(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-21
(45)【発行日】2025-08-29
(54)【発明の名称】スマートグラス、脱毛支援システム及び脱毛施術における表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20250822BHJP
G09G 3/00 20060101ALI20250822BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G09G3/00 Z
(21)【出願番号】P 2024039168
(22)【出願日】2024-03-13
【審査請求日】2025-03-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031783
【氏名又は名称】サミー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】江口 隼吾
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲朗
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-189591(JP,A)
【文献】特開2016-149587(JP,A)
【文献】特開2022-061918(JP,A)
【文献】特開2023-115768(JP,A)
【文献】特開2006-099329(JP,A)
【文献】特開2009-224886(JP,A)
【文献】特開2021-068296(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103415(WO,A1)
【文献】特開2007-143602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
G09G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施術を受けるユーザによって装着され、仮想コンテンツの表示が可能なスマートグラスであって、
前記スマートグラスはユーザの目を保護するための手段を備えて構成され、
施術者によって入力される施術者操作情報に基づき、特定の仮想コンテンツを表示装置に表示する表示制御部を備え
、
前記表示制御部は、前記施術者によって施術サポート情報が選択されると、前記施術サポート情報を前記特定の仮想コンテンツに重畳して表示する、スマートグラス。
【請求項2】
前記施術者操作情報に基づき、複数の仮想コンテンツの中から前記特定の仮想コンテンツを選択する選択部をさらに備え、
前記表示制御部は、選択された前記特定の仮想コンテンツを表示装置に表示する、請求項1に記載のスマートグラス。
【請求項3】
請求項1に記載のスマートグラスと、
施術者が操作する施術者端末と、前記ユーザの施術に関わる施術関連情報を
前記施術者端末に送信するユーザ端末と、
を備えたシステムであって、前記施術者端末は、前記ユーザ端末から送信される前記施術関連情報をディスプレイに表示する、脱毛支援システム。
【請求項4】
前記ユーザの施術中に前記表示装置に表示していた前記仮想コンテンツの履歴を、表示履歴情報として記憶する記憶部をさらに備える、請求項3に記載の脱毛支援システム。
【請求項5】
前記ユーザと前記施術者との間の会話を、会話情報として記録する記録部をさらに備える、請求項3または4に記載の脱毛支援システム。
【請求項6】
前記会話情報を解析することで、前記ユーザの個人情報を抽出する抽出部をさらに備え、
前記記録部は、抽出された前記個人情報と前記会話情報とを対応づけて記録
し、
前記施術者端末は、前記施術者の要求操作に応じて施術中のユーザの前記個人情報の確認が可能であるとともに、前記個人情報に基づいて広告を選択し、選択した広告を前記特定の仮想コンテンツに挿入して表示することが可能である、請求項5に記載の脱毛支援システム。
【請求項7】
前記ユーザの課金を受け付ける受付部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記課金に応じた前記特定の仮想コンテンツを前記表示装置に表示する、請求項1または2に記載のスマートグラス。
【請求項8】
カメラをさらに備え、
前記表示制御部は、前記カメラによって取得される撮像データを前記表示装置に表示する、請求項1または2に記載のスマートグラス。
【請求項9】
施術を受けるユーザが視認可能な表示装置の制御方法であって、
施術者によって入力される操作情報に基づき、特定の仮想コンテンツを前記表示装置に表示するステップ
と、
前記ユーザと前記施術者との間の会話を、会話情報として記録する記録ステップと、
前記会話情報を解析することで、前記ユーザの個人情報を抽出する抽出ステップと、を含み、
前記記録ステップは、抽出された前記個人情報と前記会話情報とを対応づけて記録し、
前記施術者が操作する施術者端末は、前記施術者の要求操作に応じて施術中のユーザの前記個人情報の確認が可能であるとともに、前記個人情報に基づいて広告を選択し、選択した広告を前記特定の仮想コンテンツに挿入して表示することが可能であり、施術後のタイミングでユーザが所持する端末に対して、表示した広告に関連するサイトにアクセス可能な情報を案内可能に制御する、施術における表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートグラス、脱毛支援システム及び脱毛施術における表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
性別、年齢等を問わず、美に対するあこがれ、特に容姿に対するあこがれは強い。全身の美容を業として行う施設として、脱毛を行う脱毛サロン(以下、単に「サロン」)などが知られている。サロンには、脱毛の施術等をおこなうために様々な脱毛機器が設置されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、脱毛施術中においては、脱毛機器から強いレーザ光が照射される。脱毛機器から照射されたレーザ光が、誤ってユーザの目に入ってしまうと失明してしまう危険があるため、アイマスクやゴーグルなどでユーザの目を覆って照射している。
【0005】
このように、脱毛施術中はアイマスクやゴーグルなどで目を覆う必要があるため、多くのユーザは、施術中の時間の過ごし方に戸惑いを感じている。特に、多忙を極める現代人は、脱毛の施術に要する時間を無駄に過ごしたくないという強い思いがあるが、かかる欲求に応える技術は未だ存在しない。
【0006】
そこで、本発明は、脱毛施術を受けるユーザが、施術中に充実した時間を過ごすことができる脱毛支援技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るスマートグラスは、脱毛施術を受けるユーザによって装着され、仮想コンテンツの表示が可能なスマートグラスであって、施術者によって入力される施術者操作情報に基づき、特定の仮想コンテンツを表示装置に表示する表示制御部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、脱毛施術を受けるユーザが、施術中に充実した時間を過ごすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る脱毛支援システムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】施術者端末、ユーザ端末、スマートグラス及びサーバ装置の主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】施術者端末の主要な機能ブロック構成の一例を示す図である。
【
図5】ユーザ端末の主要な機能ブロック構成の一例を示す図である。
【
図6】スマートグラスの主要な機能ブロック構成の一例を示す図である。
【
図7】サーバ装置の主要な機能ブロック構成の一例を示す図である。
【
図8】サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
<本開示に係る技術の概要>
本開示に係る技術は、例えばAR(Augmented Reality)やVR(Virtual Reality)向けのスマートグラスを脱毛の支援ツールとして利用する。脱毛の施術が行われている間、ユーザにスマートグラスを装着させることで、レーザ光からユーザの目を保護しつつ、スマートグラスに表示される仮想コンテンツをユーザに楽しんでもらうことが可能となる。
【0012】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る脱毛支援システム100のシステム構成例を示す図である。脱毛支援システム100は、脱毛機器10と、施術者端末20と、ユーザ端末30と、スマートグラス40と、サーバ装置50とを含む。
【0013】
脱毛機器10と施術者端末20とユーザ端末30とスマートグラス40とサーバ装置50とは、通信ネットワークNを介して互接続されている。通信ネットワークNは、データ通信が可能な通信路を意味し、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLAN(Local Area Network)の他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む意味であり、また、通信方法については有線/無線を問わない。
【0014】
脱毛機器10は、例えば様々な波長のレーザ出力が可能なレーザ脱毛器などによって構成され、脱毛を施術する各サロンに設置される。脱毛機器10は、施術者がユーザの要求に応じてひげや腕、脚などの部位を脱毛する際に利用される。
【0015】
施術者端末20は、施術者が施術に関わる様々な指示を入力するほか、スマートグラス40で再生される様々な仮想コンテンツ(静止画、動画データなど)に対し、施術に関する案内や広告など(詳細は後述)を挿入したりするための端末である。施術者端末20は、例えばノートPC、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機など、通信機能を備えたあらゆる端末を用いることができる。
【0016】
ユーザ端末30は、脱毛の施術を受けるユーザが操作したり、施術中(及び/または施術前後)のユーザの様々な情報を取得するための端末である。ユーザ端末30は、ユーザが操作可能な様々な操作子OP(例えば、操作ボタンや操作スイッチなど)や、ユーザの生体情報(例えば、心拍数、体温、加速度や圧力など)を検知するための生体センサBSを備えている。ユーザ端末30は、操作子OP、生体センサBS及び通信機能を備えた端末であればあらゆる端末を用いることができ、例えば専用または汎用のタブレット端末やパーソナルコンピュータなどで構成することができる。ユーザ端末30は、施術中のユーザが操作可能な位置(例えば、施術用のベッドの近傍など)に設けてもよい。また、ユーザ端末30の受け渡しは、例えば受付終了時にユーザがサロンから受け取り、施術終了後にサロンに返却するといった流れで進めてもよい。
【0017】
スマートグラス40は、例えば眼鏡型の形状を採用したARグラスやVRグラスによって構成されている。スマートグラス40のディスプレイ(表示装置)は、眼鏡のレンズ部分に対応し、施術者やユーザの指示に従って所望の仮想コンテンツを表示する。スマートグラス40は、施術中のユーザの目を確実に保護するために、光遮断用のスポンジアイマスクなどを備える構成であってもよい。スマートグラス40は、後述するカメラや各種センサ類、ボタンやスピーカ、コントローラなどを備えており、外部と有線または無線接続可能となっている。なお、スマートグラス40は、ユーザが頭部に装着可能なHMD(Head Mounted Display)であってもよい。
【0018】
サーバ装置50は、施術者端末20やユーザ端末30から送信される様々な指示に従い、スマートグラス40に表示する仮想コンテンツを制御する。サーバ装置50は、1又は複数のサーバから構成されていてもよいし、クラウドサーバを利用して構成されていてもよい。
【0019】
詳細は後述するが、サーバ装置50は、ユーザが希望する特定の仮想コンテンツ(例えば、美容系の動画コンテンツなど)を、スマートグラス40で再生(表示)するだけでなく、再生中の仮想コンテンツに、施術サポート情報(例えば「右を向いてください」)や広告情報(例えば「〇×サロンのおすすめ商品!」)を重畳して表示することが可能となっている。施術サポート情報や広告情報などは、施術者が施術者端末20を利用して選択等することが可能となっている。以下では説明の便宜上、仮想コンテンツに重畳して表示される施術サポート情報や広告情報などを、「サブコンテンツ情報」と総称する。
【0020】
<ハードウェア構成>
図2は、施術者端末20、ユーザ端末30、スマートグラス40及びサーバ装置50の主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0021】
施術者端末20、ユーザ端末30、スマートグラス40及びサーバ装置50は、プロセッサ1、メモリ2、記憶装置3、有線又は無線通信を行う通信装置4、入力装置5、出力装置6などを備える。
【0022】
プロセッサ1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などであり、装置全体を統括的に制御する。
【0023】
メモリ2は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。
【0024】
記憶装置3は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0025】
通信装置4は、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行う装置であり、例えば、ネットワークカード、通信モジュールなどである。
【0026】
入力装置5は、例えば操作ボタン、タッチパネル、及び/又はマイク等であり、出力装置6は、例えばディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0027】
スマートグラス40は、これらのハードウェアに加えて、カメラCAを備えていてもよい。カメラCAは、例えばスマートグラス40のフレームの端部に設けられ、スマートグラス40を装着するユーザの視野に含まれる実空間の像を撮像する。カメラCAは、例えばCCD(Charge Coupled Devices)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子を用いて構成されてもよい。
【0028】
<機能ブロック構成>
(施術者端末20)
図3は、施術者端末20の主要な機能ブロック構成の一例を示す図である。施術者端末20は、記憶部210と、指示入力部220と、通信部230とを含む。記憶部210は、記憶装置3により実現されてもよく、指示入力部220は、入力装置5に加えてプロセッサ1が、記憶装置3に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。通信部230は、通信装置4により実現されてもよいし、通信装置4に加えてプロセッサ1が記憶装置3に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0029】
記憶部210は、様々な制御プログラムや各種データを記憶する。制御プログラムの中には、サロン向けのアプリケーションプログラム(以下、「サロン向けアプリ」)AP1が含まれる。施術者端末20は、サロン向けアプリAP1を実行することによって、以下に示す様々な機能を実現する。
図4A~
図4Dに、施術者端末20のディスプレイDに表示される各機能に対応した画面例を示す。
【0030】
(1)スタンプ機能
スタンプ機能は、ユーザが視聴している仮想コンテンツに対し、例えば「右を向いてください」、「左を向いてください」といった施術サポート情報を重畳させる(すなわち、スタンプさせる)ための機能である(
図4A参照)。施術者端末20のディスプレイDには、ユーザが視聴している仮想コンテンツVCが表示される。施術者は、例えば脱毛の施術箇所などに応じて、適宜スタンプボタンB1などを操作する。かかるスタンプボタンB1の操作がなされると、施術者端末20は、サーバ装置50に対して、ユーザが視聴中の仮想コンテンツVCに、選択されたスタンプ(例えば、「左脚を外側に開いてください」)SPを重畳すべき指示を送る。サーバ装置50は、かかる指示を受け、ユーザが視聴中の仮想コンテンツVCに、選択されたスタンプSPを重畳して表示する(
図4A参照)。スタンプ機能により、施術者は、ユーザに伝えるのが難しい体の動きなどを、ビジュアルでわかりやすく伝達することが可能となる。ここでは、施術サポート情報の一例としてスタンプSPを例示したが、これに限る趣旨ではない。施術者がオリジナルのメッセージ(テキストや音声など)を作成し、これを施術サポート情報として仮想コンテンツVCに重畳して表示(または出力)してもよい。
【0031】
(2)広告選択機能
広告選択機能は、ユーザが視聴している仮想コンテンツに対し、例えばユーザが興味を示しそうな広告を選択・挿入(再生)するための機能である(
図4B参照)。施術者は、ユーザとのこれまでの会話のやりとりや、ユーザの個人情報(例えば、年齢、性別、アンケート結果など)に基づき、適宜広告選択ボタンB2などを操作し、ユーザが興味を示しそうな広告CMを選択する。かかる操作がなされると、施術者端末20は、サーバ装置50に対して、ユーザが視聴中の仮想コンテンツVCに、選択された広告(例えば、「〇×化粧品 最高!」)CMを挿入すべき指示を送る。サーバ装置50は、かかる指示を受け、ユーザが視聴中の仮想コンテンツVCに、選択された広告CMを挿入して表示する。なお、サーバ装置50は、施術後のいずれかのタイミングで、ユーザが所持する端末に対し、視聴された広告に関連するサイト(例えば、化粧品メーカーのECサイト)にアクセスできるWebページを案内してもよい。
【0032】
(3)ユーザの個人情報確認機能
ユーザ情報確認機能は、施術中のユーザの個人情報を確認するための機能である(
図4C参照)。施術者は、お客様情報ボタンB3などを操作する。かかる操作がなされると、施術者端末20は、サーバ装置50に対して、現在施術中のユーザの個人情報PIをディスプレイDに表示すべき指示を送る。サーバ装置50は、かかる指示を受け、現在施術中のユーザの個人情報PIをディスプレイDに表示する。個人情報PIには、例えばユーザの生年月日、住所、来店回数、興味のあるジャンルなどの基本情報だけでなく、当該ユーザがこれまでに視聴した仮想コンテンツの履歴をあらわす視聴履歴情報や、当該ユーザが過去に来店した時の担当施術者などが記録したメモ情報などが含まれる。視聴履歴情報には、例えば所定期間分(例えば、直近1年分など)の視聴履歴を時系列で表示するための情報が含まれていてもよく、メモ情報には、例えばユーザのこだわりや、悩み、性格などを表示するための情報が含まれていてもよい。視聴履歴情報やメモ情報などは、記憶部210に記憶される。
【0033】
(4)ユーザ切替機能
ユーザ切替機能は、例えば来店経験のある複数のユーザの中から、現在、施術中のユーザを特定(設定)するための機能である(
図4D参照)。施術者は、顧客切替ボタンB4などを操作することで、現在施術中のユーザを設定する。かかる操作がなされると、施術者端末20は、サーバ装置50に対して、複数のユーザの中から、現在、施術中のユーザを設定すべき指示を送る。サーバ装置50は、かかる指示を受け、施術中のユーザのステータスSTを「設定中」に切り替えてディスプレイDに表示する。
【0034】
(5)会話記録機能
会話記録機能は、例えば施術者とユーザとの間で行われる会話を記録するための機能である。施術者は、所定のボタン操作を行うことで、会話記録の開始または終了を設定する。かかる操作がなされると、施術者端末20は、サーバ装置50に対して、会話の記録を開始または終了すべき指示を送る。サーバ装置50は、かかる指示を受け、会話の記録を開始または終了する。サーバ装置(記録部)50は、各ユーザに対応づけて会話の内容を示す会話情報をデータベースなどに記憶(記録)するとともに、施術者端末20に送る。施術者端末(記録部)20は、会話情報を記憶部210に記憶(記録)する。なお、施術者によるボタン操作に代えて、施術者端末20が施術者とユーザとの間で行われる会話の開始または終了を検知し、自動で会話の記録を開始または終了してもよい。
【0035】
(6)個人情報抽出機能
個人情報抽出機能は、例えば施術者とユーザとの間で行われる会話を解析し、解析結果に基づいてユーザの個人情報(具体的には、ユーザの趣味、関心分野、家族構成、これまでに受けた施術回数など)を抽出するための機能である。施術者端末20は、会話記録機能によって会話情報を取得すると、サーバ装置50に対して、会話情報を解析し、ユーザの個人情報を抽出すべき指示を送る。サーバ装置(抽出部)50は、かかる指示を受け、ユーザの個人情報の抽出を行う。サーバ装置(記録部)50は、ユーザの個人情報を抽出すると、抽出したユーザの個人情報と会話情報とを対応づけてデータベースなどに記憶(記録)するとともに、施術者端末20に送る。施術者端末(記録部)20は、ユーザの個人情報と会話情報とを対応づけて記憶部210に記憶(記録)する。なお、会話の記録や個人情報の抽出などは、施術者端末20が自ら実行するようにしてもよい。
【0036】
サロン向けアプリAP1は、以上説明した(1)~(6)に示す機能以外にも、各サロに固有のアカウントを設定するためのアカウント設定機能や、最新のニュース(お知らせ)を提供するためのお知らせ機能など、様々な機能を提供する。以下では説明の便宜上、サロン向けアプリAP1によって提供される様々な機能を「拡張機能」と総称する。
【0037】
図3に戻り、指示入力部220は、施術者から様々な操作指示の入力を受け付け、施術者操作情報として通信部230に出力する。通信部230は、サーバ装置50との間で、施術者操作情報を含む様々な情報を授受する。
【0038】
(ユーザ端末30)
図5は、ユーザ端末30の主要な機能ブロック構成の一例を示す図である。ユーザ端末30は、記憶部310と、センサ部320と、指示入力部330と、通信部340とを含む。記憶部210は、記憶装置3により実現されてもよく、センサ部320は、生体センサBSにより実現されてもよく、指示入力部330は、操作子OPに加えてプロセッサ1が、記憶装置3に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。通信部340は、通信装置4により実現されてもよいし、通信装置4に加えてプロセッサ1が記憶装置3に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0039】
記憶部310は、様々な制御プログラムや各種データを記憶する。センサ部320は、施術中(または施術前後)のユーザに取り付けられ、生体センサBSによってユーザの生体情報(例えば、心拍数、体温など)が検出されると、これを通信部340に出力する。指示入力部330は、ユーザから様々な操作指示の入力を受け付け、ユーザ操作情報として通信部340に出力する。ユーザ操作情報には、施術に関するユーザの痛みやユーザの意向を伝える情報(例えば、脱毛の痛みの強度やレーザ出力の調整など)が含まれる。通信部340は、サーバ装置50との間で、生体情報やユーザ操作情報を含む様々な情報を授受する。なお、生体情報やユーザ操作情報(施術関連情報)は、サーバ装置50から施術者端末20に送信され、施術者端末20のディスプレイに表示される。施術者は、ディスプレイに表示される生体情報やユーザ操作情報から、例えばユーザが痛がっていることが判明した場合には、施術内容の変更をユーザに提案するなど、ユーザに寄り添った施術が可能となる。
【0040】
(スマートグラス40)
図6は、スマートグラス40の主要な機能ブロック構成の一例を示す図である。スマートグラス40は、制御部410と、画像取得部420と、表示制御部430と、通信部440を含む。制御部410及び表示制御部430は、プロセッサ1が、記憶装置3に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよく、画像取得部420は、カメラCAに加えてプロセッサ1が、記憶装置3に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0041】
制御部410は、スマートグラス40の各部を統括的に制御する。画像取得部420は、カメラCAが撮像した実空間の画像を撮像データとして取得する。画像取得部420は、取得した撮像データを表示制御部430に出力する。表示制御部430は、ディスプレイに対する仮想コンテンツの表示を制御するとともに、カメラCAによって撮像データが取得された場合には、仮想コンテンツに撮像データを重畳して表示する制御を行う。通信部440は、サーバ装置50から仮想コンテンツを含む様々な情報を授受する。
【0042】
(サーバ装置50)
図7は、サーバ装置50の主要な機能ブロック構成の一例を示す図である。サーバ装置50は、記憶部510と、制御部520と、通信部530とを含む。記憶部510は、記憶装置3により実現されてもよく、制御部520は、プロセッサ1が、記憶装置3に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。通信部530は、通信装置4により実現されてもよいし、通信装置4に加えてプロセッサ1が記憶装置3に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0043】
記憶部510は、様々な制御プログラムや各種データを記憶する。制御プログラムの中には、本システム100を運営する運営者用のアプリケーションプログラム(以下、「運営アプリ」)AP2が含まれる。サーバ装置50は、運営アプリAP2を実行することによって、施術者端末20、ユーザ端末30、スマートグラス40の動作などを一元的に管理する。
【0044】
記憶部510は、ユーザデータベースDB1、サロンデータベースDB2、仮想コンテンツデータベースDB3、サブコンテンツデータベースDB4、EC関連データベースDB5を備えている。
【0045】
ユーザデータベースDB1には、サロンの顧客であるユーザごとに、ユーザID、氏名、住所、電話番号、電子メールアドレスなどのほか、すでに説明した各ユーザの個人情報(すなわち、基本情報、視聴履歴情報、メモ情報など)が登録されている。
サロンデータベースDB2には、サロンごとに、サロンID、住所、電話番号、電子メールアドレス、施術者、設置されている脱毛機器10に関する情報などが登録されている。
【0046】
仮想コンテンツデータベースDB3には、仮想コンテンツごとに、コンテンツID、コンテンツのジャンル、コンテンツデータなどが登録されている。コンテンツデータは、例えばコンテンツ提供者(図示略)などによって提供される。コンテンツのジャンルは特に制限されないが、例えば美容、ゴルフ、英会話、バラエティ、・・・ヒーリング等が挙げられる。
【0047】
サブコンテンツデータベースDB4には、仮想コンテンツに重畳して表示されるサブコンテンツ情報、すなわち、施術サポート情報や広告情報などが登録されている。
EC関連データベースDB5には、例えば美容関連製品などの物販に関連する情報が登録されている。
【0048】
制御部520は、サーバ装置50の各部を統括的に制御する。また、制御部520は、施術者端末20やユーザ端末30などから送られてくる指示に従い、仮想コンテンツの表示等を制御する。通信部530は、施術者端末20及びユーザ端末30との間で、仮想コンテンツの表示に関わる様々な情報を授受する。
【0049】
以下、脱毛支援システム100を利用した脱毛の施術過程において、ユーザが仮想コンテンツを視聴する場合の動作について、図面を参照しながら説明する。
【0050】
図8は、サーバ装置50の動作を示すフローチャートである。
前提として、ユーザの受け付け等が行われ、施術の準備が整っている場合を想定する。
【0051】
施術者は、ユーザに施術内容などを説明した後、施術中に視聴したい仮想コンテンツをユーザに確認する。施術者は、ユーザが希望する仮想コンテンツ(以下、希望コンテンツ)を確認すると、施術者端末20を操作して、複数の仮想コンテンツの中から希望コンテンツを特定する。施術者端末20は、サーバ装置50に対して、希望コンテンツの再生指示を送る。一方、施術者は、ユーザがスマートグラス40を装着し、施術の準備ができたことを確認すると、施術を開始する。
【0052】
サーバ装置50は、施術者端末20から希望コンテンツの再生指示を受け取ると(ステップS1)、仮想コンテンツデータベースDB3にアクセスし、希望コンテンツのコンテンツデータを取得する(ステップS2)。サーバ装置50は、取得した希望コンテンツのコンテンツデータを、ユーザ端末30を経由して(またはユーザ端末30を経由することなく)スマートグラス40に送信する(ステップS3)。スマートグラス40は、希望コンテンツのコンテンツデータを受信すると、受信したコンテンツデータを再生することで、希望コンテンツをディスプレイに表示する。ユーザは、ディスプレイに表示される希望コンテンツを視聴することで、施術の痛みや不安を軽減することができるだけでなく、充実した時間を過ごすことができる。
【0053】
なお、サーバ装置50は、施術者端末20から、上述した(1)~(6)などに示す拡張機能の実行指示があった場合には、指示された拡張機能に関わる処理を実行する。拡張機能に関わる処理内容等については、すでに詳細を明らかにしたため、これ以上の説明は割愛する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、脱毛の施術が行われている間、ユーザはスマートグラスを装着することで、レーザ光から目を守りつつ、スマートグラスに表示される希望の仮想コンテンツを視聴することができる。これにより、ユーザは、施術の痛みや不安が軽減されるだけでなく、充実した時間を過ごすことができる。
【0055】
B.変形例
上述した本実施形態では特に言及しなかったが、ユーザに提供する仮想コンテンツの種類や数などに応じて、課金するようにしてもよい。ユーザは、自身が所持する端末(例えば、スマートフォンなど)を利用して、サーバ装置50にアクセスし、視聴を希望する仮想コンテンツ(すなわち、希望コンテンツ)を選択するとともに、当該コンテンツに応じて課金を行う。サーバ装置(受付部)50は、ユーザの課金を受け付けると、希望コンテンツのコンテンツデータを、ユーザ端末30を経由して(またはユーザ端末30を経由することなく)スマートグラス40に送信する。スマートグラス(表示制御部)40は、希望コンテンツのコンテンツデータを受信すると、受信したコンテンツデータに基づき、課金に応じた希望コンテンツをディスプレイに表示する。これにより、ユーザは、自身の希望に沿った仮想コンテンツを視聴することが可能となる。なお、無料で視聴できる仮想コンテンツと、課金に応じて視聴できる仮想コンテンツを用意し、ユーザがいずれかを選択できるようにしてもよい。
【0056】
上述した本実施形態では、美容施術の一例として脱毛施術を例示したが、もちろんこれに限る趣旨ではない。例えば、痩身施術、美肌施術、マッサージ施術など、あらゆる美容施術や医療施術に対して本発明を適用可能である。
【0057】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0058】
100…脱毛支援システム、10…脱毛機器、20…施術者端末、210…記憶部、AP1…サロン向けアプリ、220…指示入力部、230…通信部、D…ディスプレイ、VC…仮想コンテンツ、SP…スタンプ、B1…スタンプボタン、B2…広告選択ボタン、B3…お客様情報ボタン、B4…顧客切替ボタン、30…ユーザ端末、OP…操作子、BS…生体センサ、310…記憶部、320…センサ部、330…指示入力部、340…通信部、40…スマートグラス、410…制御部、420…画像取得部、430…表示制御部、440…通信部、50…サーバ装置、510…記憶部、520…制御部、530…通信部、AP2…運営アプリ、DB1…ユーザデータベース、DB2…サロンデータベース、DB3…仮想コンテンツデータベース、DB4…サブコンテンツデータベース、DB5…EC関連データベース、1…プロセッサ、2…メモリ、3…記憶装置、4…通信装置、5…入力装置、6…出力装置、CA…カメラ
【要約】
【課題】脱毛施術を受けるユーザが、施術中に充実した時間を過ごすことができる脱毛支援技術を提供する。
【解決手段】スマートグラスは、脱毛施術を受けるユーザによって装着され、仮想コンテンツの表示が可能なスマートグラスであって、施術者によって入力される施術者操作情報に基づき、特定の仮想コンテンツを表示装置に表示する表示制御部を備える。脱毛の施術が行われている間、ユーザにスマートグラスを装着させることで、レーザ光からユーザの目を保護しつつ、スマートグラスに表示される仮想コンテンツをユーザに楽しんでもらうことが可能となる。
【選択図】
図4A