(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-28
(45)【発行日】2025-09-05
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20250829BHJP
【FI】
A47L9/28 A
A47L9/28 N
(21)【出願番号】P 2023023151
(22)【出願日】2023-02-17
【審査請求日】2024-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 諒平
(72)【発明者】
【氏名】大沢 章人
(72)【発明者】
【氏名】土田 駿
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特許第5603951(JP,B2)
【文献】特開2016-135630(JP,A)
【文献】特開2015-093637(JP,A)
【文献】特開2021-177883(JP,A)
【文献】特開2010-115360(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114041723(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体と、
前記掃除機本体に内蔵される電動送風機と、
加速度センサと、
前記掃除機本体が所定の姿勢で静止しているときの前記加速度センサの出力を基準値とし、前記基準値と前記加速度センサの出力から前記掃除機本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
前記姿勢検出手段により検出された前記掃除機本体の姿勢に基づいて、前記電動送風機の運転及び停止を制御する制御部と、
を備えた電気掃除機において、
前記電動送風機が停止中であり、前記掃除機本体が前記所定の姿勢で静止しているときに、前記加速度センサの出力を校正する出力校正手段をさらに備える電気掃除機。
【請求項2】
請求項1に記載の電気掃除機であって、
前記掃除機本体に連結される吸込具をさらに備え、前記吸込具が、回転ブラシと、前記回転ブラシを駆動するための電動機とを有するものにおいて、
前記制御部は、前記電動機の運転及び停止を更に制御し、
前記出力校正手段は、前記電動送風機及び前記電動機が停止中であり、前記掃除機本体が前記所定の姿勢で静止しているときに、前記加速度センサの出力を校正する電気掃除機。
【請求項3】
前記出力校正手段は、前記掃除機本体の異なる複数の姿勢にて、前記加速度センサの出力を夫々校正する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記加速度センサは、3軸加速度センサである請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記出力校正手段は、前記掃除機本体が前記所定の姿勢で静止しているときの前記加速度センサの出力と前記基準値との差分を算出する差分算出処理と、前記差分算出処理で算出された差分を検出誤差と見做して補正基準値として算出する補正基準値算出処理と、を実行し、前記補正基準値に基づいて前記基準値を補正する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記掃除機本体は、所定の傾斜角で自立状態を維持し得るように構成され、
前記掃除機本体が前記自立状態であるとき、前記所定の姿勢で静止した状態である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記掃除機本体を支持する支持体を更に備え、
前記掃除機本体が前記支持体で支持された状態であるとき、前記所定の姿勢で静止した状態である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項8】
請求項7に記載の電気掃除機であって、前記電動送風機に電力供給する二次電池を更に備え、前記掃除機本体が前記支持体で支持された状態で、前記二次電池が充電されるものにおいて、
前記二次電池への充電電流を検出する充電電流検出部を更に備え、
前記出力校正手段は、前記充電電流検出部により前記充電電流が検出されたときに、前記加速度センサの出力を校正する電気掃除機。
【請求項9】
前記加速度センサの温度または前記加速度センサの周辺の温度を検知するための温度センサを更に備え、
前記温度センサにより検知された温度が所定の閾値を超えたときに、前記加速度センサの出力を校正する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記出力校正手段は、2回目以降に実行する前記差分算出処理において、1回目に実行した前記補正基準値算出処理で算出した前記補正基準値を前記基準値として用いる請求項5に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された電気掃除機は、掃除機本体と、掃除機本体に内蔵される電動送風機と、掃除機本体の姿勢を検知するための加速度センサと、制御部とを備える。制御部は、加速度センサの検知結果に基づいて、電動送風機を駆動または停止する。即ち、電動送風機が停止している状態で、掃除機本体の直立状態が検知されると、制御部は電動送風機を駆動する。一方、電動送風機が駆動されている状態で、掃除機本体の所定方向の傾斜状態が検知されると、制御部は電動送風機を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように掃除機本体の直立状態及び傾斜状態のような姿勢の検出は、加速度センサを用いた角度検出により実現できる。電動送風機の駆動及び停止を適切に制御するためには、角度検出を正確に行う必要がある。しかしながら、加速度センサの出力は、個体ばらつきが大きいため、掃除機本体の姿勢を正確に検出できない可能性がある。個体ばらつきの主な要因は、デバイス毎の初期感度誤差であり、その他の要因として、温度影響や経年劣化、電気的ノイズ等がある。特に、加速度センサの出力と傾斜面の関係が非線形で、加速度センサの検出範囲に所定の角度に応じて分解能が変動する場合がある。この場合、分解能が低い角度において、掃除機本体の姿勢検出に対する加速度センサの検出誤差の影響が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、加速度センサの角度検出範囲の個体ばらつきが大きくても、掃除機本体の姿勢を正確に検出することが可能な電気掃除機を提供することにある。
【0006】
本開示に係る電気掃除機は、掃除機本体と、掃除機本体に内蔵される電動送風機と、加速度センサと、掃除機本体が所定の姿勢で静止しているときの加速度センサの出力を基準値とし、基準値と加速度センサの出力から掃除機本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、姿勢検出手段により検出された掃除機本体の姿勢に基づいて、電動送風機の運転及び停止を制御する制御部と、を備え、電動送風機が停止中であり、掃除機本体が前記所定の姿勢で静止しているときに、加速度センサの出力を校正する出力校正手段を更に備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、出力校正手段により加速度センサの出力が校正されるため、加速度センサの角度検出範囲の個体ばらつきが大きくても、掃除機本体の姿勢を正確に検出可能な電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による電気掃除機を掃除機本体の傾斜姿勢で示す斜視図である。
【
図2】電気掃除機を掃除機本体の直立姿勢で示す斜視図である。
【
図3】電気掃除機の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図4】電気掃除機の掃除機本体の傾斜角度を示す概略図である。
【
図5】掃除機本体の傾斜角度と加速度センサの出力電圧との関係を示す図である。
【
図6】実施の形態1における加速度センサの出力校正の手順を示すフロー図である。
【
図7】実施の形態2における加速度センサの出力校正の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係る電気掃除機の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による電気掃除機を傾斜姿勢で示す斜視図である。
図2は、電気掃除機を直立姿勢で示す斜視図である。
図3は、電気掃除機の制御系統の構成を示すブロック図である。
図4は、電気掃除機の掃除機本体の傾斜角度を示す概略図である。
【0011】
以下の説明では、塵埃及びその他のゴミを総称して単に「塵埃」と呼ぶ場合がある。また、塵埃が混じった空気を「含塵空気」と呼ぶ場合がある。そして、塵埃が取り除かれた空気を「清浄空気」と呼ぶ場合がある。
【0012】
電気掃除機1は、コードレスタイプの縦型電気掃除機である。電気掃除機1は、掃除機本体(以下「本体」と略する)2と、電動送風機3と、バッテリー4と、筒状部5と、集塵部6と、把持部7と、一方向に長手の延長管8と、吸込具9を備える。
【0013】
以下においては、長手方向において、バッテリー4がある側を上側とし、吸込具9がある側を下側として説明することがある。また、本体2の直立姿勢にて、長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する吸込具9の幅方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に直交する方向をY軸方向とし、Y軸方向で集塵部6がある側を前側とし、筒状部5がある側を後側として説明することがある。
【0014】
本体2は、電動送風機3を内蔵する筐体である。電動送風機3は、塵埃を吸い込むための気流を発生させる。バッテリー4は、電動送風機3と後述する回転ブラシ93を駆動するための電源であり、例えば、充電可能な二次電池である。バッテリー4は、本体2の後側に組付けられている。筒状部5は、長手方向下端に、塵埃を吸い込むための接続口51を有する。筒状部5の内部には、接続口51を通過した含塵空気の気流を集塵部6へ導く風路が形成されている。接続口51の開口端縁には図示省略するパッキンが設けられ、筒状部5に対して延長管8が気密に接続される。
【0015】
集塵部6は、接続口51から吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、分離した塵埃を捕集する。集塵部6は、例えば、サイクロン分離器(図示省略)を有する。集塵部6は、サイクロン分離器に代えて、例えば、気流を濾過することで塵埃を捕集可能な集塵袋を有してもよい。集塵部6にて塵埃が取り除かれた気流は、本体2に開設された排気口21から外部へ排出される。把持部7は、使用者が手で握るハンドルである。把持部7は、使用者が例えば押下する少なくとも1つの操作ボタン71を有する。操作ボタン71は、電動送風機3をONまたはOFFしたり、後述する加速度センサ12の出力校正を開始したりするためのものである。操作ボタン71には、操作スイッチが含まれ得る。把持部7には、後述するスタンド側電極28と電気的に接続される掃除機側電極72が設けられている。
【0016】
延長管8は、直状かつ中空管状の部材である。延長管8の上端部は、筒状部5の接続口51に接続されている。延長管8の下端部には、吸込具9が接続されている。
【0017】
吸込具9は、幅方向である左右方向に長手の直方体状の外形を有する。吸込具9の幅方向中央の上部には、関節部92を介して接続部91が取り付けられている。
【0018】
吸込具9の接続部91は、延長管8の下端部に接続される。関節部92は、予め設定された角度範囲で前後方向及び左右方向に吸込具9に対する延長管8ひいては本体2の向きを変化させることができる。これにより、電気掃除機1の使用者は、吸込具9に対して本体2を予め設定された角度範囲で前後左右に傾けた状態で清掃を行うことができる。
【0019】
吸込具9の内部には、左右方向に長手の吸込室(図示省略)が設けられ、吸込室内には、床面の塵埃を掻き上げるための回転ブラシ93が回転自在に収納されている。吸込具9には、回転ブラシ93を回転駆動するためのブラシ用電動機94が内蔵されている。ブラシ用電動機94には、バッテリー4から電力供給される。また、吸込具9の底面には、吸込室と連通する、図示省略する吸込口が開設されている。吸込具9の底部には、吸込口の左右方向外側に、支持部材(図示せず)によって支持された車輪95が設けられている。
【0020】
図2に示すように、電気掃除機1は、本体2の直立姿勢でスタンド20に載置することができる。スタンド20は、本体2を支持する支持体に対応する。本体2がスタンド20に支持された状態で、バッテリー4を充電することができる。バッテリー4への充電電流は、充電電流検出部41により検出される。また、本体2の支持状態で、筒状部5から延長管8を切り離すことで、電気掃除機1から延長管8及び吸込具9を取り外すことができる。これにより、電気掃除機1をハンディ型掃除機として使用することができる。
【0021】
スタンド20は、台座部21を有する。台座部21の上面には上下方向にのびる支柱部22が垂設されている。支柱部22の上端には、把持部7を下方から支持するための第1支持部23aが設けられている。第1支持部23aの後面には、集塵部6を下方から支持するための第2支持部23bが設けられている。第2支持部23bの後面には、筒状部5の下端部と延長管8の上端部を支持するための第3支持部23cが設けられている。台座部21には、吸込具9が載置される載置部24が設けられている。載置部24の上面には、回転ブラシ93を清掃するための回転ブラシ清掃部25が設けられている。
【0022】
図3に示すように、スタンド20は、電源プラグ26と、電圧変換部27と、スタンド側電極28をさらに有する。電源プラグ26は、例えば商用電源のコンセントに接続される。電圧変換部27は、電源プラグ26を介して供給される商用電源の交流電圧(例えばAC100V)を任意の直流電圧(例えばDC30V)に変換する。電圧変換部27で変換された直流電圧は、スタンド側電極28から出力される。スタンド側電極28は、例えば、把持部7を支持するための第1支持部23aに設けられる。
【0023】
電気掃除機1は、制御基板10を内蔵している。制御基板10には、制御部としてのマイコン11と、本体2の姿勢を検知するための加速度センサ12と、温度センサ13と、支持検出部14とが設けられている。マイコン11には、電動送風機3及びブラシ用電動機94と同様に、バッテリー4から電力供給される。マイコン11は、マイクロコンピュータである。マイコン11は、使用者による操作ボタン71の操作に基づいて、電動送風機3を駆動または停止させる制御を実行可能である。加速度センサ12は、少なくとも重力方向を検出できるものを用いることができ、例えば3軸加速度センサを用いることができる。温度センサ13は、加速度センサ12の温度または加速度センサ12の周辺の制御基板10の温度を検知する。支持検出部14は、掃除機側電極72がスタンド側電極28と電気的に接続されると、本体2がスタンド20に支持された状態であると検知する。
【0024】
マイコン11は、プロセッサ11a及びメモリ11bを備える。マイコン11は、メモリ11bに記憶されたプログラムをプロセッサ11aが実行することにより、後述する姿勢検出手段111の実行、後述する電動送風機3の駆動、ブラシ用電動機94の駆動及びバッテリー4の充放電等を含む電気掃除機1の動作全般を制御する。
【0025】
次に、電気掃除機1の動作について説明する。使用者による操作ボタン71の押下操作に基づきマイコン11が電動送風機3を駆動すると、集塵部6、筒状部5及び延長管8の内部に吸引力が作用し、吸込具9から含塵空気が吸い込まれる。すなわち、電動送風機3により吸込具9の吸込口から吸引する気流が生成される。このとき、回転ブラシ93を回転させることにより、掻き上げられた塵埃等を吸引してもよい。吸込具9から吸い込まれた含塵空気は、延長管8及び筒状部5を通過して集塵部6の内部に取り込まれる。集塵部6では、含塵空気から塵埃が分離される。集塵部6から排出された清浄空気は、電動送風機3を通過した後、排気口2aから本体2の外部に排出される。
【0026】
また、姿勢検出手段111は、加速度センサ12の検知信号に基づいて、本体2の姿勢を検出する。マイコン11は、本体2の姿勢に基づき、電動送風機3を駆動または停止する。
【0027】
ここで、
図2に示す本体2の直立姿勢から少なくとも一方向(
図4ではY軸方向)に本体2を傾斜させたときの角度θを傾斜角度とすると、傾斜角度θは、加速度センサ12の出力から求められる。
図5は、本体2の傾斜角度θと加速度センサ12の出力電圧との関係を示す図である。本体2が傾斜角度θで静止しているときの加速度センサ12の出力電圧は既知であり、既知の出力電圧を基準値とすると、基準値と加速度センサ12から本体2の傾斜角度θひいては姿勢を検出することができる。
【0028】
前述したように、加速度センサ12の出力電圧は、個体ばらつきが大きい(
図5参照)。このため、本体2の姿勢を正確に検出できない可能性がある。この場合、
図5において太線L1で示す分解能が低い角度では、太線L2で示す分解能が高い角度に比べて、本体2の傾斜角度θの検出誤差が大きくなる。結果として、加速度センサ12の検出誤差が本体2の姿勢検出に対して与える影響が大きくなる。
【0029】
そこで、本実施の形態では、本体2が所定の姿勢で静止しているときに、つまり、加速度センサ12の出力が一定であるときに、加速度センサ12の出力を校正する出力校正手段112を更に備える。出力校正手段112は、マイコン11のメモリ11bに記憶されたプログラムをプロセッサ11aが実行することにより、実現することができる。
【0030】
図6は、実施の形態1における加速度センサ12の出力校正の手順を示すフロー図である。
図6に示すルーチンによれば、先ず、予め設定された開始条件を満たすか否かを判別する(ステップS1)。
【0031】
開始条件としては、電動送風機3及び電動機94が停止中であること、本体2が所定の姿勢で静止していること、を挙げることができる。所定の姿勢が直立姿勢である場合、電気掃除機1をスタンド20に載置していること、即ち、支持検出部14により本体2の支持が検知されていることも、開始条件に含ませることができる。また、電気掃除機1は直立姿勢で自立した状態を維持可能に構成されているため、支持検出部14による検知に代えて、自立状態であることを開始条件に含ませることができる。また、電気掃除機1をスタンド20に載置すると、二次電池4が充電されるため、二次電池4への充電電流が充電電流検出部41により検出されていることを開始条件に含ませることができる。また、加速度センサ12の温度またはその周辺温度が高いと、加速度センサ12の出力が変動するため、加速度センサ12の出力校正には適さない。このため、加速度センサ12の温度が所定の閾値未満であることを開始条件に含ませることができる。
【0032】
ステップS1で開始条件を満たすと判別された場合、ステップS2~S6に規定された差分算出処理を実行した後、ステップS7に規定された補正基準値算出処理を実行する。
【0033】
差分算出処理では、先ず、加速度センサ12の各軸(X,Y,Z軸)基準値を基準データとして取得し、取得した基準データを保持する(ステップS2)。ステップS2では、予め求めた基準データを取得してもよい。次に、加速度センサ12の各軸(X,Y,Z軸)検出値を比較データとして取得する(ステップS3)。次に、全ての軸(X,Y,Z軸)で基準データと比較データが一致するか否かを判別する(ステップS4)。少なくとも1軸で不一致の場合、その不一致の軸の比較データの検出値を基準データとして更新し(ステップS5)、ステップS3に戻る。一方、ステップS4にて全軸で一致すると判別された場合、所定回数一致したか否かを判別する(ステップS6)。所定回数に達していない場合、ステップS3に戻る。所定回数一致した場合、ステップS7に進む。
【0034】
補正基準値算出処理では、基準データの検出値を補正基準値として更新する(ステップS7)。これにより、基準値が補正されることで、加速度センサ12の出力が校正される。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態によれば、出力校正手段112により加速度センサ12の出力が校正されるため、加速度センサ12の角度検出範囲の個体ばらつきが大きくても、姿勢検出手段111により本体2の姿勢を正確に検出することができる。従って、電動送風機3の駆動及び停止を適切に制御することができる。
【0036】
また、電気掃除機1をスタンド20に載置する都度、加速度センサ12の出力校正が実行されるため、電気掃除機1の使用頻度に応じた頻度で出力校正を行うことができる。しかも、経時変化に起因する加速度センサ12の出力の個体ばらつきにも対応することも可能である。その上、電気掃除機1の使用者が知らない間に、加速度センサ12の出力校正を実施することができる。
【0037】
実施の形態2.
実施の形態2は、加速度センサ12の出力を校正するのに際し、終了条件を設けた点で、上記実施の形態1と相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0038】
図7は、実施の形態2における加速度センサ12の出力校正の手順を示すフロー図である。
図7に示すルーチンによれば、上記実施の形態1と同様に、ステップS1及びS2の処理を実行する。
【0039】
ここで、上記開始条件を満たした後に、電動送風機3及び電動機94が駆動されたり、本体2の姿勢が所定の姿勢からずれたりする場合がある。この場合、加速度センサ12の出力校正を終了することが好ましい。
【0040】
そこで、ステップS2の終了後、予め設定された終了条件を満たすか否かを判別し(ステップS20)、終了条件を満たす場合には、上記実施の形態1と同様に、ステップS3以降の処理を実行する。
【0041】
終了条件としては、上記開始条件と同様に、電動送風機3及び電動機94が停止中であること、本体2が所定の姿勢で静止していること、を挙げることができる。また、必要に応じて、支持検出部14により本体2の支持が検知されていること、自立状態であること、二次電池4への充電電流が充電電流検出部41により検出されていること、加速度センサ12の温度が所定の閾値未満であること等を終了条件に含ませることができる。なお、終了条件に含めないが、差分算出処理にて、所定の時間、加速度センサ12の検出値が取得されない場合には、補正基準値算出処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
【0042】
本実施の形態によれば、開始条件に加えて終了条件を設けることで、より適切な状態で加速度センサ12の出力校正を実施することができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施の形態では、吸込具9を着脱自在に備える電気掃除機1を例に説明したが、吸込具を備えないハンディ型の電気掃除機に対して本発明を適用することができる。
【0044】
また、上記実施の形態では、本体2の所定の姿勢が1つの姿勢である場合を例に説明したが、異なる複数の姿勢である場合にも適用することができる。これによれば、加速度センサ12の出力が複数点で構成されるため、本体2の姿勢をより正確に検出することができる。
【0045】
また、上記実施の形態では、電気掃除機1をスタンド20に載置している間に、加速度センサ12の出力校正を行う場合を例に説明したが、使用者による操作ボタン71の押下操作に基づき、加速度センサ12の出力校正を行うことも可能である。この場合、校正の終了を把持部7に設けたLEDで報知するように構成してもよい。さらに、校正頻度が少ない場合に、使用者に出力校正を促すようにLED報知するように構成してもよい。
【0046】
また、上記実施の形態では、
図6または
図7に示すルーチンを繰り返す度に、ステップS7で基準値が更新されるが、2回目以降に実行する差分算出処理のステップS2において、1回目に実行した補正基準値算出処理で算出した補正基準値を基準値として用いるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…電気掃除機、2…掃除機本体、3…電動送風機、4…バッテリー(二次電池)、71…操作ボタン、9…吸込具、11…マイコン(制御部)、111…姿勢検出手段、112…出力校正手段、12…加速度センサ、13…温度センサ、14…支持検出部、20…スタンド(支持体)、41…充電電流検出部、93…回転ブラシ、94…電動機