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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-27
(45)【発行日】2025-09-04
(54)【発明の名称】加工方法及びダイシング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20250828BHJP
【FI】
H01L21/78 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021192283
(22)【出願日】2021-11-26
(65)【公開番号】P2023078942
(43)【公開日】2023-06-07
【審査請求日】2024-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌之
(72)【発明者】
【氏名】大室 喜洋
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145558(JP,A)
【文献】特開2000-216227(JP,A)
【文献】特開2016-025167(JP,A)
【文献】特開2004-055860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差する複数の分割予定ラインが設定されたパッケージ基板の加工方法であって、
該分割予定ラインに対応する領域に切削ブレードの逃げ溝が形成されるとともに該逃げ溝で区画される領域にそれぞれパッケージ基板を吸引保持する吸引孔が形成された保持テーブルをカメラで撮像して該保持テーブルの汚れを確認する汚れ確認ステップと、
該汚れ確認ステップで汚れが確認された場合に該保持テーブルに洗浄液を供給し該保持テーブルを洗浄する洗浄ステップと、
該保持テーブルでパッケージ基板を保持する保持ステップと、
該保持テーブルで保持されたパッケージ基板を切削ブレードで該分割予定ラインに沿って切削して分割するダイシングステップと、を備えた加工方法。
【請求項2】
該ダイシングステップを実施した後、該保持テーブル上から分割されたパッケージ基板を搬出する搬出ステップを備えた、請求項1に記載の加工方法。
【請求項3】
該洗浄ステップでは、該切削ブレードに隣接して配設された洗浄液供給ノズルから該洗浄液を該保持テーブルに噴射して該保持テーブルを洗浄する、請求項1または請求項2に記載の加工方法。
【請求項4】
該洗浄液は水とエアーの混合2流体からなる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項5】
交差する複数の分割予定ラインが設定されたパッケージ基板をダイシングするダイシング装置であって、
ダイシングするパッケージ基板の該分割予定ラインに対応した領域に切削ブレードの逃げ溝が形成されるとともに該逃げ溝で区画される領域にそれぞれパッケージ基板を吸引保持する吸引孔が形成された保持テーブルと、
該保持テーブルで保持されたパッケージ基板をダイシングする切削ブレードと、
該保持テーブルを撮像するカメラと、
該保持テーブルに洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルと、
少なくとも該洗浄液供給ノズルを制御するコントローラと、を備え、
該コントローラは、該カメラで該保持テーブルを撮像して形成した撮像画像に基づいて該保持テーブルの汚れを確認し、汚れが確認された場合に該洗浄液供給ノズルから該保持テーブルに該洗浄液を供給する、ダイシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差する複数の分割予定ラインが設定されたパッケージ基板の加工方法、及びパッケージ基板をダイシングするダイシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイシング装置では分割後のワークのハンドリングを容易にするためダイシング前に予めワークにテープを貼着しておき、ダイシング後にテープからワークをピックアップした後にテープを廃棄している。一方、テープコストを削減すべく、テープを使用することなく直にパッケージ基板を保持テーブルで吸引保持して加工するためのダイシング装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-078253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に記載されたダイシング装置は、パッケージ基板を切削ブレードでダイシングして生じた切削屑は切削液に取り込まれ、ダイシング装置内で飛散しダイシング装置の加工室内で側壁や天井、切削ユニット等に付着する。
【0005】
特許文献1等に記載されたダイシング装置は、切削屑を含む切削液が滴下する等してパッケージ基板を搬出した後の保持テーブルに付着して堆積していくと次に加工するパッケージ基板と保持テーブルの保持面間に汚れが介在して、保持テーブルとパッケージ基板の被保持面間に隙間が形成されてしまう。
【0006】
そして、特許文献1等に記載されたダイシング装置は、この隙間から負圧がリークすることでパッケージ基板が充分に吸引保持されず、ダイシング中にパッケージ基板が動く等して加工不良を生じかねない。また、保持テーブルの吸引孔に汚れが付着、堆積すると吸引力の低下に繋がり、同様の問題が生じる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、加工不良を抑制することができる加工方法及びダイシング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工方法は、交差する複数の分割予定ラインが設定されたパッケージ基板の加工方法であって、該分割予定ラインに対応する領域に切削ブレードの逃げ溝が形成されるとともに該逃げ溝で区画される領域にそれぞれパッケージ基板を吸引保持する吸引孔が形成された保持テーブルをカメラで撮像して該保持テーブルの汚れを確認する汚れ確認ステップと、該汚れ確認ステップで汚れが確認された場合に該保持テーブルに洗浄液を供給し該保持テーブルを洗浄する洗浄ステップと、該保持テーブルでパッケージ基板を保持する保持ステップと、該保持テーブルで保持されたパッケージ基板を切削ブレードで該分割予定ラインに沿って切削して分割するダイシングステップと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記加工方法では、該ダイシングステップを実施した後、該保持テーブル上から分割されたパッケージ基板を搬出する搬出ステップを備えても良い。
【0010】
前記加工方法では、該洗浄ステップでは、該切削ブレードに隣接して配設された洗浄液供給ノズルから該洗浄液を該保持テーブルに噴射して該保持テーブルを洗浄しても良い。
【0011】
前記加工方法では、該洗浄液は水とエアーの混合2流体からなっても良い。
【0012】
本発明のダイシング装置は、交差する複数の分割予定ラインが設定されたパッケージ基板をダイシングするダイシング装置であって、ダイシングするパッケージ基板の該分割予定ラインに対応した領域に切削ブレードの逃げ溝が形成されるとともに該逃げ溝で区画される領域にそれぞれパッケージ基板を吸引保持する吸引孔が形成された保持テーブルと、該保持テーブルで保持されたパッケージ基板をダイシングする切削ブレードと、該保持テーブルを撮像するカメラと、該保持テーブルに洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルと、少なくとも該洗浄液供給ノズルを制御するコントローラと、を備え、該コントローラは、該カメラで該保持テーブルを撮像して形成した撮像画像に基づいて該保持テーブルの汚れを確認し、汚れが確認された場合に該洗浄液供給ノズルから該保持テーブルに該洗浄液を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、加工不良を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1に係るダイシング装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係る加工方法及びダイシング装置の加工対象のパッケージ基板の平面図である。
図3図3は、図2に示されたパッケージ基板の側面図である。
図4図4は、図2に示されたパッケージ基板の裏面側の平面図である。
図5図5は、図1に示されたダイシング装置の保持テーブルの平面図である。
図6図6は、図5中のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図7は、図5に示された保持テーブルの要部を拡大して示す斜視図である。
図8図8は、図1に示されたダイシング装置の切削ユニットの正面図である。
図9図9は、図1に示されたダイシング装置のコントローラの記憶部に記憶された基準画像の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態1に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、図10に示された加工方法の汚れ確認ステップで形成した撮像画像を例示する図である。
図12図12は、図10に示された加工方法の洗浄ステップの一例を示す断面図である。
図13図13は、図10に示された加工方法の保持ステップを一部断面で示す側面図である。
図14図14は、図10に示された加工方法のダイシングステップを一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態1に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るダイシング装置1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るダイシング装置の構成例を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係る加工方法及びダイシング装置の加工対象のパッケージ基板の平面図である。図3は、図2に示されたパッケージ基板の側面図である。図4は、図2に示されたパッケージ基板の裏面側の平面図である。図5は、図1に示されたダイシング装置の保持テーブルの平面図である。図6は、図5中のVI-VI線に沿う断面図である。図7は、図5に示された保持テーブルの要部を拡大して示す斜視図である。図8は、図1に示されたダイシング装置の切削ユニットの正面図である。図9は、図1に示されたダイシング装置のコントローラの記憶部に記憶された基準画像の一例を示す図である。
【0017】
実施形態1に係る図1に示すダイシング装置は、図2図3及び図4に示すパッケージ基板200をダイシング(切削)して、パッケージ基板200を個々のパッケージチップ201に分割する加工装置である。
【0018】
(パッケージ基板)
実施形態1に係るダイシング装置1の加工対象のパッケージ基板200は、図2に示すように、平面形状が矩形の平板状に形成されている。パッケージ基板200は、矩形の平板状のべース基板202を備え、べース基板202の表面203にデバイス領域204と、デバイス領域204を囲繞する外周余剰領域205とを有している。べース基板202は、銅を含む金属(即ち、銅合金)などの金属からなる。
【0019】
デバイス領域204は、互いに交差する複数の分割予定ライン206が設定されている。互いに交差する複数の分割予定ライン206のうちの一方の分割予定ライン206は、べース基板202の長手方向と平行な方向に伸長し、他方の分割予定ライン206は、べース基板202の長手方向に対して直交しかつべース基板202の幅方向と平行な方向に伸長する。これら互いに交差する複数の分割予定ライン206で区画された領域207にデバイスチップ208が配設されている。分割予定ライン206は、べース基板202を貫通して構成されている。領域207は、べース基板202の一部分により構成され、表面203の裏側の裏面210(図4等に示す)側にデバイスチップ208を配設している。各分割予定ライン206には、パッケージチップ201を配線基板等に接続するための電極209が設けられている。
【0020】
電極209は、べース基板202の一部分により構成され、実施形態1では、それぞれ、分割予定ライン206の幅方向の中央に設けられているとともに、各分割予定ライン206と直交する方向に直線状に形成されている。電極209は、デバイスチップ208と図示しないワイヤ等により接続されている。
【0021】
実施形態1では、デバイス領域204は、べース基板202の長手方向に間隔をあけて複数(実施形態1では、3つ)配設されている。外周余剰領域205は、デバイスチップ208が配設されていない領域であって、べース基板202により構成され、各デバイス領域204の全周を囲繞しているとともに、互いに隣り合うデバイス領域204同士を連結している。
【0022】
また、パッケージ基板200は、図3及び図4に示すように、各デバイス領域204の裏面210側を封止(被覆)した封止樹脂211を備える。封止樹脂211は、熱可塑性樹脂により構成され、べース基板202の領域207の裏面210に配設されたデバイスチップ208及びワイヤを封止(被覆)しているとともに、分割予定ライン206内に充填されている。封止樹脂211は、べース基板202の裏面210側では、各デバイス領域204全体を封止(被覆)している。封止樹脂211は、べース基板202の表面203側では、デバイスチップ208を配設した領域207と、電極209とを露出させた状態で分割予定ライン206内を封止している。
【0023】
パッケージ基板200は、各デバイス領域204の各分割予定ライン206の幅方向の中央が切断されて、電極209が二分割されて、個々のパッケージチップ201に分割される。このように、実施形態1に係る加工方法及びダイシング装置1の加工対象であるパッケージ基板200は、切削ブレード21で切削される分割予定ライン206に金属からなる電極209が配置されたQFN基板である。なお、実施形態1では、パッケージ基板200は、分割予定ライン206に電極209が配置されたQFN(Quad Flat Non-leaded Package)基板であるか、これに限定されず、CSP(Chip Scale Packaging)基板でも良い。また、実施形態1では、パッケージ基板200から分割されるパッケージチップ201は、各辺の長さが1mm×1mm程度の大きさである、即ち、チップサイズが小さい、小チップである。
【0024】
また、実施形態1では、パッケージ基板200は、図2に示すように、べース基板202の表面203の分割予定ライン206の両端部に切削加工時の分割予定ライン206の切削位置を示すアライメント用のマーク212が設けられている。実施形態1では、アライメント用のマーク212は、各分割予定ライン206の幅方向の中央と並ぶ位置に配置されている。
【0025】
(ダイシング装置)
実施形態1に係るダイシング装置1は、パッケージ基板200を保持テーブル10に保持して複数の分割予定ライン206に沿ってダイシング(切削)加工して、個々のパッケージチップ201に分割する加工装置である。実施形態1において、ダイシング装置1は、ダイシングテープが貼着されないパッケージ基板200を保持テーブル10に直接保持して、パッケージ基板200を所謂フルカットしてパッケージチップ201に分割する加工装置(所謂、治具ダイサー)である。
【0026】
ダイシング装置1は、図1に示すように、パッケージ基板200を保持面11で吸引保持する図5に示す保持テーブル10と、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200をダイシングする切削ブレード21を有する切削ユニット20と、保持テーブル10及び保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200を撮影するカメラ30と、コントローラ100とを備える。
【0027】
また、ダイシング装置1は、図1に示すように、保持テーブル10と切削ユニット20とを相対的に移動させる移動ユニット40を備える。移動ユニット40は、X軸移動ユニット41とY軸移動ユニット42とZ軸移動ユニット43と回転移動ユニット44とを備える。
【0028】
X軸移動ユニット41は、保持テーブル10及び回転移動ユニット44を加工送り方向である水平方向と平行なX軸方向に移動させることで、切削ユニット20と保持テーブル10とを相対的にX軸方向に沿って移動させるものである。X軸移動ユニット41は、回転移動ユニット44及び保持テーブル10が装着される図1及び図6に示すテーブル基台50を支持し、これらをX軸方向に移動する。
【0029】
Y軸移動ユニット42は、切削ユニット20を割り出し送り方向である水平方向と平行でかつX軸方向に対して直交するY軸方向に移動させることで、切削ユニット20と保持テーブル10とを相対的にY軸方向に沿って移動させるものである。Z軸移動ユニット43は、切削ユニット20を切り込み送り方向であるX軸方向とY軸方向との双方に対して直交するZ軸方向に移動させることで、切削ユニット20と保持テーブル10とを相対的にZ軸方向に沿って移動させるものである。
【0030】
回転移動ユニット44は、テーブル基台50を支持し、X軸移動ユニット41に支持され、テーブル基台50に装着された保持テーブル10とともにX軸方向に移動自在に配設されている。回転移動ユニット44は、テーブル基台50に装着された保持テーブル10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する。
【0031】
X軸移動ユニット41、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び保持テーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。また、回転移動ユニット44は、保持テーブル10が装着されたテーブル基台50を軸心回りに回転するモータを備える。
【0032】
保持テーブル10は、テーブル基台50に装着されて、パッケージ基板200を保持面11で吸引保持する。保持テーブル10は、テーブル基台50に装着されて、回転移動ユニット44によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転される。保持テーブル10は、テーブル基台50に装着されて、回転移動ユニット44とともにX軸移動ユニット41によりX軸方向に移動される。
【0033】
テーブル基台50は、回転移動ユニット44に支持されているとともに、回転移動ユニット44とともにX軸移動ユニット41に支持されている。テーブル基台50は、外形がパッケージ基板200よりも大きな矩形状に形成されている。テーブル基台50の上面51の中央には、図5に示すように、開閉弁52を介して吸引源53に接続した吸引路54が開口している。吸引路54は、上面51に装着される保持テーブル10に保持されるパッケージ基板200のデバイス領域204に対応した領域に開口して、テーブル基台50を貫通している。なお、本明細書では、対応した領域とは、厚み方向(実施形態1では、Z軸方向)に重なる領域を示している。また、テーブル基台50の上面51の外縁部には、開閉弁55を介して吸引源53に接続した保持テーブル吸引路56が開口している。保持テーブル吸引路56は、テーブル基台50を貫通している。
【0034】
保持テーブル10は、外形がパッケージ基板200よりも大きな矩形状に形成されているとともに、厚みが一定である。実施形態1では、保持テーブル10の外形は、テーブル基台50の外形と等しい。保持テーブル10は、テーブル基台50の上面51に重ねられ、開閉弁55が開いて、保持テーブル吸引路56が吸引源53により吸引されることで、テーブル基台50の上面51に固定される。保持テーブル10は、このようにテーブル基台50に装着される。
【0035】
保持テーブル10は、上面である保持面11にダイシングするパッケージ基板200を吸引保持する。保持テーブル10は、図5及び図6に示すように、保持面11にダイシング時に切削ブレード21が侵入する逃げ溝12と、パッケージ基板200及びパッケージチップ201を吸引するための吸引孔13とが形成されている。逃げ溝12は、ダイシングするパッケージ基板200の分割予定ライン206に対応した領域(即ち、厚み方向に重なる領域)に形成され、逃げ溝12から凹で分割予定ライン206に沿って直線状に延在している。
【0036】
吸引孔13は、保持面11の逃げ溝12により区画される領域、即ちパッケージ基板200から個々に分割されたパッケージチップ201に対応する領域(即ち、厚み方向に重なる領域)に形成され、保持テーブル10を厚み方向に貫通している。実施形態1では、吸引孔13は、パッケージチップ201と1対1で対応している。吸引孔13は、保持テーブル10がテーブル基台50に装着されると、吸引路54、及び開閉弁52を介して吸引源53に接続する。
【0037】
保持テーブル10は、図5図6及び図7に示すように、保持面11の逃げ溝12により区画された各領域の吸引孔13の周囲に凹部14が形成されている。凹部14は、保持面11から凹に形成され、吸引孔13の周囲の全周に形成されている。凹部14は、保持面11の逃げ溝12により区画された各領域の吸引孔13の周囲に段差15を形成する。
【0038】
保持テーブル10は、保持面11にパッケージ基板200の封止樹脂211側が載置される。保持テーブル10は、開閉弁52が開いて吸引源53により吸引孔13が吸引されることで、パッケージ基板200及びパッケージチップ201を保持面11に吸引保持する。保持テーブル10は、保持面11の逃げ溝12により区画された各領域の吸引孔13の周囲に段差15が形成されているので、吸引源53からの吸引力等により凹部14即ち段差15がない状態よりもパッケージチップ201との接触面積を増加させている。実施形態1において、保持テーブル10は、ダイシングテープが貼着されないパッケージ基板200を保持面11に直接吸引保持する、所謂治具テーブルである。
【0039】
切削ユニット20は、切削ブレード21が図8に示すスピンドル23に装着され、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200をダイシングする加工ユニットである。切削ユニット20は、パッケージ基板200をダイシングすると、切削屑を生じさせる。切削ユニット20は、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200に対して、Y軸移動ユニット42によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット43によりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット20は、図1に示すように、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43などを介して、装置本体2から立設した支持フレーム3に設けられている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43により、保持テーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0040】
切削ユニット20は、切削ブレード21と、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転可能に設けられ先端に切削ブレード21が装着されるスピンドル23と、スピンドル23を軸心回りに回転する図示しないスピンドルモータと、スピンドル23の先端面に装着されたブレードカバー24と、切削ブレード21に切削水を供給する切削水ノズル25とを有する。
【0041】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。切削ブレード21は、スピンドル23の先端に固定される。実施形態1において、切削ブレード21は、図8に示すように、円環状の円形基台と、円形基台の外周縁に配設されてパッケージ基板200を切削する円環状の切り刃とを備える所謂ハブブレードである。切り刃は、SiC、アルミナ、ダイヤモンド又はCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等の砥粒を固定するボンド(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃のみで構成された所謂ワッシャーブレードでもよい。
【0042】
スピンドル23は、先端に切削ブレード21が装着され、スピンドルモータにより軸心回りに回転することで、切削ブレード21を回転させる。スピンドルモータは、スピンドル23に設けられて、スピンドル23と一体に回転するロータと、ロータの外周側でかつスピンドルハウジング22に配設され、電源から電力が供給されることでロータを回転させるステータとを備えている。スピンドルモータは、ステータがロータを回転して、スピンドル23を軸心回りに回転する。
【0043】
ブレードカバー24は、切削ブレード21の少なくとも上方を覆うものである。ブレードカバー24は、スピンドルハウジング22の先端面に固定されている。
【0044】
切削水ノズル25は、保持テーブル10の保持面11で保持されたパッケージ基板200を切削ブレード21がダイシングする際に、切削ブレード21に切削水を供給するものである。切削水ノズル25は、図8に示すように、シャワーノズル26と、一対のブレードノズル27とを備える。
【0045】
ノズル26,27は、ブレードカバー24に取り付けられ、図示しない切削水供給源から切削水が供給される。シャワーノズル26は、切削ブレード21の切り刃の刃先とX軸方向に対面する噴射口261を備え、切削中に切削ブレード21の切り刃の刃先に噴射口261から切削水を供給する。
【0046】
ブレードノズル27は、X軸方向と平行に延在し、互いにY軸方向に間隔をあけて配置されている。ブレードノズル27は、互いの間に切削ブレード21の切り刃の下端を位置づけており、切削ブレード21の切り刃の下端に対面する噴射口271を備えている。ブレードノズル27は、切削中に切削ブレード21の切り刃の下端に噴射口271から切削水を供給する。
【0047】
カメラ30は、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20等に固定されている。カメラ30は、保持テーブル10に保持された切削前のパッケージ基板200の分割すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。カメラ30は、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200を撮影して、パッケージ基板200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を形成し、形成した画像をコントローラ100に出力する。コントローラ100が撮影して形成した画像は、輝度が複数段階の階調(例えば256階調)で規定されたグレースケール画像である。この画像は、各画素の輝度が定められている。
【0048】
また、ダイシング装置1は、保持テーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル10のX軸方向、切削ユニット20の切り刃の下端のY軸方向又はZ軸方向の位置をコントローラ100に出力する。
【0049】
なお、実施形態1では、ダイシング装置1の保持テーブル10及び切削ユニット20のX軸方向の位置、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない基準位置に基づいて定められる。
【0050】
また、実施形態1では、ダイシング装置1は、図8に示すように、洗浄液供給ノズル60を備える。実施形態1では、洗浄液供給ノズル60は、ブレードカバー24に取り付けられて、切削ブレード21に隣接して配設されている。実施形態1では、洗浄液供給ノズル60は、保持テーブル10の保持面11に対してZ軸方向に沿って対面することが可能な噴射口61を備える。洗浄液供給ノズル60は、洗浄液供給源62から供給された洗浄液63を噴射口61から噴射することで、洗浄液63を保持テーブル10の保持面11に供給する。実施形態1では、洗浄液63は、水と加圧されたエアーとの混合2流体であるが、本発明では、混合2流体に限定されない。
【0051】
また、ダイシング装置1は、図1に示すように、搬出ユニット70を備える。搬出ユニット70は、パッケージ基板200から個々に分割された複数のパッケージチップ201を保持テーブル10の保持面11上から搬出するものである。搬出ユニット70は、ポーラスセラミックス等の多孔質材で構成された下面71が図示しない吸引源に接続し、下面71が吸引源により吸引されることで、下面71に保持テーブル10の保持面11上の複数のパッケージチップ201を吸引保持する。実施形態1では、搬出ユニット70は、下面71に保持テーブル10の保持面11上の全てのパッケージチップ201を吸引保持して、保持テーブル10の保持面11上から搬出する。
【0052】
コントローラ100は、ダイシング装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、パッケージ基板200に対する加工動作をダイシング装置1に実施させるものである。即ち、コントローラ100は、少なくとも洗浄液供給ノズル60を制御する。なお、コントローラ100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。コントローラ100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ダイシング装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介してダイシング装置1の各構成要素に出力する。
【0053】
コントローラ100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルにより構成される。
【0054】
また、コントローラ100は、図1に示すように、制御部101と、記憶部102と、判定洗浄部103とを備える。制御部101は、ダイシング装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、パッケージ基板200に対する加工動作をダイシング装置1に実施させるものである。
【0055】
記憶部102は、図9に例示した基準画像300を記憶している。基準画像300は、保持テーブル10の切削屑等の異物が付着していない保持面11をカメラ30が撮像して形成される。このために、基準画像300は、輝度が複数段階の階調(例えば256階調)で規定されたグレースケール画像である。基準画像300は、各画素の輝度が定められている。なお、図9に示す例では、基準画像300は、保持面11の一部を撮像して形成された画像であるが、カメラ30が保持面11全体を一度で撮像可能な場合では、本発明では、保持面11全体を撮像して形成された画像でも良い。実施形態1では、記憶部102は、カメラ30が保持面11の一部を撮像して形成された画像を複数記憶して、複数の基準画像300により保持面11全体の画像を記憶している。即ち、実施形態1では、記憶部102は、保持面11全体を複数の基準画像300に分けて記憶している。
【0056】
判定洗浄部103は、カメラ30が保持面11を撮像して形成された撮像画像301(図11に例示する)に基づいて保持テーブル10の汚れを確認し、汚れが確認された場合に洗浄液供給ノズル60から保持面11に洗浄液63を供給するものである。なお、撮像画像301は、基準画像300と同様に、輝度が複数段階の階調(例えば256階調)で規定されたグレースケール画像であり、各画素の輝度が定められている。
【0057】
判定洗浄部103は、基準画像300と、カメラ30が基準画像300と保持面11の同一の位置を撮像して形成した撮像画像301とを対比して、保持面11に切削屑が付着しているか否かを判定することで、保持テーブル10の汚れを確認する。具体的には、判定洗浄部103は、基準画像300と、カメラ30が基準画像300と保持面11の同一の位置を撮像して形成した撮像画像301の同一画素の輝度の差を算出し、算出した輝度の差が、予め定められた所定値を超えているか否かを判定する。
【0058】
判定洗浄部103は、算出した輝度の差が、所定値を超えた画素が一つでもあると、保持面11に切削屑が付着している即ち保持テーブル10の汚れを確認する。判定洗浄部103は、全ての画素において、算出した輝度の差が所定値以下であると、保持面11に切削屑が付着していない即ち保持テーブル10が汚れていないと確認する。判定洗浄部103は、保持面11に切削屑が付着している即ち保持テーブル10の汚れを確認すると、移動ユニット40を制御して、保持面11の切削屑が付着している箇所即ち保持テーブル10の汚れている箇所の直上に洗浄液供給ノズル60を位置付けて、洗浄液供給ノズル60の噴射口61から洗浄液63を保持面11に供給して、保持面11から切削屑を除去して、保持テーブル10の汚れを除去する。判定洗浄部103は、保持面11の切削屑が付着している箇所即ち保持テーブル10の汚れている箇所のみに洗浄液63を供給して、保持面11の切削屑が付着している箇所即ち保持テーブル10の汚れている箇所のみを洗浄する。
【0059】
制御部101と、判定洗浄部103との機能は、演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することで実現される。記憶部102の機能は、記憶装置により実現される。
【0060】
(加工方法)
次に、本発明の実施形態1に係る加工方法を図面に基づいて説明する。図10は、実施形態1に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係る加工方法は、パッケージ基板200を個々のパッケージチップ201に分割する加工方法であって、ダイシング装置1の加工動作でもある。
【0061】
ダイシング装置1は、テーブル基台50の上面51に保持テーブル10が載置され、コントローラ100が入力ユニットなどから入力された加工条件を受け付けて記憶する。ダイシング装置1は、コントローラ100がオペレータなどからの加工開始指示を受け付けると、制御部101が切削ユニット20のスピンドル23即ち切削ブレード21を軸心回りに回転するとともに、吸引源53を駆動し、開閉弁55を開いて、テーブル基台50に保持テーブル10を装着して、加工動作即ち実施形態1に係る加工方法を実施する。実施形態1に係る加工方法は、図10に示すように、汚れ確認ステップ1001と、保持ステップ1004と、ダイシングステップ1005と、搬出ステップ1006を備える。
【0062】
(汚れ確認ステップ)
図11は、図10に示された加工方法の汚れ確認ステップで形成した撮像画像を例示する図である。汚れ確認ステップ1001は、保持テーブル10の汚れを確認するステップである。汚れ確認ステップ1001では、コントローラ100の制御部101が移動ユニット40を制御して、パッケージ基板200を保持していない保持テーブル10をカメラ30の下方に位置付けて、保持面11全体を複数に分けてカメラ30で撮像して、例えば、図11に例示する撮像画像301を形成する。
【0063】
汚れ確認ステップ1001では、コントローラ100の判定洗浄部103が基準画像300と撮像画像301とを対比して、保持面11に切削屑が付着しているか否かを判定して、保持テーブル10の汚れを確認する。実施形態1において、汚れ確認ステップ1001では、コントローラ100の判定洗浄部103が、複数の基準画像300と複数の撮像画像301とを対比して、保持テーブル10の保持面11のうち汚れている箇所があるか否か、即ち、保持面11の汚れが確認されたか否かを判定する(ステップ1002)。
【0064】
汚れ確認ステップ1001では、コントローラ100の判定洗浄部103が保持テーブル10の保持面11のうち汚れている箇所がある、即ち、保持面11の汚れを確認されたと判定すると(ステップ1002:Yes)、洗浄ステップ1003に進む。また、汚れ確認ステップ1001では、コントローラ100の判定洗浄部103が保持テーブル10の保持面11のうち汚れている箇所がない、即ち、保持面11の汚れを確認されていないと判定すると(ステップ1002:No)、保持ステップ1004に進む。
【0065】
なお、例えば、図11に示された撮像画像301は、図中に網掛けで示す基準画像300の輝度との差が所定値を超えた画素を含んでいる。このために、図11に例示された撮像画像301が形成された場合には、コントローラ100の判定洗浄部103が保持テーブル10の保持面11のうち汚れている箇所がある、即ち、保持面11の汚れを確認されたと判定する(ステップ1002:Yes)。
【0066】
(洗浄ステップ)
図12は、図10に示された加工方法の洗浄ステップの一例を示す断面図である。洗浄ステップ1003は、汚れ確認ステップ1001で汚れが確認された場合に保持テーブル10に洗浄液63を供給し保持テーブル10を洗浄するステップである。
【0067】
洗浄ステップ1003では、コントローラ100の判定洗浄部103が移動ユニット40を制御して、保持面11の切削屑が付着している箇所即ち保持テーブル10の汚れている箇所の直上に洗浄液供給ノズル60を位置付ける。洗浄ステップ1003では、コントローラ100の判定洗浄部103が、図12に示すように、洗浄液供給ノズル60の噴射口61から洗浄液63を保持面11の汚れている箇所に所定時間供給して、保持面11の汚れている箇所の汚れを除去して、保持面11の汚れている箇所を洗浄する。このように、洗浄ステップ1003では、ブレードカバー24に取り付けられて、切削ブレード21に隣接して配設された洗浄液供給ノズル60から洗浄液63を保持テーブル10に噴射して保持テーブル10を洗浄する。
【0068】
(保持ステップ)
図13は、図10に示された加工方法の保持ステップを一部断面で示す側面図である。保持ステップ1004は、保持テーブル10でパッケージ基板200を保持するステップである。保持ステップ1004では、コントローラ100の制御部101が移動ユニット40を制御して、保持テーブル10をカメラ30即ち切削ユニット20の下方から退避させて、保持テーブル10をカメラ30即ち切削ユニット20の下方から離間した位置に位置づける。
【0069】
保持ステップ1004では、例えば、オペレータ等により保持テーブル10の保持面11にパッケージ基板200の封止樹脂211が載置される。保持ステップ1004では、コントローラ100の制御部101が、図13に示すように、開閉弁52を開いて保持面11にパッケージ基板200を吸引保持する。
【0070】
(ダイシングステップ)
図14は、図10に示された加工方法のダイシングステップを一部断面で示す側面図である。ダイシングステップ1005は、保持テーブル10で保持されたパッケージ基板200を切削ブレード21で分割予定ライン206に沿って切削して、パッケージ基板200を個々のパッケージチップ201に分割するステップである。
【0071】
ダイシングステップ1005では、コントローラ100の制御部101が移動ユニット40を制御して保持テーブル10をカメラ30の下方まで移動させ、カメラ30でパッケージ基板200のマーク212を撮像し、切削ブレード21と分割予定ライン206との位置合せを行うアライメントを遂行する。ダイシングステップ1005では、コントローラ100の制御部101が各構成要素を制御して、図14に示すように、保持テーブル10と切削ユニット20の切削ブレード21とを分割予定ライン206に沿って相対的に移動させながら切削ブレード21を逃げ溝12に侵入するまで、パッケージ基板200に切り込ませて、分割予定ライン206をダイシングする。ダイシングステップ1005では、ダイシング装置1は、保持テーブル10に吸引保持したパッケージ基板200の全ての分割予定ライン206をダイシングして、パッケージ基板200を個々のパッケージチップ201に分割する。
【0072】
(搬出ステップ)
搬出ステップ1006は、ダイシングステップ1005を実施した後、保持テーブル10上から分割されたパッケージ基板200から個々に分割されたパッケージチップ201を搬出するステップである。搬出ステップ1006では、コントローラ100の制御部101が搬出ユニット70を制御して、保持面11に吸引保持されたパッケージチップ201を搬出ユニット70の下面71に吸引保持する。搬出ステップ1006では、コントローラ100の制御部101が開閉弁52を閉じて、保持面11のパッケージチップ201の吸引保持を停止する。搬出ステップ1006では、コントローラ100の制御部101が搬出ユニット70を制御して、下面71に吸引保持されたパッケージチップ201を保持テーブル10の保持面11から搬出して、ダイシング装置1の加工動作即ち加工方法を終了する。
【0073】
以上のように、実施形態1に係る加工方法は、保持テーブル10の保持面11の汚れを確認する汚れ確認ステップ1001と、汚れ確認ステップ1001で汚れが確認された場合に保持テーブル10の保持面11に洗浄液63を供給して保持テーブル10を洗浄する洗浄ステップ1003とを備えているので、保持ステップ1004では洗浄された保持テーブル10でパッケージ基板200を保持して、ダイシングステップ1005では切削ブレード21でダイシングすることができる。
【0074】
このため、実施形態1に係る加工方法は、保持面11の汚れが除去又は汚れが減少された保持テーブル10でパッケージ基板200を吸引保持してダイシングすることができ、ダイシング中の保持テーブル10のパッケージ基板200を吸引保持力の低下を抑制して、ダイシング中のパッケージ基板200及びパッケージチップ201の位置ずれを抑制することができる。
【0075】
その結果、実施形態1に係る加工方法は、保持テーブル10に汚れが付着することに起因する問題を解決でき、加工不良を抑制することができるという効果を奏する。
【0076】
また、実施形態1に係るダイシング装置1は、前述した加工方法を実施するために、保持テーブル10に汚れが付着することに起因する問題を解決でき、加工不良を抑制することができるという効果を奏する。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態1に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0078】
例えば、本発明では、洗浄ステップ1003実施後、再度、汚れ確認ステップ1001を実施して、保持面11の汚れを完全に除去できるまで、洗浄ステップ1003と、汚れ確認ステップ1001とを繰り返しても良い。
【0079】
また、本発明では、汚れ確認ステップ1001において、保持テーブル10の保持面11の一部のみの汚れの有無を確認しても良い。
【0080】
また、本発明では、洗浄ステップ1003において、保持テーブル10の保持面11の全体に洗浄液63を供給して、保持面11全体を洗浄しても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 ダイシング装置
10 保持テーブル
12 逃げ溝
13 吸引孔
21 切削ブレード
30 カメラ
60 洗浄液供給ノズル
63 洗浄液
100 コントローラ
200 パッケージ基板
206 分割予定ライン
301 撮像画像
1001 汚れ確認ステップ
1003 洗浄ステップ
1004 保持ステップ
1005 ダイシングステップ
1006 搬出ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14