IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東海化成工業株式会社の特許一覧 ▶ 住友理工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-加飾シートおよび内装部材 図1
  • 特許-加飾シートおよび内装部材 図2
  • 特許-加飾シートおよび内装部材 図3
  • 特許-加飾シートおよび内装部材 図4
  • 特許-加飾シートおよび内装部材 図5
  • 特許-加飾シートおよび内装部材 図6
  • 特許-加飾シートおよび内装部材 図7
  • 特許-加飾シートおよび内装部材 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-21
(45)【発行日】2025-08-29
(54)【発明の名称】加飾シートおよび内装部材
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20250822BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20250822BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20250822BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20250822BHJP
【FI】
G09F13/04 J
B60R13/02 B
B32B33/00
B32B3/24 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022057113
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2023148849
(43)【公開日】2023-10-13
【審査請求日】2024-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000219668
【氏名又は名称】東海化成工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】奥村 剛正
【審査官】佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-088760(JP,A)
【文献】特許第6663088(JP,B2)
【文献】実開昭56-143873(JP,U)
【文献】実開昭48-056989(JP,U)
【文献】国際公開第2022/113457(WO,A1)
【文献】実開昭56-005175(JP,U)
【文献】実開平02-062586(JP,U)
【文献】特開2011-025578(JP,A)
【文献】実開昭56-088277(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0002442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00-13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する表皮層と、
前記表皮層の裏側に配置され、前記表皮層よりも低い透光性を有する中間層と、
前記中間層の裏側に配置され、前記中間層よりも低い透光性を有する意匠層と、
前記意匠層の表面および裏面のうち、少なくとも一方に開口する凹部と、
前記意匠層の裏側に配置され、光拡散性を有する柔軟層と、
を備える加飾シートであって、
さらに、前記凹部により形成され、裏側から照射される光により前記表皮層の表面に所定の意匠を表示する、複数の表示領域を備え、
複数の前記表示領域には、各々、前記柔軟層を介して、裏側から光が照射され、
前記柔軟層は、本体部と、前記本体部に配置され前記本体部よりも高い遮光性を有する遮光仕切部と、を有し、
前記遮光仕切部は、前記柔軟層の内部を表裏方向に延在し、前記柔軟層から裏側に突出せず、前記本体部を、複数の前記表示領域と同数のブロックに仕切り、
前記遮光仕切部は、表側から見て、隣り合う二つの前記表示領域の間に配置され、一方の前記表示領域を照射対象とする光が、前記柔軟層を介して、他方の前記表示領域に漏れ込むのを抑制することを特徴とする加飾シート。
【請求項2】
前記遮光仕切部は、前記本体部を形成する材料に遮光性塗料が含浸された塗料含浸仕切部である請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
前記遮光仕切部は、前記本体部の裏面に開口するスリットである請求項1に記載の加飾シート。
【請求項4】
前記遮光仕切部は、前記本体部に埋設される仕切板である請求項1に記載の加飾シート。
【請求項5】
複数の前記表示領域のうち、任意の前記表示領域と他の前記表示領域とは、光の透過率が異なる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項6】
複数の前記表示領域は、各々、光の透過率が異なる請求項5に記載の加飾シート。
【請求項7】
複数の前記表示領域のうち、少なくとも一部の前記表示領域を形成する前記凹部は、前記意匠層の裏面に開口する開口部と、前記開口部に対向し、前記中間層の層内に配置される中間層到達部を有する底部と、を有する請求項5に記載の加飾シート。
【請求項8】
複数の前記表示領域のうち、少なくとも一部の前記表示領域を形成する前記凹部は、前記意匠層の裏面に開口する開口部と、前記開口部に対向する底部と、を有し、
前記底部は、基底部と、基底部よりも深い深底部と、を有する請求項5に記載の加飾シート。
【請求項9】
複数の前記表示領域のうち、少なくとも一部の前記表示領域を形成する前記凹部は、前記意匠層の裏面に開口する開口部と、前記開口部に対向する底部と、前記開口部と前記底部とを連結する側面と、を有し、
前記側面は、前記表皮層の表面の面法線方向に対して交差する方向に延在する傾斜部を有する請求項5に記載の加飾シート。
【請求項10】
透光性を有する表皮層と、
前記表皮層の裏側に配置され、前記表皮層よりも低い透光性を有する中間層と、
前記中間層の裏側に配置され、前記中間層よりも低い透光性を有する意匠層と、
前記意匠層の表面および裏面のうち、少なくとも一方に開口する凹部と、
前記意匠層の裏側に配置され、光拡散性を有する柔軟層と、
を備える加飾シートであって、
さらに、前記凹部により形成され、裏側から照射される光により前記表皮層の表面に所定の意匠を表示する、複数の表示領域を備え、
複数の前記表示領域には、各々、前記柔軟層を介して、裏側から光が照射され、
前記柔軟層は、本体部と、前記本体部に配置され前記本体部よりも高い遮光性を有する遮光仕切部と、を有し、
前記遮光仕切部は、表側から見て、隣り合う二つの前記表示領域の間に配置され、一方の前記表示領域を照射対象とする光が、前記柔軟層を介して、他方の前記表示領域に漏れ込むのを抑制し、
複数の前記表示領域のうち、任意の前記表示領域と他の前記表示領域とは、光の透過率が異なり、
複数の前記表示領域のうち、少なくとも一部の前記表示領域を形成する前記凹部は、前記意匠層の裏面に開口する開口部と、前記開口部に対向し、前記中間層の層内に配置される中間層到達部を有する底部と、を有することを特徴とする加飾シート。
【請求項11】
透光性を有する表皮層と、
前記表皮層の裏側に配置され、前記表皮層よりも低い透光性を有する中間層と、
前記中間層の裏側に配置され、前記中間層よりも低い透光性を有する意匠層と、
前記意匠層の表面および裏面のうち、少なくとも一方に開口する凹部と、
前記意匠層の裏側に配置され、光拡散性を有する柔軟層と、
を備える加飾シートであって、
さらに、前記凹部により形成され、裏側から照射される光により前記表皮層の表面に所定の意匠を表示する、複数の表示領域を備え、
複数の前記表示領域には、各々、前記柔軟層を介して、裏側から光が照射され、
前記柔軟層は、本体部と、前記本体部に配置され前記本体部よりも高い遮光性を有する遮光仕切部と、を有し、
前記遮光仕切部は、表側から見て、隣り合う二つの前記表示領域の間に配置され、一方の前記表示領域を照射対象とする光が、前記柔軟層を介して、他方の前記表示領域に漏れ込むのを抑制し、
複数の前記表示領域のうち、任意の前記表示領域と他の前記表示領域とは、光の透過率が異なり、
複数の前記表示領域のうち、少なくとも一部の前記表示領域を形成する前記凹部は、前記意匠層の裏面に開口する開口部と、前記開口部に対向する底部と、を有し、
前記底部は、基底部と、基底部よりも深い深底部と、を有することを特徴とする加飾シート。
【請求項12】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の加飾シートと、
前記柔軟層の裏側に配置され、透光性を有する基材と、
前記基材、前記柔軟層を介して、複数の前記表示領域に光を照射する光源部と、
前記光源部を制御する制御部と、
を備える内装部材。
【請求項13】
前記基材は、光拡散性を有し、
前記光源部は、前記基材の裏側に配置される複数の第一光源と、前記基材の側方に配置される第二光源と、を有し、
前記制御部は、所定の情報に応じて複数の前記第一光源および前記第二光源を制御する請求項12に記載の内装部材。
【請求項14】
前記情報は、設定情報、時刻情報、照度情報のいずれかである請求項13に記載の内装部材。
【請求項15】
複数の前記第一光源は、各々、光源色が異なり、
前記中間層は、複数の前記表示領域に対向する複数の中間領域を有し、
複数の前記中間領域のうち、任意の前記中間領域は、他の前記中間領域と、色が異なる請求項13または請求項14に記載の内装部材。
【請求項16】
複数の前記中間領域は、各々、色が異なる請求項15に記載の内装部材。
【請求項17】
透光性を有する表皮層と、
前記表皮層の裏側に配置され、前記表皮層よりも低い透光性を有する中間層と、
前記中間層の裏側に配置され、前記中間層よりも低い透光性を有する意匠層と、
前記意匠層の表面および裏面のうち、少なくとも一方に開口する凹部と、
前記意匠層の裏側に配置され、光拡散性を有する柔軟層と、
を備える加飾シートであって、
さらに、前記凹部により形成され、裏側から照射される光により前記表皮層の表面に所定の意匠を表示する、複数の表示領域を備え、
複数の前記表示領域には、各々、前記柔軟層を介して、裏側から光が照射され、
前記柔軟層は、本体部と、前記本体部に配置され前記本体部よりも高い遮光性を有する遮光仕切部と、を有し、
前記遮光仕切部は、表側から見て、隣り合う二つの前記表示領域の間に配置され、一方の前記表示領域を照射対象とする光が、前記柔軟層を介して、他方の前記表示領域に漏れ込むのを抑制することを特徴とする加飾シートと、
前記柔軟層の裏側に配置され、透光性を有する基材と、
前記基材、前記柔軟層を介して、複数の前記表示領域に光を照射する光源部と、
前記光源部を制御する制御部と、
を備え、
前記基材は、光拡散性を有し、
前記光源部は、前記基材の裏側に配置される複数の第一光源と、前記基材の側方に配置される第二光源と、を有し、
前記制御部は、所定の情報に応じて複数の前記第一光源および前記第二光源を制御する内装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両の内装品に用いられる加飾シートおよび内装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内装分野においては、バックライトにより、表面に意匠(文字、模様など)を表示可能な加飾シートの開発が進んでいる。加飾シートの中には、複数の意匠の中から任意の意匠を選択的に表示可能なものがある。このような加飾シートにおいては、光漏れが問題になる。具体的には、複数の意匠の裏側には、各々の意匠に対応して、複数の光源が配置されている。任意の意匠を表示する際、表示対象である意匠用の光が、表示対象でない意匠の背後に回り込んでしまい、当該意匠まで表示されてしまうという問題がある。
【0003】
この点、特許文献1には、光漏れを抑制可能なドットマトリクス表示装置が開示されている。同文献のドットマトリクス表示装置は、表側から裏側に向かって、表皮材と、柔軟層と、複数のLEDおよび遮光壁と、回路基板と、を備えている。遮光壁は、回路基板を格子状に区画している。複数のLEDは、遮光壁により区画された複数の領域に、割り当てられている。任意の単一のLEDに着目すると、当該LEDは、四方から遮光壁により囲まれている。このため、当該LEDの光が、他のLED用の意匠に照射されるのを、抑制することができる。すなわち、光漏れを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/225140号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同文献のドットマトリクス表示装置の場合、LEDおよび遮光壁は、共に柔軟層の裏側に配置されている。このため、LEDから柔軟層に進入後の光を制御することは困難である。すなわち、柔軟層における光の拡散に起因する光漏れを抑制することは困難である。そこで、本開示は、柔軟層における光の拡散に起因する光漏れを抑制可能な加飾シートおよび内装部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の加飾シートは、透光性を有する表皮層と、前記表皮層の裏側に配置され、前記表皮層よりも低い透光性を有する中間層と、前記中間層の裏側に配置され、前記中間層よりも低い透光性を有する意匠層と、前記意匠層の表面および裏面のうち、少なくとも一方に開口する凹部と、前記意匠層の裏側に配置され、光拡散性を有する柔軟層と、を備える加飾シートであって、さらに、前記凹部により形成され、裏側から照射される光により前記表皮層の表面に所定の意匠を表示する、複数の表示領域を備え、複数の前記表示領域には、各々、前記柔軟層を介して、裏側から光が照射され、前記柔軟層は、本体部と、前記本体部に配置され前記本体部よりも高い遮光性を有する遮光仕切部と、を有し、前記遮光仕切部は、表側から見て、隣り合う二つの前記表示領域の間に配置され、一方の前記表示領域を照射対象とする光が、前記柔軟層を介して、他方の前記表示領域に漏れ込むのを抑制することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本開示の内装部材は、前記加飾シートと、前記柔軟層の裏側に配置され、透光性を有する基材と、前記基材、前記柔軟層を介して、複数の前記表示領域に光を照射する光源部と、前記光源部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の加飾シートおよび内装部材の柔軟層は、遮光仕切部を備えている。遮光仕切部は、表側から見て、隣り合う二つの表示領域の間に配置されている。遮光仕切部は、一方の表示領域を照射対象とする光が、柔軟層を介して、他方の表示領域に漏れ込むのを抑制することができる。このため、柔軟層における光の拡散に起因する光漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態の内装部材の配置図である。
図2図2は、図1の枠II内の透過上面図である。
図3図3は、図2のIII-III方向断面図である。
図4図4は、第二実施形態の内装部材の表裏方向断面図である。
図5図5は、第三実施形態の内装部材の表裏方向断面図である。
図6図6は、第四実施形態の内装部材の表裏方向断面図である。
図7図7は、第五実施形態の内装部材の表裏方向断面図である。
図8図8は、第六実施形態の内装部材の表裏方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の加飾シートおよび内装部材の実施の形態について説明する。
【0011】
<第一実施形態>
[内装部材の配置、構成]
まず、本実施形態の内装部材の配置、構成について説明する。図1に、本実施形態の内装部材の配置図を示す。図2に、図1の枠II内の透過上面図(透過正面図)を示す。図3に、図2のIII-III方向断面図を示す。なお、図2においては、各部材の位置関係の説明の便宜上、表皮層3等を透過して、表示領域A1~D1、光源90A~90D等を示す。
【0012】
図1に示すように、内装部材1は、車室のコンソールボックス(内装品)94に配置されている。すなわち、内装部材1は、車両用内装部材である。図2図3に示すように、内装部材1は、加飾シート2と、基材8と、光源部9と、制御部93と、を備えている。加飾シート2と基材8と光源部9とは、この順番で、表側(上側、車室内側)から裏側(下側、車室外側)に向かって、積層されている。制御部93は、光源部9に電気的に接続されている。
【0013】
(加飾シート2)
加飾シート2は、表側から裏側に向かって、表皮層3と、中間層4と、意匠層5と、柔軟層7と、を備えている。図1図2に示すように、表皮層3の表面(上面)は車室内に表出している。表皮層3は、合成皮革製であって、層状を呈している。表皮層3は透光性、柔軟性を有している。
【0014】
中間層4は、表皮層3の裏側に配置されている。中間層4は、透光性インク製であって、層状を呈している。中間層4は透光性、柔軟性を有している。中間層4は表皮層3よりも透光性が低い。すなわち、中間層4はスモーク調の半透明である。また、中間層4は有色透明である。
【0015】
意匠層5は、中間層4の裏側に配置されている。意匠層5は、不透光性インク製であって、層状を呈している。意匠層5は不透光性、柔軟性を有している。意匠層5には、四つの凹部6A~6Dが配置されている。意匠層5(凹部6A~6Dが配置されている部分を除く)は、光を透過しない。意匠層5には、後述する柔軟層7を介して、裏側から光が照射される。
【0016】
複数の凹部6A~6Dは、意匠層5の表面および裏面に開口している。つまり、凹部6A~6Dは、意匠層5を表裏方向(上下方向)に貫通している。凹部6A~6Dの内部は空間である。凹部6Aは、開口部60Aと底部61Aと側面62Aとを備えている。開口部60Aは、意匠層5の裏面に開口している。底部61Aは、中間層4の裏面に配置されている。底部61Aと開口部60Aとは表裏方向に対向している。側面62Aは、開口部60Aと底部61Aとを連結している。側面62Aは、表皮層3の表面の面法線方向(表裏方向。上下方向)に延在している。凹部6A同様に、凹部6B~6Dは、開口部60B~60Dと、底部61B~61Dと、側面62B~62Dと、を備えている。
【0017】
凹部6A~6Dは、加飾シート2に、表示領域A1~D1を設定している。図2に示すように、表側から見て、表示領域A1(凹部6A)は文字「A」を、表示領域B1(凹部6B)は文字「B」を、表示領域C1(凹部6C)は文字「C」を、表示領域D1(凹部6D)は文字「D」を、各々形成している。加飾シート2のうち、表示領域A1~D1(凹部6A~6D)が設定されている部分は、他の部分と比較して、表裏方向厚さが薄い。このため、光が透過しやすい。図1に黒色で示すように、表示領域A1~D1は、裏側から照射される光により、表皮層3つまり加飾シート2の表面に、所定の意匠「A」~「D」を表示する。
【0018】
柔軟層7は、意匠層5の裏側に配置されている。柔軟層7は、本体部70と、三つの仕切板710AB~710CDと、を備えている。本体部70は、熱可塑性エラストマーの発泡体製である。本体部70は、層状であって、柔軟性、透光性、光拡散性を有している。本体部70は、四つ(表示領域A1~D1と同数)のブロック70A~70Dを備えている。ブロック70A~70Dは、面方向(左右方向。表裏方向に対して交差(直交)する方向)に並置されている。
【0019】
三つの仕切板710AB~710CDは、各々、本体部70よりも高い遮光性を有している。仕切板710ABは、ブロック70Aとブロック70Bとの間に埋設されている。仕切板710ABは、ブロック70Aとブロック70Bとを仕切っている。仕切板710BCは、ブロック70Bとブロック70Cとの間に埋設されている。仕切板710BCは、ブロック70Bとブロック70Cとを仕切っている。仕切板710CDは、ブロック70Cとブロック70Dとの間に埋設されている。仕切板710CDは、ブロック70Cとブロック70Dとを仕切っている。
【0020】
図2に示すように、表側から見て、仕切板710ABは面方向に隣り合う二つの表示領域A1、B1の間に、仕切板710BCは面方向に隣り合う二つの表示領域B1、C1の間に、仕切板710CDは面方向に隣り合う二つの表示領域C1、D1の間に、各々配置されている。
【0021】
(基材8、光源部9、制御部93)
図3に示すように、基材8は、柔軟層7の裏側に配置されている。基材8は、樹脂製であって、層状を呈している。基材8は、透光性、可撓性を有している。光源部9は、基材8の裏側に配置されている。図2図3に示すように、光源部9は、四つの光源(LED)90A~90Dを備えている。光源90A~90Dの表面は、各々、全面的に発光可能である。光源90Aの光の照射対象は表示領域A1である。光源90Bの光の照射対象は表示領域B1である。光源90Cの光の照射対象は表示領域C1である。光源90Dの光の照射対象は表示領域D1である。
【0022】
制御部93は、車室内から視認されないように、図1に示すコンソールボックス94の裏側に配置されている。制御部93は、図示しない処理装置(CPU)と記憶装置(RAM、ROM)とを備えている。制御部93は、光源90A~90Dを制御(点灯・消灯制御、調光制御など)可能である。
【0023】
[内装部材の使用方法]
次に、本実施形態の内装部材の使用方法について説明する。図3に示すように、制御部93が光源90A~90Dを消灯している場合は、光源90A~90Dが発光しない。また、中間層4は表皮層3よりも透光性が低い。このため、使用者は、加飾シート2の表側(車室内)から意匠層5を視認しにくい。
【0024】
例えば、図1に示す意匠「A」~「D」のうち、意匠「A」だけを表皮層3の表面に表示させる場合、制御部93は、光源90Aだけを点灯する。光源90Aからの光は、基材8を介して、柔軟層7のブロック70Aに進入する。ここで、柔軟層7には、仕切板710AB~710CDが配置されている。このため、光源90Aからの光が、ブロック70Aからブロック70B~70Dに拡散するのを抑制することができる。したがって、光源90Aからの光を、ブロック70Aを介して、表示領域A1だけに照射することができる。よって、意匠「A」だけを表皮層3の表面に表示させることができる。なお、仕切板710AB~710CDは、光源90Aからの光の拡散と同様に、光源90B~90Dからの光の拡散も抑制することができる。
【0025】
[作用効果]
次に、本実施形態の内装部材の作用効果について説明する。図2図3に示すように、加飾シート2の柔軟層7は、仕切板710AB~710CDを備えている。仕切板710ABは、表側から見て、仕切板710ABを挟んで隣り合う二つの表示領域A1、B1のうち、一方の表示領域A1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域B1に漏れ込むのを抑制することができる。並びに、仕切板710ABは、一方の表示領域B1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域A1に漏れ込むのを抑制することができる。他の仕切板710BC~710CDについても同様である。このため、柔軟層7における光の拡散に起因する光漏れを抑制することができる。
【0026】
また、光源90A~90DはLEDである。このため、光源90A~90Dからの光は直進性(指向性)が高い。したがって、光源90Aからの光が、照射対象である表示領域A1のみならず、照射対象でない表示領域B1~D1にまで、漏れ込むのを抑制することができる。他の光源90B~90Dからの光についても同様である。
【0027】
<第二実施形態>
本実施形態の内装部材と第一実施形態の内装部材との相違点は、仕切板の代わりに塗料含浸仕切部が配置されている点である。また、凹部の底部に中間部到達部が配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0028】
図4に、本実施形態の内装部材の表裏方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。図4に示すように、柔軟層7は、三つの塗料含浸仕切部711AB~711CDを備えている。三つの塗料含浸仕切部711AB~711CDは、各々、本体部70よりも高い遮光性を有している。塗料含浸仕切部711AB~711CDは、例えば、白色塗料(酸化チタンなどの光遮蔽剤(光反射剤))や黒色塗料(チタンブラック、カーボンブラックなどの光吸収剤)が含浸された発泡体(本体部70を形成する発泡体)製である。白色塗料、黒色塗料は、本開示の「遮光性塗料」の概念に含まれる。
【0029】
凹部6Bの底部61B全体には中間層到達部610Bが、凹部6Cの底部61C全体には中間層到達部610Cが、凹部6Dの底部61D全体には中間層到達部610Dが、各々配置されている。中間層到達部610B~610Dは、各々中間層4の層内に配置されている。中間層到達部610Bは中間層4の裏面付近に、中間層到達部610Dは中間層4の表面付近に、中間層到達部610Cは中間層到達部610Bと中間層到達部610Dとの中間に、各々配置されている。なお、凹部6Aの底部61Aには、中間層到達部が配置されていない。すなわち、凹部6Aは、中間層4の層内に到達していない。
【0030】
凹部6A~6Dの表裏方向深さ(開口部60A~60Dからの表裏方向深さ)を比較すると、凹部6A(最も浅い)→6B→6C→6D(最も深い)の順に深くなる。このため、制御部93が光源90A~90Dを同じ条件で点灯すると、表示領域A1(最も暗い)→B1→C1→D1(最も明るい)の順に明るくなる。すなわち、意匠「A」→「B」→「C」→「D」(図1参照)の順に明るくなる。
【0031】
本実施形態の内装部材と第一実施形態の内装部材とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。塗料含浸仕切部711AB~711CDが、白色塗料が含浸された発泡体製である場合、塗料含浸仕切部711AB~711CDは光を反射可能である。当該光反射を利用して、塗料含浸仕切部711ABは、表側から見て、塗料含浸仕切部711ABを挟んで隣り合う二つの表示領域A1、B1のうち、一方の表示領域A1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域B1に漏れ込むのを抑制することができる。並びに、塗料含浸仕切部711ABは、一方の表示領域B1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域A1に漏れ込むのを抑制することができる。他の塗料含浸仕切部711BC~711CDについても同様である。したがって、柔軟層7における光の拡散に起因する光漏れを抑制することができる。
【0032】
塗料含浸仕切部711AB~711CDが、黒色塗料が含浸された発泡体製である場合、塗料含浸仕切部711AB~711CDは光を吸収可能である。当該光吸収を利用して、塗料含浸仕切部711ABは、表側から見て、塗料含浸仕切部711ABを挟んで隣り合う二つの表示領域A1、B1のうち、一方の表示領域A1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域B1に漏れ込むのを抑制することができる。並びに、塗料含浸仕切部711ABは、一方の表示領域B1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域A1に漏れ込むのを抑制することができる。他の塗料含浸仕切部711BC~711CDについても同様である。したがって、柔軟層7における光の拡散に起因する光漏れを抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態の内装部材によると、柔軟層7に部分的に黒色塗料や白色塗料を含浸させることにより、簡単に塗料含浸仕切部711AB~711CDを形成することができる。また、本体部70と塗料含浸仕切部711AB~711CDとを一体的に形成することができる。
【0034】
また、本実施形態の内装部材1によると、中間層到達部610B~610Dの有無、中間層到達部610B~610Dの表裏方向位置により、表示領域A1~D1における光の透過率に差を設定することができる。なお、表示領域A1~D1における光の透過率τは、加飾シート2に入る入射光の強度をI0、加飾シート2から出る透過光の強度をIとして、「τ=I/I0」により算出される。
【0035】
<第三実施形態>
本実施形態の内装部材と第一実施形態の内装部材との相違点は、仕切板の代わりにスリットが配置されている点である。また、凹部の側面に傾斜部が配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0036】
図5に、本実施形態の内装部材の表裏方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。図5に示すように、柔軟層7は、三つの融着部712AB~712CDと、三つのスリット713AB~713CDと、を備えている。融着部712AB~712CDは、各々、柔軟層7が部分的に熱融着されることにより、形成されている。融着部712ABは、ブロック70A上端(表側の端)とブロック70B上端との間に形成されている。融着部712BCは、ブロック70B上端とブロック70C上端との間に形成されている。融着部712CDは、ブロック70C上端とブロック70D上端との間に形成されている。
【0037】
スリット713ABは融着部712ABの裏側に、スリット713BCは融着部712BCの裏側に、スリット713CDは融着部712CDの裏側に、各々配置されている。スリット713AB~713CDは、各々、柔軟層7の裏面に開口している。
【0038】
凹部6Aの側面62A全体には傾斜部620Aが、凹部6Bの側面62B全体には傾斜部620Bが、凹部6Cの側面62C全体には傾斜部620Cが、凹部6Dの側面62D全体には傾斜部620Dが、各々配置されている。傾斜部620A~620Dは、各々、表皮層3の表面の面法線方向に対して交差する方向に延在している。
【0039】
本実施形態の内装部材と第一実施形態の内装部材とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の内装部材1によると、柔軟層7を部分的に熱融着することにより、簡単にスリット713AB~713CDを配置することができる。なお、柔軟層7に部分的に切り込みを入れることにより、スリット713AB~713CDを配置してもよい。
【0040】
柔軟層7の層内を進行する光は、スリット713AB~713CDにより反射される。当該反射を利用して、スリット713ABは、表側から見て、スリット713ABを挟んで隣り合う二つの表示領域A1、B1のうち、一方の表示領域A1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域B1に漏れ込むのを抑制することができる。並びに、スリット713ABは、一方の表示領域B1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域A1に漏れ込むのを抑制することができる。他のスリット713BC~713CDについても同様である。したがって、柔軟層7における光の拡散に起因する光漏れを抑制することができる。
【0041】
凹部6A~6Dの側面62A~62Dには、傾斜部620A~620Dが配置されている。傾斜部620A~620Dは、表皮層3の表面の面法線方向に対して交差する方向に延在している。このため、凹部6A~6Dを面法線方向に進行する光が、傾斜部620A~620Dに入射すると、光の少なくとも一部が反射される場合がある。また、光の少なくとも一部が屈折する場合がある。当該反射や屈折を利用して、加飾シート2の表面に表示される意匠の見え方を調整することができる。
【0042】
<第四実施形態>
本実施形態の内装部材と第一実施形態の内装部材との相違点は、仕切板の代わりにスペースが配置されている点である。また、凹部の底部に基底部と深底部とが配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0043】
図6に、本実施形態の内装部材の表裏方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。図6に示すように、柔軟層7は、三つのスペース714AB~714CDを備えている。スペース714ABは、ブロック70Aとブロック70Bとの間に介在している。スペース714BCは、ブロック70Bとブロック70Cとの間に介在している。スペース714CDは、ブロック70Cとブロック70Dとの間に介在している。
【0044】
意匠層5は、透光性インク製である。意匠層5は、透光性を有している。凹部6A~6Dの底部61A~61Dは、基底部611A~611Dと、深底部612A~612Dと、を備えている。深底部612A~612Dは、基底部611A~611Dよりも、表裏方向深さが深い。このため、制御部93が光源90A~90Dを点灯すると、表示領域A1~D1のうち、深底部612A~612Dに対応する部分は、基底部611A~611Dに対応する部分よりも、明るくなる。すなわち、意匠「A」、「B」、「C」、「D」(図1参照)の外縁部が、あたかも縁取りのように、内部よりも明るくなる。
【0045】
本実施形態の内装部材と第一実施形態の内装部材とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の内装部材1によると、ブロック70A~70Dを、所定間隔ずつ離間して配置することにより、簡単にスペース714AB~714CDを設定することができる。柔軟層7の層内を進行する光は、スペース714AB~714CDにより反射される。当該反射を利用して、スペース714ABは、表側から見て、スペース714ABを挟んで隣り合う二つの表示領域A1、B1のうち、一方の表示領域A1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域B1に漏れ込むのを抑制することができる。並びに、スペース714ABは、一方の表示領域B1を照射対象とする光が、柔軟層7を介して、他方の表示領域A1に漏れ込むのを抑制することができる。他のスペース714BC~714CDについても同様である。したがって、柔軟層7における光の拡散に起因する光漏れを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態の内装部材1によると、底部61A~61Dは、基底部611A~611Dと、深底部612A~612Dと、を備えている。すなわち、底部61A~61Dには、各々段差が設定されている。このため、表示領域A1~D1における光の透過率に差を設定することができる。
【0047】
<第五実施形態>
本実施形態の内装部材と第二実施形態の内装部材との相違点は、光源部が第一光源と第二光源とを備えている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図7に、本実施形態の内装部材の表裏方向断面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0048】
図7に示すように、光源部9は、四つの第一光源(LED)91A~91Dと、単一の第二光源(LED)92と、を備えている。第一光源91A~91D、第二光源92は、各々、全面的に発光可能である。四つの第一光源91A~91Dは、基材8の裏側に配置されている。第二光源92は、基材8の側方(右側。面方向隣り)に配置されている。
【0049】
基材8は、透光性、可撓性に加えて、光拡散性を有している。このため、任意の光源(第一光源91A~91D、第二光源92のうち、少なくとも一つの光源)から基材8に進入した光は、基材8の内部で拡散する。したがって、任意の光源の照射対象は、全ての表示領域A1~D1である。
【0050】
本実施形態の内装部材の使用方法について説明する。表1に、本実施形態の内装部材のライティングパターンを示す。なお、表1中、意匠「A」~「D」欄の数値(0~5)は、輝度レベルを示している。数値が大きいほど輝度レベルは高い。
【表1】
【0051】
制御部93は、照度センサ(図略)から、車両の周囲の照度情報を取得する。表1に示すように、制御部93の記憶装置には、予め、照度(高、中、低)に応じた三段階のライティングパターンが格納されている。制御部93の処理装置は、照度センサから得られた照度情報と、当該ライティングパターンと、を照合させ、第一光源91A~91D、第二光源92を点灯・消灯制御する。
【0052】
具体的には、表1、図7に示すように、照度センサから得られた照度が高い場合は、全光源(第一光源91A~91D、第二光源92)を消灯する。ここで、凹部6A~6Dの表裏方向深さを比較すると、凹部6A(最も浅い)→6B→6C→6D(最も深い)の順に深くなる。このため、表示領域A1~D1の光の透過率は、表示領域A1(最も低い)→B1→C1→D1(最も高い)の順に高くなる。したがって、加飾シート2の表面に表示される意匠「A」~「D」の輝度レベルは、「A」(最も低い)→「B」→「C」→「D」(最も高い)の順に高くなる。
【0053】
照度センサから得られた照度が中程度の場合は、第二光源92だけを点灯する。このため、照度が高い場合と比較して、意匠「A」~「D」の輝度レベルが全体的に高くなる。意匠「A」~「D」間の輝度レベルは、「A」→「B」→「C」→「D」の順に高くなる。
【0054】
照度センサから得られた照度が低い場合は、全光源を点灯する。このため、照度が中程度の場合と比較して、意匠「A」~「D」の輝度レベルが全体的に高くなる。意匠「A」~「D」間の輝度レベルは、「A」→「B」→「C」→「D」の順に高くなる。
【0055】
仮に、表1に示す輝度レベルが「2」以上の場合に、意匠「A」~「D」を視認可能であると想定する。この場合、照度が高い場合(例えば日中の場合)は自然光(太陽光など)により意匠「C」、「D」を、照度が中程度の場合(例えば朝方や夕方の場合)は第二光源92からの光により意匠「B」~「D」を、照度が低い場合(例えば夜の場合)は第一光源91A~91Dおよび第二光源92からの光により意匠「A」~「D」を、各々視認することができる。
【0056】
本実施形態の内装部材と第一実施形態の内装部材とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の内装部材1によると、表示領域A1~D1の光の透過率に差が設定されている。並びに、制御部93は、照度情報に応じて、二種類の光源(第一光源91A~91D、第二光源92)を点灯・消灯制御することができる。このため、照度情報に応じて、加飾シート2の表面に表示される意匠の面積や数を変化させることができる。
【0057】
<第六実施形態>
本実施形態の内装部材と第一実施形態の内装部材との相違点は、光源部が第一光源と第二光源とを備えている点である。また、中間層が複数の中間領域を備えている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図8に、本実施形態の内装部材の表裏方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0058】
図8に示すように、光源部9は、四つの第一光源(LED)91A~91Dと、単一の第二光源(LED)92と、を備えている。第一光源91A~91D、第二光源92は、各々、全面的に発光可能である。四つの第一光源91A~91Dは、基材8の裏側に配置されている。第二光源92は、基材8の側方(右側。面方向隣り)に配置されている。合計5つの光源(第一光源91A~91D、第二光源92)は、各々光源色が異なっている。
【0059】
基材8は、透光性、可撓性に加えて、光拡散性を有している。このため、任意の光源(第一光源91A~91D、第二光源92のうち、少なくとも一つの光源)から基材8に進入した光は、基材8の内部で拡散する。したがって、任意の光源の照射対象は、全ての表示領域A1~D1である。
【0060】
中間層4は、透光性インク製である。中間層4は、四つの中間領域A2~D2を備えている。中間領域A2~D2は、中間層4のインク色を部分的に変更することにより、形成されている。中間領域A2~D2は、各々色が異なっている。中間領域A2~D2と表示領域A1~D1とは表裏方向に対向している。
【0061】
制御部93は、インターネットを介して、時刻情報を取得する。制御部93の記憶装置には、予め、時刻に応じた複数種類のライティングパターンが格納されている。制御部93の処理装置は、インターネットから得られた時刻情報と、当該ライティングパターンと、を照合させ、第一光源91A~91D、第二光源92を点灯・消灯制御する。
【0062】
本実施形態の内装部材と第一実施形態の内装部材とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の内装部材1によると、光源(第一光源91A~91D、第二光源92)は、各々光源色が異なっている。並びに、中間領域A2~D2は、各々色が異なっている。このため、制御部93の点灯・消灯制御により、加飾シート2の表面に表示される意匠の色を変化させることができる。
【0063】
例えば、光源色(ただし、任意(単一でも複数でもよい)の光源から基材8に進入した光)を白色、中間領域A2を緑色とすることにより、加飾シート2の表面の意匠「A」を緑色にすることができる。また、光源色を黄色、中間領域B2を青色とすることにより、加飾シート2の表面の意匠「B」を緑色にすることができる。また、光源色を白色、中間領域C2を青色とすることにより、加飾シート2の表面の意匠「C」を青色にすることができる。
【0064】
また、光源色を赤色、中間領域D2を緑色とすることにより、加飾シート2の表面の意匠「D」を黒色にすることができる。すなわち、光源色と中間領域の色とに、互いに補色関係にある色を割り当てることにより、加飾シート2の表面の意匠を黒色化することができる。このため、光源が点灯しているにもかかわらず、擬似的に、意匠を消す、あるいは目立たなくすることができる。なお、光源色と中間領域の色とを適宜組み合わせることにより、加飾シート2の表面に表示される意匠を、当該表面と同色化してもよい。この場合であっても、当該意匠を、擬似的に消す、あるいは目立たなくすることができる。
【0065】
<その他>
以上、本開示の加飾シートおよび内装部材の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0066】
[構成について]
加飾シート2における表示領域A1~D1、中間領域A2~D2、遮光仕切部(仕切板710AB~710CD、塗料含浸仕切部711AB~711CD、スリット713AB~713CD、スペース714AB~714CD)の組合せは特に限定しない。図3図8に示す表示領域A1~D1、中間領域A2~D2、遮光仕切部を、適宜組み合わせて用いることができる。
【0067】
遮光仕切部の配置数、位置、大きさ、形状等は特に限定しない。単一の加飾シート2の柔軟層7に、仕切板710AB~710CD、塗料含浸仕切部711AB~711CD、スリット713AB~713CD、スペース714AB~714CDを、適宜組み合わせて配置してもよい。スリット713AB~713CD、スペース714AB~714CDの内部空間に滞留するガスは特に限定しない。例えば、空気、窒素などであってもよい。
【0068】
仕切板710ABは、ブロック70Aとブロック70Bとを、完全に仕切っても、部分的に仕切ってもよい。部分的に仕切る場合(例えば、ブロック70Aの表側の端と、ブロック70Bの表側の端と、が局所的に連なっている場合)であっても、ブロック70Aとブロック70Bとの間の光の拡散を抑制することができる。仕切板710BC~710CD、塗料含浸仕切部711AB~711CDについても同様である。
【0069】
仕切板710ABの延在方向は特に限定しない。表裏方向に延在していてもよい。また、表裏方向に対して交差する方向に延在していてもよい。仕切板710BC~710CD、塗料含浸仕切部711AB~711CD、スリット713AB~713CD、スペース714AB~714CDについても同様である。
【0070】
図3に示すように、加飾シート2には、四つの表示領域A1~D1に対して、三つの仕切板710AB~710CDが配置されている。当該加飾シート2に、二つの仕切板を追加してもよい。具体的には、ブロック70A(表示領域A1)の左側(面方向外側)およびブロック70D(表示領域D1)の右側(面方向外側)に、二つの仕切板を追加してもよい。こうすると、ブロック70A、70Dつまり柔軟層7から外部への光漏れを抑制することができる。他の遮光仕切部についても同様である。
【0071】
凹部6A~6Dの配置数、位置、大きさ、形状等は特に限定しない。単一の加飾シート2の凹部6A~6Dに、中間層到達部610B~610D、傾斜部620A~620D、基底部611A~611D、深底部612A~612Dを、適宜組み合わせて配置してもよい。
【0072】
開口部60A~60Dの位置は、意匠層5の表面または裏面であってもよい。底部61A~61Dの位置は、意匠層5(意匠層5が透光性を有する場合)の層内、中間層4の裏面、中間層4の層内、柔軟層7の表面、柔軟層7の層内などであってもよい。基底部611A~611D、深底部612A~612Dの位置についても同様である。傾斜部620A~620Dの傾斜角、延在方向(傾斜方向)は特に限定しない。
【0073】
表示領域A1~D1の配置数、位置、大きさ、形状等は特に限定しない。表示領域A1~D1の配置数と、加飾シート2の表面に表示される意匠「A」~「D」の配置数と、光源(光源90A~90D、第一光源91A~91D、第二光源92)の配置数と、は同一でも異なっていてもよい。単一の意匠に対して、複数の表示領域を設定してもよい。例えば、単一の杢目模様(意匠)に対して、色違いの複数の表示領域を設定してもよい。反対に、複数の意匠に対して、単一の表示領域を設定してもよい。例えば、二つの文字「A」、「B」(意匠)に対して、単色かつ単一の表示領域を設定してもよい。表示領域を、当該表示領域を照射対象とする光(光源)に対応して、設定してもよい。例えば、図3に示す表示領域A1は、当該表示領域A1を照射対象とする光源90Aに対応して、設定されている。
【0074】
表示領域A1~D1の配置数と、凹部6A~6Dの配置数と、は同一でも異なっていてもよい。例えば、単一の表示領域A1~D1が、複数の凹部6A~6Dにより形成されていてもよい。反対に、複数の表示領域A1~D1が、単一の凹部6A~6Dにより形成されていてもよい。
【0075】
表示領域A1~D1は、凹部6A~6Dの配置数、位置、大きさ、形状等に応じて、中間層4、意匠層5、柔軟層7のうち、少なくとも意匠層5に配置されていればよい。すなわち、意匠層5は、表示領域A1~D1の少なくとも一部を有していればよい。
【0076】
制御部93が光源(光源90A~90D、第一光源91A~91D、第二光源92)の制御に用いる情報の種類は特に限定しない。設定情報としては、ドアの開閉情報、ライト類(室内灯、前照灯など)の点灯・消灯情報、使用者の近離情報、速度情報などが挙げられる。
【0077】
例えば、ドアの開閉情報(ドアが開状態または閉状態であるという情報)を用いて光源を制御する場合、制御部93は、ドア開閉センサから開閉情報を取得し、当該開閉情報に紐付けられたライティングパターンを記憶装置から読み出し、当該ライティングパターンに応じて光源を制御する。そして、所望の表示領域に光を照射する。
【0078】
また、ライト類の点灯・消灯情報(ライト類が点灯または消灯しているという情報)を用いて光源を制御する場合、制御部93は、ライト類用のスイッチから点灯・消灯情報を取得する。その後の処理は上述のドアの開閉情報の場合と同様である。また、使用者の近離情報(内装部材1に対する使用者(指など)の近接、離間に関する情報)を用いて光源を制御する場合、制御部93は、近接センサから使用者の近離情報を取得する。その後の処理は上述のドアの開閉情報の場合と同様である。また、速度情報(車両の速度(0kmを含む)に関する情報)を用いて光源を制御する場合、制御部93は、速度センサから速度情報を取得する。その後の処理は上述のドアの開閉情報の場合と同様である。
【0079】
光源部9における光源の位置、配置数は特に限定しない。また、単一の光源が複数のLEDを備えていてもよい。この場合、複数のLEDの色が各々異なっていてもよい。例えば、図3に示す単一の光源90Aが赤色、緑色、青色の三色のLEDを備える場合、赤色、緑色、青色に加えて、白色の光を表示領域A1に照射することができる。
【0080】
表示領域A1~D1(凹部6A~6D)により加飾シート2の表面に表示される意匠は特に限定しない。例えば、模様(水玉模様、縞模様、格子模様、杢目模様、大理石模様など)、文字(アルファベット、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、点字など)、図形(多角形、円形など)、記号(機器操作用のボタン、機器の状態を示すアイコンなど)から選ばれる一種以上を含む意匠などが挙げられる。
【0081】
加飾シート2の表面に表示される意匠の色は単色でも多色でもよい。色は、表皮層3、中間層4、意匠層5、柔軟層7、光源(光源90A~90D、第一光源91A~91D、第二光源92)から選ばれる一種以上により、加飾シート2の表面に発現させればよい。
【0082】
表皮層3、中間層4の透光性は特に限定しない。無色透明、有色透明、半透明などであってもよい。中間層4は、裏面から表面に向かって色が変化するグラデーションを有していてもよい。こうすると、中間層到達部610B~610Dの位置に応じて、加飾シート2の表面に発現する色を変えることができる。なお、中間層4のグラデーションは、複数の層により形成されていてもよい。意匠層5は、不透光性を有していても、有していなくてもよい。すなわち、意匠層5は、中間層4よりも低い透光性を有していればよい。この場合、中間層4と同様に、意匠層5が、裏面から表面に向かって色が変化するグラデーションを有していてもよい。こうすると、底部(ただし意匠層5の層内の底部)61A~61Dの位置に応じて、加飾シート2の表面に発現する色を変えることができる。表皮層3、中間層4、意匠層5、光源(光源90A~90D、第一光源91A~91D、第二光源92)の色(色相、彩度、明度)は特に限定しない。また、光源の輝度は特に限定しない。
【0083】
意匠層5と基材8との間(意匠層5と柔軟層7との間、柔軟層7と基材8との間のうち、少なくとも一方)に透光性を有するセンサを介装してもよい。こうすると、加飾シート2をセンサやスイッチとして利用することができる。例えば、意匠層5と基材8との間に近接センサ(静電容量型センサなど)を介装すると、制御部93は、当該近接センサを利用して光源を制御することができる。光源が点灯するタイミングは特に限定しない。常時点灯していてもよい。この場合、制御部93は不要である。
【0084】
光源の種類、配置数、位置は特に限定しない。光源は、有機ELシート、無機ELシート、蓄光シートなどであってもよい。また、光源部9が、光源と、導光板(例えばアクリル板)と、を備えていてもよい。
【0085】
内装部材1を配置する内装品は特に限定しない。例えば、ドアトリム、シート、床、天井、インストルメントパネル、グローブボックス、ステアリングホイール、センターコンソール、レジスターなどが挙げられる。内装品における内装部材1の設置面は、平面でも曲面でもよい。内装部材1を設置する際の向き(表裏方向の向き)は特に限定しない。車両以外の船舶、航空機、ビル、家屋の内装品に内装部材1を配置してもよい。
【0086】
内装部材1の層構成は特に限定しない。表皮層3、中間層4、意匠層5、柔軟層7、基材8のうち、表裏方向に隣接する二層間に他の層が介在していてもよい。また、表皮層3の表側に他の層が配置されていてもよい。
【0087】
[材質について]
表皮層3の材質は特に限定しない。例えば、合成皮革、樹脂、エラストマー、不織布、各種布(織物、編物など)などが挙げられる。合成皮革、樹脂、エラストマーとしては、具体的には、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、シリコーン、エポキシ、ポリウレタン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋型熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。不織布、各種布としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、綿などが挙げられる。表皮層3は、着色剤(着色ポリエチレンなど)、光拡散剤(シリコーン、アクリル、酸化チタンなど)、光吸収剤(チタンブラック、カーボンブラックなど)を含有していてもよい。
【0088】
中間層4の材質は特に限定しない。例えば、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、シリコーン、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋型熱可塑性エラストマーなどの、樹脂やエラストマーなどが挙げられる。中間層4は、前述の着色剤、光拡散剤、光吸収剤を含有していてもよい。
【0089】
意匠層5の材質は特に限定しない。例えば、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、シリコーン、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋型熱可塑性エラストマーなどの、樹脂やエラストマーなどが挙げられる。意匠層5は、前述の着色剤、光拡散剤、光吸収剤を含有していてもよい。
【0090】
柔軟層7の本体部70の材質は特に限定しない。例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋型熱可塑性エラストマーなどのエラストマーや、ポリウレタンフォームなどの発泡体などが挙げられる。塗料含浸仕切部711AB~711CDが含有する遮光性塗料は特に限定しない。遮光性塗料は、白色塗料(光反射性塗料)であってもよい。また、黒色塗料(吸光性塗料)であってもよい。また、白色塗料および黒色塗料であってもよい。
【0091】
基材8の材質は特に限定しない。例えば、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、シリコーン、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋型熱可塑性エラストマーなどの、樹脂やエラストマーなどが挙げられる。内装部材1の形状維持性を確保するため、基材8は、他の層(表皮層3、中間層4、意匠層5、柔軟層7)よりも硬質であればよい。
【0092】
光源(光源90A~90D、第一光源91A~91D、第二光源92)と表示領域A1~D1との間に介在する部材(例えば、基材8、柔軟層7など)は、透光性や光拡散性を有していてもよい。これらの部材に光拡散性を付与する方法は特に限定しない。例えば、透明な母材に、母材と屈折率の異なる光拡散剤(シリコーン、アクリル、酸化チタンなど)を分散させてもよい。また、これらの部材は、光導入孔(光源と表示領域との間に介在し表裏方向に延在する孔)を有していてもよい。
【0093】
表皮層3、中間層4、意匠層5の積層方法は特に限定しない。スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷などを用いてもよい。また、接着や蒸着などにより各層を積層してもよい。意匠層5に対する凹部6A~6Dの形成方法は特に限定しない。レーザー加工の他、フォトエッチングなどを用いてもよい。
【0094】
表皮材(表皮層3、中間層4、意匠層5の積層体)と柔軟層7との固定方法は特に限定しない。例えば、内装品(図1に示すコンソールボックス94)における内装部材1の設置面が表側に膨出する凸面状の場合、湾曲の曲率半径内側の基材8に対して、曲率半径外側の柔軟層7、表皮材が圧接することになる。当該圧接力を利用して、柔軟層7と表皮材とを固定することができる。反対に、内装品における内装部材1の設置面が裏側に膨出する凹面状の場合、上述の圧接力が作用しない。この場合は、接着剤や両面テープなどを利用して、柔軟層7と表皮材とを固定することができる。
【符号の説明】
【0095】
1:内装部材、2:加飾シート、3:表皮層、4:中間層、5:意匠層、6A~6D:凹部、60A~60D:開口部、61A~61D:底部、610B~610D:中間層到達部、611A~611D:基底部、612A~612D:深底部、62A~62D:側面、620A~620D:傾斜部、7:柔軟層、70:本体部、70A~70D:ブロック、710AB~710CD:仕切板、711AB~711CD:塗料含浸仕切部、712AB~712CD:融着部、713AB~713CD:スリット、714AB~714CD:スペース、8:基材、9:光源部、90A~90D:光源、91A~91D:第一光源、92:第二光源、93:制御部、94:コンソールボックス、A1~D1:表示領域、A2~D2:中間領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8