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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-25
(45)【発行日】2025-09-02
(54)【発明の名称】搬送装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/08 20060101AFI20250826BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20250826BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20250826BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20250826BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20250826BHJP
【FI】
B65H5/08 H
B41J2/01 305
B41J11/02
G03G15/16
G03G21/16 180
G03G21/16 195
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021137611
(22)【出願日】2021-08-25
(65)【公開番号】P2023031858
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 敬
(72)【発明者】
【氏名】大槻 直人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩幸
【審査官】岸本 和真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3502324(US,A)
【文献】特開2019-34805(JP,A)
【文献】特開2017-105130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/08
B41J 11/02
B41J 2/01
G03G 15/16
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する回転部材と、
環状に形成され、前記回転部材に巻き掛けられ、該回転部材の回転に伴って周回する周回部材と、
前記周回部材に取り付けられて前記周回部材と共に周回し、互いが離間する離間状態から接近状態へ移行して、当該離間状態において互いの間に進入した被搬送材を挟む一対の挟み部材と、
前記回転部材の回転軸方向に沿った一方向に見て、前記離間状態の前記一対の挟み部材と重なる位置に配置され、前記被搬送材を前記離間状態の前記一対の挟み部材の間へ案内する案内部と、
を備え、
前記案内部は、
搬送部によって搬送方向に搬送される前記被搬送材の一方の面を案内する第一案内部材と、当該被搬送材の他方の面を案内する第二案内部材と、を有し、
前記第一案内部材と前記第二案内部材との間に対して搬送方向上流側から進入した被搬送材を搬送方向下流側へ通過させ、前記第一案内部材と前記第二案内部材との間から搬送方向下流側に向かって前記離間状態の前記一対の挟み部材の間に排出する
搬送装置。
【請求項2】
前記案内部は
記第一案内部材及び前記第二案内部材が、前記一方向に見て、前記離間状態の前記一対の挟み部材と重なる位置に配置されている
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記案内部と、前記離間状態の前記一対の挟み部材における前記被搬送材を挟む部分とは、前記一方向に沿って交互に複数配置される
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記案内部は
記第一案内部材及び前記第二案内部材と、前記離間状態の前記一対の挟み部材における前記被搬送材を挟む部分とが、前記一方向に沿って交互に複数配置される
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記案内部は、前記一方向に見て、前記回転部材と重なる位置に配置された状態を常に維持する
請求項1~4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記一対の挟み部材は、前記一方向に見て、前記回転部材と重なる位置に配置されている
請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
回転する回転部材と、
環状に形成され、前記回転部材に巻き掛けられ、該回転部材の回転に伴って周回する周回部材と、
前記周回部材に取り付けられて前記周回部材と共に周回し、互いが離間する離間状態から接近状態へ移行して、当該離間状態において互いの間に進入した被搬送材を挟む一対の挟み部材と、
前記回転部材の軸方向に沿った一方向に見て、前記回転部材と重なる位置に配置され、前記被搬送材を前記離間状態の前記一対の挟み部材の間へ案内する案内部と、
を備え、
前記案内部は、
搬送部によって搬送方向に搬送される前記被搬送材の一方の面を案内する第一案内部材と、当該被搬送材の他方の面を案内する第二案内部材と、を有し、
前記第一案内部材と前記第二案内部材との間に対して搬送方向上流側から進入した被搬送材を搬送方向下流側へ通過させ、前記第一案内部材と前記第二案内部材との間から搬送方向下流側に向かって前記離間状態の前記一対の挟み部材の間に排出する
搬送装置。
【請求項8】
前記案内部は、前記一方向に見て、前記回転部材と重なる位置に配置された状態を常に維持する
請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置で搬送される前記被搬送材としての記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像が外面に転写される環状の転写ベルトと、前記転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んで前記画像を前記転写ベルトから該記録媒体に転写する転写領域を有する転写胴と、該転写胴の軸方向両端側に配置された回転体と、を有する転写部と、前記回転体に巻き掛けられ、該回転体の回転により周回する周回部材と、前記周回部材に取り付けられ、前記記録媒体を保持し、該周回部材の周回により該記録媒体を搬送して、前記転写領域を通過させる保持部と、を備える画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-140062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送装置としては、回転するスプロケット等の回転部材と、回転部材に巻き掛けられ該回転部材の回転に伴って周回するチェーン等の周回部材と、周回部材の取付部位に取り付けられて周回部材と共に周回し、互いが離間する離間状態から接近状態へ移行して、当該離間状態において互いの間に進入した用紙等の被搬送材を挟む一対の挟み部材と、被搬送材を離間状態の一対の挟み部材の間へ案内する案内部と、を備える構成が考えられる。
【0005】
この構成において、回転部材の軸方向に沿った一方向に見て、案内部が離間状態の一対の挟み部材からずれた位置に配置されている場合では、一対の挟み部材が被搬送材を挟む際に被搬送材の姿勢が変動しやすく、一対の挟み部材が被搬送材を挟み損ねる場合がある。なお、当該「挟み損ねる」には、挟むこと自体ができない場合だけでなく、適正な挟み方ができなかった場合(例えば、被搬送材を傾いた状態で挟む場合、被搬送材に対する挟みが浅い又は深い場合等)も含まれる。
【0006】
本発明は、回転部材の軸方向に沿った一方向に見て、案内部が離間状態の一対の挟み部材からずれた位置に配置されている構成に比べ、一対の挟み部材が被搬送材を挟み損ねることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、回転する回転部材と、環状に形成され、前記回転部材に巻き掛けられ、該回転部材の回転に伴って周回する周回部材と、前記周回部材に取り付けられて前記周回部材と共に周回し、互いが離間する離間状態から接近状態へ移行して、当該離間状態において互いの間に進入した被搬送材を挟む一対の挟み部材と、前記回転部材の回転軸方向に沿った一方向に見て、前記離間状態の前記一対の挟み部材と重なる位置に配置され、前記被搬送材を前記離間状態の前記一対の挟み部材の間へ案内する案内部と、を備える。
【0008】
第2態様では、前記案内部は、前記被搬送材の一方の面を案内する第一案内部材と、前記被搬送材の他方の面を案内する第二案内部材と、を有し、前記第一案内部材及び前記第二案内部材が、前記一方向に見て、前記離間状態の前記一対の挟み部材と重なる位置に配置されている。
【0009】
第3態様では、前記案内部と、前記離間状態の前記一対の挟み部材における前記被搬送材を挟む部分とは、前記一方向に沿って交互に複数配置される。
【0010】
第4態様では、前記案内部は、前記被搬送材の一方の面を案内する第一案内部材と、前記被搬送材の他方の面を案内する第二案内部材と、を有し、前記第一案内部材及び前記第二案内部材と、前記離間状態の前記一対の挟み部材における前記被搬送材を挟む部分とが、前記一方向に沿って交互に複数配置される。
【0011】
第5態様では、前記案内部は、前記一方向に見て、前記回転部材と重なる位置に配置されている。
【0012】
第6態様では、前記一対の挟み部材は、前記一方向に見て、前記回転部材と重なる位置に配置されている。
【0013】
第7態様は、回転する回転部材と、環状に形成され、前記回転部材に巻き掛けられ、該回転部材の回転に伴って周回する周回部材と、前記周回部材に取り付けられて前記周回部材と共に周回し、互いが離間する離間状態から接近状態へ移行して、当該離間状態において互いの間に進入した被搬送材を挟む一対の挟み部材と、前記回転部材の軸方向に沿った一方向に見て、前記回転部材と重なる位置に配置され、前記被搬送材を前記離間状態の前記一対の挟み部材の間へ案内する案内部と、を備える。
【0014】
第8態様は、第1~第7態様のいずれか1つに係る搬送装置と、前記搬送装置で搬送される前記被搬送材としての記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
第1態様の構成によれば、回転部材の軸方向に沿った一方向に見て、案内部が離間状態の一対の挟み部材からずれた位置に配置されている構成に比べ、一対の挟み部材が被搬送材を挟み損ねることが抑制される。
【0016】
第2態様の構成によれば、一方向に見て、第一案内部材及び第二案内部材の一方のみが、離間状態の一対の挟み部材と重なる位置に配置されている構成に比べ、一対の挟み部材が被搬送材を挟み損ねることが抑制される。
【0017】
第3態様の構成によれば、案内部が、離間状態の一対の挟み部材における被搬送材を挟む部分に対する一方向の片側のみに配置されている構成に比べ、一対の挟み部材が被搬送材を挟み損ねることが抑制される。
【0018】
第4態様の構成によれば、第一案内部材及び第二案内部材の一方のみが、一対の挟み部材における被搬送材を挟む部分と交互に配置されている構成に比べ、一対の挟み部材が被搬送材を挟み損ねることが抑制される。
【0019】
第5態様の構成によれば、一方向に見て、案内部が回転部材からずれた位置に配置されている構成に比べ、装置の小型化が図れる。
【0020】
第6態様の構成によれば、一方向に見て、一対の挟み部材が回転部材からずれた位置に配置されている構成に比べ、装置の小型化が図れる。
【0021】
第7態様の構成によれば、一方向に見て、案内部が回転部材からずれた位置に配置されている構成に比べ、装置の小型化が図れる。
【0022】
第8態様の構成によれば、搬送装置における周回部材の取付部位が、離間状態の一対の挟み部材の間へ被搬送材が進入を開始する際に、回転部材に対して非接触である構成に比べ、記録媒体の搬送不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る回転体周辺の構成を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係るチェーンを示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係るグリッパを示す断面図である。
図5】第1実施形態に係るグリッパ、スプロケット、及び媒体案内部を示す斜視図である。
図6】第1実施形態に係るグリッパへ記録媒体が受け渡される一連の動作を示す断面図である。
図7】第1実施形態に係るグリッパへ記録媒体が受け渡される一連の動作を示す断面図である。
図8】第1実施形態に係るグリッパへ記録媒体が受け渡される一連の動作を示す断面図である。
図9】第1実施形態に係るグリッパへ記録媒体が受け渡される一連の動作を示す断面図である。
図10】第1実施形態に係るグリッパへ記録媒体が受け渡される一連の動作を示す断面図である。
図11】第1実施形態に係るグリッパへ記録媒体が受け渡される一連の動作を示す断面図である。
図12】第1実施形態に係るグリッパへ記録媒体が受け渡される一連の動作を示す断面図である。
図13】第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
<第1実施形態>
(画像形成装置10)
まず、第1実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0025】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方(鉛直上方)を示し、矢印DOは、装置の下方(鉛直下方)を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。
【0026】
また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方及び下方の両方」又は「上方及び下方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方及び左方の両方」又は「右方及び左方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」は、横方向、水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。前後方向は、後述の記録媒体Pの幅方向、及び後述のスプロケット37の軸方向に相当し、さらに、横方向、水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0027】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0028】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体Pにインク画像(画像の一例)を形成するインクジェット方式の画像形成装置である。具体的には、画像形成装置10は、画像形成部14と、搬送装置12と、を備えている。記録媒体Pとしては、一例として用紙Pが用いられる。以下、画像形成装置10の各部(画像形成部14及び搬送装置12)について説明する。
【0029】
(画像形成部14)
画像形成部14は、搬送される記録媒体Pにインク画像を形成する機能を有している。具体的には、画像形成部14は、図1に示されるように、予め定められた吐出位置へインクを吐出する吐出部14Y、14M、14C、14K(以下、14Y~14Kという)を有している。
【0030】
吐出部14Y~14Kは、この順で、記録媒体Pの搬送方向の下流側へ向かって配置されている。また、吐出部14Y~14Kは、記録媒体Pの幅方向に沿って長さを有している。なお、記録媒体Pの幅方向とは、搬送方向に対して交差する方向(具体的には、直交する方向)であって、前後方向に沿った方向である。
【0031】
そして、画像形成部14では、吐出部14Y~14Kが、サーマル方式、圧電方式等の公知の方式にて、搬送装置12で搬送される記録媒体Pにインク滴を吐出して、記録媒体Pにインク画像を形成する。
【0032】
(搬送装置12)
図1に示される搬送装置12は、記録媒体Pを搬送する装置である。搬送装置12は、図1及び図2に示されるように、回転体50と、一対のスプロケット25、37、45と、一対のチェーン22と、グリッパ24と、受渡機構60(図6参照)と、を備えている。
【0033】
記録媒体Pは、「被搬送材」の一例である。一対のスプロケット37は、「回転部材」の一例である。一対のチェーン22は、「周回部材」の一例である。グリッパ24に備えられた後述の爪26及び爪台27(図4参照)は、「一対の挟み部材」の一例である。
【0034】
なお、図1では、一対のチェーン22の一方を示し、一対のスプロケット25、37、45の一方を示している。また、図1では、チェーン22及びグリッパ24を簡略化して示している。さらに、図2では、グリッパ24を簡略化して示している。
【0035】
回転体50は、図1に示されるように、吐出部14Y~14Kに対向して配置されている。この回転体50は、後方視にて円形状に形成されると共に、外周面に凹部54を有している。この凹部54は、回転体50の外周面における周方向の一部に1つ設けられている。さらに、凹部54は、回転体50の軸方向に沿って長くされると共に、回転体50の径方向に沿った深さを有している。
【0036】
なお、後方視とは、対象(ここでは回転体50)に対する前方から当該対象を後方へ向かって見た場合をいう。すなわち、後方視とは、一対のスプロケット37の回転軸方向に沿った一方向としての後方へ見た場合をいう。
【0037】
一対のスプロケット25は、図2に示されるように、回転体50の軸方向両端側に設けられている。この一対のスプロケット25は、回転体50の同軸上に配置されており、回転体50と一体に回転する構成とされている。回転体50及び一対のスプロケット25は、駆動部(図示省略)によって回転駆動される。
【0038】
一対のスプロケット45は、図1に示されるように、一対のスプロケット25に対する左方側(すなわち搬送方向の下流側)に配置されている。この一対のスプロケット45は、前後方向に間隔をおいて配置されている。
【0039】
一対のスプロケット37は、一対のスプロケット25及び一対のスプロケット45の下方側であって、一対のスプロケット25に対する左方側(すなわち、一対のスプロケット45側)に配置されている。この一対のスプロケット37は、前後方向に間隔をおいて配置されている。
【0040】
一対のチェーン22は、図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン22は、図2に示されるように、前後方向に間隔をおいて配置されている。この一対のチェーン22の各々は、一対のスプロケット25、37、45の各々に巻き掛けられている。すなわち、一対のチェーン22の各々は、一対のスプロケット25、37、45の各々と噛み合っている。
【0041】
そして、回転体50と一対のスプロケット25とが一体に回転方向B(矢印B方向)へ回転駆動されることで、一対のスプロケット37、45が回転しつつ、一対のチェーン22が周回方向C(矢印C方向)へ周回する。すなわち、一対のスプロケット25、37、45の回転に伴って、一対のチェーン22が周回する。
【0042】
チェーン22は、図3に示されるように、複数の内リンク71と複数の外リンク72とが交互に連結されて構成されている。内リンク71は、2枚の内プレート73と、2個のブシュ75と、2個のローラ77と、を有している。2個のブシュ75は、2枚の内プレート73に形成された2つの孔79に圧入されている。2個のローラ77は、2個のブシュ75にその外周で回転可能に支持されている。外リンク72は、2枚の外プレート74と、2本のピン76とを有している。2本のピン76は、2枚の外プレート74に形成された2つの孔78に圧入されている。チェーン22では、ピン76の外周側にブシュ75が配置され、ブシュ75の外周側にローラ77が配置される。チェーン22は、内リンク71及び外リンク72の各々が、スプロケット25、37、45の各々の歯と噛み合っている。
【0043】
図4及び図5に示されるグリッパ24は、記録媒体Pの先端部を保持する保持部として機能する(図4図11及び図12参照)。グリッパ24は、図1に示されるように、チェーン22の周回方向Cに沿って、間隔をおいてチェーン22に複数配置されている。グリッパ24は、図4及び図5に示されるように、取付部材23と、爪26と、爪台27と、シャフト29と、を有している。
【0044】
シャフト29は、一対のチェーン22の間で一対のチェーン22の一方から他方へ向かって前後方向に沿って配置されている。すなわち、シャフト29は、前後方向を軸方向とする軸部である。なお、図4及び図5では、チェーン22の一部を図示している。
【0045】
一対の取付部材23は、チェーン22に取り付けられる部材である。この一対の取付部材23は、一対のチェーン22の間であって、シャフト29の軸方向の一端部(具体的には、後端部)及び他端部(具体的には、前端部)の各々に配置されている。一対の取付部材23は、シャフト29を回転可能に支持している。
【0046】
また、一対の取付部材23の各々は、軸方向外側(すなわち、チェーン22側)に延びる取付部23Aを有している。この取付部23Aは、チェーン22における単一の外リンク72に取り付けられている。すなわち、グリッパ24は、取付部材23によって、単一の外リンク72に取り付けられている。すなわち、グリッパ24は、取付部材23によって、チェーン22に固定されている。これにより、グリッパ24は、チェーン22と共に周回する。以下、取付部材23が取り付けられた外リンク72を、取付リンク72Aという。この取付リンク72Aは、「取付部位」の一例である。
【0047】
なお、図5では、一対の取付部材23のうち、シャフト29の軸方向の一端部(具体的には、後端部)に配置された取付部材23が図示されているが、取付部材23は、シャフト29の軸方向の他端部(具体的には、前端部)にも配置されている。シャフト29の前端部側に配置された取付部材23は、シャフト29の前端部側に配置されたチェーン22に同様に取り付けられている。
【0048】
爪台27は、一対の取付部材23の間で、一対の取付部材23の一方から他方へ向かって前後方向に沿って延びている。爪台27は、長手方向の一端部及び他端部の各々が、ボルト等の締結部材28により取付部材23の各々に固定されている。
【0049】
爪台27は、前後方向に延びる本体部27Bと、図4及び図5において下方側に突出する突出部27Aと、を有している。突出部27Aは、図5に示されるように、本体部27Bの長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。なお、突出部27A及び爪26は、「被搬送材を挟む部分」の一例である。
【0050】
一方、爪26は、シャフト29の軸方向に沿って間隔をあけて複数配置されている。具体的には、爪26は、爪台27の突出部27Aに対向する位置に配置されている。爪26は、取付部材23に回転可能に支持されたシャフト29と一体に回転(具体的には正転及び逆転)することで、爪台27(具体的には突出部27A)に対して開閉される。換言すれば、爪26と爪台27とは、互いが離間する離間状態(図8及び図9に示される状態)と、互いが接近する接近状態(図4図6図7図11、及び図12に示される状態)とに移行可能とされている。
【0051】
グリッパ24では、例えば、爪26が爪台27に対して、バネ等の弾性部材21の弾性力により押し付けられることで、爪26及び爪台27は、接近状態となり、カム等の作用により、当該弾性力に対抗して、爪26及び爪台27は、離間状態に移行する。
【0052】
そして、グリッパ24では、爪26及び爪台27が、離間状態(図8及び図9に示される状態)から接近状態(図11に示される状態)へ移行して、当該離間状態において互いの間に進入した記録媒体Pを挟む(図11参照)。これにより、グリッパ24が、記録媒体Pの先端部を保持する。
【0053】
搬送装置12では、記録媒体Pが収容された収容部(図示省略)から送られた記録媒体Pを、受渡機構60が、吐出部14Y~14Kの吐出位置に対する上流側に配置された受渡領域で、グリッパ24に受け渡す。グリッパ24は、受渡機構60から受け渡された記録媒体Pの先端部を保持する。
【0054】
さらに、チェーン22が周回することで、記録媒体Pの先端部を保持したグリッパ24が、スプロケット25及び回転体50の外周に沿って円弧状に移動する(図1参照)。これにより、該記録媒体Pは、回転体50の外周面に配置される。
【0055】
そして、グリッパ24は、回転体50の外周面に配置された記録媒体Pの先端部を保持し且つ凹部54に入り込んだ状態で、チェーン22と共に周回する。これにより、記録媒体Pが吐出部14Y~14Kの吐出位置を通過し、吐出部14Y~14Kから、回転体50の外周面に配置された記録媒体Pへインク滴が吐出されて画像が形成される。
【0056】
(受渡機構60)
受渡機構60は、記録媒体Pが収容された収容部(図示省略)から送られた記録媒体Pをグリッパ24に受け渡す機構である。
【0057】
ここで、グリッパ24の周回経路中に、グリッパ24への記録媒体Pの受け渡しが行われる受渡領域が設定されている。グリッパ24は、図7図12に示されるように、受渡領域において、一対の取付リンク72Aの各々が、一対のスプロケット37の各々に噛み合った状態となる。換言すれば、グリッパ24の周回経路において、一対の取付リンク72Aの各々が、一対のスプロケット37の各々に噛み合う領域に受渡領域が設定されている。さらに言えば、グリッパ24の周回経路において、一対のスプロケット37の外周部分に、受渡領域が設定されている。なお、図6図12では、一対の取付リンク72Aのうち、後方側に配置された取付リンク72Aが示され、一対のスプロケット37のうち、後方側に配置されたスプロケット37が示されている。また、図6では、グリッパ24が、受渡領域に移動する直前の状態、すなわち、グリッパ24が受渡領域に対する周回方向上流側に位置する状態が示されている。図6では、一対の取付リンク72Aの各々は、一対のスプロケット37の各々に噛み合っていない状態となっている。
【0058】
また、グリッパ24は、図7図12に示されるように、受渡領域において、爪26及び爪台27が、後方視にて、一対のスプロケット37と重なる位置に配置される。なお、「スプロケット37と重なる」とは、スプロケット37の歯先円(図6図12において一点鎖線37Lで示される円)の内周側に配置される状態をいう。本実施形態では、少なくとも、グリッパ24の爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟む接近状態(図11及び図12に示される状態)において、スプロケット37と重なる。
【0059】
さらに、グリッパ24は、受渡領域において、爪26及び爪台27は、接近状態(図7に示される状態)から離間状態(図8及び図9に示される状態)へ移行し、その後、離間状態(図8及び図9に示される状態)から接近状態(図11に示される状態)へ移行する。具体的には、例えば、スプロケット37の回転軸37Aに配置されたカム(図示省略)の作用により、爪26が、受渡領域において、爪台27に対して離間及び接近する方向へ移動する。これにより、爪26及び爪台27の接近状態から離間状態への移行と、離間状態から接近状態への移行が行われる。なお、爪26及び爪台27は、受渡領域に対する周回方向上流側で、接近状態から離間状態へ移行し、離間状態を維持した状態で、受渡領域へ移動する構成であってもよい。なお、図6に示されるように、爪26及び爪台27は、グリッパ24が受渡領域に対する周回方向上流側で、接近状態となっており、接近状態を維持した状態で、受渡領域へ移動する。
【0060】
受渡機構60は、図10に示されるように、受渡領域において、離間状態の爪26及び爪台27との間に記録媒体Pの先端部(すなわち、搬送方向下流端部)を進入させる。具体的には、図6図12に示されるように、受渡機構60は、搬送部62と、媒体案内部90と、グリッパ案内部80と、を有している。
【0061】
搬送部62は、受渡領域において、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入されるように、グリッパ24の爪26及び爪台27が受渡領域を通過する通過タイミングに合わせて、記録媒体Pを受渡領域へ搬送する。通過タイミングは、例えば、受渡領域に対する周回方向上流側で、センサ等の検知部によりグリッパ24を検知し、当該検知位置と受渡領域との距離及びグリッパ24の周回速度から把握される。搬送部62は、具体的には、記録媒体Pを搬送する搬送ロール及び搬送ベルト等の搬送部材により構成されている。
【0062】
媒体案内部90は、搬送部62により搬送される記録媒体Pを離間状態の爪26及び爪台27との間へ案内する機能を有している。媒体案内部90は、図9及び図10に示すように、後方視にて、離間状態の爪26及び爪台27と重なる位置に配置されている。なお、「媒体案内部90が、後方視にて、離間状態の爪26及び爪台27と重なる」とは、グリッパ24が周回する際における離間状態の爪26及び爪台27の移動軌跡の一部が、後方視にて、媒体案内部90と重なる状態をいう。
【0063】
媒体案内部90は、具体的には、記録媒体Pの上面(一方の面の一例)を案内する第一案内部材91と、記録媒体Pの下面(他方の面の一例)を案内する第二案内部材92と、を有している。第一案内部材91及び第二案内部材92の両方が、後方視にて、離間状態の爪26及び爪台27と重なる位置に配置されている。
【0064】
具体的には、第一案内部材91及び第二案内部材92の先端部(すなわち、搬送方向下流端部、右端部、及び突出部91B、92B(図5参照))が、離間状態の爪26及び爪台27と重なる位置に配置されている。
【0065】
図5に示されるように、第一案内部材91及び第二案内部材92は、櫛歯状に形成されている。第一案内部材91及び第二案内部材92は、本体部91A、92Aと、突出部91B、92Bと、を有している。本体部91A、92Aは、平面視にて、前後方向に長い長方形状に形成されている。本体部91A、92Aの前後方向の長さは、最大サイズの記録媒体Pの前後方向(すなわち幅方向)の長さよりも長くされている。突出部91B、92Bの前後方向の長さは、本体部91A、92Aの前後方向の長さよりも短く、最小サイズの記録媒体Pの前後方向(すなわち幅方向)の長さよりも短くされている。
【0066】
突出部91B、92Bは、本体部91A、92Aから搬送方向下流側(すなわち右方側)へ突出している。突出部91B、92Bは前後方向に間隔をおいて複数が配置されている。すなわち、突出部91B、92Bの各々の前後方向の間には、隙間93が形成されている。媒体案内部90における突出部91B、92Bと、離間状態の爪26及び爪台27(具体的には、突出部27A)とは、前後方向に沿って交互に複数配置される。
【0067】
さらに、媒体案内部90は、図6図12に示されるように、後方視にて、一対のスプロケット37と重なる位置に配置されている。具体的には、第一案内部材91及び第二案内部材92の両方が、一対のスプロケット37と重なる位置に配置されている。さらに具体的には、第一案内部材91及び第二案内部材92の先端部(すなわち、搬送方向下流端部、右端部、及び突出部91B、92B(図5参照))が、一対のスプロケット37と重なる位置に配置されている。
【0068】
第一案内部材91及び第二案内部材92の各々は、記録媒体Pの上面及び下面の各々に接触して、記録媒体Pの予め定められた搬送経路から外れる移動を制限するともいえる。
【0069】
(取付リンク72Aのスプロケット37との噛合期間)
以上のように、取付リンク72Aとスプロケット37とが噛み合った状態となる受渡領域において、受渡機構60により、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入される。これにより、取付リンク72Aとスプロケット37とが噛み合う噛合期間は、以下のように、把握される。
【0070】
取付リンク72Aは、少なくとも、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際に、スプロケット37と噛み合っている(図9参照)。具体的には、取付リンク72Aは、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから、爪26及び爪台27が離間状態から接近状態への移行を開始するまで、スプロケット37と噛み合っている(図10参照)。
【0071】
さらに具体的には、取付リンク72Aは、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから、爪26及び爪台27が記録媒体Pを挟むまで、スプロケット37と噛み合っている(図11参照)。
【0072】
さらに言えば、取付リンク72Aは、爪26及び爪台27が接近状態から離間状態(図8に示される状態)への移行が完了する前に、スプロケット37への噛み合いを開始する(図7参照)。具体的には、爪26及び爪台27は、離間状態への移行を開始する前の接近状態において、スプロケット37への噛み合いを開始する(図7参照)。
【0073】
整理すると、取付リンク72Aは、爪26及び爪台27の接近状態において、スプロケット37への噛み合いを開始し(図7参照)、爪26及び爪台27が接近状態から離間状態に移行した後(図8参照)、離間状態で爪26及び爪台27の間に進入した記録媒体Pを挟むまで(図11参照)、スプロケット37と噛み合っている。
【0074】
なお、取付リンク72Aは、スプロケット37に対して噛み合うことで、スプロケット37に接触している。したがって、取付リンク72Aのスプロケット37に対する噛み合いは、取付リンク72Aのスプロケット37に対する接触とも言え、噛合期間は、接触期間とも言える。
【0075】
(グリッパ案内部80)
グリッパ案内部80は、グリッパ24を案内する機能を有している。具体的には、グリッパ案内部80は、図6図12に示されるように、一対のスプロケット37の各々と、グリッパ24との間に配置された側壁86に形成された案内溝87で構成されている。案内溝87は、シャフト29の軸方向の一端部及び他端部に同軸に設けられた被案内部としての被案内ロール89を案内する。具体的には、被案内ロール89が案内溝87に挿入され、案内溝87の縁に形成された案内面87Aによって被案内ロール89を案内することで、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動を制限する。
【0076】
具体的には、グリッパ案内部80は、爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから(図9参照)、爪26及び爪台27が離間状態から接近状態への移行を開始するまで(図10参照)爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動を制限する。
【0077】
さらに具体的には、グリッパ案内部80は、爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから(図9参照)、爪26及び爪台27が記録媒体Pを挟むまで(図11参照)、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動を制限する。
【0078】
本実施形態では、グリッパ案内部80は、爪26及び爪台27の接近状態において、スプロケット37への噛み合いを開始し、爪26及び爪台27が接近状態から離間状態に移行した後、離間状態で爪26及び爪台27の間に進入した記録媒体Pを挟むまで、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動を制限する。
【0079】
(第1実施形態に係る作用)
次に、第1実施形態に係る作用を説明する。
【0080】
本実施形態の構成によれば、取付リンク72Aは、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際に、スプロケット37と噛み合っている(図9参照)。このため、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際に、取付リンク72Aが、スプロケット37に対して噛み合っていない構成(すなわち非接触である構成)に比べ、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の姿勢が変動しにくく、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。この結果、記録媒体Pの搬送不良が抑制される。
【0081】
具体的には、本実施形態の構成によれば、取付リンク72Aは、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから、爪26及び爪台27が離間状態から接近状態への移行を開始するまで、スプロケット37と噛み合っている(図10参照)。このため、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際にのみ、取付リンク72Aが、スプロケット37と噛み合っている構成に比べ、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。
【0082】
さらに具体的には、本実施形態の構成によれば、取付リンク72Aは、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから、爪26及び爪台27が記録媒体Pを挟むまで、スプロケット37と噛み合っている(図11参照)。このため、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから、爪26及び爪台27が離間状態から接近状態への移行を開始するまでだけ、取付リンク72Aが、スプロケット37と噛み合っている構成に比べ、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。
【0083】
さらに言えば、本実施形態の構成によれば、取付リンク72Aは、爪26及び爪台27が接近状態から離間状態(図8に示される状態)への移行が完了する前に、スプロケット37への噛み合いを開始する(図7参照)。このため、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際にのみ、取付リンク72Aが、スプロケット37と噛み合っている構成に比べ、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。
【0084】
また、本実施形態の構成によれば、グリッパ案内部80は、爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから(図9参照)、爪26及び爪台27が離間状態から接近状態への移行を開始するまで(図10参照)、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動を制限する。このため、爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから(図9参照)、爪26及び爪台27が離間状態から接近状態への移行を開始するまで(図10参照)、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動が自在である構成に比べ、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の姿勢が変動しにくく、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。
【0085】
具体的には、本実施形態の構成によれば、グリッパ案内部80は、爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから(図9参照)、爪26及び爪台27が記録媒体Pを挟むまで(図11参照)、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動を制限する。このため、グリッパ案内部80が、爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから(図9参照)、爪26及び爪台27が離間状態から接近状態への移行を開始するまでだけ(図10参照)、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動を制限する構成に比べ、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。
【0086】
また、本実施形態の構成によれば、媒体案内部90は、図9及び図10に示すように、後方視にて、離間状態の爪26及び爪台27と重なる位置に配置されている。このため、後方視にて、媒体案内部90が離間状態の爪26及び爪台27からずれた位置(例えば、離間状態の爪26及び爪台27に対する左方側の離れた位置)に配置されている構成に比べ、爪26及び爪台27が記録媒体Pを挟むまで記録媒体Pの案内が可能となり、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。なお、「後方視にて、媒体案内部90が離間状態の爪26及び爪台27からずれた位置に配置されている構成」とは、チェーン22と共に周回する離間状態の爪26及び爪台27が、媒体案内部90と重なる位置を通過しない構成をいう。
【0087】
また、本実施形態の構成によれば、第一案内部材91及び第二案内部材92の両方が、後方視にて、離間状態の爪26及び爪台27と重なる位置に配置されている。このため、第一案内部材91及び第二案内部材92の一方のみが、後方視にて、離間状態の爪26及び爪台27と重なる位置に配置されている構成に比べ、爪26及び爪台27が記録媒体Pを挟むまで記録媒体Pの両面を案内可能となり、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。
【0088】
また、本実施形態の構成によれば、媒体案内部90と、離間状態の爪26及び爪台27(具体的には、突出部27A)とは、前後方向に沿って交互に複数配置される。このため、媒体案内部90が離間状態の爪26及び爪台27に対する前後方向の片側のみに配置されている構成に比べ、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。また、媒体案内部90と、離間状態の爪26及び爪台27とが、前後方向に沿って交互に複数配置されるので、媒体案内部90と、離間状態の爪26及び爪台27との干渉が抑制される。
【0089】
また、本実施形態の構成によれば、突出部91B、92Bの両方と、離間状態の爪26及び爪台27(具体的には、突出部27A)とは、前後方向に沿って交互に複数配置される。このため、突出部91B、92Bの一方のみが、離間状態の爪26及び爪台27と前後方向に沿って交互に複数配置される構成に比べ、爪26及び爪台27が、記録媒体Pを挟み損ねることが抑制される。
【0090】
また、本実施形態の構成によれば、媒体案内部90は、図6図12に示されるように、後方視にて、一対のスプロケット37と重なる位置に配置されている。このため、媒体案内部90が、後方視にて、一対のスプロケット37からずれた位置に配置されている構成に比べ、装置の小型化が図れる。
【0091】
また、本実施形態の構成によれば、グリッパ24は、図7図12に示されるように、受渡領域において、爪26及び爪台27が、後方視にて、一対のスプロケット37と重なる位置に配置される。このため、爪26及び爪台27が、後方視にて、一対のスプロケット37からずれた位置に配置されている構成に比べ、装置の小型化が図れる。
【0092】
(変形例)
本実施形態では、周回部材の一例として、チェーン22を用い、回転部材の一例として、スプロケット25、37、45を用いたが、これに限られない。例えば、周回部材の一例として、内周に凹凸を有するタイミングベルトを用い、回転部材の一例として、タイミングプーリ(すなわち、外周に凹凸を有するプーリ)を用いてもよい。また、周回部材の一例として、ベルトを用い、回転部材の一例として、ベルトを摩擦により周回させるプーリを用いてもよい。当該構成では、プーリが、ベルトに対して噛み合うのではなく、接触した状態で回転することで、ベルトが周回する。そして、当該構成では、ベルトにおけるグリッパ24が取り付けられた取付部位は、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際に、プーリと接触する。
【0093】
また、本実施形態では、グリッパ24は、チェーン22における単一のリンクに取り付けられていたが、これに限られない。グリッパ24は、チェーン22における複数のリンクに取り付けられていてもよい。この場合では、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際に、複数のリンクのうち、少なくとも1つが、スプロケット37と噛み合っていればよい。
【0094】
被搬送材の一例としての記録媒体Pとして、用紙Pを用いたが、これに限られない。例えば、記録媒体Pの一例としては、例えば、樹脂のフィルムや、金属フィルムなどであってもよく、搬送されうる記録媒体であればよい。また、本実施形態では、被搬送材の一例として、画像が形成される記録媒体Pを用いたが、これに限られない。例えば、被搬送材の一例としては、画像を形成する処理がなされることを目的とせず、検査、その他の処理を目的として搬送される被搬送材や、搬送自体を専らの目的として搬送される被搬送材であってもよい。
【0095】
本実施形態の構成によれば、取付リンク72Aは、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際に、スプロケット37と噛み合っていたが、これに限られない。例えば、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際に、取付リンク72Aが、スプロケット37に対して噛み合っていない構成(すなわち非接触である構成)であってもよい。
【0096】
本実施形態の構成によれば、取付リンク72Aは、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから、爪26及び爪台27が記録媒体Pを挟むまで、スプロケット37と噛み合っていたが(図11参照)、これに限られない。例えば、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから、爪26及び爪台27が離間状態から接近状態への移行を開始するまでだけ、取付リンク72Aが、スプロケット37と噛み合っている構成であってもよく、取付リンク72Aは、少なくとも、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際に、スプロケット37と噛み合っていればよい。
【0097】
また、本実施形態の構成によれば、取付リンク72Aは、爪26及び爪台27が接近状態から離間状態(図8に示される状態)への移行が完了する前に、スプロケット37への噛み合いを開始していたが(図7参照)、これに限られない。例えば、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際にのみ、取付リンク72Aが、スプロケット37と噛み合っている構成であってもよく、取付リンク72Aは、少なくとも、離間状態の爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始する際に、スプロケット37と噛み合っていればよい。
【0098】
本実施形態の構成によれば、グリッパ案内部80は、爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから(図9参照)、爪26及び爪台27が記録媒体Pを挟むまで(図11参照)、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動を制限していたが、これに限られない。例えば、グリッパ案内部80が、爪26及び爪台27との間へ記録媒体Pが進入を開始してから(図9参照)、爪26及び爪台27が離間状態から接近状態への移行を開始するまで(図10参照)、爪26及び爪台27を含むグリッパ24の予め定められた周回経路(矢印X参照)から外れる移動を制限する構成であってもよい。また、グリッパ案内部80が備えられていない構成であってもよい。
【0099】
また、本実施形態の構成によれば、第一案内部材91及び第二案内部材92の両方が、後方視にて、離間状態の爪26及び爪台27と重なる位置に配置されていたが、これに限られない。例えば、第一案内部材91及び第二案内部材92の一方のみが、後方視にて、離間状態の爪26及び爪台27と重なる位置に配置されている構成であってもよい。
【0100】
また、本実施形態の構成によれば、媒体案内部90と、離間状態の爪26及び爪台27とは、前後方向に沿って交互に複数配置されていたが、これに限られない。例えば、媒体案内部90が離間状態の爪26及び爪台27に対する前後方向の片側のみに配置されている構成であってもよい。
【0101】
また、本実施形態の構成によれば、突出部91B、92Bの両方と、離間状態の爪26及び爪台27とは、前後方向に沿って交互に複数配置されていたが、これに限られない。例えば、突出部91B、92Bの一方のみが、離間状態の爪26及び爪台27と前後方向に沿って交互に複数配置される構成であってもよい。
【0102】
また、本実施形態の構成によれば、媒体案内部90は、図6図12に示されるように、後方視にて、一対のスプロケット37と重なる位置に配置されていたが、これに限られない。例えば、媒体案内部90が、後方視にて、一対のスプロケット37からずれた位置に配置されている構成であってもよい。
【0103】
また、本実施形態の構成によれば、グリッパ24は、図7図12に示されるように、受渡領域において、爪26及び爪台27が、後方視にて、一対のスプロケット37と重なる位置に配置されていたが、これに限られない。例えば、爪26及び爪台27が、後方視にて、一対のスプロケット37からずれた位置に配置されている構成であってもよい。
【0104】
<第2実施形態>
(画像形成装置200)
第1実施形態では、画像形成装置10は、記録媒体Pにインクを用いて画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置であったが、画像形成装置としては、これに限られない。画像形成装置の一例としては、例えば、電子写真式の画像形成装置であってもよく、画像を形成する装置であればよい。第2実施形態では、電子写真式の画像形成装置200について説明する。図13は、本実施形態に係る画像形成装置200の構成を示す概略図である。なお、第1実施形態と同一機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0105】
(画像形成部214)
画像形成装置200は、画像形成部14に替えて画像形成部214を有している。画像形成部214は、電子写真方式により記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する機能を有している。さらに具体的には、画像形成部214は、図13に示されるように、トナー像を形成するトナー像形成部222と、トナー像形成部222で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置217と、を有している。
【0106】
(トナー像形成部222)
図13に示されるトナー像形成部222は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部222が設けられている。図13に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0107】
なお、各色のトナー像形成部222は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部222を代表して、図13ではトナー像形成部222(K)の各部に符号を付している。
【0108】
各色のトナー像形成部222は、具体的には、一方向(例えば図13における反時計回り方向)に回転する感光体224を有している。また、各色のトナー像形成部222は、帯電器223と、露光装置240と、現像装置238と、を有している。
【0109】
各色のトナー像形成部222では、帯電器223が、感光体224を帯電させる。さらに、露光装置240が、帯電器223によって帯電された感光体224を露光して、感光体224に静電潜像を形成する。また、現像装置238が、露光装置240によって感光体224に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0110】
(転写装置217)
図13に示される転写装置217は、トナー像形成部222で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置217は、各色の感光体224のトナー像を、中間転写体としての転写ベルト213に重ねて一次転写し、該重ねられたトナー像を記録媒体Pに二次転写する。転写装置217は、図13に示されるように、転写ベルト213と、一次転写ロール226と、転写体250と、を備えている。
【0111】
一次転写ロール226は、各色の感光体224のトナー像を、感光体224と一次転写ロール226との間の一次転写位置T1にて転写ベルト213に転写させるロールである。本実施形態では、一次転写ロール226と感光体224との間に一次転写電界が印加されることで、感光体224に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて転写ベルト213に転写される。
【0112】
転写ベルト213は、各色の感光体224からトナー画像が外周面に転写される。この転写ベルト213は、図13に示されるように、無端状を成すと共に、正面視にて(装置奥行方向に見て)逆三角形状の姿勢となるように、複数のロール232及び対向ロール234に巻き掛けられている。転写ベルト213は、複数のロール232の少なくとも1個が回転駆動されることで、矢印A方向へ周回する。
【0113】
転写体250は、転写ベルト213に転写されたトナー画像を、対向ロール234と転写体250との間の二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写するロールである。本実施形態では、対向ロール234と転写体250との間に二次転写電界が印加されることで、転写ベルト213に転写されたトナー画像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写される。なお、転写体250は、第1実施形態における回転体50と同様に構成されており、回転体の一例である。
【0114】
(定着装置280)
本実施形態では、定着装置280は、転写体250によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置として機能する。具体的には、定着装置280は、図13に示されるように、加圧ロール281と、加熱ロール282と、を有している。
【0115】
第1実施形態における一対のスプロケット45は、加圧ロール281の軸方向両端側に設けられている。この一対のスプロケット45は、加圧ロール281の同軸上に配置されており、加圧ロール281と一体に回転する構成とされている。また、加圧ロール281の外周には、グリッパ24及び取付部材23が収容される凹部284が形成されている。
【0116】
定着装置280では、加熱ロール282が、加圧ロール281に対する上方側に配置されている。この加熱ロール282は、ロール内部にハロゲンランプ等の加熱源282Aを有している。
【0117】
さらに、定着装置280では、例えば、加圧ロール281及び加熱ロール282の一方が回転駆動され、加圧ロール281及び加熱ロール282の他方が従動回転する。なお、加圧ロール281及び加熱ロール282の両方が回転駆動される構成であってもよい。
【0118】
そして、定着装置280では、加熱ロール282と加圧ロール281とで記録媒体Pを挟み込んだ状態で搬送しつつ、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0119】
画像形成装置200では、搬送装置12は、グリッパ24が記録媒体Pの先端部を保持した状態でチェーン22が周回方向Cへ周回することで、二次転写位置T2と、加圧ロール281と加熱ロール282との間の定着位置NPとに記録媒体Pを通過させる。そして、各色の一次転写位置T1で転写ベルト213に重ねて一次転写されたトナー像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに二次転写される。記録媒体Pに二次転写されたトナー像が定着位置NPにて記録媒体Pに定着される。
【0120】
本実施形態における搬送装置12は、第1実施形態における搬送装置12と同様に構成されており、本実施形態は、第1実施形態と同様の作用を奏する。
【0121】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0122】
10、200 画像形成装置
12 搬送装置
14、214 画像形成部
22 チェーン(周回部材の一例)
26 爪(一対の挟み部材の一例)
27 爪台(一対の挟み部材の一例)
37 スプロケット(回転部材の一例)
80 グリッパ案内部(制限部の一例)
90 媒体案内部(案内部の一例)
91 第一案内部材
92 第二案内部材
P 記録媒体(被搬送材の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13