(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-28
(45)【発行日】2025-09-05
(54)【発明の名称】食品攪拌装置、食品攪拌方法及び食品製造方法
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20250829BHJP
B01F 29/63 20220101ALI20250829BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20250829BHJP
B01F 35/92 20220101ALI20250829BHJP
B01F 35/53 20220101ALI20250829BHJP
B01F 35/94 20220101ALI20250829BHJP
B01F 35/222 20220101ALI20250829BHJP
B01F 101/06 20220101ALN20250829BHJP
B01F 101/07 20220101ALN20250829BHJP
B01F 101/09 20220101ALN20250829BHJP
【FI】
A47J27/14 Q
B01F29/63
B01F35/71
B01F35/92
B01F35/53
B01F35/94
B01F35/222
B01F101:06
B01F101:07
B01F101:09
(21)【出願番号】P 2022557006
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2021037728
(87)【国際公開番号】W WO2022080365
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2024-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2020172643
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505126610
【氏名又は名称】株式会社ニチレイフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】志田 司
(72)【発明者】
【氏名】小林 禎子
(72)【発明者】
【氏名】間宮 稔
(72)【発明者】
【氏名】北村 次郎
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-024703(JP,A)
【文献】特開2013-043068(JP,A)
【文献】特開2015-016305(JP,A)
【文献】特開2016-112315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14
B01F 29/63
B01F 35/71
B01F 35/92
B01F 35/53
B01F 35/94
B01F 35/222
B01F 101/06
B01F 101/07
B01F 101/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延在する中空のドラムであって、ドラムの内側に投入される食品が通過する入口部と、前記入口部とは異なる位置に設けられ、ドラムの内側から排出される食品が通過する出口部とを有するドラムと、
前記入口部に通じて食品を前記ドラム内に搬送する投入装置と、
前記ドラムを、回転軸を中心に回転させるドラム駆動装置と、
少なくとも一部が前記ドラムの内側に位置する攪拌子と、
前記ドラムに取り付けられ、前記攪拌子を支持する支持体と、を備え、
前記ドラムの内壁面と前記攪拌子との間には隙間があり、
前記攪拌子のうち前記ドラムの内側に位置する部分における、前記軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下であ
り、
前記ドラムの前記内壁面のうち、前記回転軸に沿う方向に関し、前記投入装置のうち前記ドラムの内側に食品を投入する部分よりも前記出口部側には、前記攪拌子及び前記支持体は接触していない食品攪拌装置。
【請求項2】
軸方向に延在する中空のドラムであって、ドラムの内側に投入される食品が通過する入口部と、前記入口部とは異なる位置に設けられ、ドラムの内側から排出される食品が通過する出口部とを有するドラムと、
前記ドラムを、回転軸を中心に回転させるドラム駆動装置と、
少なくとも一部が前記ドラムの内側に位置する攪拌子と、
前記ドラムに取り付けられ、前記攪拌子を支持する支持体と、を備え、
前記ドラムの内壁面と前記攪拌子との間には隙間があり、
前記攪拌子のうち前記ドラムの内側に位置する部分における、前記軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下であり、
前記攪拌子及び前記支持体は、前記ドラムの前記内壁面に接触していない食品攪拌装置。
【請求項3】
前記攪拌子のうち前記ドラムの内側に位置する部分における、前記軸方向と直角を成す方向の断面は、凹状部分を持たない請求項1
又は2に記載の食品攪拌装置。
【請求項4】
前記攪拌子は、前記回転軸に沿う方向に分割されていない請求項1~
3のいずれか一項に記載の食品攪拌装置。
【請求項5】
前記ドラムの前記内壁面及び前記攪拌子のうちの一方から他方に向かう方向への前記隙間のサイズは、前記ドラムの内側に投入される食品に含まれる固形食材の各々の最小サイズよりも大きい請求項1~
4のいずれか一項に記載の食品攪拌装置。
【請求項6】
前記ドラムの前記内壁面及び前記攪拌子のうちの一方から他方に向かう方向への前記隙間のサイズは、1mm以上20cm以下である請求項1~
5のいずれか一項に記載の食品攪拌装置。
【請求項7】
前記ドラムの内側の食品の温度を上昇させる昇温装置を備える請求項1~
6のいずれか一項に記載の食品攪拌装置。
【請求項8】
粘性食材を攪拌するための請求項1~
7のいずれか一項に記載の食品攪拌装置。
【請求項9】
軸方向に延在する中空のドラムの内側に、前記ドラムの入口部を介して、食品を投入する工程と、
回転軸を中心に前記ドラムを回転させる工程と、
前記ドラムの内側の前記食品を、前記入口部とは異なる位置に設けられている前記ドラムの出口部を介して、前記ドラムから排出する工程と、を含み、
前記ドラムに取り付けられている支持体により支持されている攪拌子の少なくとも一部が、前記ドラムの内側に位置し、
前記ドラムが回転する際に、前記ドラムの内側の前記食品は、前記攪拌子により攪拌されつつ、前記ドラムの内壁面と前記攪拌子との間の隙間を通過し、
前記攪拌子のうち前記ドラムの内側に位置する部分における、前記軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下であ
り、
前記ドラムの前記内壁面のうち、前記回転軸に沿う方向に関し、投入装置のうち前記ドラムの内側に食品を投入する部分よりも前記出口部側には、前記攪拌子及び前記支持体は接触していない食品攪拌方法。
【請求項10】
軸方向に延在する中空のドラムの内側に、前記ドラムの入口部を介して、食品を投入する工程と、
前記ドラムを回転させる工程と、
前記ドラムの内側の前記食品を、前記入口部とは異なる位置に設けられている前記ドラムの出口部を介して、前記ドラムから排出する工程と、を含み、
前記ドラムに取り付けられている支持体により支持されている攪拌子の少なくとも一部が、前記ドラムの内側に位置し、
前記ドラムが回転する際に、前記ドラムの内側の前記食品は、前記攪拌子により攪拌されつつ、前記ドラムの内壁面と前記攪拌子との間の隙間を通過し、
前記攪拌子のうち前記ドラムの内側に位置する部分における、前記軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下であり、
前記攪拌子及び前記支持体は、前記ドラムの前記内壁面に接触していない食品攪拌方法。
【請求項11】
軸方向に延在する中空のドラムの内側に、前記ドラムの入口部を介して、食品を投入する工程と、
回転軸を中心に前記ドラムを回転させる工程と、
前記ドラムの内側の前記食品を、前記入口部とは異なる位置に設けられている前記ドラムの出口部を介して、前記ドラムから排出する工程と、を含み、
前記ドラムに取り付けられている支持体により支持されている攪拌子の少なくとも一部が、前記ドラムの内側に位置し、
前記ドラムが回転する際に、前記ドラムの内側の前記食品は、前記攪拌子により攪拌されつつ、前記ドラムの内壁面と前記攪拌子との間の隙間を通過し、
前記攪拌子のうち前記ドラムの内側に位置する部分における、前記軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下であ
り、
前記ドラムの前記内壁面のうち、前記回転軸に沿う方向に関し、投入装置のうち前記ドラムの内側に食品を投入する部分よりも前記出口部側には、前記攪拌子及び前記支持体は接触していない食品製造方法。
【請求項12】
軸方向に延在する中空のドラムの内側に、前記ドラムの入口部を介して、食品を投入する工程と、
前記ドラムを回転させる工程と、
前記ドラムの内側の前記食品を、前記入口部とは異なる位置に設けられている前記ドラムの出口部を介して、前記ドラムから排出する工程と、を含み、
前記ドラムに取り付けられている支持体により支持されている攪拌子の少なくとも一部が、前記ドラムの内側に位置し、
前記ドラムが回転する際に、前記ドラムの内側の前記食品は、前記攪拌子により攪拌されつつ、前記ドラムの内壁面と前記攪拌子との間の隙間を通過し、
前記攪拌子のうち前記ドラムの内側に位置する部分における、前記軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下であり、
前記攪拌子及び前記支持体は、前記ドラムの前記内壁面に接触していない食品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品攪拌装置、食品攪拌方法及び食品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転式のドラムを使って食品を攪拌する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドラムを使って食品を攪拌する際に、食品の一部がドラムの特定箇所で停滞しないようにすることで、ドラムに投入された食品全体を適切に攪拌することができ、衛生面でも有利である。
【0005】
本開示は、ドラムを使って食品を攪拌する際に、ドラムの特定箇所における食品の停滞を抑える技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、軸方向に延在する中空のドラムであって、ドラムの内側に投入される食品が通過する入口部と、前記入口部とは異なる位置に設けられ、ドラムの内側から排出される食品が通過する出口部とを有するドラムと、ドラムを、回転軸を中心に回転させるドラム駆動装置と、少なくとも一部がドラムの内側に位置する攪拌子と、ドラムに取り付けられ、攪拌子を支持する支持体と、を備え、ドラムの内壁面と攪拌子との間には隙間があり、攪拌子のうちドラムの内側に位置する部分における、軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下である食品攪拌装置に関する。
【0007】
本開示の他の態様は、軸方向に延在する中空のドラムの内側に、ドラムの入口部を介して、食品を投入する工程と、ドラムを回転させる工程と、ドラムの内側の食品を、入口部とは異なる位置に設けられているドラムの出口部を介して、ドラムから排出する工程と、を含み、ドラムに取り付けられている支持体により支持されている攪拌子の少なくとも一部が、ドラムの内側に位置し、ドラムが回転する際に、ドラムの内側の食品は、攪拌子により攪拌されつつ、ドラムの内壁面と攪拌子との間の隙間を通過し、攪拌子のうちドラムの内側に位置する部分における、軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下である食品攪拌方法に関する。
【0008】
本開示の他の態様は、軸方向に延在する中空のドラムの内側に、ドラムの入口部を介して、食品を投入する工程と、ドラムを回転させる工程と、ドラムの内側の食品を、入口部とは異なる位置に設けられているドラムの出口部を介して、ドラムから排出する工程と、を含み、ドラムに取り付けられている支持体により支持されている攪拌子の少なくとも一部が、ドラムの内側に位置し、ドラムが回転する際に、ドラムの内側の食品は、攪拌子により攪拌されつつ、ドラムの内壁面と攪拌子との間の隙間を通過し、攪拌子のうちドラムの内側に位置する部分における、軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下である食品製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ドラムを使って食品を攪拌する際に、ドラムの特定箇所における食品の停滞を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、食品製造装置の一例の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ドラム、攪拌子、駆動ローラ及び昇温装置の配置例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、攪拌子の断面を例示する図面である。
【
図4】
図4は、攪拌子の断面を例示する図面である。
【
図5】
図5は、攪拌子の断面を例示する図面である。
【
図6】
図6は、「ドラムの内側の食品が通過可能な隙間」がドラムの内壁面と各攪拌子との間に設けられていない食品攪拌装置を用いて食品の攪拌を行った直後に、攪拌子周辺を撮影した写真である。
【
図7】
図7は、「ドラムの内側の食品が通過可能な隙間」がドラムの内壁面と各攪拌子との間に設けられている食品攪拌装置を用いて食品の攪拌を行った直後に、攪拌子周辺を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態について説明する。
【0012】
以下の説明において、「上流」及び「下流」の用語は、特にことわりがない限り、食品が搬送される方向を基準としている。また「上方」及び「下方」の用語は、高さ方向(すなわち重力が作用する鉛直方向に沿う方向)を基準としており、水平方向は高さ方向と直角を成す方向である。
【0013】
「食品」は、1種類又は複数種類の食材を含む。各食材の状態は限定されず、固体、液体、或いは他の状態(液体及び固体の混合状態を含む)であってもよい。また各食材の構成成分も限定されず、食品は、例えば、乳、乳製品、卵、魚介、肉、豆、野菜、果物、米等の穀物、調味料及び他の食材のうちの1以上を含むことができる。
【0014】
図1は、食品製造装置10の一例の概略構成を示す斜視図である。
図2は、ドラム21、攪拌子15、駆動ローラ35及び昇温装置30の配置例を示す断面図である。
【0015】
食品製造装置10は、食品Hを搬送する投入装置11と、投入装置11から供給される食品H(例えば粘性食材を含む食品H)を攪拌する食品攪拌装置12とを備える。
【0016】
投入装置11は、食品Hを下流に搬送する搬送装置31を有する。投入装置11の具体的な構成は限定されず、投入装置11は、食品Hの搬送に適した任意の構成をとることが可能である。例えば、載せられた食品Hとともに移動する網状搬送体を備えるネットコンベア、食品Hを案内するガイド(例えばホース状ガイド及びパイプ状ガイドを含む)、或いは他の装置を投入装置11に応用することが可能である。図示の搬送装置31は、無端状の搬送ベルトを含むベルトコンベアとして構成されている。食品Hは、搬送ベルトに載せられた状態で下流に運ばれ、搬送ベルトが最下流位置で反転する際に食品攪拌装置12(特にドラム21の内側)に供給される。搬送ベルトの最下流位置は限定されないが、搬送ベルトの最下流位置をドラム21の内側の空間(すなわち「中空スペースS」)内に位置づけることによって、搬送ベルトから飛翔した食品Hのドラム21外への飛散を効果的に防ぐことができる。
【0017】
食品攪拌装置12は、中空のドラム21、ドラム駆動装置14、攪拌子15及び支持体16を備える。
【0018】
ドラム21は、回転軸Arが延びる方向(すなわち「軸方向」)に延在し、両端部に円形断面の開口(すなわち「端部開口22a、22b」)を有し、回転軸Arを中心に回転可能に設けられている。搬送装置31(本例では搬送ベルト)により上流から運ばれてくる食品Hは、一方の端部開口22aを通ってドラム21の内側に投入される。
【0019】
回転軸Arは非水平方向に延び、ドラム21の軸方向は水平方向に対して傾斜している。具体的には、投入装置11側の一方の端部開口22aが他方の端部開口22bよりも僅かに上方に位置するように、回転軸Arは傾斜している。これによりドラム21内の食品Hは、重力の影響を受け、他方の端部開口22bに向かって徐々に移動する。
【0020】
ドラム駆動装置14は、回転軸Arを中心にドラム21を回転させる。本実施形態のドラム駆動装置14は、
図2に示すように、ドラム21を下方から回転可能に支持する第1駆動ユニット14a及び第2駆動ユニット14bを含む。第1駆動ユニット14a及び第2駆動ユニット14bは、同じ構成を有し、各々が駆動ローラ35、駆動軸36、駆動軸受37、動力伝達機構38及び駆動源39を有する。モータ等の駆動源39から出力される動力は、動力伝達機構38を介して駆動軸36に伝えられる。駆動軸36の両端部は駆動軸受37によって回転自在に支持されており、駆動軸36は、動力伝達機構38から伝えられる動力に応じて軸回転する。駆動軸36の回転中心軸は非水平方向に延び、駆動軸36の軸方向(すなわち回転中心軸が延びる方向)は、ドラム21の回転軸Arと同程度、水平方向に対して傾斜している。駆動軸36のうち駆動軸受37間の中間部分に取り付けられた1又は複数の駆動ローラ35(図示の例では動力伝達機構38とそれぞれの駆動軸受37との間の部分に固定された2つの駆動ローラ35)は、駆動軸36とともに回転する。
【0021】
なおドラム駆動装置14の具体的構成は上述の例に限定されない。ドラム駆動装置14は、複数の駆動源39(上述の例では2つの駆動源39)を有していてもよいし、単一の駆動源39を有していてもよい。例えば、上述の第1駆動ユニット14a及び第2駆動ユニット14bによって単一の駆動源39が共用されてもよい。単一の駆動源39から出力される動力が、第1駆動ユニット14aの動力伝達系及び第2駆動ユニット14bの動力伝達系の両方に伝えられてもよい。例えば、第1駆動ユニット14aの動力伝達系と第2駆動ユニット14bの動力伝達系とを、任意の動力伝達デバイス(例えば歯車及び/又はチェーン)によりつないでもよい。この場合、単一の駆動源39から一方の動力伝達系に伝達される動力を、動力伝達デバイスを介して他方に伝達させることができる。またドラム駆動装置14の動力伝達系の具体的構成も上述の例(すなわち「動力伝達機構38、駆動軸36及び駆動ローラ35の組み合わせ」)には限定されない。例えば、ドラム駆動装置14の動力伝達系は、ドラム21の外周に対して固定的に設けられるスプロケット状の歯車と、当該歯車に係合するローラーチェーン状の無端チェーンとを含んでいてもよい。この場合、駆動源39から出力される動力によって無端チェーンを走行させることで、歯車ととともにドラム21を回転させることができる。
【0022】
ドラム21は、第1駆動ユニット14a及び第2駆動ユニット14bの駆動ローラ35に載せられており、駆動ローラ35の回転に応じて、駆動ローラ35上を転がりながら回転する。第1駆動ユニット14a及び第2駆動ユニット14bのそれぞれの駆動ローラ35(図示の例では4つの駆動ローラ35)は、同じ回転方向に、同じ回転速度で回転する。
【0023】
攪拌子15は、ドラム21に取り付けられている支持体16により支持された状態で、少なくとも一部がドラム21の内側に位置し、ドラム21の回転に応じてドラム21の内側の食品Hの攪拌を促す。本実施形態では、複数の攪拌子15(図示の例では3つの攪拌子15)が回転軸Arを中心に等角度間隔で設けられている。各攪拌子15は、ドラム21の内壁面21aに近接した位置で内壁面21aに沿ってドラム21の中空スペースSを貫通している。各攪拌子15の両端部は、ドラム21の外側(すなわち両端部開口22a、22bよりも外側)で、支持体16を介してドラム21(図示の例ではドラム21の両端部)に固定されている。したがって各攪拌子15は、ドラム21の回転に応じて、回転軸Arを中心にドラム21の内壁面21aとともに移動する。
【0024】
本実施形態の各攪拌子15及び各支持体16は、ドラム21の内壁面21aに接触していない。図示の例では、ドラム21の内壁面21a上には、投入装置11により投入される食品H以外のいかなる物体も接触せず、内壁面21aは一定の曲率を持つなめらかな曲面である。ドラム21の内壁面21aと各攪拌子15との間には隙間C(
図2参照)が設けられている。
【0025】
このようにドラム21の内壁面21aのうち、回転軸Arに沿う方向(軸方向)に関し、投入装置11のうちドラム21の内側に食品Hを投入する部分よりも出口部側(すなわち端部開口22b側)には、攪拌子15及び支持体16は接触していない。なおここで言う「ドラム21の内壁面21aのうち、回転軸Arに沿う方向に関し、投入装置11のうちドラム21の内側に食品Hを投入する部分よりも出口部側」は、例えば「投入装置11のうちドラム21の内側に食品Hを投入する部分から鉛直方向に延びる線が内壁面21aと交わるポイント」から出口部側に位置する内壁面21aの部分を意味する。
【0026】
各隙間Cは、ドラム21の内側の少なくとも一種類の固形食材が通過可能な大きさを有する。各隙間Cの具体的なサイズは限定されない。一例として、ドラム21の内壁面21a及び各攪拌子15のうちの一方から他方に向かう方向への隙間Cのサイズ(
図2の符号「d」参照)は、ドラム21の内側に投入される食品Hに含まれる固形食材の各々の最小サイズよりも大きい。例えば、各隙間Cのサイズdは、ドラム21の内側に投入される食品Hに含まれる固形食材の各々の最大サイズよりも大きくてもよい。各攪拌子15と内壁面21aとの間の隙間Cのサイズdは、ドラム21の軸方向にわたって同じであってもよいし、異なっていてもよい。ドラム21を使って攪拌されることが多い一般的な食品Hの通常サイズを考慮すると、隙間Cのサイズdを1mm~20cm(すなわち1mm以上20cm以下)程度に調整することで、ドラム21の特定箇所における食品Hの停滞を有効に抑えられることが多い。また食品Hが大きなサイズの食材を含まない又は殆ど含まない場合には、隙間Cのサイズdを1mm~15cm程度(例えば5mm~15cm程度)に調整することで食品Hの停滞を有効に抑えられることが多い。また比較的サイズのばらつきの小さい中程度サイズ以下の食品Hを攪拌する場合には、隙間Cのサイズdを1cm~15cm程度(例えば1cm~10cm程度)に調整することで食品Hの停滞を有効に抑えられることが多い。なお隙間Cのサイズdは、攪拌子15とドラム21の内壁面21aとの間の最短距離となる。
【0027】
ここでいう「固形食材」は、固体食材を指すが、一般的に「粉」として認識される微小食材は「固形食材」には含まれない。例えば、1mm以上の断面径を持つ固体食材は「固形食材」に分類されるが、1mm未満の断面径しか持たない固体食材は「固形食材」には分類されない。
【0028】
図3~
図5は、攪拌子15の断面を例示する図面である。
【0029】
各攪拌子15の形状及びサイズは限定されない。各攪拌子15は、例えば円形断面を有していてもよいし(
図3参照)、楕円形断面を有していてもよいし(
図4参照)、多角形断面(例えば三角形及び四角形(例えば長方形、正方形、平行四辺形、菱形及び台形))を有していてもよい(
図5参照)。ただし、各攪拌子15における食品Hの付着及び停滞を抑える観点からは、各攪拌子15はなめらかな表面を有することが好ましく、各攪拌子15の表面積は小さい方が好ましい。そのため円形断面を有する攪拌子15(
図3参照)は、食品Hの付着及び停滞を抑える観点からは好ましい。
【0030】
本件発明者は、鋭意研究の結果、以下の条件を満たす攪拌子15が、食品Hの付着及び停滞を抑える観点からは好ましいという知見を新たに得た。すなわち、各攪拌子15のうちドラム21の内側に位置する部分における、ドラム21の軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合が「1/3以上且つ1以下」が好ましく、「1/2以上且つ1以下」がより好ましい。ここでいう断面の径は、断面の中心(重心)を通り、断面の境界(縁)によって区分される断面上の線分の長さである。
【0031】
また食品Hの付着及び停滞を防ぐ観点からは、攪拌子15は凹状の表面を持たないことが好ましい。特に、攪拌子15のうち、ドラム21の内側に位置する部分(特に全体)における、ドラム21の軸方向と直角を成す方向の断面は、凹状部分(例えば凹状のエッジ)を持たないことが好ましい。食品Hの攪拌時に、凹状部分に食品Hが付着及び停滞しやすい傾向がある。食品Hの付着及び停滞を防ぐ観点からは、攪拌子15のうち、ドラム21の内側に位置する部分(特に全体)の、ドラム21の軸方向と直角を成す方向の断面は、凹凸(例えばエッジ)を持たない又は凹凸が少ないことが好ましい。攪拌子15のうち、ドラム21の内側に位置する部分(特に全体)の、ドラム21の軸方向と直角を成す方向の断面の外周線(すなわち攪拌子15の表面を示す線)の微分係数は一定であってもよいし、連続的に変化してもよい。攪拌子15のうち、ドラム21の内側に位置する部分(特に全体)の、ドラム21の軸方向と直角を成す方向の断面の外周線の微分係数が一定ではない場合、当該断面は、凸状部分(例えば凸状のエッジ)を持つことが好ましい。
【0032】
ここで言うエッジは、攪拌子15の断面の外周線のうち滑らかな曲線とはならない箇所であり、例えば攪拌子15の断面の外周線のうち微分不可能な箇所はエッジを構成しうる。攪拌子15の断面の凸状エッジは180度未満のエッジ角度を有し、凹状エッジは180度よりも大きなエッジ角度を有する。
【0033】
このように食品Hの付着及び停滞を防ぐ観点からは、攪拌子15は複雑な表面形状(特に凹形状)を持たないことが好ましく、例えば櫛形状などの多数の凹凸を持つ攪拌子15は必ずしも好ましくはない。また部材間の接合部には食品Hが付着しやすい隙間が形成されやすいので、攪拌子15は単一部材によって隙間無く構成されることが好ましい。また攪拌子15のうち、ドラム21の内側に位置する部分(特に全体)における、ドラム21の軸方向と直角を成す方向の断面は、対称的な形状を持っていてもよく、回転対称(点対称及び線対称を含む)であってもよい。
【0034】
例えば、円形断面を有する攪拌子15の場合(
図3参照)、ドラム21の軸方向と直角を成す方向への攪拌子15の断面の径Dは一定であるため、最長径Dxに対する最短径Dnの割合は1である(すなわち「(最短径Dn/最長径Dx)=1」である)。楕円形断面を有する攪拌子15の場合(
図4参照)、断面の短軸の長さ(すなわち短径)が最短径Dnであり、断面の長軸の長さ(すなわち長径)が最長径Dxであり、「1/3≦(短径/長径)<1」を満たすことが好ましい。また断面の一の対角線が最短径Dnであり、他の対角線が最長径Dxであれば、「1/3≦(一の対角線/他の対角線)≦1」を満たすことが好ましい。
【0035】
上述の攪拌子15によれば、食品Hの攪拌時に食品Hが攪拌子15に付着するのを防ぎつつ、食品Hを効果的に攪拌することができる。特に、上述の攪拌子15は、攪拌時には食品Hに切り込むように移動するため、食品Hは、逃げ場がある状態で攪拌子15によって撹拌される。その結果、攪拌子15から食品Hに過度な圧力がかかるのを抑えつつ、食品Hを混ぜることが可能である。そのため、上述の攪拌子15によれば、攪拌時の食品Hの潰れや損傷を抑えて食品Hの風味や食感の低減を効果的に防ぎながら、食品Hの全体を効果的に攪拌することができる。
【0036】
撹拌後の食品Hは、端部開口22bを介してドラム21から排出される。
【0037】
このように
図1に示す食品製造装置10では、投入装置11側の一方の端部開口22aが「ドラム21の内側に投入される食品Hが通過する入口部」として働き、他方の端部開口22bが「ドラム21の内側から排出される食品Hが通過する出口部」として働く。ただし、ここで言う入口部及び出口部は、ドラム21の両端部開口22a、22bには限定されず、ドラム21における相互に異なる任意の箇所に形成可能であり、例えばドラム21の胴体部の途中に形成されてもよい。
【0038】
本実施形態の食品攪拌装置12は、ドラム21の内側の食品Hの温度を上昇させる昇温装置30を更に備え、ドラム21内の食品Hを攪拌しつつ昇温させる。したがって本実施形態の食品攪拌装置12は、食品Hの攪拌及び加熱調理を同時に行う加熱調理装置としても使用可能である。
【0039】
昇温装置30の具体的な構成や昇温方式は限定されない。典型的には、昇温装置30は、ドラム21を介して食品Hを昇温させることができる。例えば、昇温装置30はガス燃焼装置等の発熱装置を具備し、当該発熱装置によって発せられる熱をドラム21に伝えてドラム21を加熱することで、ドラム21内の食品Hをドラム21によって加熱することができる。また昇温装置30は誘導加熱装置(IH装置)を具備し、電磁誘導原理を利用して当該誘導加熱装置により発生させた磁界により、金属を含むドラム21自体を発熱させることで、ドラム21内の食品Hをドラム21によって加熱することができる。また昇温装置30は、ドラム21を介することなく、ドラム21内の食品Hを直接的に昇温させてもよい。例えば、昇温装置30は、ドラム21内の食品Hに対して直接的にエネルギー(例えばマイクロ波(電波))を付与することで、食品Hを昇温させてもよい。
【0040】
上述の食品製造装置10を使った食品製造方法(食品攪拌装置12を使った食品攪拌方法を含む)は、例えば、以下の工程を含む。
【0041】
食品製造方法(食品攪拌方法を含む)は、搬送装置31からドラム21の内側に食品Hを投入する工程と、ドラム21を回転させる工程と、ドラム21内の食品Hをドラム21の端部開口22bに向けて移動させて、端部開口22bから排出する工程とを含む。搬送装置31を介して送られてくる食品Hであって一方の端部開口22aを介してドラム21の内側に投入された食品Hは、ドラム21の回転に応じて、他方の端部開口22bに向けて移動し、最終的に端部開口22bを介してドラム21から排出される。なお各工程の開始タイミングは限定されない。例えばドラム21の回転開始タイミングは、ドラム21内への食品Hの投入を開始したタイミングに対して前でも、後でも、同時でもよい。
【0042】
ドラム21が回転することによって、ドラム21の内側の食品Hは、各攪拌子15により攪拌されつつ、ドラム21の内壁面21aと各攪拌子15との間の隙間Cを通過する。そのため、ドラム21を使って食品Hを攪拌する間にドラム21の特定箇所に食品Hが停滞してしまうことを、効果的に抑制することができる。
【0043】
以上説明したように本実施形態の食品製造装置10(食品攪拌装置12を含む)及び食品製造方法(食品攪拌方法を含む)によれば、ドラム21を使って食品Hを攪拌する際に、ドラム21の特定箇所における食品Hの停滞を抑えることができる。
【0044】
ドラム内壁面と攪拌子との間に隙間が存在しない従来装置(例えば特許文献1の装置)では、攪拌子を含む突起部分の前後に食品が溜まって停滞しやすく、ドラム内の食品全体の攪拌が阻害され、停滞食品は衛生上の課題をもたらしうる。特に、食品Hが粘着性の高い粘性食材を含む場合に、ドラム内における食品の停滞が生じやすく、ドラムにおける食品の攪拌性能が阻害され、衛生面の懸念が高まる。ドラム内で停滞しやすい粘性食材として、例えば炊飯米、液体(例えば調味料)が付着した肉、魚介及び野菜などの食材、等が挙げられる。加えて、ドラム内の食品を加熱する場合、ドラム内の停滞食品が焦げてしまい、ドラム内の食品全体の品質低下を招きうる。
【0045】
一方、本実施形態に係る装置及び方法によれば、ドラム21内の食品Hは隙間Cを通過可能であるため、ドラム21の内壁面21aと各攪拌子15との間における食品Hの停滞が生じにくい。特に、食品Hが粘性食材を含む場合であっても、隙間Cによって食品Hの停滞が生じにくくなる。また、たとえ食品Hの一部が隙間Cで一時的に停滞しても、ドラム21の回転に応じて「隙間Cで停滞する食材」に他の食材がぶつかるため、食材は隙間Cにおける停滞から比較的容易に離脱しうる。このように本実施形態に係る装置及び方法によれば、ドラム21内における食品Hの停滞を防ぐことができ、高度な食品Hの攪拌性能、衛生維持、及び焦げ防止による食品Hの品質確保を実現することができる。
【0046】
また各攪拌子15のうちドラム21の内側に位置する部分における、軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合を1/3以上且つ1以下にすることで、各攪拌子15に対する食品Hの付着及び停滞を有効に抑えうる。
【0047】
また各攪拌子15及び各支持体16をドラム21の内壁面21aに接触させないことで、各攪拌子15及び各支持体16がドラム21内の食品Hを停滞させない、或いは、ドラム21内における食品Hの停滞を低減するのに有利である。
【0048】
また各攪拌子15が、回転軸Arに沿う方向に分割されておらず、ドラム21の内側(すなわち中空スペースS)を貫通することで、ドラム21の外側に設置された支持体16により各攪拌子15の両端側部分を支持することが可能である。攪拌子15が分割構成を有し、攪拌子15のうちドラム21の内側で延在する部分を2以上の部材によって構成する場合、攪拌子15を適切に支持するために、ドラム21の内側に支持体16を設置することが求められうる。ドラム21の内側に設置される支持体16は、ドラム21内の食品Hの停滞を招きうる。一方、本実施形態によれば、支持体16をドラム21の内側に設置することなく、各攪拌子15をドラム21の軸方向の全体にわたって延在させることが可能である。
【0049】
また隙間Cのサイズを各固形食材の最小サイズよりも大きくすることで、ドラム21の回転の間、各攪拌子15に起因する食品Hの停滞を抑制することができる。
【0050】
また昇温装置30を設けることによって、ドラム21内の食品Hの攪拌及び昇温を同時的に行うことができる。
【0051】
またドラム21の軸方向を水平方向に対して傾斜させることで、重力を利用して、ドラム21内における食品Hの移動を促すことができる。
【0052】
また、ドラム21内への食品Hの投入、ドラム21内おける食品Hの攪拌、ドラム21内における食品Hの移動、及びドラム21からの食品Hの排出を含む一連の処理を、連続的に行うことができる。
【0053】
またドラム21の内側において停滞しやすい粘性食材が食品Hに含まれていても、ドラム21の内壁面21aと各攪拌子15との間における食品Hの停滞を抑制することができる。
【0054】
[実機を使った考察]
本件発明者は、実際に、様々な食品攪拌装置を備える食品製造装置を製作し、ドラム内における食品の停滞について考察した。
【0055】
図6は、「ドラム21の内側の食品Hが通過可能な隙間C」がドラム21の内壁面21aと各攪拌子15との間に設けられていない食品攪拌装置12を用いて食品Hの攪拌を行った直後に、攪拌子15周辺を撮影した写真である。
図6に示す食品攪拌装置12では、三角形断面を有する攪拌子15がドラム21の内壁面21aに直接的に取り付けられている。
【0056】
図7は、「ドラム21の内側の食品Hが通過可能な隙間C」がドラム21の内壁面21aと各攪拌子15との間に設けられている食品攪拌装置12を用いて食品Hの攪拌を行った直後に、攪拌子15周辺を撮影した写真である。
図7に示す食品攪拌装置12では、円形断面を有する攪拌子15と、ドラム21の内壁面21aとの間に隙間Cが存在する。
【0057】
図6及び
図7のそれぞれに示す食品攪拌装置12間において、食品攪拌装置12の構成の相違以外は、基本的に同じ条件で食品Hの攪拌を行っており、食品Hに含まれる食材の種類及び比率も共通であり、粘性食材である炊飯米を含む食品Hが用いられた。
【0058】
隙間Cを持たない食品攪拌装置12の場合、
図6からも明らかなように、攪拌子15上に比較的多量の食品Hが付着して停滞したことが分かる。
図6に示す攪拌子15のち、回転方向側に位置する壁面部分(すなわち「回転進行側部分15a」)に付着している食品Hは少ないが、逆側の壁面部分(すなわち「回転背後側部分15b」)には多量の食品Hが付着している。これは、ドラム21の回転の間、回転進行側部分15aには食品Hが繰り返し接触及び衝突するが、回転背後側部分15bに対する食品Hの接触及び衝突の頻度が高くないことに起因する。このように隙間Cを持たない食品攪拌装置12の場合、攪拌子15(特に回転背後側部分15b)には、同じ食材が長期にわたって付着及び停滞し続ける傾向が強い。
【0059】
一方、隙間Cを持つ食品攪拌装置12の場合、
図7からも明らかなように、ドラム21の内壁面21aには食品Hがほとんど付着していなかった。
【0060】
上述の
図6及び
図7の比較からも分かるように、「ドラム21の内側の食品Hが通過可能な隙間C」がドラム21の内壁面21aと各攪拌子15との間に存在することによって、ドラム21の内壁面21aにおける食品Hの停滞を著しく低減することができる。
【0061】
[変形例]
支持体16は、ドラム21の内壁面21aに取り付けられてもよい。例えば軸方向長さが大きいドラム21を用いる場合であっても、ドラム21の内壁面21aに支持体16を介して攪拌子15を固定することで、攪拌子15を安定的に支持することができる。
【0062】
攪拌子15及び/又は支持体16はドラム21に対して着脱可能に設けられてもよい。例えば、支持体16が具備する磁石の磁力を利用して、金属を含むドラム21に支持体16を着脱可能に取り付けてもよい。また攪拌子15及び支持体16の一方が磁石を具備し、他方が磁石又は金属を具備する場合、磁力を利用して支持体16に攪拌子15を着脱可能に取り付けることができる。
【0063】
攪拌子15及び支持体16は、同一部材によって一体的に設けられていてもよく、攪拌子15と支持体16との間に物理的な境界が存在しなくてもよい。また支持体16及びドラム21とは、同一部材によって一体的に設けられていてもよく、支持体16とドラム21との間に物理的な境界が存在しなくてもよい。例えば、ドラム21の内壁面21aの一部が中空スペースS側に盛り上がっており、当該盛り上がり部分を支持体16として利用してもよい。
【0064】
食品製造装置10に含まれる各装置は、制御装置(図示省略)の制御下で駆動されてもよいし、操作者によって手動的に制御されてもよい。制御装置によって各装置を制御する場合、制御装置は複数の装置を相互間で関連づけて作動させてもよい。例えば、制御装置は、投入装置11(搬送装置31)の駆動と、ドラム駆動装置14の駆動(すなわちドラム21の回転)とをお互いに関連づけて、投入装置11及びドラム駆動装置14を制御してもよい。
【0065】
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また上述の実施形態及び変形例の構成が、全体的に又は部分的に組み合わせられてもよい。
【0066】
[付記]
上述からも明らかなように、本開示は以下の態様を含む。
【0067】
(態様1)
本開示の一態様は、軸方向に延在する中空のドラムであって、ドラムの内側に投入される食品が通過する入口部と、入口部とは異なる位置に設けられ、ドラムの内側から排出される食品が通過する出口部とを有するドラムと、ドラムを、回転軸を中心に回転させるドラム駆動装置と、少なくとも一部がドラムの内側に位置する攪拌子と、ドラムに取り付けられ、攪拌子を支持する支持体と、を備え、ドラムの内壁面と攪拌子との間には隙間があり、攪拌子のうちドラムの内側に位置する部分における、軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下である食品攪拌装置に関する。
【0068】
(態様2)
攪拌子のうちドラムの内側に位置する部分における、軸方向と直角を成す方向の断面は、凹状部分を持たなくてもよい。
【0069】
(態様3)
ドラムの内壁面のうち、回転軸に沿う方向に関し、投入装置のうちドラムの内側に食品を投入する部分よりも出口部側には、攪拌子及び支持体は接触していなくてもよい。
【0070】
(態様4)
攪拌子及び支持体は、ドラムの内壁面に接触していなくてもよい。
【0071】
(態様5)
攪拌子は、回転軸に沿う方向に分割されていなくてもよい。
【0072】
(態様6)
ドラムの内壁面及び攪拌子のうちの一方から他方に向かう方向への隙間のサイズは、ドラムの内側に投入される食品に含まれる固形食材の各々の最小サイズよりも大きくてもよい。
【0073】
(態様7)
ドラムの内壁面及び攪拌子のうちの一方から他方に向かう方向への隙間のサイズは、1mm以上20cm以下であってもよい。
【0074】
(態様8)
ドラムの内側の食品の温度を上昇させる昇温装置を備えてもよい。
【0075】
(態様9)
粘性食材を含む食品を攪拌するための食品攪拌装置が設けられていてもよい。
【0076】
(態様10)
本開示の他の態様は、軸方向に延在する中空のドラムの内側に、ドラムの入口部を介して、食品を投入する工程と、ドラムを回転させる工程と、ドラムの内側の食品を、入口部とは異なる位置に設けられているドラムの出口部を介して、ドラムから排出する工程と、を含み、ドラムに取り付けられている支持体により支持されている攪拌子の少なくとも一部が、ドラムの内側に位置し、ドラムが回転する際に、ドラムの内側の食品は、攪拌子により攪拌されつつ、ドラムの内壁面と攪拌子との間の隙間を通過し、攪拌子のうちドラムの内側に位置する部分における、軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下である食品攪拌方法に関する。
【0077】
(態様11)
ドラムを回転させる工程では、ドラムの回転に応じて、ドラムの内側の食品を、ドラムの出口部に向けて移動させてもよい。
【0078】
(態様12)
本開示の他の態様は、軸方向に延在する中空のドラムの内側に、ドラムの入口部を介して、食品を投入する工程と、ドラムを回転させる工程と、ドラムの内側の食品を、入口部とは異なる位置に設けられているドラムの出口部を介して、ドラムから排出する工程と、を含み、ドラムに取り付けられている支持体により支持されている攪拌子の少なくとも一部が、ドラムの内側に位置し、ドラムが回転する際に、ドラムの内側の食品は、攪拌子により攪拌されつつ、ドラムの内壁面と攪拌子との間の隙間を通過し、攪拌子のうちドラムの内側に位置する部分における、軸方向と直角を成す方向の断面の最長径に対する最短径の割合は、1/3以上且つ1以下である食品製造方法に関する。
【符号の説明】
【0079】
10 食品製造装置
11 投入装置
12 食品攪拌装置
14 ドラム駆動装置
14a 第1駆動ユニット
14b 第2駆動ユニット
15 攪拌子
15a 回転進行側部分
15b 回転背後側部分
16 支持体
21 ドラム
21a 内壁面
22a 端部開口
22b 端部開口
30 昇温装置
31 搬送装置
35 駆動ローラ
36 駆動軸
37 駆動軸受
38 動力伝達機構
39 駆動源
Ar 回転軸
C 隙間
D 径
Dn 最短径
Dx 最長径
H 食品
S 中空スペース