベースとするポリエーテルの群からの基であり、その際、互いに異なる置換基R
3を有する異なるコモノマーが、1つの分子内に存在することが可能であり、
【化1】
ここで、
xは、3~500、好ましくは>5、特に8~100であり、
R
4は、互いに独立して、水素基、または1~12個の炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和の、直鎖状、環状もしくは分岐状の、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素の群からの基であり、特に好ましくは、-H、メチル、エチルまたはスチリルであり、その際、基R
3において、異なる置換基R
4が、任意の順序または配列で存在することが可能であり、
R
5は、-CH
2-O-、-CH
2-CH
2-O-、-CH
2-CH
2-CH
2-O-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-O-、または-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-O-であり、その際、R
5は、存在していなくてもよく、
R
6は、互いに独立して、水素基;1~25個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の、直鎖状、環状もしくは分岐状の、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素の群からの基;アシル基;構造式-CH
2-CH(OH)-CH
2OHの基;または構造式-CH
2-C(CH
2OH)
2-CH
2-CH
3の基であり、特に好ましくは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルまたはt-ブチルであり、その際、互いに異なる置換基R
6を有する異なるコモノマーが、1つの分子内に存在することが可能である。
【0022】
本発明により使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーが、DIN 55672-1:2016-03に準拠したゲル浸透クロマトグラフィー(溶離液:THF、標準物質:PMMA)によって決定される、500~100,000g/mol、特に好ましくは1,000~20,000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有することは、本発明のさらなる特に好ましい実施形態である。
【0023】
本発明の趣意において使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートモノマーは、例えばEvonik Operations GmbH社よりVISIOMERの商品名で市販もされている。
【0024】
これについての例は、これらに限定されるものではないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3,4-ジヒドロキシブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオール(メタ)アクリレート;グリコールジメタクリレート、例えば1,4-ブタンジオールメタクリレート、2-ブトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエトキシメチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート;エーテルアルコールのメタクリレート、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリレート、ビニルオキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、1-ブトキシプロピルメタクリレート、1-メチル(2-ビニルオキシ)エチルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、メトキシメトキシエチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2-ブトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエトキシメチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1-エトキシブチルメタクリレート、メトキシメチルメタクリレート、1-エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、およびエトキシ化またはプロポキシ化(メタ)アクリレートで、好ましくは1~20個、特に2~8個のエトキシ基またはプロポキシ基を有するものである。
【0025】
本明細書における(メタ)アクリレートという表記は、例えばメチルメタクリレートやエチルメタクリレートなどのメタクリレートと、例えばメチルアクリレートやエチルアクリレートなどのアクリレートとの双方、および両者の混合物を意味する。
【0026】
さらに、使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーの製造方法は、従来技術から知られており、例えば欧州特許出願公開第1070730号明細書または米国特許第9349500号明細書に記載されている。
【0027】
開始剤として、原則として、例えば過酸化物、ヒドロパーオキシド、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ化合物およびいわゆるレドックス開始剤といった、重合条件下でラジカルに分解する化合物を使用することができる。場合によっては、例えば過酸化水素とパーオキソ二硫酸ナトリウムまたはカリウムとの混合物など、異なる開始剤の混合物を使用することが有利である場合もある。有機過酸化物は、例えば、アセチルアセトンパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、tert-ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、tert-アミルパーピバレート、tert-ブチルパーピバレート、tert-ブチルパーネオヘキサノエート、tert-ブチルパーイソブチレート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーイソノナノエート、tert-ブチルパーマレエート、tert-ブチルパーベンゾエート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジアセチルパーオキシジカーボネート、アリルパーエステル、クミルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパー-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、およびtert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートである。他の開始剤は、アゾ化合物、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、および2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)である。
【0028】
驚くべきことに、本発明によって求められる結果に関してさらに優れた結果が得られることから、本発明において、本発明によるアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーを、開始剤としてのtert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(TBPEH)、またはtert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(APO)、またはTBPEHとAPOとの組み合わせを用いて製造することが好ましいことを見出すことができた。しかし、特にジベンゾイルパーオキシド(BPO)を開始剤として用いて製造したアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーは、本発明の有益性にとってむしろ有害であり、適していないことが判明した。したがって、本発明により使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーが、開始剤としてBPOを用いずに製造されたものであることは、本発明の特に好ましい実施形態に相当する。
【0029】
さらに、アクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーの残留モノマー含有量が<1%であることは、本発明の特に好ましい実施形態に相当する。残留モノマー含有量は、慣用の方法により決定することができ、特に固形分により、またはGCやHPLCを用いて決定することができる。対応する組成物は、さらに特に低排出分である、本発明による特に有利なフォームを可能にする。
【0030】
本発明によりフォーム安定剤として使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーに加えて、本発明の趣意において所定の発泡剤が使用され、これには、3個、4個または5個の炭素原子を有する炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロハロオレフィン、酸素含有発泡剤、および/またはクロロハイドロカーボンが含まれる。
【0031】
発泡剤として、3個、4個もしくは5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくはシクロ-、イソ-および/もしくはn-ペンタン;ハイドロフルオロカーボン、好ましくはHFC 245fa、HFC 134aおよびHFC 365mfc;パーフルオロ化合物、例えばパーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサンおよび/もしくはパーフルオロヘキセン;ハイドロフルオロオレフィンまたはハイドロハロオレフィン、好ましくは1234ze、1234yf、1224yd、1233zd(E)および/もしくは1336mzz;酸素含有化合物、例えばギ酸メチル、アセトンおよび/もしくはジメトキシメタン;ならびに/またはクロロハイドロカーボン、好ましくはジクロロメタンおよび/もしくは1,2-ジクロロエタンが使用されることも、本発明のさらなる特に好ましい実施形態である。
【0032】
ポリオール成分100質量部に対するアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーの総量の質量割合が、0.1~10pphp、好ましくは0.5~5pphp、特に好ましくは1~4pphpであることも、本発明の好ましい実施形態である。
【0033】
本発明では、Si含有フォーム安定剤を排除することができる。この趣意において、Si含有フォーム安定剤を、フォーム安定剤の総量に対して15質量%未満、好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満、より好ましくは3質量%未満、さらにより好ましくは1質量%未満、特に0.5質量%未満の量で含むか、またはまったく含まない本発明による組成物は、本発明の好ましい実施形態に相当する。
【0034】
しかし、前述したように、本発明ではさらに、Si含有フォーム安定剤の併用も可能である。この趣意において、Si含有フォーム安定剤を、フォーム安定剤の総量に対して1質量%超、好ましくは10質量%超、特に20質量%超の量で含む本発明による組成物は、本発明の好ましい実施形態に相当する。このような実施形態において、例えば50質量%:50質量%の混合物も可能であり、すなわち、組成物は、本発明により使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーと、Si含有フォーム安定剤とを同一の部で含む。驚くべきことに、本発明により使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーは、Si含有フォーム安定剤の乳化能力を向上させることが判明した。
【0035】
本発明により使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーに加え、原則的に、従来技術により知られているすべてのフォーム安定化成分を追加的に使用することができる。
【0036】
本発明により使用可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーは、塊状で使用してもよいし、溶媒中で使用してもよい。ここで、PUフォームの製造に使用できるすべての適切な物質を使用することができる。好ましくは、例えばOH官能性化合物、ポリオール、難燃剤など、従来の処方ですでに使用されている物質を溶媒として使用することができる。
【0037】
本発明による好ましい組成物は、以下の成分:
a)上述した本発明によるアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマー、
b)少なくとも1つのポリオール成分、
c)少なくとも1つのポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートプレポリマー、
d)任意に、ポリオールb)とイソシアネートc)との反応を促進または制御する触媒、
e)任意に、さらなるフォーム安定剤、特に、対応するケイ素含有化合物、
f)上述した本発明による発泡剤、
g)任意に、さらなる添加剤、充填剤、難燃剤など
を含み、ここで、成分d)が必須に含まれていることが好ましい。
【0038】
本発明によるアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマー、および本発明による発泡剤に加えて、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する成分、好ましくはポリオール成分、触媒、ならびにポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートプレポリマーを使用してポリウレタンフォームを製造することも、本発明の好ましい実施形態に相当する。その場合、触媒は、特にポリオール成分を介して導入される。適切なポリオール成分、触媒、ポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートプレポリマーは当業者にはよく知られているが、以下でより詳細に説明する。
【0039】
本発明の趣意におけるポリオール成分b)として適切なポリオールは、2つ以上のイソシアネート反応性基、有利にはOH基を有するすべての有機物質、およびそれらの配合物である。好ましいポリオールは、ポリウレタン系、特にポリウレタンコーティング、ポリウレタンエラストマー、またはさらにはフォームの製造に慣習的に使用されるすべてのポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはヒドロキシル基含有脂肪族ポリカーボネート、特にポリエーテルポリカーボネートポリオール、および/または「天然油ベースのポリオール」(NOP)として知られる天然由来のポリオールである。ポリオールは通常、1.8~8の官能価、および500~15000の範囲の数平均分子量を有する。10~1200mgKOH/gの範囲の水酸基価を有するポリオールが通常使用される。
【0040】
硬質PUフォームの製造には、好ましくは、ポリオールまたはその混合物が使用されるが、ただし、ポリオール成分100質量部に対して、含まれるポリオールの少なくとも90質量部が、100より大きい、好ましくは150より大きい、特に200より大きい水酸基価を有することが条件となる。軟質フォームと硬質フォームとの基本的な違いは、軟質フォームは弾性的な挙動を示し、可逆的に変形可能であることである。軟質フォームに力を加えて変形させた場合、力を取り除くとすぐに元の形に戻る。それに対して、硬質フォームは永久的に変形する。このことは、当業者に周知である。
【0041】
ポリエーテルポリオールは、既知の方法によって製造することができ、例えば、触媒としてのアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシドもしくはアミンの存在下で、好ましくは2つもしくは3つの反応性水素原子を結合形態で含む少なくとも1つのスターター分子を添加してアルキレンオキシドをアニオン重合させることよって、またはルイス酸、例えば五塩化アンチモンもしくは三フッ化ホウ素エーテラートの存在下でのアルキレンオキシドのカチオン重合によって、または複合金属シアン化物触媒作用によって製造することができる。適切なアルキレンオキシドは、アルキレン基に2~4個の炭素原子を含む。例としては、テトラヒドロフラン、1,3-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、または2,3-ブチレンオキシドがあり、エチレンオキシド、および1,2-プロピレンオキシドが有利に使用される。アルキレンオキシドは、個別に、累積的に、ブロック状で、連続して交互に、または混合物として使用することができる。スチレンオキシドも適している。スターター分子として、特に、分子内に少なくとも2つ、有利には2~8個のヒドロキシル基を有するか、または少なくとも2つの第一級アミノ基を有する化合物が挙げられる。スターター分子として、例えば、水、二価、三価、もしくは四価のアルコール、例えばエチレングリコール、プロパン-1,2-ジオールおよびプロパン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヒマシ油など、高級多官能性ポリオール、特に糖化合物、例えばグルコース、ソルビトール、マンニトールおよびスクロース、多価フェノール、レゾール、例えばフェノールとホルムアルデヒドとのオリゴマー縮合生成物、およびフェノールとホルムアルデヒドとジアルカノールアミンとのマンニッヒ縮合物、ならびにメラミン、またはアミン、例えばアニリン、EDA、TDA、MDAおよびPMDA、特に好ましくはTDAおよびPMDAを使用することができる。適切なスターター分子の選択は、ポリウレタンの製造において得られるポリエーテルポリオールのそれぞれの適用分野に依存する。
【0042】
ポリエステルポリオールは、好ましくは2~12個の炭素原子を有する多価脂肪族または芳香族カルボン酸のエステルをベースとする。脂肪族カルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸およびフマル酸である。芳香族カルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、および異性体のナフタレンジカルボン酸である。ポリエステルポリオールは、これらの多価カルボン酸と、多価アルコール、有利には2~12個、特に好ましくは2~6個の炭素原子を有するジオールまたはトリオール、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびグリセリンとの縮合によって得られる。
【0043】
ポリエーテルポリカーボネートポリオールは、二酸化炭素をカーボネートとして結合形態で含むポリオールである。二酸化炭素は、化学工業の多くのプロセスで副生成物として大量に生成されるため、アルキレンオキシド重合におけるコモノマーとしての二酸化炭素の使用は、商業的観点から特に興味深い。ポリオール中のアルキレンオキシドを二酸化炭素で部分的に置き換えることは、ポリオールの製造コストを大幅に低下させる可能性を有する。さらに、コモノマーとしてのCO2の使用は、この反応が温室効果ガスからポリマーへの転化であることから、環境的観点から非常に有利である。触媒を使用してH官能性スターター物質にアルキレンオキシドおよび二酸化炭素を付加させることによるポリエーテルポリカーボネートポリオールの製造は、長い間知られている。ここでは、様々な触媒系を使用することができ、第1世代は、例えば米国特許第3900424号明細書または米国特許第3953383号明細書に記載されているような、不均一系の亜鉛またはアルミニウム塩であった。さらに、CO2とアルキレンオキシドとの共重合への単核および二核金属錯体の使用に成功している(国際公開第2010/028362号、国際公開第2009/130470号、国際公開第2013/022932号、または国際公開第2011/163133号)。二酸化炭素とアルキレンオキシドとの共重合のための最も重要な触媒系クラスは、DMC触媒とも呼ばれる複合金属シアン化物触媒のクラスである(米国特許第4500704号明細書、国際公開第2008/058913号)。適切なアルキレンオキシドおよびH官能性スターター物質は、上記のような、カーボネート不含のポリエーテルポリオールの製造にも使用されるものである。
【0044】
再生原料をベースとするポリオールである、ポリウレタンフォーム製造用の「天然油ベースのポリオール」(NOP)は、化石資源、すなわち石油、石炭、およびガスの入手可能性の長期的な制限に鑑み、また原油価格の上昇を背景として、重要性を増しており、そのような用途ですでに何度も説明されている(国際公開第2005/033167号、米国特許出願公開第2006/0293400号明細書、国際公開第2006/094227号、国際公開第2004/096882号、米国特許出願公開第2002/0103091号明細書、国際公開第2006/116456号、および欧州特許出願公開第1678232号明細書)。これらの一連のポリオールは、現在、様々なメーカーから市販されている(国際公開第2004/020497号、米国特許出願公開第2006/0229375号明細書、国際公開第2009/058367号)。ベース原料(例えば、大豆油、パーム油、またはヒマシ油)およびその後の後処理に応じて、異なる特性を有するポリオールが得られる。ここでは、実質的に2つの群に区別することができ、すなわち、a)再生原料をベースとするポリオールであって、ポリウレタンの製造に100%使用できるように改変されたもの(国際公開第2004/020497号、米国特許出願公開第2006/0229375号明細書)と、b)再生原料をベースとするポリオールであって、その後処理および特性により、石油化学ベースのポリオールを特定の割合でのみ置き換えることができるもの(国際公開第2009/058367号)とに区別することができる。
【0045】
使用可能なポリオールのさらなるクラスは、いわゆる充填ポリオール(ポリマーポリオール)である。これは、該ポリオールが、固体有機フィラーを固形分が40%以上になるまで分散分配形態で含むことを特徴とする。特にSAN、PHD、およびPIPAポリオールを使用することができる。SANポリオールは、スチレン-アクリロニトリル(SAN)をベースとするコポリマーを分散形態で含む反応性の高いポリオールである。PHDポリオールは、ポリ尿素を同様に分散形態で含む反応性の高いポリオールである。PIPAポリオールは、例えば従来のポリオール中でイソシアネートとアルカノールアミンとをその場で反応させることによって形成されたポリウレタンを分散形態で含む反応性の高いポリオールである。
【0046】
使用可能なポリオールのさらなるクラスは、有利には100:1~5:1、好ましくは50:1~10:1のモル比でポリオールとイソシアネートとを反応させることによりプレポリマーとして得られるものである。そのようなプレポリマーは、有利にはポリオール中に溶解した形態で調製され、その際、当該ポリオールは、好ましくは、プレポリマーの製造に使用されるポリオールに相応するものである。
【0047】
配合指数として表され、すなわちイソシアネート反応性基(例えば、OH基、NH基)に対するイソシアネート基の化学量論比に100を乗じたものとして表されるイソシアネートとポリオールとの好ましい比は、本発明の趣意において、10~1000の範囲であり、好ましくは40~500の範囲である。これは、本発明の好ましい実施形態に相当する。指数が100であることは、反応性基のモル比が1:1であることを表す。
【0048】
イソシアネート成分c)として、有利には2つ以上のイソシアネート官能基を有する1つ以上の有機ポリイソシアネートが使用される。ポリオール成分として、有利には2つ以上のイソシアネート反応性基、有利にはOH基を有する1つ以上のポリオールが使用される。
【0049】
本発明の趣意においてイソシアネート成分として適切なイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を含むすべてのイソシアネートである。総じて、自体公知のすべての脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、有利には芳香族の多官能性イソシアネートを使用することができる。特に好ましくは、イソシアネートは、イソシアネートを消費する成分の合計に対して、60~200mol%の範囲で使用される。
【0050】
ここで、例示的に、アルキレン基に4~12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、例えば、ドデカン-1,12-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、および有利にはヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート(HMDI);脂環式ジイソシアネート、例えばシクロヘキサン-1,3-およびシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ならびにこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、または略してIPDI)、ヘキサヒドロトルイレン-2,4-ジイソシアネートおよびヘキサヒドロトルイレン-2,6-ジイソシアネート、ならびに対応する異性体混合物;有利には芳香族ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、例えばトリレン-2,4-ジイソシアネートおよびトリレン-2,6-ジイソシアネート(TDI)、ならびに対応する異性体混合物、ナフタレンジイソシアネート、ジエチルトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネートおよびジフェニルメタン-2,2’-ジイソシアネート(MDI)とポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートとの混合物(粗MDI)、ならびに粗MDIとトリレンジイソシアネート(TDI)との混合物を挙げることができる。有機ジイソシアネートおよびポリイソシアネートは、個別に、またはそれらの混合物の形態で使用することができる。同様に、ジイソシアネートの対応する「オリゴマー」(イソシアヌレート、ビウレット、ウレトジオンをベースとするIPDI三量体)を使用することもできる。さらに、上述のイソシアネートをベースとするプレポリマーを使用することができる。
【0051】
ウレタン基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基、アロファネート基、および他の基を組み込むことによって修飾されたイソシアネート、いわゆる修飾イソシアネートを使用することも可能である。
【0052】
したがって、特に好ましく使用される特に適切な有機ポリイソシアネートは、トリレンジイソシアネートの様々な異性体(純粋な形態の、または様々な組成の異性体混合物としてのトリレン-2,4-ジイソシアネートおよびトリレン-2,6-ジイソシアネート(TDI))、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、いわゆる「粗MDI」または「ポリメリックMDI」(MDIの4,4’-異性体に加え、2,4’-および2,2’-異性体、ならびに多核生成物を含む)、ならびに「純MDI」と呼ばれ、主に2,4’-および4,4’-異性体混合物あるいはそのプレポリマーから構成される二核生成物である。特に適切なイソシアネートの例は、例えば、欧州特許出願公開第1712578号明細書、欧州特許出願公開第1161474号明細書、国際公開第00/58383号、米国特許出願公開第2007/0072951号明細書、欧州特許出願公開第1678232号明細書、および国際公開第2005/085310号に記載されており、これらは参照により完全に本明細書に援用される。
【0053】
本発明の趣意における、任意に使用可能な適切な触媒d)は、イソシアネートとOH官能基、NH官能基または他のイソシアネート反応性基との反応を加速することができるすべての化合物である。ここでは、例えば、アミン(環状、非環状のモノアミン、ジアミン、1つ以上のアミノ基を有するオリゴマー)、有機金属化合物および金属塩であって、有利には、鉄、ビスマスおよび亜鉛のものを含む、従来技術から知られている通常の触媒を使用することができる。特に複数の成分の混合物を触媒として使用することができる。
【0054】
スズ含有触媒を含まない本発明による組成物は、本発明が目的とする結果の実現に特に有利であることが判明した。したがって、スズ含有触媒を実質的に含まない本発明による組成物は、本発明の特に好ましい実施形態に相当する。後述する硬質ポリウレタンフォームの製造方法についても同様である。そこでもスズ含有触媒を実質的に使用しないことは、本発明の好ましい実施形態に相当する。
【0055】
成分e)は、本発明によるアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーではない、任意に適用可能なさらなるフォーム安定剤である。これは、有利には、望ましい気泡構造および発泡プロセスをさらに最適化するための界面活性ケイ素含有化合物であってよい。本発明において、フォームの生成(安定化、気泡制御、気泡開放度など)を促進するすべてのSi含有化合物を使用することができる。これらの化合物は、従来技術から十分に知られている。界面活性Si含有化合物としては、PUフォームの製造に適した既知のすべての化合物を使用することができる。
【0056】
本発明の趣意において使用可能な対応するシロキサン構造は、例えば、以下の特許文献に記載されているが、しかしこれらの特許文献では、成形フォーム、マットレス、断熱材、建築用フォームなど、古典的なポリウレタンフォームでの使用しか記載されていない:中国特許出願公開第103665385号明細書、中国特許出願公開第103657518号明細書、中国特許出願公開第103055759号明細書、中国特許出願公開第103044687号明細書、米国特許出願公開第2008/0125503号明細書、米国特許出願公開第2015/0057384号明細書、欧州特許出願公開第1520870号明細書、欧州特許出願公開第1211279号明細書、欧州特許出願公開第0867464号明細書、欧州特許出願公開第0867465号明細書、欧州特許出願公開第0275563号明細書。これらの文献は、参照により援用され、本発明の開示内容の一部を構成する。
【0057】
すでに上述したとおり、発泡剤f)の使用は必須である。本発明による少なくとも1つの発泡剤が必ず使用される。また、必要に応じてさらなる発泡剤を併用することもできる。化学発泡剤および物理発泡剤を用いて作業することができる。
【0058】
使用される発泡剤の合計量に応じて、高密度または低密度のフォームが製造される。例えば、5kg/m3~900kg/m3の密度を有するフォームを製造することができる。好ましい密度は、8~800kg/m3、特に好ましくは10~600kg/m3、特に30~150kg/m3である。
【0059】
物理発泡剤として、基本的に、適切な沸点を有する対応する化合物を使用することができる。同様に、基本的に、例えば水やギ酸といった、NCO基と反応してガスを放出する化学発泡剤を使用することも可能である。慣用の発泡剤の例は、液化CO2、窒素、空気、易揮発性液体である。
【0060】
任意の添加剤g)として、従来技術から知られており、かつポリウレタン、有利にはPUフォーム、特に硬質ポリウレタンフォームの製造時に使用されるすべての物質を使用することができ、例えば、架橋剤および鎖延長剤、酸化分解に対する安定剤(いわゆる酸化防止剤)、難燃剤、界面活性剤、殺生物剤、気泡微細化添加剤、気泡開放剤、固体フィラー、帯電防止添加剤、核剤、増粘剤、染料、顔料、カラーペースト、香料、乳化剤などを使用することができる。
【0061】
難燃剤として、本発明による組成物は、ポリウレタンフォームの製造に適したすべての既知の難燃剤を有することができる。本発明の趣意における適切な難燃剤は、好ましくは液状の有機リン化合物、例えば、ハロゲン不含の有機ホスフェート、例えば、トリエチルホスフェート(TEP);ハロゲン化ホスフェート、例えば、トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(TCPP)、およびトリス(2-クロロエチル)ホスフェート(TCEP);ならびに有機ホスホネート、例えば、ジメチルメタンホスホネート(DMMP)、ジメチルプロパンホスホネート(DMPP);または固形物、例えば、アンモニウムポリホスフェート(APP)、および赤リンである。さらに、難燃剤として、ハロゲン化化合物、例えば、ハロゲン化ポリオール;ならびに固形物、例えば、剥離黒鉛、酸化アルミニウム、アンチモン化合物、およびメラミンが適している。本発明によりアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーを使用することにより、非常に多量の難燃剤を使用することができ、また特に、例えばTEP、TCPP、TCEP、DMMPなどの液体難燃剤も使用することができる。しかし、このことは、通常であればどちらかというと不安定な配合物を生じさせる。
【0062】
本発明はさらに、1つ以上のポリオール成分と1つ以上のイソシアネート成分とを反応させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、該反応を、3個、4個または5個の炭素原子を有する炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロハロオレフィン、酸素含有発泡剤、および/またはクロロハイドロカーボンを含む発泡剤、ならびにフォーム安定剤としてのアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーの存在下で、特に上記のような本発明による組成物を使用して行う、方法を提供する。繰返しを避けるため、ここで上記の文章が参照される。特に、本発明の好ましい実施形態に関して、上記の文章が参照される。本発明によるアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーは、フォーム安定剤として作用する。
【0063】
本発明により使用可能な硬質PUフォームは、有利には5kg/m3~900kg/m3、好ましくは8~800kg/m3、特に好ましくは10~600kg/m3、特に20~150kg/m3の密度を有する。
【0064】
特に、独立気泡型の硬質PUフォームを得ることができ、その際、独立気泡率は、有利には>80%、好ましくは>90%である。これは、本発明の非常に特に好ましい実施形態に相当する。本発明の趣意において、独立気泡率の決定は、好ましくはピクノメーターによりDIN EN ISO 4590:2016-12に準拠して行われる。
【0065】
本発明による硬質PUフォームの製造方法は、既知の方法によって、例えば、ハンドミキシング法で、または好ましくは発泡機を用いて実施することができる。発泡機を使用して該方法を実施する場合には、高圧または低圧の機器を使用することができる。本発明による方法は、バッチ式でも連続的でも実施可能である。
【0066】
本発明の趣意における好ましい硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム配合物は、5~900kg/m3の密度を提供し、表1に示す組成を有する。
【0067】
【0068】
本発明による方法のさらに好ましい実施形態および構成については、さらに、本発明による組成物に関連してすでに上記で与えられた詳論、特にそこで挙げられた好ましい実施形態を参照されたい。
【0069】
本発明はさらに、上述の方法によって得られる硬質PUフォームを提供する。
【0070】
本発明によるさらなる好ましい実施形態によれば、硬質PUフォームは、5~900kg/m3、好ましくは8~750kg/m3、特に好ましくは10~350kg/m3、特に20~150kg/m3の密度を有し、独立気泡率は、有利には>80%、好ましくは>90%である。
【0071】
本発明による硬質ポリウレタンフォームは、有利には、上述したように、該硬質ポリウレタンフォームが、本発明による少なくとも1つのアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーを含み、かつ本発明による発泡剤を用いて、好ましくは本発明による方法によって得られることを特徴とする。
【0072】
本発明によるPUフォーム(ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム)は、硬質PUフォームであり、断熱材料、有利には遮断板、冷蔵庫、断熱フォーム、車両用シート、特に自動車用シート、ルーフライナー、マットレス、フィルターフォーム、包装フォーム、もしくは吹付けフォームとして、またはそれらの製造に使用することができる。
【0073】
特に冷蔵倉庫、冷蔵器具および家庭用器具産業において、例えば、屋根および壁用の遮断板の製造に、冷凍品用の容器および貯蔵倉庫内の断熱材料として、ならびに冷蔵および冷凍器具に、本発明によるPUフォーム、特に硬質PUフォームを有利には使用することができる。
【0074】
さらに好ましい適用分野は、自動車の組立、特に自動車のルーフライナー、車体部品、内装トリム、冷蔵車、大型コンテナ、輸送用パレット、包装用ラミネートの製造、家具産業、例えば家具部品、ドア、ライニング、電子機器用途である。
【0075】
本発明による冷却装置は、断熱材料として、本発明による硬質PUフォーム(ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム)を有する。
【0076】
本発明はさらに、冷却工業、冷却ユニット、建設分野、自動車分野、造船分野および/または電子機器分野における断熱材料としての、遮断板としての、吹付けフォームとしての、単一成分フォームとしての、硬質PUフォームの使用を提供する。
【0077】
本発明はさらに、改善された断熱特性を有する硬質ポリウレタンフォームを提供するための、上記のとおりのフォーム安定剤としてのアクリレートおよび/またはメタクリレートコポリマーと、上記のとおりの本発明による発泡剤とを含む本発明による組成物の使用に関する。
【0078】
本発明による主題は上記または下記に例示的に説明されるが、本発明はこれらの例示的な実施形態に限定されるものではない。上記または下記に範囲、一般式、または化合物クラスが示されている場合、これらは、明示的に言及されている対応する範囲または化合物群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を抽出して得られるすべての部分範囲および化合物の部分群をも含むものとする。さらに、本明細書で文献が引用されている場合、その内容、特に該文献が引用されている文脈での状況に関する内容は、完全に本発明の開示内容の一部を構成するものとする。特に記載がない限り、パーセントの数値は、質量パーセントの数値である。上記または下記に平均値が示されている場合、特に記載がない限り、重量平均である。測定により決定されたパラメータが上記または下記に示されている場合、特に記載がない限り、測定は、温度25℃、圧力101,325Paで行った。
【0079】
以下に示す実施例は、本発明を例示的に説明するものである。本発明の適用範囲は明細書全体および特許請求の範囲から明らかであり、本発明は、実施例に挙げられた実施形態に限定されるものではない。
【0080】
実施例:
実施例1:コポリマーA~Fの合成
コポリマーA:
還流冷却器およびN2導管、サーベルスターラー(200rpm)およびPt100デジタル内部温度計を備えた500mLの四ツ口フラスコに、30.01gのn-ブチルアセテートを装入し、油浴を145℃に加熱した。9.2gのTBPEH(tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート)、56.18gのイソブチルメタクリレート(i-BMA)、67.29gのMPEG500メタクリレート(MPEG500MA)、および2.21gの2-メルカプトエタノールの混合物を、チューブポンプを用いて4時間かけて供給した。この混合物をこの温度でさらに30分間撹拌した。混合物を80℃に冷却し、0.13gのTBPEHを10gのn-ブチルアセテートに溶解させたものを後反応のために供給し、80℃で2時間、混合物をさらに撹拌した。さらに5gのn-ブチルアセテートを加え、加熱せずに30分間、混合物をさらに撹拌した。
【0081】
DIN 55672-1:2016-03に準拠したGPC(溶離液:THF、標準物質:PMMA):Mw=5630g/mol、Mn=2560g/mol、PDI=2.2
【0082】
コポリマーB:
還流冷却器およびN2導管、サーベルスターラー(200rpm)およびPt100デジタル内部温度計を備えた500mLの四ツ口フラスコに、30.01gのn-ブチルアセテートを装入し、油浴を145℃に加熱した。9.2gのTBPEH、54.69gのイソデシルメタクリレート(IDMA)、68.77gのMPEG500MA、および2.21gの2-メルカプトエタノールの混合物を、チューブポンプを用いて4時間かけて供給した。この混合物をこの温度でさらに30分間撹拌した。混合物を80℃に冷却し、0.13gのTBPEHを10gのn-ブチルアセテートに溶解させたものを後反応のために供給し、80℃で2時間、混合物をさらに撹拌した。さらに5gのn-ブチルアセテートを加え、加熱せずに30分間、混合物をさらに撹拌した。
【0083】
DIN 55672-1:2016-03に準拠したGPC(溶離液:THF、標準物質:PMMA):Mw=5250g/mol、Mn=2410g/mol、PDI=2.2
【0084】
コポリマーC:
還流冷却器およびN2導管、サーベルスターラー(200rpm)およびPt100デジタル内部温度計を備えた500mLの四ツ口フラスコに、30.01gのn-ブチルアセテートを装入し、油浴を145℃に加熱した。20.75gのBP-50-FT (BPO)、50.92gのi-BMA、60.99gのMPEG500MA、および2.21gの2-メルカプトエタノールの混合物を、チューブポンプを用いて4時間かけて供給した。この混合物をこの温度でさらに30分間撹拌した。混合物を80℃に冷却し、0.13gのBP-50-FTを10gのn-ブチルアセテートに溶解させたものを後反応のために供給し、80℃で2時間、混合物をさらに撹拌した。さらに5gのn-ブチルアセテートを加え、加熱せずに30分間、混合物をさらに撹拌した。
【0085】
DIN 55672-1:2016-03に準拠したGPC(溶離液:THF、標準物質:PMMA):Mw=6350g/mol、Mn=4080g/mol、PDI=1.6
【0086】
コポリマーD:
還流冷却器およびN2導管、サーベルスターラー(100rpm)およびPt100デジタル内部温度計を備えた1000mLの四ツ口フラスコに、265.05gの石油ベンジン(bp 100~120℃)および265.05gのトルエンの混合物を装入し、油浴を135℃に加熱した。4.43gのBP-50-FT、90.59gのC17.4MA(ステアリルメタクリレート)、55.02gのMPEG350MA(MPEG350メタクリレート)、および19.06gのi-BMAの混合物を、チューブポンプを用いて5時間かけて供給した。供給完了後、0.40gのBP-50-FTを後反応のために加え、さらに2時間、混合物を撹拌した。これを室温まで冷却し、このバッチを撹拌せずに一晩フラスコ内に放置した。油浴を再び130℃に加熱し、再び0.40gのBP-50-FTを加え、混合物を3時間撹拌した。
【0087】
この混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、溶媒混合物を完全に除去した。無溶媒の150gのポリマーを、150gのn-ブチルアセテートに溶解させた。
【0088】
DIN 55672-1:2016-03に準拠したGPC(溶離液:THF、標準物質:PMMA):Mw=14900g/mol、Mn=8610g/mol、PDI=1.7
【0089】
コポリマーE:
還流冷却器およびN2導管、滴下漏斗、KPG撹拌機(200rpm)およびPt100デジタル内部温度計を備えた500mLの四ツ口フラスコに、29.9gのn-ブチルアセテートを装入し、油浴を145℃に加熱した。9.8gのAPO、56.0gのi-BMA、67.1gのMPEG500MA、2.2gの2-メルカプトエタノールの混合物を4時間かけて滴加した。その際、最初に4秒に1滴の滴下速度で1.5時間かけて滴加し、次いで2秒に1滴の滴下速度でさらに2.5時間かけて滴加し、この混合物をこの温度でさらに30分間撹拌した。混合物を80℃まで冷却し、0.14gのAPOを10gのn-ブチルアセテートに溶解させたものを後反応のために供給した。さらに15gのイソブチルアセテートを加え、加熱せずに30分間、混合物をさらに撹拌した。
【0090】
DIN 55672-1:2016-03に準拠したGPC(溶離液:THF、標準物質:PMMA):Mw=8474g/mol、Mn=2426g/mol、PDI=3.5
【0091】
コポリマーF:
還流冷却器およびN2導管、滴下漏斗、KPG撹拌機(200rpm)およびPt100デジタル内部温度計を備えた550mLの四ツ口フラスコに、29.9gのn-ブチルアセテートを装入し、油浴を145℃に加熱した。9.8gのAPO、56.0gのi-BMA、67.1gのMPEG500MA、2.2gの2-メルカプトエタノールの混合物を、連続的に4時間かけて2秒に1滴の滴下速度で滴加し、この混合物をこの温度でさらに30分間撹拌した。混合物を80℃まで冷却し、0.14gのAPOを10gのn-ブチルアセテートに溶解させたものを後反応のために供給した。さらに15gのイソブチルアセテートを加え、加熱せずに30分間さらに撹拌した。
【0092】
DIN 55672-1:2016-03に準拠したGPC(溶離液:THF、標準物質:PMMA):Mw=6181g/mol、Mn=2276g/mol、PDI=2.7
【0093】
実施例2:硬質PURフォーム
応用技術的比較のために、以下のフォーム配合を用いた:
【表2】
【0094】
比較の発泡を、ハンドミキシング法で行った。このために、ポリオール、触媒、水、フォーム安定剤、および発泡剤をビーカーに秤り入れ、ディスク型スターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。混合の過程で蒸発した発泡剤の量を再度秤量して求め、補充した。ここでMDIを加え、反応混合物を記載のスターラーにて2500rpmで7秒間撹拌し、直ちに27.5×14×14cmのサイズ(幅×高さ×奥行き)の開放した金型に移した。
【0095】
10分後、フォームを離型した。発泡の1日後に、フォームを分析した。細孔構造を1~10のスケールで主観的に評価し、その際、10は、(理想的な)欠陥のない非常に微細なフォームを表し、1は、非常に強度の欠陥を有する粗いフォームを表す。
【0096】
【0097】
これらの結果から、特にコポリマーA、B、ならびにEおよびFを用いることで、シロキサンベースの気泡安定剤と同程度かそれをわずかに上回る細孔構造およびフォーム品質を達成できることが判る。
【0098】
使用に関連する他のいずれのフォーム特性も、本発明によるコポリマーの影響を受けないか、またはごくわずかにしか影響を受けない。
【0099】
実施例3:硬質PIRフォーム
応用技術的比較のために、以下のフォーム配合を用いた:
【表4】
【0100】
比較の発泡を、ハンドミキシング法で行った。このために、ポリオール、触媒、水、フォーム安定剤、および発泡剤をビーカーに秤り入れ、ディスク型スターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。混合の過程で蒸発した発泡剤の量を再度秤量して求め、補充した。ここでMDIを加え、反応混合物を記載のスターラーにて3000rpmで5秒間撹拌し、直ちに27.5×14×14cmのサイズ(幅×高さ×奥行き)の開放した金型に移した。
【0101】
10分後、フォームを離型した。発泡の1日後に、フォームを分析した。細孔構造を1~10のスケールで主観的に評価し、その際、10は、(理想的な)欠陥のない非常に微細なフォームを表し、1は、非常に強度の欠陥を有する粗いフォームを表す。
【0102】
【0103】
これらの結果から、特にコポリマーA、B、ならびにEおよびFを用いることで、シロキサンベースの気泡安定剤と同程度かそれをわずかに上回る細孔構造およびフォーム品質を達成できることが判る。
【0104】
使用に関連する他のいずれのフォーム特性も、本発明によるコポリマーの影響を受けないか、またはごくわずかにしか影響を受けない。
【0105】
実施例4:硬質PIRフォーム
応用技術的比較のために、以下のフォーム配合を用いた:
【表6】
【0106】
比較の発泡を、ハンドミキシング法で行った。このために、ポリオール、触媒、水、フォーム安定剤、難燃剤、および発泡剤をビーカーに秤り入れ、ディスク型スターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。混合の過程で蒸発した発泡剤の量を再度秤量して求め、補充した。ここでMDIを加え、反応混合物を記載のスターラーにて3000rpmで5秒間撹拌し、直ちに、ポリエチレンフィルムで裏打ちされた、60℃に調温した25cm×50cm×7cmのサイズのアルミニウム金型に移した。
【0107】
10分後、フォームを離型した。発泡の1日後に、フォームを分析した。表面および内部欠陥を1~10のスケールで主観的に評価し、その際、10は、(理想的な)欠陥のないフォームを表し、1は、非常に強度の欠陥を有するフォームを表す。厚さ2.5cmのシートで、Hesto Lambda Control、HLC X206型の機器を使用して、規格EN12667:2001の規定に従って平均温度10℃で熱伝導率(λ値(mW/m・K))を測定した。
【0108】
【0109】
これらの結果から、特にコポリマーAおよびBを用いることで、シロキサンベースの気泡安定剤と同程度かそれをわずかに上回るフォーム品質および熱伝導率を達成できることが判る。
【0110】
使用に関連する他のいずれのフォーム特性も、本発明によるコポリマーの影響を受けないか、またはごくわずかにしか影響を受けない。
【0111】
実施例5:硬質PIRフォーム
応用技術的比較のために、以下のフォーム配合を用いた:
【表8】
【0112】
比較の発泡を、ハンドミキシング法で行った。このために、ポリオール、触媒、水、フォーム安定剤、難燃剤、および発泡剤をビーカーに秤り入れ、ディスク型スターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。混合の過程で蒸発した発泡剤の量を再度秤量して求め、補充した。ここでMDIを加え、反応混合物を記載のスターラーにて3000rpmで5秒間撹拌し、直ちに、ポリエチレンフィルムで裏打ちされた、60℃に調温した25cm×50cm×7cmのサイズのアルミニウム金型に移した。
【0113】
10分後、フォーム材料を離型した。発泡の1日後に、フォーム材料を分析した。表面および内部欠陥を1~10のスケールで主観的に評価し、その際、10は、(理想的な)欠陥のないフォームを表し、1は、非常に強度の欠陥を有するフォームを表す。厚さ2.5cmのシートで、Hesto Lambda Control、HLC X206型の機器を使用して、規格EN12667:2001の規定に従って平均温度10℃で熱伝導率(λ値(mW/m・K))を測定した。
【0114】
【0115】
これらの結果から、特にコポリマーAおよびBを用いることで、シロキサンベースの気泡安定剤と同程度のフォーム品質および熱伝導率を達成できることが判る。
【0116】
使用に関連する他のいずれのフォーム特性も、本発明によるコポリマーの影響を受けないか、またはごくわずかにしか影響を受けない。