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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-29
(45)【発行日】2025-09-08
(54)【発明の名称】ジャーナル及びスラスト気体軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 32/06 20060101AFI20250901BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20250901BHJP
   F04D 29/057 20060101ALI20250901BHJP
   F16C 32/00 20060101ALI20250901BHJP
   F16C 17/04 20060101ALI20250901BHJP
【FI】
F16C32/06 Z
F01D25/16 C
F01D25/16 G
F01D25/16 J
F04D29/057 A
F04D29/057 Z
F16C32/00 C
F16C17/04 A
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020200074
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2021089072
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】62/942,817
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/017,034
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506322271
【氏名又は名称】エリオット・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ダグラス ハンツ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ブラン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ リ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン クリストファー ペティナート
(72)【発明者】
【氏名】マニッシュ ランバウ ソラット
(72)【発明者】
【氏名】チンユン ワン
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-097120(JP,U)
【文献】特公昭36-012053(JP,B1)
【文献】特開2010-112486(JP,A)
【文献】特開平03-041211(JP,A)
【文献】特公昭48-035648(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 32/00、32/06
F16C 17/04
F01D 25/16
F04D 29/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャーナル軸受に取り付けられたスラスト気体軸受と、
前記スラスト気体軸受及び前記ジャーナル軸受の少なくとも一方の表面に画定された2つ以上の収束-発散オリフィスと、を備え、
前記収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの加圧ガスを前記スラスト気体軸受又は前記ジャーナル軸受の内部に供給し、
前記スラスト気体軸受は、前記スラスト気体軸受内にガスシールを形成するために、前記スラスト気体軸受への前記少なくとも1つの加圧ガスの静圧注入を受け入れるように構成され、
前記収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィスと、少なくとも1つの外側オリフィスとを備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給される圧縮機の作動流体と、前記少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを備え、前記少なくとも1つの外側オリフィスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスよりも前記スラスト気体軸受の外縁部に近接した位置に配置されている、
軸受。
【請求項2】
前記収束-発散オリフィスは、スロートをそれぞれ備え、各オリフィスは、前記スロートを通過した前記少なくとも1つの加圧ガスの流速を増加させるように構成される、
請求項1に記載の軸受。
【請求項3】
前記スラスト気体軸受は、前記スラスト気体軸受の内面に動圧リフティンググルーブを備え、前記動圧リフティンググルーブは、前記ガスシールを生成するように構成される、
請求項1に記載の軸受。
【請求項4】
前記ジャーナル軸受の内面の縁部は、その内部に画定された複数のグルーブを備え、前記グルーブは、前記ジャーナル軸受の前記縁部に前記ジャーナル軸受の内面の前記縁部を除く部分よりも高圧領域を作り出す形状を備える、
請求項1に記載の軸受。
【請求項5】
前記圧縮機の作動流体が前記クリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合に、前記圧縮機の作動流体は前記クリーンエアガスが前記内側オリフィスを越えて流れるのを防止する、
請求項1に記載の軸受。
【請求項6】
前記クリーンエアガスが前記圧縮機の作動流体よりも高い圧力を有する場合に、前記クリーンエアガスは前記圧縮機の作動流体が前記軸受内から漏れるのを防止する、
請求項1に記載の軸受。
【請求項7】
前記収束-発散オリフィスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスと前記少なくとも1つの外側オリフィスの間に位置する少なくとも1つのシールガスオリフィスをさらに備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つのシールガスオリフィスを介して供給されるシールガスをさらに備え、
前記シールガスが前記圧縮機の作動流体及び前記クリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合に、前記シールガスは前記圧縮機の作動流体が前記軸受内から漏れるのを防止する、
請求項1に記載の軸受。
【請求項8】
前記軸受の外面には、金属メッシュダンパが設けられている、
請求項1に記載の軸受。
【請求項9】
その長手方向軸に沿って、入口端部と、前記入口端部の反対側の出口端部とを備えるケーシングと、
前記ケーシング内に配置され、前記ケーシングの前記入口端部から前記出口端部まで延在するシャフトと、
前記シャフトから半径方向外側に延在する少なくとも1つのロータと、
少なくとも1つの軸受であって、
ジャーナル軸受に取り付けられたスラスト気体軸受と、
前記スラスト気体軸受及び前記ジャーナル軸受のうちの少なくとも1つの表面に画定された2つ以上の収束-発散オリフィスと、を備える、前記少なくとも1つの軸受と、を備え、
前記収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの加圧ガスを前記スラスト気体軸受又は前記ジャーナル軸受の内部に供給し、
前記ロータは、前記スラスト気体軸受内に収容され、
前記シャフトは、前記ジャーナル軸受内に少なくとも部分的に収容され、
前記スラスト気体軸受は、前記スラスト気体軸受内にガスシールを形成するために、前記スラスト気体軸受への前記少なくとも1つの加圧ガスの静圧注入を受け入れるように構成され
前記収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィスと、少なくとも1つの外側オリフィスとを備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給される圧縮機の作動流体と、前記少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを備え、前記少なくとも1つの外側オリフィスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスよりも前記スラスト気体軸受の外縁部に近接した位置に配置されている、
ターボ機械。
【請求項10】
前記収束-発散オリフィスは、スロートをそれぞれ備え、各オリフィスは、前記スロートを通過した前記少なくとも1つの加圧ガスの流速を増加させるように構成される、
請求項に記載のターボ機械。
【請求項11】
前記スラスト気体軸受は、前記スラスト気体軸受の内面に動圧リフティンググルーブを備え、前記動圧リフティンググルーブは、前記ガスシールを生成するように構成される、
請求項に記載のターボ機械。
【請求項12】
前記ジャーナル軸受の内面の縁部は、その内部に画定された複数のグルーブを備え、前記グルーブは、前記ジャーナル軸受の前記縁部に前記ジャーナル軸受の内面の前記縁部を除く部分よりも高圧領域を作り出す形状を備える、
請求項に記載のターボ機械。
【請求項13】
前記圧縮機の作動流体が前記クリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合に、前記圧縮機の作動流体は前記クリーンエアガスが前記内側オリフィスを越えて流れるのを防止する、
請求項に記載のターボ機械。
【請求項14】
前記クリーンエアガスが前記圧縮機の作動流体よりも高い圧力を有する場合に、前記クリーンエアガスは前記圧縮機の作動流体が前記軸受内から漏れるのを防止する、
請求項に記載のターボ機械。
【請求項15】
前記収束-発散オリフィスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスと前記少なくとも1つの外側オリフィスの間に位置する少なくとも1つのシールガスオリフィスをさらに備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つのシールガスオリフィスを介して供給されるシールガスをさらに備え、
前記シールガスが前記圧縮機の作動流体及び前記クリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合に、前記シールガスは前記圧縮機の作動流体が前記軸受内から漏れるのを防止する、
請求項に記載のターボ機械。
【請求項16】
前記軸受の外面には金属メッシュダンパが設けられている、
請求項に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年12月3日に出願された米国仮特許出願第62/942,817号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、スラスト軸受及びジャーナル軸受に関し、より詳細には、収束-発散オリフィス形状を有する、接続されたジャーナル及びスラスト気体軸受(空気軸受、ガスベアリング)、ならびに軸受と共に作動するターボ機械に関する。
【背景技術】
【0003】
遠心(流体)圧縮機(centrifugal flow compressors)、軸流式圧縮機(axial flow compressors)、及びタービンのようなターボ機械は、種々の産業において利用され得る。特に、遠心圧縮機及びタービンは、発電所、ジェットエンジン用途、ガスタービン及び自動車用途で広く使用されている。また、遠心圧縮機及びタービンは、石油精製産業で使用される空気分離プラントやホットガスエキスパンダのような大規模産業用途でも一般的に使用されている。遠心圧縮機はさらに、製油所及び化学プラントなどの大規模工業用途にも使用される。
【0004】
図1を参照すると、従来の設計に従って、多段式遠心流ターボ機械10が図示されている。いくつかの用途では、単段のものを利用することができる。他の用途では、多段のものを利用することができる。このようなターボ機械10は一般に、一対の軸受40によってハウジング30内に支持されたシャフト20を含む。図1に示すターボ機械10は、作動流体の圧力を段階的に上昇させるために複数のステージ(段)を備えている。各ステージはターボ機械10の長手方向の軸に沿って連続的に配置され、全てのステージは同じ原理で動作する類似の構成要素を有していても有していなくてもよい。
【0005】
引き続き図1を参照すると、インペラ50は、円周方向に配置され、シャフト20に取り付けられたインペラハブ70に取り付けられた複数の回転ブレード60を含む。このブレード60は、任意でカバー65に取り付けることができる。複数のインペラ50は、シャフト20の軸方向長さに沿って複数の段階で離間されていてもよい。回転ブレード60は、回転ブレード60がインペラハブ70と共にシャフト20の回転により回転するように、インペラハブ70に固定的に連結されている。回転ブレード60は、静止管状ケーシングに取り付けられた複数の静止ベーン又はステータ80の下流で回転する。ガス混合物のような作動流体は、シャフト20の半径方向に沿ってターボ機械10に流入及び流出する。回転ブレード60は、流体に伝達される機械的動力を用いてステータ80に対し回転される。遠心圧縮機では、インペラ50内の回転ブレード60間の断面積は入口端部から吐出端部に向かって減少し、その結果、作動流体はインペラ50を通過するにつれ圧縮される。
【0006】
図2を参照すると、ガス混合物のような作動流体は、ターボ機械10の入口端部90から出口端部100に移動する。入口端部90に設けられた一列のステータ80は、作動流体をターボ機械10の一列の回転ブレード60に導く。ステータ80は、作動流体を回転ブレード60に導くためにケーシング内に延在する。ステータ80は、ケーシングの周囲の個々の支柱の間にほぼ等間隔で円周方向に離間されている。回転ブレード60の出口にはディフューザ110が設けられており、回転ブレード60から離脱する流体の流れからの余剰運動エネルギーを圧力上昇に変換する。ディフューザ110は、オプションとして、ケーシング内に延在する複数のディフューザブレード120を有する。このディフューザブレード120は円周方向に離間しており、典型的にはディフューザケーシングの周囲の個々のディフューザブレード120の間に等しい間隔を有している。多段式ターボ機械10では、作動流体を次の連続するステージの回転ブレード60に導くために、流体圧縮ステージの出口端部100に複数のリターンチャネルベーン125が設けられている。このような実施では、リターンチャネルベーン125がターボ機械10の第1のステージからのステータ80の機能を提供する。多段式ターボ機械10の最後のインペラは、典型的にはディフューザのみを有し、ディフューザブレード120が設けられていても設けられていなくてもよい。最後のディフューザは、吐出パイプに接続するための吐出フランジを有する吐出ケーシング(螺旋形(volute))に作動流体の流れを導く。図2に示すように、単段式の実施では、ターボ機械10が入口端部90にステータ80を含み、出口端部100にディフューザ110を含む。
【0007】
ターボ機械用途における軸受の目的は、回転するロータを最小限の摩擦で確実に支持し、低振動に必要な剛性と減衰特性を提供することである。ターボ機械用軸受の大多数は、この目的のために油を利用している。気体軸受は、ロータと軸受面との分離を達成するための作動流体が油ではなく気体(ガス)である軸受である。これは油潤滑を不要にする。
【0008】
種々の設計の気体軸受がターボ機械産業で数十年研究されてきた。ターボ機械はジャーナル軸受とスラスト気体軸受の両方を利用している。一般にターボ機械では、スラスト気体軸受とジャーナル軸受は互いに分離されている。気体軸受は、清浄度、潤滑剤循環システムなしのより広い許容温度範囲、潜在的に低いコスト及び低メンテナンス性のために、ターボ機械にとって特に関心の高いものである。典型的な気体潤滑軸受は、動圧(hydrodynamic、流体動力学)のもの又は静圧(hydrostatic、流体静力学)のものであり得る。
【0009】
フォイル軸受のような動圧気体軸受は、回転軸ジャーナルの比較的高い速度に依存して、軸と軸受面との間の空気を引っ張って加圧し、これらの表面間に分離を発生させる軸受である。しかしながら、多くの重いターボ機械用途において耐荷重能力(load-carrying capacity、負荷容量)を発生させるためには、比較的高い表面速度及び/又はジャーナル直径が必要とされる。加えて、上記の動圧的な手段のために低い速度ではロータを支持することができず、これは起動及び停止時の接触により軸受の寿命の制限につながる可能性がある。
【0010】
一方、静圧軸受は外部から加圧される。静圧軸受では、作動流体が(典型的には別個の圧縮機又はポンプによって)軸受の外部で加圧され、シャフトと軸受面との間の空間に送られる。十分な供給圧力の供給ガスは、すべての速度範囲(静止している場合であっても)で薄い気体膜によりロータを支えることができる。油潤滑剤に比べて気体の粘度が低いため、従来の油膜を用いた軸受に比べて、ほぼ摩擦のない回転が可能である。この気体が軸受から漏れて供給ガスの漏洩が生じる可能性がある。
【0011】
また、静圧軸受は動圧軸受と比較して、ロータの軸受システムの横方向の固有振動数に対する減衰を低減している。金属メッシュバッキングを有する動圧軸受は、動圧軸受における減衰特性を増加させることが示されている。
【0012】
静圧気体軸受における加圧された空気流はしばしば制限される。この制限とは、供給源から間隙(ギャップ)への空気流を制限することを指す。これにより、間隙の後方に予備の圧力が生成される。1つのオリフィスで負荷が増加すると、間隙は減少する。予備の圧力が存在することにより、この付加的な負荷を補償するため、負荷のかかったオリフィスにおける圧力を増加することができる。この制限及び補償は静圧気体軸受の剛性(stiffness)を得る。
【発明の概要】
【0013】
本開示の一例によれば、ターボ機械に使用するための改良された軸受が提供される。改良された軸受は、現行技術と比較して、軸受を通る空気の漏れを減少させ、軸受の設置面積(footprint)を減少させ、軸受内の間隙の圧力を増加させ、及び/又は軸受の減衰特性(damping characteristics)を増加させるように構成することができる。
【0014】
本開示の別の例によれば、単一の軸受に組み合わされた、上述した各改良に対処する軸受が提供される。この例によれば、軸受はジャーナル軸受に取り付けられたスラスト気体軸受で作られていてもよい。このようにスラスト軸受とジャーナル軸受を組み合わせると、組み合わせた軸受の設置面積が小さくなる。
【0015】
本開示の特定の例によれば、一の軸受が提供される。この軸受は、ジャーナル軸受に取り付けられたスラスト気体軸受と、スラスト気体軸受及びジャーナル軸受の少なくとも一方の表面に画定された2つ以上の収束-発散オリフィスとを含む。収束-発散オリフィスは、軸受の内部に少なくとも1つの加圧ガスを供給する。
【0016】
少なくとも1つの加圧ガスは、プロセスガスを含むことができる。
【0017】
収束-発散オリフィスはそれぞれ、スロートを含んでいてもよく、各オリフィスは、オリフィスのスロート内の少なくとも1つの加圧ガスの流速をマッハ1(340.29m/s)にさせ、スロートを通過した少なくとも1つの加圧ガスの流速を超音速にさせるように構成されている。
【0018】
スラスト気体軸受はスラスト気体軸受の表面上に動圧リフティンググルーブ(lifting grooves、浮上溝)を含むことができ、この動圧リフティンググルーブは、ガスシールを生成するように構成されている。
【0019】
スラスト気体軸受はスラスト気体軸受内にガスシールを形成するために、少なくとも1つの加圧ガスの静圧注入(hydrostatic injection)を受け入れるように構成することができる。
【0020】
ジャーナル軸受の内面の縁部は、その内部に画定された複数のグルーブ(溝)を含むことができ、このグルーブはジャーナル軸受の縁部に高圧領域を作る形状を有する。
【0021】
収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィス及び少なくとも1つの外側オリフィスを含むことができる。少なくとも1つの加圧ガスは、少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを含むことができる。プロセスガスがクリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合には、プロセスガスはクリーンエアガスが軸受内に漏れるのを防止する。
【0022】
収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィス及び少なくとも1つの外側オリフィスを含むことができる。少なくとも1つの加圧ガスは、少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを含むことができる。クリーンエアガスがプロセスガスより高い圧力を持つ場合には、クリーンエアガスはプロセスガスが軸受内から漏れるのを防止する。
【0023】
収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィス、少なくとも1つの外側オリフィスと、少なくとも1つの内側オリフィスと少なくとも1つの外側オリフィスの間に位置する少なくとも1つのシールガスオリフィスとを含むことができる。少なくとも1つの加圧ガスは、少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスと、少なくとも1つのシールガスオリフィスを介して供給されるシールガスとを含むことができる。シールガスがプロセスガス及びクリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合には、シールガスはプロセスガスが軸受内から漏れるのを防止する。
【0024】
軸受の外面には、金属メッシュダンパを設けてもよい。
【0025】
本開示の特定の例によれば、一のターボ機械が提供される。このターボ機械は、ケーシングの長手方向軸に沿って入口先端部とこの入口先端部に対向する出口先端部とを有するケーシングと、該ケーシング内に配置され、該ケーシングの入口先端部から出口先端部まで延びるシャフトと、該シャフトから半径方向外側に延びる少なくとも1つのロータと、少なくとも1つの軸受と、を備える。この軸受は、ジャーナル軸受に取り付けられたスラスト気体軸受と、スラスト気体軸受及びジャーナル軸受の少なくとも一方の表面に画定された2つ以上の収束-発散オリフィスとを含む。収束-発散オリフィスは、軸受の内部に少なくとも1つの加圧ガスを供給する。ロータはスラスト気体軸受内に収納されている。シャフトは、少なくとも部分的にジャーナル軸受内に収容される。
【0026】
少なくとも1つの加圧ガスは、プロセスガスを含むことができる。
【0027】
収束-発散オリフィスはそれぞれ、スロートを含んでいてもよく、各オリフィスは、当該オリフィスのスロート内の少なくとも1つの加圧ガスの流速をマッハ1にさせ、スロートを通過した少なくとも1つの加圧ガスの流速を超音速にさせるように構成されている。
【0028】
スラスト気体軸受は、スラスト気体軸受の表面上に動圧リフティンググルーブを含むことができ、動圧リフティンググルーブは、気体シールを生成するように構成されている。
【0029】
スラスト気体軸受は、スラスト気体軸受内にガスシールを形成するために、少なくとも1つの加圧ガスの静圧注入を受け入れるように構成することができる。
【0030】
ジャーナル軸受の内面の縁部はその内部に画定された複数のグルーブを含むことができ、このグルーブはジャーナル軸受の縁部に高圧領域を作る形状を有する。
【0031】
収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィス及び少なくとも1つの外側オリフィスを含むことができる。少なくとも1つの加圧ガスは、少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを含むことができる。プロセスガスがクリーンエアガスよりも高い圧力を持つ場合には、プロセスガスはクリーンエアガスが軸受内に漏れるのを防止する。
【0032】
収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィス及び少なくとも1つの外側オリフィスを含むことができる。少なくとも1つの加圧ガスは、少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを含むことができる。クリーンエアガスがプロセスガスより高い圧力を持つ場合には、クリーンエアガスはプロセスガスが軸受内から漏れるのを防止する。
【0033】
収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィスと、少なくとも1つの外側オリフィスと、少なくとも1つの内側オリフィスと少なくとも1つの外側オリフィスの間に位置する少なくとも1つのシールガスオリフィスとを含むことができる。少なくとも1つの加圧ガスは、少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスと、少なくとも1つのシールガスオリフィスを介して供給されるシールガスとを含み得る。シールガスがプロセスガス及びクリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合には、シールガスはプロセスガスが軸受内から漏れるのを防止する。
【0034】
軸受の外面には、金属メッシュダンパを設けてもよい。
【0035】
ターボ機械は、軸受の外面に設けられた金属メッシュダンパを更に含むことができる。
【0036】
さらなる好ましい非限定的な実施又は態様を、以下の番号を付した項で説明する。
【0037】
(1)ジャーナル軸受に取り付けられたスラスト気体軸受と、スラスト気体軸受及びジャーナル軸受の少なくとも一方の表面に画定された2つ以上の収束-発散オリフィスとを備え、収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの加圧ガスを軸受の内部に供給する、軸受。
【0038】
(2)前記少なくとも1つの加圧ガスは、プロセスガスを含む、上記(1)に記載の軸受。
【0039】
(3)前記収束-発散オリフィスは、それぞれスロートを備え、各オリフィスは前記オリフィスのスロート内の少なくとも1つの加圧ガスの流速をマッハ1にさせるようにし、前記スロートを通過した前記少なくとも1つの加圧ガスの流速を超音速にさせるように構成される、上記(1)又は(2)に記載の軸受。
【0040】
(4)前記スラスト気体軸受は、前記スラスト気体軸受の表面に動圧リフティンググルーブを備え、前記動圧リフティンググルーブはガスシールを形成するように構成されている、上記(1)~(3)のいずれかに記載の軸受。
【0041】
(5)前記スラスト気体軸受は、前記スラスト気体軸受内にガスシールを形成するために、前記少なくとも1つの加圧ガスの静圧注入を受け入れるように構成されている、上記(1)~(4)のいずれかに記載の軸受。
【0042】
(6)前記ジャーナル軸受の内面の縁部には、前記ジャーナル軸受の内面に画定された複数のグルーブを備え、前記グルーブは、前記ジャーナル軸受の縁部に高圧領域を形成する幾何形状を有する、上記(1)~(5)のいずれかに記載の軸受。
【0043】
(7)前記収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィス及び少なくとも1つの外側オリフィスを備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、前記少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを備え、前記プロセスガスが前記クリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合には、前記プロセスガスは前記クリーンエアガスが前記軸受内に漏れることを防止する、上記(1)~(6)のいずれかに記載の軸受。
【0044】
(8)前記収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィス及び少なくとも1つの外側オリフィスを備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、前記少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを備え、前記クリーンエアガスが前記プロセスガスよりも高い圧力を有する場合には、前記クリーンエアガスは前記プロセスガスが前記軸受内から漏れることを防止する、上記(1)~(7)のいずれかに記載の軸受。
【0045】
(9)前記収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィスと、少なくとも1つの外側オリフィスと、前記少なくとも1つの内側オリフィスと前記少なくとも1つの外側オリフィスとの間に位置する少なくとも1つのシールガスオリフィスとを備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、前記少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスと、前記少なくとも1つのシールガスオリフィスを介して供給されるシールガスとを備え、前記シールガスが前記プロセスガス及び前記クリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合には、前記シールガスは前記プロセスガスが前記軸受内から漏れることを防止する、上記(1)~(8)のいずれかに記載の軸受。
【0046】
(10)前記軸受の外面には、金属メッシュダンパが設けられている、上記(1)~(9)のいずれかに記載の軸受。
【0047】
(11)その長手方向軸に沿って入口端部及び前記入口端部と反対側の出口端部を有するケーシングと、前記ケーシング内に配置され、前記ケーシングの前記入口端部から前記出口端部まで延びるシャフトと、前記シャフトから半径方向外方に延びる少なくとも1つのロータと、ジャーナル軸受に取り付けられたスラスト気体軸受、及び前記スラスト気体軸受及び前記ジャーナル軸受のうちの少なくとも1つの表面に画定された2つ以上の収束-発散オリフィスを備える少なくとも1つの軸受を備え、前記収束-発散オリフィスは少なくとも1つの加圧ガスを前記軸受の内部に供給し、前記ロータは前記スラスト気体軸受内に収容され、前記シャフトは前記ジャーナル軸受内に少なくとも部分的に収容される、ターボ機械。
【0048】
(12)前記少なくとも1つの加圧ガスがプロセスガスを含む、上記(11)に記載のターボ機械。
【0049】
(13)前記収束-発散オリフィスはそれぞれスロートを備え、各オリフィスは当該オリフィスの前記スロート内の前記少なくとも1つの加圧ガスの流速をマッハ1にし、スロートを通過する少なくとも1つの加圧ガスの流速を超音速にするように構成される、上記(11)又は(12)に記載のターボ機械。
【0050】
(14)前記スラスト気体軸受は前記スラスト気体軸受の表面上に動圧リフティンググルーブを備え、前記動圧リフティンググルーブはガスシールを生成するように構成される、上記(11)~(13)のいずれかに記載のターボ機械。
【0051】
(15)前記スラスト気体軸受は、前記スラスト気体軸受内にガスシールを形成するために、前記少なくとも1つの加圧ガスの静圧注入を受け入れるように構成される、上記(11)~(14)のいずれかに記載のターボ機械。
【0052】
(16)前記ジャーナル軸受の内面の縁部は、その内部に画定された複数のグルーブを備え、前記グルーブは、前記ジャーナル軸受の前記縁部に高圧領域を形成する幾何形状を有する、上記(11)~(15)のいずれかに記載のターボ機械。
【0053】
(17)前記収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィス及び少なくとも1つの外側オリフィスを備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、前記少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを備え、前記プロセスガスが前記クリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合には、前記プロセスガスは前記クリーンエアガスが前記軸受内に漏れることを防止する、上記(11)~(16)のいずれかに記載のターボ機械。
【0054】
(18)前記収束-発散オリフィスは、少なくとも1つの内側オリフィスと少なくとも1つの外側オリフィスとを備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、前記少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスとを備え、前記クリーンエアガスが前記プロセスガスよりも高い圧力を有する場合には、前記クリーンエアガスは前記プロセスガスが前記軸受内から漏れるのを防止する、上記(11)~(17)のいずれかに記載のターボ機械。
【0055】
(19)前記収束-発散オリフィスは少なくとも1つの内側オリフィスと、少なくとも1つの外側オリフィスと、前記少なくとも1つの内側オリフィスと前記少なくとも1つの外側オリフィスとの間に位置する少なくとも1つのシールガスオリフィスとを備え、前記少なくとも1つの加圧ガスは、前記少なくとも1つの内側オリフィスを介して供給されるプロセスガスと、前記少なくとも1つの外側オリフィスを介して供給されるクリーンエアガスと、前記少なくとも1つのシールガスオリフィスを介して供給されるシールガスとを備え、前記シールガスが前記プロセスガス及び前記クリーンエアガスよりも高い圧力を有する場合、前記シールガスは前記プロセスガスが前記軸受内から漏出するのを防止する、上記(11)~(18)のいずれかに記載のターボ機械。
【0056】
(20)前記軸受の外面に設けられた金属メッシュダンパをさらに備える、上記(11)~(19)のいずれかに記載のターボ機械。
【0057】
本発明のこれらの及び他の特徴や特性、ならびに構造の関連要素の動作及び機能の方法、ならびに部品の組み合わせ及び製造の経済性は、以下の説明を考慮し、添付の図面を参照するとより明らかになり、添付の図面のすべては本明細書の一部を形成し、同様の参照番号は、様々な図において対応する部品を示す。しかしながら、図面は例示及び説明のみを目的とするものであり、本発明の限定の定義を意図しているものではないことを明確に理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「a」、「an」、及び「the」といった単数形の表記は、文脈が明らかにそれに沿わないことを示さない限り、複数の指示対象物を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】従来技術の例に係る多段式遠心流ターボ機械の部分断面斜視図である。
【0059】
図2図1に示すターボ機械の第一段の概略断面図である。
【0060】
図3】本開示の一例に係るジャーナル軸受及びスラスト気体軸受の断面図である。
【0061】
図4図3に示すジャーナル軸受及びスラスト気体軸受における収束-発散オリフィス形状の断面図である。
【0062】
図5A】より高いクリーンエア圧力を有する、図3に示すジャーナル軸受及びスラスト気体軸受におけるオリフィスの空気流方向を示す断面図である。
【0063】
図5B】より高いプロセスガス圧力を有する、図3に示すジャーナル軸受及びスラスト気体軸受におけるオリフィスの空気流方向を示す断面図である。
【0064】
図5C】より高いシールガス圧力を有する、図3に示すジャーナル軸受及びスラスト気体軸受におけるオリフィスの空気流方向を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下の説明の目的のために、用語「端部」、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」及びそれらの派生語は、図面に方向を合わせるように本発明に関連するものとする。しかしながら、本発明は、反対に明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形及びステップシーケンスを想定することができることを理解されたい。添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定のデバイス及びプロセスは、本発明の単なる例示的な実施又は態様であることも理解されるべきである。したがって、本明細書で開示される実施又は態様に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は、限定的であると見なされるべきではない。
【0066】
図3及び図4を参照すると、本開示の一例に係る軸受202が示されている。軸受202は、ジャーナル軸受222とスラスト気体軸受220とを含む。収束-発散形状を有する複数のオリフィス240が、軸受202の1又は複数の表面に画定される。軸受202の1又は複数の表面には、シール能力が設けられる。
【0067】
本開示の一例によれば、図3及び図4に図示した軸受202を用いるターボ機械が提供される。軸受202はターボ機械のケーシング204内に収容されており、このケーシングは、図1及び図2を参照する上述したターボ機械10と同じタイプのものであっても、または類似のタイプのものであってもよく、図3にはターボ機械の一ステージが示されている。この軸受202に加えて、ターボ機械は、図1及び図2に図示したターボ機械10を参照しつつ上で説明したように、その長手方向軸に沿って入口端部と入口端部に対向する出口端部とを有するケーシング204と、ケーシング204内に配置されケーシング204の入口端部から出口端部まで延びるシャフト210と、シャフト210から半径方向外側に延びる少なくとも1つのロータ208とを含む。当然のことながら、軸受202の構造及び図3に図示した構成要素は、多段式遠心圧縮機のような多段式ターボ機械に関連して利用することができる。複数の軸受202が、シャフト210の軸方向長さに沿って複数段で離間されていてもよい。
【0068】
図3及び図4に示すように、軸受202は、ジャーナル軸受222に取り付けられたスラスト気体軸受220を含む。スラスト気体軸受220は、軸方向の両方の荷重に対する支持を提供する。スラスト気体軸受220は、複動式のスラスト気体軸受であってもよい。スラスト気体軸受220は、ジャーナル軸受222の端部に接合することができる。一実施によれば、スラスト気体軸受222はスラスト気体軸受220内に加圧ガスまたはガスの静圧注入を生成または収容するように構成され、これはスラスト気体軸受220内にドライガスシールを生成するために使用することができる。軸受202はシャフト210がジャーナル軸受222内に少なくとも部分的に位置するか、又は収容され、ロータ208がスラスト気体軸受220内に位置するか、又は収容されるように、ロータ208に連結されたシャフト210を軸受202内に配置することによって利用することができる。一例によれば、ケーシング204が軸受202を包囲している。
【0069】
加圧ガスの静圧注入により、シャフト210とロータ208を囲む気体膜212が生成される。一例によれば、動圧リフティング形状を有するグルーブ230がジャーナル軸受222の内面224に配置される。ジャーナル軸受内面224上のグルーブ230は、加圧ガスの耐荷重を改善し、その結果、シャフト210及びロータ208の負荷を維持するために必要なガスが減少する。一例によれば、軸受202に注入される加圧ガスは、プロセスガスとして知られる圧縮機の作動流体である。一例によれば、複数の加圧ガスが複数のオリフィスを介して軸受202に注入される。これらのガスは、クリーンエアガス又はシールガスを含むことができる。
【0070】
図4に示すように、ジャーナル軸受内面224に到達する前に、加圧された気体流242を制限してもよい。典型的な静圧気体軸受の設計において、リストリクタ(restrictors)は、通常、供給圧力の約50%を間隙内で利用できるように設計される。一例によれば、リストリクタは、間隙内の供給圧力の50%以上を許容するように設計されてもよい。一例によれば、オリフィスは、間隙内の供給圧力の50%未満を許容するように設計されてもよい。一例によれば、軸受の設計において、気体流を制限するためにオリフィス240を利用することができる。オリフィス240は、収束-発散設計を有していてもよい。収束-発散ノズルでは、気体流242は収束チャンバ246に入り、そこではスロート244において断面積が最小に減少される。スロート244のサイズは流れがチョークされるように設計されており、例えば、流れは音速(マッハ数=1)である。スロート244を通過した後、流れは、超音速に発散する断面積のチャンバ248内で等エントロピー的に(isentropically)膨張されてもよい。これは、オリフィスの出口における流速を、従来の長方形又は円形のオリフィス形状と比較して増加させる。
【0071】
ロータ208の表面が受ける動圧は流体の速度の二乗に比例するので、オリフィスから出る流体速度を最大にすることは、所与の供給ガス圧力に対する静圧気体軸受の動圧(dynamic pressure)、ひいては耐荷重も最大にする。この効果は、単純な長方形又は円形オリフィス気体軸受と比較して、必要な気体流242圧力を減少させる。オリフィス240は、軸受202の表面に沿った様々な位置に配置することができる。一例によれば、複数のオリフィス240を軸受202の表面に沿った複数の位置に配置することができる。特定の例によれば、オリフィス240は、スラスト気体軸受220の1つ以上の表面に配置されてもよい。別の特定の例によれば、オリフィス240は、ジャーナル軸受222の1つ以上の表面に配置されてもよい。別の特定の例によれば、オリフィス240は、スラスト気体軸受220及びジャーナル軸受222の両方の1つ以上の表面に配置されてもよい。オリフィス240は、当業者が適切であると理解する、上述の収束-発散設計とは異なる代替の幾何学的形状を有するように設計されてもよいことを理解されたい。
【0072】
図3を参照すると、本開示の一例によれば、スラスト気体軸受220の内面に動圧リフティンググルーブ234が設けられている。このグルーブ234は、ドライガスシールと同様のシール能力を提供するように構成されている。このグルーブ234のリフティング(浮上)幾何形状は、作動速度でスラスト気体軸受220とロータ208との間に高い圧力ギャップを作り出す動圧リフティング力を発生させる。これは、作動速度での供給圧力要件を減少させるだけでなく、スラスト気体軸受220にシール能力を付加する。
【0073】
一例によれば、スラスト気体軸受220のシール能力は、異なるオリフィス240でのプロセスガス(圧縮機内の作動流体)とクリーンエアガスの圧力比を制御することによって改善することができる。また、ジャーナル軸受222のシール能力は、異なるオリフィス240でのクリーンエアガスとプロセスガスの圧力比を制御することによって改善することができる。一例によれば、1つ以上のオリフィス240が内側オリフィスとして指定され、1つ以上のオリフィス240が外側オリフィスとして指定されるように、複数のオリフィス240が軸受202上に配置される。特定の例によれば、軸受202は、1つの内側オリフィス、2つの内側オリフィス、3つの内側オリフィス、または3つ以上の内側オリフィスを含む。別の特定の例によれば、軸受202は、1つの外側オリフィス、2つの外側オリフィス、3つの外側オリフィス、または3つ以上の外側オリフィスを含む。内側オリフィスは、プロセスガスが供給されるオリフィスを指す。外側オリフィスは、クリーンエア、シールガス、または他のガスが供給されるオリフィスを指す。外側オリフィスは、内側オリフィスよりも軸受202の外縁部に近接して配置することができる。オリフィスは、収束-発散オリフィスであってもよい。オリフィスはまた、当業者が適切であると理解する、収束-発散オリフィス以外の代替のオリフィス形状であってもよい。
【0074】
図3に示すように、ジャーナル軸受222の内面224の縁部(エッジ)にグルーブ232を追加して、シールとして作用させ、漏れを減少させてもよい。ジャーナル軸受の縁部のグルーブ232は、ジャーナル軸受222の縁部に高圧領域が生成されるようにガスを導くよう配置される。軸受の縁部におけるこの圧力上昇は、供給ガスのバッファとして作用し、漏れを減少させる。
【0075】
一例によれば、金属メッシュダンパ206が、ケーシング204とスラスト気体軸受220及びジャーナル軸受222のいずれか又は両方との間に配置され、軸受202の減衰特性を改善する。金属メッシュダンパ206はロータ軸受システムの横方向固有振動数を横断するときに、軸受202に減衰(ダンピング)を与えるのであろう。金属メッシュダンパ206は、軸受202及び金属メッシュダンパ206を収容するケーシング204内に収容される。別の例によれば、ケーシングは金属メッシュダンパ206を含まずに、軸受202を収容する。
【0076】
図5A乃至図5Cを参照すると、軸受502内の漏れの方向及び量の制御を可能にするための、異なるオリフィスを通過するガスの圧力制御の例が示されている。図5A乃至図5Cに示す軸受502は、図3及び図4を参照して上で説明した軸受202と同一又は実質的に同様の構造を有する。ガスは、少なくとも1つの外側オリフィス504及び少なくとも1つの内側オリフィス506を介して、軸受502に供給されてもよい。ガスは、図3及び図4を参照して上述したロータ208又はシャフト210のような回転部材508と、軸受502の内面との間にギャップを作ることができる。クリーンエアガス510は、少なくとも1つの外側オリフィス504を介して軸受502に供給されてもよい。プロセスガス520は、少なくとも1つの内側オリフィス506を介して軸受502内に供給されてもよい。図5Aに示されるように、クリーンエアガス510の圧力は、プロセスガス520の圧力よりも高くてもよい。クリーンエアガス510の圧力がプロセスガス520の圧力よりも高い場合、クリーンエアガス510は、プロセスガス520が軸受502内から大気550に漏れるのを防止することができる。
【0077】
図5Bに示されるように、プロセスガス520の圧力は、クリーンエアガス510の圧力よりも高くてもよい。プロセスガス520の圧力がクリーンエアガス510の圧力よりも高い場合、プロセスガス520は、クリーンエアガス510がターボ機械560内に漏れるのを防止することができる。これは、クリーンエアガス510の全てを大気550に漏らす可能性がある。一例によれば、プロセスガス520のより高い圧力は、クリーンエアガス510が少なくとも1つの内側オリフィス506を越えて、軸受内にさらに漏れるのを防止することができる。
【0078】
図5Cに示すように、シールガス530は、少なくとも1つのシールガスオリフィス500を介して軸受502内に注入することができる。少なくとも1つのシールガスオリフィス500は、少なくとも1つのアウトボードオリフィス504と少なくとも1つのインボードオリフィス506との間に配置することができる。シールガス530は、クリーンエアガス510又はプロセスガス520ではないガスとすることができる。シールガス530の注入は、プロセスガス520及びクリーンエアガス510の漏れを制御するために使用することができる。シールガス530は、クリーンエアガス510及びプロセスガス520よりも高い圧力を有することができる。シールガス530がクリーンエアガス510及びプロセスガス520よりも高い圧力を有する場合、シールガス530は、プロセスガス520が軸受から大気550に漏れるのを防止することができる。また、シールガス530は、クリーンエアガス510がターボ機械560内に漏れるのを防止することができる。一例によれば、シールガス530のより高い圧力は、クリーンエアガス510が少なくとも1つのシールガスオリフィス500を越えて、軸受502内にさらに漏れるのを防止することができる。シールガス530はクリーンエアガス510とプロセスガス520との間にバリアを作り、クリーンエアガス510とプロセスガス520とを分離したままにすることができる。
【0079】
本発明は、反対に明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形形態及びステップシーケンスを想定することができることを理解されたい。また、添付の図面に示され、本明細書に記載された特定のデバイス及びプロセスは、単に本発明の例示的な実施又は態様であることを理解されたい。本開示は最も実用的で好ましい実施又は態様であると現在考えられているものに基づいて、例示の目的で詳細に説明されてきたが、そのような詳細はその目的のためだけであり、本発明は開示された実施又は態様に限定されず、反対に、本発明の精神及び範囲内にある修正及び同等の構成を包含することが意図されることを理解されたい。例えば、本発明は可能な限り、任意の実施又は態様の1又は複数の特徴を、任意の他の実施又は態様の1又は複数の特徴と組み合わせることができることを意図していることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C